JP2013254544A - 位置制御装置、位置制御方法 - Google Patents

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禎之 浦川
Yoshihiko Ideoka
良彦 出岡
Yuichi Suzuki
雄一 鈴木
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Abstract

【課題】いわゆるATS(隣接トラックサーボ)に基づくトラッキングサーボ手法を採る記録系において、記録用スポットと隣接トラックサーボ用スポットとのスポット間距離が規定のトラックピッチに一致しないことで生じるトラックピッチ誤差を補正する。
【解決手段】基準面サーボループに対し、その制御目標値のオフセットとして隣接トラックサーボ用スポットの反射光に基づき得られる記録層トラッキング誤差信号の積分出力を与えるいわゆるATS+を採用する。このATS+としてのサーボ制御系において、上記記録層トラッキング誤差信号にオフセットを与えることで、上記記録用スポットにより形成されるトラックのピッチを調整する。これによりトラックピッチを規定ピッチに一致させる補正が可能となる。
【選択図】図14

Description

本技術は、光ディスク記録媒体に対して照射するレーザ光のスポット位置を制御する位置制御装置とその方法とに関する。
特開2011−123978号公報
光の照射により信号の記録又は再生が行われる光記録媒体として、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる光ディスク記録媒体(以下、単に光ディスクとも表記)が広く普及している。
また、このような光ディスクについて記録再生を行う記録再生装置も広く普及している。
光ディスクについての記録再生装置では、一定のトラックピッチにより情報を記録するためにトラッキングサーボをかけるようにされている。
通常、記録可能型の光ディスクには、記録面に対して案内溝(例えばウォブリンググルーブ)が形成されており、該案内溝に追従するようにトラッキングサーボをかけることで、一定のトラックピッチで情報を記録するようにされる。
一方で近年では、記録面に案内溝の形成されていない光ディスクが提案されており、そのトラッキングサーボ手法として、例えば特許文献1に開示されているようないわゆる隣接トラックサーボ(ATS:Adjacent Track Servo)が提案されている。
このATSでは、記録面に対して記録を担当する記録用ビームスポットSwrと隣接トラックサーボ用スポットSatsとを形成し、記録用ビームスポットSwrが形成した1周前のトラックに対し、隣接トラックサーボ用スポットSatsが追従するようにトラッキングサーボをかけることで、一定のピッチによる情報記録が実現されるように図られている。
上記のようなATSに基づくトラッキングサーボを行う場合には、記録用スポットSwrと隣接トラックサーボ用スポットSatsとの間の距離が、トラックピッチを決定付けるものとなる。
この意味で、これらスポットSwrとスポットSatsとの間の距離は、規定のトラックピッチと正確に一致させることが理想である。
しかしながら、スポットSwrとスポットSatsとの間の距離を所定の距離に正確に光学調整することは、実際には非常に困難であり、例えば5%〜10%程度の誤差が生じるものである。
仮に、スポットSwrとスポットSatsとの間の距離が規定のトラックピッチに対して+5%ずれていたとすると、本来は100トラック分の記録ができるのに対して95本分の記録しか行うことができず、結果として、規定の記録容量を確保することができないこととなる。
このようにスポットSwrとスポットSatsとの間の距離の誤差はディスク記録容量のばらつきを生み、問題となる。
本技術では上記のような問題点に鑑み、位置制御装置として以下の構成を提案する。
すなわち、本技術の位置制御装置は、位置案内子が形成された基準面と、情報記録が行われる記録層とを有する光ディスク記録媒体に対し、上記記録層を対象とした記録用レーザ光と隣接トラックサーボ用レーザとの照射と、上記基準面を対象とした基準面用レーザ光の照射とを、共通の対物レンズを介して行うと共に、上記隣接トラックサーボ用レーザ光と上記基準面用レーザ光の戻り光をそれぞれ受光する光照射・受光部を備える。
また、上記対物レンズをトラッキング方向に変位させるトラッキング機構部を備える。
また、上記光照射・受光部で得られた上記基準面用レーザ光の戻り光についての受光信号に基づき、上記基準面用レーザ光の照射スポットの上記位置案内子に対するトラッキング誤差を表す基準面トラッキング誤差信号を生成する基準面トラッキング誤差信号生成部を備える。
また、上記基準面トラッキング誤差信号に基づいて生成したトラッキングサーボ信号に基づき上記トラッキング機構部を制御する基準面トラッキングサーボ制御部を備える。
また、上記光照射・受光部で得られた上記隣接トラックサーボ用レーザ光の戻り光についての受光信号に基づき、上記隣接トラックサーボ用レーザ光の照射スポットの記録トラックに対するトラッキング誤差を表す記録層トラッキング誤差信号を生成する記録層トラッキング誤差信号生成部を備える。
また、上記記録層トラッキング誤差信号を積分する積分部を備える。
また、上記積分部による積分出力を上記トラッキングサーボ制御部による制御目標値に加算する加算部を備える。
その上で、上記記録層トラッキング誤差信号に対してオフセットを与えることで、上記記録用レーザ光による記録トラックのピッチを調整するピッチ調整部を備えるものである。
上記のように本技術では、記録層トラッキング誤差信号の積分出力を、基準面トラッキング誤差信号に基づくトラッキングサーボループの制御目標値に加算する構成(後述するATS+によるトラッキングサーボ制御系)としている。このような構成において、上記のように記録層トラッキング誤差信号をオフセットさせることにより、記録用レーザ光の照射により上記記録層に形成される記録トラックのピッチを調整することができる。
このような記録トラックのピッチ調整が可能とされることで、記録用レーザ光と隣接トラックサーボ用レーザ光のスポット間距離が規定のトラックピッチと一致しない場合においても、記録トラックのピッチが上記規定のトラックピッチと一致するように補正を行うことができる。
上記のように本技術によれば、記録用レーザ光と隣接トラックサーボ用レーザ光のスポット間距離が規定のトラックピッチと一致しない場合でも、記録用レーザ光の照射により記録層に形成されるトラックのピッチが規定のトラックピッチと一致するように補正を行うことができる。この結果、前述のような記録容量の誤差を効果的に抑制できる。
実施の形態の記録媒体の断面構造を示した図である。 当初の位置制御手法についての説明図である。 対物レンズのレンズシフトに伴い情報記録位置のずれが生じる原理について説明するための図である。 ATSについての説明図である。 ATSによる記録を開始するにあたっての書き出し手法の例についての説明図である。 ATS単体とした場合に生じる問題点についての説明図である。 ATS+で用いるレーザ光についての説明図である。 ATS+の概念について説明するための図である。 実施の形態の位置制御装置が備える主に光学系の構成についての説明図である。 実施の形態の位置制御装置全体の内部構成を示した図である。 ATS+制御系の構成を概念化して示した図である。 スポット間距離が規定トラックピッチに一致していない場合のATS+制御系の挙動についての説明図である。 偏芯についての説明図である。 実施の形態のトラックピッチ補正手法の概要についての説明図である。 第1の実施の形態としてのATS+制御系の構成の概念図である。 図15に示されるトラックピッチ補正系の構成を抽出して示した図である。 第1の実施の形態としての補正系を動作させたときの各信号の様子を示した図である。 第1の実施の形態の位置制御装置が備えるトラックピッチ補正系の構成を示した図である。 第2の実施の形態のATS+制御系の構成の概念図である。 第2の実施の形態のトラックピッチ補正系を動作させたときの各信号の様子を示した図である。 飽和処理についての説明図である。 第2の実施の形態の位置制御装置が備えるトラックピッチ補正系の構成を示した図である。 第3の実施の形態としてのATS+制御系の概念図である。 ステップ値制御によるオフセット生成が行われる場合の動作イメージを示した図である。 第3の実施の形態で採用するオフセットの具体的な増減手法についての説明図である。 第3の実施の形態の位置制御装置が備えるトラックピッチ補正系の構成を示した図である。 第3の実施の形態としての補正手法を実現するために実行すべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。 第4の実施の形態としてのATS+制御系の概念図である。 第4の実施の形態の位置制御装置が備えるトラックピッチ補正系の構成を示した図である。 第4の実施の形態としての補正手法を実現するために実行すべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
以下、本技術に係る実施の形態について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。

<1.実施の形態の記録媒体について>
<2.位置制御手法について>
[2-1.当初提案されていた位置制御手法]
[2-2.当初手法が有する問題点]
[2-3.ATSについて]
[2-4.ATS+について]
<3.実施の形態の位置制御装置の全体構成>
<4.ATS+の詳細とその問題点>
<5.実施の形態としての位置制御手法>
[5-1.第1の実施の形態]
[5-2.第2の実施の形態]
[5-3.第3の実施の形態]
[5-4.第4の実施の形態]
<6.変形例>
<1.実施の形態の記録媒体について>

図1は、実施の形態の記録媒体としての多層記録媒体1の断面構造を示している。
先ず前提として、実施の形態の多層記録媒体1は、ディスク状の光記録媒体(以下、単に光ディスクとも表記する)とされる。ここで、光記録媒体とは、光の照射により情報の記録又は再生が行われる記録媒体を総称したものである。
図1に示されるように、多層記録媒体1には、上層側から順にカバー層2、複数の記録層3が形成された記録層形成領域5、接着層6、反射膜7、及び基板8が形成されている。
ここで、本明細書において「上層側」とは、後述する記録装置(記録再生装置10)側からのレーザ光が入射する面を上面としたときの上層側を指す。
多層記録媒体1において、カバー層2は、例えば樹脂で構成され、その下層側に形成された記録層形成領域5の保護層として機能する。
記録層形成領域5は、図のように複数の記録層3と、それらの間に挿入された中間層4とを有して構成される。換言すれば、この場合の記録層形成領域5は、記録層3→中間層4→記録層3→中間層4・・・→記録層3の繰り替えし積層が行われて形成されたものとなっている。
記録層3は、半透明記録膜で構成される。中間層4は、例えば熱可塑性樹脂や紫外線硬化樹脂など樹脂材料で構成される。
この図では図示の都合上、記録層形成領域5内には5つの記録層3が形成されるものとしているが、これはあくまで一例であって、記録層数は「5」以外とすることができる。
ここで、記録層形成領域5において、それぞれの記録層3には、図からも明らかなようにグルーブやピット列等の形成に伴う位置案内子が形成されていない。すなわち、各記録層3は平面状に形成されていると表現できる。
このような記録層形成領域5の作成にあたっては、現状の多層ディスクの製造で必要とされる記録層ごとの位置案内子の形成工程を不要とでき、結果、多層記録媒体1の製造コスト、量産コストを効果的に削減できる。
記録層形成領域5の下層側には、所要の接着材料で構成された接着層(中間層)6を介して、反射膜7が形成されている。
該反射膜7には、記録/再生位置を案内するための位置案内子が形成される。なお、反射膜に位置案内子が形成されているというのは、位置案内子が形成されている界面上に反射膜が形成されるという意味である。
具体的に、この場合は、図中の基板8の一方の面側に対して位置案内子が形成されることで、図のような凹凸の断面形状が与えられ、基板8の該凹凸断面形状が与えられた面上に対し反射膜7が成膜されることで、該反射膜7に位置案内子が形成されたものとなっている。
なお、基板8は、例えばポリカーボネートなどの樹脂で構成される。該基板8は、例えば上記位置案内子としての凹凸断面形状を与えるためのスタンパを用いた射出成形などによって生成することができる。
ここで、現状の記録可能型の光ディスクで行われているように、上記位置案内子の形成により、多層記録媒体1の記録面内方向における絶対位置を表すアドレス情報(絶対位置情報:半径位置情報、及び回転角度情報)を記録することができる。例えばこの絶対位置情報は、上記位置案内子がグルーブで形成される場合には当該グルーブの蛇行(ウォブル)周期の変調により記録することができ、また上記位置案内子がピット列で形成される場合には、ピットの長さや形成間隔の変調等により記録を行うことができる。
なお、上記のように記録層3に対しては位置案内子が形成されておらず、記録層3上の記録位置の制御は、以下で説明するように位置案内子が形成された反射膜7からの反射光に基づき行われることになる。
この意味で、以下、位置案内子が形成された反射膜7(反射面)のことを、「基準面Ref」と表記する。
<2.位置制御手法について>
[2-1.当初提案されていた位置制御手法]

