JP6033618B2 - アルミニウム合金クラッド材及び熱交換器 - Google Patents
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Description
また、本発明は前記アルミニウム合金クラッド材をチューブに用いた熱交換器に関するものである。
近年熱交換器に対する更なる軽量化の要望がなされ、各部材の薄肉化が必要となってきている。各部材の薄肉化を進めると、腐食によるリーク不具合の発生頻度が高くなる傾向にある。腐食により熱媒体が流通するチューブにリークが起これば熱媒体が漏れ、熱交換器としての機能が失われ安全上の問題を引き起こしかねない。特に熱交換器の一部品であるエバポレータでは、冷房用の低温の冷風と室内の高温の熱気による温度差の激しい非常に苛酷な腐食環境下に置かれているため、さらなる耐食性向上技術が求められている。
このようなことから、チューブ皮材(ろう材)を主としたチューブそのものの犠牲防食効果を向上させる防食技術が提案されている。
この米国特許の発明者等による発表論文(W D Finnegan and R A Woods : IMechE C496/064/95 (1995),275.)(非特許文献1)によれば、ろう付け後に加熱処理を施すことで、表面に残留したAl−Si系合金ろう層中に微細なSi粒子あるいはα−Al(Fe−Mn)−Si合金が析出し、腐食をこの表面層に対して横方向に進展するようにし、芯材の深さ方向への孔食や粒界腐食を抑える、と開示している。
本発明によれば、以下の手段が提供される。
また前記ろう材は、前記ろう材に含有する成分の他に、Znを0.5%〜8.0%、Naを0.001%〜0.05%、Srを0.001%〜0.05%の中からの1種または2種以上を含有することが好ましい。
なお、本明細書中に記載の金属間化合物とは本発明における加熱や冷却時に生成される晶出物や析出物が混在したものをいう。
最初に、本発明のアルミニウム合金クラッド材を構成する芯材に用いるアルミニウム合金組成における各成分の作用を説明する。
Mn:0.5〜2.0%
MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出または析出し、ロウ付け後の強度を向上させる。
また、Al−Mn−Si系金属間化合物を形成してマトリックス中へのSi固溶度を低くし、マトリックスの融点を向上させる。含有量が0.5%未満ではその効果が小さい。一方2.0%を超えると、粗大なAl−Mn系金属間化合物相を形成するため、加工性と耐食性が低下する。従ってMnの含有量は0.5〜2.0%が望ましく、さらに好ましくは1.0〜1.5%である。
Cuは、マトリックス中に固溶して強度を向上させるとともに、芯材の電位を貴化し、ろう材との電位差を大きくすることでろう材との間で犠牲防食効果を向上させる。Cuの含有量が0.1%未満ではその効果は小さい。一方0.8%を超えると、マトリックスの融点が低下するため、ろう付時に材料が溶融しやすくなる。従ってCuの含有量は0.1〜0.8%が望ましく、さらに好ましくは0.1〜0.6%である。
芯材中のSiはMnと共存させることにより、Al−Mn−Si系金属間化合物相となってマトリックス中に分散あるいは固溶して強度を向上させる。Siの含有量が0.15%未満ではその効果が小さい。0.6%を超えると、芯材内部のAl−Si系やAl−Mn−Si系金属間化合物の析出量が増大し、MnやSiの固溶量が減少し、金属間化合物周囲のAlの電位が卑になる。このため芯材よりも電位が卑なろう材と芯材との電位差が低下してろう材の犠牲防食効果が低下する恐れがある。従ってSiの含有量は0.15〜0.6%が望ましく、さらに好ましくは0.15〜0.3%である。
Feは金属間化合物として晶出または析出し、芯材強度を向上させる。またAl−Mn−Fe系、Al−Fe−Si系、Al−Mn−Si−Fe系金属間化合物相を形成してマトリックス中のMn、Si固溶度を低下させ、マトリックスの融点を上げることができる。Feの含有量が0.05%未満ではその効果が小さい。一方1.0%を超えると、腐食速度が速くなる。また、巨大晶出物の出現により鋳造性や圧延性を低下させる。従ってFeの含有量は0.05〜1.0%が望ましく、さらに好ましくは0.05〜0.3%である。
