JP5447289B2 - 窒化物半導体結晶およびその製造方法 - Google Patents

窒化物半導体結晶およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、窒化物半導体結晶とその製造方法に関し、特に大面積で表面のオフ角のばらつきが小さい窒化物半導体結晶とその製造方法に関する。
窒化ガリウム(GaN)に代表される窒化物半導体は、大きなバンドギャップを有し、またバンド間遷移が直接遷移型であることから、紫外、青色および緑色等の発光ダイオード、半導体レーザー等の比較的短波長側の発光素子並びに電子デバイス等の半導体デバイスの基板として有望な材料である。
窒化物半導体は、高融点であり、しかも融点付近の窒素の解離圧が高いことから、融液からのバルク成長が困難である。一方、ハイドライド気相成長法(HVPE法)および有機金属化学気相成長法(MOCVD法)等の気相成長法を用いることによって、窒化物半導体結晶を製造できることが知られている。
このとき、下地基板を支持体上に設置したうえで原料ガスを供給することにより、下地基板表面に窒化物半導体結晶を成長させることができる。下地基板上に成長させた窒化物半導体結晶は、下地基板とともに支持体から分離し、必要に応じて下地基板を研磨等の方法により除去することにより取り出すことができる(例えば特許文献1参照)。
下地基板としては、例えば、サファイアおよびGaAs等の異種基板が多く用いられている。異種基板上に成長した窒化物半導体結晶は、下地基板となる前記異種基板との格子定数差や熱膨張係数差に起因する反りが生じる。当該反りは、下地基板を除去した窒化物半導体自立結晶においても観察されることが知られている。
窒化物半導体自立結晶が反っている場合、該結晶を加工して作成した窒化物半導体基板表面において、オフ角のばらつきが生じる。ここで、「オフ角」とは、低指数面に対する主面法線方向の傾き角のことである。
窒化物半導体基板表面においてオフ角のばらつきがある場合、当該基板上に半導体素子を製造すると、例えば発光デバイスの場合、エピタキシャル層の組成がばらついてしまい、その結果、基板面内で発光波長のばらつきが生じることがある。
このように、窒化物半導体基板表面におけるオフ角のばらつきの発生は、窒化物半導体基板を用いた半導体素子の特性への影響が考えられるため、ばらつきを抑制するための種々の研究がなされている。
特許文献2には、窒化ガリウム基板表面において窒化ガリウム結晶のオフ角がばらつく原因として、窒化ガリウム結晶の成長方向が傾いている点について記載されている。窒化ガリウム結晶は下地基板の中心に向くように傾きながら成長する。
このため、窒化ガリウム基板の中心付近の結晶軸が窒化ガリウム基板表面の法線と一致するように窒化ガリウム結晶を加工した場合でも、基板端部近傍では結晶軸と窒化ガリウム基板表面の法線とが一致せず、窒化ガリウム基板全体で見た場合にはオフ角のばらつきが発生することについて記載されている。そして、これらを回避するために凹型の球面状に加工する製造方法が開示されている。
一方、大面積の窒化物半導体基板を作製する手法の一つとして、少なくとも2つ以上のシード基板を配置しその基板上に結晶成長させることにより、大面積の窒化物半導体基板を得る方法が特許文献3、4に記載されている。
特許文献3には、複数の窒化物半導体シード基板を、隣り合う窒化物半導体シード基板の(0001)面同士、(000−1)面同士、または(0001)面と(000−1)面を対向させ、かつ、各窒化物半導体シード基板の{10−10}面が上面になるように配置し、配置された窒化物半導体シード基板の上面に窒化物半導体を再成長させることにより、連続した{10−10}面を主面に有する窒化物半導体層を形成し、大面積の{10−10}面窒化物半導体ウエハを得ることが記載されている。
特許文献4には、複数の窒化物半導体シード基板を用意し、複数の窒化物半導体シード基板の主面が互いに平行で、かつ、それらのバーの[0001]方向が同一になるように、横方向にそれらの基板を互いに隣り合わせて配置し、配置された窒化物半導体シード基板の上面に窒化物半導体を再成長させることにより、連続した{10−10}面を主面に有する窒化物半導体層を形成し、窒化物半導体基板を得ることが記載されている。
特開2006−240988号公報 特開2009−126727号公報 特開2006−315947号公報 特開2008−143772号公報
しかし、特許文献2に記載された方法は、単に、結晶軸のばらつきにそって表面を加工してオフ角のばらつきを低減させる手法であるため、基板表面が凹形状である基板を用いてフォトリソグラフィー等の素子作製プロセスを行う場合に問題が生じることがあった。
また、特許文献3、4には、作製した窒化物半導体の表面のオフ角のばらつきに関する記載はなく、結晶軸のばらつきをどの程度減少できるのか不明である。
したがって、本発明は、窒化物半導体結晶の製造方法に関し、従来に比べ表面のオフ角のばらつきが小さい大面積の窒化物半導体結晶を製造することを目的とした。また、本発明は、特殊な加工方法を用いることなく結晶軸のばらつきをできるだけ減少させることにより、オフ角のばらつきが小さい窒化物半導体基板を製造することを目的とした。
上記目的を達成するために、本発明者らが鋭意検討を進めた結果、驚くべきことに、オフ角が異なる複数のシード基板を配置し、その上に単一の窒化物半導体層を成長させて窒化物半導体結晶を得た場合に、得られた窒化物半導体結晶のオフ角のばらつきが減少することを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下よりなる。
1.シード基板上に半導体層を成長させて窒化物半導体結晶を得る窒化物半導体結晶製造方法において、前記シード基板は同一材料の複数のシード基板を含み、前記複数のシード基板のうち少なくとも1つは他のシード基板とオフ角が異なり、前記複数のシード基板上に単一の半導体層を成長させたときに、前記単一の半導体層のオフ角分布が前記複数のシード基板のオフ角分布よりも少なくなるように、前記複数のシード基板を配置して、前記
単一の半導体層を成長させることを特徴とする窒化物半導体結晶製造方法。
2.前記複数のシード基板は六方晶系半導体からなり、成長面は略{10−10}面であり、複数のシード基板のうちの少なくとも1つのシード基板は前記他のシード基板に対し、[0001]軸方向および[11−20]軸方向のいずれかのオフ角のみが異なっていることを特徴とする前項1に記載の窒化物半導体結晶製造方法。
3.前記複数のシード基板は六方晶系半導体からなり、成長面は略{11−20}面であり、複数のシード基板のうちの少なくとも1つのシード基板は前記他のシード基板に対し、[0001]軸方向および[10−10]軸方向のいずれかのオフ角のみが異なっていることを特徴とする前項1に記載の窒化物半導体結晶製造方法。
4.前記複数のシード基板は六方晶系半導体からなり、成長面は略(0001)面または略(000−1)面であり、複数のシード基板のうちの少なくとも1つのシード基板は前記他のシード基板に対し、[10−10]軸方向および[11−20]軸方向のいずれかのオフ角のみが異なっていることを特徴とする前項1に記載の窒化物半導体結晶製造方法。
5.前記複数のシード基板は六方晶系半導体からなり、成長面は略(0001)面または略(000−1)面であり、複数のシード基板のうちの少なくとも1つのシード基板は前記他のシード基板に対し、[10−10]軸方向と[11−20]軸方向の両方のオフ角が異なっていることを特徴とする前項1に記載の窒化物半導体結晶製造方法。
6.前記複数のシード基板は六方晶系半導体からなり、成長面は略{10−10}面であり、複数のシード基板のうちの少なくとも1つのシード基板は前記他のシード基板に対し、[11−20]軸方向と[0001]軸方向の両方のオフ角が異なっていることを特徴とする前項1に記載の窒化物半導体結晶製造方法。
7.前記複数のシード基板は六方晶系半導体からなり、成長面は略{11−20}面であり、複数のシード基板のうちの少なくとも1つのシード基板は前記他のシード基板に対し、[10−10]軸方向と[0001]軸方向の両方のオフ角が異なっていることを特徴とする前項1に記載の窒化物半導体結晶製造方法。
8.前記複数のシード基板上に単一の半導体層を成長させたときに、該単一の半導体層のオフ角のばらつきが少なくなるように、徐々にオフ角を変化させて、前記複数のシード基板を配置することを特徴とする前項1から7のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶製
造方法。
9.前記複数のシード基板の中央付近から周辺部に向かうに従って徐々にオフ角が変化するように、前記複数のシード基板を配置することを特徴とする前項1から8のいずれか1
項に記載の窒化物半導体結晶製造方法。10.連続している複数のシード基板の結晶学的面形状が凸状となるように、前記複数のシード基板を配置することを特徴とする前項1から9のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶製造方法。
11.前記複数のシード基板からなるシードの両端のオフ角よりも、該シードの中間部のオフ角の方が小さくなるように、前記複数のシード基板を配置することを特徴とする前項1から10のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶製造方法。
12.前記複数のシード基板のうち少なくとも一部の隣接するシード基板のオフ角の方向がほぼ同一となるように、前記複数のシード基板を配置することを特徴とする前項1から11のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶製造方法。
13.前記複数のシード基板は、サファイア、SiC、ZnOおよびIII族窒化物半導体から選ばれる少なくとも1を含むことを特徴とする前項1から12のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶製造方法。
14.前記単一の半導体層は窒化ガリウム、窒化アルミニウムおよび窒化インジウム並びにこれらの混晶から選ばれる少なくとも1であることを特徴とする前項1から13のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶製造方法。
15.HVPE法、MOCVD法、MBE法、昇華法およびPLD法の少なくともいずれか1により前記複数のシード基板上に単一の半導体層を成長させることを特徴とする前項1から14のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶製造方法。
