JP2011042853A - 耐食性および耐久性に優れるアルミニウム合金製熱交換器 - Google Patents

耐食性および耐久性に優れるアルミニウム合金製熱交換器 Download PDF

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Abstract

【課題】ヘッダープレートにおいて高強度で優れた耐食性を示す熱交換器を提供する。
【解決手段】ヘッダープレートが、Mn1.0〜1.8%、Si0.5〜1.2%、Cu0.5〜1.2%、Fe0.3〜1.0%、Zn0.1〜1.0%を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金芯材の片面に、Si6.0〜11.0%、Zn0.1〜5.0%含有し、残部Al及び不可避不純物のアルミニウム合金ろう材をクラッドし、他の片面に、Zn0.1〜3.0%、Mn0.1〜1.8%、Si0.1〜1.2%を含有し、残部Al及び不可避不純物のアルミニウム合金犠牲材をクラッドしたブレージングシートからなり、ヘッダープレート表面のろう材電位が、チューブ母材の電位より30mV以上卑である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ラジエータやコンデンサなどアルミニウム合金ブレージングシートを使用してろう付けによって製造される自動車用などのアルミニウム合金製熱交換器に関するものである。
自動車用のラジエータやヒーターコアなどを構成する部品の一つであるヘッダープレートの材料には、Al−Mn−Cu系合金からなる芯材の片面にAl−Si系ろう材をクラッドし、他の片面に犠牲陽極材としてAl−Zn系合金やAl−Mg−Zn系合金をクラッドした3層のアルミニウム合金が使用されている。
Al−Si系の上記ろう材はチューブとフィン、チューブとヘッダープレートなどのろう付接合のために貼り合わされており、ろう付は通常不活性ガス雰囲気中でフッ化物フラックスを用いて行なわれる。犠牲陽極材は熱交換器の使用中に作動流体と接して犠牲陽極効果を発揮し、芯材への腐食や隙間腐食の進行による冷却水洩れを抑制し、耐食性を向上させる作用を有する。芯材には強度や成形性、ろう付性に優れるAl−Mn−Cu系合金が一般的に使用されている。
また、近年、ラジエータ等の熱交換器は軽量化を図るため部材の薄肉化が進んでおり、そのため部材にはさらなる高強度化が要求されている。そこで、上記芯材のCu,Si添加量の増加やMgの添加による強度向上が図られている(例えば、特許文献1)。
また、犠牲材のAl−Mg−Zn系合金にMnを添加して高強度化を図ったブレージングシートも提案されている(例えば、特許文献2、3)。
特開平5−43971号公報 特開平6−212331号公報 特開平5−230580号公報
ヘッダープレートに使用されるブレージングシートは、熱交換器の耐久性向上のためさらなる高強度化が要求されており、芯材や犠牲材へMn、Cu、Si、Mgなどの各元素の添加量増加が図られている。しかし、上記各元素の添加量増加は、以下に説明するように、ブレージングシート自体さらにはチューブの腐食を促進し、熱交換器としての耐食性を低下させるため、十分な耐食性が得られていない。
<高強度材使用時の熱交換器の耐食性低下>
高強度化したブレージングシートをヘッダープレートとして使用し、チューブ材と組み合わせてろう付けした熱交換器では、チューブ母材(ブレージングシートの場合は芯材、押出チューブの場合は母合金)に対してヘッダープレートの方が電位的に貴になるため、プレートとの接合部近傍で板厚の薄いチューブ材が優先腐食し、早期に貫通孔が発生する。チューブ母材の電位を貴にすると、チューブの優先腐食は抑制されるが、チューブ自体の耐食性が低下し、早期に貫通孔が発生する。
そこで、本発明では熱交換器各部材の電位バランスを最適化することで、従来より高強度なブレージングシートをヘッダープレート材として使用した場合でも、耐食性に優れる熱交換器を提供することを目的とする。
