JP2013171604A - メディアドライブ装置、アクセス方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録層と基準面を有し、記録前には基準面にのみアドレスが存在する記録媒体に対し、記録層のアドレスが指定された際の再生又は記録のためのアクセスを良好に行う。
【解決手段】記録層に情報と共に記録される記録層アドレスにより目標アドレスが指定された場合に、その目標アドレスに対応する基準面アドレスとしての目標アドレスを算出する。そして算出した基準面アドレスとしての目標アドレスを目標とする照射位置制御をサーボ部に実行させる。サーボ部は、基準面に対する第2のレーザ光の反射光から得られる基準面アドレスを用いてアクセス制御を実行する。
【選択図】図15

Description

本開示はメディアドライブ装置、及びそのアクセス方法に関する。特に情報の記録に伴って記録層アドレスが記録される記録層と、凹凸パターンにより基準面アドレスが予め記録された基準面とを有する記録媒体に対するメディアドライブ装置に関する。
特開2011−123978号公報
光の照射により信号の記録又は再生が行われる光記録媒体として、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる光ディスク記録媒体(以下、単に光ディスクとも表記)が広く普及している。
従来より、光ディスクについては、その情報記録密度の向上を図ることで大記録容量化が達成されてきた。具体的には、ピット列又はマーク列としてのトラックの形成ピッチを詰める、つまりは半径方向における記録密度を向上させる手法、及びピット又はマークのサイズ縮小化により線方向(半径方向に直交する方向)の記録密度を向上させる手法が採られてきた。
一方で、大記録容量化を図るにあたっては、記録層(記録面)の数を増加させるという手法も有効であり、現状においても2層ディスクや3層以上の多層ディスクが提案・実用化されている。
但し、現状におい普及している記録可能型の多層ディスクについては、単層ディスクの場合と同様に位置案内子(例えばウォブリンググルーブなど)が形成された記録層を積層したものとされている。
このような位置案内子付きの記録層を多数有する多層ディスクを形成する際には、各記録層の積層ごとにスタンパを用いたパターン転写工程を行う必要がある。このため、通常の単層ディスクや2層ディスクの場合と比較すると工程の増加によるコストアップを招く。
また、パターン転写工程に失敗することを考慮すると、単層や2層ディスクとの比較で歩留まりも悪化し、この点でのコストアップも問題となる。
本開示では、多層ディスク等においても記録層形成にコストアップを招かないようにするために、各記録層に位置案内子を形成しないことを考える。つまり、記録層は平面状とされ、ウォブリンググルーブ等を形成しない。このためアドレス等も予め形成されていない。
このような光ディスク等で、良好に記録媒体上の所望の位置にアクセスし、情報の記録や再生を行うことができる技術を実現することを目的とする。
本開示のメディアドライブ装置は、情報の記録に伴って記録層アドレスが記録される記録層と、凹凸パターンにより基準面アドレスが予め記録された基準面とを有する記録媒体に対し、上記記録層に対する第1のレーザ光と上記基準面に対する第2のレーザ光とを一つの対物レンズを出射端として照射し、また上記第1及び第2のレーザ光の反射光を検出する光照射部と、上記第1及び第2のレーザ光についての記録媒体に対する照射位置を制御するサーボ部と、上記記録層アドレスにより目標アドレスが指定される場合に、該目標アドレスに対応する上記基準面アドレスとしての目標アドレスを算出し、算出した上記基準面アドレスとしての目標アドレスを目標とする照射位置制御を、上記第2のレーザ光の反射光から得られる基準面アドレスを用いて上記サーボ部に実行させる制御部とを備える。
本開示のアクセス方法は、情報の記録に伴って記録層アドレスが記録される記録層と、凹凸パターンにより基準面アドレスが予め記録された基準面とを有する記録媒体に対し、上記記録層に対する第1のレーザ光と上記基準面に対する第2のレーザ光とを一つの対物レンズを出射端として照射し、また上記第1及び第2のレーザ光の反射光を検出する光照射部と、上記第1及び第2のレーザ光についての記録媒体に対する照射位置を制御するサーボ部とを備えたメディアドライブ装置のアクセス方法として、上記記録層アドレスにより指定された目標アドレスに対応する上記基準面アドレスとしての目標アドレスを算出し、算出した上記基準面アドレスとしての目標アドレスを目標とする照射位置制御を、上記第2のレーザ光の反射光から得られる基準面アドレスを用いて上記サーボ部に実行させる。
このような本開示の技術は、次のような事情から有用となる。
コストアップを招かずに記録層を多層化するためには、各記録層に位置案内子を形成しないことが考えられる。つまり、記録層は平面状とされ、ウォブリンググルーブ等を形成しない。このためアドレス等も予め形成されていない。
この場合、アドレスの存在しない記録層に対し適切にアクセスを行うために、記録層と積層した状態で基準面を設ける。基準面には、ウォブリンググルーブやピット列などの凹凸パターンでアドレスを予め形成しておく。このようにすることで、基準面のアドレスを頼りに記録媒体上の所望の位置にアクセスし、その位置での記録層に情報(ユーザデータや管理データ)の記録や再生を行うことができる。
但し、記録や再生のためのアクセス要求は、記録層アドレスにより行われる。例えば記録データの論理アドレスから変換された物理アドレスや、管理情報記録位置としての物理アドレスに応じて、アクセスを実行する必要がある。これらの物理アドレスは記録層アドレスとして記録される。記録層アドレスは、情報の記録に応じて記録される。記録媒体上の記録前の領域には、記録層アドレスは記録されていない。
そこで本開示では、例えば未記録領域への記録のための記録層アドレスが指定された場合、これに対応する基準面アドレスを求め、基準面アドレスを用いたアクセス動作を実行するようにする。これにより記録層アドレスが存在しない段階でも、記録層の所望の位置に情報記録を実行できる。
また再生のための記録層アドレスが指定された場合、これに対応する基準面アドレスを求め、基準面アドレスを用いたアクセス動作を実行するようにする。これにより例えば未記録領域が点在するような記録媒体の再生時の場合等を含め、適切に所望の再生位置へのアクセスが可能となる。
本開示によれば、情報の記録に伴って記録層アドレスが記録される記録層と、凹凸パターンにより基準面アドレスが予め記録された基準面とを有する記録媒体に対し、記録又は再生のための適切なアクセス制御が実現される。
本開示の実施の形態で対象とする光ディスクの層構造の説明図である。 実施の形態で用いる光ディスクのトラック構造の説明図である。 実施の形態の光ディスクへのレーザ照射の説明図である。 実施の形態の光ディスクが有する基準面を構成するピットの説明図である。 実施の形態の光ディスクの基準面を形成するピット配置の説明図である。 実施の形態の光ディスクの基準面アドレス構造の説明図である。 実施の形態の光ディスクの基準面からのトラッキングサーボ制御のための信号波形の説明図である。 実施の形態の光ディスクの基準面からのトラッキングサーボ制御のためのセレクタ信号の説明図である。 実施の形態の任意ピッチによるスパイラル移動実現のための具体的な手法についての説明図である。 実施の形態の光ディスクの記録層アドレスの説明図である。 実施の形態の光ディスクの記録層アドレスの説明図である。 実施の形態の記録再生装置の光学系の構成の説明図である。 実施の形態の記録再生装置のブロック図である。 実施の形態のアクセス制御のフローチャートである。 実施の形態のアクセス動作の説明図である。
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.記録媒体>
<2.基準面を利用した位置制御手法>
<3.基準面アドレス及びトラッキング手法>
<4.記録層アドレス:PSN/AUN>
<5.記録再生装置>
<6.アクセス動作>
<1.記録媒体>

図1は、実施の形態で記録再生の対象とする記録媒体としての多層記録媒体1の断面構造を示している。この多層記録媒体1は例えばCD、DVD、BDと同様の直径12cm、厚み1.2mm程度の光ディスクなどとして実現される。図1は厚み方向の断面構造を模式的に示したものである。
この図1に示されるように、多層記録媒体1には、上層側から順にカバー層2、複数の記録層3が形成された記録層形成領域5、接着層6、反射膜7、及び基板8が形成されている。
ここで、本明細書において「上層側」とは、後述する記録再生装置10側からのレーザ光が入射する面(カバー層2側)を上面としたときの上層側を指す。
多層記録媒体1において、カバー層2は、例えば樹脂で構成され、その下層側に形成された記録層形成領域5の保護層として機能する。
記録層形成領域5は、図のように複数の記録層3と、それらの間に挿入された中間層4とを有して構成される。換言すれば、この場合の記録層形成領域5は、記録層3→中間層4→記録層3→中間層4・・・→記録層3の繰り替えし積層が行われて形成されたものとなっている。
記録層3は、半透明記録膜で構成される。中間層4は、例えば熱可塑性樹脂や紫外線硬化樹脂など樹脂材料で構成される。
この図では図示の都合上、記録層形成領域5内には5つの記録層3が形成されるものとしているが、これはあくまで一例であって、記録層数は「5」以外とすることができる。
各記録層3は、上層側から順にレイヤL0,L1,L2・・・と呼ばれる。図では5層としているため、記録層3としてレイヤL0〜L4が形成されている。
ここで、記録層形成領域5において、それぞれの記録層3には、図からも明らかなようにグルーブやピット列等の形成に伴う位置案内子(凹凸パターン)が形成されていない。すなわち、各記録層3は平面状に形成されているものである。
このような記録層形成領域5の作成にあたっては、現状の多層ディスクの製造で必要とされる記録層ごとの位置案内子の形成工程を不要とでき、結果、多層記録媒体1の製造コスト、量産コストを効果的に削減できる。
記録層3が平面状であるということは、記録層3には予め凹凸パターンによるアドレス情報等が形成されていないということである。この記録層3には情報の記録の際、即ち主たる情報であるユーザデータや管理情報の記録の際に、その主たる情報の記録に伴ってアドレス情報が記録される。つまり主データ(ユーザデータや管理情報という主たる記録目的のデータ)に、アドレス情報が埋め込まれてエンコードされ、そのエンコードされた記録データが記録されることになる。
記録層3には、記録動作に伴ってトラックが形成されていく。
トラックは図2Aに示すようにダブルスパイラル状に形成される例や、図2Bのようにシングルスパイラル状に形成される例が考えられる。シングルスパイラル状のトラックとは、従前のCDやDVD等と同様のトラックである。
ダブルスパイラル状のトラックとは、図2Aに実線と破線で示すように、2つのスパイラルトラックSP−A、SP−Bが形成されるものである。