16.前記複数のシード基板は、同一材料の複数のインゴットを用意して、前記各インゴットにおいて最もオフ角の少ない部分を各インゴットから切り出すことで製造されたシード基板であることを特徴とする前項1から15のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶
製造方法。
17.前記複数のシード基板は、結晶軸の傾きの角度が中心付近から周辺部に向かうに従って変化して行くインゴットから切り出すことで製造された、複数のシード基板のうち少なくとも1つは他のシード基板とオフ角が異なる複数のシード基板であることを特徴とする前項1から16のいずれか1項に記載の窒化物半導体結晶製造方法。
18.前記インゴットを、シ−ド上に半導体層を成長させる半導体結晶製造方法によって作ることを特徴とする前項16または17に記載の窒化物半導体結晶製造方法。
19.前項1〜18のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたIII族窒化物半導体結晶。
20.直径2インチ内で、オフ角分布が1°以下であることを特徴とする(0001)面以外の主面を有するIII族窒化物半導体結晶。
21.六方晶系結晶の{10−10}面に対して0°〜65°のオフ角で傾斜する主面を有し、かつ主面の表面を貫通する転位を有する、厚さが100μm〜8cmのIII族窒化物半導体結晶であって、該III族窒化物半導体結晶の2インチあたりの[10−10]軸の[0001]軸方向へのオフ角分布が±0.93°以内であることを特徴とするIII族窒化物半導体結晶。
22.結晶1mmあたりのオフ角変化量が0.015°を超える領域が存在することを特徴とする前項20または21に記載のIII族窒化物半導体結晶。
23.結晶1mmあたりのオフ角変化量が0.056°を超える領域が存在することを特徴とする前項20から22のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体結晶。
24.結晶1mmあたりのオフ角変化量が0.03°を超える領域が複数箇所存在することを特徴とする前項20から23のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体結晶。
25.前記主面の面積が750mmより大きいことを特徴とする前項20から24のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体結晶。
26.前記主面の表面を貫通する転位の転位密度が5×10〜2×10cm−2であることを特徴とする前項20から25のいずれか1項に記載のIII族窒化物半導体結晶。
本発明の窒化物半導体結晶の製造方法によれば、複数のシード基板に含まれる各シード基板でのオフ角を制御し、かつ当該複数のシード基板を配置することによって、該複数のシード基板上に成長させた単一の半導体層のオフ角を制御することが可能となり、製造された窒化物半導体結晶内のオフ角のばらつきを従来よりも著しく低減することができる。
オフ角が揃っているシード基板上に半導体層を結晶成長させた場合に得られる窒化物半導体結晶の結晶軸の傾きを説明するための模式図である。 本発明の方法を適応したシード基板上に半導体層を結晶成長させた場合に得られる窒化物半導体結晶の結晶軸の傾きを説明するための模式図である。 オフ角を説明するための模式図である。 HVPE装置の概略図である。 (a)は実施例1における(10−10)面窒化ガリウムシード基板配置方法、(b)は実施例1における、本発明に係る窒化物半導体結晶の結晶軸の傾きを説明するための模式図である。 実施例1〜3、および比較例1〜4におけるオフ角測定箇所を説明するための模式図である。 (a)は実施例2における(10−10)面窒化ガリウムシード基板配置方法、(b)は実施例2における、本発明に係る窒化物半導体結晶の結晶軸の傾きを説明するための模式図である。 (a)は実施例3における(10−10)面窒化ガリウムシード基板配置方法、(b)は実施例3における、本発明に係る窒化物半導体結晶の結晶軸の傾きを説明するための模式図である。 (a)は実施例4における(10−10)面窒化ガリウムシード基板配置方法、(b)は実施例4における、本発明に係る窒化物半導体結晶の結晶軸の傾きを説明するための模式図である。 (a)は比較例1における(10−10)面窒化ガリウムシード基板配置方法、(b)は比較例1における、本発明に係る窒化物半導体結晶の結晶軸の傾きを説明するための模式図である。 (a)は比較例2における(10−10)面窒化ガリウムシード基板配置方法、(b)は比較例2における、本発明に係る窒化物半導体結晶の結晶軸の傾きを説明するための模式図である。 (a)は比較例3における(10−10)面窒化ガリウムシード基板配置方法、(b)は比較例3における、本発明に係る窒化物半導体結晶の結晶軸の傾きを説明するための模式図である。 (a)は比較例4における(10−10)面窒化ガリウムシード基板配置方法、(b)は比較例4における、本発明に係る窒化物半導体結晶の結晶軸の傾きを説明するための模式図である。
以下において、本発明の窒化物半導体結晶の製造方法について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
また、以下の説明では、窒化物半導体結晶として窒化ガリウム結晶を例として説明することがあるが、本発明で採用することができる窒化物半導体結晶はこれに限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(シード基板の材質、格子定数、熱膨張係数)
シード基板は、結晶成長面上に所望の窒化物半導体結晶を成長させることができるものであれば、その種類は問わない。また、シード基板を結晶成長用の下地基板として用いてもよい。窒化物半導体結晶が六方晶系半導体であるので、シード基板は六方晶系半導体からなることが好ましい。
また、シード基板の材質としては、例えば、サファイア、SiC、ZnOおよびIII族窒化物半導体を挙げることができる。中でも、III族窒化物半導体が好ましく、製造しようとしている窒化物半導体と同じ種類のIII族元素を含む窒化物半導体がより好ましく、製造しようとしている窒化物半導体と同一種の窒化物半導体がさらに好ましい。
複数のシード基板に含まれる各シード基板は、同一材料からなる。ここで、「同一材料」とは、化学的性状が同一の材料であり同一材質であることを指す。複数のシード基板に含まれる各シード基板を、同一材料とすることにより、作製される窒化物半導体結晶の特性分布を均一化することができる。
シード基板の格子定数は、製造しようとしている窒化物半導体結晶の格子定数と近い値
であることが好ましい。格子不整合に起因する欠陥発生を抑制できるからである。製造しようとしている窒化物半導体結晶とシード基板の格子定数の差は、窒化物半導体結晶の格子定数を基準に17%以内であることが好ましく、5%以内であることがより好ましい。
また、シード基板の熱膨張係数は、製造しようとしている窒化物半導体結晶の熱膨張係数と近い値であることが好ましい。熱膨張係数差に起因する反り発生を抑制できるからである。製造しようとしている窒化物半導体結晶とシード基板の熱膨張係数の差の絶対値は、2×10−6/℃以下であることが好ましく、1×10−6/℃以下であることがより好ましい。
(シード基板の形状)
本発明の本質から外れない限り、シード基板の形状は特に限定されるものではないが、いわゆるバー状の形状のものを用いてもよい。また、複数のシード基板が同じ形状であれば、多数枚のシード基板を配置しやすくなるため好ましい。シード基板の主面の形状は多角形であってもよく、長方形や正方形も好ましく用いることができる。
シード基板の主面の一辺の長さは5mm以上が好ましく、15mm以上がさらに好ましく、20mm以上がさらに好ましい。シード基板の主面の一辺の長さを5mm以上とすることにより、大面積の窒化物半導体結晶を作製する際に、準備するシード基板の数を抑えることができる。
また、主面の一辺の長さが5mm以上であるシード基板を用いることにより、配置したシード基板の方位合わせの精度を向上することができ、結晶性の低下を招きやすいシード基板の接合面を少なくできることからも好ましい。
ここで、本発明におけるシード基板の主面とは、シード基板における最も広い面を指す。
(シード基板の面方位)
結晶幾何学においては、結晶面の面方位を表わすために(hkl)または(hkil)などの表示が用いられる。III族窒化物結晶などの六方晶系の結晶における結晶面の面方位は、(hkil)で表わされる。
ここで、h、k、iおよびlはミラー指数と呼ばれる整数であり、i=−(h+k)の関係を有する。この面方位(hkil)の面を(hkil)面という。また、{hkil}面は(hkil)面およびそれに結晶幾何学的に等価な個々の面方位を含む総称的な面方位を意味する。
シード基板主面の面方位は(0001)面および(000−1)面等の極性面、{1−100}面および{11−20}面等の非極性面、{1−102}面および{11−22}面等の半極性面を挙げることができる。
シード基板の形状が長方形の場合、結晶成長の制御を行い易い点から、シード基板主面は{10−10}面、{11−20}面、{10−1−1}面、{20−2−1}面が好ましく、{10−10}面がより好ましい。また、4つの側面の面方位は(0001)面、(000−1)面、{11−20}面および{11−20}面、並びに(0001)面、(000−1)面、{10−10}面および{10−10}面が好ましく、(0001)面、(000−1)面、{11−20}面および{11−20}面がより好ましい。
(シード基板の主面面積)
複数のシード基板を含むシード基板の主面の面積は大きいほどよく、50mm以上であることが好ましく、75mm以上であることがより好ましく、100mm以上がさらに好ましい。
シード基板の主面の面積を50mm以上とすることにより、より準備するシード基板の数を低減することができる。また、接合面の数を低減することもできるため、シード基板上に成長させた窒化物半導体結晶におけるツイスト角分布が増大を抑制することができる。なお「ツイスト角」とは、主面と平行方向の結晶軸の方位分布(面内方位分布)を示すものである。
(接合面と主面のなす角度)
「接合面」とは、複数のシード基板を配置する際にシード基板同士で隣接する面を指す。接合面と主面のなす角度は特に限定されないが、シード基板準備加工の行い易さを考慮すると、ほぼ直角が望ましい。接合面と主面のなす角度は、88°〜92°が好ましく、89°〜91°がより好ましく、89.5°〜90.5°がさらに好ましい。
