JP2013225361A - 記録媒体、記録装置、記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】平面状に形成される記録層を有する記録媒体に対する効率的な記録動作設定の実現。
【解決手段】記録媒体は、平面状に形成される1又は複数の記録層を有し、記録層の一部の領域には、製造工程で予め記録されたプリフォーマットマーク列が形成されている。プリフォーマットマーク列には、少なくとも、記録層における記録動作に関する指定情報が記録されている。記録装置は、記録媒体が装填されたら、プリフォーマットマーク列に対して再生を行って記録動作に関する指定情報を取得し、取得した指定情報に基づいて記録層への記録動作を行う。
【選択図】図7

Description

本開示は記録媒体及び記録媒体に対して記録を行う記録装置、記録方法に関する。
特開2007−272988号公報
光の照射により信号の記録又は再生が行われる光記録媒体として、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる光ディスク記録媒体(以下、単に光ディスクとも表記)が広く普及している。
従来より、光ディスクについては、その情報記録密度の向上を図ることで大記録容量化が達成されてきた。具体的には、ピット列又はマーク列としてのトラックの形成ピッチを詰める、つまりは半径方向における記録密度を向上させる手法、及びピット又はマークのサイズ縮小化により線方向(半径方向に直交する方向)の記録密度を向上させる手法が採られてきた。
一方で、大記録容量化を図るにあたっては、記録層(記録面)の数を増加させるという手法も有効であり、現状においても2層ディスクや3層以上の多層ディスクが提案・実用化されている。
この光ディスク等の記録媒体として各種のものが提案されているが、本開示では平面状に形成される1又は複数の記録層を有する記録媒体について、記録装置が記録動作に必要な情報の記録形式として好適な記録形式を提案する。これにより記録装置が、記録媒体に対する効率的な記録動作設定を実行できるようにする。
本開示の記録媒体は、平面状に形成される1又は複数の記録層を有し、上記記録層の一部の領域には、製造工程で予め記録されたプリフォーマットマーク列が形成されているとともに、上記プリフォーマットマーク列には、少なくとも、上記記録層における記録動作に関する指定情報が記録されている。
本開示の記録装置は、平面状に形成される1又は複数の記録層を有し、上記記録層の一部の領域には、製造工程で予め記録されたプリフォーマットマーク列が形成されているとともに、上記プリフォーマットマーク列には、少なくとも、上記記録層における記録動作に関する指定情報が記録されている記録媒体に対して、レーザ照射を行って上記記録層についての記録及び再生動作を行う記録再生部と、上記記録再生部に上記プリフォーマットマーク列の再生を実行させて上記指定情報を取得し、取得した上記指定情報に基づいて上記記録再生部による上記記録層への記録動作を制御する制御部とを備える。
本開示の記録方法は、平面状に形成される1又は複数の記録層を有し、上記記録層の一部の領域には、製造工程で予め記録されたプリフォーマットマーク列が形成されているとともに、上記プリフォーマットマーク列には、少なくとも、上記記録層における記録動作に関する指定情報が記録されている記録媒体に対する再生方法として、上記プリフォーマットマーク列に対して再生を行って上記指定情報を取得し、取得した指定情報に基づいて上記記録層への記録動作を行う。
このような本開示において、記録媒体の記録層が平面状ということは、記録層は、記録するマーク列のガイドとなる凹凸形状(例えばウォブリンググルーブやピット列)を持たない平面として形成されているということである。
このような平面状の記録層の一部の領域については、製造工程上のプリフォーマット処理として、予めマーク列を記録しておく。そしてこのプリフォーマットマーク列の情報内容として、記録動作に関する指定情報を含むようにする。
これにより、記録装置が平面状の記録層に対して、プリフォーマットマーク列を再生することで記録動作のための各種設定や準備ができる。
また記録層が平面状であるということは、その平面に対するマーク列の記録動作は物理的には制限されないことになる。記録媒体からみれば、プリフォーマットマーク列への指定情報の記録により、その後の記録動作における物理的な形式を規定できることになる。
本開示によれば、記録媒体には製造工程で予め記録されたプリフォーマットマーク列により記録層における記録動作に関する指定情報が記録されている。このため記録装置は平面状の記録層に対して、プリフォーマットマーク列を再生することで記録動作のための各種設定や準備ができ、その後の記録動作を適切に実行できる。
また記録媒体はプリフォーマットによって、記録動作のための指定情報が記録できるため、プリフォーマット工程により、物理的な記録方式が異なる記録媒体を製造できることにもなる。
本開示の実施の形態の光ディスクの層構造の説明図である。 実施の形態の光ディスクのトラック構造の説明図である。 実施の形態の光ディスクへのサーボ動作の説明図である。 実施の形態の記録再生装置の光学系の構成の説明図である。 実施の形態の記録再生装置のブロック図である。 実施の形態の光ディスクの製造工程の説明図である。 実施の形態の光ディスクの製造工程におけるプリフォーマットの説明図である。 実施の形態のOPCエリアのトラックの説明図である。 実施の形態の光ディスクのエリア構成例の説明図である。 実施の形態の基準面メディア情報の説明図である。 実施の形態の基準面のデータ構造の説明図である。 実施の形態のプリフォーマットメディア情報の説明図である。 実施の形態のプリフォーマットメディア情報のDIの説明図である。 実施の形態の記録再生装置のディスク装填時処理のフローチャートである。
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.記録媒体の層構造>
<2.基準面を利用した位置制御手法>
<3.記録再生装置>
<4.多層記録媒体の製造工程>
<5.ディスクのエリア構造及びOPC>
<6.基準面メディア情報>
<7.プリフォーマットメディア情報>
<8.ディスク装填時の動作>
<9.変形例>
<1.記録媒体の層構造>

図1は実施の形態の記録媒体としての多層記録媒体1の断面構造を示している。この多層記録媒体1は例えばCD、DVD、BDと同様の直径12cm、厚み1.2mm程度の光ディスクなどとして実現される。図1は厚み方向の断面構造を模式的に示したものである。
この図1に示されるように、多層記録媒体1には、図における上層側から順にカバー層2、複数の記録層3が形成された記録層形成領域5、接着層6、反射膜7、及び基板8が形成されている。
ここで、後述する記録再生装置10側からのレーザ光が入射する面はカバー層2側となる。レーザ入射面2aとは、カバー層2の表面となる。以下の説明上では、レーザ入射方向を基準として、レーザ入射面2a側を「手前側」、基板8側を「奥側」ともいうこととする。
多層記録媒体1において、カバー層2は、例えば樹脂で構成され、その奥側に形成された記録層形成領域5の保護層として機能する。
記録層形成領域5は、図のように複数の記録層3と、それらの間に挿入された中間層4とを有して構成される。つまりこの場合の記録層形成領域5は、記録層3→中間層4→記録層3→中間層4・・・→記録層3の繰り替えし積層が行われて形成されたものとなっている。
記録層3は、半透明記録膜で構成される。中間層4は、例えば熱可塑性樹脂や紫外線硬化樹脂など樹脂材料で構成される。
この図では、記録層形成領域5内には6つの記録層3が形成されるものとしているが、これはあくまで一例であって、記録層数は「6」以外とすることができる。
各記録層3は、レーザ入射面2aからみて奥側から順にレイヤL0,L1,L2・・・と呼ばれる。この例は6層構造であるため、記録層3としてレイヤL0〜L5が形成されている。
ここで、記録層形成領域5において、それぞれの記録層3には、図からも明らかなようにグルーブやピット列等の形成に伴う位置案内子(凹凸パターン)が形成されていない。すなわち、各記録層3は平面状に形成されているものである。
このような記録層形成領域5の作成にあたっては、現状の多層ディスクの製造で必要とされる記録層ごとの位置案内子の形成工程を不要とでき、結果、多層記録媒体1の製造コスト、量産コストを効果的に削減できる。
記録層3が平面状であるということは、記録層3には予め凹凸パターンによるアドレス情報等が形成されていないということである。この記録層3には情報の記録の際、即ち主たる情報であるユーザデータや管理情報の記録の際に、その主たる情報の記録に伴ってアドレス情報が記録される。つまり主データ(ユーザデータや管理情報という主たる記録目的のデータ)に、アドレス情報が埋め込まれてエンコードされ、そのエンコードされた記録データが記録されることになる。
記録層3には、記録動作に伴ってトラックが形成されていく。
トラックは図2Aに示すようにダブルスパイラル状に形成される例や、図2Bのようにシングルスパイラル状に形成される例が考えられる。シングルスパイラル状のトラックとは、従前のCDやDVD等と同様のトラックである。
ダブルスパイラル状のトラックとは、図2Aに実線と破線で示すように、2つのスパイラルトラックSP−A、SP−Bが形成されるものである。
ダブルスパイラル状のトラック構造は、例えば2つの記録ビームで同時にスパイラルトラックを形成していく方式でも可能であるし、1つの記録ビームで1つのスパイラルトラックSP−Aを或るトラックピッチで形成した後、そのトラック間に、2つめのスパイラルトラックSP−Bを形成していくという方式でも可能である。
なお、ここではダブル(2重)スパイラルの例を示したが、3重スパイラル、4重スパイラルというように、よりスパイラルを多重化したトラック構成も考えられる。
図1のように記録層形成領域5よりも奥側には、所要の接着材料で構成された接着層(中間層)6を介して、反射膜7が形成されている。
この反射膜7には、記録/再生位置を案内するための位置案内子が形成される。なお反射膜に位置案内子が形成されているというのは、位置案内子が形成されている界面上に反射膜が形成されるという意味である。
具体的に、この場合は、図中の基板8の一方の面側に対して位置案内子が形成されることで、図のような凹凸の断面形状が与えられ、基板8の該凹凸断面形状が与えられた面上に対し反射膜7が成膜されることで、該反射膜7に位置案内子が形成されたものとなっている。
なお、基板8は、例えばポリカーボネートなどの樹脂で構成される。この基板8は、例えば上記位置案内子としての凹凸断面形状を与えるためのスタンパを用いた射出成形などによって生成することができる。
ここで、現状の記録可能型光ディスクで行われているように、上記位置案内子の形成により、多層記録媒体1の記録面内方向に平行な方向における絶対位置を表すアドレス情報を記録することができる。例えばこの絶対位置情報は、上記位置案内子がグルーブで形成される場合には当該グルーブの蛇行(ウォブル)周期の変調により記録することができ、また上記位置案内子がピット列で形成される場合には、ピットの長さや形成間隔の変調により記録を行うことができる。
後述するが、さらに本実施の形態の多層記録媒体1には、上記位置案内子はアドレス情報だけでなく、記録層3の再生条件情報等を含むメディア情報も記録されている。