ダブルスパイラル状のトラック構造は、例えば2つの記録ビームで同時にスパイラルトラックを形成していく方式でも可能であるし、1つの記録ビームで1つのスパイラルトラックSP−Aを或るトラックピッチで形成した後、そのトラック間に、2つめのスパイラルトラックSP−Bを形成していくという方式でも可能である。
なお、ここではダブル(2重)スパイラルの例を示したが、3重スパイラル、4重スパイラルというように、よりスパイラルを多重化したトラック構成も考えられる。
図1のように記録層形成領域5の下層側には、所要の接着材料で構成された接着層(中間層)6を介して、反射膜7が形成されている。
この反射膜7には、記録/再生位置を案内するための位置案内子が形成される。なお反射膜に位置案内子が形成されているというのは、位置案内子が形成されている界面上に反射膜が形成されるという意味である。
具体的に、この場合は、図中の基板8の一方の面側に対して位置案内子が形成されることで、図のような凹凸の断面形状が与えられ、基板8の該凹凸断面形状が与えられた面上に対し反射膜7が成膜されることで、該反射膜7に位置案内子が形成されたものとなっている。
なお、基板8は、例えばポリカーボネートなどの樹脂で構成される。この基板8は、例えば上記位置案内子としての凹凸断面形状を与えるためのスタンパを用いた射出成形などによって生成することができる。
ここで、現状の記録可能型光ディスクで行われているように、上記位置案内子の形成により、多層記録媒体1の記録面内方向に平行な方向における絶対位置を表すアドレス情報を記録することができる。例えばこの絶対位置情報は、上記位置案内子がグルーブで形成される場合には当該グルーブの蛇行(ウォブル)周期の変調により記録することができ、また上記位置案内子がピット列で形成される場合には、ピットの長さや形成間隔の変調により記録を行うことができる。
なお、上記のように記録層3に対しては位置案内子が形成されておらず、記録層3上の記録位置の制御は、以下で説明するように位置案内子が形成された反射膜7からの反射光に基づき行われることになる。
この意味で、以下、位置案内子が形成された反射膜7(反射面)のことを、「基準面Ref」と表記する。また基準面Refに凹凸パターンで記録されたアドレス情報を、記録層3に記録されるアドレスと区別する意味で「基準面アドレス」と呼ぶこととする。また記録層3に主たる情報と共に記録されるアドレスを「記録層アドレス」と呼ぶ。
<2.基準面を利用した位置制御手法>

図3は、基準面Refに形成された位置案内子を利用した位置制御手法についての説明図である。
上記構成による多層記録媒体1に対しては、記録層3を対象として照射されるべき記録層用レーザ光についての位置制御の実現のため、該記録層用レーザ光と共に、基準面Refにおける位置案内子に基づく位置制御を行うためのレーザ光(以下、基準面用レーザ光と表記する)を照射することになる。
具体的に、これら記録層用レーザ光と基準面用レーザ光とは、図3Aのように共通の対物レンズ20を介して多層記録媒体1に対して照射する。
このとき、正確なトラッキングサーボの実現のため、記録層用レーザ光と基準面用レーザ光の光軸は一致させるようにする。
記録層3(所要の半透明記録膜)を対象としたマークの記録時には、図3Aのように基準面用レーザ光を反射膜7の反射面(基準面Ref)に合焦させるように照射して、その反射光に基づき得られるトラッキングエラー信号に従って対物レンズ20の位置制御を行う。つまりトラッキングサーボをかける。
これにより、同じ対物レンズ20を介して照射される記録層用レーザ光のトラッキング方向における位置を、所望の位置に制御することができる。
一方、再生時における位置制御は、以下のようにして実現できる。
再生時においては、記録層3にマーク列(つまり記録済みトラック)が形成されているので、該マーク列を対象として記録層用レーザ光単体でトラッキングサーボをかけることができる。すなわち、再生時におけるトラッキングサーボは、記録層用レーザ光の反射光に基づき得られるトラッキングエラー信号に従って対物レンズ20の位置制御を行うことで実現できる。
ここで、上記のような位置制御手法において、基準面用レーザ光として記録層用レーザ光と同波長帯の光を用いてしまうと、基準面用レーザ光の反射光を得るべき基準面Refについて、記録層用レーザ光についての反射率を高めざるを得なくなってしまう。すなわち、その分、迷光成分が増大して再生性能を著しく悪化させてしまう虞がある。
このため、基準面用レーザ光と記録層用レーザ光とはそれぞれ波長帯の異なる光を用いるものとし、基準面Refを形成する反射膜7として波長選択性を有する反射膜を用いる。
具体的に本例の場合、記録層用レーザ光の波長はBDの場合と同様の405nm程度、基準面用レーザ光の波長はDVDの場合と同様の650nm程度とされる。そして、反射膜7としては、基準面用レーザ光と同波長帯の光を選択的に反射し、それ以外の波長による光は透過又は吸収する波長選択性反射膜を用いる。
このような構成により、基準面Refから記録層用レーザ光の不要な反射光成分が生じてしまうことを防止でき、良好なS/N(信号対雑音比)を確保できる。
なお、図3Bは記録層用レーザ光として2つのレーザ光を照射する例である。2つの記録層用レーザ光を照射するのは、例えばダブルスパイラル状のトラックを同時に記録又は再生するようにする場合や、或いはダブルスパイラルやシングルスパイラルにかかわらず、記録層3において既に記録されたトラックに沿って隣のトラックの記録を行う隣接トラックサーボ(ATS:Adjacent Track Servo)を採用する場合などである。
簡単に述べておくと、ATSとは、2つの記録層用レーザ光の一方を記録用スポット、他方をサーボ用スポットとする。そして既に(例えば1周回前の時点に)記録されたトラックにサーボ用スポットを照射して、トラッキングサーボを行いながら、記録用スポットで、当該サーボ用スポットを照射しているトラックの隣のトラックを記録していくというものである。
ATSを採用する場合は、記録中には必ずしも基準面Refを用いたトラッキングサーボはしなくてもよいといえる。但し、記録開始位置までのシークには、基準面Refを用いたトラッキングやアドレス読込が必要となる。
また詳述は避けるが、実際にはATS実行中は、誤差成分の蓄積によりサーボ制御が不正確になることが多い。そのためATS実行中に基準面Refの情報でサーボ動作を補正することも行われる。このため、ATS方式を採用する場合の記録時にも、基準面Refはトラッキング制御のために用いられることとなる。
<3.基準面アドレス及びトラッキング手法>

ここで基準面Refにおける基準面アドレスの構造、及び基準面Refを用いたトラッキング手法の一例を説明しておく。
本実施の形態において、光ディスクとしての多層記録媒体1に形成された位置案内子に基づく位置制御を行って記録を行うものとしては、一般ユーザによって使用されるディスクドライブ装置(記録再生装置)も想定される。このようなディスクドライブ装置は、ディスク製造業者等により使用される原盤記録装置等と比較すると高い機械精度を確保することが(コスト等の面で)困難である。その場合に、基準面Refを用いることで、機械精度が確保できない場合であっても、記録層3内の所望位置にマーク列(トラックT)を形成することができる。
また、高密度記録のため、記録層3に形成すべきトラックのピッチを、光学的限界値を超えたピッチとすることも想定される。
ここで、上述のように、記録層用レーザ光と基準面用レーザ光とが仮に同波長であると、不要反射による迷光が増大するなどの問題から、これらの波長を異ならせるものとしている。そして波長の関係は、記録層3での記録密度を優先して、基準面用レーザ光よりも記録層用レーザ光の方をより短波長としている。すなわち、記録層3における光学条件をBDと同様の光学条件(λ=405nm程度、NA=0.85程度)とすることで、記録層3での高密度記録を可能とすべく、基準面Refでの光学条件はDVDとほぼ同様の光学条件(λ=650nm程度、NA=0.65程度)としているものである。
この場合、基準面Refのトラックピッチは、およそ0.500μm程度が光学的限界値となる。従って、単に基準面Refのトラックピッチに従って上述のような記録層用レーザ光についてのトラッキングサーボを行ってしまうと、記録層3に対して、光学的限界値を超えたピッチによる記録を実現することができなくなってしまう。
以上の点を考慮した場合、基準面Refの構造として、例えば下記の参考文献(1)(2)に開示されているような任意ピッチによるスパイラル移動を可能とする構造を適用する。
・参考文献(1):特開2010−225237号公報
・参考文献(2):特開2011−198425号公報
確認のため、任意ピッチによるスパイラル移動を可能とするための基準面Refの構造及びそれに基づく位置制御の手法、及び基準面アドレスの構造を、図4〜図9を参照して説明する。
図4は多層記録媒体1が有する基準面Refの表面を一部拡大して示した図(平面図)である。
先ず、図4においては、紙面の左側から右側に向かう方向をピット列の形成方向、つまりはトラックの形成方向としている。上述した位置制御のための基準面用レーザ光のビームスポットは、多層記録媒体1の回転に伴い、紙面の左側から右側に移動するものとする。
また、ピット列の形成方向と直交する方向(紙面の縦方向)は、多層記録媒体1の半径方向である。
また図4において、図中の白丸で示すA〜Fは、ピットの形成可能位置を表す。すなわち、基準面Refにおいて、ピットは、当該ピットの形成可能位置においてのみ形成されるものであって、ピットの形成可能位置以外にはピットは形成されない。
また、図中のA〜Fの符号の別はピット列の別(半径方向において配列されるピット列の別)を表し、これらA〜Fの符号に付される数字はピット列上におけるピットの形成可能位置の別を表す。
ここで、図中の黒太線で表す間隔(光学限界のトラック幅)は、基準面Refの光学条件から定まる最小トラックピッチ(光学的限界値によるトラックピッチ)を表している。このことからも理解されるように、この場合の基準面Refにおいては、A〜Fの計6本のピット列が、半径方向において、光学的限界値を超えたピッチで配列されていることになる。
但し、単に光学的限界値を超えたピッチでこれら複数のピット列を配列したのみでは、ピット列形成方向においてピットの形成位置が重なってしまう虞があり、つまりはピット列形成方向におけるピットの間隔が光学限界を超えてしまう虞がある。
また、後の説明から明らかなように、任意ピッチによるスパイラル移動の実現のためには、A〜Fの各ピット列についてのトラッキング誤差信号を、それぞれ個別に得ることが可能とされている必要がある。
つまりこの点においても、各ピット列の配列には工夫が施される必要がある。
これらの点を考慮し、この場合の基準面Refにおいては、A〜Fの各ピット列について以下のような条件を課す。
すなわち、
1)A〜Fの各ピット列において、ピットの形成可能位置の間隔を所定の第1の間隔に制限する。