(オフ角の表現方法)
図3は、低指数面に対する主面法線方向の傾き(オフ角)を説明するための、シード基板の主面法線方向と、シード基板結晶軸方向との関係を示した模式図である。図3では、主面の低指数面が(10−10)面、接合面が(0001)面および(11−20)面である場合を想定している。なお、シード基板のオフ角はX線解析法により測定することができる。
シード基板主面法線方向と[10−10]軸とのなす角度をφとし、シード基板主面法線を[10−10]軸と[0001]軸とで定義される平面に投影した投影軸と[10−10]軸とのなす角度をφc、シード基板主面法線をシード基板結晶軸の[10−10]軸と[11−20]軸とで定義される平面に投影した投影軸と[10−10]軸とのなす角度をφaとする。
図3に示す場合は、シード基板の主面法線方向が主面の低指数面、つまり(10−10)面に対し、[0001]方向にφc傾き、且つ[11−20]方向にφa傾いている、と表現することができる。
ここで、[hkil]方向とは、(hkil)面に垂直な方向((hkil)面の法線方向)のことをいい、<hkil>方向とは、[hkik]方向およびそれに結晶幾何学的に等価な個々の方向を含む総称的な方向を意味する。
(接合面法線方向の低指数面に対する傾き)
接合面法線方向は、低指数面から傾いていてもよいし、傾いていなくてもよい。但し、配置し易さと接合後の結晶のツイスト角分布を考えると、向かい合う2つの接合面の各軸方向の低指数面からの傾きの差が小さい方が好ましい。従って、対向する2つの接合面の各軸方向の低指数面からの傾きの差は、1°以内が好ましく、0.7°以内がさらに好ましく、0.5°以下がより好ましい。
例えば、[11−20]方向に+5°、[10−10]方向に+5°接合面法線方向が(0001)面から傾いている接合面に対向する接合面は、[11−20]方向に+5°、[10−10]方向に+5°接合面法線方向が(000−1)面から傾いている接合面が好ましい。
また、シード基板間の各軸方向の低指数面からの傾きの絶対値分布は、1°以内が好ま
しく、0.7°以内がさらに好ましく、0.5°以内がより好ましい。シード基板間の各軸方向の低指数面からの傾きの絶対値分布を1°以内とすることにより、接合面をほぼ平行に向い合わせることができ、接合後の結晶のツイスト角分布を小さくできるからである。
(主面の切り出し、切り出し方法)
所望の面を有するシード基板は、必要に応じてインゴットを切り出すことにより得ることができる。例えば、(0001)面を有するIII族窒化物半導体インゴットを形成し、その後に{10−10}面又は{11−20}面が現れるように切り出すことによって{10−10}面又は{11−20}面を主面とするシード基板を得ることができる。
複数のシード基板は、同一材料の複数のインゴットを用意して、各インゴットにおいて最もオフ角分布の小さい部分を各インゴットから切り出すことにより得ることが好ましい。このことにより、シード基板内のオフ角分布を小さくすることができる。
複数のシード基板のうち少なくとも1つは他のシード基板とオフ角が異なる複数のシード基板を用意する方法としては、中心付近から周辺部、すなわち内側から外側に向かうに従ってオフ角が徐々に変化したインゴットから切り出す方法が好ましい。しかし、各シード基板内でのオフ角のばらつきを少なくするには、インゴットの中で最もオフ角のばらつきの少ない部分のみを切り出すとよい。
切り出し方法としては、鑢、研削盤、内周刃スライサーおよびワイヤーソー等で加工(研削およびスライス)する方法、研磨によって磨く方法、並びに劈開によって分割する方法などがある。中でも、劈開により{10−10}面又は{11−20}面を形成することが好ましい。
劈開の方法については、ダイヤモンドスクライバーによって切り欠きを入れて割ってもよいし、レーザースクライバー装置を使用してもよい。そのまま手で割ってもよいし、他の土台に乗せてのブレーキング装置で行ってもよい。
シード基板の表裏面の平行度は1°以内であることが好ましく、0.7°以内であることがより好ましく、0.5°以内であることがさらに好ましい。シード基板の平行度を1°以内とすることにより、研磨等の加工が行いにくくなるといった問題が生じるのを防ぐことができる。
インゴットは、シード上に半導体層を成長させる半導体結晶製造方法により作られたインゴットであることが好ましい。該半導体結晶製造方法としては、例えば、HVPE法等が挙げられる。
(シード基板の配置方法)
本発明の製造方法においては、複数のシード基板を配置して、該複数のシード基板上に単一の半導体層を成長させる。ここで、「単一の半導体層」とは、一体的な1つの半導体層であることを指す。
前記複数のシード基板は、複数のシード基板上に単一の半導体層を成長させたときに、該単一の半導体層のオフ角分布が該複数のシード基板のオフ角分布よりも少なくなるように、配置する。このようにシード基板を配置することにより、オフ角分布の小さい窒化物半導体結晶を作製することができる。
ここで、「オフ角分布」とは主面内におけるオフ角のばらつきを指し、主面内の複数点
でX線回折測定を行うことにより求めることができる。前記単一の半導体層のオフ角分布と前記複数のシード基板のオフ角分布との差は、前記単一の半導体層のオフ角分布を基準に、10%以上の差であることが好ましく、20%〜2000%の差であることがより好ましい。
なお、複数のシード基板は、同一平面状に隣り合うように配置してもよいし、平面状で重なり合って隣り合うように配置してもよい。
本発明の製造方法においては、複数のシード基板のうち少なくとも1つのシード基板は、他のシード基板とオフ角が異なる複数のシード基板を用いる。このことにより連続している複数のシード基板の結晶学的面形状を制御することができる。
例えば、複数のシード基板が六方晶系半導体からなり、成長面が略{10−10}面である場合、複数のシード基板のうちの少なくとも1つのシード基板は前記他のシード基板に対し、[0001]軸方向および[11−20]軸方向の少なくとも1のオフ角が異なっていることが好ましい。
複数のシード基板が六方晶系半導体からなり、成長面が略{11−20}面である場合、複数のシード基板のうちの少なくとも1つのシード基板は前記他のシード基板に対し、[0001]軸方向および[10−10]軸方向の少なくとも1のオフ角が異なっていることが好ましい。
複数のシード基板が六方晶系半導体からなり、成長面が略(0001)面または略(000−1)面である場合、複数のシード基板のうちの少なくとも1つのシード基板は前記他のシード基板に対し、[10−10]軸方向および[11−20]軸方向の少なくとも1のオフ角のみが異なっていることが好ましい。
なお、略{10−10}面、略{11−20}面、略(0001)面、略(000−1}面とは、複数の基板において、各成長面が約±10°のオフ角のずれの範囲内で、{10−10}面、または{11−20}面、(0001)面、(000−1)面方向に揃っているという意味である。
複数のシード基板は、中央付近から周辺部に向かうに従って徐々にオフ角が変化するように配置することが好ましい。このように複数のシード基板を配置することにより、連続している複数のシード基板の結晶学的面形状を制御することができる。
ここで、「中央付近から周辺部に向かうに従って」シード基板のオフ角が徐々に変化するとは、複数のシード基板を含むシード基板の内側から外側に向かうに従ってシード基板のオフ角が徐々に変化することを示す。
半導体の結晶構造によっては中央付近よりどの方向にも均一に反るわけではないので、半導体の結晶構造を考慮して、オフ角の変化量を決める必要がある。具体的には、例えば、成長面が{10−10}面の窒化ガリウムのシード基板上に{10−10}面が表面の窒化ガリウム層を成長する場合、[0001]軸方向が他の方向に比べ極端に大きく反るので、[0001]軸方向のみ、内側から外側に向かうに従ってシード基板のオフ角の角度を徐々に変化させることが好ましい。
更に、半導体結晶製造装置の構造によっては、半導体結晶製造装置内部の温度分布に大きな偏りが生じ、成長させた半導体層の反りの中心がシード基板の中央付近より大きくずれている場合もある。
前記の場合には、反りの中心および成長した単一の半導体層の各部分での反り量を考慮して、単一の半導体層のオフ角のばらつきが、複数のシード基板のオフ角のばらつきよりも少なくなるように、複数のシード基板に含まれる任意の1のシード基板を中心として、内側から外側に向かうに従って徐々にオフ角が変化するようにシード基板を配置するとよい。
前記の場合、単一の半導体層のオフ角のばらつきと複数のシード基板のオフ角のばらつきとの差は10%以上の差であることが好ましく、20%〜2000%の差であることがより好ましい。当該範囲とすることで、複数のシード基板からなるシード基板群の結晶面湾曲と成長中の単一の半導体層の結晶面湾曲変化量をほぼ等しくすることができる。なお、オフ角のばらつきは、X線回折測定より求めることができる。
具体的には、例えば、連続している複数のシード基板の結晶学的面形状が凸状となるように複数のシード基板を配置することが好ましい。このことにより、成長中の窒化ガリウム単結晶膜の結晶面湾曲変化を利用して、作製される窒化物半導体結晶のオフ角分布を小さくすることができる。
また別の具体例として、例えば、低指数面に近い主面を有する窒化物半導体結晶を作製する場合は、前記複数のシード基板からなるシードの両端のオフ角よりも、該シードの中間部のオフ角の方が小さくなるように配置することが好ましく、中間部でもっともオフ角が小さい箇所から両端に向けて連続的にオフ角が大きくなるように配置することがより好ましい。このことにより、成長中の単一の半導体層の結晶面湾曲変化を利用して、作製される低指数面に近い主面を有する窒化物半導体結晶のオフ角分布を小さくすることができる。
ここで「シード」とは、複数のシード基板を配置して単一の構造体としたもの全体のことを指す。このシードの向かい合う端部に挟まれた部分のことをシードの中間部という。よって、中間部とはシードの両端をつなぐ中央部分のみを示すのではなく、シードの両端に挟まれた部分全体のことをいう。
また別の好ましい具体例としては、前記複数のシード基板のうち少なくとも一部の隣接するシード基板のオフ角の方向がほぼ同一となるように配置することが好ましく、オフ角の方向の差の絶対値が0.3〜2.0°であることがより好ましく、0.5〜1.5°であることが特に好ましい。隣接するシード基板のオフ角の方向がほぼ同一であると、シード基板の接合部上方に成長した結晶に生じやすい転位を低減することができるため好ましい。