以上のように、強度の向上を図ったブレージングシートをヘッダープレートとして使用するとチューブの腐食が促進され、熱交換器としての耐食性が低下するため、発明者らは耐食性と耐久性を両立させるべく研究を行なった結果、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の耐食性および耐久性に優れるアルミニウム合金製熱交換器のうち、第1の本発明は、ヘッダープレートとチューブとを組み合わせてろう付けにより接合したアルミニウム合金製熱交換器において、前記ヘッダープレートが、質量%で、Mn:1.0〜1.8%、Si:0.5〜1.2%、Cu:0.5〜1.2%、Fe:0.3〜1.0%、Zn:0.1〜1.0%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金芯材の片面に、質量%で、Siを6.0〜11.0%、Znを0.1〜5.0%含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金ろう材がクラッドされ、他の片面に、質量%で、Zn:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜1.8%、Si:0.1〜1.2%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金犠牲材がクラッドされたブレージングシートにより構成され、該ヘッダープレート表面のろう材のうち、少なくとも前記チューブとの接合部およびその近傍のろう材の電位が、前記チューブの母材の電位より30mV以上卑であることを特徴とする。
第2の本発明の耐食性および耐久性に優れるアルミニウム合金製熱交換器は、ヘッダープレートとチューブとを組み合わせてろう付したアルミニウム合金製熱交換器において、前記ヘッダープレートが、質量%で、Mn:1.0〜1.8%、Si:0.5〜1.2%、Cu:0.5〜1.2%、Fe:0.3〜1.0%、Zn:0.1〜1.0%、Mg:0.05〜0.30%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金芯材の片面に、質量%で、Siを6.0〜11.0%、Znを0.1〜5.0%含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金ろう材がクラッドされ、他の片面に、質量%で、Zn:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜1.8%、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金犠牲材がクラッドされたブレージングシートにより構成され、該ヘッダープレート表面のろう材のうち、少なくとも前記チューブとの接合部およびその近傍のろう材の電位が、前記チューブの母材の電位より30mV以上卑であることを特徴とする。
第3の本発明の耐食性および耐久性に優れるアルミニウム合金製熱交換器は、前記第1または第2の本発明において、前記チューブの母材と、前記ヘッダープレートの芯材との電位差が30mV以内であることを特徴とする。
以下に、本発明における成分等の限定理由を以下に説明する。なお、以下における含有量はいずれも質量%で示される。
<ヘッダープレートブレージングシート芯材>
ヘッダープレートのブレージングシート芯材の成分範囲を前記のごとく限定した理由を以下に述べる。
Mn:1.0〜1.8
芯材に含まれるMnは、芯材素地中にAl−Mn系金属間化合物として分散し、耐食性を低下させることなく強度を向上させる作用がある。また、Siと同時に添加することで、微細なAl−Mn−Si系金属間化合物が形成され、強度を向上させる作用を有する。その含有量が1.0%未満では上記した効果が十分に得られず、一方、1.8%を超えて含有すると粗大な化合物により鋳造性や圧延などの加工性が低下するので好ましくない。したがって、Mn含有量を1.0〜1.8%に定めた。Mn含有量の一層好ましい下限は1.2%、一層好ましい上限は1.6%である。
Si:0.5〜1.2
芯材に含まれるSiは、Mnと共存させることによりAl−Mn−Si化合物となって素地中に分散、あるいはマトリックスに固溶して強度を向上させる作用を有する。また、Mgと同時に添加された場合、ろう付後に微細な金属間化合物として析出し、時効硬化により著しく強度を向上させる効果を有する。Si:0.5%未満では上記した効果が十分に得られず、一方、1.2%を超えて含有させると、芯材の融点を低下させ、さらに顕著な粒界腐食が発生するため好ましくない。したがって、Si含有量を0.5〜1.2%に定めた。Si含有量の一層好ましい下限は0.6%、一層好ましい上限は1.0%である。
Cu:0.5〜1.2%
芯材に含まれるCuは、マトリックスに固溶して強度を向上させ、また芯材の電位を貴にし、犠牲材およびろう材との電位差を大きくする作用を有するが、Cu:0.5%未満では上記した効果が十分に得られず、一方、Cuを1.2%以含有すると粒界腐食が促進され、さらにろう付け時の元素拡散により材料表面の電位が貴になり、耐食性が低下するので好ましくない。したがって、Cu含有量を0.5〜1.2%に定めた。Cu含有量の一層好ましい下限は0.6%、一層好ましい上限は1.0%である。