2)このようにピットの形成可能位置の間隔が制限されたA〜Fの各ピット列を、それぞれのピットの形成可能位置がピット列形成方向において所定の第2の間隔ずつずれたものとなるようにして配列する(つまり上記第2の間隔で各ピット列の位相をずらす)。
というものである。
ここで、半径方向に配列されるA〜Fのピット列におけるそれぞれのピットの形成可能位置のピット列形成方向における間隔(上記第2の間隔)をnとおく。このとき、上記2)の条件が満たされるようにA〜Fの各ピット列が配列されることで、ピット列A−B、ピット列B−C、ピット列C−D、ピット列D−E、ピット列E−F、及びピット列F−Aの各ピット形成可能位置間の間隔は、図示するように全てnとなる。
また、A〜Fの各ピット列におけるピット形成可能位置の間隔(上記第1の間隔)は、この場合はA〜Fまでの計6つのピット列位相を実現するものとしているので、6nとなる。
このことからも理解されるように、この場合の基準面Refでは、それぞれが異なるピット列位相を有するA〜Fの複数のピット列は、それぞれ、その基本周期は上記6nとされた上で、それぞれの位相が上記nだけずらされて形成されることになる。
これにより、後述する任意ピッチによるスパイラル移動の実現手法において、A〜Fの各ピット列についてのトラッキング誤差信号をそれぞれ個別に得ることが可能とされる。
また同時に、本例の場合のようにA〜Fの各ピット列を基準面Refの光学的限界値を超えたピッチで半径方向に配列する場合において、ピット列形成方向におけるピットの間隔が光学限界を超えてしまうことの防止が図られる。
ここで、前述のように基準面Refにおける光学条件はDVDの場合と同様の波長λ=650nm程度、NA=0.65程度とされている。このことに対応し、この場合における各ピット形成可能位置の区間長は、DVDにおける最短マークと同じ3T分の区間長とし、またピット列形成方向におけるA〜Fの各ピット形成可能位置のエッジ間の間隔も、同様の3T分の長さに設定している。
この結果、上記1)2)の条件が満たされるものとなっている。
続いて、基準面Ref全体におけるピットの形成態様について理解するために、図5を参照してより具体的なピット列の形成手法について説明する。
なお図5では、基準面Refに形成されるピット列の一部(7本分)を模式的に示している。図中において、黒丸はピット形成可能位置を表す。
この図5を参照して分かるように、この場合の基準面Refにおいては、ピット列をスパイラル状に形成するものとしている。
そして、ピット列の1周ごとに、ピット列位相が上記第2の間隔(「n」)の分だけずらされるようにしてピット形成可能位置を定めることで、半径方向に配列されるピット列に関して、先に挙げた1)及び2)の条件が満たされるようにしている。
例えば、図5に示す例では、ピット列の1周目ではピット列Aとしてのピット列位相が得られるようにピット形成可能位置が定められており、図中の1周開始位置(所定の角度位置)を基準としたピット列の2周目には、ピット列Bとしてのピット列位相が得られるようにピット形成可能位置が定められている。以降も同様に、3周目にはピット列Cとしてのピット列位相が得られるようにピット形成可能位置が定められ、4周目にはピット列D、5周目にはピット列E、6周目にはピット列F、7周目には再びピット列Aといったように、ピット列の1周ごとに、ピット列位相が第2の間隔nの分だけずらされるように、ピット列の各周におけるピット形成可能位置が定められている。
このA〜Fの各ピット列には、それぞれ独立に基準面アドレス情報(絶対値位置情報)が記録されるものとなる。
図6により、基準面3に記録するアドレス情報のフォーマットの一例について説明する。
図6Aは、それぞれ異なるピット列位相を有するようにされた各ピット列(A〜F)のピット形成可能位置の関係を模式化して示している。なお図6Aにおいては「*」マークによりピット形成可能位置を表している。
ここで、後に説明するように、本実施の形態の記録再生装置10は、これらA〜Fのピット列のうちから1つのピット列を選択し、該選択した1つのピット列を対象としてトラッキングサーボをかけるということを行う。
但し、このとき問題となるのは、記録媒体1における基準面Refにおいて、光スポットがトラック上を移動(走査)して得られるトラッキングエラー信号としては、A〜Fの全てのピットを反映したものとなってしまうという点である。すなわちこの場合、光スポットが基準面Refを走査して得られるトラッキングエラー信号そのものに基づいてトラッキングサーボをかけたとしても、選択した1つのピット列を追従することはできない。
このために本実施の形態の記録再生装置10は、選択したピット列におけるピット形成可能位置の区間のトラッキングエラー信号を抽出し、該抽出したトラッキングエラー信号に基づいて、間欠的にトラッキングサーボをかけるという手法を採る。
そして、これと同様に、基準面アドレスを読む場合にも、選択したピット列に記録される情報のみが選択的に読み出されるように、該選択したピット列のピット形成可能位置の区間の和信号(後述のsum信号)を抽出し、該抽出した和信号に基づき基準面アドレスを検出するという手法が採られる。
このような情報検出の手法に対応するために、ピット形成可能位置におけるピットの形成有無により、チャネルデータの「0」「1」を表現するフォーマットを採用する。すなわち、1つのピット形成可能位置が、1チャネルビット分の情報を担うものである。
その上で、このようなチャネルビットの複数個による「0」「1」のデータパターンにより、データビットの1ビットを表現する。
具体的には、図6Bに示されるように、チャネルビット4つ分でデータビットの「0」「1」を表現するものとする。例えば4チャネルビットのパターン「1011」がデータビット「0」、4チャネルビットのパターン「1101」がデータビット「1」を表すものとしている。
このとき重要であるのは、チャネルビット「0」が連続しないという点である。
チャネルビット「0」が連続してしまうということは、上述のようにトラッキングエラー信号を間欠的に用いてサーボを行うとしたときに、エラー信号が得られない期間が連続してしまうということ意味する。すると、トラッキングサーボの精度を確保することが非常に困難となってしまうためである。
このために、例えば上記のようなデータビットの定義により、チャネルビット「0」が連続しないという条件が満たされるようにしている。すなわち上記のようなデータビットの定義により、トラッキングサーボの精度低下が最小限に抑えられるようにしている。
図6Cは、シンクパターンの一例を示している。
例えばシンクパターンについては、図示するように12チャネルビットで表現するものとする。前半の8ビットを上記データビットの定義に当てはまらないチャネルビットパターン「11111111」とし、その後の4チャネルビットのパターンでシンクの別(種類)を表すものとしている。
具体的に、上記8ビットに続く4チャネルビットのパターンが「1011」であればSync1、「0111」であればSync2としている。また「1101」であればアドレスマークとしている。
多層記録媒体1においては、基準面アドレスが、上記のようなシンクの後に続けて記録されているものとする。
ここで基準面アドレスとしては、例えば半径位置の情報、及び角度位置の情報を記録する。
なお、本例では光学限界の1トラック幅内にA〜Fの複数本のピット列を配列するものとしているが、基準面アドレスの記録は、各ピット列の半径位置が個別に表されるように、ピット列ごとに個別の情報が割り振られるようにして行う。
すなわち、光学限界の1トラック幅内に配列されるA〜Fの各ピット列に対し同じアドレス情報を記録するものではない。
続いて任意トラックピッチ制御の実現手法について説明する。
図5に示したように、基準面Refにおけるピット列は、1本のスパイラル状で形成された上で、ピット列の1周ごとに、ピット列の位相がA→B→C→D→E→F→A・・・の順に切り替わるように、すなわちピット列の1周ごとにピット列位相が第2の間隔nの分だけずらされるように、ピット列の各周におけるピット形成可能位置が定められた構造とされている。
このことによれば、例えばA〜Fのうち或る1本のピット列を対象としてトラッキングサーボをかけることができれば、スパイラルピッチとして、基準面Refの光学的限界値の1/6のピッチを実現することができる。例えば本例の場合であれば、0.500μm/6よりおよそ0.083μm程度のピッチ、すなわち記録層3の光学的限界値(0.27μm以下)を超えたピッチを実現することができる。
なお、ここで言う光学的限界値は次の意味である。
例えばBDの場合、記録再生の光学条件としては記録再生波長λ=405nm程度、対物レンズの開口数NA=0.85程度とされるが、通常のトラッキングエラー検出手法を採った場合、トラックピッチをλ/2NA以下(BDの場合はおよそ0.238μm以下)に詰めてしまうと、トラッキングエラー信号振幅を得ることができず、トラッキングエラーを全く検出できなくなってしまう。すなわち、トラッキングサーボをかけることができず、結果として高密度記録した情報を全く再生できない事態に陥る。
但し「λ/2NA」は理論的な数値であって、実際の光学的ノイズ等の悪化要因を考慮すると、トラッキングエラーを適正に検出可能なトラックピッチの限界値はさらに大きな値となる。例えばBDの場合、トラックピッチの限界値はおよそ0.27μm程度となる。
記録層3への光学条件(波長λ、NA)をBDと同様と仮定すると、光学的限界値は0.27μmとなる。
ここで、基準面Refにおける各ピット列は、図5に示すような1本のスパイラルではなく、A〜Fの6重のスパイラル状に形成したり、或いは同心円状に形成するといったことも可能である。その場合においては、上記のように或る1本のピット列を対象としてトラッキングサーボをかけたのでは、光学的限界値を超えたピッチによるスパイラル移動を実現することができない、或いはスパイラル移動自体を実現できないものとなってしまう。
そこで、基準面Refのピット列の形成条件として上述の1)及び2)の条件を課すことで、光学的限界値を超えたピッチで配列された各ピット列の個々を対象としてトラッキングサーボをかけ分けることができるようにした上で、トラッキングエラー信号に時間経過と共に上昇するオフセットを与えて、A〜Fの各ピット列を順次渡っていくことにより、任意ピッチによるスパイラル移動が実現されるようにする。
任意ピッチによるスパイラル移動を実現するためには、サーボ対象とするピット列を、ピット列A→ピット列B→ピット列C・・・などのように順次外周側に隣接するピット列に切り替えていくことが必要となる。
このようにサーボ対象とするピット列を順次切り替えていくという動作を実現するためには、A〜Fの各位相によるピット列についてのトラッキング誤差信号が、それぞれ個別に得られるようにすることが必要となる。A〜Fの各ピット列に対するトラッキング誤差信号を区別できなければ、そもそもサーボ対象とするピット列を切り換えるということはできないためである。
図7は、多層記録媒体1の回転に伴い基準面Ref上を基準面用レーザ光のスポットが移動する様子と、その際に得られるSUM信号、SUM微分信号、及びP/P信号の波形との関係を模式的に示している。