つまり、シード基板の主面法線方向が低指数面の方位と一致していると、シード基板における各面の法線方向への成長が支配的になる。この場合、接合部では隣り合うシード基板からの横方向成長部が隙間上で会合する。この隙間上の会合部にはELO会合部同様に、転位が大量に発生してしまう。
低指数面に対する主面法線方向の傾き(オフ角)を適度に付け成長させることにより、主面から傾いた低指数面が発生する。当該面は低指数面を保ちながら、主面に対し斜めに成長する。接合面の法線方向にオフ角が付いている場合、片方のシード基板から接合部上を斜めに成長し、隣のシード基板上に到達する。隣のシード基板上で会合させることにより、転位の大量発生を抑制することができる。
シード基板のオフ角の絶対値は、0.1°以上が好ましく、1°以上がより好ましく、
3°以上がさらに好ましい。シード基板のオフ角の絶対値を0.1°以上とすることにより、片方のシード基板の低指数面の成長部が隙間を跨ぐ前に、隣り合うシード基板の双方からの横方向成長部が、隙間上で会合してしまうのを抑制することができる。
一方、シード基板のオフ角の絶対値は、15°以下が好ましく、10°以下がより好ましく、7°以下がさらに好ましい。シード基板のオフ角の絶対値を15°以下とすることにより、表面ステップ密度の増加を抑制することができ、成長時にステップバンチング(ステップの粗密化)を起こしやすいといった問題を防ぐことができる。
図1は、オフ角が揃っているシード基板上に成長を行い、結晶自体が凹状に反るとともに、結晶面も凹状に湾曲する様子を、窒化物半導体結晶の断面図を用いて模式的に示したものである。
図1中、101は結晶軸が揃っているシード基板を示し、102は該シード基板101上に成長させることで製造された窒化物半導体結晶、103は窒化物半導体結晶102を破線の箇所でスライスして基板とした状態を示している。
結晶軸が揃っているシード基板101上に結晶成長させると、製造された窒化物半導体結晶102は反ってしまい、これに伴い窒化物半導体結晶102の内部の結晶軸も中央付近より周辺に向かうに従って傾きが大きくなるように、結晶軸の傾き角がばらついてしまう。
従来はこのような窒化物半導体結晶102を破線の箇所でスライスし、窒化物半導体基板103として用いていたが、窒化物半導体基板103の内部の結晶軸の傾きが揃っていないので、このような窒化物半導体基板103を用いて、例えば発光デバイスを製造すると、先に述べたように発光波長がばらついてしまうなどの問題が生じていた。
図2は、本発明の製造方法により、複数のシード基板上に単一の窒化物半導体結晶を成長させた場合を示す。
図2中201は、結晶軸の傾きが異なる複数のシード基板を、各シード基板の結晶軸が中央付近より周辺に向かうに従ってシード基板の裏面側から表面側に放射状に拡がるように配置して構成したシード基板を示す。202は該シード基板201上に成長させることで製造された窒化物半導体結晶、203は窒化物半導体結晶202を破線の箇所でスライスして基板とした状態を示している。
図2に示す場合も、図1に示す場合と同様、製造された窒化物半導体結晶202は反ってしまうが、シード基板201の結晶軸の作用で窒化物半導体結晶202の内部の結晶軸は傾かず、そのため、窒化物半導体結晶202を破線の箇所でスライスすると、結晶軸の傾きにばらつきの無い窒化物半導体基板203を製造することができる。
また、図2に示す場合、シード基板上に成長する結晶によっては、図1に示す場合とは逆に、凸状に反る結晶もあるが、この場合は、図2に示すシード基板201を、結晶軸の傾きが異なる複数の基板を、各シード基板の結晶軸が中央付近より周辺に向かうに従ってシード基板の表面側から裏面側に放射状に拡がるように配置することによって、結晶軸が揃っている半導体基板を製造することができる。
(シード基板間のオフ角変化量)
「シード基板間のオフ角変化量」とは、中央付近から周辺部に向かうに従って徐々に各シード基板のオフ角が変化するように複数のシード基板を配置して作製したシード基板に
含まれる各シード基板間のオフ角の変化量を指す。
シード基板間のオフ角変化量の好ましい範囲は、複数のシード基板上に成長させる単一の半導体層、半導体結晶膜の長さにより異なるが、複数のシード基板を配置して作製したシード基板間の単位長さ当たりのオフ角変化量は、通常0.02°/mm以上であることが好ましく、0.03°/mm以上であることがより好ましく、0.05°/mm以上であることがさらに好ましい。
複数のシード基板を含むシード基板間の単位長さ当たりのオフ角変化量を0.02°/mm以上とすることで、複数のシード基板からなるシード基板群の結晶面湾曲より、複数のシード基板上に成長中の半導体結晶膜の結晶面湾曲変化量の方が大きくなるのを防ぎ、作製される窒化物半導体結晶におけるオフ角の変化量を低減することができる。
また複数のシード基板を含むシード基板間の単位長さ当たりのオフ角変化量は、通常0.5°/mm以下であることが好ましく、0.3°/mm以下であることがより好ましく、0.2°/mm以下であることがさらに好ましい。
複数のシード基板を含むシード基板間の単位長さ当たりのオフ角変化量を0.5°/mm以下とすることで、複数のシード基板上に成長中の半導体結晶膜の結晶面湾曲変化量より、複数のシード基板からなるシード基板群の結晶面湾曲の方が大きくなるのを防ぎ、作製される窒化物半導体結晶におけるオフ角変化量を低減させることができる。
シード基板間のオフ角変化量は、複数のシード基板からなるシード基板群の結晶面湾曲と成長中の半導体結晶膜の結晶面湾曲変化量が同量となるように、調整することが好ましい。このことにより、作製される窒化物半導体結晶のオフ角分布を小さくすることができるからである。
ここで、「結晶面湾曲変化量」とは、窒化物半導体成長時における連続している複数のシード基板の結晶学的面形状の湾曲の変化の度合いを指し、作製された窒化物半導体の形状反りを測定することにより算出することができる。例えば、シード基板群の結晶学的面形状は凸状でオフ角分布が1.0°であって、作製された窒化物半導体結晶の結晶学的面形状は凹状でオフ角分布が0.5°である場合の結晶面湾曲変化量は1.5°である。複数のシード基板からなるシード基板群の結晶面湾曲と成長中の半導体結晶膜の結晶面湾曲変化量は0.1°〜5.0°であることが好ましく、0.5°〜5.0°であることがより好ましい。
シード基板間のオフ角変化量が小さ過ぎると、複数のシード基板からなるシード基板群の結晶面湾曲より、成長中の窒化ガリウム単結晶膜の結晶面湾曲変化量の方が大きくなってしまい、作製される窒化物半導体結晶におけるオフ角の変化量を低減させることができない。
具体的には、例えば、窒化ガリウム単結晶膜を少なくとも0.3mm以上成長させる場合、複数のシード基板を含むシード基板の単位長さ当たりのオフ角変化量は、±0.005°/mm以上であることが好ましく、±0.007°/mm以上であることがより好ましく、±0.01°/mm以上であることがさらに好ましい。
具体的には、例えば、少なくとも2インチ径相当の面積にオフ角の異なるシード基板を並べて作製した、(10−10)面窒化ガリウムシード基板上に窒化ガリウム単結晶膜を少なくとも0.3mm以上成長させる場合、2インチ幅でのC軸([0001]軸)方向のシード基板間のオフ角変化量は、±0.25°以上であることが好ましく、±0.35
°以上であることがより好ましく、±0.5°以上であることがさらに好ましい。
逆に、シード基板間のオフ角変化量が大き過ぎると、窒化ガリウム単結晶膜の成長中の窒化ガリウム単結晶膜の結晶面湾曲変化量より、シード基板群の結晶面湾曲の方が大きくなってしまい、オフ角変化量を低減させることができない。
窒化ガリウム単結晶膜を少なくとも0.3mm以上成長させる場合、単位長さ当たりのオフ角変化量は、±0.04°/mm以下であることが好ましく、±0.03°/mm以下であることがより好ましく、±0.02°/mm以下であることがさらに好ましい。
具体的には、少なくとも2インチ径相当の面積にオフ角の異なるシード基板を並べて作製した、(10−10)面窒化ガリウムシード基板上に窒化ガリウム単結晶膜を少なくとも0.3mm以上成長させる場合、C軸([0001]軸)方向のシード基板間のオフ角変化量は、±2°以下であることが好ましく、±1.5°以下であることがより好ましく、±1.0°以下であることがさらに好ましい。
本発明の製造方法において複数のシード基板を用いる利点は、複数のシード基板を含むシード基板に任意のオフ角分布をつけることができることである。シード基板上に成長させる半導体結晶の面内オフ角変化量が異なる場合、例えば、半導体結晶の内周側での反りは小さいが外周側での反りが大きい場合は、複数のシード基板を含むシード基板を用いることが有効である。
(製造装置)
本発明では、シード基板に対して、原料ガスを供給することによって、シード基板の結晶成長面に対して垂直な方向へ板状結晶を成長させる。成長方法としては、例えば、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)、ハイドライド気相成長法(HVPE法)、分子線エピタキシー法(MBE法)、昇華法およびパルスレーザー堆積法(PLD法)等が挙げられるが、成長速度の高いHVPE法が好ましい。
図4は、本発明に用いられる窒化物半導体結晶の製造装置の構成例を説明するための図であるが、構成の詳細に特別な制限はない。図4に図示したHVPE装置は、リアクター400内に、シード基板を載置するためのサセプター407と、成長させる窒化物半導体の原料を入れるリザーバー405とを備えている。
また、リアクター400内にガスを導入するための導入管401〜404と、排気するための排気管408が設置されている。さらに、リアクター400を側面から加熱するためのヒーター406が設置されている。
(リアクター材質)
リアクター400の材質としては、例えば、石英、焼結体窒化ホウ素およびステンレス等が挙げられる。好ましい材質は石英である。
(雰囲気ガスのガス種)
リアクター400内には、反応開始前にあらかじめ雰囲気ガスを充填しておく。雰囲気ガス(キャリアガス)としては、例えば、水素、窒素、He、NeおよびArのような不活性ガス等を挙げることができる。これらのガスは混合して用いてもよい。
(サセプター材質、形状、成長面からサセプターまでの距離)
サセプター407の材質としてはカーボンが好ましく、SiCで表面をコーティングしているものがより好ましい。
