JP6035840B2 - 記録装置、記録方法、記録媒体 - Google Patents
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Description
一方で、大記録容量化を図るにあたっては、記録層(記録面)の数を増加させるという手法も有効であり、現状においても2層ディスクや3層以上の多層ディスクが提案・実用化されている。
例えばOPCエリアが各記録層において、レーザ光軸方向(ディスク厚み方向)に重なるように配置されているとすると、奥側の記録層のOPCエリアからしか使用できない。これは手前の記録層のOPC動作を制限することになり、記録動作の自由度を大きく妨げる。
これに対しては、各記録層で、全てOPCエリアがディスク厚み方向に重ならない位置に配置すればよいのであるが、すると記録層数が増えるほど、OPC領域として確保しなければならないエリアが増大してしまい、ユーザデータ等の記録容量を圧迫する。
この場合に、記録動作としては連続したnレイヤを記録対象レイヤと扱って記録を行う。nレイヤ内ではOPC動作が他のレイヤのOPC動作によって妨げられることはない。
<1.記録媒体>
<2.基準面を利用した位置制御手法>
<3.記録再生装置>
<4.OPCエリア構造>
<5.第1の記録処理例>
<6.第2の記録処理例>
<7.変形例>
図1は実施の形態の記録媒体としての多層記録媒体1の断面構造を示している。この多層記録媒体1は例えばCD、DVD、BDと同様の直径12cm、厚み1.2mm程度の光ディスクなどとして実現される。図1は厚み方向の断面構造を模式的に示したものである。
この図1に示されるように、多層記録媒体1には、図における上層側から順にカバー層2、複数の記録層3が形成された記録層形成領域5、接着層6、反射膜7、及び基板8が形成されている。
ここで、後述する記録再生装置10側からのレーザ光が入射する面はカバー層2側となる。レーザ入射面2aとは、カバー層2の表面となる。以下の説明上では、レーザ入射方向を基準として、レーザ入射面2a側を「手前側」、基板8側を「奥側」ともいうこととする。
記録層3は、半透明記録膜で構成される。中間層4は、例えば熱可塑性樹脂や紫外線硬化樹脂など樹脂材料で構成される。
各記録層3は、レーザ入射面2aからみて奥側から順にレイヤL0,L1,L2・・・と呼ばれる。この例は6層構造であるため、記録層3としてレイヤL0〜L5が形成されている。
このような記録層形成領域5の作成にあたっては、現状の多層ディスクの製造で必要とされる記録層ごとの位置案内子の形成工程を不要とでき、結果、多層記録媒体1の製造コスト、量産コストを効果的に削減できる。
記録層3が平面状であるということは、記録層3には予め凹凸パターンによるアドレス情報等が形成されていないということである。この記録層3には情報の記録の際、即ち主たる情報であるユーザデータや管理情報の記録の際に、その主たる情報の記録に伴ってアドレス情報が記録される。つまり主データ(ユーザデータや管理情報という主たる記録目的のデータ)に、アドレス情報が埋め込まれてエンコードされ、そのエンコードされた記録データが記録されることになる。
トラックは図2Aに示すようにダブルスパイラル状に形成される例や、図2Bのようにシングルスパイラル状に形成される例が考えられる。シングルスパイラル状のトラックとは、従前のCDやDVD等と同様のトラックである。
ダブルスパイラル状のトラックとは、図2Aに実線と破線で示すように、2つのスパイラルトラックSP−A、SP−Bが形成されるものである。
ダブルスパイラル状のトラック構造は、例えば2つの記録ビームで同時にスパイラルトラックを形成していく方式でも可能であるし、1つの記録ビームで1つのスパイラルトラックSP−Aを或るトラックピッチで形成した後、そのトラック間に、2つめのスパイラルトラックSP−Bを形成していくという方式でも可能である。
なお、ここではダブル(2重)スパイラルの例を示したが、3重スパイラル、4重スパイラルというように、よりスパイラルを多重化したトラック構成も考えられる。
この反射膜7には、記録/再生位置を案内するための位置案内子が形成される。なお反射膜に位置案内子が形成されているというのは、位置案内子が形成されている界面上に反射膜が形成されるという意味である。
なお、基板8は、例えばポリカーボネートなどの樹脂で構成される。この基板8は、例えば上記位置案内子としての凹凸断面形状を与えるためのスタンパを用いた射出成形などによって生成することができる。
この意味で、以下、位置案内子が形成された反射膜7(反射面)のことを、「基準面Ref」と表記する。また基準面Refに凹凸パターンで記録されたアドレス情報を、記録層3に記録されるアドレスと区別する意味で「基準面アドレス」と呼ぶこととする。また記録層3に主たる情報と共に記録されるアドレスを「記録層アドレス」と呼ぶ。
図3は、基準面Refに形成された位置案内子を利用した位置制御手法についての説明図である。
上記構成による多層記録媒体1に対しては、記録層3を対象として照射されるべき記録層用レーザ光についての位置制御の実現のため、該記録層用レーザ光と共に、基準面Refにおける位置案内子に基づく位置制御を行うためのレーザ光(以下、基準面用レーザ光と表記する)を照射することになる。
具体的に、これら記録層用レーザ光と基準面用レーザ光とは、図3Aのように共通の対物レンズ20を介して多層記録媒体1に対して照射する。
このとき、正確なトラッキングサーボの実現のため、記録層用レーザ光と基準面用レーザ光の光軸は一致させるようにする。
これにより、同じ対物レンズ20を介して照射される記録層用レーザ光のトラッキング方向における位置を、所望の位置に制御することができる。
再生時においては、記録層3にマーク列(つまり記録済みトラック)が形成されているので、該マーク列を対象として記録層用レーザ光単体でトラッキングサーボをかけることができる。すなわち、再生時におけるトラッキングサーボは、記録層用レーザ光の反射光に基づいて得られるトラッキングエラー信号に従って対物レンズ20の位置制御を行うことで実現できる。
このため、基準面用レーザ光と記録層用レーザ光とはそれぞれ波長帯の異なる光を用いるものとし、基準面Refを形成する反射膜7として波長選択性を有する反射膜を用いる。
具体的に本例の場合、記録層用レーザ光の波長はBDの場合と同様の405nm程度、基準面用レーザ光の波長はDVDの場合と同様の650nm程度とされる。そして、反射膜7としては、基準面用レーザ光と同波長帯の光を選択的に反射し、それ以外の波長による光は透過又は吸収する波長選択性反射膜を用いる。