図2は、多層記録媒体1の開発当初に提案されていた、基準面Refに形成された位置案内子を利用した位置制御手法についての説明図である。
なお図2では、この場合に形成される5つの記録層3を上層側から順にL1,L2,L3,L4,L5と示している。
先ず、この当初手法では、多層記録媒体1に対し、記録層3を対象として照射されるべき記録層用レーザ光と、基準面Refにおける位置案内子に基づく位置制御を行うための基準面用レーザ光とを照射するようにされている。
具体的に、これら記録層用レーザ光と基準面用レーザ光とは、図示すように共通の対物レンズを介して多層記録媒体1に対して照射するものとされる。
対象とする或る記録層3(以下、記録層Lnと表記する)に対してマーク記録を行うときは、図のように基準面用レーザ光を反射膜7の反射面(基準面Ref)に合焦させるように照射して、その反射光に基づき得られるトラッキングエラー信号に従って対物レンズの位置制御を行う(つまりトラッキングサーボをかける)。
これにより、同じ対物レンズを介して照射される記録層用レーザ光のトラッキング方向における位置を連動して制御することができる。
一方、再生時における位置制御は、以下のようにして実現される。
再生時においては、記録層Lnにマーク列(つまり記録済みトラック)が形成されているので、該マーク列を対象として記録層用レーザ光単体でトラッキングサーボをかけることができる。すなわち、再生時におけるトラッキングサーボは、記録層用レーザ光の反射光に基づき得られるトラッキングエラー信号に従って対物レンズの位置制御を行うことで実現できる。
ここで、上記のような当初の位置制御手法が採られる場合において、基準面用レーザ光に記録層用レーザ光と同波長帯の光を用いてしまうと、基準面用レーザ光の反射光を得るべき基準面Refについて、その反射率を高めざるを得なくなってしまう。しかしながら、このように基準面Refの反射率を上げてしまうと、その分、記録層用レーザ光についての迷光成分が増大し、再生性能を著しく悪化させてしまう虞がある。
このため、基準面用レーザ光と記録層用レーザ光とはそれぞれ波長帯の異なる光を用いるものとし、基準面Refを形成する反射膜7として波長選択性を有する反射膜を用いる。
具体例として、記録層用レーザ光の波長はBD(Blu-ray Disc)の場合と同様の405nm程度、基準面用レーザ光の波長はDVD(Digital Versatile Disc)の場合と同様の650nm程度とされる。そして、反射膜7としては、基準面用レーザ光と同波長帯の光を選択的に反射し、それ以外の波長による光は透過又は吸収する波長選択性反射膜を用いる。
このような構成により、基準面Refから記録層用レーザ光の不要な反射光成分が生じてしまうことを防止でき、良好なS/N(信号対雑音比)を確保できる。
ところで、記録層3にグルーブ等の位置案内子の形成されていない多層記録媒体1では、記録時における記録開始位置へのシークは、基準面Refに記録されたアドレス情報を利用して行うことになる。
具体的に、対象とする記録層Lnへの記録時には、ライトコマンドに基づいて基準面Ref上の記録開始アドレスが特定され、先ずは基準面用レーザ光により、該基準面Ref上の記録開始アドレスにシークする。そして、該シークの完了に応じて、記録用レーザ光による記録を開始する。これにより、記録層Ln上における、上記記録開始アドレスに対応する位置からデータの記録を開始することができる。
また、対象とする記録層Lnに記録された情報の再生についても、先ずは基準面Ref上のアドレスを利用したシークを行うことになる。具体的には、リードコマンドに基づき特定された基準面Ref上の再生開始アドレスをターゲットとして、基準面用レーザ光によるシーク動作を行う。
そして、このような基準面Refのアドレスに基づくシークを行った上で、対物レンズについてのトラッキングサーボ制御を、基準面用レーザ光の反射光に基づくサーボ制御から記録層用レーザ光の反射光に基づくサーボ制御に切り替えを行う。これにより、記録層用レーザ光のビームスポットを記録層Ln上の再生開始位置近傍のトラックに追従させることができる。
その上で、記録層Lnに記録されているアドレス情報を読むことで、所定の再生開始位置に移動することができ、該再生開始位置からのデータ再生を開始することができる。
[2-2.当初手法が有する問題点]

上記により説明したような当初手法によれば、記録層3に位置案内子が形成されない多層記録媒体1について、記録層Ln上の所定の位置に情報を記録することが可能となる。
但し、多層記録媒体1について記録を行うにあたっては、実際には、以下で説明するような記録層用レーザ光と基準面用レーザ光との間のスポット位置ずれに起因した情報記録位置のずれが生じることを考慮すべきものとなる。
具体的に、上述のような当初手法を採る場合は、多層記録媒体1の偏芯や光学ピックアップのスライド機構のガタ等に起因して生じる対物レンズのレンズシフトにより、トラッキング方向における情報記録位置のずれが生じることとなる。
ここで言うスライド機構のガタに伴うレンズシフトとは、スライドサーボ制御中において、当該スライド機構におけるメカ機構的なガタの発生に起因して光学ピックアップの位置が急激(瞬間的に)に変位したことに伴って、トラッキングサーボ制御中の対物レンズの位置がその変位の吸収ためにシフトされることを意味する。
図3は、対物レンズのレンズシフトに伴い情報記録位置のずれが生じる原理について説明するための図である。
図3において、図3Aは多層記録媒体1の偏芯やスライド機構のガタが無く対物レンズのレンズシフトが生じていない理想的な状態を、また図3Bは紙面左方向(例えば外周方向であるとする)のレンズシフトが生じた場合(+方向の偏芯と称する)、図3Bは紙面右方向(例えば内周方向であるとする)のレンズシフトが生じた場合(−方向の偏芯と称する)をそれぞれ示している。
なお、この図3では図示の都合から、基準面Refが、複数の記録層3が形成される記録層形成領域5の上層側に形成された場合を例示しているが、先の図2と同様に基準面Refが記録層形成領域5の下層側に形成される場合にも同様の原理で情報記録位置のずれが生じるものである。
先ず、図中の中心軸cは、光学系を設計する上で設定された中心軸であり、図3Aに示す理想状態においては、対物レンズの中心は当該中心軸cに一致している(これをレンズ中心位置とも表記する)。
これに対し、図3Bに示すような+方向のレンズシフトが生じた場合は、対物レンズの中心が光学系の中心軸cに対して+方向にシフトする。
このとき、基準面用レーザ光(図中の柄付きの光線)に関しては、対物レンズに対して平行光により入射するので、上記のような対物レンズの中心軸cからのシフトが生じても、その焦点位置のトラッキング方向における位置に変化は生じない。
これに対し、記録層用レーザ光(図中の白抜きの光線)は、基準面Refとは異なる深さ位置に形成された記録層3に合焦させるために、対物レンズに対して非平行光により入射されるので、上記のような+方向への対物レンズのシフトに対しては、図のように、記録層用レーザ光の焦点位置(情報記録位置)が、レンズシフト量に応じた分だけ+方向に変化してしまうこととなる(図中、ずれ量+d)。
また、図3Cに示すような−方向のレンズシフトが生じた場合には、記録層用レーザ光による情報記録位置は、図のようにレンズシフト量に応じた分だけ−方向に変化することとなる(図中ずれ量−d)。
このようにして、先の図2にて説明した当初手法、すなわち、

・記録層用レーザ光と基準面用レーザ光とを共通の対物レンズを介して照射する
・記録層用レーザ光の焦点位置と基準面用レーザ光の焦点位置とが異なる
・対物レンズのトラッキングサーボ制御を基準面用レーザ光の焦点位置が基準面Refに形成された位置案内子に追従させるようにして行う

という手法を採る場合には、ディスクの偏芯やスライド機構のガタ等に起因して、記録層用レーザ光による情報記録位置がトラッキング方向にずれてしまうという問題が生じる。
このとき、偏芯の大きさ等やトラックピッチ(案内溝の形成間隔)の設定によっては、隣接する案内溝同士で情報記録位置が重なってしまうこともある。このようであると、正しく記録信号を再生することはできなくなる。
なお、上記では情報記録位置のずれの要因として対物レンズのレンズシフトを主なものとして説明したが、情報記録位置のずれはディスクチルトによっても生じるものである。
ここで、上記のような情報記録位置ずれの問題を回避するための1つの対策としては、情報記録位置の変動以上にトラックピッチを広げておくということを挙げることができる。
しかしながらこの手法は、トラックピッチの拡大により記録容量の低下を招いてしまう点が問題となる。
また、他の手法として、ディスクを着脱不能なシステムとする手法も挙げることができる。
ここで、偏芯の原因としては、ディスク内径とスピンドルモータへのクランプ径との誤差が挙げられる。加工上、両者の誤差を完全にゼロにすることは不可能であるので偏芯は不可避である。そこで、ディスクの着脱を不能としたシステムにすれば、偏芯による影響が同じとなるので、記録位置が重なる問題を回避できる。そしてこのことで、トラックピッチを詰めることができ、その分、記録容量の増大を図ることができる。
しかしながら、当然、この手法ではディスクの交換が一切できないので、例えばディスク不良時にディスクだけを交換するといったことができなくなる。さらには、或る装置で記録したデータを別の装置で読み出すといったこともできない。つまりこれらの点で、利便性が損なわれる結果となる。
[2-3.ATSについて]

そこで、上記の問題を回避するための有効な手法として、いわゆるATS(Adjacent Track Servo:隣接トラックサーボ)を採用することが考えられていた。ATSは、元々はハードディスクドライブにおけるセルフサーボトラックライタ(SSTW)として検討されていたものである。
図4は、ATSについて説明するための図である。
ATSでは、記録層3を対象として照射されるべき記録層用レーザ光として、2つのレーザ光を照射するものとし、これにより図のように記録用スポットSwrと隣接トラックサーボ用スポットSatsとを記録層Ln上に形成するようにされる。これらスポットSwrとスポットSatsは、それぞれその元となる光線を共通の対物レンズを介して記録媒体に照射することで形成される。
ATSでは、記録用スポットSwrを先行スポット(つまり記録の進行方向が内周→外周である場合には外周側)とし、隣接トラックサーボ用スポットSatsを後行スポットとして、記録用スポットSwrによって形成したマーク列を対象として、隣接トラックサーボ用スポットSatsによりトラッキングサーボをかける。つまりは、記録用スポットSwrが形成した1本前のトラックに、隣接トラックサーボ用スポットSatsが追従するように対物レンズのトラッキングサーボ制御を行うというものである。
このようなATSによれば、トラックピッチは各スポットS間の距離で一定とできるので、偏芯等の影響によりトラックが重なってしまうという問題は生じないものとできる。すなわち、前述のように偏芯等に起因する情報記録位置のずれを考慮してトラックピッチを余分に広げたり、或いはディスクを着脱不能とするシステムとするといった必要は無いものとできる。
ところで、記録層3に位置案内子が形成されていない多層記録媒体1では、記録層3にプリアドレスを付しておくことができないことから、前述のように、記録時には、基準面Refのアドレスを利用したシークを行うことになる。具体的に、所要の記録開始位置から記録を開始するとしたときは、先に述べたように、ライトコマンドから特定される基準面Ref上の記録開始アドレスに基準面用レーザ光によるシークを行う。そして、該シークの完了に応じて、記録層用レーザ光による記録を開始する。
また、再生時においても、記録層Ln上の所要の再生開始位置にアクセスする際には、先ずは基準面Refのアドレスを利用したシークを行うことになる。
ここで、記録層3の記録状態としては、既記録領域の間に未記録領域が介在している場合もある。このような記録状態を想定すると、記録層3のシークのみでは適正に再生開始位置にアクセスすることができない。このため、再生時においても、基準面Refを利用したシークを行うようにする。
このようなシークを行うことで、再生開始位置の近傍に再生用のレーザ光のスポットを位置させることができる。そして、該シークの完了後は、対物レンズのトラッキングサーボ制御を、基準面用レーザ光によるサーボ制御から記録層用レーザ光によるトラッキングサーボ制御に切り替える。記録層用レーザ光によるトラッキングサーボの引き込み(記録層Ln上のトラックに対するトラッキングサーボ引き込み)が成功すれば、該記録層Lnのアドレス情報を読むことができるので、該アドレス情報に基づき再生開始位置にシークすることができる(補正シーク)。
ここで、記録層Lnに対する記録は、前述のようにATSをかけながら行うことになる。
前述のようにATSは、記録用スポットSwrにより記録した1本前のトラックに対して隣接トラックサーボ用スポットSatsによりトラッキングサーボをかける手法となるが、このようなATSによる記録を開始する際には、記録層LnにおいてATSをかけるための既記録のトラックが存在している必要がある。
すなわち、ATSによる記録を開始するにあたっては、記録用スポットSwrにより、先ずはATSをかけるためのトラックを形成するということが行われる。
図5は、ATSによる記録を開始するにあたっての書き出し手法の例について説明するための図である。
先ず、図5A及び図5Bにおいて、図中の「S」と示す位置は、記録用スポットSwrによる記録開始位置を表す。この位置Sは、記録開始位置にアクセスするために前述のように基準面用レーザ光により基準面アドレスに基づくシークを行ったときの、記録用スポットSwrの位置に相当するものとなる。
ATSによる記録を開始するためには、先ずは図5Aに示すように、位置Sから少なくとも1周分の記録を実行する(ガイド用トラックの形成)。このガイド用トラックの形成は、基準面用レーザ光によるトラッキングサーボ制御状態下にて、記録用スポットSwrにより行う。
このとき、上記基準面用レーザ光によるトラッキングサーボ制御により基準面用レーザ光のスポット位置が基準面Ref上をスパイラル状に移動するが、このスパイラルのピッチは、記録層3のトラックピッチと一致しているものとする。
この前提の下では、上記のような1周分の記録が実行されたことに応じて、図5Bに示すように、隣接トラックサーボ用スポットSatsが1周前の記録トラック上に位置する状態が得られる(同じ回転角度位置であれば偏芯の影響は同じである点に留意)。そこで、1周分の記録を行ったことに応じて隣接トラックサーボ用スポットSatsによるトラッキングサーボの引き込みを行う。この引き込みが成功すれば、ATSとしてのトラッキングサーボ制御(記録用スポットSwrが形成した1本前のトラックに隣接トラックサーボ用スポットSatsを追従させる制御)が開始されたことになる。
[2-4.ATS+について]