なお、上記のように記録層3に対しては位置案内子が形成されておらず、記録層3上の記録位置の制御は、以下で説明するように位置案内子が形成された反射膜7からの反射光に基づき行われることになる。
この意味で、以下、位置案内子が形成された反射膜7(反射面)のことを、「基準面Ref」と表記する。また基準面Refに凹凸パターンで記録されたアドレス情報を、記録層3に記録されるアドレスと区別する意味で「基準面アドレス」と呼ぶこととする。また記録層3に主たる情報と共に記録されるアドレスを「記録層アドレス」と呼ぶ。
さらに多層記録媒体1には、基準面Refの凹凸パターンでは、記録層3の再生条件情報等を含むメディア情報が記録されるが、これを後述する記録層3におけるプリフォーマットマーク列で記録されるメディア情報と区別するため、「基準面メディア情報」という。
記録層3に位置案内子が形成されないことで、上述のようにコストアップを招かない多層記録媒体製造が可能となる。但しこの場合、アドレスの存在しない記録層3に対し適切にアクセスを行うために、記録層3と積層した状態で基準面Refを設ける。基準面Refには、ウォブリンググルーブやピット列などの凹凸パターンでアドレスを予め形成しておく。このようにすることで、基準面Refのアドレスを頼りに多層記録媒体1上の所望の位置にアクセスすることができる。
また、記録再生装置では、再生のために各種の再生条件に基づいた設定が必要になる。基準面Refに基準メディア情報として、記録層3の再生条件情報が記録されていれば、記録再生装置は例えば多層記録媒体1が装填されたときに、容易に再生条件情報を取得できる。
さらに記録再生装置では、記録のために各種の再生条件に基づいた設定やOPC(Optimum Power Control)動作などが必要になる。このためOPCに用いるOCPエリア(テストライトエリア)の配置位置を指定する情報や、記録層3に形成するマーク列のトラックピッチを指定する情報、記録層のマーク列を形成するスパイラル数を指定する情報(例えば図2のダブルスパイラル、シングルスパイラルのいずれかを指定する情報)が必要になる。さらには各記録層3での記録速度に応じたライトストラテジを指定する情報など、記録層3への記録のための記録条件情報も必要になる。
本例の多層記録媒体1では、これらの記録動作に関する指定情報を、製造段階で記録層3にプリフォーマットマーク列を形成して記録する。
説明上、上記の「基準面メディア情報」との区別のため、プリフォーマットマーク列に記録される情報については「プリフォーマットメディア情報」又は「PFメディア情報」と記述する。
<2.基準面を利用した位置制御手法>

図3は、基準面Refに形成された位置案内子を利用した位置制御手法についての説明図である。
上記構成による多層記録媒体1に対しては、記録層3を対象として照射されるべき記録層用レーザ光についての位置制御の実現のため、該記録層用レーザ光と共に、基準面Refにおける位置案内子に基づく位置制御を行うためのレーザ光(以下、基準面用レーザ光と表記する)を照射することになる。
具体的に、これら記録層用レーザ光と基準面用レーザ光とは、図3Aのように共通の対物レンズ20を介して多層記録媒体1に対して照射する。
このとき、正確なトラッキングサーボの実現のため、記録層用レーザ光と基準面用レーザ光の光軸は一致させるようにする。
記録層3(所要の半透明記録膜)を対象としたマークの記録時には、図3Aのように基準面用レーザ光を反射膜7の反射面(基準面Ref)に合焦させるように照射して、その反射光に基づいて得られるトラッキングエラー信号に従って、対物レンズ20の位置制御を行う。つまりトラッキングサーボをかける。
これにより、同じ対物レンズ20を介して照射される記録層用レーザ光のトラッキング方向における位置を、所望の位置に制御することができる。
一方、再生時における位置制御は、以下のようにして実現できる。
再生時においては、記録層3にマーク列(つまり記録済みトラック)が形成されているので、該マーク列を対象として記録層用レーザ光単体でトラッキングサーボをかけることができる。すなわち、再生時におけるトラッキングサーボは、記録層用レーザ光の反射光に基づいて得られるトラッキングエラー信号に従って対物レンズ20の位置制御を行うことで実現できる。
ここで、上記のような位置制御手法において、基準面用レーザ光として記録層用レーザ光と同波長帯の光を用いてしまうと、基準面用レーザ光の反射光を得るべき基準面Refについて、記録層用レーザ光についての反射率を高めざるを得なくなってしまう。すなわち、その分、迷光成分が増大して再生性能を著しく悪化させてしまう虞がある。
このため、基準面用レーザ光と記録層用レーザ光とはそれぞれ波長帯の異なる光を用いるものとし、基準面Refを形成する反射膜7として波長選択性を有する反射膜を用いる。
具体的に本例の場合、記録層用レーザ光の波長はBDの場合と同様の405nm程度、基準面用レーザ光の波長はDVDの場合と同様の650nm程度とされる。そして、反射膜7としては、基準面用レーザ光と同波長帯の光を選択的に反射し、それ以外の波長による光は透過又は吸収する波長選択性反射膜を用いる。
このような構成により、基準面Refから記録層用レーザ光の不要な反射光成分が生じてしまうことを防止でき、良好なS/N(信号対雑音比)を確保できる。
図3Bは記録層用レーザ光として2つのレーザ光を照射する例である。2つの記録層用レーザ光を照射するのは、例えばダブルスパイラル状のトラックを同時に記録又は再生するようにする場合や、或いはダブルスパイラルやシングルスパイラルにかかわらず、記録層3において既に記録されたトラックに沿って隣のトラックの記録を行う隣接トラックサーボ(ATS:Adjacent Track Servo)を採用する場合などである。
簡単に述べておくと、ATSとは、2つの記録層用レーザ光の一方を記録用スポット、他方をサーボ用スポットとする。そして既に(例えば1周回前の時点に)記録されたトラックにサーボ用スポットを照射して、トラッキングサーボを行いながら、記録用スポットで、当該サーボ用スポットを照射しているトラックの隣のトラックを記録していくというものである。
ATSを採用する場合は、記録中には必ずしも基準面Refを用いたトラッキングサーボはしなくてもよいといえる。但し、記録開始位置までのシークには、基準面Refを用いたトラッキングやアドレス読込が必要となる。
また詳述は避けるが、実際にはATS実行中は、誤差成分の蓄積によりサーボ制御が不正確になることが多い。そのためATS実行中に基準面Refの情報でサーボ動作を補正することも行われる。このため、ATS方式を採用する場合の記録時にも、基準面Refはトラッキング制御のために用いられることとなる。
<3.記録再生装置>

続いて、図4及び図5を参照して、実施の形態としての記録再生装置10の構成について説明する。
実施の形態の記録再生装置10は多層記録媒体1としての光ディスクに対する記録機能と共に再生機能を有する。
図4は、記録再生装置10が備える主に光学系の構成についての説明図であり、具体的には、記録再生装置10が備える光ピックアップOPの内部構成を主に示している。
なお、ここでは図3Bに示したように、記録層用レーザ光として2つのレーザ光を出力するとともに、基準面用レーザ光を出力する構成例で述べる。
図3Aで述べた方式の場合は、以下で述べる2系統の記録層用レーザ光の系が1系統となると理解すればよい。
先ず、記録再生装置10に装填された多層記録媒体1は、当該記録再生装置10における所定位置においてそのセンターホールがクランプされるようにしてセットされ、図中のスピンドルモータ30による回転駆動が可能な状態とされる。
記録再生装置10には、スピンドルモータ30により回転駆動される多層記録媒体1に対して記録再生のためのレーザ光を照射するための構成として、光ピックアップOPが設けられる。
光ピックアップOP内には、記録層用レーザ光の光源である記録層用レーザ11-1、11-2とが設けられる。
また、基準面Refに形成された位置案内子を利用した位置制御及び基準面アドレスの読出を行うための光である基準面用レーザ光の光源である基準面用レーザ24が設けられる。
また、光ピックアップOPには、記録層用レーザ光と基準面用レーザ光の多層記録媒体1への出力端となる対物レンズ20が設けられる。さらに、記録層用レーザ光の多層記録媒体1からの反射光を受光するための記録層用受光部23と、基準面用レーザ光の多層記録媒体1からの反射光を受光するための基準面用受光部29とが設けられる。
そして、光ピックアップOPにおいては、記録層用レーザ光を対物レンズ20に導くと共に、該対物レンズ20に入射した多層記録媒体1からの反射光を記録層用受光部23に導くための光学系が形成される。
なお2系統の記録層用レーザ光は、例えば記録時には、一方が記録のためのレーザ光、他方がATSサーボのためのレーザ光として用いられる。
また再生時には、両レーザ光を再生用レーザとし、ダブルスパイラルトラックの各スパイラルに対して同時に再生を行うこともできる。
但し、このような使用に限定されるものではない。例えば記録時に2つの記録層用レーザ光を共に記録用として用い、ダブルスパイラルトラックを同時形成していくことも可能である。
さらに、ここでは光ピックアップOPが1つの構成例で説明するが、記録再生装置10が複数の光ピックアップOPを備えることも当然想定される。その場合、各光ピックアップOPにおける1又は2系統の記録層用レーザ光の役割(利用方式)は多様に考えられる。
図4の例に則して、記録層用レーザ光のための光学系を具体的に説明する。
記録層用レーザ11-1、11-2より出射された2系統の記録層用レーザ光は、図のようにコリメートレンズ12を介して平行光となるように変換された後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
偏光ビームスプリッタ13は、このように光源側から入射した記録層用レーザ光については透過するように構成されている。
偏光ビームスプリッタ13を透過した記録層用レーザ光は、固定レンズ14、可動レンズ15、及びレンズ駆動部16を有して構成されるフォーカス機構に入射する。このフォーカス機構は、記録層用レーザ光についての合焦位置の調整のために設けられたものであり、これらの記録層用レーザ11-1、11-2に近い側が固定レンズ14とされ、遠い側に可動レンズ15が配置され、レンズ駆動部16によって可動レンズ15側がレーザ光軸に平行な方向に駆動されるように構成されている。
上記フォーカス機構を形成する固定レンズ14及び可動レンズ15を介した記録層用レーザ光は、ミラー17にて反射された後、1/4波長板18を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
ダイクロイックプリズム19は、その選択反射面が、記録層用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されている。従って上記のように入射した記録層用レーザ光は、ダイクロイックプリズム19にて反射される。
ダイクロイックプリズム19で反射された記録層用レーザ光は、図示するように対物レンズ20を介して多層記録媒体1(目的の記録層3)に対して照射(合焦)される。
対物レンズ20に対しては、該対物レンズ20をフォーカス方向(多層記録媒体1に対して接離する方向)、及びトラッキング方向(上記フォーカス方向に直交する方向:ディスク半径方向)に変位可能に保持する2軸アクチュエータ21が設けられる。