Fe:0.3〜1.0%
芯材に含まれるFeは、Al−Fe、Al−Fe−Mn、Al−Fe−Mn−Si系金属間化合物を生成し、強度を向上させる効果を有する。また、ろう付後の再結晶粒を微細にする効果があり、強度や成形性を向上させる。Feはその含有量が0.3%未満では上記した所望の効果が得られず、一方、1.0%を超えて含有すると巨大晶出物が生成し、製造上問題となる。また、芯材の再結晶粒が非常に微細化し、ろうの流動性が低下する。したがって、Fe含有量を0.3%〜1.0%に定めた。Fe含有量の一層好ましい下限は0.4%、一層好ましい上限は0.8%である。
Zn:0.1〜1.0%
Znの含有は電位を卑にするため、芯材の電位を低下させ、Zn添加量を調整することでチューブとの電位差を低減し、チューブの優先腐食を抑制する効果を有する。その含有量が0.1%未満では上記した所望の効果が得られず、一方、1.0%を超えて含有すると腐食速度が増大し過ぎて好ましくない。したがって、Zn含有量は0.1〜1.0%に定めた。Znの含有量の一層好ましい下限は0.2%、一層好ましい上限は0.7%である。
Mg:0.05〜0.30
MgはSiと同時に添加されることでろう付後に微細な金属間化合物として析出し、時効硬化により著しく強度が向上する効果を有するので、所望により含有させる。Mgは、その含有量が0.05%未満では上記した所望の効果が得られず、0.30%を越えて含有するとろう付け時にフラックスと反応し、ろう付け性が低下する。したがって、Mg含有量は0.05〜0.30%の範囲に定めた。Mg含有量の一層好ましい下限は0.08%、一層好ましい上限は0.15%である。
<ヘッダープレートブレージングシートろう材>
次に、本発明におけるヘッダープレートのブレージングシートろう材のSi量を限定した理由を以下に示す。
Si:6.0〜11.0%
通常、ろう付熱処理は約600℃の温度で実施されるが、ろう材中のSi含有量を6.0〜11.0%の範囲に制御すると溶融ろうの供給量が最適となり、安定したろう付け性が確保できる。ろう材中のSi含有量が6.0%より少ない場合は、溶融ろうの量が不足するため接合部でろうの充填不良が発生し、一方、Si含有量が11.0%を超えると、ろう付温度でほとんど全てが液相となり過剰な溶融ろうが供給されるため、チューブにエロージョンが発生したり、プレート近傍のフィン材が溶融するなどのろう付け不具合が発生する。したがって、ろう材中のSi含有量を上記範囲に限定した。ろう付けにより造管を行うチューブと組み合わせる場合など、ろう材Si量の一層好ましい下限は7.5%、一層好ましい上限は8.5%である。
Zn:0.1〜5.0%
ろう材中へのZnの添加はヘッダープレート表面の電位を卑にするため、犠牲陽極効果によってチューブに優先腐食が発生するのを防止する。さらに、ヘッダープレートのろう材およびZn拡散層の電位を卑にし、ヘッダープレートの芯材に腐食が進行するのを抑制する効果を有する。また、フィレットの電位も卑にするため、チューブの優先腐食が抑制される。ろう材中のZnはその含有量が0.1%未満では上記した所望の効果が得られず、一方、5.0%を超えて含有するとろう材の腐食速度が増大し過ぎて好ましくない。したがって、Zn含有量は0.1〜5.0%に定めた。Znの含有量の一層好ましい下限は1.0%、一層好ましい上限は3.0%である。
<ヘッダープレートブレージングシート犠牲材>
次に、本発明におけるクラッド材の犠牲材成分組成を前記のごとく限定した理由を述べる。
Zn:0.1〜3.0%
Znは、犠牲材の電位を卑にし、芯材に対する犠牲陽極効果によって芯材に腐食が進行するのを防止する。その含有量が0.1%未満では上記の所望の効果が得られず、一方、3.0%を超えて含有すると腐食速度が増大し過ぎて好ましくない。したがって、Zn含有量は0.1〜3.0%に定めた。Znの含有量の一層好ましい下限は0.5%、一層好ましい上限は2.0%である。
Mn:0.1〜1.8%
Mnは素地中にAl−Mn系金属間化合物として分散し、耐食性を低下させることなく強度を向上させる作用がある。また、Siと同時に添加することで、微細なAl−Mn−Si系金属間化合物が形成され、さらに強度を向上させる作用を有する。Mnは、その含有量が0.1%未満では所望の効果が得られず、一方、1.8%を超えて含有すると鋳造性が低下するため望ましくない。したがって、Mn量を0.1%〜1.8%の範囲に定めた。Mn含有量の一層好ましい下限は0.5%、一層好ましい上限は1.5%である。
Si:0.1〜1.2%