なお、SUM微分信号は、基準面用レーザ光の反射光に基づき得られるSUM信号を微分して得られる信号である。
この図7では説明の便宜上、図中の各ピット形成可能位置の全てにピットが形成されているものとしている。
図示するように、多層記録媒体1の回転に伴い基準面用レーザ光のビームスポットが移動することに伴っては、SUM信号は、A〜Fの各ピットのピット列形成方向における配置間隔に応じた周期でその信号レベルがピークを迎えることになる。つまりこのSUM信号は、A〜Fの各ピットのピット列形成方向における間隔(形成周期)を表していることになる。
この図7の例ではビームスポットがピット列A上に沿って移動するものとしているので、SUM信号は、ピット列形成方向におけるピットAの形成位置の通過時にピーク値が最大となり、またピットB〜ピットDの各形成位置にかけて徐々にピーク値が減少していく傾向となる。そしてその後、ピットEの形成位置→ピットFの形成位置の順でピーク値は上昇傾向に転じ、再びピットAの形成位置に至ることでピーク値が最大となる。すなわち、ピット列形成方向における上記ピットE、Fの形成位置においては、内周側に隣接するピット列E、Fにおけるピットの影響を受けるので、SUM信号のピーク値はピットE、Fの形成位置ごとで順に上昇することになる。
また、SUM微分信号、及びトラッキング誤差信号としてのP/P信号としては、それぞれ図示するような波形が得られる。
ここで注目すべきは、トラッキング誤差信号としてのP/P信号は、所定の間隔nずつ離間されたA〜Fの各ピット形成可能位置ごとに、ビームスポットとピット列との相対的な位置関係を表すようにして得られるという点である。
また、SUM微分信号は、各ピット列A〜Fのピット形成位置(厳密にはピット形成可能位置である)のピット列形成方向における間隔を表すものとなる。
従ってこのSUM微分信号に基づき、ピット列形成方向における各ピット列A〜Fのピット形成可能位置の間隔を表すクロックCLKを得ることができる。
具体的に、この場合のクロックCLKは、各ピットのセンター位置(ピークポジション)に相当する位置(タイミング)を立ち上がり位置(タイミング)とする信号となる。
図8は、クロックCLKと、該クロックCLKに基づき生成される各selector信号の波形と、基準面Refに形成された各ピット列(の一部)との関係を模式化して示している。
この図に示すように、クロックCLKとしては、各ピット(ピット形成可能位置)のピークポジションに対応したタイミングで立ち上がり、且つ各立ち上がり位置間の中間点が立ち下がり位置とされた信号となる。
このようなクロックCLKは、SUM微分信号から生成されるタイミング信号(SUM微分信号のゼロクロスタイミングを表す)を入力信号(基準信号)としたPLL(Phase Locked Loop)処理で生成できる。
そして、このようにピットA〜Fの形成間隔に応じた周期を有するクロックCLKから、A〜Fの個々のピット形成可能位置のタイミングを表す6種のselector信号を生成する。具体的にこれらselector信号としては、それぞれクロックCLKを1/6に分周して生成されたものとなっており、且つそれぞれの位相が1/6周期ずつずらされたものとなっている。換言すれば、これら各selector信号は、それぞれの立ち上がりタイミングが1/6周期ずつずれたものとなるように、クロックCLKをそれぞれのタイミングで1/6に分周して生成されるものである。
これらselector信号は、それぞれ、A〜Fの対応するピット列のピット形成可能位置のタイミングを表す信号となる。本例では、これらselector信号を生成した上で、任意のselector信号を選択し、該選択したselector信号が表す期間内におけるP/P信号に従ってトラッキングサーボ制御を行うことで、A〜Fのピット列のうちの任意のピット列上に基準面用レーザ光のビームスポットをトレースさせる。つまりこのようにすることで、A〜Fの各ピット列のうちから、サーボ対象とするピット列を任意に選択できるものである。
このようにして、A〜Fの対応するピット列のピット形成可能位置のタイミングを表す各selector信号を生成し、これらのうち任意のselector信号を選択し、該選択したselector信号が表す期間内のトラッキング誤差信号(P/P信号)に基づいてトラッキングサーボ制御を行うことで、A〜Fのうちの任意のピット列を対象としたトラッキングサーボを実現できる。つまり、上記selector信号の選択により、サーボ対象とするピット列についてのトラッキング誤差信号の切り換えを行うことができ、これによってサーボ対象とするピット列の切り換えが実現されるものである。
図9は、任意ピッチによるスパイラル移動実現のための具体的な手法についての説明図として、トラッキングエラー信号TEに対して与えるオフセットと、基準面Refにおけるビームスポットの移動軌跡との関係を示している。
なお、ここで言うトラッキングエラー信号TEは、先に説明したselector信号に基づきP/P信号をサンプルホールドして得られる信号である。すなわち、サーボ対象とするピット列についてのP/P信号(トラッキング誤差信号)を意味する。
この図9では、オフセットの付与によって、ビームスポットがピット列A→ピット列Bを渡っていく様子を例示している。
先ず、任意ピッチによるスパイラル移動を実現するにあたりサーボ対象のピット列を順次切り替えていくという手法を採る場合、その切り換え位置(タイミング)を予め定めておくことになる。この図の例では、このようなサーボ対象ピット列の切り換え位置を、隣接関係にあるピット列との間の中間点となる位置(半径方向における)に設定するものとしている。
ここで、或るスパイラルピッチを実現しようとしたとき、そのスパイラルピッチの実現のためにビームスポットをディスク上のどの位置を通過させていけばよいかは、基準面Refのフォーマットから予め計算により求めておくことができる。このことからも理解されるように、上記のようにビームスポットが隣接ピット列との間の中間点に至る位置は、予め計算によって求めておくことができる。
このように、予め計算などにより求められた上記中間点としての位置(どのアドレスブロックの何クロック目)に至ったことに応じて、サーボ対象とするピット列をそれまで対象としていたピット列の外側に隣接するピット列に順次切り換えていくことになる。
一方で、ビームスポットを半径方向に移動させるためには、トラッキングエラー信号TEに対し、図示するような鋸歯状波によるオフセットを与える。このオフセットの傾きの設定により、スパイラルピッチを任意のピッチに設定できる。
任意のスパイラルピッチの実現のために与えるオフセットは、上述のようにビームスポットが隣接ピット列との間の中間点に至るタイミングで順次サーボ対象ピット列の切り換えを行う関係から、上記中間点ごとに極性が変化する波形となる。つまり、上記中間点となる位置にビームスポットを移動させるために必要なオフセット量は、例えばピット列Aを対象としたサーボ時には「+α」、隣接するピット列Bを対象としたサーボ時には「−α」となるので、上記中間点に至るタイミングとしてのサーボ対象ピット列の切り換えタイミングにおいては、上記オフセットの極性を反転させる必要がある。この点から、この場合において与えるべきオフセットの波形は、上記のように鋸歯状波による波形となるものである。
確認のために述べておくと、このようなオフセットの波形としても、実現しようとするスパイラルピッチの情報と、基準面Refのフォーマットの情報とに基づき予め計算などにより求めておくことができる。
このように、予め定められた鋸歯状波によるオフセットをトラッキングエラー信号TEに対して与えつつ、ビームスポットが上記中間点としての予め定められた隣接ピット列との間の所定位置に至るタイミングごとにトラッキングサーボの対象とするピット列をそれまで対象としていたピット列の外側に隣接するピット列に切り換える。
このことで、任意ピッチによるスパイラル移動を実現することができる。
このように、基準面Refの光学的限界値に依らぬ任意のピッチによるスパイラル移動を実現できることで、記録層3におけるマーク列を、該記録層3の光学的限界値を超えたトラックピッチにより記録することができる。
<4.記録層アドレス:PSN/AUN>

続いて記録層アドレスについて説明する。
記録層3への情報の書き込み時(トラック形成時)に主たる情報と共に記録される記録層アドレスも物理アドレスとなる。
この物理アドレスをPSN(Physical Sector Number)と呼ぶ。
また特に多重スパイラル記録が行われる場合などは、PSNとともにAUN(Address Unit Number)も用いられる。
以下、これらPSN、AUNについて説明する。
情報の記録は、例えば32セクターで形成されるRUB(Recording Unit Block)という単位で行われる。
PSNは物理的なセクターナンバとして構成され、このPSNは例えば図10Cに示すように、32ビットのフォーマットで構成される。
例えばビット0〜ビット24による25ビットのセクターナンバと、ビット25〜ビット30による6ビットのレイヤーナンバが含まれる構成とされる。
図10Aは、シングルスパイラルの場合のトラックにおけるRUB単位を示している。図10Aの1つの区切りがRUBを表し、数値(16進表記)は、RUBの先頭のPSNを示している。
例えば最初のRUB#1の先頭セクターのPSNを「00100000」としている。1RUBは32セクターであるので、次のRUB#2の先頭セクターのPSNは、32(16進表記で「20」)だけ増えた値となるため「00100020」となる。以降も同様に各RUB毎に「00100040」「00100060」・・・とPSNが与えられる。
このようにPSNはユーザデータ等の主データの並びと一致して順次与えられる。
シングルスパイラルのトラックが形成される場合、AUNは実質用いられない(PSN=AUN)
図10Bにダブルスパイラル状のトラックが形成される場合の記録層アドレスを示している。
多重スパイラルの場合、PSNとAUNが用いられる。
PSNはユーザデータ等の主データの並びと一致している。
一方AUNは、各スパイラルトラック単位での並びに一致される。
今、スパイラルトラックSP−A、SP−Bに、RUBが交互に配置されていくようにユーザデータ等が記録されるとする。
つまりユーザデータが、RUB単位で、RUB#1A→RUB#1B→RUB#2A→RUB#2B→RUB#3A→RUB#3B→・・・というように、2つのスパイラルトラックSP−A、SP−Bに振り分けられて記録されていくとする。
この場合、PSNは、このユーザデータの順に、図示するように付与される。例えばRUB#1Aが「00100000」、RUB#1Bが「00100020」、RUB#2Aが「00100040」、RUB#2Bが「00100060」・・・というようになる。
このダブルスパイラル状のトラックが形成される場合、AUNの値は図10Cに示すように、PSNから変換されて得られる。
まずAUNのビット24には、PSNのビット5が割り当てられる。
そしてAUNのビット5〜ビット23には、PSNのビット6〜ビット24がビットシフトして割り当てられる。