サセプター407の形状は、本発明で用いるシード基板を設置することができる形状であれば特に制限されないが、結晶成長する際に結晶成長面付近に構造物が存在しないものであることが好ましい。結晶成長面付近に成長する可能性のある構造物が存在すると、そこに多結晶体が付着し、その生成物としてHClガスが発生して結晶成長させようとしている結晶に悪影響が及んでしまうからである。
シード基板とサセプター407の接触面は、シード基板の結晶成長面から1mm以上離れていることが好ましく、3mm以上離れていることがより好ましく、5mm以上離れていることがさらに好ましい。サセプター表面から発生した多結晶が窒化物半導体結晶の成長面に侵食するのを防ぐためである。
(リザーバー)
リザーバー405には、成長させる窒化物半導体の原料を入れる。例えば、III−V族の窒化物半導体を成長させる場合は、III族源となる原料を入れる。そのようなIII族源となる原料として、例えば、Ga、AlおよびInなどを挙げることができる。
リザーバー405にガスを導入するための導入管403からは、リザーバー405に入れた原料と反応するガスを供給する。例えば、リザーバー405にIII族源となる原料を入れた場合は、導入管403からHClガスを供給することができる。
このとき、HClガスとともに、導入管403からキャリアガスを供給してもよい。キャリアガスとしては、例えば、水素、窒素、He、NeおよびArのような不活性ガス等を挙げることができる。これらのガスは混合して用いてもよい。
(窒素源(アンモニア)、キャリアガス、ドーパントガス)
導入管404からは、窒素源となる原料ガスを供給する。通常はNHを供給する。また、導入管401からは、キャリアガスを供給する。キャリアガスとしては、導入管404から供給するキャリアガスと同じものを例示することができる。このキャリアガスは原料ガスノズルを分離し、ノズル先端にポリ結晶が付着することを防ぐ効果もある。
また、導入管402からは、ドーパントガスを供給することもできる。例えば、SiH、SiHClおよびHS等のn型のドーパントガスを供給することができる。
(ガス導入方法)
導入管401〜404から供給する上記ガスは、それぞれ互いに入れ替えて別の導入管から供給しても構わない。また、窒素源となる原料ガスとキャリアガスは、同じ導入管から混合して供給してもよい。さらに他の導入管からキャリアガスを混合してもよい。これらの供給態様は、リアクター400の大きさや形状、原料の反応性、目的とする結晶成長速度などに応じて、適宜決定することができる。
(排気管の設置場所)
ガス排気管408は、リアクター内壁の上面、底面および側面に設置することができる。ゴミ落ちの観点から結晶成長端よりも下部にあることが好ましく、図4のようにリアクター底面にガス排気管408が設置されていることがより好ましい。
(結晶成長条件)
本発明における結晶成長は、通常は950℃〜1120℃で行い、970℃〜1100℃で行うことが好ましく、980℃〜1090℃で行うことがより好ましく、990℃〜1080℃で行うことがさらに好ましい。この範囲とすることにより、鏡面を有する窒化
物半導体結晶が得られやすいからである。
リアクター内の圧力は10kPa〜200kPaであるのが好ましく、30kPa〜150kPaであるのがより好ましく、50kPa〜120kPaであるのがさらに好ましい。この範囲とすることにより、鏡面を有する窒化物半導体結晶が得られやすいからである。
(結晶の成長速度)
本発明における結晶成長の成長速度は、成長方法、成長温度、原料ガス供給量および結晶成長面方位等により異なるが、一般的には5μm/h〜500μm/hの範囲であり、10μm/h以上が好ましく、50μm/h以上がより好ましく、70μm以上であることがさらに好ましい。この範囲とすることにより生産性を上げることができるからである。
成長速度は、上記の他、キャリアガスの種類、流量、供給口−結晶成長端距離等を適宜設定することによって制御することができる。
(窒化物半導体結晶の面積)
本発明の製造方法によれば、主面の面積が大きな窒化物半導体結晶を容易に得ることができる。窒化物半導体結晶の主面の面積は、シード基板の結晶成長面のサイズや結晶成長時間により適宜調整することが可能である。
本発明の製造方法によれば、例えば、窒化物半導体結晶の主面の面積を500mm以上にすることができ、750mmより大きくすることが可能であり、1500mm以上にすることが可能であり、2500mm以上にすることが可能であり、さらには10000mm以上にすることが可能である。
(窒化物半導体結晶)
本発明により提供される窒化物半導体結晶の種類は特に制限されない。具体的には、III族窒化物半導体結晶を挙げることができ、より具体的には、例えば、窒化ガリウム、窒化アルミニウムおよび窒化インジウム、並びにこれらの混晶を挙げることができる。
本発明のIII族窒化物半導体結晶は、直径2インチ内で、オフ角分布が1°以下である、(0001)面以外の主面を有する結晶である。(0001)面以外の主面としては、例えば、{10−10}面、{11−20}面、(10−11)面および(20−21)面が挙げられる。
また、本発明のIII族窒化物半導体結晶は、六方晶系結晶の{10−10}面に対して0°〜65°のオフ角で傾斜する主面を有し、かつ主面の表面を貫通する転位を有する、厚さが100μm〜5cmのIII族窒化物半導体結晶であって、該III族窒化物半導体結晶の2インチあたりの[10−10]軸の[0001]軸方向へのオフ角分布が±0.93°以内である。
本発明のIII族窒化物半導体結晶の主面とは、該III族窒化物半導体結晶で最も広い面のことを指し、六方晶系結晶の{10−10}面に対して0°〜65°のオフ角で傾斜する面であれば特に限定されない。
例えば、{10−10}面に対して28°のオフ角を有する(10−11)面および(10−1−1)面;{10−10}面に対して47°のオフ角を有する(10−12)面および(10−1−2)面;{10−10}面に対して58°のオフ角を有する(10−
13)面および(10−1−3)面;{10−10}面に対して65°のオフ角を有する(10−14)面および(10−1−4)面;{10−10}面に対して15°のオフ角を有する(20−21)面および(20−2−1)面などが挙げられる。
また、本発明のIII族窒化物半導体結晶は、主面方向に成長を行っているため、主面の表面を貫通する転位を有する特徴がある。主面の表面を貫通する転位は、カソードルミネッセンス(CL)測定で観察した際に見られる暗点に相当する。よって、結晶の主面をCL観察した際の平均暗点密度が主面の表面を貫通する転位密度であるといえる。
主面の表面を貫通する転位の転位密度は特に限定されないが、5×10cm−2以上であることが好ましく、5×10cm−2以上であることがより好ましく、さらに好ましくは7×10cm−2以上であって、好ましくは2×10cm−2以下である。この範囲とすることにより、結晶の残留歪を小さくし、且つ転位による発光効率低下を抑制することができるからである。
通常、転位は結晶の成長方向に平行に伸びるため、例えば成長方向に平行な方向にスライスして得られた結晶の主面表面には、貫通する転位が存在する割合は極めて低いと考えられる。
また本発明のIII族窒化物半導体結晶は、厚さが100μm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、5mm以上であることがさらに好ましい。また、通常8cm以下であることが好ましく、5cm以下とすることもできる。
また、結晶の主面の面積は大きいほど良く、例えば、100mm以上にすることができ、500mm以上にすることが好ましく、750mmより大きくすることがより好ましく、1500mm以上にすることが可能であり、2500mm以上にすることが可能であり、さらには10000mm以上にすることが可能である。
また本発明のIII族窒化物半導体結晶は、2インチあたりの[10−10]軸の[0001]軸方向へのオフ角分布が±0.93°以内であり、好ましくは±0.75°以内、より好ましくは±0.50°以内、さらに好ましくは±0.30°以内である。
つまり、本発明のIII族窒化物半導体結晶は、単一の結晶中で結晶軸が揃っており、このようなIII族窒化物半導体結晶をスライスして得られる、III族窒化物半導体基板は内部の結晶軸の傾きが揃っているので、例えば発光デバイスを製造すると、先に述べたように発光波長がばらついてしまうなどの問題が解消される。
また、例えば複数のシード基板上に結晶成長させて得られるような本発明のIII族窒化物半導体結晶の場合には、特に大面積の結晶を得ることができる点で好ましく、さらにはシード基板の配置方法を上述のようにすることで、大面積で得られる結晶全体の結晶軸を広い範囲にわたって傾きが揃うようにすることができる点で好ましい。
このような場合の特徴として、例えばシード基板の接合部上方に成長した結晶においては、結晶1mmあたりのオフ角変化量が単一のシード基板上に成長した結晶よりも大きくなる傾向がある。
よって、本発明のIII族窒化物半導体結晶では、結晶1mmあたりのオフ角変化量が0.015°を超える領域が存在することが好ましく、0.03°を超える領域が存在することがより好ましく、さらに0.056°を超える領域が存在することがさらに好ましい。
また、本発明のIII族窒化物半導体結晶では、結晶1mmあたりのオフ角変化量が0.03°を超える領域が複数箇所存在することが好ましい。
また本発明のIII族窒化物半導体結晶は、キャリア濃度が1×1018〜5×1018cm−3であることが好ましい。
(窒化物半導体結晶の用途)
本発明の製造方法により得られた窒化物半導体結晶は、さまざまな用途に用いることができる。特に、紫外、青色又は緑色等の発光ダイオード、半導体レーザー等の比較的短波長側の発光素子や、電子デバイス等の半導体デバイスの基板として有用である。また、本発明の製造方法により製造した窒化物半導体結晶をシード基板として用いて、さらに大きな窒化物半導体結晶を得ることも可能である。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容および処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
〔実施例1〕
[11−20]方向に25mm、[0001]方向に5mmの長さを有し、厚さ330umの直方体で、
[0001]方向に−0.30°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚と、
[0001]方向に−0.01°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚と、