このような構成により、基準面Refから記録層用レーザ光の不要な反射光成分が生じてしまうことを防止でき、良好なS/N(信号対雑音比)を確保できる。
ATSを採用する場合は、記録中には必ずしも基準面Refを用いたトラッキングサーボはしなくてもよいといえる。但し、記録開始位置までのシークには、基準面Refを用いたトラッキングやアドレス読込が必要となる。
また詳述は避けるが、実際にはATS実行中は、誤差成分の蓄積によりサーボ制御が不正確になることが多い。そのためATS実行中に基準面Refの情報でサーボ動作を補正することも行われる。このため、ATS方式を採用する場合の記録時にも、基準面Refはトラッキング制御のために用いられることとなる。
続いて、図4及び図5を参照して、実施の形態としての記録再生装置10の構成について説明する。
実施の形態の記録再生装置10は多層記録媒体1としての光ディスクに対する記録機能と共に再生機能を有する。
なお、ここでは図3Bに示したように、記録層用レーザ光として2つのレーザ光を出力するとともに、基準面用レーザ光を出力する構成例で述べる。
図3Aで述べた方式の場合は、以下で述べる2系統の記録層用レーザ光の系が1系統となると理解すればよい。
記録再生装置10には、スピンドルモータ30により回転駆動される多層記録媒体1に対して記録再生のためのレーザ光を照射するための構成として、光ピックアップOPが設けられる。
また、基準面Refに形成された位置案内子を利用した位置制御及び基準面アドレスの読出を行うための光である基準面用レーザ光の光源である基準面用レーザ24が設けられる。
なお2系統の記録層用レーザ光は、例えば記録時には、一方が記録のためのレーザ光、他方がATSサーボのためのレーザ光として用いられる。
また再生時には、両レーザ光を再生用レーザとし、ダブルスパイラルトラックの各スパイラルに対して同時に再生を行うこともできる。
但し、このような使用に限定されるものではない。例えば記録時に2つの記録層用レーザ光を共に記録用として用い、ダブルスパイラルトラックを同時形成していくことも可能である。
さらに、ここでは光ピックアップOPが1つの構成例で説明するが、記録再生装置10が複数の光ピックアップOPを備えることも当然想定される。その場合、各光ピックアップOPにおける1又は2系統の記録層用レーザ光の役割(利用方式)は多様に考えられる。
記録層用レーザ11-1、11-2より出射された2系統の記録層用レーザ光は、図のようにコリメートレンズ12を介して平行光となるように変換された後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
偏光ビームスプリッタ13は、このように光源側から入射した記録層用レーザ光については透過するように構成されている。
ダイクロイックプリズム19は、その選択反射面が、記録層用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されている。従って上記のように入射した記録層用レーザ光は、ダイクロイックプリズム19にて反射される。
対物レンズ20に対しては、該対物レンズ20をフォーカス方向(多層記録媒体1に対して接離する方向)、及びトラッキング方向(上記フォーカス方向に直交する方向:ディスク半径方向)に変位可能に保持する2軸アクチュエータ21が設けられる。
2軸アクチュエータ21には、フォーカスコイル、トラッキングコイルが備えられ、それぞれに駆動信号(後述するドライブ信号FD-sv、TD)が与えられることで、対物レンズ20をフォーカス方向、トラッキング方向にそれぞれ変位させる。
この記録層用レーザ光の反射光は、対物レンズ20を介してダイクロイックプリズム19に導かれ、該ダイクロイックプリズム19にて反射される。
ダイクロイックプリズム19で反射された記録層用レーザ光の反射光は、1/4波長板18→ミラー17→フォーカス機構(可動レンズ15→固定レンズ14)を介した後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
ここで、記録層用受光部23が記録層用レーザ光の反射光を受光して得られる受光信号のことを、以下、受光信号DT-rと表記する。
図示するように、基準面用レーザ24より出射された基準面用レーザ光は、コリメートレンズ25を介して平行光となるように変換された後、偏光ビームスプリッタ26に入射する。偏光ビームスプリッタ26は、このように基準面用レーザ24側から入射した基準面用レーザ光(往路光)は透過するように構成される。
先に述べたように、ダイクロイックプリズム19は記録層用レーザ光と同波長帯の光は反射しそれ以外の波長による光は透過するように構成されているため、基準面用レーザ光はダイクロイックプリズム19を透過し、対物レンズ20を介して多層記録媒体1(基準面Ref)に照射される。
このように多層記録媒体1側から入射した基準面用レーザ光の反射光は往路と復路とで1/4波長板27を2回通過しているためその偏光方向が往路光との比較で90度回転しおり、従って基準面用レーザ光の反射光は偏光ビームスプリッタ26にて反射される。
ここで、基準面用受光部29が基準面用レーザ光の反射光を受光して得られる受光信号については、受光信号DT-svと表記する。
なお、再生時のフォーカスサーボ制御は、記録時と同様でよい。
なお図5において、光ピックアップOPの内部構成については、図4に示した構成のうち記録層用レーザ11-1、11-2、レンズ駆動部16、及び2軸アクチュエータ21のみを抽出して示している。
またこの図では、図4に示したスピンドルモータ30の図示は省略している。
このとき、記録処理部31は、後述するコントローラ44からの指示に応じて記録データに対するアドレス情報(記録層アドレス)の付加処理も行う。
記録処理部31は、生成した記録変調符号列に基づく記録信号を発光駆動部33、32の一方又は両方に与える。
このとき他方の発光駆動部32は、記録層用レーザ11-2を再生パワーにより発光駆動する。
フォーカスエラー信号FE-rは、記録/再生対象とされた記録層3に対する記録層用レーザ光のフォーカス誤差を表す信号となる。またトラッキングエラー信号TE-rは、記録層3に形成されたトラックに対する記録層用レーザ光のスポット位置の半径方向における位置誤差を表す信号となる。
記録層用信号生成回路34で得られたRF信号は再生処理部35に、またフォーカスエラー信号FE-r、トラッキングエラー信号TE-rは記録層用サーボ回路36にそれぞれ供給される。
また、再生処理部35では、記録データ中に挿入された記録層アドレスの再生処理も行う。再生処理部35で再生された記録層アドレスはコントローラ44に供給される。