この状態で、AUNの構造は、ビット0〜ビット23による24ビットのセクターナンバと、ビット24による1ビットのスパイラルナンバと、ビット25〜ビット30による6ビットのレイヤーナンバが含まれる構成とされる。
このAUNのビット24のスパイラルナンバは、ビット24=0であればスパイラルトラックSP−Aを示し、ビット24=1であればスパイラルトラックSP−Bを示すものとなる。
PSNのビット5は、16進表記で「00」〜「1F」、「40」〜「5F」・・・のときに「0」となり、また16進表記で「20」〜「3F」、「60」〜「7F」・・・のときに「1」となる。従って、上述のようにPSNがRUB毎に2つのスパイラルトラックSP−A、SP−Bに振り分けられる場合、PSNのビット5の部分は、スパイラルトラックSP−Aに記録されるRUBでは「0」、スパイラルトラックSP−Bに記録されるRUBでは「1」となる。このことから、ビット5はスパイラルナンバとして、AUNのビット24に使用できることになる。
このようなPSN→AUNの変換の結果として、AUNは、スパイラルトラック毎の並びに一致されるように与えられることとなる。
即ち図10Bに示すように、スパイラルトラックSP−Aにおいては、RUB#1Aが「00100000」、RUB#2Aが「00100020」、RUB#3Aが「00100040」・・・となる。
一方、スパイラルトラックSP−Bにおいては、RUB#1Bが「01100000」、RUB#2Bが「01100020」、RUB#3Bが「01100040」・・・となる。
ダブルスパイラル状のトラックが形成される場合、実際にトラックに記録される記録層アドレスとしては、例えばAUNを用いればよい。
AUNとPSNは、図10Cの関係であるため、必要に応じて機械的に変換できる。例えば再生時にはAUNを読み出せば、PSNは機械的に検出できるものとなる。
図11に他の場合の例を示す。
これは、ダブルスパイラル状のトラックを形成するが、例えば2つの記録層(レイヤL0,L1)を仮想的に1つの記録層として扱い、複数の(例えば4チャンネルのレーザ光)により同時的に記録/再生が実行されるような場合に適用できる例である。
図11Bに、この場合のPSNとAUNの変換規則を示している。
PSNは図示のように、32ビットのフォーマットにおいて、例えばビット0〜ビット25による26ビットのセクターナンバと、ビット26〜ビット30による5ビットのレイヤーナンバが含まれる構成とされる。
レイヤL0のスパイラルトラックSP−A、SP−B、及びレイヤL1のスパイラルトラックSP−A、SP−Bに、RUBが順番に配置されていくようにユーザデータ等が記録されるとする。
つまりユーザデータが、RUB単位で、RUB#1A(L0)→RUB#1B(L0)→RUB#1A(L1)→RUB#1B(L1)→RUB#2A(L0)→RUB#2B(L0)→RUB#2A(L1)→RUB#2B(L1)・・・というように、各レイヤL0,L1のそれぞれ2つのスパイラルトラックSP−A、SP−B(つまり4つのスパイラルトラック)に振り分けられて記録されていくとする。
この場合、PSNは、このユーザデータの順に、図11Aに示すように付与される。例えばRUB#1A(L0)が「00100000」、RUB#1B(L0)が「00100020」、RUB#1A(L1)が「00100040」、RUB#1B(L1)が「00100060」、RUB#2A(L0)が「00100080」・・・というようになる。
このように各レイヤL0,L1でそれぞれダブルスパイラル状のトラックが形成される場合、AUNの値は図11Bに示すように、PSNから変換されて得られる。
AUNとしては、そのビット24、25には、PSNのビット5、6が割り当てられる。
そしてAUNのビット5〜ビット23には、PSNのビット7〜ビット25がビットシフトして割り当てられる。
この状態で、AUNの構造は、ビット0〜ビット23による24ビットのセクターナンバと、ビット24による1ビットのスパイラルナンバと、ビット25〜ビット30による6ビットのレイヤーナンバが含まれる構成とされる。
このAUNのビット24のスパイラルナンバは、ビット24=0であればスパイラルトラックSP−Aを示し、ビット24=1であればスパイラルトラックSP−Bを示すものとなる。
図11Aのように、各レイヤL0,L1のそれぞれスパイラルトラックSP−A、SP−Bにユーザデータが振り分けられる場合、PSNのビット5は、レイヤL0,L1のスパイラルトラックSP−Aに記録されるRUBでは「0」、レイヤL0,L1のスパイラルトラックSP−Bに記録されるRUBでは「1」となる。このことから、ビット5はスパイラルナンバとして、AUNのビット24に使用できることになる。
またPSNのビット6は、1つめのレイヤL0のスパイラルトラックSP−A、SP−Bに記録されるRUBでは「0」、2つめのレイヤL1のスパイラルトラックSP−A、SP−Bに記録されるRUBでは「1」となる。このことから、ビット6はレイヤーナンバとしての6ビットのLSBとして、AUNのビット25に使用できることになる。
このようなPSN→AUNの変換の結果として、AUNは、スパイラルトラック毎の並びに一致されるように与えられることとなる。
即ち図11Aに示すように、レイヤL0のスパイラルトラックSP−Aにおいては、RUB#1A(L0)が「00100000」、RUB#2A(L0)が「00100020」、RUB#3A(L0)が「00100040」・・・となる。
また、レイヤL0のスパイラルトラックSP−Bにおいては、RUB#1B(L0)が「01100000」、RUB#2B(L0)が「01100020」、RUB#3B(L0)が「01100040」・・・となる。
またレイヤL1のスパイラルトラックSP−Aにおいては、RUB#1A(L1)が「02100000」、RUB#2A(L1)が「02100020」、RUB#3A(L1)が「02100040」・・・となる。
また、レイヤL1のスパイラルトラックSP−Bにおいては、RUB#1B(L1)が「03100000」、RUB#2B(L1)が「03100020」、RUB#3B(L1)が「03100040」・・・となる。
以上はレイヤL0,L1で示したが、さらにレイヤL2,L3、レイヤL4,L5・・・についても同様となる。
なお、このような例は、1つの記録層で4重スパイラルトラックを形成し、各スパイラルトラックにユーザデータを振り分けて記録し、また同時的に再生をする場合にも、ほぼ同様に適用できる。その場合、図11Bと同様のPSN→AUN変換で、AUNのビット24,25の2ビットをスパイラルナンバとすればよい。
以上の図10,図11の例のように、記録層3には物理アドレスとしての記録層アドレス(PSN/AUN)が記録される。
<5.記録再生装置>

続いて、図12及び図13を参照して、実施の形態としての記録再生装置10(メディアドライブ装置)の構成について説明する。
実施の形態の記録再生装置10は多層記録媒体1としての光ディスクに対する記録機能と共に再生機能を有する。
図12は、記録再生装置10が備える主に光学系の構成についての説明図であり、具体的には、記録再生装置10が備える光ピックアップOPの内部構成を主に示している。
なお、ここでは図3Bに示したように、記録層用レーザ光として2つのレーザ光を出力するとともに、基準面用レーザ光を出力する構成例で述べる。
図3Aで述べた方式の場合は、以下で述べる2系統の記録層用レーザ光の系が1系統となると理解すればよい。
先ず、記録再生装置10に装填された多層記録媒体1は、当該記録再生装置10における所定位置においてそのセンターホールがクランプされるようにしてセットされ、図中のスピンドルモータ30による回転駆動が可能な状態とされる。
記録再生装置10には、スピンドルモータ30により回転駆動される多層記録媒体1に対して記録再生のためのレーザ光を照射するための構成として、光ピックアップOPが設けられる。
光ピックアップOP内には、記録層用レーザ光の光源である記録層用レーザ11-1、11-2とが設けられる。
また、基準面Refに形成された位置案内子を利用した位置制御及び基準面アドレスの読出を行うための光である基準面用レーザ光の光源である基準面用レーザ24が設けられる。
また、光ピックアップOPには、記録層用レーザ光と基準面用レーザ光の多層記録媒体1への出力端となる対物レンズ20が設けられる。さらに、記録層用レーザ光の多層記録媒体1からの反射光を受光するための記録層用受光部23と、基準面用レーザ光の多層記録媒体1からの反射光を受光するための基準面用受光部29とが設けられる。
そして、光ピックアップOPにおいては、記録層用レーザ光を対物レンズ20に導くと共に、該対物レンズ20に入射した多層記録媒体1からの反射光を記録層用受光部23に導くための光学系が形成される。
具体的に、記録層用レーザ11-1、11-2より出射された2系統の記録層用レーザ光は、図のようにコリメートレンズ12を介して平行光となるように変換された後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
偏光ビームスプリッタ13は、このように光源側から入射した記録層用レーザ光については透過するように構成されている。
偏光ビームスプリッタ13を透過した記録層用レーザ光は、固定レンズ14、可動レンズ15、及びレンズ駆動部16を有して構成されるフォーカス機構に入射する。このフォーカス機構は、記録層用レーザ光についての合焦位置の調整のために設けられたものであり、これらの記録層用レーザ11-1、11-2に近い側が固定レンズ14とされ、遠い側に可動レンズ15が配置され、レンズ駆動部16によって可動レンズ15側がレーザ光軸に平行な方向に駆動されるように構成されている。
上記フォーカス機構を形成する固定レンズ14及び可動レンズ15を介した記録層用レーザ光は、ミラー17にて反射された後、1/4波長板18を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
ダイクロイックプリズム19は、その選択反射面が、記録層用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されている。従って上記のように入射した記録層用レーザ光は、ダイクロイックプリズム19にて反射される。
ダイクロイックプリズム19で反射された記録層用レーザ光は、図示するように対物レンズ20を介して多層記録媒体1(所要の記録層3)に対して照射(合焦)される。
対物レンズ20に対しては、該対物レンズ20をフォーカス方向(多層記録媒体1に対して接離する方向)、及びトラッキング方向(上記フォーカス方向に直交する方向:ディスク半径方向)に変位可能に保持する2軸アクチュエータ21が設けられる。
2軸アクチュエータ21には、フォーカスコイル、トラッキングコイルが備えられ、それぞれに駆動信号(後述するドライブ信号FD-sv、TD)が与えられることで、対物レンズ20をフォーカス方向、トラッキング方向にそれぞれ変位させる。