[0001]方向に+0.30°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚の、
オフ角の異なる計3枚のシード基板を用意した。
シード基板(10−10)面の表裏面の平行度は0.5°以内であった。接合面として、(0001)面と(000−1)面を選択した。
図5(a)に示すように、3枚のシード基板を[0001]方向に3列、(0001)面の断面と(000−1)面の断面が対向するように、また断面同士が0.5°以内の平行度になるようにサセプター上に並べた。中央に配置したシード基板のM軸([10−10]軸)に対し、外側に配置したシード基板のM軸([10−10]軸)が、シード基板に対し裏面側から表面側に向かうに従って外側へ向くようにシード基板を並べた。具体的には、シード基板の[0001]方向のオフ角は、[0001]側から、−0.30°、−0.01°、+0.30°とした。
サセプターをリアクター400内に配置して、反応室の温度を1020℃まで上げ、窒化ガリウム単結晶膜を40時間成長させた。この単結晶成長工程においては成長圧力を1.01×10Paとし、GaClガスG3の分圧を1.85×10Paとし、NHガスG4の分圧を7.05×10Paとした。
単結晶成長工程が終了後、室温まで降温し、成長した結晶を取り出したところ、シード基板とシード基板の間の境界領域上方の領域が結合し、さらに配置シードの外周部が[11−20]方向、[−1−120]方向にはそれぞれ2mmずつ、[0001]方向に2
mm、[000−1]方向に2mm拡大した。[10−10]方向には3.5mm成長した。[11−20]方向に29mm、[0001]方向に19mm、厚さ330umの長方形の(10−10)面を主面とする自立基板を一般的なスライスと研磨により3枚作製した。当該主面の面積は、551mmであった。
M軸([10−10]軸)のC軸([0001]軸)方向のオフ角をX線回折法により測定したところ、図6におけるAで−0.22°、Bで−0.10°、Cで+0.16°であった。また、得られた自立基板面内におけるC軸([0001]軸)方向のチルト角分布は0.37°であった。ここで、チルト角分布とはオフ角のばらつきのことである。また、2インチは50mmとして換算を行った。
得られた自立基板面内におけるC軸([0001]軸)方向のチルト角分布を2インチ換算になおすと、±0.93°であった。シード基板とシード基板間の境界領域の上方の領域でのオフ角変化量を測定したところ、+C側の境界領域で0.13°/mm、−C側の境界領域で0.07°/mmであった。C軸([0001]軸)方向の結晶軸の曲率半径は1.5mであった。
得られた自立基板のX線ロッキングカーブ半値幅は、[0001]方向に垂直にX線ビームを入射した場合の(10−10)面対称反射で56秒であった。得られた自立基板について、シード基板上方の領域のCL測定での平均暗点密度は4.8×10cm−2、シードとシードの間の境界領域の上方の領域のCL測定での平均暗点密度は、2.6×10cm−2であった。
図5(b)は上記実施例1により窒化ガリウム基板の製造工程を模式的に示すものである。図5(b)中で、501はオフ角が異なる3枚のシード基板で構成したシード基板、502はシード基板501上に成長させることで製造した窒化ガリウム単結晶、503は窒化ガリウム単結晶502を破線の箇所でスライスして製造した3枚の(10−10)面自立基板を示す。
〔実施例2〕
以下の通り、実施例1とはオフ角の異なるシード基板を用いて順次シード基板を配置した以外は、実施例1と同様に実施した。
[0001]方向に−5.28°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚と、
[0001]方向に−5.03°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚と、
[0001]方向に−4.71°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚の、
オフ角の異なる計3枚のシード基板を用意した。
中央に配置したシード基板のM軸([10−10]軸)に対し、外側に配置したシード基板のM軸([10−10]軸)が、シード基板に対し裏面側から表面側に向かうに従って外側へ向くようにシード基板を並べた。具体的には、図7(a)に示すように、シード基板の[0001]方向のオフ角は、[0001]側から、−5.28°、−5.03°、−4.71°とした。
単結晶成長工程が終了後、室温まで降温し、成長した結晶を取り出したところ、シード基板とシード基板の間の境界領域上方の領域が結合し、さらに配置シード基板の外周部が[11−20]方向、[−1−120]方向にはそれぞれ2mmずつ、[0001]方向
に2mm、[000−1]方向に2mm拡大した。[10−10]方向には3.5mm成長した。[11−20]方向に29mm、[0001]方向に19mm、厚さ330umの長方形の(10−10)面を主面とする自立基板を一般的なスライスと研磨により3枚作製した。当該主面の面積は、551mmであった。
M軸([10−10]軸)のC軸([0001]軸)方向のオフ角をX線回折法により測定したところ、図6におけるAで−4.98°、Bで−4.82°、Cで−4.62°であった。また、得られた自立基板面内におけるC軸([0001]軸)方向のチルト角分布は0.36°であった。
得られた自立基板面内におけるC軸([0001]軸)方向のチルト角分布を2インチ換算になおすと、±0.90°であった。C軸([0001]軸)方向の結晶軸の曲率半径は1.5mであった。この結果から、実施例1と表面のオフ角のばらつきが同程度の自立基板が得られたことが分かった。
得られた自立基板のX線ロッキングカーブ半値幅は、[0001]方向に垂直にX線ビームを入射した場合の(10−10)面対称反射で47秒であった。
得られた自立基板について、シード基板上方の領域のCL測定での平均暗点密度は2.5×10cm−2、シード基板とシード基板の間の境界領域の上方の領域のCL測定での平均暗点密度は、7.5×10cm−2であった。
図7(b)は上記実施例2による窒化ガリウム基板の製造工程を模式的に示すものである。図7(b)中で、701はオフ角が異なる3枚のシード基板で構成したシード基板、702はシード基板701上に成長させることで製造した窒化ガリウム単結晶、703は窒化ガリウム単結晶702を破線の箇所でスライスして製造した3枚の(10−10)面自立基板を示す。
〔実施例3〕
以下の通り、実施例1とはオフ角の異なるシード基板を用いて順次シード基板を配置した以外は、実施例1と同様に実施した。
[0001]方向に−5.51°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚と、
[0001]方向に−5.01°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚と、
[0001]方向に−4.50°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚の、
オフ角の異なる計3枚のシード基板を用意した。
中央に配置したシード基板のM軸([10−10]軸)に対し、外側に配置したシード基板のM軸([10−10]軸)が、シード基板に対し裏面側から表面側に向かうに従って外側へ向くようにシード基板を並べた。具体的には、図8(a)に示すように、シード基板の[0001]方向のオフ角は、[0001]側から、−5.51°、−5.01°、−4.50°とした。
単結晶成長工程が終了後、室温まで降温し、成長した結晶を取り出したところ、シード基板とシード基板の間の境界領域上方の領域が結合し、さらに配置シードの外周部が[11−20]方向、[−1−120]方向にはそれぞれ2mmずつ、[0001]方向に2mm、[000−1]方向に2mm拡大した。[10−10]方向には3.5mm成長し
た。[11−20]方向に29mm、[0001]方向に19mm、厚さ330umの長方形の(10−10)面を主面とする自立基板を一般的なスライスと研磨により3枚作製した。当該主面の面積は、551mmであった。
M軸([10−10]軸)のC軸([0001]軸)方向のオフ角をX線回折法により測定したところ、図6におけるAで−4.95°、Bで−5.00°、Cで−5.04°であった。また、得られた自立基板面内におけるC軸([0001]軸)方向のチルト角分布は0.09°であった。
得られた自立基板面内におけるC軸([0001]軸)方向のチルト角分布を2インチ換算になおすと、±0.23°であった。C軸([0001]軸)方向の結晶軸の曲率半径は6.0mであった。この結果から、実施例1より表面のオフ角のばらつきがさらに小さい自立基板が得られたことが分かった。
得られた自立基板のX線ロッキングカーブ半値幅は、[0001]方向に垂直にX線ビームを入射した場合の(10−10)面対称反射で44秒であった。得られた自立基板について、シード基板上方の領域のCL測定での平均暗点密度は2.8×10cm−2、シード基板とシード基板の間の境界領域の上方の領域のCL測定での平均暗点密度は、7.6×10cm−2であった。
図8(b)は上記実施例3による窒化ガリウム基板の製造工程を模式的に示すものである。図8(b)中で、801はオフ角が異なる3枚のシード基板で構成したシード基板、802はシード基板801上に成長させることで製造した窒化ガリウム単結晶、803は窒化ガリウム単結晶802を破線の箇所でスライスして製造した3枚の(10−10)面自立基板を示す。
〔実施例4〕
[11−20]方向に25mm、[0001]方向に5mmの長さを有し、厚さ330umの直方体で、
[0001]方向に−5.6°〜−4.4°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板を20枚用意した。
シード基板(10−10)面の表裏面の平行度は0.5°以内であった。
接合面として、(0001)面と(000−1)面を選択した。
図9(a)に示すように、20枚のシード基板を[0001]方向10列、[11−20]方向2列並べ、(0001)面の断面と(000−1)面の断面が対向、または(11−20)面と(−1−120)面が対向するように、さらに断面同士が0.5°以内の平行度になるようにサセプター上に並べた。
中央側のシード基板のM軸([10−10]軸)に対し、外側のシード基板のM軸([10−10]軸)が、常にシード基板に対し裏面側から表面側に向かうに従って外側へ向くようにシード基板を並べた。つまり、シード基板の[0001]方向のオフ角は、[0001]から[000−1]にいくにつれ、オフ角の値が大きくなるように(オフ角の絶対値は小さくなるように)、並べた。