上記のようにATSによれば、記録層3のトラックピッチを一定とできるので、トラックの交差等が生じて記録情報を再生不能となる事態の発生の防止を図ることができる。
しかしながら、これはATSが理想的に機能した場合であって、実際のシステムでは、隣接トラックサーボ用スポットSatsによるトラッキングサーボ系においてトラッキングエラーの取れ残りが生じることに起因して、図6に示すように、トラッキングエラー成分が時間経過と共に(つまり周回を重ねるごとに)増大し、結果、トラッキングサーボを安定して行うことが困難となってしまう。
そこで本実施の形態では、記録用レーザ光についての位置制御手法として、ATS+(ATSプラス)と呼ばれる手法を採用する。
図7は、ATS+で用いる各レーザ光を示している。
ATS+では、ATSと同様に、記録層用レーザ光として、記録用スポットSwrを形成するための記録用レーザ光と、隣接トラックサーボ用スポットSatsを形成するためのレーザ光(図中では、ATS・再生時用レーザ光と表記)とを照射するようにされる。
ここで、本例では、記録時に隣接トラックサーボ用レーザ光を発光するレーザを、再生時に記録層3の情報再生を行うためのレーザ光を発行するレーザとして兼用するものとしている。この意味で、該レーザより発光され多層記録媒体1に照射されるレーザ光を、「ATS・再生用レーザ光」と表記している。
そして、ATS+では、対物レンズについてのトラッキングサーボ制御に、隣接トラックサーボ用レーザ光(ATS・再生時用レーザ光)のみでなく、基準面用レーザ光も用いる。
図8は、ATS+の概念について説明するための図である。
この図8に示すように、ATS+では、先ず、基準面用レーザ光のトラッキングエラー信号にトラッキングサーボ制御のためのフィルタ処理を施す基準面側サーボフィルタと、当該基準面側サーボフィルタの出力に基づき、対物レンズをトラッキング方向に変位可能に保持するアクチュエータを駆動するトラッキングドライバとが設けられる。
つまりATS+では、基準面用レーザ光のトラッキングエラー信号に基づき対物レンズのトラッキングサーボ制御を行うトラッキングサーボループ(基準面側サーボ制御系とする)が形成されていることになる。
その上で、ATS+では、このような基準面側サーボ制御系と共に、ATSによるサーボ制御系が構成されるようにしている。具体的には、ATS・再生時用レーザ光(図中ではATS光と表記)についてのトラッキングエラー信号を積分する積分器と、当該積分器からの積分出力を上記基準面側のトラッキングサーボループに対して与える加算部とを設けるようにされる。これは、上記積分器による出力を、上記基準面側サーボ制御系の目標値(制御目標値)として与えるように構成していると換言できるものである。或いは、基準面側サーボ制御系としてのトラッキングサーボループをマイナーループとして、ATS光のトラッキングエラー信号の積分出力を当該マイナーループの制御目標値のオフセットとして与えていると表現することもできる。
このような構成とした場合、ATS制御系のトラッキング誤差は、主に、対物レンズのレンズシフト等によって生じるスポット位置ずれ(先の図3を参照)に起因して生じることになる。
そして、このようなATS側のトラッキング誤差情報が、基準面側サーボ制御系の制御目標値に与えられることで、ATS・再生時用レーザ光のスポットSatsが、記録層Ln上のトラックに追従するように対物レンズが駆動されることになる。
このことからも理解されるように、ATS+としても、ATS単体とする場合と同様に、記録層Ln上のトラックが隣接トラックに対して重なったり交差するといった事態の発生を防止できるものとなる。
ここで、上記説明からも理解されるように、基準面側サーボフィルタを含む基準面側サーボ制御系(基準面サーボループ)は、通常の外乱成分にも追従する機能を担わせるべきとなる。
この意味で、基準面側サーボ制御系の制御帯域は、通常のサーボ制御とする場合と同等の制御帯域に設定する。具体的に本例の場合、基準面側サーボ制御系の制御帯域は例えば4kHz程度に設定している。
一方、積分器を含むATS制御系(ATSループ)については、上記通常の外乱成分への追従はさせるべきではないので、その制御帯域は、少なくとも上記基準面側サーボ制御系の制御帯域よりも低い周波数帯域に設定する。具体的に本例の場合、ATS制御系の制御帯域としては例えば400Hz程度に設定している。
上記のように基準面サーボループとしてのトラッキングサーボループ(マイナーループ)に対してATS光のトラッキングエラー信号の積分出力(ATS制御系の制御信号)を与えるようにしたATS+によれば、従来のATS単体とした場合に生じていた、先の図6に示したような発散状態を防止することができる。すなわち、記録トラックの重なりや交差の発生を防止することのできるトラッキングサーボ制御を、従来のATS単体とする場合よりも安定的なものとして実現することができる。
なお、ATS+の概念については後に改めて説明する。
<3.実施の形態の位置制御装置の全体構成>

図9及び図10を参照して、本技術の位置制御装置に係る、実施の形態としての記録再生装置10の全体的な構成について説明しておく。
図9は、記録再生装置10が備える主に光学系の構成についての説明図であり、具体的には、記録再生装置10が備える光ピックアップOPの内部構成を主に示している。
先ず、記録再生装置10に装填された多層記録媒体1は、当該記録再生装置10における所定位置においてそのセンターホールがクランプされるようにしてセットされ、図中のスピンドルモータ30による回転駆動が可能な状態とされる。
記録再生装置10には、スピンドルモータ30により回転駆動される多層記録媒体1に対して記録再生のためのレーザ光を照射するための構成として、光ピックアップOPが設けられる。
光ピックアップOP内には、先に説明した記録用レーザ光の光源である記録用レーザ11-1と、ATS・再生時用レーザ光の光源であるATS・再生時用レーザ11-2とが設けられる。
また、基準面Refに形成された位置案内子を利用した位置制御を行うための光である基準面用レーザ光の光源である基準面用レーザ24が設けられる。
また、光ピックアップOPには、記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光と基準面用レーザ光の多層記録媒体1への出力端となる対物レンズ20が設けられ、さらに、ATS・再生時用レーザ光の多層記録媒体1からの反射光を受光するための記録層用受光部23と、基準面用レーザ光の多層記録媒体1からの反射光を受光するためのサーボ光用受光部29とが設けられる。
そして、光ピックアップOPにおいては、記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光を対物レンズ20に導くと共に、該対物レンズ20に入射した多層記録媒体1からの反射光を記録層用受光部23に導くための光学系が形成される。
具体的に、記録用レーザ11-1より出射された記録用レーザ光、及びATS・再生時用レーザ11-2より出射されたATS・再生時用レーザ光は、図のようにコリメートレンズ12を介して平行光となるように変換された後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
偏光ビームスプリッタ13は、このように光源側から入射した記録用レーザ光、ATS・再生時用レーザ光については透過するように構成されている。
偏光ビームスプリッタ13を透過した記録用レーザ光、ATS・再生時用レーザ光は、固定レンズ14、可動レンズ15、及びレンズ駆動部16を有して構成されるフォーカス機構に入射する。このフォーカス機構は、記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光についての合焦位置の調整のために設けられたものであり、これらのレーザ光の光源に近い側が固定レンズ14とされ、該光源から遠い側に可動レンズ15が配置され、レンズ駆動部16によって可動レンズ15側がレーザ光軸に平行な方向に駆動されるように構成されている。
上記フォーカス機構を形成する固定レンズ14及び可動レンズ15を介した記録用レーザ光、ATS・再生時用レーザ光は、図のようにミラー17にて反射された後、1/4波長板18を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
ダイクロイックプリズム19は、その選択反射面が、記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されている。従って上記のように入射した記録用レーザ光、ATS・再生時用レーザ光は、ダイクロイックプリズム19にて反射される。
ダイクロイックプリズム19で反射された記録用レーザ光、ATS・再生時用レーザ光は、図示するように対物レンズ20を介して多層記録媒体1(所要の記録層3)に対して照射(合焦)される。
対物レンズ20に対しては、該対物レンズ20をフォーカス方向(多層記録媒体1に対して接離する方向)、及びトラッキング方向(上記フォーカス方向に直交する方向:ディスク半径方向)に少なくとも変位可能に保持するレンズアクチュエータ21が設けられる。
レンズアクチュエータ21には、フォーカスコイル、トラッキングコイルが備えられ、それぞれに駆動信号(後述するドライブ信号FD、TD)が与えられることで、対物レンズ20をフォーカス方向、トラッキング方向にそれぞれ変位させる。
ここで、上記のように多層記録媒体1に対してATS・再生時用レーザ光が照射されることに応じては、該多層記録媒体1(再生対象とする記録層3)よりATS・再生時用レーザ光の反射光が得られる。
このように得られたATS・再生時用レーザ光の反射光は、対物レンズ20を介してダイクロイックプリズム19に導かれ、該ダイクロイックプリズム19にて反射される。
ダイクロイックプリズム19で反射されたATS・再生時用レーザ光の反射光は、1/4波長板18→ミラー17→フォーカス機構(可動レンズ15→固定レンズ14)を介した後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
このように偏光ビームスプリッタ13に入射するATS・再生時用レーザ光の反射光は、往路と復路とで1/4波長板18を2回通過することで、往路光との比較でその偏光方向が90度回転していることになる。この結果、上記のように入射したATS・再生時用レーザ光の反射光は、偏光ビームスプリッタ13にて反射される。
偏光ビームスプリッタ13にて反射されたATS・再生時用レーザ光の反射光は、集光レンズ22を介して記録層用受光部23の受光面上に集光する。
ここで、記録層用受光部23がATS・再生時用レーザ光の反射光を受光して得られる受光信号のことを、以下、受光信号DT-wrと表記する。
また、光ピックアップOP内には、基準面用レーザ24より出射された基準面用レーザ光を対物レンズ20に導き且つ、該対物レンズ20に入射した多層記録媒体1からの基準面用レーザ光の反射光をサーボ光用受光部29に導くための光学系が形成される。
図示するように、基準面用レーザ24より出射された基準面用レーザ光は、コリメートレンズ25を介して平行光となるように変換された後、偏光ビームスプリッタ26に入射する。偏光ビームスプリッタ26は、このように基準面用レーザ24側から入射した基準面用レーザ光(往路光)は透過するように構成される。
偏光ビームスプリッタ26を透過した基準面用レーザ光は、1/4波長板27を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
先に述べたように、ダイクロイックプリズム19は記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光と同波長帯の光は反射しそれ以外の波長による光は透過するように構成されているため、基準面用レーザ光はダイクロイックプリズム19を透過し、対物レンズ20を介して多層記録媒体1(基準面Ref)に照射される。
また、このように多層記録媒体1に基準面用レーザ光が照射されたことに応じて得られる基準面用レーザ光の反射光(基準面Refからの反射光)は、対物レンズ20を介した後ダイクロイックプリズム19を透過し、1/4波長板27を介して偏光ビームスプリッタ26に入射する。
先のATS・再生時用レーザ光の場合と同様に、このように多層記録媒体1側から入射した基準面用レーザ光の反射光は往路と復路とで1/4波長板27を2回通過しているためその偏光方向が往路光との比較で90度回転しおり、従って上記基準面用レーザ光の反射光は偏光ビームスプリッタ26にて反射される。
偏光ビームスプリッタ26にて反射された基準面用レーザ光の反射光は、集光レンズ28を介してサーボ光用受光部29の受光面上に集光する。
ここで、サーボ光用受光部29が基準面用レーザ光の反射光を受光して得られる受光信号については、受光信号DT-refと表記する。
ここで、先の図1に示したように多層記録媒体1は、記録層形成領域5の下層側に対して基準面Refが設けられるので、記録時には、このように記録層形成領域の下層側に設けられた基準面Refに対して基準面用レーザ光が合焦するように対物レンズ20のフォーカスサーボ制御が行われ、且つ記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光については、ATS・再生時用レーザ光の反射光に基づくフォーカスサーボ制御によって先のフォーカス機構(レンズ駆動部16)を駆動することで、記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光が基準面Refよりも上層側に形成された記録層3に合焦するように対物レンズ20に入射する記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光のコリメーション状態が調整されることになる。
また、再生時におけるATS・再生時用レーザ光のトラッキングサーボ制御については、該ATS・再生時用レーザ光のスポットを、再生対象とする記録層3に形成されたマーク列に追従させるようにして行う。すなわち、再生時におけるATS・再生時用レーザ光についてのトラッキングサーボ制御は、当該ATS・再生時用レーザ光の反射光に基づき対物レンズ20の位置を制御することで実現できる。
なお、再生時のフォーカスサーボ制御は、記録時と同様でよい。
図10は、実施の形態の記録再生装置10全体の内部構成を示している。
なお図10において、光ピックアップOPの内部構成については、図9に示した構成のうち記録用レーザ11-1、ATS・再生時用レーザ11-2、レンズ駆動部16、及びレンズアクチュエータ21のみを抽出して示している。
またこの図では、図9に示したスピンドルモータ30の図示は省略している。
図10において、記録再生装置10における光ピックアップOPの外部には、記録処理部31、発光駆動部32、発光駆動部33、マトリクス回路34、再生処理部35、記録層用サーボ回路36、フォーカスドライバ37、積分器38、信号生成回路39、アドレス検出部40、加算部41、基準面用サーボ回路42、アクチュエータドライバ43、スライド駆動部44、スライドドライバ45、及びコントローラ46が設けられている。
記録処理部31は、入力される記録データに応じた記録変調符号を生成する。具体的に記録処理部31は、入力される記録データに対してエラー訂正符号の付加や所定の記録変調符号化処理を施すなどして、記録層Lnを対象として実際に記録されるべき例えば「0」「1」の2値データ列である記録変調符号列を得る。
このとき、記録処理部31は、後述するコントローラ46からの指示に応じて、記録データに対するアドレス情報(記録層アドレスAD_wr)の付加処理も行う。
記録処理部31は、生成した記録変調符号列に基づく記録信号を発光駆動部32に与える。
発光駆動部32は、記録時において記録処理部31より入力される記録信号に基づくレーザ駆動信号D-1を生成し、該駆動信号D-1に基づき記録用レーザ11-1を発光駆動する。これにより記録層Lnに対し記録データに応じたマーク列を記録できる。
発光駆動部33は、図中のレーザ駆動信号D-2により、ATS・再生時用レーザ11-2を再生パワーにより連続発光させる。
マトリクス回路34は、先の図11に示した記録層用受光部23としての複数の受光素子からの受光信号DT-wr(出力電流)に基づき、RF信号(再生信号)、フォーカスエラー信号FE-wr、トラッキングエラー信号TE-wrを生成する。
フォーカスエラー信号FE-wrは、記録/再生対象とされた記録層3(Ln)に対するATS・再生時用レーザ光のフォーカス誤差を表す信号となる。またトラッキングエラー信号TE-wrは、記録層Lnに形成されたトラックに対するATS・再生時用レーザ光のスポット位置の半径方向における位置誤差を表す信号となる。
なお本例の場合、トラッキングエラー信号TE-wrとしてはDPD(Differential Phase Detection)法によるトラッキングエラー信号を生成するものとしている。
なお、先の説明からも理解されるように、本例では記録層用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御は、記録時/再生時ともにATS・再生時用レーザ光の反射光に基づき行われる(レンズ駆動部16を制御対象とする)ので、フォーカスエラー信号FE-wrについては、記録時と再生時の双方において利用されるものとなる。
また、トラッキングエラー信号TE-wrは、記録時にはATS+としてのトラッキングサーボ制御、再生時にはATS・再生時用レーザ光を記録層Ln上の再生対象マーク列に追従させるためのトラッキングサーボ制御に利用されることになる。
マトリクス回路34で得られたRF信号は再生処理部35に、またフォーカスエラー信号FE-wr、及びトラッキングエラー信号TE-wrは記録層用サーボ回路36にそれぞれ供給される。
またトラッキングエラー信号TE-wrは、積分器38にも入力される。
再生処理部35は、RF信号に対する2値化処理、及び記録変調符号の復号化やエラー訂正処理等の所定の復調処理を施すことで、先の記録データを復元した再生データを得る。
また、再生処理部35では、記録データ中に挿入された記録層アドレスAD_wrの再生(検出)処理も行う。再生処理部35で検出された記録層アドレスAD_wrは、コントローラ46に供給される。
記録層用サーボ回路36は、フォーカスエラー信号FE-wr、トラッキングエラー信号TE-wrに対するサーボ演算処理を行ってフォーカスサーボ信号FS-wr、トラッキングサーボ信号TS-wrをそれぞれ生成する。
ここで、再生時における対物レンズ20のトラッキングサーボ制御は、記録層Lnからの反射光のみに基づき行われるものである。すなわち、記録層用サーボ回路36によるトラッキングサーボ信号TS-wrは、再生時に対応して用いられる。
トラッキングサーボ信号TS-wrは、後述するスイッチSW2に供給される。
一方、フォーカスサーボ信号FS-wrは、フォーカスドライバ37に供給される。フォーカスドライバ37は、フォーカスサーボ信号FS-wrに基づくフォーカスドライブ信号FD-wrを生成し、該フォーカスドライブ信号FD-wrに基づきレンズ駆動部16を駆動する。
これにより、記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御(記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ光を対象とする記録層3に合焦させるフォーカスサーボ制御)が実現される。
ここで、記録層用サーボ回路36は、スライド駆動部44による光ピックアップOPのスライド移動についての制御を行うことが可能に構成される。
スライド駆動部44は、光ピックアップOP全体をトラッキング方向にスライド駆動可能に保持する。
記録層用サーボ回路36は、再生時において、トラッキングエラー信号TE-wrの低域成分を抽出してスライドエラー信号を生成し、該スライドエラー信号に基づくスライドサーボ信号を生成する。そして、該スライドサーボ信号をスライドドライバ45に与えてスライド駆動部44を駆動させることで、光ピックアップOPのスライドサーボ制御を実現する。
また、記録層用サーボ回路36は、コントローラ46からの指示に応じ、トラッキングサーボをオフとしてATS・再生時用レーザ光のスポットを他のトラックにジャンプさせるためのジャンプパルスをスイッチSW2に出力して、トラックジャンプ動作の実行制御も行う。
積分器38は、図8で説明した積分器に相当し、トラッキングエラー信号TE-wrを積分する。積分器38による積分出力は、図のようにスイッチSW1に供給される。
続いて、基準面用レーザ光の反射光を受光して得られる受光信号DT-refに係る信号処理系について説明する。
信号生成回路39は、図11に示した基準面用受光部29における複数の受光素子からの受光信号DT-refに基づき、フォーカスエラー信号FE-ref、トラッキングエラー信号TE-ref、及び基準面Refに記録された絶対位置情報(半径位置情報、回転角度情報:基準面アドレスAD-refとも表記する)を検出するためのアドレス検出用信号Dpsを生成する。
フォーカスエラー信号FE-refは、基準面Ref(反射膜7の反射面)に対する基準面用レーザ光のフォーカス誤差を表す信号である。また、トラッキングエラー信号TE-refは、基準面Refに形成された位置案内子(トラック)に対する基準面用レーザ光のスポット位置のトラッキング方向位置誤差を表す信号である。
アドレス検出用信号Dpsとしては、例えば基準面アドレスAD-refがピット列により記録される場合には和信号(sum信号)を生成する。或いは、ウォブリンググルーブにより基準面アドレスAD-refが記録される場合にはプッシュプル信号を生成する。
アドレス検出用信号Dpsは、アドレス検出部40に供給される。アドレス検出部40は、アドレス検出用信号Dpsに基づき基準面Refに記録された基準面アドレスAD-refを検出する。検出された基準面アドレスAD-refはコントローラ46に対して供給される。
信号生成回路39で生成されたフォーカスエラー信号FE-refは、基準面用サーボ回路42に対して供給される。
また、信号生成回路39で生成されたトラッキングエラー信号TE-refは、加算器41に入力される。この加算器41には、前述したスイッチSW1がオンとされた場合に積分器38による積分出力が入力され、これによりトラッキングエラー信号TE-refと上記積分出力とが加算される。
加算器41の出力は、基準面用サーボ回路42に供給される。
基準面用サーボ回路42は、フォーカスエラー信号FE-refに対しサーボ演算処理を施してフォーカスサーボ信号FS-refを生成すると共に、加算器41の出力信号(トラッキングエラー信号TE-ref、又はトラッキングエラー信号TE-refと積分器38の積分出力との加算信号)にサーボ演算処理を施してトラッキングサーボ信号TS(TS-ref又はTS-ats+)を生成する。
フォーカスサーボ信号FS-refは図のようにアクチュエータドライバ43に供給される。
また、トラッキングサーボ信号TS-ref、又はトラッキングサーボ信号TS-ats+は、前述したスイッチSW2に供給される。
アクチュエータドライバ43は、フォーカスサーボ信号FS-refに基づきフォーカス駆動信号FDを生成し、該フォーカス駆動信号FDに基づいてレンズアクチュエータ21のフォーカスコイルを駆動することで、対物レンズ20についてのフォーカスサーボ制御を実現する。
またアクチュエータドライバ43は、スイッチSW2から出力されるトラッキングサーボ信号TS-wr、又はトラッキングサーボ信号TS(TS-ref又はTS-ats+)に基づきトラッキング駆動信号TDを生成し、該トラッキング駆動信号TDに基づいてレンズアクチュエータ21のトラッキングコイルを駆動することで、対物レンズ20についてのトラッキングサーボ制御を実現する。
なお、スイッチSW2の具体的な切り替え制御については後述する。
また、基準面用サーボ回路42は、コントローラ46からの指示に応じ、トラッキングサーボループをオフとして、基準面用レーザ光のスポットを他のトラックにジャンプさせるためのジャンプパルスをスイッチSW2に出力して、トラックジャンプ動作の実行制御を行う。
また基準面用サーボ回路42は、コントローラ46からの指示に応じ、スライド駆動部44のスライド動作を制御する。具体的に、トラッキングサーボ制御の実行中においては、対物レンズ20の中心を中心軸c(図3を参照)に一致させるための制御信号をスライドドライバ45に与え、また前述したシーク時には目標アドレスに応じた位置に光ピックアップOPが移動されるように制御信号をスライドドライバ45に与える。
ここで、これまでの説明からも理解されるように、多層記録媒体1に対する記録/再生を行う際に対応して行われる位置制御の態様としては、以下の4つに大別できる。