ここで、上記のように多層記録媒体1に対し記録層用レーザ光が照射されることに応じては、該多層記録媒体1(再生対象とする記録層3)より記録層用レーザ光の反射光が得られる。
このように得られた記録層用レーザ光の反射光は、対物レンズ20を介してダイクロイックプリズム19に導かれ、該ダイクロイックプリズム19にて反射される。
ダイクロイックプリズム19で反射された記録層用レーザ光の反射光は、1/4波長板18→ミラー17→フォーカス機構(可動レンズ15→固定レンズ14)を介した後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
このように偏光ビームスプリッタ13に入射する記録層用レーザ光の反射光は、往路と復路とで1/4波長板18を2回通過することで、往路光との比較でその偏光方向が90度回転していることになる。この結果、上記のように入射した記録層用レーザ光の反射光は、偏光ビームスプリッタ13にて反射される。
偏光ビームスプリッタ13にて反射された記録層用レーザ光の反射光は、集光レンズ22を介して記録層用受光部23の受光面上に集光する。
ここで、記録層用受光部23が記録層用レーザ光の反射光を受光して得られる受光信号のことを、以下、受光信号DT-rと表記する。
また、光ピックアップOP内には、基準面用レーザ24より出射された基準面用レーザ光を対物レンズ20に導き且つ、該対物レンズ20に入射した多層記録媒体1からの基準面用レーザ光の反射光を基準面用受光部29に導くための光学系が形成される。
図示するように、基準面用レーザ24より出射された基準面用レーザ光は、コリメートレンズ25を介して平行光となるように変換された後、偏光ビームスプリッタ26に入射する。偏光ビームスプリッタ26は、このように基準面用レーザ24側から入射した基準面用レーザ光(往路光)は透過するように構成される。
偏光ビームスプリッタ26を透過した基準面用レーザ光は、1/4波長板27を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
先に述べたように、ダイクロイックプリズム19は記録層用レーザ光と同波長帯の光は反射しそれ以外の波長による光は透過するように構成されているため、基準面用レーザ光はダイクロイックプリズム19を透過し、対物レンズ20を介して多層記録媒体1(基準面Ref)に照射される。
また、このように多層記録媒体1に基準面用レーザ光が照射されたことに応じて得られる基準面用レーザ光の反射光(基準面Refからの反射光)は、対物レンズ20を介した後ダイクロイックプリズム19を透過し、1/4波長板27を介して偏光ビームスプリッタ26に入射する。
このように多層記録媒体1側から入射した基準面用レーザ光の反射光は往路と復路とで1/4波長板27を2回通過しているためその偏光方向が往路光との比較で90度回転しおり、従って基準面用レーザ光の反射光は偏光ビームスプリッタ26にて反射される。
偏光ビームスプリッタ26にて反射された基準面用レーザ光の反射光は、集光レンズ28を介して基準面用受光部29の受光面上に集光する。
ここで、基準面用受光部29が基準面用レーザ光の反射光を受光して得られる受光信号については、受光信号DT-svと表記する。
ここで、先の図1に示したように多層記録媒体1は、記録層形成領域5の下層側に対して基準面Refが設けられるので、記録時には、このように記録層形成領域5の下層側に設けられた基準面Refに対して基準面用レーザ光が合焦するように対物レンズ20のフォーカスサーボ制御が行われる。その上で、記録層用レーザ光については、記録層用レーザ光の反射光に基づくフォーカスサーボ制御によって先のフォーカス機構(レンズ駆動部16)を駆動することで、記録層用レーザ光が基準面Refよりも上層側に形成された記録層3に合焦するように、対物レンズ20に入射する記録層用レーザ光のコリメーション状態が調整されることになる。
また、再生時における記録層用レーザ光のトラッキングサーボ制御については、該記録層用レーザ光のスポットを、再生対象とする記録層3に形成されたマーク列に追従させるようにして行う。すなわち、再生時における記録層用レーザ光についてのトラッキングサーボ制御は、当該記録層用レーザ光の反射光に基づき対物レンズ20の位置を制御することで実現できる。
なお、再生時のフォーカスサーボ制御は、記録時と同様でよい。
図13は、実施の形態の記録再生装置10全体の内部構成を示している。
なお図13において、光ピックアップOPの内部構成については、図12に示した構成のうち記録層用レーザ11-1、11-2、レンズ駆動部16、及び2軸アクチュエータ21のみを抽出して示している。
またこの図では、図12に示したスピンドルモータ30の図示は省略している。
図13において、記録再生装置10における光ピックアップOPの外部には、多層記録媒体1における記録層3を対象とした記録/再生や、記録層3からの反射光に基づくフォーカス/トラッキングの位置制御を行うための構成として、記録処理部31、発光駆動部32、発光駆動部33、記録層用信号生成回路34、再生処理部35、記録層用サーボ回路36、フォーカスドライバ40、及び2軸ドライバ41が設けられている。
記録処理部31は、入力される記録データに応じた記録変調符号を生成する。具体的に記録処理部31は、入力される記録データに対してエラー訂正符号の付加や所定の記録変調符号化処理を施すなどして、記録層3を対象として実際に記録されるべき例えば「0」「1」の2値データ列である記録変調符号列を得る。
このとき、記録処理部31は、後述するコントローラ44からの指示に応じて記録データに対するアドレス情報(記録層アドレス)の付加処理も行う。
記録処理部31は、生成した記録変調符号列に基づく記録信号を発光駆動部33、32の一方又は両方に与える。
例えばシングルスパイラル状又はダブルスパイラル状のトラックを形成するためにATS(隣接トラックサーボ)を実行する場合は、記録時には2系統の記録層用レーザ光のうちの一方で記録を行い、他方は再生パワーで隣接トラックへのトラッキングを行うことになる。このため、記録処理部31が生成した記録信号は一方の発光駆動部33のみに与えられ、発光駆動部33は、記録時において記録処理部31より入力される記録信号に基づくレーザ駆動信号Drを生成し、該駆動信号Drに基づき記録層用レーザ11-1を発光駆動する。これにより記録層3に対し記録データに応じたマーク列を記録できる。
このとき他方の発光駆動部32は、記録層用レーザ11-2を再生パワーにより発光駆動する。
また例えば基準面Refを用いたトラッキング制御を行いながら、2系統の記録層用レーザ光の両方で同時にダブルスパイラル記録を行うこともできる。このような場合は、記録処理部31が生成した記録信号を、発光駆動部32,33に振り分けて与える。発光駆動部32,33は、記録信号に基づくレーザ駆動信号Drを生成し、該駆動信号Drに基づき記録層用レーザ11-1、11-2が発光駆動される。これにより記録層3に対し記録データに応じたマーク列を記録できる。
記録層用信号生成回路34は、先の図12に示した記録層用受光部23としての複数の受光素子からの受光信号DT-r(出力電流)に基づき、RF信号(再生信号)、フォーカスエラー信号FE-r、トラッキングエラー信号TE-rを生成する。
フォーカスエラー信号FE-rは、記録/再生対象とされた記録層3に対する記録層用レーザ光のフォーカス誤差を表す信号となる。またトラッキングエラー信号TE-rは、記録層3に形成されたトラックに対する記録層用レーザ光のスポット位置の半径方向における位置誤差を表す信号となる。
記録層用信号生成回路34で得られたRF信号は再生処理部35に、またフォーカスエラー信号FE-r、トラッキングエラー信号TE-rは記録層用サーボ回路36にそれぞれ供給される。
再生処理部35は、RF信号に対する2値化処理、及び記録変調符号の復号化やエラー訂正処理等の所定の復調処理を施すことで、先の記録データを復元した再生データを得る。
また、再生処理部35では、記録データ中に挿入された記録層アドレスの再生処理も行う。再生処理部35で再生された記録層アドレスはコントローラ44に供給される。
記録層用サーボ回路36は、フォーカスエラー信号FE-r、トラッキングエラー信号TE-rに対するサーボ演算処理を行ってフォーカスサーボ信号FS-r、トラッキングサーボ信号TS-rを生成する。
トラッキングサーボ信号TS-rは、後述するスイッチSWに対して供給される。
また、フォーカスサーボ信号FS-rは、フォーカスドライバ40に供給される。フォーカスドライバ40はフォーカスサーボ信号FS-rに基づくフォーカスドライブ信号FD-rを生成し、該フォーカスドライブ信号FD-rに基づきレンズ駆動部16を駆動する。
これにより、記録層用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御、即ち記録層用レーザ光を記録対象とする記録層3に合焦させるフォーカスサーボ制御が実現される。
また、記録層用サーボ回路36は、スライド駆動部42による光ピックアップOPのスライド移動についての制御も行う。
スライド駆動部42は、光ピックアップOP全体をトラッキング方向にスライド駆動可能に保持する。
記録層用サーボ回路36は、トラッキングエラー信号TE-rの低域成分を抽出してスライドエラー信号を生成し、該スライドエラー信号に基づくスライドサーボ信号を生成する。そして、該スライドサーボ信号をスライドドライバ43に与えてスライド駆動部42を駆動させることで、光ピックアップOPのスライドサーボ制御を実現する。また、記録層用サーボ回路36は、コントローラ44からの指示に応じた制御信号をスライドドライバ43に与えることで、スライド駆動部42による光ピックアップOPの所要のスライド移動を実現させる。
また、記録層用サーボ回路36は、コントローラ44からの指示に応じ、トラッキングサーボをオフとして記録層用レーザ光のスポットを他のトラックにジャンプさせるトラックジャンプ動作の実行制御も行う。
記録再生装置10には、基準面用レーザ光の反射光についての信号処理系として、基準面用信号生成回路37、アドレス検出部38、基準面用サーボ回路39が設けられる。
基準面用信号生成回路37は、図12に示した基準面用受光部29における複数の受光素子からの受光信号DT-svに基づき、必要な信号を生成する。
具体的に基準面用信号生成回路37は、受光信号DT-svに基づき、基準面Refに形成された位置案内子(ピット列)に対する基準面用レーザ光のスポット位置の半径方向における位置誤差を表すトラッキングエラー信号TE-svを生成する。
また基準面用信号生成回路37は、基準面Ref(反射膜7)に対する基準面用レーザ光のフォーカス誤差を表すフォーカスエラー信号FE-svを生成する。
また基準面用信号生成回路37は、基準面Refに記録されたアドレス情報を検出するための信号として、アドレス検出用信号Dadを生成する。上述のように基準面Refにピット列が形成される場合、このアドレス検出用信号Dadとしては和信号を生成すればよい。