2軸アクチュエータ21には、フォーカスコイル、トラッキングコイルが備えられ、それぞれに駆動信号(後述するドライブ信号FD-sv、TD)が与えられることで、対物レンズ20をフォーカス方向、トラッキング方向にそれぞれ変位させる。
ここで、上記のように多層記録媒体1に対し記録層用レーザ光が照射されることに応じては、該多層記録媒体1(再生対象とする記録層3)より記録層用レーザ光の反射光が得られる。
この記録層用レーザ光の反射光は、対物レンズ20を介してダイクロイックプリズム19に導かれ、該ダイクロイックプリズム19にて反射される。
ダイクロイックプリズム19で反射された記録層用レーザ光の反射光は、1/4波長板18→ミラー17→フォーカス機構(可動レンズ15→固定レンズ14)を介した後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
このように偏光ビームスプリッタ13に入射する記録層用レーザ光の反射光は、往路と復路とで1/4波長板18を2回通過することで、往路光との比較でその偏光方向が90度回転していることになる。この結果、上記のように入射した記録層用レーザ光の反射光は、偏光ビームスプリッタ13にて反射される。
偏光ビームスプリッタ13にて反射された記録層用レーザ光の反射光は、集光レンズ22を介して記録層用受光部23の受光面上に集光する。
ここで、記録層用受光部23が記録層用レーザ光の反射光を受光して得られる受光信号のことを、以下、受光信号DT-rと表記する。
また、光ピックアップOP内には、基準面用レーザ24より出射された基準面用レーザ光を対物レンズ20に導き且つ、該対物レンズ20に入射した多層記録媒体1からの基準面用レーザ光の反射光を基準面用受光部29に導くための光学系が形成される。
図示するように、基準面用レーザ24より出射された基準面用レーザ光は、コリメートレンズ25を介して平行光となるように変換された後、偏光ビームスプリッタ26に入射する。偏光ビームスプリッタ26は、このように基準面用レーザ24側から入射した基準面用レーザ光(往路光)は透過するように構成される。
偏光ビームスプリッタ26を透過した基準面用レーザ光は、1/4波長板27を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
先に述べたように、ダイクロイックプリズム19は記録層用レーザ光と同波長帯の光は反射しそれ以外の波長による光は透過するように構成されているため、基準面用レーザ光はダイクロイックプリズム19を透過し、対物レンズ20を介して多層記録媒体1(基準面Ref)に照射される。
また、このように多層記録媒体1に基準面用レーザ光が照射されたことに応じて得られる基準面用レーザ光の反射光(基準面Refからの反射光)は、対物レンズ20を介した後ダイクロイックプリズム19を透過し、1/4波長板27を介して偏光ビームスプリッタ26に入射する。
このように多層記録媒体1側から入射した基準面用レーザ光の反射光は往路と復路とで1/4波長板27を2回通過しているためその偏光方向が往路光との比較で90度回転しおり、従って基準面用レーザ光の反射光は偏光ビームスプリッタ26にて反射される。
偏光ビームスプリッタ26にて反射された基準面用レーザ光の反射光は、集光レンズ28を介して基準面用受光部29の受光面上に集光する。
ここで、基準面用受光部29が基準面用レーザ光の反射光を受光して得られる受光信号については、受光信号DT-svと表記する。
ここで、先の図1に示したように多層記録媒体1は、記録層形成領域5よりも奥側に基準面Refが設けられるので、記録時には、このように記録層形成領域5の奥側に設けられた基準面Refに対して基準面用レーザ光が合焦するように対物レンズ20のフォーカスサーボ制御が行われる。その上で、記録層用レーザ光については、記録層用レーザ光の反射光に基づくフォーカスサーボ制御によって先のフォーカス機構(レンズ駆動部16)を駆動することで、記録層用レーザ光が基準面Refよりも手前側に形成された記録層3に合焦するように、対物レンズ20に入射する記録層用レーザ光のコリメーション状態が調整されることになる。
また、再生時における記録層用レーザ光のトラッキングサーボ制御については、該記録層用レーザ光のスポットを、再生対象とする記録層3に形成されたマーク列に追従させるようにして行う。すなわち、再生時における記録層用レーザ光についてのトラッキングサーボ制御は、当該記録層用レーザ光の反射光に基づき対物レンズ20の位置を制御することで実現できる。
なお、再生時のフォーカスサーボ制御は、記録時と同様でよい。
図5は、実施の形態の記録再生装置10全体の内部構成を示している。
なお図5において、光ピックアップOPの内部構成については、図4に示した構成のうち記録層用レーザ11-1、11-2、レンズ駆動部16、及び2軸アクチュエータ21のみを抽出して示している。
またこの図では、図4に示したスピンドルモータ30の図示は省略している。
図5において、記録再生装置10における光ピックアップOPの外部には、多層記録媒体1における記録層3を対象とした記録/再生や、記録層3からの反射光に基づくフォーカス/トラッキングの位置制御を行うための構成として、記録処理部31、発光駆動部32、発光駆動部33、記録層用信号生成回路34、再生処理部35、記録層用サーボ回路36、フォーカスドライバ40、及び2軸ドライバ41が設けられている。
記録処理部31は、入力される記録データに応じた記録変調符号を生成する。具体的に記録処理部31は、入力される記録データに対してエラー訂正符号の付加や所定の記録変調符号化処理を施すなどして、記録層3を対象として実際に記録されるべき例えば「0」「1」の2値データ列である記録変調符号列を得る。
このとき、記録処理部31は、後述するコントローラ44からの指示に応じて記録データに対するアドレス情報(記録層アドレス)の付加処理も行う。
記録処理部31は、生成した記録変調符号列に基づく記録信号を発光駆動部33、32の一方又は両方に与える。
例えばシングルスパイラル状又はダブルスパイラル状のトラックを形成するためにATS(隣接トラックサーボ)を実行する場合は、記録時には2系統の記録層用レーザ光のうちの一方で記録を行い、他方は再生パワーで隣接トラックへのトラッキングを行うことになる。このため、記録処理部31が生成した記録信号は一方の発光駆動部33のみに与えられ、発光駆動部33は、記録時において記録処理部31より入力される記録信号に基づくレーザ駆動信号Drを生成し、該駆動信号Drに基づき記録層用レーザ11-1を発光駆動する。これにより記録層3に対し記録データに応じたマーク列を記録できる。
このとき他方の発光駆動部32は、記録層用レーザ11-2を再生パワーにより発光駆動する。
また例えば基準面Refを用いたトラッキング制御を行いながら、2系統の記録層用レーザ光の両方で同時にダブルスパイラル記録を行うこともできる。このような場合は、記録処理部31が生成した記録信号を、発光駆動部32,33に振り分けて与える。発光駆動部32,33は、記録信号に基づくレーザ駆動信号Drを生成し、該駆動信号Drに基づき記録層用レーザ11-1、11-2が発光駆動される。これにより記録層3に対し記録データに応じたマーク列を記録できる。
記録層用信号生成回路34は、先の図4に示した記録層用受光部23としての複数の受光素子からの受光信号DT-r(出力電流)に基づき、RF信号(再生信号)、フォーカスエラー信号FE-r、トラッキングエラー信号TE-rを生成する。
フォーカスエラー信号FE-rは、記録/再生対象とされた記録層3に対する記録層用レーザ光のフォーカス誤差を表す信号となる。またトラッキングエラー信号TE-rは、記録層3に形成されたトラックに対する記録層用レーザ光のスポット位置の半径方向における位置誤差を表す信号となる。
記録層用信号生成回路34で得られたRF信号は再生処理部35に、またフォーカスエラー信号FE-r、トラッキングエラー信号TE-rは記録層用サーボ回路36にそれぞれ供給される。
再生処理部35は、RF信号に対する2値化処理、及び記録変調符号の復号化やエラー訂正処理等の所定の復調処理を施すことで、先の記録データを復元した再生データを得る。
また、再生処理部35では、記録データ中に挿入された記録層アドレスの再生処理も行う。再生処理部35で再生された記録層アドレスはコントローラ44に供給される。
また後述するように多層記録媒体1にはプリフォーマットマーク列によるPFメディア情報が記録されている。プリフォーマットエリアの再生時には、再生処理部35はPFメディア情報の復調も行い、PFメディア情報をコントローラ44に供給する。
記録層用サーボ回路36は、フォーカスエラー信号FE-r、トラッキングエラー信号TE-rに対するサーボ演算処理を行ってフォーカスサーボ信号FS-r、トラッキングサーボ信号TS-rを生成する。
トラッキングサーボ信号TS-rは、後述するスイッチSWに対して供給される。
また、フォーカスサーボ信号FS-rは、フォーカスドライバ40に供給される。フォーカスドライバ40はフォーカスサーボ信号FS-rに基づくフォーカスドライブ信号FD-rを生成し、該フォーカスドライブ信号FD-rに基づきレンズ駆動部16を駆動する。
これにより、記録層用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御、即ち記録層用レーザ光を記録対象とする記録層3に合焦させるフォーカスサーボ制御が実現される。
また、記録層用サーボ回路36は、スライド駆動部42による光ピックアップOPのスライド移動についての制御も行う。
スライド駆動部42は、光ピックアップOP全体をトラッキング方向にスライド駆動可能に保持する。
記録層用サーボ回路36は、トラッキングエラー信号TE-rの低域成分を抽出してスライドエラー信号を生成し、該スライドエラー信号に基づくスライドサーボ信号を生成する。そして、該スライドサーボ信号をスライドドライバ43に与えてスライド駆動部42を駆動させることで、光ピックアップOPのスライドサーボ制御を実現する。また、記録層用サーボ回路36は、コントローラ44からの指示に応じた制御信号をスライドドライバ43に与えることで、スライド駆動部42による光ピックアップOPの所要のスライド移動を実現させる。
また、記録層用サーボ回路36は、コントローラ44からの指示に応じ、トラッキングサーボをオフとして記録層用レーザ光のスポットを他のトラックにジャンプさせるトラックジャンプ動作の実行制御も行う。
記録再生装置10には、基準面用レーザ光の反射光についての信号処理系として、基準面用信号生成回路37、アドレス検出部38、基準面用サーボ回路39が設けられる。
基準面用信号生成回路37は、図4に示した基準面用受光部29における複数の受光素子からの受光信号DT-svに基づき、必要な信号を生成する。
具体的に基準面用信号生成回路37は、受光信号DT-svに基づき、基準面Refに形成された位置案内子(ピット列)に対する基準面用レーザ光のスポット位置の半径方向における位置誤差を表すトラッキングエラー信号TE-svを生成する。
また基準面用信号生成回路37は、基準面Ref(反射膜7)に対する基準面用レーザ光のフォーカス誤差を表すフォーカスエラー信号FE-svを生成する。
また基準面用信号生成回路37は、基準面Refに記録されたアドレス情報を検出するための信号として、アドレス検出用信号Dadを生成する。基準面Refにピット列が形成される場合、このアドレス検出用信号Dadとしては和信号を生成すればよい。