トラッキングサーボ信号TS-rは、後述するスイッチSWに対して供給される。
これにより、記録層用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御、即ち記録層用レーザ光を記録対象とする記録層3に合焦させるフォーカスサーボ制御が実現される。
スライド駆動部42は、光ピックアップOP全体をトラッキング方向にスライド駆動可能に保持する。
記録層用サーボ回路36は、トラッキングエラー信号TE-rの低域成分を抽出してスライドエラー信号を生成し、該スライドエラー信号に基づくスライドサーボ信号を生成する。そして、該スライドサーボ信号をスライドドライバ43に与えてスライド駆動部42を駆動させることで、光ピックアップOPのスライドサーボ制御を実現する。また、記録層用サーボ回路36は、コントローラ44からの指示に応じた制御信号をスライドドライバ43に与えることで、スライド駆動部42による光ピックアップOPの所要のスライド移動を実現させる。
また、記録層用サーボ回路36は、コントローラ44からの指示に応じ、トラッキングサーボをオフとして記録層用レーザ光のスポットを他のトラックにジャンプさせるトラックジャンプ動作の実行制御も行う。
具体的に基準面用信号生成回路37は、受光信号DT-svに基づき、基準面Refに形成された位置案内子(ピット列)に対する基準面用レーザ光のスポット位置の半径方向における位置誤差を表すトラッキングエラー信号TE-svを生成する。
また基準面用信号生成回路37は、基準面Ref(反射膜7)に対する基準面用レーザ光のフォーカス誤差を表すフォーカスエラー信号FE-svを生成する。
また基準面用信号生成回路37は、基準面Refに記録されたアドレス情報を検出するための信号として、アドレス検出用信号Dadを生成する。基準面Refにピット列が形成される場合、このアドレス検出用信号Dadとしては和信号を生成すればよい。
基準面用サーボ回路39は、フォーカスエラー信号FE-sv、トラッキングエラー信号TE-svに対するサーボ演算処理を行ってフォーカスサーボ信号FS-sv、トラッキングサーボ信号TS-svを生成する。
これにより、基準面用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御、即ち基準面用レーザ光を基準面Refに合焦させるフォーカスサーボ制御が実現される。
具体的に、基準面用サーボ回路39は、トラッキングエラー信号TE-svの低域成分を抽出してスライドエラー信号を生成し、該スライドエラー信号に基づくスライドサーボ信号を生成する。そして、該スライドサーボ信号をスライドドライバ43に与えてスライド駆動部42を駆動させることで、光ピックアップOPのスライドサーボ制御を実現する。また、基準面用サーボ回路39は、コントローラ44からの指示に応じた制御信号をスライドドライバ43に与えることで、スライド駆動部42による光ピックアップOPの所要のスライド移動を実現させる。
例えば再生時は、記録層用レーザ光を記録層3上のトラックに追従させるトラッキングサーボ制御が可能である。
記録時には隣接トラックにトラッキングしながら記録を行うATS制御を行う。
再生や記録のためのアクセス時(シーク時)は、基準面用レーザ光を基準面Ref上の位置案内子に追従させるトラッキングサーボ制御を行う。
スイッチSWにより選択出力されたトラッキングサーボ信号TSは、2軸ドライバ41に供給され、2軸ドライバ41は、供給されたトラッキングサーボ信号TSに基づき生成したトラッキングドライブ信号TDによって、2軸アクチュエータ21のトラッキングコイルを駆動する。
これにより、対物レンズ20が、基準面用レーザ光のスポットを基準面Ref上のトラックに追従させるように駆動されるか、或いは記録層用レーザ光のスポットを記録層3上のトラックに追従させるように駆動される。
例えばコントローラ44は、再生処理部35で得られた記録層アドレスや、アドレス検出部38で得られた基準面アドレスADRに基づき記録層用サーボ回路36、基準面用サーボ回路39に対する指示を行って、基準面用レーザ光、記録層用レーザ光のスポット位置を所定アドレスに移動させるシーク動作制御を行う。
また、コントローラ44は、記録層用サーボ回路36、基準面用サーボ回路39、及びスイッチSWに対する指示を行うことで、多層記録媒体1に対する記録、再生、基準面Refを利用したシーク時などの各場合に応じた手法でのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を実行させる。
また、ホスト機器からの指示以外に、例えば多層記録媒体1における管理情報の読出や更新など、必要に応じて再生動作、記録動作、アクセス(シーク)動作、及びそれらのためのサーボ実行制御を行う。
さらに本実施の形態の場合、コントローラ44は、レーザパワー調整のためのテストライト(OPC動作)を含めた記録動作に関して、連続したn個のレイヤを記録対象レイヤとし、n個の記録対象レイヤに対する記録動作を記録部(記録部とは記録処理部31等の記録信号処理系や、記録動作時のサーボ処理系、光ピックアップOP、サーボ駆動系を含む)に実行させる制御処理を行う。詳しくは後述する。
例えばホスト機器との通信データの記憶、各レイヤについてのOPC結果としてのレーザパワーの記憶、多層記録媒体1から読み出した管理情報や、記録動作に応じて更新される管理情報等の記憶に用いられる。
実施の形態の多層記録媒体1は、後述するコントローラ44の処理に基づく記録再生装置10の動作として、レーザパワー調整のためのテストライトを含めた記録動作に関して、連続したn個のレイヤ(但しn≧2)が記録対象レイヤとして記録が行われる記録媒体である。そして多層記録媒体1は、(n+1)個以上のレイヤを有し、各レイヤにはテストライト領域(OPCエリア)が設けられている。各レイヤのテストライト領域は、少なくとも連続したn個のレイヤの間で、レーザ光入射面側からみて重ならない位置に形成されている。
まず図6でATSサーボを用いたOPC動作について説明する。
多層記録媒体1におけるOPCエリアには、図6Aに模式的に示すように、プリフォーマットマーク列Mpが記録されている。プリフォーマットマーク列Mpは、例えばディスク製造工場における出荷前の段階で形成される。
OPC動作は、このプリフォーマットマーク列Mpを用いたATS(隣接トラックサーボ)をかけながら実行することができる。
ATSでは、例えば記録用スポットS_recを先行スポット、ATSスポットS_atsを後行スポットとして、ATSスポットS_atsがマーク列上をトレースするようにトラッキングサーボをかけることになる。