・基準面シーク時
→スライド移動制御や基準面Ref上でのトラックジャンプ制御
・記録時(記録中:但し図5で示したようなATSガイド用トラックの記録は除く)
→ATS+
・記録層シーク(基準面シーク後に記録層用レーザ光を用いて行うシーク)時
→少なくとも記録層Ln上でのトラックジャンプ制御
・再生時(再生中)
→トラッキングサーボ信号TS-wr単体によるトラッキングサーボ制御(ATS・再生時用レーザ光を記録層Ln上のトラックに追従させるサーボ制御)
スイッチSW1及びスイッチSW2は、これら4つの各態様に応じて、アクチュエータドライバ43への出力信号を切り替えるために設けられたものとなる。
具体的に、スイッチSW1は、基準面シーク時に用いられるべきトラッキングサーボ信号TS-refの生成と、記録時に対応して実行されるATS+を実現するためのトラッキングサーボ信号TS-ats+の生成との切り替えを実現するために設けられたものとなる。
スイッチSW1は、基準面シーク時に対応してコントローラ46によりオフとされ、これにより基準面シーク時には、基準面用サーボ回路42にてトラッキングエラー信号TE-ref単体に基づくトラッキングサーボ信号TS-refが生成され、該トラッキングサーボ信号TS-refがスイッチSW2に入力される。
またスイッチSW1は、記録時に対応してコントローラ46によりオンされ、これによって記録時には、基準面用サーボ回路42にてトラッキングエラー信号TE-refと積分器38の積分出力とが加算された信号に基づくトラッキングサーボ信号TS-ats+が生成され、該トラッキングサーボ信号TS-ats+がスイッチSW2に入力される。
その上で、スイッチSW2は、基準面シーク時及び記録時に対応して、記録層用サーボ回路36からの出力信号と基準面用サーボ回路42の出力信号とのうち、基準面用サーボ回路42からの出力信号を選択するようにされる。このようなスイッチSW2の選択と、上記のようなスイッチSW1のオン/オフ動作とにより、基準面シーク時には、トラッキングサーボ信号TS-refがアクチュエータドライバ43に与えられ、また記録時には、トラッキングサーボ信号TS-ats+がアクチュエータドライバ43に与えられるものとなる。
また、スイッチSW2は、記録層シーク時及び再生時に対応して、記録層用サーボ回路36からの出力信号と基準面用サーボ回路42の出力信号とのうち記録層用サーボ回路36からの出力信号を選択するようにされる。これにより記録層シーク時及び再生時には、アクチュエータドライバ43に対して記録層用サーボ回路36からの出力信号(トラッキングサーボ信号TS-wrやトラックジャンプパルス等)が与えられることになる。
このようなスイッチSW1及びSW2の制御が行われることで、上記の基準面シーク時、記録時、記録層シーク時、再生時の各場合に対応した態様による位置制御が実現される。
コントローラ46は、例えばCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ(記憶装置)を備えたマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM等に記憶されたプログラムに従った制御・処理を実行することで、記録再生装置10の全体制御を行う。
例えばコントローラ46は、アドレス検出部40より入力される基準面アドレスAD_refに基づいて基準面用サーボ回路38に対する指示を行って、基準面用レーザ光のスポット位置を所定の基準面アドレスAD_refに移動させるシーク動作制御(基準面シーク動作制御)を行う。
またコントローラ46は、再生処理部35より入力される記録層アドレスAD_wrに基づいて記録層用サーボ回路36に対する指示を行って、ATS・再生時用レーザ光のスポット位置を所定の記録層アドレスAD_wrに移動させるシーク動作制御(記録層シーク動作制御)を行う。
またコントローラ46は、記録時に対応しては、ATS+によるトラッキングサーボ制御が実行されるべく、スイッチSW1をオンとして基準面用サーボ回路42にトラッキングエラー信号TE-refと積分器38の積分出力とが加算された信号を入力させると共に、スイッチSW2に基準面用サーボ回路42による出力信号を選択させる。
またコントローラ46は、再生時に対応しては、ラッキングサーボ信号TS-wr単体によるトラッキングサーボ制御が実行されるべく、スイッチSW2に記録層用サーボ回路36による出力信号を選択させる。
ここで、所要の記録層Lnに対する記録開始時には、先の図5に示したようなガイド用トラックの形成が行われる。具体的にこの場合は、基準面シークが行われた後に、該ガイド用トラックを形成してからATS+をかけることになる。
このように基準面シーク後にガイド用トラックを形成する場合、コントローラ46は、基準面シークの完了に応じ、トラッキングサーボ信号TS-refに基づくトラッキングサーボ制御下(つまりスイッチSW1はオフ、スイッチSW2が基準面用サーボ回路42による出力信号を選択状態)で、記録処理部31に対する指示を行って上記ガイド用トラックの記録を開始させる。そして、少なくとも1周分のガイド用トラックの記録が完了したことに応じ、スイッチSW1をオンとすることで、ATS+としてのトラッキングサーボの引き込み(隣接トラックサーボ用スポットSatsを記録トラックに追従させるためのサーボ引き込み)を実行させ、ATS+による記録を開始させる。
また、再生開始時には、コントローラ46は、基準面シークの完了に応じて、トラッキングサーボ信号TS-wr単体によるサーボ制御への切り替えが行われるべく、スイッチSW2に対し、それまでの基準面用サーボ回路42による出力信号の選択状態から、記録層サーボ回路36による出力信号(トラッキングサーボ信号TS-wr)の選択状態に切り替えが行われるように指示を行う。そしてこの切り替えに応じてトラッキングサーボの引き込みが行われた後、必要に応じ、記録層用サーボ回路36に指示を行って記録層シーク動作を実行させ、所定の再生開始位置からの再生が開始されるようにする。
なお、本実施の形態では、積分器38に入力されるトラッキングエラー信号TE-wrに対しオフセットを与えるための構成が付加されることになるが、これについては後に改めて説明する。
<4.ATS+の詳細とその問題点>

図11は、図10に示したATS+制御系の構成を概念化(伝達関数によるモデル化)して示している。
この図11に示すように、図10に示したATS+制御系は、概念化すると、制御器50、制御対象51、加減算器52、加算器53、遅延要素54、加算器55、減算器56、及び積分器57を有して構成されるものと表すことができる。
制御器50は、図10に示した基準面用サーボ回路42に相当し、制御対象51はレンズアクチュエータ21に相当するものとなる。また、積分器57は積分器38に相当する。
ここで、図のように制御器50の伝達関数は「K(z)」と表し、制御対象51の伝達関数は「P(z)」と表す。また積分器57の伝達関数は「{T/(1−z-1)}Ki」と表す。
また、図中の「ewr」は、図10にて説明したトラッキングエラー信号TE-wrに相当する信号となる(以下、トラッキングエラー信号ewrと表記)。また、図中の「eref」は、図10に示した加算器41で得られる「トラッキングエラー信号TE-refと積分器38の積分出力との加算信号」に相当する信号(以下、トラッキングエラー信号erefと表記)となる。
トラッキングエラー信号ewrを用いたサーボループがATSループであり、トラッキングエラー信号erefを用いたサーボループが基準面サーボループである。
ここで、積分器57(積分器38)による積分出力は「ui」と表す(以下、積分器出力uiとも表記)。
図中、制御対象51からの出力として表された「yr」は、基準面用レーザ光のスポット位置を表すものである。
隣接トラックサーボ用スポットSatsの位置である「yb」は、基準面用レーザ光のスポット位置yrに、図のようにスポットずれdpが加算されたものと表すことができる(図中加算器53)。このスポットずれdpは、対物レンズ20のレンズシフト等で生じる基準面用レーザ光と記録層用レーザ光とのスポット位置ずれを意味するものである。
トラッキングエラー信号ewrは、図中の減算器56により、記録済みトラック位置rと隣接トラックサーボ用スポットSatsの位置ybとの差分として得られるものである。
記録済みトラック位置rは、隣接トラックサーボ用スポットSatsの位置ybを遅延要素54としての「z-k」で1周分ディレイさせた1周前のトラック位置ypに対し、隣接トラックサーボ用スポットSatsと記録用スポットSwrとのスポット間距離lpを加えて得られる(加算器55)。
このように得られるトラッキングエラー信号ewrが積分器57で積分され、該積分器57の出力uiが加減算器52にて基準面サーボループに加算される。
具体的に、加減算器52には、基準面用レーザ光のスポット位置yrと、積分器出力uiと、目標トラック位置とが入力され、目標トラック位置から基準面用レーザ光のスポット位置yrが減算された値に積分器出力uiが加算されてトラッキングエラー信号erefが得られる。なお、目標トラック位置は、時間経過と共に(つまり記録進行に伴い)その値が上昇する(スパイラル記録のため)。
上記のようにして得られるトラッキングエラー信号erefに基づき、制御器50が制御対象51を制御することになる。
上記のような構成においては、積分器57により高域が抑えられることで、先の図6に示したような発散が防止されて安定的なトラッキングサーボが実現される。
ところで、上記のATS+制御系のように、記録用スポットSwrと隣接トラックサーボ用スポットSatsとを用いたATSによるトラッキングサーボを行うサーボ制御系では、記録層3におけるトラックピッチは、スポット間距離lpにより決定されるもとなる。
しかしながら、現実問題としてこのスポット間距離lpを精度良く光学調整することは難しく、目標とする距離に対して例えば5%〜10%程度の調整誤差が生じてしまうことになる。
前述もしたように、この誤差が、例えばスポット間距離lpが記録層3の規定のトラックピッチに対して5%大となるように生じたとすると、100トラック記録すべきところに95トラックしか記録を行うことができず、この場合には規定の記録容量を確保することができないものとなってしまう。
<5.実施の形態としての位置制御手法>