窒化ガリウム単結晶膜の成長は実施例1と同じ条件で実施した。
単結晶成長工程が終了後、室温まで降温し、成長した結晶を取り出したところ、シード
基板とシード基板の間の境界領域上方の領域が結合し、さらに配置シード基板の外周部が[11−20]方向、[−1−120]方向にはそれぞれ2mmずつ、[0001]方向に2mm、[000−1]方向に2mm拡大した。[10−10]方向には3.5mm成長した。直径2インチ、厚さ440umの(10−10)面を主面とする自立基板を一般的なスライスと研磨により3枚作製した。当該主面の面積は、1963mmであった。
得られた自立基板面内におけるC軸([0001]軸)方向のチルト角分布をX線回折法により測定したところ、0.941°であり、2インチで±0.47°であった。C軸方向の結晶軸の曲率半径は1.5mであった。
得られた自立基板のX線ロッキングカーブ半値幅は、[0001]方向に垂直にX線ビームを入射した場合の(10−10)面対称反射で45秒であった。得られた自立基板について、シード基板上方の領域のCL測定での平均暗点密度は2.7×10cm−2、シード基板とシード基板の間の境界領域の上方の領域のCL測定での平均暗点密度は、8.1×10cm−2であった。
図9(b)は上記実施例4により窒化ガリウム基板の製造工程を模式的に示すもので、図中で、901はオフ角が異なる3枚のシード基板で構成したシード基板、902はシード基板901上に成長させることで製造した窒化ガリウム単結晶、903は窒化ガリウム単結晶902を破線の箇所でスライスして製造した3枚の(10−10)面自立基板を示す。
〔実施例5〕
[11−20]軸を(10−1−1)面に投影した方向に25mm、[0001]軸を(10−1−1)面に投影した方向に15mmの長さを有し、厚さ330umの直方体で、[0001]方向に−0.6°、−0.2°、+0.2°、+0.6°のオフ角を有している(10−1−1)面窒化ガリウムシード基板を合計8枚用意した。
シード基板(10−1−1)面の表裏面の平行度は0.5°以内である。
接合面として、(0001)面から[10−10]方向に28°のオフ角を有する面と(000−1)面から[10−10]方向に−28°のオフ角を有する面と(11−20)面と(−1−120)面を選択した。
8枚のシード基板を[0001]軸を(10−1−1)面に投影した方向に4列、[11−20]方向に2列並べ、(0001)面から[10−10]方向に28°のオフ角を有する面と(000−1)面から[10−10]方向に−28°のオフ角を有する面が対向、または(11−20)面と(−1−120)面が対向するように、さらに断面どうしが0.5°以内の平行度になるようにサセプター上に並べた。中央側のシード基板の[10−1−1]軸に対し、外側のシード基板の[10−1−1]軸が、常にシード基板に対し裏面側から表面側に向かうに従って外側へ向くようにシード基板を並べた。つまり、シード基板の[0001]方向のオフ角は、[0001]から[000−1]にいくにつれ、オフ角の値が大きくなるように(オフ角の絶対値は小さくなるように)、並べた。
窒化ガリウム単結晶膜の成長は成長時間を78時間とした以外は、実施例1と同じ条件で実施した。
単結晶成長工程が終了後、室温まで降温し、成長した結晶を取り出したところ、シード基板とシード基板の間の境界領域上方の領域が結合し、さらに配置シード基板の外周部の拡大成長は2mm以下であった。[10−1−1]方向には10.3mm成長した。[0001]方向に20mm、[11−20]方向に50mm、厚さ440umの長方形の(10−10)面を主面とする自立基板を一般的なスライスと研磨により3枚作製した。
基板面内におけるM軸([10−10]軸)のC軸([0001]軸)方向のチルト角分布
をX線回折法により測定したところ、0.352°であった。得られた自立基板面内におけるC軸([0001]軸)方向のチルト角分布を2インチ換算になおすと、±0.44°であった。C軸([0001]軸)方向の結晶軸の曲率半径は1.6mであった。
得られた自立基板のX線ロッキングカーブ半値幅は、[0001]方向に垂直にX線ビームを入射した場合の(10−10)面対称反射で44秒であった。得られた自立基板について、CL測定を行い、シード基板上方の領域、シード基板とシード基板の間の境界領域の上方の領域ともに1×10cm−2以上の密度を有する暗点が観測された。
〔比較例1〕
以下の通り、実施例1とはオフ角の異なるシード基板を用いて順次シード基板を配置した以外は、実施例1と同様に実施した。
[0001]方向に+0.01°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚と、
[0001]方向に−0.02°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚と、
[0001]方向に+0.02°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚の、
計3枚のシード基板を用意した。
図10(a)に示すように、シード基板の[0001]方向のオフ角は、[0001]側から、+0.01°、−0.02°、+0.02°とした。
単結晶成長工程が終了後、室温まで降温し、成長した結晶を取り出したところ、シード基板とシード基板の間の境界領域上方の領域が結合し、さらに配置シード基板の外周部が[11−20]方向、[−1−120]方向にはそれぞれ2mmずつ、[0001]方向に2mm、[000−1]方向に2mm拡大した。[10−10]方向には3.5mm成長した。[11−20]方向に29mm、[0001]方向に19mm、厚さ330umの長方形の(10−10)面を主面とする自立基板を一般的なスライスと研磨により3枚作製した。主面の面積は、551mmであった。
C軸([0001]軸)方向のオフ角をX線回折法により測定したところ、図6におけるAで−0.36°、Bで−0.03°、Cで+0.30°であった。また、得られた自立基板面内におけるC軸([0001]軸)方向のチルト角分布は0.66°であった。
得られた自立基板面内におけるC軸([0001]軸)方向のチルト角分布を2インチ換算になおすと、±1.65°であった。C軸([0001]軸)方向の結晶軸の曲率半径は0.8mであった。この結果から、実施例1より表面のオフ角のばらつきが大きい自立基板が得られたことが分かった。
得られた自立基板のX線ロッキングカーブ半値幅は、[0001]方向に垂直にX線ビームを入射した場合の(10−10)面対称反射で57秒であった。得られた自立基板について、シード基板上方の領域のCL測定での平均暗点密度は4.6×10cm−2、シード基板とシード基板の間の境界領域の上方の領域のCL測定での平均暗点密度は、2.3×10cm−2であった。
図10(b)は上記比較例1により窒化ガリウム基板の製造工程を模式的に示すもので、図中で、1001はオフ角がほとんど変わらない3枚のシード基板で構成したシード基板、1002はシード基板1001上に成長させることで製造した窒化ガリウム単結晶、1003は窒化ガリウム単結晶1002を破線の箇所でスライスして製造した3枚の(1
0−10)面自立基板を示す。
〔比較例2〕
以下の通り、実施例1とはオフ角の異なるシード基板を用いて順次シード基板を配置した以外は、実施例1と同様に実施した。
[0001]方向に−4.99°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚と、
[0001]方向に−5.01°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚と、
[0001]方向に−5.00°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚の、
計3枚のシード基板を用意した。
図11(a)に示すように、シード基板の[0001]方向のオフ角は、[0001]側から、−4.99°、−5.01°、−5.00°とした。
単結晶成長工程が終了後、室温まで降温し、成長した結晶を取り出したところ、シード基板とシード基板の間の境界領域上方の領域が結合し、さらに配置シード基板の外周部が[11−20]方向、[−1−120]方向にはそれぞれ2mmずつ、[0001]方向に2mm、[000−1]方向に2mm拡大した。[10−10]方向には3.5mm成長した。[11−20]方向に29mm、[0001]方向に19mm、厚さ330umの長方形の(10−10)面を主面とする自立基板を一般的なスライスと研磨により3枚作製した。主面の面積は、551mmであった。
C軸([0001]軸)方向のオフ角をX線回折法により測定したところ、図6におけるAで−5.31°、Bで−4.99°、Cで−4.68°であった。また、得られた自立基板面内におけるC軸([0001]軸)方向のチルト角分布は0.63°であった。
得られた自立基板面内におけるC軸([0001]軸)方向のチルト角分布を2インチ換算になおすと、±1.58°であった。C軸([0001]軸)方向の結晶軸の曲率半径は0.9mであった。以上、実施例1より表面のオフ角のばらつきが大きい自立基板が得られた。
得られた自立基板のX線ロッキングカーブ半値幅は、[0001]方向に垂直にX線ビームを入射した場合の(10−10)面対称反射で45秒であった。得られた自立基板について、シード基板上方の領域のCL測定での平均暗点密度は3.0×10cm−2、シード基板とシード基板の間の境界領域の上方の領域のCL測定での平均暗点密度は、9.0×10cm−2であった。
図11(b)は上記比較例2により窒化ガリウム基板の製造工程を模式的に示すもので、図中で、1101はオフ角がほとんど変わらない3枚のシード基板で構成したシード基板、1102はシード基板1101上に成長させることで製造した窒化ガリウム単結晶、1103は窒化ガリウム単結晶1102を破線の箇所でスライスして製造した3枚の(10−10)面自立基板を示す。
〔比較例3〕
以下の通り、実施例1とはオフ角の異なるシード基板を用いて順次シード基板を配置した以外は、実施例1と同様に実施した。
[0001]方向に−5.01°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚と、
[0001]方向に−5.00°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚と、
[0001]方向に−4.98°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚の、