基準面用信号生成回路37により生成されたアドレス検出用信号Dadは、アドレス検出部38に供給される。アドレス検出部38は、アドレス検出用信号Dadに基づき基準面Refに記録された基準面アドレスADRを検出する。検出された基準面アドレスADRはコントローラ44に供給される。
なお、基準面Refには基準面アドレスとともに基準面メディア情報が記録されている。アドレス検出部38は、アドレス検出用信号Dadから基準面メディア情報も復号し、コントローラ44に供給する。
また、基準面用信号生成回路37により生成されたフォーカスエラー信号FE-sv、トラッキングエラー信号TE-svは、基準面用サーボ回路39に供給される。
基準面用サーボ回路39は、フォーカスエラー信号FE-sv、トラッキングエラー信号TE-svに対するサーボ演算処理を行ってフォーカスサーボ信号FS-sv、トラッキングサーボ信号TS-svを生成する。
フォーカスサーボ信号FS-svは、2軸ドライバ21に供給される。2軸ドライバ41は、フォーカスサーボ信号FS-svに基づくフォーカスドライブ信号FD-svを生成し、該フォーカスドライブ信号FD-svに基づき2軸アクチュエータ21のフォーカスコイルを駆動する。
これにより、基準面用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御、即ち基準面用レーザ光を基準面Refに合焦させるフォーカスサーボ制御が実現される。
また、基準面用サーボ回路39は、スライド駆動部42による光ピックアップOPのスライド移動についての制御も行う。
具体的に、基準面用サーボ回路39は、トラッキングエラー信号TE-svの低域成分を抽出してスライドエラー信号を生成し、該スライドエラー信号に基づくスライドサーボ信号を生成する。そして、該スライドサーボ信号をスライドドライバ43に与えてスライド駆動部42を駆動させることで、光ピックアップOPのスライドサーボ制御を実現する。また、基準面用サーボ回路39は、コントローラ44からの指示に応じた制御信号をスライドドライバ43に与えることで、スライド駆動部42による光ピックアップOPの所要のスライド移動を実現させる。
また、基準面用サーボ回路39は、コントローラ44からの指示に応じて、トラッキングサーボをオフとして基準面用レーザ光のスポットを他のトラックにジャンプさせるトラックジャンプ動作の実行制御も行う。
基準面用サーボ回路39により生成されたトラッキングサーボ信号TS−svは、スイッチSWのt2端子に供給される。
なお演算器46には、トラッキングサーボ信号TS−r、TS−svが供給され、所定の演算処理で、ATSサーボのためのトラッキングサーボ信号TS−atsが生成される。トラッキングサーボ信号TS−atsはスイッチSWのt3端子に供給される。
ここで、スイッチSWは、対物レンズ20のトラッキングサーボ制御について、基準面用レーザ光を基準面Ref上の位置案内子に追従させるトラッキングサーボ制御と、記録層用レーザ光を記録層3上のトラックに追従させるトラッキングサーボ制御と、記録時のATS制御を切り替えるために設けられる。
例えば再生時は、記録層用レーザ光を記録層3上のトラックに追従させるトラッキングサーボ制御が可能である。
記録時には隣接トラックにトラッキングしながら記録を行うATS制御を行う。
再生や記録のためのアクセス時(シーク時)は、基準面用レーザ光を基準面Ref上の位置案内子に追従させるトラッキングサーボ制御を行う。
スイッチSWは、コントローラ44からの指示に応じ、トラッキングサーボ信号TS−r、TS−sv、TS−atsの何れかを選択的に出力する。
スイッチSWにより選択出力されたトラッキングサーボ信号TSは、2軸ドライバ41に供給され、2軸ドライバ41は、供給されたトラッキングサーボ信号TSに基づき生成したトラッキングドライブ信号TDによって、2軸アクチュエータ21のトラッキングコイルを駆動する。
これにより、対物レンズ20が、基準面用レーザ光のスポットを基準面Ref上のトラックに追従させるように駆動されるか、或いは記録層用レーザ光のスポットを記録層3上のトラックに追従させるように駆動される。
コントローラ44は、例えばCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ(記憶装置)を備えたマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM等に記憶されたプログラムに従った制御・処理を実行することで、記録再生装置10の全体制御を行う。
例えばコントローラ44は、再生処理部35で得られた記録層アドレスや、アドレス検出部38で得られた基準面アドレスADRに基づき記録層用サーボ回路36、基準面用サーボ回路39に対する指示を行って、基準面用レーザ光、記録層用レーザ光のスポット位置を所定アドレスに移動させるシーク動作制御を行う。
また、コントローラ44は、記録層用サーボ回路36、基準面用サーボ回路39、及びスイッチSWに対する指示を行うことで、多層記録媒体1に対する記録、再生、基準面Refを利用したシーク時などの各場合に応じた手法でのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を実行させる。
コントローラ44は、図示しないホスト機器からの記録コマンド、再生コマンドに応じて、以上の再生動作、記録動作、アクセス(シーク)動作、及びそれらのためのサーボ実行制御を行うことになる。
また、ホスト機器からの指示以外に、例えば多層記録媒体1における管理情報の読出や更新など、必要に応じて再生動作、記録動作、アクセス(シーク)動作、及びそれらのためのサーボ実行制御を行う。
メモリ47は、コントローラ44がワーク領域や各種の情報を記憶するRAM領域として示している。
例えばホスト機器との通信データの記憶、各レイヤについてのOPC結果としてのレーザパワーの記憶、多層記録媒体1から読み出した管理情報や、記録動作に応じて更新される管理情報等の記憶に用いられる。
特に多層記録媒体1が装填された際には、記録再生装置10は、基準面Refに記録された基準面メディア情報を読み出すが、その基準面メディア情報は例えばメモリ47に記憶される。またその後、プリフォーマットメディア情報の読出が行われるが、そのプリフォーマットメディア情報も例えばメモリ47に記憶される。
<4.多層記録媒体の製造工程>

上述のように実施の形態の多層記録媒体1は、平面状に形成される複数の記録層3を有している。そして記録層の一部の領域には、製造工程で予め記録されたプリフォーマットマーク列が形成されている。このプリフォーマットマーク列には、少なくとも、記録層3における記録動作に関する指定情報を含むPFメディア情報が記録されている。
また図1に示したように、記録層3とは積層方向に異なる位置に、凹凸パターンが形成された基準面Refが設けられている。そして基準面Refの凹凸パターンにより、少なくとも、記録層3の再生条件情報を含む基準面メディア情報が記録されている。
ここでは、このような層構造及びPFメディア情報、基準面メディア情報が形成された多層記録媒体1の製造工程を説明する。
製造工程は、大きく分けて次のようになる。
工程1:原盤製造工程
工程2:スタンパ製造工程
工程3:射出成形工程
工程4:層構造形成工程
工程5:プリフォーマット工程
各工程について図6を参照しながら順に説明していく。
原盤製造工程では、例えば無機レジストを用いてヒートモードで露光し、原盤上にピットパターンを描く。そして現像処理を行って、露光部分が凹状のピットとなった原盤を作成する。図6A〜図6Dに原盤製造工程を模式的に示す。
図6Aはディスク原盤を構成する原盤基板100を示している。原盤基板100としては、例えばシリコンウェハ、石英ガラス等が用いられる。
この原盤基板100上に、スパッタリング法により図6Aのように、蓄熱層101、無機レジスト層102を成膜する
次に図6Cのように、マスタリング装置を利用して無機レジスト層102に記録信号パターンとしてのピット列に対応した選択的な露光を施し感光させる。
そして無機レジスト層102を有機アルカリ現像液により現像することによって、図6Dのように所定の凹凸形状のピットパターンが形成された原盤103が生成される。
ここで、マスタリング装置は、基準面アドレス及び基準面メディア情報を形成することになるピットパターンが形成されるように、露光を行うことになる。つまり記録信号パターンとは、基準面アドレスと基準面メディア情報を含むデータパターンである。
スタンパ製造工程では、作成された原盤とは凹凸が反転したスタンパを形成する。
即ち図6Eのように、生成した原盤103の凹凸面上に、電鋳処理により金属ニッケル膜を析出させ、これを原盤103から剥離させた後に所定の加工を施し、原盤103のピット列形状が転写された成型用のスタンパ104を得る(図6F)。
射出成形工程では、製造されたスタンパ104を用いて、凹凸が反転転写されるプラスチックディスク基板を大量に成形する。
即ち金型内にスタンパ104を配置させた上、射出成形により、図6Gに示すように、熱可塑性樹脂であるポリカーボネートからなる樹脂製の基板8を成形する。そしてスタンパ104を剥離し、図6Hに示すように凹凸パターンが形成された基板8を作成する。
層構造形成工程では、射出成形により大量に生産される基板8のそれぞれに対し、所定の層構造を形成していく。
まず図6Iのように、基板8の凹凸面、即ちスタンパ104から転写されたピット列形状の面に、Ag又はAg合金を用いたスパッタ成膜により反射膜7を成膜する。凹凸のピット列形状及び反射膜7により図1で説明した基準面Refが形成される。
そして図6Jのように、例えば紫外線硬化型樹脂のスピンコート及び紫外線硬化による手法、或いはシート貼付の手法等で接着層(中間層)6を生成し、さらに記録層3(レイヤL0)を形成する。
以降同様に、中間層4、記録層3を順次形成していくことで、図1に示したようなレイヤL0〜L5を有する層構造が形成される(図6K、図6L)。そしてレーザ入射面側にカバー層2を生成する。
なお、カバー層2の表面にさらにハードコート層を形成したり、基板2の表面に防湿膜を形成する場合もある。
以上の層構造形成工程で、物理的構造体としての多層記録媒体1が生成される。
特にこの層構造形成工程においては、記録層3(レイヤL0〜L5)は平面状であればよく、従前の光ディスクにおけるグルーブ生成のためのスタンパ処理は不要となる。これにより記録層数大きく増えるような多層化が進んでも、層構造形成は極めて容易となり、各記録層にグルーブ等の凹凸パターンを形成する場合に比べて、製造コストは大幅に削減でき、製造効率は著しく向上する。
続いてのプリフォーマット工程では、図6Lのように製造された多層記録媒体1について、プリフォーマットを行う。
図7にプリフォーマット工程を模式的に示す。図6Lの状態の多層記録媒体1は、プリフォーマット用の高精度ライタ80によってプリフォーマットされる。
高精度ライタ80の記録ヘッド82は、多層記録媒体1に対し、先の図3を参照して説明した基準面用レーザ光を用いた基準面Refの位置案内子に基づく対物レンズの位置制御(つまり記録層用レーザ光のスポット位置制御)を行うように構成される。