Mgは芯材の強度を向上させる効果を有する。Mgの含有量が0.05%未満ではその効果が小さい。一方0.4%を超えると芯材の電位が卑になりろう材との電位勾配が得られず、ろう材の犠牲防食効果が損なわれて芯材の耐食性が低下する。従ってMgの含有量は0.05〜0.4%が望ましく、さらに好ましくは0.1〜0.3%である。
Tiは微細な金属間化合物を形成し合金の強度と芯材の自己耐食性を向上させる。Tiの含有量が0.05%未満ではその効果が十分に得られない。一方、0.3%を超えると、鋳塊に粗大な化合物が生じて熱間圧延時に割れが生じてしまう。従ってTiの含有量は0.05〜0.3%が望ましく、さらに好ましくは0.1〜0.2%である。
Zr、Cr、Vはいずれも微細な金属間化合物を形成し合金の強度を向上させる。Zr、Cr、Vの含有量が0.05%未満ではその効果が十分に得られない。一方0.3%を超えると成形性が低下し、加工時に割れが生じてしまう。従ってZr、Cr、Vの含有量は0.05〜0.3%が望ましく、さらに好ましくは0.1〜0.2%である。
Si:3〜12%
SiはAl合金の融点を低下させてろう材として機能させる作用を持つ。ろう材としては600℃の加熱によりクラッドチューブの芯材を残して溶融し、チューブとフィンの接合に必要なろうを形成する。また、Siは加熱ろう付け後もろう材中に固溶し、ロウ付け後の加熱処理で析出されるSiの析出物が残留ろう層内に析出し、腐食の分散による犠牲防食の向上効果を発揮する。
Siの含有量が3%未満ではろう材が溶融せずにろう付性能が低下する。12%を超えるとロウ付け後の加熱処理で析出するSiの析出物が粗大化し、犠牲防食効果が低下する恐れがある。従ってSiの含有量は3〜12%が望ましく、さらに好ましくは4〜8%である。
FeをAl−Si系ろう材に添加することにより、FeはAl−Fe系やAl−Fe−Si系の金属間化合物相を形成し、ろう材共晶相発生の起点となると同時にろうの流動を制御する。Feの含有量が0.05%未満では上記効果が十分に得られない。一方、0.5%を超えると、共晶部分内のAl−Fe系やAl−Fe−Si系の金属間化合物量が増えるため、共晶部分が優先腐食してしまう。従ってFeの含有量は0.05〜0.5%が望ましく、さらに好ましくは0.1〜0.3%である。
ろう材中のZnは電位を卑にする作用を有し、犠牲陽極効果によるクラッド材の耐食性を向上させる効果がある。Znの含有量が0.5%未満では上記効果が十分に得られない。一方、8.0%を超えると皮材として、もしくはろう材としての自己耐食性が低下する。また、フィンとチューブの接合部のZn量が増加するため、接合部が優先腐食してフィン剥がれが発生する。従ってZnの含有量は0.5〜8.0%が望ましくは、さらに好ましくは3.0〜6.0%である。
NaとSrはAl−Si系ろうに添加することにより、Al−Si系ろう材中のSi粒子のサイズを細かく均一に分散させて、粗大なSi粒子の発生を制御し、Al−Si系ろう材の芯材やフィンとの接合部の局部溶融やエロージョンを抑制させる。NaやSrの添加量が0.001%未満では上記効果が十分に得られない。一方、0.05%を超えるとろう付加熱時にろうの酸化が進み、ろうの流動性やろう付性を低下させる。従ってNaやSrの含有量は0.001〜0.05%が望ましく、さらに好ましくは0.005〜0.015%である。
〈芯材とろう材のクラッド率〉
本発明のアルミニウム合金クラッド材は、芯材の片面もしくは両面にろう材を配している。芯材にろう材を配する方法は種々提案されている。本実施形態では芯材の片面もしくは両面にろう材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材について説明する。
クラッド材の板厚として0.20mmを想定する場合、片面クラッドのろう材(皮材)もしくは両面クラッドの外気にさらされる側のろう材(皮材)の犠牲防食効果を充分に得るためには、クラッド率は15〜25%(ろう材の厚さ30μm〜50μm)が望ましい。また、両面クラッドの場合は、チューブの内側(外気にさらされない側)のろう材(皮材)のクラッド率は5〜10%(ろう材の厚さ10μm〜20μm)が望ましい。クラッド率が低すぎるとクラッドとフィンのろうが不足して接合性が低下する恐れがある。また、クラッド率が高すぎると溶融ろうが多くなり芯材が溶解されやすくなる。