本実施の形態では上記の問題点に鑑み、ATS+制御系において、隣接トラックサーボ用のレーザ光の戻り光に基づき生成されるトラッキングエラー信号(ewr,TE-wr)に対しオフセットを与えることで、記録層3のトラックピッチ(記録用スポットSwrが形成するトラックのピッチ)を調整するという手法を採る。
このような記録層3のトラックピッチ調整によって、スポット間距離lpが規定のトラックピッチと一致しない場合にも、記録層3のトラックピッチを規定トラックピッチに一致させる補正を可能にするものである。
ここで、図12を参照して、スポット間距離lpが規定トラックピッチ(基準面Refのトラックピッチ)に一致していない場合のATS+制御系の挙動について説明しておく。
図12において、図12Aはスポット間距離lpが規定トラックピッチと一致していない場合(具体的には規定トラックピッチよりも大の場合)における目標トラック位置、トラッキングエラー信号ewr、積分器出力uiのそれぞれについての記録開始からの時間経過に伴う変化を示している。
また図12Bには比較として、スポット間距離lpが規定トラックピッチと一致している場合における目標トラック位置、トラッキングエラー信号ewr、積分器出力uiのそれぞれについての記録開始からの時間経過に伴う変化を示す。
ここで、確認のため述べておくと、ATS+制御系は、基準面Refのトラックピッチ(基準面用レーザ光のスポットがトレース目標とすべき基準面Ref上のスパイラルのピッチ)が、記録層3の規定トラックピッチと一致していることを前提として成り立つものである。
先ず、先の説明からも理解されるように、目標トラック位置は、時間経過に伴い次第に上昇していくランプ状の信号となる。
図12Bに示す、スポット間距離lpが規定トラックピッチと一致している場合には、記録開始時点からの時間経過に対してトラッキングエラー信号ewrは0を維持し、またこれに応じ積分器出力uiとしても記録開始時点からの時間経過に対して0を維持する。
一方、スポット間距離lpが規定トラックピッチと一致していない図12Aの場合、隣接トラックサーボ用スポットSatsは先ず目標トラック位置に追従して動くので、スポット間距離lpで決まる記録済みトラック位置rとの位置が合わず、トラッキングエラー信号ewrは、図のように0にはならない。またこれに伴い、積分器出力uiも図のように0にはならずランプ状信号となる。この積分器出力uiが目標トラック位置に足し込まれて基準面サーボループが動作するため、隣接トラックサーボ用スポットSatsは次第に記録済みトラックrに近づき、これに伴いトラッキングエラー信号ewrは減少する。但しこのとき、トラッキングエラー信号ewrは図のように0にはならず、また積分器出力uiも或る一定の傾き(スポット間距離lpに応じた傾き)を有するランプ状信号となる。このようなランプ状の積分器出力uiが目標トラック位置に足し込まれることで、トラックピッチが次第にスポット間距離lpとなるように制御される。
ここで、スポット間距離lpが規定トラックピッチ(基準面Refのトラックピッチ)に対して大きければ、積分器出力uiはプラスの傾きを有し、小さければマイナスの傾きを有することになる。
ここで確認のため述べておくと、偏芯に起因したレンズシフトで生じるスポットずれ成分(基準面用レーザ光と記録層用レーザ光との間のスポットずれ成分)は、ATS+制御系には影響を与えないものとなる。
図13は、偏芯についての説明図である。
具体的に図13において、図中の中心ciは、スピンドルモータ30の回転中心を表している。この中心ciに対して多層記録媒体1のディスク中心crが一致していないことにより、偏芯が生じる。図中では、中心crが中心ciと一致している場合(つまり偏芯無しの場合)における基準面Ref上のn本目のトラックTci(破線)と、偏芯が生じた場合の同n本目のトラックTcr(実線)との関係を模式的に例示している。
この前提を踏まえた上で、ATS+をかけ始めるときは、先の図5にて説明したように、基準面サーボをかけながらガイド用トラックを書き、該ガイド用トラックに隣接トラックサーボ用スポットSatsを引き込むことでATS+がかけ始められることとなる。
このとき、ガイド用トラックは、偏芯に伴うスポットずれに依って、基準面Ref上で基準面用レーザ光がトレースしているトラックの形状とは異なる形状で書かれることになるが、上記のように隣接トラックサーボ用スポットSatsがガイド用トラックに引き込まれたとき、トラッキングエラー信号TE-wr(ewr)の値は0となる。
そしてこのとき、基準面Ref上では基準面用レーザ光のスポットが基準面Ref上のトラックに追従している(上述のようにガイド用トラックは基準面サーボ下で書かれるものである)ので、トラッキングエラー信号TE-ref(及びeref)としてもその値は0である。
このように、偏芯によるスポットずれが生じていても、ATS+をかけ始めたタイミングではトラッキングエラー信号ewr及びerefは共にその値が0となるものである。
その後、ATS+による記録が進行しても、偏芯の発生態様は変化しない(記録中はディスク付け替えはないため)ので、結果、トラッキングエラー信号ewr及びerefの値は偏芯によるスポットずれに対して0を維持することになる。
このようにして、偏芯に伴うスポットずれは、ATS+制御系には影響を与えない(つまり偏芯に伴うスポットずれは積分器出力uiに変化を与えない)ものである。
偏芯以外の他の要素(チルトやスレッドのガタ)に起因したスポットずれは、ATS+制御系に影響を与える。
これらの要因によるスポットずれが生じた場合には、積分器出力uiが0から変化し、基準面サーボループの制御目標値にオフセットが与えられる(つまり基準面用レーザ光のスポット位置が目標トラック位置からオフセットする)ことになる。このことで、隣接トラックサーボ用スポットSatsがサーボ対象とする記録トラックから外れてしまうことが防止され、サーボ制御状態が維持されるものである。
なお図示による説明は省略したが、本例の場合は、レンズアクチュエータ21が対物レンズ20を傾けることが可能に構成されているとものとし、対物レンズ20を傾けることによるチルト補正が実行されて、チルトに伴うスポットずれの発生が防止されているものとする。
ここで、図11及び図12の説明からも理解されるように、ATS+制御系において、トラッキングエラー信号ewrにオフセットを与えることによっては、隣接トラックサーボ用スポットSatsのトレース位置を、記録済みトラック位置r(記録用スポットSwrが書いた1本前のトラックのセンター位置)からオフセットさせることができる。つまりこのことで、記録用スポットSwrにより記録されるトラックのピッチを調整することができるものである。
具体的に、本実施の形態では、以下のような手法によりトラックピッチを調整することで、トラックピッチを規定トラックピッチに一致させる補正を実現する。
図14は、実施の形態のトラックピッチ補正手法の概要についての説明図である。
この図14に示すように、本実施の形態では、トラッキングエラー信号ewrに与えられるべきオフセット(図中offset)を生成するオフセット生成部69Aを設け、該オフセット生成部69Aが生成したオフセットを、減算器56と積分器57との間に挿入したオフセット付与部69Bによりトラッキングエラー信号ewrに与える。
ここで、オフセット生成部69Aによるオフセットの生成に用いる信号としては、図のように、積分器出力ui、トラッキングエラー信号eref、基準面アドレス誤差を挙げることができる。
これらのうち、トラッキングエラー信号erefを用いる手法、すなわち基準面サーボループの制御目標値(積分器出力uiが加算された制御目標値)を用いる手法は、最も直接的な手法と言うことができる。
また、積分器出力uiを用いる手法は、トラッキングエラー信号erefを用いる手法の代替的な位置付けと言える。つまり、基準面サーボループの動作を考えると、積分器出力uiは基準面サーボループへの指令値であり、トラッキングエラー信号erefは、−uiとなるように制御される。従って、基準面サーボループの時定数が十分に小さいとすると、トラッキングエラー信号erefの代わりに積分器出力uiを用いることが可能であることが理解できる。
ここで、基準面アドレス誤差について説明しておく。
この基準面アドレス誤差とは、その時点で検出される基準面アドレスAD-refと、以下で説明する「理想基準面アドレス」との誤差と定義されるものである。
先に説明したように、記録層Lnに対する記録を開始するにあたっては、先ずは基準面アドレスAD-refで特定される記録開始位置に基準面シークを行うようにされる。
基準面アドレスAD-refによる記録開始位置が定まっていれば、記録開始時点からの経過時間に基づき、現在位置しているべき基準面アドレスAD-refの情報を算出できる。このように記録開始からの経過時間に基づき算出可能な、現在位置しているべき基準面アドレスAD-refのことを、「理想基準面アドレス」と定義する。
基準面アドレス誤差は、その時点において実際に検出されている基準面アドレスAD-refと、同時点に対応して算出される理想基準面アドレスとの差分を意味する。
基準面アドレス誤差の値は、図10に示したコントローラ46が、アドレス検出部40から入力される基準面アドレスAD-refに基づき逐次算出する。
なお確認のため述べておくと、この基準面アドレス誤差は、基準面用レーザ光のスポット位置yrと目標トラック位置との誤差をアドレス単位で表したものとも換言できるものである。
このような基準面アドレス誤差を用いたオフセットの生成手法は、前述の2手法と比較して分解能が荒くなるが、実際上は、前2手法を採用した場合にはサーボループのゲインのキャリブレーションなど精度に影響を与える要因が大きいため、基準面アドレス誤差を用いる手法の方が正確な補正の実現の上で有利となる場合があると言える。
また、入力信号に基づくオフセットの具体的な生成手法については、下記のものを挙げることができる。
すなわち、比例要素、積分要素、これら比例要素と積分要素とを組み合わせた比例・積分要素、及びステップ値制御によるオフセット生成である。
以下、具体的な補正手法の例を、第1〜第4の実施の形態として説明していく。
[5-1.第1の実施の形態]

図15は、第1の実施の形態としてのATS+制御系の構成の概念図である。
なお、以下の説明において、これまでで説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
第1の実施の形態は、オフセットの生成のための信号として積分器出力uiを用い、該積分器出力uiに基づくオフセットの生成を、比例要素により行う例である。
具体的に、第1の実施の形態では、図のように積分器出力uiに比例要素61により係数Kpを乗じてオフセットを生成する。そしてこのオフセットを、減算器60によってトラッキングエラー信号ewrから減じ、その結果を積分器57に入力する。
ここで、図16Aは、図15に示されるトラックピッチ補正系の構成を抽出して示している。
この図16Aに示す補正系の構成は、図16Bに示すように、「TKi/{(1+TKi)−z-1}」で表される一次遅れ要素62に変形できる。このことは、第1の実施の形態としての補正系は、この一次遅れ要素62で代替できることを意味する。
第1の実施の形態としての補正系を動作させたときの各信号の様子を図17に示す。
図17Aでは、先の図12Aと同様に目標トラック位置、トラッキングエラー信号ewr、積分器出力uiのそれぞれについて、時間経過に伴う変化を示し、図17Bでは、目標トラック位置と基準面用レーザ光のスポット位置yrとの関係を示している。
なおこの図でも、先の図12Aの場合と同様、スポット間距離lpが規定トラックピッチよりも大であることが前提とされているとする。
図17Aに示されるように、本実施の形態の補正系を動作させることにより、積分器出力uiの傾きは0に収束する。また、トラッキングエラー信号ewrについてはその値が0に収束することになる。
これにより、図17Bに示すように、位置yrは目標トラック位置に対して一致することはないが、その傾き、すなわちトラックピッチが同じになる直線に収束し、オフセットによりトラックピッチが規定ピッチに補正されることになる。
このように第1の実施の形態によれば、積分器出力uiを或る一定値に収束させる、すなわちその傾きを0に収束させることでき、トラックピッチを規定ピッチ(基準面Refのトラックピッチ)に一致させることができる。
このようなトラックピッチ補正が実現されることで、スポット間距離lpの誤差により規定の記録容量を確保できないなどの事態の発生を防止でき、記録容量のばらつきを効果的に抑制できる。
ここで、上記では、トラックピッチ補正系の構成を概念図により示したが、実際におけるトラックピッチ補正系の構成は以下のようになる。
図18は、第1の実施の形態の記録再生装置10が備えるトラックピッチ補正系の構成を示した図である。
図18Aは、図16Aに示したトラックピッチ補正系に対応した構成を示し、図18Bは図16Bに示したトラックピッチ補正系に対応した構成を示している。
なお、この図18ではトラックピッチ補正系の構成のみを抽出して示している。トラックピッチ補正系以外の構成については、先の図9,図10で説明したものと同様となるので改めての図示による説明は省略する。
図18Aに示す構成では、積分器38の出力がスイッチSW1と共に乗算器70に供給される。この乗算器70は、積分器38による出力に対して係数Kpを乗じる。
またこの場合、積分器38へのトラッキングエラー信号TE-wrの供給ライン上には減算器71が挿入されており、該減算器71により、乗算器70の出力(つまりオフセット)がトラッキングエラー信号TE-wrから減じられ、その結果が積分器38に入力される。
また、図18Bに示す構成では、先の図10に示した構成との比較で、積分器38に代えてフィルタ部72が設けられる。
該フィルタ部72は、先の図16Bに示した一次遅れ要素62に相当するものであり、トラッキングエラー信号TE-wrに「TKi/{(1+TKi)−z-1}」で表される計算処理を施す。
このフィルタ部72による出力が、スイッチSW1に供給される。
[5-2.第2の実施の形態]