具体的に、高精度ライタ80の記録ヘッド82は、記録層用レーザ光と基準面用レーザ光とを共通の対物レンズを介して照射し、基準面用レーザ光の基準面Refからの反射光に基づいて対物レンズの位置(トラッキング方向及びフォーカス方向)を制御するように構成される。さらに記録光用のフォーカス機構として、対物レンズに入射する記録層用レーザ光のコリメーション状態を変化させる機構を具備することで、記録層用レーザ光のスポット位置(フォーカス方向)を所望の記録層3、つまりレイヤL0〜L5のうちの任意のレイヤに合わせることができるように構成されている。
なお、このように基準面用レーザ光と記録層用レーザ光とを共通の対物レンズを介して照射する構成では、スキュー(skew)やレンズシフトに伴って基準面用レーザ光と記録層用レーザ光とにスポット位置ずれ(主にトラッキング方向)が生じることにより、意図した位置に記録を行うことができなくなることがある。そこで高精度ライタ80では、このようなスキューやレンズシフトに伴うスポット位置ずれを高精度に補正するスポット位置ずれ補正部も具備する。一例として、このようなスポット位置ずれ補正部としては、ディスクチルト量、及びレンズシフト量を検出し、それらの検出結果に基づき記録用レーザ光の光軸の傾きを補正するものを挙げることができる。
このような高精度ライタ80を用いて、例えば各レイヤL0〜L5の所定の領域に、プリフォーマットマーク列Mpとしてのマーク列を形成する。そしてこのプリフォーマットマーク列は、PFメディア情報が記録されたマーク列とされる。
そのため高精度ライタ80には、PFメディア情報生成部84が設けられ、PFメディア情報としての記録データが記録処理部83に供給される。PFメディア情報としてのデータは記録処理部83で所要の変調処理が施され、記録ヘッド82に供給される。
高精度ライタ80では、多層記録媒体1をスピンドルモータ81により回転させながら、記録ヘッド82を図示しない移送機構で半径方向の所定の領域に位置させる。そして基準面アドレスから把握できる所定のアドレスから、記録ヘッド82によるプリフォーマットマーク列Mpの記録を実行する。即ち記録ヘッド82は、PFメディア情報の変調信号に基づいてレーザ発光制御され、目的のレイヤにプリフォーマットマーク列Mpを形成していく。
図では、多層記録媒体1のディスク外周側の領域にプリフォーマットマーク列Mpを形成する例を示している。なお、プリフォーマットマーク列Mpの形成領域はディスク外周側でなくてもよい。例えば各レイヤL0〜L5について外周側から内周側に記録を進行させる場合は、プリフォーマットマーク列Mpは外周側が好適である。逆に内周側から外周側に記録を進行させる場合、プリフォーマットマーク列Mpは最内周領域に形成するとよい。
また、プリフォーマットマーク列Mpは全てのレイヤL0〜L5に形成する。
以上のプリフォーマット工程によって、多層記録媒体1が完成する。以上のプリフォーマット工程まで完了した多層記録媒体1が、製品として製造工場から出荷されることになる。
なお、後述するが本実施の形態ではプリフォーマットマーク列Mpを利用してOPCを行うため、全てのレイヤL0〜L5にプリフォーマットマーク列Mpを形成するが、プリフォーマットマーク列Mpを利用しない他のOPC手法を用いる場合、プリフォーマットマーク列Mpは一部のレイヤのみに形成するようにしてもよい。
<5.ディスクのエリア構造及びOPC>

以上のように製造された本実施の形態の多層記録媒体1は、複数の平面状の記録層3(L0〜L5)が形成され、記録層3にはPFメディア情報が記録されたプリフォーマットマーク列Mpが形成されている。また基準面Refが形成され、基準面Refの凹凸パターンには、基準面アドレスと基準面メディア情報が記録されている。
多層記録媒体1に対する記録や再生のために必要なメディア情報としては、ディスク製造工程でスタンパ104で生成される基準面Refに記録される基準面メディア情報と、プリフォーマット工程で記録されるプリフォーマットマーク列MpによるPFメディア情報の2つが存在することになる。
このような多層記録媒体1のエリア構造例を図8に示す。
図8では、レイヤL0〜L5及び基準面Refについて、ディスク半径のエリア構造例を示している。各記録層3(レイヤL0〜L5)は、それぞれプリフォーマットエリアPF、管理エリア、ユーザデータエリア、スペアエリア、ミラーエリアが設けられる。
プリフォーマットエリアPFは、上述のプリフォーマットマーク列Mpが形成される領域である。
管理エリアは、例えばデータ記録のトラックの情報や交替処理情報等を記録するTDMA(Temporary Disc Management Area)と呼ばれる領域である。このTDMAには、シーケンシャル記録するトラック(SRR:Sequential recording range)の現在の状況を示す情報や、スペアエリアを用いた交替処理情報などが逐次記録される。
ユーザデータエリアは、SRRが設定され、ユーザデータが記録される主データエリアである。
スペアエリアは欠陥領域についての交替や、いわゆるロジカルオーバーライトとしての書換のために用いられる領域である。
ミラーエリアはTDMAの情報が重複して記録される領域である。TDMAミラー領域とも呼ばれる。
このような記録層3の構造はあくまで一例であるが、レイヤL0〜L5では、それぞれ製造段階でプリフォーマットエリアPFが設けられる。
一方、基準面Refは、その全面がアドレス・基準面メディア情報記録エリアとされている。即ちディスク半径方向の全域に基準面アドレスが記録されていることに加え、基準面メディア情報が繰り返し記録されている。
なお、基準面メディア情報は、連続して繰り返し記録されなくても、ある程度離散的な状態で繰り返し記録されていてもよい。或いは、基準面メディア情報は、例えばディスク外周側の所定半径範囲に繰り返し記録されていたり、ディスク内周側の所定半径範囲に繰り返し記録されているというものでもよい。
但し、基準面メディア情報は、多層記録媒体1が記録再生装置10に装填された際に、特に光ピックアップOPの位置調整を行わなくとも読み出せることが好適である。その意味で、光ピックアップOPがどの半径位置にあっても基準面Refから基準面メディア情報を読み出せるように、全面に連続して(或いは多少離散的でもよいが全面にわたって)基準面メディア情報が記録されていることが好ましい。もしディスク装填時の記録再生装置10の光ピックアップOPの初期位置が例えばディスク外周側などとして決まっているのであれば、外周側のみに基準面メディア情報が繰り返し記録されているものであってもよい。
続いてOPCについて説明する。
多層記録媒体1は、記録再生装置10の動作として、レーザパワー調整のためのテストライトを含めた記録動作が、各レイヤL0〜L5に対して実行される。このため各レイヤL0〜L5においてそれぞれ試し書き(テストライト)を行うためのOPCエリアが設けられる。
本例では、OPCエリアはプリフォーマットエリアPF内に設けられるものとしている。換言すれば、製造工程で行うプリフォーマットは、OPCエリアの生成の意味も持つ。
まず図9AでATSサーボを用いたOPC動作について説明する。
図9AはプリフォーマットエリアPFにおける一部のプリフォーマットマーク列Mpを示しているが、このプリフォーマットマーク列Mpに沿ってOPCエリアが形成される。
即ち上述のようにプリフォーマットマーク列MpとしてPFメディア情報が記録されるのであるが、このプリフォーマットマーク列Mpのスパイラルトラックの間が、OPCエリアとして用いられる。
OPC動作は、このプリフォーマットマーク列Mpを用いたATS(隣接トラックサーボ)をかけながら実行することができる。
図9Aには、ATSを行うために照射される、一方の記録層用レーザ光の照射スポットであるATSスポットS_atsと、情報記録のための他方の記録層用レーザ光の照射スポットである記録用スポットS_recとを示している。
ATSでは、例えば記録用スポットS_recを先行スポット、ATSスポットS_atsを後行スポットとして、ATSスポットS_atsがマーク列上をトレースするようにトラッキングサーボをかけることになる。
なお、記録再生装置10が多層記録媒体1に対する記録再生方向としては、ディスク内周側から外周側に向かって進行させる場合や、ディスク外周側から内周側に向かって進行させる場合がある。この図9では、記録方向は外周→内周とされる場合の例で示しているため、先行スポットとしての記録用スポットS_recが内周側、後行スポットとしてのATSスポットS_atsが外周側に位置することになる。記録方向は内周→外周とされる場合は逆になる。
ここで、これら記録用スポットS_recとATSスポットS_atsとの間の半径方向における離間距離(中心点間の距離)をスポット間距離Dr−aとおくと、図のように、この場合のプリフォーマットマーク列Mpは、そのピッチPt(半径方向における形成ピッチ)を、スポット間距離Dr−aの2倍以上とするように形成するものとしている。
プリフォーマットマーク列Mpをスポット間距離Dr−aの2倍以上となるピッチPtにより形成すれば、図示のようにATSスポットS_atsをプリフォーマットマーク列MpにトレースさせるようにATSを行うことによって、プリフォーマットマーク列Mpの間に対して記録用スポットS_recによる記録が行われるようにできる。すなわち、プリフォーマットマーク列Mpの間にOPCの試し書きが行われるようにできる。
なお、プリフォーマットマーク列Mpの間に試し書きを行うことができることで、試し書き時と同様の隣接トラックサーボ(つまりATSスポットS_atsをプリフォーマットマーク列Mp上にトレースさせるトラッキングサーボ)を行うことによって、試し書きした信号の読み出し(評価)を記録用スポットS_rec(再生パワー)を用いて行うことができる。
図9BでOPCの具体的手法を説明する。
OPCの試し書き(テストライト)を行うにあたっては、ATSスポットS_atsがプリフォーマットマーク列Mp上をトレースするようにATSによるトラッキングサーボをかける。
そしてその状態で、プリフォーマットマーク列Mpに記録されたアドレス情報を参照し、予め設定された試し書き開始位置に至ったことに応じて、記録用スポットS_recによる試し書き(記録用レーザのパワーを逐次変更させるテストライト)を開始する。
これにより試し書きは、図9Bのようにプリフォーマットマーク列Mpの間に対して行われることになる。記録用レーザパワーは段階的に変更させていくが、この様子を図9Bでは、試し書き記録されるトラックの線の太さで示している。
試し書きが完了したことに応じては、当該試し書きにより記録した信号についての評価を行う。具体的には、試し書き時と同様にATSスポットS_atsがプリフォーマットマーク列Mp上をトレースするようにATSによるトラッキングサーボをかけた状態とする。そして試し書きした信号を、記録用スポットS_rec(再生パワーとする)を用いて読み出し、例えばジッター(Jitter)値など信号品質を評価するための所定の評価値を算出して信号品質評価を行う。
このような信号品質評価の結果に基づき、最適とされる記録パワーを決定し、記録用レーザのパワー調整を行う。これによりOPCが完了する。
以上のようにプリフォーマットエリアPFにおいてプリフォーマットマーク列Mpを用いたATSをかけた状態でOPCを行う。
これは、試し書きしたマーク列自体を対象としてトラッキングサーボをかけなければならないといった必要をなくすことを意味する。またプリフォーマットエリアPFにOPCエリアを設定することで、適切なOPCが実行できることにもなる。