基準面用信号生成回路37により生成されたアドレス検出用信号Dadは、アドレス検出部38に供給される。アドレス検出部38は、アドレス検出用信号Dadに基づき基準面Refに記録された基準面アドレスADRを検出する。検出された基準面アドレスADRはコントローラ44に供給される。
また、基準面用信号生成回路37により生成されたフォーカスエラー信号FE-sv、トラッキングエラー信号TE-svは、基準面用サーボ回路39に供給される。
基準面用サーボ回路39は、フォーカスエラー信号FE-sv、トラッキングエラー信号TE-svに対するサーボ演算処理を行ってフォーカスサーボ信号FS-sv、トラッキングサーボ信号TS-svを生成する。
フォーカスサーボ信号FS-svは、2軸ドライバ21に供給される。2軸ドライバ41は、フォーカスサーボ信号FS-svに基づくフォーカスドライブ信号FD-svを生成し、該フォーカスドライブ信号FD-svに基づき2軸アクチュエータ21のフォーカスコイルを駆動する。
これにより、基準面用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御、即ち基準面用レーザ光を基準面Refに合焦させるフォーカスサーボ制御が実現される。
また、基準面用サーボ回路39は、スライド駆動部42による光ピックアップOPのスライド移動についての制御も行う。
具体的に、基準面用サーボ回路39は、トラッキングエラー信号TE-svの低域成分を抽出してスライドエラー信号を生成し、該スライドエラー信号に基づくスライドサーボ信号を生成する。そして、該スライドサーボ信号をスライドドライバ43に与えてスライド駆動部42を駆動させることで、光ピックアップOPのスライドサーボ制御を実現する。また、基準面用サーボ回路39は、コントローラ44からの指示に応じた制御信号をスライドドライバ43に与えることで、スライド駆動部42による光ピックアップOPの所要のスライド移動を実現させる。
また、基準面用サーボ回路39は、コントローラ44からの指示に応じて、トラッキングサーボをオフとして基準面用レーザ光のスポットを他のトラックにジャンプさせるトラックジャンプ動作の実行制御も行う。
基準面用サーボ回路39により生成されたトラッキングサーボ信号TS-svは、スイッチSWに供給される。
ここで、スイッチSWは、対物レンズ20のトラッキングサーボ制御について、基準面用レーザ光を基準面Ref上の位置案内子に追従させるトラッキングサーボ制御と、記録層用レーザ光を記録層3上のトラックに追従させるトラッキングサーボ制御とを切り替えるために設けられる。
上述のように例えば再生時は、記録層用レーザ光を記録層3上のトラックに追従させるトラッキングサーボ制御が可能である。
記録時には基準面用レーザ光を基準面Ref上の位置案内子に追従させるトラッキングサーボ制御を行う。但しATS動作を行う場合は、記録時でも記録層用レーザ光を記録層3上のトラックに追従させるトラッキングサーボ制御が実行される。
再生や記録のためのアクセス時(シーク時)は、基準面用レーザ光を基準面Ref上の位置案内子に追従させるトラッキングサーボ制御を行う。
スイッチSWは、コントローラ44からの指示に応じ、トラッキングサーボ信号TS-r、トラッキングサーボ信号TS-svの何れか一方を選択的に出力する。
スイッチSWにより選択出力されたトラッキングサーボ信号TSは、2軸ドライバ41に供給され、2軸ドライバ41は、供給されたトラッキングサーボ信号TSに基づき生成したトラッキングドライブ信号TDによって、2軸アクチュエータ21のトラッキングコイルを駆動する。
これにより、対物レンズ20が、基準面用レーザ光のスポットを基準面Ref上のトラックに追従させるように駆動されるか、或いは記録層用レーザ光のスポットを記録層3上のトラックに追従させるように駆動される。
コントローラ44は、例えばCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ(記憶装置)を備えたマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM等に記憶されたプログラムに従った制御・処理を実行することで、記録再生装置10の全体制御を行う。
例えばコントローラ44は、再生処理部35で得られた記録層アドレスや、アドレス検出部38で得られた基準面アドレスADRに基づき記録層用サーボ回路36、基準面用サーボ回路39に対する指示を行って、基準面用レーザ光、記録層用レーザ光のスポット位置を所定アドレスに移動させるシーク動作制御を行う。
また、コントローラ44は、記録層用サーボ回路36、基準面用サーボ回路39、及びスイッチSWに対する指示を行うことで、多層記録媒体1に対する記録、再生、基準面Refを利用したシーク時などの各場合に応じた手法でのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を実行させる。
コントローラ44は、図示しないホスト機器からの記録コマンド、再生コマンドに応じて、以上の再生動作、記録動作、アクセス(シーク)動作、及びそれらのためのサーボ実行制御を行うことになる。
また、ホスト機器からの指示以外に、例えば多層記録媒体1における管理情報の読出や更新など、必要に応じて再生動作、記録動作、アクセス(シーク)動作、及びそれらのためのサーボ実行制御を行う。
<6.アクセス動作>

本実施の形態の記録再生装置10のアクセス(シーク)動作について説明する。
上述のように多層記録媒体1には基準面Refに基準面アドレスが記録されている。一方、記録層アドレスは、記録層3への主たるデータの書込に伴って記録される。つまり記録層3における記録前の領域には、記録層アドレスは存在しない。また、記録動作は必ずしも連続して行われるものではなく、ある程度記録が行われた記録層3であっても、離散的に未記録領域が存在し、つまり記録層アドレスが存在しない領域が点在することもある。
ここでアクセス時の動作を考える。
アクセスは、例えばホスト機器から論理アドレスが指定されて記録や再生を行う場合や、或いは記録再生装置10が管理情報の更新などで所定の物理アドレスでの再生や記録を行う場合に実行する。
ホスト機器から論理アドレスが指示された場合、コントローラ44は、それを物理アドレスに変換する。
従っていずれにしても、コントローラ44は物理アドレスを元にアクセス制御を行うものとなる。この物理アドレスとは上述したPSNである。
一方、PSNは記録層アドレスであって、未記録領域には記録されていないし、記録層3には離散的に未記録領域が存在する場合もある。
このため本例では実際のアクセス、即ちアクセスの際のスライド駆動やトラックジャンプは、基準面アドレスを用いることが好適となる。
そこで本例では、コントローラ44は、記録層アドレスであるPSNにより目標アドレスが指定される場合に、この目標アドレスに対応する基準面アドレスとしての目標アドレスを算出する。そして算出した基準面アドレスとしての目標アドレスを目標とするレーザ照射位置制御(つまりアクセス動作)を、基準面用レーザ光の反射光から得られる基準面アドレスを用いて、基準面用サーボ回路39に実行させるようにする。
ユーザデータや管理情報等の記録や再生のためのアクセス時のコントローラ44の処理を図14に示す。
コントローラ44はステップF101でアクセス目標の物理アドレス(PSN)の値としてPsnを取得する。ホスト機器から論理アドレスで目標アドレス指定された場合は、これを物理アドレスであるPSNによる目標アドレスPsnに変換する。
目標アドレスPsnを取得したらコントローラ44は、ステップF102,F103で基準面アドレスとしての目標アドレスを算出する。このためステップF102では、まず目標アドレスPsnに相当する多層記録媒体1のディスク上の半径位置を算出し、ステップF103では、当該半径位置から、基準面アドレスによる目標アドレスを算出する。
具体例を述べる。
図15は多層記録媒体1としての光ディスクの半径方向の領域を模式的に示している。
この例では、光ディスクのセンターホールCHの中心から最外周までは60mmとしている(直径12cmディスクを想定)。
本例の多層記録媒体1に対しては、記録再生装置10は、ディスク外周側から内周側に向かって記録を行う。
最外周側にはアドレス無しの領域、つまり使用されない領域が設けられたうえで、所定の半径位置(半径Ro)が図のように基準面アドレスの原点とされる。
この半径Roの位置が基準面アドレス「0」とされ、内周側に向かって基準面アドレスが進行する。半径Roのトラックナンバ(1周回毎のトラックナンバ)=0である。またPSNもこの半径Roの位置が「0」(=00000000:16進表記)となる。
今、PSNによる目標アドレスPsnが、図示のように半径rの位置のPSN値であるとする。
コントローラ44は、まず目標アドレスPsnから半径rを算出する。
まず記録層3にダブルスパイラル状のトラックが形成される場合の外周側スパイラルトラックTP−Aを目的とする場合、つまり図10Bの例の場合で、目標アドレスPsnのビット5=0の場合、もしくは記録層3にシングルスパイラル状のトラックが形成される場合は、半径rは次のように求められる。
Figure 2013171604

但し、Lは1RUBの長さ、Roは基準面アドレス原点の位置(周回トラックナンバ=0の位置)の半径、Tpは記録層3に形成されるトラックのトラックピッチである。「32」は1RUB内のセクター数となる。
また、記録層3にダブルスパイラル状のトラックが形成される場合の内周側スパイラルトラックTP−Bを目的とする場合、つまり図10Bの例の場合で、目標アドレスPsnのビット5=1の場合は、半径rは次のように求められる。
Figure 2013171604

このような演算で求めた目標アドレスPsnの半径位置rを用いて、基準面アドレスとしての目標アドレスを求める。
基準面アドレスが図4〜図9で説明した任意トラックピッチを実現するピット列A〜Fにより記録されている場合、基準面アドレスの目標アドレスとしては、目標となる周回トラックナンバ(LPM Track number)とトラック内位相ナンバ(LPM Phase number)を求めればよい。(なお、LPMとは任意トラックピッチを実現する基準面ピットパターンを指す用語としている)
このアクセス目標となる周回トラックナンバ(LPM Track number)とトラック内位相ナンバ(LPM Phase number)は、
Figure 2013171604

で求める。
但し、Tlは基準面Refに形成されているトラックのトラックピッチである。つまり図4の太線で示したトラック幅(少なくとも光学限界のトラック幅以上のトラック幅)に相当する。トラック内位相ナンバ(LPM Phase number)は、図4のようにピット列A〜Fが設けられる場合の6位相のうちのいずれかを指すものとなる。「6」とはこのA〜Fの位相の数である。
div(a,b)は、a÷bの整数部分を表す。
mod(a,b)は、a÷bの余りを表す。
このように基準面アドレスによる目標アドレスとして、周回トラックナンバ(LPM Track number)とトラック内位相ナンバ(LPM Phase number)を求めたら、コントローラ44は図14のステップF104に進み、基準面アドレスを用いて目標位置へのアクセスを実行させる。