なお、記録再生装置10が多層記録媒体1に対する記録再生方向としては、ディスク内周側から外周側に向かって進行させる場合や、ディスク外周側から内周側に向かって進行させる場合がある。この図6では、記録方向は内周→外周とされる場合の例で示しているため、先行スポットとしての記録用スポットS_recが外周側、後行スポットとしてのATSスポットS_atsが内周側に位置することになる。記録方向は外周→内周とされる場合は逆になる。
これは、従来のように試し書きしたマーク列を対象としてトラッキングサーボをかけなければならないといった必要をなくすことを意味する。この結果、従来のように試し書きの開始後2周目以降の試し書きを適正に行うことができなくなってしまうといった事態や、試し書きした信号の評価を適正に行うことができなくなってしまうといった事態の発生を効果的に防止でき、OPCが適正に行われるようにできる。
但しピッチPtはその値を大とするほど記録密度が低下する傾向となる。つまりこの意味で、ピッチPtはスポット間距離Dr−aの2倍以上という条件を満たす範囲内で最小とすることが望ましい。換言すれば、ピッチPtとしては、スポット間距離Dr−aの2倍に設定することが、記録密度の低下抑制を図る点で最も望ましいものとなる。
OPCの試し書き(テストライト)を行うにあたっては、ATSスポットS_atsがプリフォーマットマーク列Mp上をトレースするようにATSによるトラッキングサーボをかける。
そしてその状態で、プリフォーマットマーク列Mpに記録されたアドレス情報を参照し、予め設定された試し書き開始位置に至ったことに応じて、記録用スポットS_recによる試し書き(記録用レーザのパワーを逐次変更させるテストライト)を開始する。
これにより試し書きは、図6Bのようにプリフォーマットマーク列Mpの間に対して行われることになる。記録用レーザパワーは段階的に変更させていくが、この様子を図6Bでは、試し書き記録されるトラックの濃淡で示している。
このような信号品質評価の結果に基づき、最適とされる記録パワーを決定し、記録用レーザのパワー調整を行う。これによりOPCが完了する。
「n」は後述する記録再生装置10の記録時の動作として、記録対象レイヤとするレイヤの数である(n≧2)。仮にn=3とする。そして多層記録媒体1におけるレイヤ数を、図1に示したように「6」とする。つまりレイヤL0〜L5が形成されているとする。
OPCエリアは、例えば図6のようにプリフォーマットマーク列Mpが形成された領域の一部に形成され、ATSによってOPC動作が行われる。
実際にはプリフォーマットマーク列Mpには、そのマーク列により各種の管理情報、例えば光ディスクの物理情報等が記録されることが想定されるが、その一部が、OPCエリアと設定される。そしてこのプリフォーマットマーク列Mpは、多層記録媒体1の内周側或いは外周側の位置に形成される。
例えば図のように、レイヤL0、L3のOPCエリアは、レーザ光軸方向に見て重なった位置に配置される。レイヤL1、L4のOPCエリアも、レーザ光軸方向に見て重なった位置に配置される。さらにレイヤL2、L5のOPCエリアも、レーザ光軸方向に見て重なった位置に配置される。
ところが、連続したn個(3個)のレイヤで考えると、OPCエリアはレーザ光入射面側からみて重ならない位置に形成されている。
後述するように記録再生装置10は、連続する3個のレイヤを記録対象レイヤとして記録動作を行う。そこで図7には、連続する3個のレイヤを記録対象レイヤRS0,RS1,RS2,RS3として示している。
例えば記録対象レイヤRS0とした連続する3つのレイヤL0,L1,L2の組を見てみると、OPCエリアはディスク半径方向にずれた位置とされレーザ光入射面側からみて重ならない。
また記録対象レイヤRS1とした連続する3つのレイヤL1,L2,L3の組を見ても、OPCエリアはディスク半径方向にずれた位置とされレーザ光入射面側からみて重ならない。
さらに記録対象レイヤRS2としたレイヤL2,L3,L4の組や、記録対象レイヤRS3としたL3,L4,L5の組でも、OPCエリアはディスク半径方向にずれた位置とされレーザ光入射面側からみて重ならない。
なお、斜線部は、3つの組でのOPCエリアが重なりを確実に避けるようにするためのバッファ領域である。
なお、各レイヤL0〜L5におけるOPCエリアの位置(例えばOPCエリアの開始物理アドレスや終端物理アドレス)の情報は、例えばプリフォーマットマーク列Mpによる管理情報として記録することができる。つまり図7Aに示したようなOPCエリアの配置は、例えばプリフォーマットマーク列Mpに記録される管理情報の内容として設定可能である。
記録再生装置10は、多層記録媒体1としてのディスク装填時に、プリフォーマットマーク列Mpを読み出すことで、各レイヤL0〜L5におけるOPCエリアの配置を認識することができる。
或るレイヤへの管理情報やユーザデータの記録を行う場合には、それに先だってOPCを行い、記録レーザパワーを最適化することが必要である。
ここでOPC実行上の制約として、各レイヤに配置するOPCエリアを使用する場合、そのOPCエリアに重なる手前側(レーザ入射面側)のレイヤの領域が未使用で無ければいけない。OPCエリアに対して、何らかの記録動作が行われた領域が手前に位置し、OPC実行時にレーザ光が手前側レイヤの記録済み領域を通過することとなると、当該領域での透過率変調の影響を受け、OPC動作が正確にできなくなるためである。
参考のため図7Bには、6層のレイヤL0〜L5においてOPCエリアを全てずらして配置した例を示した。
ところがこのようにすると、記録できない無駄な領域が多く発生してしまい、全体としてのディスク記録容量が低下する。
1つのレイヤには、ユーザデータの記録、ユーザデータのファイルシステムの記録、ディスクの管理情報の記録、交代領域の記録などが行われるが、これらの各記録の進捗は一様ではない。このため、必ず一番奥のレイヤL0から順番に記録を行うということでは、効率的な記録動作が阻害されることが多い。
これにより図7Aのように、(レイヤL0,L1,L2)、(レイヤL1,L2,L3)、(レイヤL2,L3,L4)、(レイヤL3,L4,L5)のいずれの連続する組み合わせでも、OPC領域は重ならないようにする。
記録管理例を大まかに述べると、例えばレイヤL2への記録がフルになりレイヤL3への記録行いたい場合、レイヤL0の記録領域をクローズして、レイヤL3への記録に移行する。同様に、レイヤL4への記録の最初で、レイヤL1の記録領域をクローズする。このような動作を繰り返すことで、常に3層内で記録が納まるように制御する。具体的な記録制御例については後述する。
また、n層(例えば3層)の間で自由度の高い記録を実行できるため、実際上、非効率な記録動作が発生することもほとんどない。