続いて、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、オフセット生成のための信号としてトラッキングエラー信号erefを用い、オフセットの生成を比例・積分要素により行うものである。
図19は、第2の実施の形態のATS+制御系の構成の概念図である。
第2の実施の形態では、図のようにトラッキングエラー信号erefが、「Kp+T/(1−z-1)×Kj」で表される比例・積分要素63に入力される。そして、この比例・積分要素63で生成されたオフセットが、減算器60によってトラッキングエラー信号ewrから減じられ、その結果が積分器57に入力される。
この第2の実施の形態のトラックピッチ補正系を動作させたときの各信号の様子を図20に示す。なおこの図でも、スポット間距離lpが規定トラックピッチよりも大であることが前提とされているとする。
図20Aは目標トラック位置と基準面用レーザ光のスポット位置yrとの関係を示し、図20Bはオフセットの時間経過に伴う変化を示している。
図19に示した第2の実施の形態のトラックピッチ補正系では、比例・積分要素63が有する積分要素の効果によって、図のように位置yrが目標トラック位置に一致するまでオフセットが変化することになる。このときのオフセットの挙動を見ると、図20Bに示すように、オフセットがマイナスの値をとっている、すなわちトラックピッチが規定トラックピッチより狭くなっている部分があることが分かる。このことで、位置yrを目標トラック位置まで近づけることができるものである。
このように第2の実施の形態によれば、トラックピッチを規定のピッチに戻すのみに留まらず、位置yrを、目標トラック位置まで戻すことができる。
ところで、このときのオフセットの値があまりに小さなマイナスの値となると、トラックピッチが狭くなりすぎ、良好な記録を行うことができなくなる虞がある。或いは、スポット間距離lpが規定トラックピッチよりも小である場合など、逆にオフセットの値が過大となってトラックピッチが広くなりすぎる場合にも、良好な記録を行うことができなくなる虞がある。
そこで、図21に示すように、比例・積分要素63で生成されるオフセットに対して飽和処理64を施してもよい。すなわち、該飽和処理64により、オフセットの値(絶対値)が所定値を超えないように制御するものである。
このことで、トラックピッチが狭くなり過ぎる(或いは広くなり過ぎる)ことを効果的に防止できる。
なお、上記では、オフセットの生成にトラッキングエラー信号erefを用いる場合を例示したが、第1の実施の形態のように積分器出力uiを用いても、効果に変わりはない。
図22は、第2の実施の形態の記録再生装置10が備えるトラックピッチ補正系の構成を示した図である。
なお、この図22ではトラックピッチ補正系の構成のみを抽出して示し、トラックピッチ補正系以外の構成については先の図9,図10で説明したものと同様となるので図示は省略している。
この場合は、先の図10に示したATS+制御系に対して、図のようにフィルタ部73と飽和処理部74とが追加される。またこの場合も積分器38へのトラッキングエラー信号TE-wrの供給ライン上には、減算器71が挿入される。
フィルタ部73には、加算器41においてトラッキングエラー信号TE-refと積分器38による積分出力とが加算された信号(トラッキングエラー信号erefに相当)が入力される。フィルタ部73は、この入力信号に対して「Kp+T/(1−z-1)×Kj」で表される計算処理を施す。
飽和処理部74は、フィルタ部73の出力に対して飽和処理を施す。すなわち、フィルタ部74の出力信号の値(絶対値)が所定値を超える場合には該所定値を出力し、所定値以下の場合には入力値をそのまま出力する。
この飽和処理部74による出力信号が、減算器71によりトラッキングエラー信号TE-wrより減じられ、その結果が積分器38に入力される。
なお、図22では図21にて説明した飽和処理64を施す場合に対応した構成を例示したが、もちろん、飽和処理部74を省略した構成とすることも可能である。
[5-3.第3の実施の形態]

図23は、第3の実施の形態としてのATS+制御系の概念図である。
第3の実施の形態は、積分器出力uiを用い、ステップ値制御によるオフセット生成を行う例である。
具体的にこの場合は、「+step」としてのステップ値と「−step」としてのステップ値と、さらに「0」とのうち何れかを択一的に出力するスイッチSW3と、入力値を記憶するメモリ67と、該メモリ67の出力とスイッチSW3の出力とを加算した結果をメモリ67に入力する加算器66とが設けられる。その上で、積分器出力uiを入力するオフセット値制御部65が設けられ、該オフセット値制御部65が積分器出力uiに基づきスイッチSW3の切り替え制御を行うことで、オフセットの値が条件に応じて±stepだけ増減されるようにして、オフセットの生成が行われることになる。
この場合も生成されたオフセットは、減算器60によってトラッキングエラー信号ewrから減じられる。
最も簡単なステップ値の増減手法としては、例えば積分器出力uiが増加方向であれば+stepを選択出力させてオフセットの値を増加方向に更新し、逆に積分器出力uiが減少方向であれば−stepを選択出力させてオフセットの値を減少方向に更新するという手法を挙げることができる。
なおこの手法を採る場合は、スイッチSW3に「0」を入力する必要はなく、単に+step/−stepの選択出力ができればよい。
ここで、上記のような±stepを用いたステップ値制御によるオフセット生成が行われる場合の動作イメージを図24に示す。
なおこの図24では目標トラック位置と基準面用レーザ光のスポット位置yrとの関係を示している。
ステップ値制御による補正を行う場合には、補正値であるオフセットが離散的な値をとるので、位置yrも極端に表示するとこの図のように折れ線のような軌跡を描く。
但し、平均的に見れば、位置yrの傾きは目標トラック位置の傾きと平行であり、先の第1の実施の形態の場合と同様に、トラックピッチが規定ピッチ(基準面のトラックピッチ)に一致するように補正されることが分かる。
ここで、オフセットを±stepだけ増減させる具体的な手法としては、以下のような手法を採ることができる。
図25は、第3の実施の形態で採用するオフセットの具体的な増減手法についての説明図である。
先ず、第3の実施の形態で採用するオフセットの具体的な増減手法は、以下のような事情を前提とするものである。
先ず、スパイラル状に記録を進行させるにあたっては、対物レンズ20が、その中心が中心軸c(ニュートラル位置)にある状態から徐々に記録進行半径方向側にシフトされることになる。レンズアクチュエータ21による対物レンズ20の視野振り範囲は有限であるため、例えば前述したスライドサーボのように、スライド駆動部44により光ピックアップOP全体を記録進行半径方向とは逆側に移動させて、対物レンズ20の中心が中心軸c近傍に位置するように制御が為される。
このとき、スライド駆動部44の制御のしかたによっては、比較的大きなレンズシフトが生じる場合があり、このようなレンズシフトの発生に伴い基準面用レーザ光と記録層用レーザ光とのスポットずれが大となる場合がある。すなわち、スライド駆動部44の駆動/静止によるスポットずれの変化量が大となり、これに伴いトラッキングエラー信号ewrや積分器出力uiの変化も大となってしまう。
図25Aでは、このときに得られる積分器出力uiのイメージを示している。なおこの図25A(及び後述する図25B)でもスポット間距離lpが規定トラックピッチよりも大であることを前提としている。
スライド駆動部44が静止されている間は、対物レンズ20が記録進行半径方向側に徐々にシフトされることに伴い積分器出力uiは上昇していく。そして、スライド駆動部44が駆動されると、積分器出力uiは減少に転じる。つまりこの結果、積分器出力uiは図のように三角波状となる。
スライド駆動部44の静止時間が長いと、この三角波の振幅が大となる。
ここで、この三角波の振幅が比較的大であるとき、前述した単純なステップ値制御を行ってしまうと、トラックピッチが過補正となってしまう虞があり、その場合はサーボ外れを誘発する虞がある。
第3の実施の形態で採用するオフセットの増減手法は、このような三角波による影響を除外するためのものである。
図25Bにより、第3の実施の形態で採用するオフセットの増減手法について具体的に説明する。
この手法では、積分器出力uiについて上限Lu及び下限Llを設け、積分器出力uiがこれに達したらオフセットの値をstepにより増減させ、且つ上限Lu及び下限Llを更新する、ということを繰り返し行う。
具体的に、先ず記録開始時(時点t0)には、上限Lu、下限Llとして、図のようにui=0に対し値lmを加算した上限Lu_1、及びui=0に対し値lmを減じた下限Ll_1が設定される。
積分器出力uiが設定された上限Lu、下限Llに達しない場合には、先の図23に示したスイッチSW3に「0」を選択させ、オフセットの値の更新は行わず、また、上限Lu、下限Llの値の更新も行わない。
ここで、記録開始後、時点t1にて、積分器出力uiが上限Lu_1以上になったとする。
これに応じては、先ず、図23に示したスイッチSW3に+stepを選択させ、オフセットをstepだけ増加させる。そしてこれと共に、上限Lu、上限Llを値lmを用いて更新する。具体的に、上限Luについては、それまでの上限Lu_1に値lmを加算した上限Lu_2に更新し、下限Llについても下限Ll_1に値lmを加算した下限Ll_2に更新する。
その後、図中の時点2において、積分器出力uiが上限Lu_2以上になったとする。
これに応じては、スイッチSW3に+stepを選択させ、オフセットをstepだけ増加させる。そしてこれと共に、上限Lu_2に値lmを加算し、また下限Ll_2に値lmを加算することで、上限Lu、下限Llをそれぞれ上限Lu_3、下限Ll_3に更新する。
ここで、図示は省略したが、積分器出力uiが下限Ll以下となった場合には、スイッチSW3に−stepを選択させてオフセットをstepだけ減少させ、且つ、上限Lu、下限Llからそれぞれ値lmを減じて新たな上限Lu、下限Llを設定することになる。
上記のような手法とすることで、記録中のスライド駆動部44の制御に伴う三角波の影響を除いてオフセットの設定を行うことができる。
なおかつ、このオフセットの設定により、トラックピッチを規定ピッチに一致させるように補正できる。
ここで、上記により説明した手法において、積分器出力uiと上限Lu、下限Llとの比較は、積分器出力uiのサンプリング周期ごとに行う必要はなく、例えば多層記録媒体1のn回転に1回など、比較的長い間隔で実行することもできる。
例えば本例では、ディスク1周につき1回のタイミングで上記の比較を行うものとする。
図26は、第3の実施の形態の記録再生装置10が備えるトラックピッチ補正系の構成を示した図である。
この図26においてもトラックピッチ補正系の構成のみを抽出して示し、トラックピッチ補正系以外の構成については先の図9,図10で説明したものと同様となるので図示は省略している。
この場合は、先の図10の構成に対して、オフセット値制御部75、スイッチSW3、加算器76、及びメモリ77が追加される。 またこの場合も、積分器38へのトラッキングエラー信号TE-wrの供給ライン上には、減算器71が挿入される。
スイッチSW3には、「+step」と「−step」と「0」とが入力される。スイッチSW3はオフセット値制御部75からの指示に基づきこれらの入力値のうち何れかを加算器76に択一的に出力する。
加算器76の出力はメモリ77に入力され、メモリ77の出力は減算器71に入力されると共に加算器76にてスイッチSW3の出力と加算される。
この構成では、スイッチSW3にて「0」が選択される場合は減算器71に与えられるオフセットの値は更新されず、「+step」が選択された場合は上記オフセットがstepだけ増加するように更新され、「−step」が選択された場合は上記オフセットがstepだけ減少するように更新される。
またこの場合、積分器38の出力はスイッチSW1と共にオフセット値制御部75に入力され、オフセット値制御部75は該積分器38の出力に基づき以下で説明する処理を行う。
図27は、図26に示すオフセット値制御部75が前述した第3の実施の形態としての補正手法を実現するために実行すべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
図27において、先ずステップS101では、積分器38の出力(ui)が上限Lu以上であるか否かを判別する。
なお先の説明からも理解されるように、記録開始時に設定される上限Lu以の初期値は「lm」である。また、下限Llの初期値は「−lm」である。
ステップS101において、出力uiが上限Lu以上であるとして肯定結果が得られた場合は、ステップS102に進み、オフセットの値を+stepするための処理を行う(offset=offset+step)。具体的には、スイッチSW3に「+step」を選択させ、メモリ77に格納される値(つまりオフセットの値)を更新する。
なお、メモリ77に格納される値を更新した後は、スイッチSW3に「0」を選択させ、「+step」以上の更新が行われないようにする。
ステップS102でオフセットの値を更新した後は、ステップS103において、上限Lu及び下限Llの値を更新する。すなわち、図のように「Lu=Lu+lm」「Ll=Ll+lm」により上限Lu及び下限Llの値を更新する。
該ステップS103の更新処理を行った後は、図のように「RETURN」となる。
一方、ステップS101において、積分器38の出力uiが上限Lu以上ではないとの否定結果が得られた場合は、ステップS104に進み、積分器38の出力uiが下限Ll以下であるか否かを判別する。
このステップS104において、積分器38の出力uiが下限Ll以下であるとの肯定結果が得られた場合は、ステップS105に進み、オフセットの値を−stepするための処理を行う(offset=offset−step)。すなわち、スイッチSW3に「−step」を選択させ、メモリ77に格納されるオフセットの値を更新する。
なおこの場合も、メモリ77に格納される値を更新した後は、スイッチSW3に「0」を選択させて、「−step」以上の更新が行われないようにする。
ステップS105にてオフセットの値を更新した後は、ステップS106において上限Lu及び下限Llの値を更新する。すなわち、図のように「Lu=Lu−lm」「Ll=Ll−lm」により上限Lu及び下限Llの値を更新する。
該ステップS106の更新処理を行った後は、図のように「RETURN」となる。
またステップS104において、積分器38の出力uiが下限Ll以下ではないとの否定結果が得られた場合は、図のように「RETURN」となる。つまり、出力uiが上限Lu、下限Llに達しない場合は、オフセットの値は更新されないものである。
なお、先の説明からも理解されるように、本例では図27に示す処理はディスク1周につき1回行うこととしている。
図示は省略したが、この場合のオフセット値制御部75は、スピンドルモータ30で得られるFG(Frequency Generator)信号や、基準面アドレスAD-refに含まれる回転角度情報等を用いて、ディスク1周のタイミングを把握するようにされる。
なお、上記説明では、上限Lu、下限Llの更新を、それまでの上限Lu、下限Llに値lmを与えて行うものとしたが、上限Lu、下限Llの更新は、上限Lu、下限Llに達したことが判明した時点での積分器出力uiに値lmを与えることで行うものともできる。具体的には、ステップS103の更新を「Lu=ui+lm」「Ll=ui+lm」、ステップS106の更新を「Lu=ui−lm」「Ll=ui−lm」とするものである。
[5-4.第4の実施の形態]