また、クラッド材の板厚が0.20mmの場合、芯材の板厚が薄いと、ろう付加熱時にろう材中のSiやZnの拡散による芯材の融点の低下や、ろう材の犠牲防食効果が低下する影響を受けないことを考慮して、芯材の板厚は0.14mm以上あることが望ましい。
全体の板厚に対してろう材(皮材)が占める板厚の割合(クラッド率)は、次式で表される。
板厚の割合(クラッド率)=ろう材の板厚/全体の板厚×100(%)
〈製造方法〉
本発明においては、Mnを0.5%〜2.0%、Cuを0.1%〜0.8%、Siを0.15%〜0.6%、Feを0.05%〜1.0%含有し、残部がAlと不可避的不純物であるアルミニウム合金を芯材とし、Siを3%〜12%、Feを0.05%〜0.5%含有し、残部がAlと不可避的不純物であるアルミニウム合金をろう材とし、芯材の片面もしくは両面にろう材を配したクラッド材(ブレージングシート)でチューブを製造し、該チューブを熱交換器の他の部品であるタンク、フィン等の成形加工部材と熱ろう付けして熱交換器に組み立てる。
図1は熱交換器を構成するチューブ1とフィン2とを示す。
チューブ1とフィン2を組み込み、ろう付け温度まで加熱し、ろう付けする。ろう付け温度は590〜620℃、例えば600℃である。
ろう付け加熱後の冷却速度は、ろう付加熱温度から500℃〜200℃まで150℃/min以上の冷却速度で冷却する。
150℃/min以上の冷却速度で急冷することでろう材の残留ろう層内のSiが過飽和の状態で固溶され、ロウ付け後の加熱処理によって残留ろう層内のSiの粒子がより微細で密な状態で析出される。このSi粒子の析出物によってろう材の犠牲防食効果が向上し、チューブの耐食寿命を延ばす。
冷却速度が150℃/min未満では、冷却時に残留ろう層内のSiが芯材側へ拡散され、残留ろう層内のSiの固溶量が低下してしまう。その結果、冷却後の加熱処理で残留ろう層内のSi粒子の析出物が減少し、ろう材の犠牲防食の向上効果が得られなくなる。従って、ろう付け加熱後の500℃〜200℃の冷却速度は150℃/min以上で、さらに好ましくは200℃/min以上が望ましい。なお、500℃以上は残留ろう層内のSiが芯材側へ拡散し難く、200℃未満ではSi粒子は析出されないので、500℃以上と200℃未満の冷却速度は残留ろう層内のSi粒子の析出に影響を及ぼさない。
また、再加熱の昇温速度と冷却速度は、速いほど熱交換器の軟化を抑えられるので、昇温速度は50℃/min以上、冷却速度は50℃/min以上が望ましい。
なお、ろう付け後に行なう加熱処理は、大気中、不活性ガス雰囲気中、あるいは真空中のいずれで実施しても良い。
Siは固溶された状態で電位を貴にする作用を持つが、前記加熱処理を行なうことで、ろう付加熱後に急冷によって残留ろう層内に過飽和の状態で固溶されたSi粒子の析出物が微細で密に析出される。Si粒子が密に析出されることによって、残留ろう層内のSi固溶量が下がり、マトリックスの電位が卑になる。その結果、ろう材の残留ろう層とAl−Mn系合金芯材との電位差が大きくなり、ろう材による犠牲防食効果が向上し、チューブの耐食寿命が改善される。
ろう層内に、直径0.01μm以上1.0μm未満のSi粒子の析出物が1mm2当たり5000個〜20000個分布していることで腐食の分散効果が得られる。Si粒子の析出物が1mm2当たり5000個/mm2未満では、残留ろう層内のSi粒子の析出物が密に分布されず、腐食の分散効果が得られずに、Si粒子の析出物の分布が疎な箇所で腐食の集中が起こり早期貫通漏れのリスクが高くなる。
また、残留ろう層内に析出されるSi粒子の析出物の数は限界があり、20000個以上は析出されない。従ってSi粒子の析出物の分布は1mm2当たり5000個〜20000個分布していることが好ましい。