さらには、記録層がn層(3層)に限定されるので、記録再生装置10が行う層間ジャンプの回数や時間を短縮できるという利点も得られる。
n=3とした場合、図のように記録対象レイヤRS0〜RSm−2としての、連続する3層のレイヤの組で扱われる。
この場合に、(レイヤL0,L1,L2),(レイヤL1,L2,L3)・・・(レイヤLk−2,Lk−1,Lk)・・・(レイヤLm−2,Lm−1,Lm)のどの3層をとっても、OPCエリアはレーザ入射面側からみて重ならない配置とされる。つまり各組の3層のレイヤは、同時記録が可能となる。
あくまでも、どの連続した3層(n層)でみても、OPCエリアが重ならないように配置されればよい。
n=4とする場合のOPCエリアの配置例を図10に示す。
n=4とした場合、図10のように記録対象レイヤRS0〜RSm−3としての、連続する4層のレイヤの組で扱われる。
この場合に、(レイヤL0,L1,L2,L3),(レイヤL1,L2,L3,L4)・・・(レイヤLk−3,Lk−2,Lk−1,Lk)・・・(レイヤLm−3,Lm−2,Lm−1,Lm)のどの4層をとっても、OPCエリアはレーザ入射面側からみて重ならない配置とされる。つまり各組の4層のレイヤは、同時記録が可能となる。
以上のような多層記録媒体1に対する記録再生装置10による記録処理例を説明する。なお、以下では図1のようなレイヤL0〜L5を有する6層記録媒体の例で説明する。また上述の記録対象レイヤの数n=3とする。
なお、詳述は避けるが、多層記録媒体1には管理情報を記録する管理領域が設けられ、管理領域として、データ記録のトラックの情報や交替処理情報等を記録するTDMA(Temporary Disc Management Area)が設けられている。このTDMAには、シーケンシャル記録するトラック(SRR:Sequential recording range)の現在の状況を示す情報や、スペアエリア(SPA)を用いた交替処理情報などが逐次記録される。
記録再生装置10は、このTDMAに記録された情報を読み出すことで、装填された多層記録媒体1の現在の状態を知ることができる。
この処理ではコントローラ44は、TDMAに記録された情報によって各レイヤの記録状況、具体的にはクローズ処理によりそれ以上の記録が不可とされているか否かの状況、を判定する。
レイヤL0〜L3が記録不可状態であることを検知した場合、コントローラ44はステップF103からF111に進み、レイヤL4,L5を記録対象レイヤと設定する。
レイヤL0〜L2が記録不可状態であることを検知した場合、コントローラ44はステップF104からF110に進み、レイヤL3,L4,L5を記録対象レイヤと設定する。
レイヤL0〜L1が記録不可状態であることを検知した場合、コントローラ44はステップF105からF109に進み、レイヤL2,L3,L4を記録対象レイヤと設定する。
レイヤL0が記録不可状態であることを検知した場合、コントローラ44はステップF106からF108に進み、レイヤL1,L2,L3を記録対象レイヤと設定する。
全レイヤが記録不可状態ではない場合、コントローラ44はステップF107に進み、レイヤL0,L1,L2を記録対象レイヤと設定する。
特に記録可能なレイヤのうちで、レーザ光入射面側からみて最も奥に位置するレイヤを含めて連続するn個(3個)のレイヤを記録対象レイヤとすることになる。
なお、ステップF112のように記録対象レイヤが1つになること、ステップF111のように記録対象レイヤが2つになることもあるが、これは記録可能な残りのレイヤの都合による。記録可能なレイヤが3以上存在する場合は、記録可能なレイヤのうち最も奥のレイヤから連続する3つのレイヤが記録対象レイヤとされることになる。
そしてコントローラ44は、このように記録対象レイヤを設定したら、3個の記録対象レイヤに対しては、奥側のレイヤから順に使用する記録動作を実行制御する。
コントローラ44は、ホスト機器からの記録コマンドに応じて、ステップF200で必要な記録制御処理を実行し、図5に示した各部を制御して記録動作を実行させる。
この記録動作としては、具体的には、ホスト機器から供給される記録データ(ユーザデータ等)についての記録処理部31による信号処理、発光駆動部33によるレーザ駆動、光ピックアップOPによる多層記録媒体1への書込動作、及び記録のための各種サーボ動作が実行される。コントローラ44はこれらの動作を指示して所要の記録動作を実行させる。
またユーザデータ等の記録に応じたTDMAへの情報記録や、データ更新や欠陥領域に対応した交替処理も行うよう、コントローラ44は必要な制御を行う。
図13〜図17には、多層記録媒体1上の領域構成例を示している。
この図13〜図17は、主データ領域を3つのシーケンシャル記録トラック(SRR#1、SRR#2、SRR#3)に分割し、このSRR#1、SRR#2、SRR#3と、管理領域と、SPA(スペアエリア)という5つの領域で各レイヤL0〜L5を運用した場合の例としている。
各図において記録が行われた部分を斜線部として示している。
今、仮に多層記録媒体1のレイヤL0〜L2が記録対象レイヤとされているとすると、コントローラ44は各図のように、各領域について、記録対象レイヤのうちで一番奥のレイヤL0から使用していくように記録動作を制御することとなる。
コントローラ44は、電源オフの指示を検知した場合は、ステップF201からF208に進み、電源オフ処理を行う。
コントローラ44は、ディスクイジェクトの指示を検知した場合は、ステップF202からF207に進み、イジェクト処理を行う。つまり図示しないディスク排出機構により多層記録媒体1の排出を実行させる。
ステップF204でコントローラ44は、ステップF200での制御により実行されている記録動作が、記録対象レイヤ以外のレイヤに進行する状況であるか否かを判定する。このような状況でなければ、引き続きステップF200の制御による記録動作を実行させる。
一方、記録対象レイヤ以外のレイヤに進行する状況、例えばレイヤL0〜L2が記録対象レイヤとされている状況で、ユーザデータ記録がレイヤL2まで使い切ってしまい、レイヤL3に進行したい場合など、記録対象レイヤを越えて次のレイヤに記録を進行させたい場合は、ステップF205の処理を行う。
即ちコントローラ44は、その時点で記録対象レイヤとされているうちで最も奥のレイヤ(例えば上記例の場合、レイヤL0)をクローズ処理する。
また次に記録する領域の移行処理を行う。そして記録対象レイヤを変更する。即ちそれまでレイヤL0〜L2を記録対象レイヤとしていたところ、記録対象レイヤをレイヤL1〜L3に変更する。このような処理を行ってステップF200の記録制御を続ける。