この場合コントローラ44は、図13の基準面用サーボ回路39によりスライドドライバ43によるスライド駆動部42の駆動を実行させ、目標の周回トラックナンバ(LPM Track number)へのピックアップOPのスライド移動を実行させる。
コントローラ44はアドレス検出部38で得られる基準面アドレスADRを監視しながらスライド駆動のキック/ブレーキタイミングを制御する。
ある程度目標の周回トラックナンバ(LPM Track number)の近辺までのスライド移動を完了したら、コントローラ44はスイッチSWを基準面用サーボ回路39側に接続させる。つまり基準面用サーボ回路39を用いたトラックジャンプ及びトラッキングサーボが実行できるようにする。そして必要なトラックジャンプ、及びサーボオン制御等を行い、目標の周回トラックナンバ(LPM Track number)であり、かつ目標のトラック内位相ナンバ(LPM Phase number)に達するように制御する。
目標のPSNからの記録動作を行う場合は、コントローラ44は目標の周回トラックナンバ(LPM Track number)及びトラック内位相ナンバ(LPM Phase number)へのトラッキングがなされたことを、アドレス検出部38で得られる基準面アドレスADRから確認したらステップF105でアクセス完了と判断し、ステップF106に進んで記録動作を開始する。この場合、主データの記録(当該位置からのトラック形成)が行われることになる。また主データと共に目標アドレスPsnの値から、PSN(AUN)が記録されていく。
一方、目標のPSNからの再生動作を行う場合は、コントローラ44は目標の周回トラックナンバ(LPM Track number)及びトラック内位相ナンバ(LPM Phase number)へのトラッキングがなされたことを、アドレス検出部38で得られる基準面アドレスADRから確認したら、続いてPSN(AUN)の確認を行う。その場合、例えばスイッチSWを記録層用サーボ回路36側に切り換え、記録層用サーボ回路36によるトラッキングサーボ制御を実行させる。そして再生処理部35で得られる記録層アドレスを確認する。ダブルスパイラルトラックであって、記録層アドレスがAUNで記録されている場合は、得られたAUNの値をPSNの値に変換すればよい。
このPSNの値を確認し、再生走査をしている位置が目標アドレスPsnに達した時点でステップF105でアクセス完了と判断し、ステップF106に進んで再生動作を開始する。これにより目標アドレスPsnからの情報再生が実行される。
コントローラ44が以上のようなアクセス制御を行うことで、情報の記録に伴って記録層アドレスが記録される記録層3と、凹凸パターンにより基準面アドレスが予め記録された基準面Refを有する多層記録媒体1に対し、物理アドレス(PSN)に基づく目標位置へのアクセスを的確に実行できることとなる。
特に記録層アドレスが記録されていない未記録の多層記録媒体1に記録を行う場合に、ディスク上のどの位置に記録すればよいかを一意に決めることができ、適切な記録動作が可能となる。
また多層記録媒体1の記録層3に未記録部分が点在する場合のシーク時であっても、スライド移動を基準面アドレスを使用することで容易に実行できる。
以上、実施の形態を説明してきたが、本開示の技術は多様な変形例、応用例が考えられる。
上記には、記録層アドレス(PSN)から基準面アドレスを求める演算例を示したが、必要に応じて、上記(数1)〜(数3)の逆の変換式を用いて、基準面アドレスからPSN(さらにはAUN)を求めることも当然可能である。
また実施の形態の例は、基準面アドレスが図4〜図9で説明した任意トラックピッチを可能とするピット列により表現される場合で示したが、基準面アドレスの形態がこれに限定されるものではない。例えば基準面Refにウォブリンググルーブが形成されて、ウォブリングにより基準面アドレスが記録されるような場合も想定される。その場合も、PSNから基準面アドレスを求め、基準面Refを用いたアクセスが行われるようにすればよい。
また、光ディスクとしての多層記録媒体1を例に挙げたが、本開示の技術が適用できる記録媒体は光ディスク形状の記録媒体に対するものに限られない。例えばカード状の記録媒体などに対する記録装置、再生装置におけるアクセス処理にも適用できる。
さらに多層記録媒体1の例で述べたが、本開示のアクセス方式は記録層3が1つである1層記録媒体でも適用できる。
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)情報の記録に伴って記録層アドレスが記録される記録層と、凹凸パターンにより基準面アドレスが予め記録された基準面とを有する記録媒体に対し、上記記録層に対する第1のレーザ光と上記基準面に対する第2のレーザ光とを一つの対物レンズを出射端として照射し、また上記第1及び第2のレーザ光の反射光を検出する光照射部と、
上記第1及び第2のレーザ光についての記録媒体に対する照射位置を制御するサーボ部と、
上記記録層アドレスにより目標アドレスが指定される場合に、該目標アドレスに対応する上記基準面アドレスとしての目標アドレスを算出し、算出した上記基準面アドレスとしての目標アドレスを目標とする照射位置制御を、上記第2のレーザ光の反射光から得られる基準面アドレスを用いて上記サーボ部に実行させる制御部と、
を備えたメディアドライブ装置。
(2)上記制御部は、
上記記録層アドレスとしての目標アドレスに相当する記録媒体上の位置の値を求め、該位置の値を用いて上記基準面アドレスとしての目標アドレスを算出する上記(1)に記載のメディアドライブ装置。
(3)上記記録媒体はディスク状記録媒体であり、
上記記録媒体上の位置の値とは、ディスク半径位置の値である上記(2)に記載のメディアドライブ装置。
(4)上記記録層に記録された情報の再生を行う場合、上記制御部は、上記算出した上記基準面アドレスとしての目標アドレスを目標とする照射位置制御を実行させた後、上記記録層のトラックに記録された記録層アドレスが、記録層アドレスとしての目標アドレスに達したことを確認して再生動作の制御を行う上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のメディアドライブ装置。
(5)
上記記録層への情報の記録を行う場合、上記制御部は、上記算出した上記基準面アドレスとしての目標アドレスを目標とする照射位置制御を実行させた後、上記記録層に対し、上記光照射部による情報及び記録層アドレスの記録動作の制御を行う上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のメディアドライブ装置。
(6)上記記録媒体はディスク状記録媒体であり、
情報の記録を行う場合、上記記録層に多重スパイラル状にトラックを形成していき、上記記録層アドレスについては、物理アドレスが多重スパイラル状のトラックの組に順次振り分けて記録していく上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のメディアドライブ装置。
1 多層記録媒体、2 カバー層、3 記録層、5 記録層形成領域、7 反射膜、8 基板、11-1,11-2 記録面用レーザ、19 ダイクロイックプリズム、20 対物レンズ、21 2軸アクチュエータ、23 記録層用受光部、24 基準面用レーザ、29 基準面用受光部、31 記録処理部、32,33 発光駆動部、34 記録層用信号生成回路、35 再生処理部、36 記録層用サーボ回路、37 基準面用信号生成回路、38 アドレス検出部、39 基準面用サーボ回路、42 スライド駆動部、43 スライドドライバ、44 コントローラ、96 サーボ光用サーボ回路、Ref 基準面 SP−A,SP−B スパイラルトラック、OP ピックアップ

Claims (7)

  1. 情報の記録に伴って記録層アドレスが記録される記録層と、凹凸パターンにより基準面アドレスが予め記録された基準面とを有する記録媒体に対し、上記記録層に対する第1のレーザ光と上記基準面に対する第2のレーザ光とを一つの対物レンズを出射端として照射し、また上記第1及び第2のレーザ光の反射光を検出する光照射部と、
    上記第1及び第2のレーザ光についての記録媒体に対する照射位置を制御するサーボ部と、
    上記記録層アドレスにより目標アドレスが指定される場合に、該目標アドレスに対応する上記基準面アドレスとしての目標アドレスを算出し、算出した上記基準面アドレスとしての目標アドレスを目標とする照射位置制御を、上記第2のレーザ光の反射光から得られる基準面アドレスを用いて上記サーボ部に実行させる制御部と、
    を備えたメディアドライブ装置。
  2. 上記制御部は、
    上記記録層アドレスとしての目標アドレスに相当する記録媒体上の位置の値を求め、該位置の値を用いて上記基準面アドレスとしての目標アドレスを算出する請求項1に記載のメディアドライブ装置。
  3. 上記記録媒体はディスク状記録媒体であり、
    上記記録媒体上の位置の値とは、ディスク半径位置の値である請求項2に記載のメディアドライブ装置。
  4. 上記記録層に記録された情報の再生を行う場合、上記制御部は、上記算出した上記基準面アドレスとしての目標アドレスを目標とする照射位置制御を実行させた後、上記記録層のトラックに記録された記録層アドレスが、記録層アドレスとしての目標アドレスに達したことを確認して再生動作の制御を行う請求項1に記載のメディアドライブ装置。
  5. 上記記録層への情報の記録を行う場合、上記制御部は、上記算出した上記基準面アドレスとしての目標アドレスを目標とする照射位置制御を実行させた後、上記記録層に対し、上記光照射部による情報及び記録層アドレスの記録動作の制御を行う請求項1に記載のメディアドライブ装置。
  6. 上記記録媒体はディスク状記録媒体であり、
    情報の記録を行う場合、上記記録層に多重スパイラル状にトラックを形成していき、上記記録層アドレスについては、物理アドレスが多重スパイラル状のトラックの組に順次振り分けて記録していく請求項1に記載のメディアドライブ装置。
  7. 情報の記録に伴って記録層アドレスが記録される記録層と、凹凸パターンにより基準面アドレスが予め記録された基準面とを有する記録媒体に対し、上記記録層に対する第1のレーザ光と上記基準面に対する第2のレーザ光とを一つの対物レンズを出射端として照射し、また上記第1及び第2のレーザ光の反射光を検出する光照射部と、
    上記第1及び第2のレーザ光についての記録媒体に対する照射位置を制御するサーボ部と、
    を備えたメディアドライブ装置のアクセス方法として、
    上記記録層アドレスにより指定された目標アドレスに対応する上記基準面アドレスとしての目標アドレスを算出し、
    算出した上記基準面アドレスとしての目標アドレスを目標とする照射位置制御を、上記第2のレーザ光の反射光から得られる基準面アドレスを用いて上記サーボ部に実行させるアクセス方法。
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