ろう付加熱によって、熱交換器のチューブとして用いたクラッド材の芯材層内にAl−Si系、もしくはAl−Mn−Si系金属間化合物が析出される。このとき、直径2.0μm以上10.0μm未満のAl−Si系、もしくはAl−Mn−Si系金属間化合物が1mm2当たり500個〜3000個分布していれば、芯材内部のMnやSiの固溶量の減少を抑え、ろう材と芯材の電位差を維持しつつ、ろう材の犠牲防食効果で芯材の腐食を抑えることができる。直径2.0μm以上10.0μm未満のAl−Si系、もしくはAl−Mn−Si系金属間化合物が1mm2当たり500個未満ではチューブ材としての強度が低下し、チューブの耐久性が低下する。また、3000個を超えると、芯材内部のMnやSiの固溶量が減少し、金属間化合物近傍の芯材マトリックスの電位が卑になる。そしてろう材と芯材との電位差が減少して犠牲防食効果が低下する。従って、Al−Si系、もしくはAl−Mn−Si系金属間化合物の分布は上記範囲が好ましい。Al−Si系、もしくはAl−Mn−Si系金属間化合物の数や粒径はMn量やSi量を上記のように調整することで制御することができる。
表1に、実施例A1〜15、比較例A16〜25の芯材の合金組成を示す。
A1〜A25の組成を持つ合金を用いて258mm×790mm×1600mmサイズの鋳塊を作製し、面削し芯材とした。
表2に実施例B1〜B8、比較例B9〜B14の皮材(ろう材)の合金組成を示す。B1〜B14の合金組成を持つ皮材(ろう材)を鋳造した。
次に480℃で3時間の合せ加熱を行なった後、板厚3.5mmまで熱間圧延を行い、板厚0.3mmまで冷間圧延した後、370℃で2時間の中間焼鈍を行い、更に冷間圧延を行って板厚0.2mm(皮材厚さ40μm)、調質H14のブレージングシートを作成した。
(1)引張強度、
(2)ろう付け性、
(3)ろう材中の数密度(Si粒子の析出物a)
(4)芯材中の数密度(Al−Si系およびAl−Mn−Si系金属間化合物b)
(5)耐食性(最大腐食深さ)
について評価した。評価結果を表4に示す。
上記の製造方法で作製したクラッド材からJIS5号試験片を切り出し、非腐食性フラックスブレージング法で600℃に加熱し、3分間保持(ろう付け温度)し、その後表3に示す冷却速度で冷却した。次いで試験片を表3に示す温度に再加熱し、表3に示す保持時間、保持し引張強度を測定する試験片とした。
この試験片で引張試験を実施し、引張強度が150MPa以上を○、150MPa未満を×と評価し、評価結果を表4に示した。
図1に示す、熱交換器を模擬した評価材を作製した。チューブ1とA3003板をコルゲート加工したフィン2を合わせて、非腐食性フラックスブレージング法で加熱温度600℃×3分間保持でろう付け加熱した。ろう付け加熱後は表3に示す冷却速度で冷却し、冷却後は表3に示す加熱温度と保持時間で再加熱処理を施した。
なお、ろう付け加熱後の加熱処理は、昇温速度50℃/min、冷却速度50℃/minで実施した。加熱後にチューブ1とフィン2の接合部の断面を観察し、健全な評価材を○とし、チューブ1とフィン2が未接合、チューブの溶融、酸化皮膜が見られた評価材を×とし、総合的な評価を表4に示した。
ろう付し、加熱処理後のろう材と芯材の断面を日本電子(株)社製、走査型電子顕微鏡(JSM−6460LA)で×5000倍率にて撮影し、撮影結果を旭化成エンジニアリング(株)社製画像解析ソフト(A像くん)にてカウントし、Si粒子の析出物aとAl−Si系及びAl−Mn−Si系金属間化合物bの数密度を測定した。
測定は、ろう材中から円相当径0.01μm以上1.0μm未満のSi粒子の析出物の個数を、芯材中から円相当径2.0μm以上10.0μm未満のAl−Si系、Al−Mn−Si系金属間化合物の個数を測定し、ろう材中のSi粒子の析出物の数密度a(個/mm2)と芯材のAl−Si系、Al−Mn−Si系金属間化合物の数密度b(個/mm2)を測定した。数密度aと数密度bの測定結果を表3に示す。
板厚0.1mmの3003アルミニウム合金をフィン材としてコルゲート加工した後、図1に示すようにフィン材2を16w×70l(mm)のサイズとしてチューブ1で挟み、フラックス(KAlF系)の5%懸濁液を塗布し、酸素濃度約30ppmの窒素雰囲気中にて加熱し、表3に示すろう付け加熱後の冷却速度、ロウ付け後の加熱処理条件で処理した後、SWAAT試験を行い、500hr後の最大腐食深さを調べた。その結果を表4に示す。総合判断における判定は、最大腐食深さが100μm未満のものを適、最大腐食深さが100μm以上、または貫通なら不適とした。