本実施の形態の多層記録媒体1は、記録層3には位置案内子が存在しない。一方でOPC動作時は、レーザパワーを段階的に変化させながらテストライトを行う。すると、例えばレーザパワーが弱い部分では、マーク列が正しく形成されないこともある。すると、テストライトで形成したマーク列に対してATSをかけてテストライトを進めていくと、ATSが適切にかからない部分も発生する可能性がある。これに対しプリフォーマットマーク列Mpを利用すれば、ATSがかからなくなるということはない。
従って試し書きの開始後2周目以降の試し書きを適正に行うことができなくなってしまうといった事態や、試し書きした信号の評価を適正に行うことができなくなってしまうといった事態の発生を防止でき、OPCが適正に行われるようにできる。
なお、プリフォーマットマーク列MpのピッチPtをスポット間距離Dr−aの2倍以上とするのは、プリフォーマットマーク列Mpの間に試し書きが行われたときに、試し書きにより形成されたマーク列とガイド用プリ記録マーク列Mpとの間隔が光学限界を超えないようにするためである。
但しピッチPtはその値を大とするほど記録密度が低下する傾向となる。つまりこの意味で、ピッチPtはスポット間距離Dr−aの2倍以上という条件を満たす範囲内で最小とすることが望ましい。換言すれば、ピッチPtとしては、スポット間距離Dr−aの2倍に設定することが、記録密度の低下抑制を図る点で最も望ましいものとなる。
<6.基準面メディア情報>

上述のように基準面Refに記録される基準面メディア情報の具体例を説明する。図10は基準面メディア情報の内容(Contents)を、バイト位置(Byte Number)及びバイト数(Number of Bytes )と共に示している。各バイト位置の情報内容は次のとおりとなる。
・Bytes 0-2:AD layer Type identifier
次世代ディスクレイヤタイプの識別子が特定の文字列で記される
・Byte 3:Contents Length
このバイト以降の基準面メディア情報としてのデータのバイト数を表す(このバイトは含まない)。
・Byte 4:Disc size/Class/Version
Bits b7 to b6:ディスクサイズを示す。例えば120mmディスクを表す「00h」が書かれる。
Bits b5 to b4:ディスクのクラス番号を示す。
Bits b3 to b0:ディスクのバージョン番号を示す。
・Byte 5:AD structure
Bits b7 to b2:ディスクの層数を表す。6層ディスクの場合「000110」と書かれる。
Bits b1 to b0:ディスクのタイプを示す。例えばライトワンスメディアは「01」と書かれる。
・Byte 6:Media Type/Channel bit length
Bits b7 to b4:リザーブ
Bits b3 to b0:記録領域のチャネルビット長を表す。
・Byte 7:Push-Pull polarity flag bits
各ビットbiは、各記録層のPush-Pull信号の極性を表す。
「0」はi層のPush-Pull極性がポジティブである。
「1」はi層のPush-Pull極性がネガティブである。
記録層が無ければ、biを「0」とする。
・Byte 8:リザーブ
・Byte 9:Recorded Mark polarity flag bits
各ビットbiは、各記録層の記録マークの極性を表す。
「0」はi層の記録マークが未記録の場所より反射率が低いタイプであることを示す。
「1」はi層の記録マークが未記録の場所より反射率が高いタイプであることを示す。
記録層が無ければ、biを「0」とする。
・Bytes 10 to 11:リザーブ
・Bytes 12 to 19:Data Zone allocation
4バイトずつそれぞれ、以下のアドレスを示す。
Bytes 11 to 14・・・レイヤL0のTDMAの先頭PSN(Physical Sector Number)
Bytes 15 to 18・・・レイヤL0のTDMAミラー領域の最後のPSN
・Byte 20:リザーブ
・Bytes 21 to 22:Reading Velocity
リードに関するパラメータの基準となる線速度。記録の基準となる線速度と同じものである。
・Byte 23:Maximum dc read power at the Normal Recording Velocity
基準となる記録速度における最大のリードパワーである。
・Byte 24:Maximum HF modulated read power at the Normal Recording Velocity
基準となる記録速度における最大高周波変調されたリードパワーである。
・Bytes 25 to 30:Disc Manufacturer ID
光ディスク(多層記録媒体1)の製造所番号である。
・Bytes 31 to 33:Media Type ID
ディスク製造所がこのメディアに割り当てる識別子(ID)である。
・Bytes 34 to 35:Time stamp
マスターディスクが製造された日時である。
・Byte 36:Product Revision number
リビジョンナンバが記録される。
基準面メディア情報は例えば以上のような内容とされる。
特に「AD structure」として多層記録媒体1の記録層3の構造が示され、また「Data Zone allocation」として記録層3の概略的なエリア構造が示されている。
また再生条件情報として再生速度や再生レーザパワーの情報が、「Reading Velocity」「Maximum dc read power at the Normal Recording Velocity」として示されている。
これらにより、記録再生装置10のコントローラ44は、少なくとも基準面メディア情報を読み込むことで、多層記録媒体1に対する再生動作設定が可能となる。
この基準面メディア情報は、基準面アドレスとともに基準面Refの凹凸パターンとして多層記録媒体1に記録される。
基準面Refには例えば1周あたり64個のアドレス情報が記録されている。
例えば図11に示すように48ビットが1単位のアドレスデータユニットとされる。この48ビットは、4ビットの「Type」、8ビットの「Sector Address」、16ビットの「Track Address」、4ビットのAUX、16ビットのCRCで形成される。
「Sector Address」と「Track Address」で、24ビットの基準面アドレスが形成される。
このような基準面アドレスのアドレスデータユニット内の4ビットのAUXを利用して、基準面メディア情報を記録する。
即ち図示のように、各データ単位から4ビットのAUXを取り出す。2つのアドレスデータユニットの各4ビットで、基準面メディア情報の1バイトを構成する。基準面メディア情報を図10のように36バイトとした場合、基準面Refの凹凸パターンのトラックの1周強で、図10の基準面メディア情報内容が記録できる。
このような基準面メディア情報が、ディスク半径方向の全域にわたって、基準面アドレスとともに記録されている。
<7.プリフォーマットメディア情報>

続いてPFメディア情報の内容を説明する。上述のようにPFメディア情報は製造工程におけるプリフォーマット工程で記録される。記録方式はユーザデータエリアの記録方式と同じである。
図12はPFメディア情報の内容(Contents)を、バイト位置(Byte Number)及びバイト数(Number of Bytes )と共に示している。各バイト位置の情報内容は次のとおりとなる。
・Bytes 0 to 2:PreFormat Area Disc Information identifier
プリフォーマットエリアに記録されたディスク情報(メディア情報)であることを示す識別子である。この3バイトに、「50h」「44h」「49h」が書かれている。これは、「PDI」を表している。
・Byte 3(MSB 4bits):Application Identifier
PFメディア情報の情報内容を示す。4ビット「0000」は有効なデータなし、「1111」はディスクの基本情報、他はリザーブである。
・Bytes 3(LSB 4bits)to 4:Content Length
有効なデータのバイト数が示される。
・Byte 5(MSB 4bits):Category
ディスクの種類が示される。
例えば「0001」は容量256Gbyteの6層ディスクであることを示す。
・Bytes 5(LSB 4bits) to 6:Disc Manufacturer Code
ディスク製造会社のコードである。
・Bytes 7 to 18:Serial Number (ASCII Code)
ディスクのシリアル番号(ASCIIコード)である。
・Bytes 19 to 26:OPC Structure(L0)
レイヤL0のOPCエリアの範囲を示す。
Bytes 19 to 23:レイヤL0のOPCエリアの先頭PSNを示す。
Bytes 24 to 26:レイヤL0のOPCエリアの終了PSNを示す。
・Bytes 27 to 34:OPC Structure(L1)
レイヤL1のOPCエリアの範囲を示す。
Bytes 27 to 30:レイヤL1のOPCエリアの先頭PSNを示す。
Bytes 31 to 24:レイヤL1のOPCエリアの終了PSNを示す。
・Bytes 35 to 42:OPC Structure(L2)
レイヤL2のOPCエリアの範囲を示す。
Bytes 35 to 38:レイヤL2のOPCエリアの先頭PSNを示す。
Bytes 39 to 42:レイヤL2のOPCエリアの終了PSNを示す。
・Bytes 43 to 50:OPC Structure(L3)
レイヤL3のOPCエリアの範囲を示す。
Bytes 43 to 46:レイヤL3のOPCエリアの先頭PSNを示す。
Bytes 47 to 50:レイヤL3のOPCエリアの終了PSNを示す。
・Bytes 51 to 58:OPC Structure(L4)
レイヤL4のOPCエリアの範囲を示す。
Bytes 51 to 54:レイヤL4のOPCエリアの先頭PSNを示す。
Bytes 55 to 58:レイヤL4のOPCエリアの終了PSNを示す。
・Bytes 59 to 66:OPC Structure(L5)
レイヤL5のOPCエリアの範囲を示す。
Bytes 59 to 62:レイヤL5のOPCエリアの先頭PSNを示す。
Bytes 63 to 66:レイヤL5のOPCエリアの終了PSNを示す。
・Bytes 67 to 530:Reserved (L6 - L64)
7層以上のメディアのためにリザーブされている。
・Bytes 531 to 532:Disc Information Identifier
この531バイトから628バイトはDI(Disc Information)の1つのユニットとされる。このバイト位置531、532の2バイトには「DI」であることを示す「44h」「49h」が書かれている。
・Byte 533:DI Format Number
DIのフォーマット番号が記録されている。
・Byte 534:Number of DI Aux Frames in each DI Block(5 bits)、Number of the Layer to which this DI Unit applies(3bits)
5ビットで各DIブロックにおける付属フレーム数が示される。
また3ビットでこのDIユニットが適用されるレイヤ数が示される。