図28は、第4の実施の形態のATS+制御系の構成の概念図である。
第4の実施の形態は、条件に応じてオフセットの生成手法を切り替える例である。具体的に第4の実施の形態は、積分器出力uiを用いて比例・積分要素63によりオフセットを生成する手法と、基準面アドレス誤差に基づくステップ値制御によってオフセットを生成する手法とを条件に応じて切り替えて実行するものである。
先ず前提として、第4の実施の形態では、トラックピッチが狭くなって良好な記録が行えなくなることを防ぐため、スポット間距離lpを大きめに設定するものとしている。例えばスポット間距離lpの調整誤差が±5%であれば、調整目標値を規定トラックピッチの+5%としてスポット間距離lpの光学調整を行うことで、スポット間距離lpを規定トラックピッチに対して大きめに設定できる。
また、第4の実施の形態でも、先の図25Aのような記録進行によるレンズシフトに伴うスポットずれが生じることを前提とする。
第4の実施の形態では、上記のようにスポット間距離lpを大きめに設定することに対応して、なるべく早く規定のトラックピッチに収束するように、記録開始時点からの所定期間は、先ず比例・積分要素63によるオフセット生成を行う。
所定期間の経過後は、基準面アドレス誤差に基づくステップ値制御に切り替えることで、急峻にオフセットが変化されることを避けるものとしている。
図28により具体的な構成を見ていく。
先ずこの場合は、積分器出力uiを入力する比例・積分要素63が設けられる。また、ステップ値制御を行うためのスイッチSW3、加算器66、メモリ67が設けられる。また、比例・積分要素63で生成されたオフセットとステップ値制御で生成されたオフセットの何れか一方を減算器60に択一的に出力するスイッチSW4が設けられる。
本例の場合、メモリ67の出力は、図のように飽和処理64を介してスイッチSW4に入力するものとし、ステップ値制御により生成されたオフセットには飽和処理が施される。
その上でこの場合は、スイッチSW4の切り替え制御と、基準面アドレス誤差に基づくスイッチSW3の切り替え制御を行うオフセット値制御部68が設けられる。
上記のような構成により実現する具体的なトラックピッチ補正動作について説明する。
先ず、本例では、比例・積分要素63によるオフセットの生成から基準面アドレス誤差に基づくオフセットの生成への切り替えは、ディスク周回数に基づき行う。具体的に本例では、ディスク5周分の記録を行ってから行う。オフセット値制御部68は、記録開始から5周分の期間の経過に応じて、スイッチSW4の選択状態を比例・積分要素63の出力の選択状態から飽和処理64の出力の選択状態へと切り替える。
ここで、前述のように比例・積分要素63によるオフセット生成は、トラックピッチをなるべく早く規定ピッチに収束させることを目的として行うが、このとき、あまり応答を速くすると、スポットずれdpを十分に抑えきれなくなる虞がある。この点に鑑み、比例・積分要素63における係数Kの大きさは適切に設定する。
またこのとき、対物レンズ20を中心軸c側に戻すための光ピックアップOPのスライド駆動が行われてスポットずれdpが急激に変化した場合に、それにオフセットが応答してしまうと、やはりスポットずれdpを十分に抑えきれなくなる虞がある。この点に鑑み本例では、記録開始からの5周はスライド駆動部44を動かさずスポットずれdpの変化を抑える。
記録開始から5周目以降は基準面アドレス誤差に応じてオフセットをステップ的に更新する。これにより、前述のように急峻にオフセットが変化することを避け、スポットずれdpと干渉しないようにする。
ここで、このような基準面アドレス誤差に基づくステップ値制御としては、単純には、基準面アドレス誤差が増加方向であれば+stepを選択出力させてオフセットの値を増加方向に更新し、逆に基準面アドレス誤差が減少方向であれば−stepを選択出力させてオフセットの値を減少方向に更新するという手法を採ることができる。
但し、このような単純なステップ値制御を行ってしまうと、トラックピッチが狭く/広くなり過ぎてしまう虞がある。
そこで本例では、オフセット値制御部68に積分値出力uiも入力するものとし、該積分器出力uiに基づいて、オフセットの更新を抑える手法を採る。
具体的に、本例では、先ず上記のように基準面アドレス誤差が増加方向のときオフセットを+stepし、基準面アドレス誤差が減少方向のときオフセットを−stepするという手法を前提とした上で、積分値出力uiが極大/極小となるタイミングに着目する。
このように積分値出力uiが極大/極小となるとき、その時点で設定されているオフセットの値が、トラックピッチを規定ピッチに一致させるために必要とされるオフセットの値と考えられる。
そこで、積分値出力が極大/極小となったら、そこでオフセットの更新を停止することで、トラックピッチが狭く/広くなり過ぎるのを防ぐ。
具体的に本例では、積分器出力uiが極大/極小となってからN周はオフセットを更新するが、それ以降は更新を停止するものとする。これにより、N周以降は新たな極値が生じない限り、オフセットの値は変化しないので、ほぼ極値を取ったときのオフセットが保持されるようにすることができる。
この結果、トラックピッチが狭く/広くなり過ぎることを防止しつつ、トラックピッチを規定ピッチに一致させる(この場合はステップ値制御であるので平均的に一致させる)補正を実現できる。
また本例では、メモリ67の出力に対して飽和処理64を施すものとしており、これによってもトラックピッチが狭く/広くなり過ぎることの防止が図られる。
なお、飽和処理64はスイッチSW4と減算器60との間で行うものとすることもできる。その場合は、比例・積分要素63により生成されたオフセットに対しても飽和処理64を施すことができる。
図29は、第4の実施の形態の記録再生装置10が備えるトラックピッチ補正系の構成を示した図である。
この図29においてもトラックピッチ補正系の構成のみを抽出して示し、トラックピッチ補正系以外の構成については先の図9,図10で説明したものと同様となるので図示は省略している。
この場合は、先の図10の構成に対して、比例・積分要素63に相当するフィルタ部73が追加されると共に、スイッチSW3、加算器76、メモリ77、飽和処理部74、及びスイッチSW4が追加される。またこの場合も、積分器38へのトラッキングエラー信号TE-wrの供給ライン上には、減算器71が挿入される。
図のようにフィルタ部73には積分器38の出力(ui)が入力され、該フィルタ部73は、該出力uiに対して「Kp+T/(1−z-1)×Kj」で表される計算処理を施し、その結果をスイッチSW4に出力する。
またこの場合、メモリ77の出力は飽和処理部74を介してスイッチSW4に入力される。
スイッチSW4は、フィルタ部73の出力と飽和処理部74の出力のうち何れか一方をコントローラ46の指示に応じて択一的に出力する。図のようにスイッチSW4の出力は減算器71に入力され、トラッキングエラー信号TE-wrから減じられ、該減算器71の出力が積分器38に入力される。
またこの場合、先の図28で説明したオフセット値制御部68に相当する処理は、コントローラ46により行うものとしている。
コントローラ46は、スイッチSW4の切り替え制御を行う。具体的にコントローラ46は、記録開始時点ではスイッチSW4にフィルタ部73の出力を選択させる。そしてコントローラ46は、記録開始時点からのディスク周回数をカウントし、ディスク5周分の期間が経過したことに応じて、スイッチSW4に飽和処理部74の出力を選択させる。
またコントローラ46には、図のように積分器38の出力uiが入力される。
コントローラ46は、以下で説明する処理を実行することで、図28にて説明したステップ値制御によるオフセットの生成(第4の実施の形態としてのステップ値制御)を実現する。
図30は、図29に示すコントローラ46が第4の実施の形態としての補正手法(特に第4の実施の形態としてのステップ値制御)を実現するために実行すべき具体的な処理の手順を示したフローチャートである。
先ず前提として、コントローラ46が第4の実施の形態のステップ値制御の実現にあたり用いる各値について説明しておく。
先ず、「umax」「umin」は、それぞれその時点での積分器38の出力uiの極大値,極小値を表す値である。
また、「count」は、±stepによりオフセットの値を更新した回数を管理するための更新回数カウント値である。
ここで、先に述べたように、コントローラ46は、アドレス検出部40から入力される基準面アドレスAD-refに基づき基準面アドレス誤差を算出する。
また、本例では、先の第3の実施の形態と同様に、ステップ値制御の実行周期はディスク1周の周期とする。すなわち、この図に示すステップS202〜S231の処理は、ディスク1周の周期で繰り返し実行されるものである。
なお、確認のため述べておくと、この図に示す処理は、コントローラ46がスイッチSW4に飽和処理部74の出力を選択させたことに応じて(つまり本例の場合は記録開始からディスク5周の期間の経過後に)開始されるものである。
また、この図に示す処理は、記録終了に応じて終了となる。
図30において、先ずステップS201では、極大値umax、極小値uminを積分器38の出力uiにセットする。つまり本例であれば、記録開始から5周目の時点で取得された出力uiの値にセットされるものである。
以降のステップS202〜S213の処理は、大別して、積分器38の出力uiと極大値umax、極小値uminとの関係に応じて更新回数カウント値(count)と極大値umax、極小値uminを更新する処理(ステップS202〜S207)と、基準面アドレス誤差と更新回数カウント値とに基づきオフセット(offset)の値を制御するための処理とに分けられる。
先ず、ステップS202では、積分器38の出力uiが極大値umaxより大であるか否かを判別する。
ステップS202にて出力uiが極大値umaxより大であるとの肯定結果が得られた場合には、ステップS203に進み、更新回数カウント値をNに設定する(count=N)。
そして続くステップS204において極大値umaxを出力uiに更新する(umax=ui)。
ステップS204の更新処理を実行した後は、ステップS208に処理を進める。
一方、ステップS202において、積分器38の出力uiが極大値umaxより大ではないとの否定結果が得られた場合は、ステップS205に進み出力uiが極小値uminより小であるか否かを判別する。
ステップS205において、出力uiが極小値uminより小であるとして肯定結果が得られた場合は、ステップS206に進み更新回数カウント値をNに設定(count=N)した後、ステップS207にて極小値uminを積分出力uiに更新する(umin=ui)。
ステップS207の更新処理を実行した後は、ステップS208に処理を進める。
またステップS205において、積分器38の出力uiが極小値uminより小ではないとの否定結果が得られた場合は、その時点での出力uiは、極大点と極小点との間に位置していることとなる。この場合には、更新回数カウント値をNに戻したり極大値umax、極小値uminの更新は行わず、そのままステップS208に処理を進める。
なお以下のステップS208〜S213の説明からも分かるように、このステップS202→S205→S208と抜けるルートにより、極大点/極小点の後のN周でオフセットの更新が停止されるものである。
ステップS208では、更新回数カウント値が0より大であるか(つまり更新回数がNに達していないか)否かを判別する。
ステップS208において、更新回数カウント値が0より大であるとの肯定結果が得られた場合は、ステップS209において、基準面アドレス誤差が増加方向であるか否かを判別する。すなわち今回算出した基準面アドレス誤差が前回算出した基準面アドレス誤差(本例では1周前に算出した基準面アドレス誤差)との比較で増加しているか否かを判別する。
ステップS209において、基準面アドレス誤差が増加方向であるとの肯定結果が得られた場合は、ステップS210にてオフセットを+stepするための処理を行う(offset=offset+step)。つまり、スイッチSW3に「+step」を選択させ、メモリ77に格納される値(つまりオフセットの値)を更新する。
なお、メモリ77に格納される値を更新した後は、スイッチSW3に「0」を選択させ、「+step」以上の更新が行われないようにする。
ステップS210にてオフセットの値を更新した後は、ステップS213にて更新回数カウント値を1デクリメント(count=count−1)し、先のステップS202に戻る。
一方、ステップS209にて基準面アドレス誤差が増加方向ではないとの否定結果が得られた場合は、ステップS211において、基準面アドレス誤差が減少方向であるか否かを判別する。
基準面アドレス誤差が減少方向であるとして肯定結果が得られた場合は、ステップS212に進んでオフセットを−stepするための処理を行う(offset=offset−step)。つまり、スイッチSW3に「−step」を選択させ、メモリ77に格納されるオフセットの値を更新する。なおこの場合も、メモリ77に格納される値を更新した後は、スイッチSW3に「0」を選択させ、「−step」以上の更新が行われないようにする。
当該ステップS212にてオフセットの値を更新した後は、ステップS213にて更新回数カウント値を1デクリメント(count=count−1)し、先のステップS202に戻る。
また、ステップS211において基準面アドレス誤差が減少方向ではないとの否定結果が得られた場合は、基準面アドレス誤差に変化がない(つまり前の周と同じ)ことになる。この場合には、オフセット値の更新(S210,S212)や更新回数のカウントダウン(S213)は行わず、そのまま先のステップS202に戻る。
以上のような処理により、図28を参照して説明した第4の実施の形態としてのステップ値制御を実現でき、トラックピッチが狭く/広くなり過ぎることを防止しつつ、トラックピッチを規定ピッチに(平均的に)一致させる補正を実現できる。
<6.変形例>