本発明例(実施例)によれば、本発明のクラッド材をチューブとして用いた熱交換器は、ろう付け加熱後の冷却速度、ロウ付け後の加熱処理を規定することで、ろう材残渣中にSi粒子を析出させて、従来の熱交換器よりも耐食性の向上が得られた。
比較例28は心材のMn含有量が多いため数密度bが低く、腐食深さが高く不合格と判定された。
比較例29は心材のCu含有量が少なかったため引張強度が低く不合格と判定された。
比較例30は心材のCu含有量が多かったためクラッド材が溶融し不合格と判定された。
比較例31心材Siが高いため数密度b、腐食深さが高く不合格と判定された。
比較例32は心材のFeの含有量が多いため、腐食が促進されて不合格と判定された。
比較例34は心材のTi含有量が多かったため、鋳塊割れが生じて不合格と判定された。
比較例35心材のZr、Cr含有量が多かったため、熱延割れが生じて不合格と判定された。
比較例36は心材のCr、Vの含有量が多かったため、熱延割れが生じて不合格と判定された。
比較例38はろう材のSi含有量が多かったため、Si系粒子の粗大化及び数密度aの低下で腐食深さが高く不合格と判定された。
比較例39はろう材のFeの含有量がおおかったため、腐食が促進され不合格と判定された。
比較例40はろう材のZn含有量が多かったために、接合部が優先腐食してフィン剥がれが生じて不合格と判定された。
比較例41はろう材のSr含有量が多かったために、ろう付け時に酸化皮膜が生じて不合格と判定された。
比較例43はろう付け加熱後の冷却速度が遅かったため、加熱処理による数密度aが低く、腐食が促進されて不合格と判定された。
比較例44はろう付け加熱後の加熱処理工程を省いたため、ろう材中Si系粒子が形成されず、腐食が促進されて不合格と判定された。
比較例45はろう付け加熱後の加熱処理の温度が低いため、ろう材残渣中のSi粒子が形成されず、腐食深さが高く不合格と判定された。
比較例46はろう付け加熱後の加熱処理の温度が高いため、Si粒子の粗大化及び数密度が低く、腐食深さが高く不合格と判定された。
比較例47はろう付け加熱後の加熱処理の保持時間が短いため、数密度aが低く、腐食深さが高く不合格と判定された。
比較例48はろう付け加熱後の加熱処理の保持時間が長いため、強度の低下、犠牲防食効果の低下で腐食深さが高く不合格と判定された。
2 フィン(熱交換器用部品)
Claims (4)
- Mnを0.5mass%〜2.0mass%(以下、mass%を単に%と記す。)、Cuを0.1%〜0.8%、Siを0.15%〜0.6%、Feを0.05%〜1.0%含有し、残部がAlと不可避的不純物であるアルミニウム合金を芯材とし、
Siを3%〜12%、Feを0.05%〜0.5%含有し、残部がAlと不可避的不純物であるアルミニウム合金をろう材とし、
前記芯材の片面もしくは両面に前記ろう材を配したアルミニウム合金クラッド材であって、
前記芯材層内に直径2.0μm以上10.0μm未満のAl−Si系、Al−Mn−Si系金属間化合物が1mm2当たり500個〜3000個分布しており、
前記ろう材層内に直径0.01μm以上1.0μm未満のSi粒子の析出物が1mm2当たり5000個〜20000個分布していることを特徴とするアルミニウム合金クラッド材。 - 請求項1に記載の前記芯材は、前記芯材に含有する成分の他に、Mgを0.05%〜0.4%、Tiを0.05%〜0.3%、Zrを0.05%〜0.3%、Crを0.05%〜0.3%、及びVを0.05%〜0.3%の中からの1種または2種以上を含有するアルミニウム合金クラッド材。
- 請求項1に記載のろう材は、前記ろう材に含有する成分の他に、Znを0.5%〜8.0%、Naを0.001%〜0.05%、Srを0.001%〜0.05%の中からの1種または2種以上を含有するアルミニウム合金クラッド材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム合金クラッド材をチューブに用いたことを特徴とする熱交換器。
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