上述のように、図13〜図17は、レイヤL0〜L5をSRR#1、SRR#2、SRR#3、管理領域、SPAという5つの領域で運用する場合の例である。
主データ領域はSRR#1、SRR#2、SRR#3という3つのトラックに分割しているが、これは例えば、SRR#1をファイルシステムがメタデータを記録する領域とし、SRR#2を実際のユーザデータを記録する領域とし、SRR#3をメタデータのミラーを記録するミラー領域として使用する場合などが想定される。なお、ここでいうメタデータとはユーザデータのファイル管理情報であり、ユーザデータとメタデータが、ホスト機器が記録再生装置10に記録を要求するデータとなる。
SPA(スペアエリア)は欠陥領域についての交替や、いわゆるロジカルオーバーライトとしての書換のために用いられる領域である。
管理領域は、TDMAとして逐次管理情報が記録される領域である。
図13〜図17の例では、各レイヤL0〜L5において、ディスク上の同じ半径位置の部分を同じ役割の領域に割り当てる構成をとるものとしている。
なお各図には、上述のプリフォーマットマーク列Mpの形成領域内に設けられるOPCエリアも示している。OPCエリアについては、図7Aで説明したように、連続する3つのレイヤのOPCエリアが重ならないようにされている。
まず図13は、SRR#2に記録するユーザデータについて記録対象レイヤを越えて進行する状況を示している。
特に大きなサイズのファイルの追記が続いた場合、追記の回数も少なくなり、管理領域(TDMA)への管理データの記録も少なくなる。またSRR#1、SRR#3のファイルシステム情報の記録も少なくなる。このような場合、図示のようにSRR#2のみ、記録動作が他の領域より大きく進行してしまう。
具体的には、レイヤL0のSRR#1、SRR#2、SRR#3についてクローズ処理を行って、以降はレイヤL0での主データエリアを使用できないようにする。
また、移行処理として、次にメタデータを記録する領域は、レイヤL1のSRR#1、SRR#3とする。またレイヤL0のSPAも以降使用しないで、次に利用するSPAは、レイヤL1のSPAとする。さらに管理領域についても、レイヤL0の管理領域は以降使用しないで、次に管理情報を追記する場所はレイヤL1の管理領域とする。
例えばレイヤL0の管理領域(TDMA)に書き込む最新の情報として、これらの移行
情報を記録する。図では次回記録開始点NSとして、各領域の移行処理を示している。
このことはつまり、レイヤL3へのOPC動作を含むデータ記録動作を行った後は、レイヤL0のOPCエリアでのOPC動作ができなくなることを意味する。
そこで図13のような場合、記録制御としてコントローラ44は、レイヤL0を以後記録不可とする。つまりレイヤL0でOPC動作が行われることがないようにし、記録対象レイヤをレイヤL1〜L3に変更して記録が続行できるようにする。このようにすることで、レイヤを手前側に進行させて記録を続行できるとともに、その後に不正確なOPC動作によってレイヤL0での不適切な記録動作が実行されないようにする。
小さなユーザデータファイルを多数追記し、追記の度にイジェクトするような場合に、メタデータを記録するSRR#1,SRR#3の領域の消費が多くなる。図14の場合、次にメタデータを記録するには、レイヤL3の使用が必要になる。
そこでコントローラ44は、ステップF205の処理を行う。つまりこの場合、レイヤL0のSRR#2、SPA、管理領域については、まだ記録可能な領域が残っており、またOPCエリアもまだテストライトが可能であるが、レイヤL0のクローズ処理、及び次回記録開始点NSで示すように各領域の移行処理を行い、記録対象レイヤをレイヤL1〜L3に変更する。
この処理によって、以後、レイヤL3を用いたメタデータの記録(レイヤL3でのOPCを含む)を可能とする。
ディフェクト発生が頻繁だったり、記録トラックピッチが想定より大きくなって必要な容量がSRR#2内に記録できなかったりする場合に、SPAの使用量が増加する。
他の領域の場合と同様に、他の領域がレイヤL0を使用中であっても、レイヤL3のSPAを使用したい場合には、他の領域のレイヤを進める必要が出てくる。
そこでコントローラ44は、ステップF205の処理を行う。この場合、レイヤL0のSRR#1、SRR#2、SRR#3、管理領域については、まだ記録可能な領域が残っており、またOPCエリアもまだテストライトが可能であるが、レイヤL0のクローズ処理、及び次回記録開始点NSで示すように各領域の移行処理を行い、記録対象レイヤをレイヤL1〜L3に変更する。
この処理によって、以後、レイヤL3のSPAを利用すること(レイヤL3でのOPCを含む)を可能とする。
データサイズの小さなファイルを多数追記するような場合、ロジカルオーバーライト(データ書換)等の発生頻度が大きくなるので、管理領域の消費が多くなる。そして管理領域の使用がレイヤL3に移行する場合、他の領域がレイヤL0を使用中であっても、他の領域のレイヤを進める必要が出てくる。
そこでコントローラ44は、ステップF205の処理を行う。この場合、レイヤL0のSRR#1、SRR#2、SRR#3、SPAについて、まだ記録可能な領域が残っており、またOPCエリアもまだテストライトが可能であるが、レイヤL0のクローズ処理、及び次回記録開始点NSで示すように各領域の移行処理を行い、記録対象レイヤをレイヤL1〜L3に変更する。
この処理によって、以後、レイヤL3の管理領域(TDMA)を利用した管理データの記録(レイヤL3でのOPCを含む)を可能とする。
OPCエリアが使い切られており、その後レイヤL0でのOPCは実行できない。そこで、この場合コントローラ44は、ステップF205の処理を行う。つまりレイヤL0のSRR#1、SRR#2、SRR#3、SPA、管理領域について、まだ記録可能な領域が残っているが、レイヤL0のクローズ処理、及び次回記録開始点NSで示すように各領域の移行処理を行い、記録対象レイヤをレイヤL1〜L3に変更する。
この処理によって、以後、レイヤL1〜L3の範囲で、OPC動作を含む適切な記録動作が実行できるようになる。
なお、この場合もレイヤL0のSRR#2が途中で閉じられることでユーザデータの記録可能容量の減少となるが、実際にはOPCエリアのサイズ設計により、このような事態は殆ど生じないと考えられる。
これにより、図13〜図17で説明したように、記録の進行に伴ってレイヤの進行が行われる。そして記録対象レイヤを変更した時点で、記録対象レイヤより奥のレイヤではOPC動作を含む記録動作が行われることはなくなるため、OPC動作に関する問題は生じない。なお、元の記録対象レイヤのうちの最も奥のレイヤが記録不可とされることで領域の損失が発生するが、実際上は、各場合について述べたように、大きな問題とはならないようにすることができる。