以上、本技術に係る実施の形態について説明したが、本技術はこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、基準面アドレス誤差を用いた補正手法として、基準面アドレス誤差が増加方向のときオフセットを+stepし、減少方向のときオフセットを−stepする補正とすることで、トラックピッチを規定ピッチに一致させる場合を例示したが、基準面アドレス誤差は、このようにトラックピッチを規定ピッチに一致させる用途ではなく、位置yrを目標トラック位置に一致させる補正にも用いることができる。
例えば、基準面アドレス誤差が0より大であればオフセットを+stepとし、0より小であればオフセットを−stepとするなどの補正とすることで、位置yrを目標トラック位置に一致させる補正が可能である。
また、基準面アドレス誤差に比例演算、積分演算、比例・積分演算を施してオフセットを生成することも可能である。
また、先の第3の実施の形態では、オフセットの生成に積分器出力ui又はトラッキングエラー信号erefを用いる場合を例示したが、これに代えて基準面アドレス誤差を用いることもできる。
また、第4の実施の形態では、比例・積分要素63によるオフセットの生成に積分器出力uiを用いたが、これに代えてトラッキングエラー信号erefを用いることもできる。
また、第4の実施の形態では、基準面アドレス誤差に基づくステップ値制御を行う場合に積分器出力ui(又はトラッキングエラー信号eref)に基づいてステップ値の更新を制限する手法を例示したが、該手法について、積分器出力uiに代えてトラッキングエラー信号erefを用いることも可能である。
また、これまでの説明では、条件に応じてオフセットの生成手法を切り替える例として、比例・積分演算によるオフセット生成からステップ値制御に切り替えを行う例のみを示したが、例えば比例・積分演算によるオフセット生成から比例演算によるオフセット生成に切り替えるなど、他の手法間での切り替えを行うことももちろん可能である。
また切り替えの条件としても、ディスク周回数に限定されるべきものではない。
また、本技術は以下に示す構成を採ることもできる。
(1)
位置案内子が形成された基準面と、情報記録が行われる記録層とを有する光ディスク記録媒体に対し、上記記録層を対象とした記録用レーザ光と隣接トラックサーボ用レーザとの照射と、上記基準面を対象とした基準面用レーザ光の照射とを、共通の対物レンズを介して行うと共に、上記隣接トラックサーボ用レーザ光と上記基準面用レーザ光の戻り光をそれぞれ受光する光照射・受光部と、
上記対物レンズをトラッキング方向に変位させるトラッキング機構部と、
上記光照射・受光部で得られた上記基準面用レーザ光の戻り光についての受光信号に基づき、上記基準面用レーザ光の照射スポットの上記位置案内子に対するトラッキング誤差を表す基準面トラッキング誤差信号を生成する基準面トラッキング誤差信号生成部と、
上記基準面トラッキング誤差信号に基づいて生成したトラッキングサーボ信号に基づき上記トラッキング機構部を制御する基準面トラッキングサーボ制御部と、
上記光照射・受光部で得られた上記隣接トラックサーボ用レーザ光の戻り光についての受光信号に基づき、上記隣接トラックサーボ用レーザ光の照射スポットの記録トラックに対するトラッキング誤差を表す記録層トラッキング誤差信号を生成する記録層トラッキング誤差信号生成部と、
上記記録層トラッキング誤差信号を積分する積分部と、
上記積分部による積分出力を上記トラッキングサーボ制御部による制御目標値に加算する加算部と、
上記記録層トラッキング誤差信号に対してオフセットを与えることで、上記記録用レーザ光による記録トラックのピッチを調整するピッチ調整部と
を備える位置制御装置。
(2)
上記基準面上の位置を表す基準面アドレスについて、上記記録用レーザ光と上記隣接トラックサーボ用レーザ光との間の距離が規定のトラックピッチに一致している場合に現在位置しているべき基準面アドレスとしての理想基準面アドレスと、上記基準面用レーザ光を受光して検出される現在の基準面アドレスとしての実際上基準面アドレスとの誤差を基準面アドレス誤差としたとき、
上記ピッチ調整部は、
上記積分部による積分出力、該積分出力が加算された上記制御目標値、又は上記基準面アドレス誤差の何れかを用いて上記オフセットを生成する
上記(1)に記載の位置制御装置。
(3)
上記ピッチ調整部は、
上記積分部による積分出力、該積分出力が加算された上記制御目標値、上記基準面アドレス誤差の何れかを用いた比例演算若しくは積分演算若しくは比例・積分演算によって上記オフセットを生成するか、又は上記積分部による積分出力、該積分出力が加算された上記制御目標値、上記基準面アドレス誤差の何れかを用いて場合分けによるステップ値制御によって上記オフセットを生成する
上記(2)に記載の位置制御装置。
(4)
上記記録用レーザ光と上記隣接トラックサーボ用レーザ光のスポット間距離が規定のトラックピッチよりも大に設定されている
上記(1)乃至(3)何れかに記載の位置制御装置。
(5)
上記ピッチ調整部は、
上記記録層トラッキング誤差信号に付される上記オフセットに対して飽和処理を行う
上記(1)乃至(4)何れかに記載の位置制御装置。
(6)
上記ピッチ調整部は、
上記積分部による積分出力、該積分出力が加算された上記制御目標値、又は上記基準面アドレス誤差が設定された上限値以上又は下限値以下となったか否かを判別し、
該判別により肯定結果が得られた場合は上記オフセットを増減させるためのステップ値を更新し且つ上限値及び下限値を更新する
上記(2)乃至(5)何れかに記載の位置制御装置。
(7)
上記ピッチ調整部は、上記ステップ値の更新をディスク1周につき1回行う
上記(3)又は(6)何れかに記載の位置制御装置。
(8)
上記ピッチ調整部は、
上記基準面アドレス誤差に基づいたステップ値制御を行うと共に、上記積分部の積分出力又は上記トラッキング誤差信号の何れかに基づいて上記ステップ値制御で行うステップ値の更新を制限する
上記(3)に記載の位置制御装置。
(9)
上記ピッチ調整部は、上記オフセットの生成手法を条件に応じて切り替える
上記(3)に記載の位置制御装置。
(10)
上記ピッチ調整部は、
上記積分部による積分出力又は該積分出力が加算された上記制御目標値を用いた比例・積分演算による上記オフセットの生成手法から、上記ステップ値制御による上記オフセットの生成手法に切り替えを行う
上記(9)に記載の位置制御装置。
(11)
上記ピッチ調整部は、
上記ステップ値制御による上記オフセットの生成を上記基準面アドレス誤差に基づき行う
上記(10)に記載の位置制御装置。
(12)
上記ピッチ調整部は、上記オフセットの生成手法をディスクの周回数に応じて切り替える
上記(9)に記載の位置制御装置。
(13)
上記ピッチ調整部は、上記ステップ値の更新をディスク1周につき1回行う
上記(10)乃至(12)何れかに記載の位置制御装置。
1 多層記録媒体、2 カバー層、3 記録層、4 中間層、5 記録層形成領域、6 接着層、7 反射膜、8 基板、10 記録再生装置、11-1 記録用レーザ、11-2 ATS・再生時用レーザ、12,25 コリメートレンズ、13,26 偏光ビームスプリッタ、14 固定レンズ、15 可動レンズ、16 レンズ駆動部、17 ミラー、18,27 1/4波長板、19 ダイクロイックプリズム、20 対物レンズ、21 レンズアクチュエータ、22,28 集光レンズ、23 記録層用受光部、24 基準面用レーザ、29 基準面用受光、30 スピンドルモータ(SPM)、31 記録処理部、32,33 発光駆動部、34 マトリクス回路、35 再生処理部、36 記録層用サーボ回路、37 フォーカスドライバ、38,57 積分器、39 信号生成回路、40 アドレス検出部、41 加算器、42 基準面用サーボ回路、43 アクチュエータドライバ、44 スライド駆動部、45 スライドドライバ、46 コントローラ、OP 光ピックアップ、50 制御器、51 制御対象、52 加減算器、53,55 加算器、54 遅延要素、56 減算器、60,71 減算器、61 比例要素、62 一次遅れ要素、63 比例・積分要素、64 飽和処理、65,68,75 オフセット値制御部、66,76 加算器、67,77 メモリ、69A オフセット生成部、69B オフセット付与部、70 乗算器、72,73 フィルタ部、74 飽和処理部

Claims (14)

  1. 位置案内子が形成された基準面と、情報記録が行われる記録層とを有する光ディスク記録媒体に対し、上記記録層を対象とした記録用レーザ光と隣接トラックサーボ用レーザとの照射と、上記基準面を対象とした基準面用レーザ光の照射とを、共通の対物レンズを介して行うと共に、上記隣接トラックサーボ用レーザ光と上記基準面用レーザ光の戻り光をそれぞれ受光する光照射・受光部と、
    上記対物レンズをトラッキング方向に変位させるトラッキング機構部と、
    上記光照射・受光部で得られた上記基準面用レーザ光の戻り光についての受光信号に基づき、上記基準面用レーザ光の照射スポットの上記位置案内子に対するトラッキング誤差を表す基準面トラッキング誤差信号を生成する基準面トラッキング誤差信号生成部と、
    上記基準面トラッキング誤差信号に基づいて生成したトラッキングサーボ信号に基づき上記トラッキング機構部を制御する基準面トラッキングサーボ制御部と、
    上記光照射・受光部で得られた上記隣接トラックサーボ用レーザ光の戻り光についての受光信号に基づき、上記隣接トラックサーボ用レーザ光の照射スポットの記録トラックに対するトラッキング誤差を表す記録層トラッキング誤差信号を生成する記録層トラッキング誤差信号生成部と、
    上記記録層トラッキング誤差信号を積分する積分部と、
    上記積分部による積分出力を上記トラッキングサーボ制御部による制御目標値に加算する加算部と、
    上記記録層トラッキング誤差信号に対してオフセットを与えることで、上記記録用レーザ光による記録トラックのピッチを調整するピッチ調整部と
    を備える位置制御装置。
  2. 上記基準面上の位置を表す基準面アドレスについて、上記記録用レーザ光と上記隣接トラックサーボ用レーザ光との間の距離が規定のトラックピッチに一致している場合に現在位置しているべき基準面アドレスとしての理想基準面アドレスと、上記基準面用レーザ光を受光して検出される現在の基準面アドレスとしての実際上基準面アドレスとの誤差を基準面アドレス誤差としたとき、
    上記ピッチ調整部は、
    上記積分部による積分出力、該積分出力が加算された上記制御目標値、又は上記基準面アドレス誤差の何れかを用いて上記オフセットを生成する
    請求項1に記載の位置制御装置。
  3. 上記ピッチ調整部は、
    上記積分部による積分出力、該積分出力が加算された上記制御目標値、上記基準面アドレス誤差の何れかを用いた比例演算若しくは積分演算若しくは比例・積分演算によって上記オフセットを生成するか、又は上記積分部による積分出力、該積分出力が加算された上記制御目標値、上記基準面アドレス誤差の何れかを用いて場合分けによるステップ値制御によって上記オフセットを生成する
    請求項2に記載の位置制御装置。
  4. 上記記録用レーザ光と上記隣接トラックサーボ用レーザ光のスポット間距離が規定のトラックピッチよりも大に設定されている
    請求項1に記載の位置制御装置。
  5. 上記ピッチ調整部は、
    上記記録層トラッキング誤差信号に付される上記オフセットに対して飽和処理を行う
    請求項1に記載の位置制御装置。
  6. 上記ピッチ調整部は、
    上記積分部による積分出力、該積分出力が加算された上記制御目標値、又は上記基準面アドレス誤差が設定された上限値以上又は下限値以下となったか否かを判別し、
    該判別により肯定結果が得られた場合は上記オフセットを増減させるためのステップ値を更新し且つ上限値及び下限値を更新する
    請求項3に記載の位置制御装置。
  7. 上記ピッチ調整部は、上記ステップ値の更新をディスク1周につき1回行う
    請求項3に記載の位置制御装置。
  8. 上記ピッチ調整部は、
    上記基準面アドレス誤差に基づいたステップ値制御を行うと共に、上記積分部の積分出力又は上記トラッキング誤差信号の何れかに基づいて上記ステップ値制御で行うステップ値の更新を制限する
    請求項3に記載の位置制御装置。
  9. 上記ピッチ調整部は、上記オフセットの生成手法を条件に応じて切り替える
    請求項3に記載の位置制御装置。
  10. 上記ピッチ調整部は、
    上記積分部による積分出力又は該積分出力が加算された上記制御目標値を用いた比例・積分演算による上記オフセットの生成手法から、上記ステップ値制御による上記オフセットの生成手法に切り替えを行う
    請求項9に記載の位置制御装置。
  11. 上記ピッチ調整部は、
    上記ステップ値制御による上記オフセットの生成を上記基準面アドレス誤差に基づき行う
    請求項10に記載の位置制御装置。
  12. 上記ピッチ調整部は、上記オフセットの生成手法をディスクの周回数に応じて切り替える
    請求項9に記載の位置制御装置。
  13. 上記ピッチ調整部は、上記ステップ値の更新をディスク1周につき1回行う
    請求項10に記載の位置制御装置。
  14. 位置案内子が形成された基準面と、情報記録が行われる記録層とを有する光ディスク記録媒体に対し、上記記録層を対象とした記録用レーザ光と隣接トラックサーボ用レーザとの照射と、上記基準面を対象とした基準面用レーザ光の照射とを、共通の対物レンズを介して行うと共に、上記隣接トラックサーボ用レーザ光と上記基準面用レーザ光の戻り光をそれぞれ受光する光照射・受光部と、
    上記対物レンズをトラッキング方向に変位させるトラッキング機構部と、
    上記光照射・受光部で得られた上記基準面用レーザ光の戻り光についての受光信号に基づき、上記基準面用レーザ光の照射スポットの上記位置案内子に対するトラッキング誤差を表す基準面トラッキング誤差信号を生成する基準面トラッキング誤差信号生成部と、
    上記基準面トラッキング誤差信号に基づいて生成したトラッキングサーボ信号に基づき上記トラッキング機構部を制御する基準面トラッキングサーボ制御部と、
    上記光照射・受光部で得られた上記隣接トラックサーボ用レーザ光の戻り光についての受光信号に基づき、上記隣接トラックサーボ用レーザ光の照射スポットの記録トラックに対するトラッキング誤差を表す記録層トラッキング誤差信号を生成する記録層トラッキング誤差信号生成部と、
    上記記録層トラッキング誤差信号を積分する積分部と、
    上記積分部による積分出力を上記トラッキングサーボ制御部による制御目標値に加算する加算部と
    を有する位置制御装置において、上記記録層トラッキング誤差信号に対してオフセットを与えることで、上記記録用レーザ光による記録トラックのピッチを調整する
    位置制御方法。
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