・Byte 535:リザーブ
・Byte 536:DI Unit sequence number in DI Block
DIブロックとは、1以上のDIユニットで構成される単位である。ここではDIブロックにおけるDIユニットのシーケンスナンバが示される。
・Byte 537:Continuation flag(1bits)、Number of DI bytes in use in this DI Unit(7bits)
Continuation flagは連続するDIユニットの有無を示すフラグである。「0」は続きのDI情報が無いことを示し、「1」は次のDIユニットがあることを示す。次のDIユニットの配置場所は、Byte1024を先頭とする場所である。
Number of DI bytes in use in this DI Unitとして7ビットで、このDIユニットのバイト数が示される。
・Bytes 538 to 544:リザーブ
・Bytes 545 to 546:Recording Velocity
記録時の線速度である。
・Byte 547:Spiral Number per Layer
1つの記録層に形成されるスパイラル数、つまり図2に示したスパイラル数=1のシングルスパイラルと、スパイラル数2のダブルスパイラルの別を示す。或いはそれ以上の多重スパイラルのスパイラル数を表す。
・Bytes 548 to 549:Minimum Track Pitch
動作が保証される最小トラックピッチを表す。書かれている値nは、n=Tp_min*1000で計算される値である。最小トラックピッチTp_minの単位はμmである。
・Bytes 550 to 558:Write Parameters
ライトストラテジ等、ディスクへの記録に必要なパラメータが示される。ライトストラテジとは、記録レーザの駆動パルスの波形情報である。パルス形状、パルス数、パルス幅、パルスレベルを含めた情報である。
・Bytes 559 to 616:リザーブ
・Bytes 617 to 622:Disc Manufacturer ID
光ディスク(多層記録媒体1)の製造所番号である。
・Bytes 623 to 625:Media Type ID
ディスク製造所がこのメディアに割り当てる識別子(ID)である。
・Bytes 626 to 627:Time stamp
マスターディスクが製造された日時である。
・Byte 628:Product Revision number
リビジョンナンバが記録される。
Byte 629以降は、必要に応じてDIユニットが112バイト単位で繰り返し記録される。
プリフォーマットエリアに記録するデータの上限は、1クラスタに収まる65536バイトである。
図13はDIとしてのデータ内容例を示す。
DIユニットが必要数記録されて、図13のようなDIブロックとしてのデータ内容が示されることになる。
図13のシーケンスナンバは、Byte 536のDI Unit sequence number in DI Blockで示される各DIユニットのナンバである。
DIユニットがN個記録され、上記の531バイトから628バイトの情報によって図示する情報が示される。
例えば記録速度v1(例えば1倍速)における各レイヤにおける推奨ライトストラテジ(preferred WS)(alternative WS)が示される。また記録速度v2,v3など、高速記録のためのライトストラテジが示される。
このような内容のPFメディア情報がプリフォーマットエリアに記録される。
特にプリフォーマットマーク列Mpには、記録層3における記録動作に関する指定情報が記録されている。具体的には、指定情報として、各レイヤL0〜L5のOPCエリアの配置情報が「OPC Structure(L0)」〜「OPC Structure(L5)」として記録されている。
また記録層3に形成するマーク列のトラックピッチ情報が「Minimum Track Pitch」として記録されている。
また記録層3のマーク列を形成するスパイラル数の情報が、「Spiral Number per Layer」として記録されている。
また記録層3への記録のための記録条件情報として、記録速度やライトストラテジ等が「Recording Velocity」「Write Parameters」として記録されている。
従って、記録再生装置10のコントローラ44は、装填された多層記録媒体1に対して、プリフォーマットエリアからPFメディア情報を読み出すことで、OPC動作や記録動作設定を行うことが可能となる。
<8.ディスク装填時の動作>

多層記録媒体1が記録再生装置10に装填された際のコントローラ44の処理を図14で説明する。
コントローラ44は多層記録媒体1としての光ディスクが装填されたことを検知したら処理をステップF101からF102に進め、基準面Refのリード及び基準面メディア情報の読込のための制御処理を実行する。
この場合コントローラ44は、光ピックアップOPや基準面用サーボ回路39を制御して、基準面Refの読出を実行させる。これにより光ピックアップOPは基準面用レーザ光を基準面Refにフォーカスさせ、その反射光を基準面用受光部29で受光する。受光信号DT-svに基づき、基準面用信号生成回路37は、アドレス検出用信号Dadを生成する。そしてアドレス検出部38でアドレス検出用信号Dadに対する復号が行われ、例えば図12に示したようなデータ形式のアドレスユニットデータが得られる。このアドレスデータユニットから基準面アドレスが復調され、また基準面メディア情報が復調されてコントローラ44に供給される。コントローラ44は、基準面メディア情報を例えばメモリ47に取り込む。
以上のように基準面メディア情報を読み込むことでコントローラ44は、記録層3に対する再生のための調整設定が可能になる。そこでコントローラ44はステップF103で記録層リードのための設定処理やサーボ調整を行う。
特に「AD structure」として多層記録媒体1の記録層3の構造が示され、また「Data Zone allocation」として記録層3の概略的なエリア構造が示されている。また「Reading Velocity」「Maximum dc read power at the Normal Recording Velocity」として再生速度や再生レーザパワーの情報が示される。これらに基づいて設定処理やサーボ調整を行う。
具体的には再生条件情報として再生速度や再生レーザパワーの情報に基づいてスピンドル回転速度制御や、光ピックアップOPから出力する記録層用レーザ光の再生レーザパワー制御を行う。
また、記録層の構造(レイヤ数)に応じて、記録層用レーザ光が例えばレイヤL0に合焦するようにサーボ制御を行う。即ち例えば図4に示した固定レンズ14、可動レンズ15、及びレンズ駆動部16によるフォーカス機構を制御する。
このように再生設定を行ったらコントローラ44はステップF104で、プリフォーマットエリアPFのリード及びPFメディア情報の読出を実行させるように各部を制御する。
この場合コントローラ44は、光ピックアップOPや、記録層用サーボ回路36、基準面用サーボ回路39を制御して、例えばレイヤL0のプリフォーマットエリアPFの読出を実行させる。光ピックアップOPは基準面用レーザ光を基準面Refにフォーカスさせ、また記録層用レーザ光をレイヤl0にフォーカスさせる。そして記録層用サーボ回路36に、プリフォーマットマーク列Mpに対して記録層用レーザ光をトレースさせるトラッキング制御を実行させる。
この場合に記録層用信号生成回路34は、光ピックアップOPの記録層用受光部23からの受光信号DT-rに基づき、RF信号(再生信号)を生成する。記録層用信号生成回路34で得られたRF信号は再生処理部35に供給され、2値化処理、及び記録変調符号の復号化やエラー訂正処理等の所定の復調処理が施される。これによってPFメディア情報としてのデータが再生される。コントローラ44は再生されたPFメディア情報を受け取り、メモリ47に格納する。
PFメディア情報を取り込むことで、コントローラ44は以降、記録のための動作が可能となる。
まず、「OPC Structure(L0)」〜「OPC Structure(L5)」の情報により、コントローラ44は各レイヤL0〜L5のOPCエリアを確認でき、OPCを実行できる。これにより各レイヤL0〜L5での最適記録レーザパワーを判定できる。
また記録速度やライトストラテジ等の記録条件情報である「Recording Velocity」「Write Parameters」によって、記録速度及びそれに応じたライトストラテジを知ることができ、記録動作のための設定が可能となる。
さらに記録層3のマーク列を形成するスパイラル数の情報「Spiral Number per Layer」により、シングルスパイラル記録を行うのかダブルスパイラル記録を行うのかを判別できる。
これら、記録のための情報を取得することでコントローラ44は、その後ステップF105で、例えばホスト機器からのライトコマンドに応じて記録制御処理を行うことができる。
以上の実施の形態の多層記録媒体1と記録再生装置10について、まとめると次のようになる。
多層記録媒体1には、基準面Refに、半径方向全域わたって基準面メディア情報が繰り返し記録されている。この基準面メディア情報には、記録層3をリードするために必要な情報(再生パワーや再生速度等の再生条件情報)が含まれている。
また多層記録媒体1には、プリフォーマットエリアPFに、PFメディア情報が記録されており、PFメディア情報には記録動作に必要な各種の指定情報が含まれている。例えばOPCエリアの配置情報、記録速度、ライトストラテジ等の記録条件情報が記録されている。
記録再生装置10は、このような多層記録媒体1が装填された場合、即座に基準面Refのリードを行うことで、記録層3の再生動作可能とすることができる。
基準面Refは、デフォルトの設定(無調整)で再生が可能である。そして基準面Refに全面にわたって基準面メディア情報が記録されている。このため、光ピックアップOPが多層記録媒体1の半径方向のどこの位置にあっても、即座に基準面メディア情報の読出が可能である。
また基準面メディア情報は基準面アドレスとともに記録されている。このためアドレス読み出しと基準面メディア情報の読み出しの処理を兼用出来る。つまりハードウエア、ソフトウエア処理の共通化が出来る。
これらのことから、基準面読出は簡易な構成で迅速に実現できる。そして基準面メディア情報に基づいた再生設定でプリフォーマットエリアPFの読出ができる。結局ディスク装填時の初期動作時間を短縮できる。
プリフォーマットエリアの再生については、通常のデータ再生と同じ処理で情報を読み出すことが可能なので、専用の調整も不要で、通常のリードと兼用できる。そしてPFメディア情報を得ることにより、記録が可能となる。
また記録再生装置10は、ディスク製造工程上のプリフォーマット工程で記録するプリフォーマット領域PFに記録したOPCエリアの配置情報をもとに、OPCエリアを利用する。つまりディスク製造工程のプリフォーマット工程の際に、OPCエリアの位置やサイズを決めることになる。記録再生装置10は、その情報を元にOPCエリアを使用すれば良い。
言い換えれば、図6で説明した層形成工程までの状態の光ディスクが成形された後において、プリフォーマットでのPFメディア情報の記録によって、多様な多層記録媒体1を提供できることにもなる。
例えばOPCエリアの配置やサイズの異なる多種類の光ディスクも容易に提供できる。