第2の記録処理例を図18で説明する。
上記第1の記録処理例では、記録動作が記録対象レイヤを越えて手前のレイヤに進行する際には、無条件に、記録対象レイヤのうちで最も奥のレイヤを記録不可としたうえで、新たなレイヤを加えて記録対象レイヤを変更した。
これは、新たに記録対象レイヤに組み込まれたレイヤとOPCエリアが重なる奥側のレイヤでOPC動作を含む記録動作が行われないようにするためである。
換言すれば、OPC動作が不要である限りの期間は、新たにレイヤL3を記録対象レイヤとした後であっても、レイヤL0で記録を行っても問題はない。
そこで、図18のような第2の処理例が考えられる。
コントローラ44は、ステップF301で電源オフの指示の有無を確認する。
またコントローラ44は、ステップF302でディスクイジェクトの指示の有無を確認する。
またコントローラ44はステップF303で最終レイヤまでを使い切ったか否かを確認する。最終レイヤであるレイヤL5までの記録領域を使い切ったことを検知したら、それ以上の記録はできないため、ステップF312で、それ以上の記録を不可とする。
またコントローラ44はステップF304で、ステップF300での制御により実行されている記録動作が、記録対象レイヤ以外のレイヤに進行する状況であるか否かを判定する。このような状況でなければ、引き続き記録動作を実行させる。
これは、これから記録を進行させようとするレイヤを含めた3つのレイヤよりも奥側の1又は複数の未クローズのレイヤについて、それぞれOPC結果(最適レーザパワー)をメモリ47に記憶しているか否かを確認する処理となる。
従って、例えば多層記録媒体1が装填された後にレイヤL0でOPCを行い、記録を行っていたのであれば、レイヤL0についての最適レーザパワーの情報は記憶されている。そのような場合は、例えレイヤL3に記録が進めた後であっても、レイヤL0に対してOPCを行わずにデータ記録を行うことができる。
逆に、例えば装填時にレイヤL0がクローズされておらず、装填当初はレイヤL0、L1、L2を記録対象レイヤとしていても、レイヤL0に対するOPC及び記録が行われないまま、或る領域についてレイヤL3への進行が必要になったとする。この場合、レイヤL3での記録に先立ってレイヤL3でのOPCが実行されるが、その場合、レイヤL0での最適レーザパワーは記憶されていない。この場合、もしその後にレイヤL0での記録を行おうとすると、レイヤL0でのOPCが求められる。ところがレイヤL3でのOPC後では、レイヤL0でのOPCは実行できない。
即ちコントローラ44は、その時点で記録対象レイヤとされているうちで最も奥のレイヤをクローズ処理する。また次に記録する領域の移行処理を行う。そして記録対象レイヤを変更する。例えばそれまでレイヤL0〜L2を記録対象レイヤとしていたところ、記録対象レイヤをレイヤL1〜L3に変更する。このような処理を行ってステップF300の記録制御を続ける。例えば図13〜図17で説明した動作と同様となる。
そこでその場合はコントローラ44はステップF307に進み、これから記録を進行させるレイヤを記録対象レイヤに追加する。
この場合に、レイヤL0のSRR#1,SRR#2,SRR#3,SPA,管理領域のいずれかでの記録が、多層記録媒体1の装填後から現在のまでの間に行われたとすると、そのレイヤL0の記録に先立ってレイヤL0のOPCエリアを用いたOPCが行われており、レイヤL0の最適レーザパワーの値はメモリ47に記憶されている。最適レーザパワーの値が記憶されていれば、レイヤL0に対してOPCを行わずとも記録実行可能である。
つまりその場合は、レイヤL0をクローズする必要はないといえる。
この場合、その後ステップF300の制御としては、レイヤL0〜L3の範囲を対象に実行される。従って図19のような状況で破線の斜線部として示したようにレイヤL3への記録を行った後も、例えばレイヤL0のSRR#1,SRR#3へメタデータを記録したり、レイヤL0のSPAを利用したり、さらにレイヤL0の管理領域(TDMA)を用いて管理情報を更新することができる。
その場合はコントローラ44は、OPC結果が記憶されていないレイヤについてのクローズ処理や移行処理、及び進行するレイヤを記録対象レイヤに加えるとともに、OPC結果が記憶されているレイヤについては記録対象レイヤに残すような記録対象レイヤの変更を行うようにすればよい。
ステップF307で記録対象レイヤが拡大されても許容できるのは、あくまで奥のレイヤL0等でOPCを行わずとも問題なく記録ができるという状況の継続中に限られる。多層記録媒体1がイジェクトされた場合、その後、当該多層記録媒体1が記録再生装置10に装填された際には、レイヤL0ではOPCは行われる必要がある。また記録再生装置10が電源オフとされOPC結果の記憶が消失された後も同様である。
ところが、その場合、位置が重なるレイヤL3のOPCエリアが使用されている状況であるため、レイヤL0のOPCエリアを使用することは不適切である。
また電源オフの指示があった場合、コントローラ44はステップF301からF310に進み、最新の使用レイヤを含め3レイヤよりも奥のレイヤについてクローズ及び移行処理を行う。そしてステップF311で電源オフ処理を行う。
また例えば図20のように記録対象レイヤが拡大されてレイヤL4が使用された後にイジェクト或いは電源オフとされる場合、レイヤL0、L1についてクローズ処理がされ、またレイヤL0、L1に未使用部分が残る領域があっても、次に使用するのはレイヤL2とする移行処理(管理データ更新)が行われる。
このようにすることで、次回の記録動作時に、不適切なOPCが行われることが回避できる。
記録を進行させるレイヤを含めて連続したn個のレイヤよりも、レーザ光入射面側からみて奥に位置するレイヤについて、レーザパワー調整結果が得られていない場合は、当該奥のレイヤを記録不可レイヤとし、記録を進行させるレイヤを含んで連続するn個のレイヤを、新たに記録対象レイヤとする(ステップF306)。
一方、記録を進行させるレイヤを含めて連続したn個のレイヤよりも、レーザ光入射面側からみて奥に位置するレイヤについて、レーザパワー調整結果が得られている場合は、当該奥のレイヤから記録を進行させるレイヤまでの連続する(n+1)個以上のレイヤを、新たに記録対象レイヤとする(ステップF307)。
このようにすることで、なるべく奥側のレイヤの領域を無駄にさせないで記録に使用することができ、記憶容量の無駄を生じさせないという点で好適となる。
これにより、その後の記録の際に、不適切なOPCが行われることを回避できる。