計3枚のシード基板を用意した。
中央に配置したシード基板のM軸([10−10]軸)に対し、外側に配置したシード基板のM軸([10−10]軸)が外側を向くようにシード基板を並べた。具体的には、図12(a)に示すように、シード基板の[0001]方向のオフ角は、[0001]側から、−5.01°、−5.00°、−4.98°とした。
単結晶成長工程が終了後、室温まで降温し、成長した結晶を取り出したところ、シード基板とシード基板の間の境界領域上方の領域が結合し、さらに配置シードの外周部が[11−20]方向、[−1−120]方向にはそれぞれ2mmずつ、[0001]方向に2mm、[000−1]方向に2mm拡大した。[10−10]方向には3.5mm成長した。[11−20]方向に29mm、[0001]方向に19mm、厚さ330umの長方形の(10−10)面を主面とする自立基板を一般的なスライスと研磨により3枚作製した。主面の面積は、551mmであった。
C軸([0001]軸)方向のオフ角をX線回折法により測定したところ、図6におけるAで−5.25°、Bで−5.00°、Cで−4.77°であった。また、得られた自立基板面内におけるC軸方向のチルト角分布は0.48°であった。
C軸([0001]軸)方向のチルト角分布を2インチ換算になおすと、±1.20°であった。C軸([0001]軸)方向の結晶軸の曲率半径は1.1mであった。以上、実施例1より表面のオフ角のばらつきが大きい自立基板が得られた。
得られた自立基板のX線ロッキングカーブ半値幅は、[0001]方向に垂直にX線ビームを入射した場合の(10−10)面対称反射で46秒であった。得られた自立基板について、シード基板上方の領域のCL測定での平均暗点密度は2.8×10cm−2、シード基板とシード基板の間の境界領域の上方の領域のCL測定での平均暗点密度は、8.1×10cm−2であった。
図12(b)は上記比較例3により窒化ガリウム基板の製造工程を模式的に示すもので、図中で、1201はオフ角がほとんど変わらない3枚のシード基板で構成したシード基板、1202はシード基板1201上に成長させることで製造した窒化ガリウム単結晶、1203は窒化ガリウム単結晶1202を破線の箇所でスライスして製造した3枚の(10−10)面自立基板を示す。
〔比較例4〕
以下の通り、実施例1とはオフ角の異なるシード基板を用いて順次シード基板を配置した以外は、実施例1と同様に実施した。
示す。
[0001]方向に−4.71°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚と、
[0001]方向に−5.03°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚と、
[0001]方向に−5.28°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚の、
オフ角の異なる計3枚のシード基板を用意した。
中央に配置したシード基板のM軸([10−10]軸)に対し、外側に配置したシード基板のM軸([10−10]軸)が内側を向くようにシード基板を並べた。具体的には、図13(a)に示すように、シード基板の[0001]方向のオフ角は、[0001]側から、−4.71°、−5.03°、−5.28°とした。
単結晶成長工程が終了後、室温まで降温し、成長した結晶を取り出したところ、シード基板とシード基板の間の境界領域上方の領域が結合し、さらに配置シードの外周部が[11−20]方向、[−1−120]方向にはそれぞれ2mmずつ、[0001]方向に2mm、[000−1]方向に2mm拡大した。[10−10]方向には3.5mm成長した。[11−20]方向に29mm、[0001]方向に19mm、厚さ330umの長方形の(10−10)面を主面とする自立基板を一般的なスライスと研磨により3枚作製した。主面の面積は、551mmであった。
C軸([0001]軸)方向のオフ角をX線回折法により測定したところ、図6におけるAで−5.61°、Bで−5.00°、Cで−4.42°であった。また、得られた自立基板面内におけるC軸([0001]軸)方向のチルト角分布は1.19°であった。
C軸([0001]軸)方向のチルト角分布を2インチ換算になおすと、±2.98°であった。C軸([0001]軸)方向の結晶軸の曲率半径は0.5mであった。以上、実施例1より表面のオフ角のばらつきが大きい自立基板が得られた。
得られた自立基板のX線ロッキングカーブ半値幅は、[0001]方向に垂直にX線ビームを入射した場合の(10−10)面対称反射で45秒であった。得られた自立基板について、シード基板上方の領域のCL測定での平均暗点密度は2.6×10cm−2、シード基板とシード基板の間の境界領域の上方の領域のCL測定での平均暗点密度は、8.5×10cm−2であった。
図13(b)は上記比較例4により窒化ガリウム基板の製造工程を模式的に示すもので、図中で、1301はオフ角がほとんど変わらない3枚のシード基板で構成したシード基板、1302はシード基板1301上に成長させることで製造した窒化ガリウム単結晶、1303は窒化ガリウム単結晶1302を破線の箇所でスライスして製造した3枚の(10−10)面自立基板を示す。
実施例1〜4、比較例1〜4のシード基板条件及び成長させた窒化ガリウム単結晶の評価の結果を表1に示す。また、実施例5のシード基板条件及び成長させた窒化ガリウム単結晶の評価の結果を表2に示す。実施例1〜5のシード基板条件を用いることにより、表面のオフ角のばらつきが小さい窒化物半導体結晶を得ることができた。
Figure 0005447289
Figure 0005447289
〔参考例〕
以下の通り、実施例1とは異なり複数のシード基板を並べずに、1枚のシード上に成長した以外は、実施例1と同様に実施した。
[11−20]方向に25mm、[0001]方向に5mmの長さを有し、厚さ330umの直方体で、[0001]方向に−0.240°のオフ角を有している(10−10)面窒化ガリウムシード基板1枚を用意した。
単結晶成長工程が終了後、室温まで降温し、成長した結晶を取り出したところ、シード基板の外周部が[11−20]方向、[−1−120]方向にはそれぞれ2mmずつ、[0001]方向に2mm、[000−1]方向に2mm拡大していた。[10−10]方向には3.5mm成長した。[11−20]方向に29mm、[0001]方向に9mm、厚さ330umの長方形の(10−10)面を主面とする自立基板を一般的なスライスと研磨により3枚作製した。主面の面積は、261mmであった。
C軸([0001]軸)方向のオフ角をX線回折法により測定したところ、基板面内におけるC軸([0001]軸)方向のチルト角分布は0.22°であった。C軸([0001]軸)方向のチルト分布を2インチ換算になおすと、±0.61°であった。また、オフ角変化量は0.012°/mmであった。
本願は、主に半導体素子の量産に用いられる面積の広い半導体基板の製造およびその半導体基板によって量産された半導体素子の品質のばらつきの削減に有効である。
101 オフ角が揃っているシード基板
102 101上に成長させた窒化物半導体結晶
103 102の破線でスライスして製造した基板
201 オフ角の異なる複数のシード基板
202 201上に成長させた窒化物半導体結晶
203 202の破線でスライスして製造した基板
400 リアクター
401 キャリアガス用配管
402 ドーパントガス用配管
403 III族原料用配管
404 V族原料用配管
405 HClガス用配管
405 III族原料用リザーバー
406 ヒーター
407 サセプター
408 排気管
501 実施例1におけるシード基板、およびその配置
502 501上で成長させた窒化ガリウム単結晶
503 502の破線でスライスして製造した基板
701 実施例2におけるシード基板、およびその配置
702 701上で成長させた窒化ガリウム単結晶
703 702の破線でスライスして製造した基板
801 実施例3におけるシード基板、およびその配置
802 801上で成長させた窒化ガリウム単結晶
803 802の破線でスライスして製造した基板
901 実施例4におけるシード基板、およびその配置
902 901上で成長させた窒化ガリウム単結晶
903 902の破線でスライスして製造した基板
1001 比較例1におけるシード基板、およびその配置
1002 1001上で成長させた窒化ガリウム単結晶
1003 1002の破線でスライスして製造した基板
1101 比較例2におけるシード基板、およびその配置
1102 1101上で成長させた窒化ガリウム単結晶
1103 1102の破線でスライスして製造した基板
1201 比較例3におけるシード基板、およびその配置
1202 1201上で成長させた窒化ガリウム単結晶
1203 1202の破線でスライスして製造した基板
1301 比較例4におけるシード基板、およびその配置
1302 1301上で成長させた窒化ガリウム単結晶
1303 1302の破線でスライスして製造した基板
G1 キャリアガス
G2 ドーパントガス
G3 III族原料ガス
G4 V族原料ガス

Claims (4)

  1. 同一材料からなる複数のシード基板上に単一の窒化物半導体層を成長させて窒化物半導体結晶を得る工程と、前記窒化物半導体結晶をスライスして基板とする工程と、を有する窒化物半導体基板の製造方法において
    前記基板のオフ角分布が前記複数のシード基板のオフ角分布よりも少なくなるように、前記複数のシード基板を徐々にオフ角を変化させて配置して、前記単一の半導体層を成長させる
    ことを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
  2. 前記複数のシード基板は六方晶系半導体からなることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記複数のシード基板の成長面は略{10−10}面、略{11−20}面、略(0001)面および略(000−1)面から選ばれるいずれか1であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記単一の窒化物半導体層は窒化ガリウム、窒化アルミニウムおよび窒化インジウム並びにこれらの混晶から選ばれる少なくとも1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
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