またシングルスパイラル、ダブルスパイラル等の各種の光ディスクも容易に提供できる。
またトラックピッチの指定が異なる各種光ディスクも容易に提供できる。
これらのことから、実施の形態のシステムは、多様な種別の多層記録媒体1を容易に提供できるとともに、記録再生装置10は、それらの多層記録媒体1に対して、装填時の初期動作を容易迅速に行うことが可能となる。
例えばBDシステム等の従前のディスクシステムと比較する。BDシステム等では、ディスクID等のディスクの基本情報はBCA(Burst Cutting Area)に記録されたり、ピットやグルーブによる固定的な情報としてPICと呼ばれる領域に記録されていた。
BCA等の領域を用いることは、通常のデータ領域と違う特殊な再生動作が必要で、通常動作では必要ない再生機能が記録再生装置に求められた。
また記録パラメータ等も特定の個所に記録されていたため、ディスクマウント時に特定の位置へシークして読み出す必要があった。さらにOPC領域の配置やサイズは、フォーマットで規定されていて変更が不能だった。
本実施の形態の場合、基準面メディア情報の読出には通常の再生とは異なる再生機能を必要としない。また特定の半径位置にシークしなくとも読出が可能である。
PFメディア情報に関しては、スタンパ転写による凹凸パターンで形成されるものではない。つまりは、物理的な層構造を生産した後、多様な記録条件、OPC配置の光ディスクを、PFメディア情報内容を変えることで容易に生産できる。本実施の形態では、これらの点で従前の光ディスクシステムにはない効果を得ることができる。
<9.変形例>

以上、実施の形態を説明してきたが、本開示の技術は多様な変形例、応用例が考えられる。
実施の形態の多層記録媒体1や記録再生装置10は一例に過ぎない。多層記録媒体1の構造や記録再生装置10の構成は各種考えられる。
多層記録媒体1はレイヤL0〜L5の6層ディスクとしたが、記録層3がレイヤL0のみの1層のものでもよいし、6層以外の複数層でもよい。
また多層記録媒体1は、例えば図6で説明したように記録層3としての物理的な層構造が形成されるものとしたが、記録或いはプリフォーマットによって結果的に複数の記録層3が形成されるものでもよい。例えばいわゆるバルク型記録媒体として、図1の記録層形成領域5が1つのバルク記録層とされるものである。バルク記録層の場合、マーク記録が行われる記録層位置を予め規定する層構造が物理的に形成されているものではないが、例えばバルク記録層内の或る厚み方向位置にプリフォーマットを行うことで、1又は複数の平面状の記録層が形成されることとなる。
実施の形態では、6層の全レイヤL0〜L5にプリフォーマットエリアPFを設ける例を述べたが、プリフォーマットエリアPFは一部の記録層のみに設けるような例も考えられる。上述のようにプリフォーマットエリアPFにおいてOPCを実行する場合は、各レイヤにプリフォーマットエリアPFを設ける必要があるが、OPCを他の領域で実行するような場合、PFメディア情報を或るレイヤのプリフォーマットエリアPFとして記録すれば、他のレイヤにプリフォーマットエリアPFを形成しなくてもよいことも考えられる。
また、全てのレイヤにプリフォーマットエリアPFを形成するとしても、実際にマーク列としてPFメディア情報が記録されるプリフォーマットエリアPFは、一部のレイヤのみとしてもよい。
実施の形態では記録層3が平面のディスクとしたが、記録層に例えばグルーブを形成したディスクについても本開示の技術を適用することは可能である。
また基準面Refのないディスクも想定される。基準面Refが存在せずに、プリフォーマットエリアPFにPFメディア情報が記録されている記録媒体である。例えばプリフォーマットマーク列の再生条件が固定的であれば、プリフォーマットエリアPFの読出が可能となるためである。
また、光ディスクとしての多層記録媒体1を例に挙げたが、本開示の技術が適用できる記録媒体は光ディスク形状の記録媒体に対するものに限られない。例えばカード状の記録媒体や、それに対する記録装置にも適用できる。
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)平面状に形成される1又は複数の記録層を有し、
上記記録層の一部の領域には、製造工程で予め記録されたプリフォーマットマーク列が形成されているとともに、
上記プリフォーマットマーク列には、少なくとも、上記記録層における記録動作に関する指定情報が記録されている記録媒体。
(2)上記プリフォーマットマーク列には、上記指定情報として、テストライトエリア配置情報と、上記記録層に形成するマーク列のトラックピッチ情報と、上記記録層のマーク列を形成するスパイラル数の情報と、上記記録層への記録のための記録条件情報とのうちの少なくとも一部が記録される上記(1)に記載の記録媒体。
(3)上記記録層とは積層方向に異なる位置に、凹凸パターンが形成された基準面が設けられており、
上記基準面の凹凸パターンにより、少なくとも、上記記録層の再生条件情報が記録されている上記(1)又は(2)に記載の記録媒体。
(4)上記基準面の凹凸パターンにより、さらにアドレス情報が記録されている上記(3)に記載の記録媒体。
(5)上記基準面には、上記記録層の再生条件情報が、基準面全域の範囲で繰り返し記録されている上記(3)又は(4)に記載の記録媒体。
(6)上記記録層の再生条件情報が少なくとも記録された上記基準面の凹凸パターンは、エンボスピット列又はウォブリンググルーブの形態で、製造工程において形成される上記(3)乃至(5)のいずれかに記載の記録媒体。
(7)平面状に形成される1又は複数の記録層を有し、上記記録層の一部の領域には、製造工程で予め記録されたプリフォーマットマーク列が形成されているとともに、上記プリフォーマットマーク列には、少なくとも、上記記録層における記録動作に関する指定情報が記録されている記録媒体に対して、レーザ照射を行って上記記録層についての記録及び再生動作を行う記録再生部と、
上記記録再生部に上記プリフォーマットマーク列の再生を実行させて上記指定情報を取得し、取得した上記指定情報に基づいて上記記録再生部による上記記録層への記録動作を制御する制御部と、
を備えた記録装置。
(8)上記制御部は、上記指定情報として、テストライトエリア配置情報と、上記記録層に形成するマーク列のトラックピッチ情報と、上記記録層のマーク列を形成するスパイラル数の情報と、上記記録層への記録のための記録条件情報のうちの少なくとも一部を取得し、取得した指定情報に基づいて、上記記録再生部による上記記録層への記録動作を制御する上記(7)に記載の記録装置。
(9)上記記録媒体は、上記記録層とは積層方向に異なる位置に、凹凸パターンが形成された基準面が設けられ、上記基準面の凹凸パターンにより、少なくとも上記記録層の再生条件情報が記録されており、
上記制御部は、装填された上記記録媒体に対し、上記記録再生部により上記基準面の凹凸パターンについての再生を実行させて上記再生条件情報を取得し、取得した上記再生条件情報に基づいて、上記記録再生部による上記プリフォーマットマーク列に対する再生動作を制御する上記(7)又は(8)に記載の記録装置。
1 多層記録媒体、2 カバー層、3 記録層、5 記録層形成領域、7 反射膜、8 基板、11-1,11-2 記録面用レーザ、19 ダイクロイックプリズム、20 対物レンズ、21 2軸アクチュエータ、23 記録層用受光部、24 基準面用レーザ、29 基準面用受光部、31 記録処理部、32,33 発光駆動部、34 記録層用信号生成回路、35 再生処理部、36 記録層用サーボ回路、37 基準面用信号生成回路、38 アドレス検出部、39 基準面用サーボ回路、42 スライド駆動部、43 スライドドライバ、44 コントローラ、46 演算部、47 メモリ、Ref 基準面、OP ピックアップ

Claims (10)

  1. 平面状に形成される1又は複数の記録層を有し、
    上記記録層の一部の領域には、製造工程で予め記録されたプリフォーマットマーク列が形成されているとともに、
    上記プリフォーマットマーク列には、少なくとも、上記記録層における記録動作に関する指定情報が記録されている記録媒体。
  2. 上記プリフォーマットマーク列には、上記指定情報として、テストライトエリア配置情報と、上記記録層に形成するマーク列のトラックピッチ情報と、上記記録層のマーク列を形成するスパイラル数の情報と、上記記録層への記録のための記録条件情報とのうちの少なくとも一部が記録される請求項1に記載の記録媒体。
  3. 上記記録層とは積層方向に異なる位置に、凹凸パターンが形成された基準面が設けられており、
    上記基準面の凹凸パターンにより、少なくとも、上記記録層の再生条件情報が記録されている請求項1に記載の記録媒体。
  4. 上記基準面の凹凸パターンにより、さらにアドレス情報が記録されている請求項3に記載の記録媒体。
  5. 上記基準面には、上記記録層の再生条件情報が、基準面全域の範囲で繰り返し記録されている請求項3に記載の記録媒体。
  6. 上記記録層の再生条件情報が少なくとも記録された上記基準面の凹凸パターンは、エンボスピット列又はウォブリンググルーブの形態で、製造工程において形成される請求項3に記載の記録媒体。
  7. 平面状に形成される1又は複数の記録層を有し、上記記録層の一部の領域には、製造工程で予め記録されたプリフォーマットマーク列が形成されているとともに、上記プリフォーマットマーク列には、少なくとも、上記記録層における記録動作に関する指定情報が記録されている記録媒体に対して、レーザ照射を行って上記記録層についての記録及び再生動作を行う記録再生部と、
    上記記録再生部に上記プリフォーマットマーク列の再生を実行させて上記指定情報を取得し、取得した上記指定情報に基づいて上記記録再生部による上記記録層への記録動作を制御する制御部と、
    を備えた記録装置。
  8. 上記制御部は、上記指定情報として、テストライトエリア配置情報と、上記記録層に形成するマーク列のトラックピッチ情報と、上記記録層のマーク列を形成するスパイラル数の情報と、上記記録層への記録のための記録条件情報のうちの少なくとも一部を取得し、取得した指定情報に基づいて、上記記録再生部による上記記録層への記録動作を制御する請求項7に記載の記録装置。
  9. 上記記録媒体は、上記記録層とは積層方向に異なる位置に、凹凸パターンが形成された基準面が設けられ、上記基準面の凹凸パターンにより、少なくとも上記記録層の再生条件情報が記録されており、
    上記制御部は、装填された上記記録媒体に対し、上記記録再生部により上記基準面の凹凸パターンについての再生を実行させて上記再生条件情報を取得し、取得した上記再生条件情報に基づいて、上記記録再生部による上記プリフォーマットマーク列に対する再生動作を制御する請求項7に記載の記録装置。
  10. 平面状に形成される1又は複数の記録層を有し、上記記録層の一部の領域には、製造工程で予め記録されたプリフォーマットマーク列が形成されているとともに、上記プリフォーマットマーク列には、少なくとも、上記記録層における記録動作に関する指定情報が記録されている記録媒体に対する再生方法として、
    上記プリフォーマットマーク列に対して再生を行って上記指定情報を取得し、
    取得した指定情報に基づいて上記記録層への記録動作を行う記録方法。
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