以上、実施の形態を説明してきたが、本開示の技術は多様な変形例、応用例が考えられる。
OPCエリアの配置に関する設定として、上記の「n」の値やレイヤ数「m+1」は多様に考えられる。特に「n」の値は、レイヤ数、記録システムの使用形態に応じた効率的な記録動作、及び記録容量などを勘案して適切な値に設定することが望ましい。
また、光ディスクとしての多層記録媒体1を例に挙げたが、本開示の技術が適用できる記録媒体は光ディスク形状の記録媒体に対するものに限られない。例えばカード状の記録媒体や、それに対する記録装置にも適用できる。
(1)記録層としての(n+1)個以上のレイヤを有し、各レイヤのテストライト領域が、少なくとも連続したn個のレイヤの間で、レーザ光入射面側からみて重ならない位置に形成されている記録媒体に対して、レーザ照射を行って各レイヤについての記録動作を行う記録部と、
レーザパワー調整のためのテストライトを含めた記録動作に関して、連続したn個のレイヤを記録対象レイヤとし、n個の記録対象レイヤに対する記録動作を上記記録部に実行させる制御部と、
を備えた記録装置。但しn≧2。
(2)上記制御部は、レーザ光入射面側からみて奥側のレイヤから順に使用する記録動作を上記記録部に実行させる上記(1)に記載の記録装置。
(3)上記制御部は、記録可能なレイヤのうちで、レーザ光入射面側からみて最も奥に位置するレイヤを含めて連続するn個のレイヤを記録対象レイヤとし、
n個の記録対象レイヤに対して奥側のレイヤから順に使用する記録動作を上記記録部に実行させる上記(1)又は(2)に記載の記録装置。
(4)上記制御部は、記録動作によるレイヤの使用が、n個の記録対象レイヤを越えてレーザ光入射面側のレイヤに進行する場合には、
記録対象レイヤのうちのレーザ光入射面側からみて最も奥に位置するレイヤを記録不可レイヤとし、記録を進行させるレイヤを含んで連続するn個のレイヤを、新たに記録対象レイヤとする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の記録装置。
(5)上記制御部は、記録動作によるレイヤの使用が、n個の記録対象レイヤを越えてレーザ光入射面側のレイヤに進行する場合には、
記録を進行させるレイヤを含めて連続したn個のレイヤよりも、レーザ光入射面側からみて奥に位置するレイヤについて、レーザパワー調整結果が得られていない場合は、当該奥に位置するレイヤを記録不可レイヤとし、記録を進行させるレイヤを含んで連続するn個のレイヤを、新たに記録対象レイヤとし、
記録を進行させるレイヤを含めて連続したn個のレイヤよりも、レーザ光入射面側からみて奥に位置するレイヤについて、レーザパワー調整結果が得られている場合は、当該奥に位置するレイヤから記録を進行させるレイヤまでの連続する(n+1)個以上のレイヤを、新たに記録対象レイヤとする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の記録装置。
(6)上記制御部は、連続する(n+1)個以上のレイヤを記録対象レイヤとした場合、その後の記録媒体の排出又は装置電源オフの際に、レーザ入射面側からみて手前側のn個の記録対象レイヤよりも奥の記録対象レイヤを記録不可レイヤとする処理を行う上記(5)に記載の記録装置。
Claims (6)
- 記録層としての(n+1)個以上のレイヤを有し、各レイヤのテストライト領域が、少なくとも連続したn個のレイヤの間で、レーザ光入射面側からみて重ならない位置に形成されている記録媒体に対して、レーザ照射を行って各レイヤについての記録動作を行う記録部と、
レーザパワー調整のためのテストライトを含めた記録動作に関して、連続したn個のレイヤを記録対象レイヤとし、n個の記録対象レイヤに対する記録動作を上記記録部に実行させる制御部と、を備え、
上記制御部は、記録動作によるレイヤの使用が、n個の記録対象レイヤを越えてレーザ光入射面側のレイヤに進行する場合には、
記録対象レイヤのうちのレーザ光入射面側からみて最も奥に位置するレイヤを記録不可レイヤとし、記録を進行させるレイヤを含んで連続するn個のレイヤを、新たに記録対象レイヤとすることができる記録装置。但しn≧2。 - 上記制御部は、レーザ光入射面側からみて奥側のレイヤから順に使用する記録動作を上記記録部に実行させる請求項1に記載の記録装置。
- 上記制御部は、記録可能なレイヤのうちで、レーザ光入射面側からみて最も奥に位置するレイヤを含めて連続するn個のレイヤを記録対象レイヤとし、
n個の記録対象レイヤに対して奥側のレイヤから順に使用する記録動作を上記記録部に実行させる請求項1又は請求項2に記載の記録装置。 - 上記制御部は、記録動作によるレイヤの使用が、n個の記録対象レイヤを越えてレーザ光入射面側のレイヤに進行する場合には、
記録を進行させるレイヤを含めて連続したn個のレイヤよりも、レーザ光入射面側からみて奥に位置するレイヤについて、レーザパワー調整結果が得られていない場合は、当該奥に位置するレイヤを記録不可レイヤとし、記録を進行させるレイヤを含んで連続するn個のレイヤを、新たに記録対象レイヤとし、
記録を進行させるレイヤを含めて連続したn個のレイヤよりも、レーザ光入射面側からみて奥に位置するレイヤについて、レーザパワー調整結果が得られている場合は、当該奥に位置するレイヤから記録を進行させるレイヤまでの連続する(n+1)個以上のレイヤを、新たに記録対象レイヤとする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の記録装置。 - 上記制御部は、連続する(n+1)個以上のレイヤを記録対象レイヤとした場合、その後の記録媒体の排出又は装置電源オフの際に、レーザ入射面側からみて手前側のn個の記録対象レイヤよりも奥の記録対象レイヤを記録不可レイヤとする処理を行う請求項4に記載の記録装置。
- 記録層としての(n+1)個以上のレイヤを有し、各レイヤのテストライト領域が、少なくとも連続したn個のレイヤの間で、レーザ光入射面側からみて重ならない位置に形成されている記録媒体に対する記録方法として、
連続したn個のレイヤを記録対象レイヤとし、n個の記録対象レイヤに対して、レーザパワー調整のためのテストライトを含めた、レーザ照射による記録動作を実行し、
記録動作によるレイヤの使用が、n個の記録対象レイヤを越えてレーザ光入射面側のレイヤに進行する場合には、
記録対象レイヤのうちのレーザ光入射面側からみて最も奥に位置するレイヤを記録不可レイヤとし、記録を進行させるレイヤを含んで連続するn個のレイヤを、新たに記録対象レイヤとすることができる記録方法。但しn≧2。
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