Siは、Mnと共存させることによりAl−Mn−Si化合物となって素地中に分散、あるいはマトリックスに固溶して強度を向上させる作用を有する。また、Mgと同時に添加されるとろう付後に微細な金属間化合物として析出し、時効硬化により著しく強度を向上させる効果を有する。Siはその含有量が0.1%未満では上記した効果が十分に得られず、一方、1.2%を超えて含有させると、融点を低下させ、さらに粒界腐食を発生させるため好ましくない。したがって、Si含有量を0.1〜1.2%に定めた。Si含有量の一層好ましい下限は0.5%、一層好ましい上限は1.0%である。
Mg:0.1〜2.0%
MgはSiと同時に添加されるとろう付後に微細な金属間化合物として析出し、時効硬化により著しく強度を向上させる効果を有する。Mgは、その含有量が0.1%未満では上記した所望の効果が得られず、2.0%を越えて含有するとろう付け時にフラックスと反応し、ろう付け性を低下させるとともに、強度が増大しすぎて圧延性と成形性が低下する。したがって、Mg含有量は0.1〜2.0%の範囲に定めた。Mg含有量の一層好ましい下限は0.2%、一層好ましい上限は1.5%である。
<チューブ母材とヘッダープレートのろう材表面との電位差>
チューブ母材に対してヘッダープレートのろう材表面のうち、少なくともチューブ接合部とその近傍の電位を30mV以上卑に規定した理由を以下に示す。
上記ブレージングシートをヘッダープレート材として使用した熱交換器において、ヘッダープレートろう材表面の電位がチューブ母材より貴な場合、あるいはろう材表面の方が卑でも電位差が十分確保されていない(電位差30mV未満)場合は、ヘッダープレート接合部近傍のチューブに腐食が発生し、早期に貫通孔が生成する。ヘッダープレートのろう材がチューブに対して30mV以上卑な場合は、チューブが犠牲防食され、熱交換器としての耐食性が著しく向上する。該電位差は、ヘッダプレートのろう材表面の内、チューブとの接合部およびその近傍で条件を満たしていればよい。接合部近傍とは、チューブとの間で電位差による腐食を招く領域である。また、上記電位差は、接合部およびその近傍に限らず、ヘッダプレートの上記ろう材表面全てでこの条件を満たしているのが望ましい。
また、チューブ母材は、チューブを構成する材料であり、ブレージングシートの場合は芯材、押出チューブの場合は母合金を意味している。
また、ヘッダープレート、チューブ共にろう材層が腐食した場合、ヘッダープレートの芯材とチューブ母材の電位差が大きいと電位が卑な方が犠牲材として作用し、優先腐食する。そのため両者の電位差はなるべく小さい方が望ましい。そこで、両者の電位差を30mV以内に規定した。なお、両者の電位差は10mV以内で、なおかつ板厚の厚いプレート芯材の電位の方がやや卑である方がより好ましい。
以上説明したように、本発明の耐食性および耐久性に優れるアルミニウム合金製熱交換器は、ヘッダープレートが、質量%で、Mn:1.0〜1.8%、Si:0.5〜1.2%、Cu:0.5〜1.2%、Fe:0.3〜1.0%、Zn:0.1〜1.0%を含有し、さらに所望によりMg:0.05〜0.30%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金芯材の片面に、質量%で、Siを6.0〜11.0%、Znを0.1〜5.0%含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金ろう材がクラッドされ、他の片面に、質量%で、Zn:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜1.8%、Si:0.1〜1.2%を含有し、さらに所望によりMg:0.1〜2.0%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金犠牲材がクラッドされたブレージングシートにより構成され、該ヘッダープレート表面のろう材のうち、少なくとも前記チューブとの接合部およびその近傍のろう材の電位が、前記チューブの母材の電位より30mV以上卑であるので、ヘッダープレートとチューブとの電位差が最適化され、熱交換器の耐久性や耐食性が著しく向上し、自動車用ラジエータやコンデンサなどの製品寿命の向上に大いに貢献し得る。
本発明の熱交換器用のアルミニウム合金ブレージングシートは、芯材、犠牲陽極材およびろう材を構成するアルミニウム合金を、半連続鋳造により造塊し、必要に応じてそれぞれ均質化処理を実施した後、それぞれ所定厚さまで熱間圧延する。その後、各材料を組み合わせ、熱間圧延によりクラッド材とし、最終的に所定厚さまで冷間圧延する工程を経て製造される。
上記アルミニウム合金ブレージングシートをヘッダープレートとして、自動車用のラジエータやヒーターコアなどのアルミニウム製熱交換器の組み立てに使用する際には、プレス等で所定の形状に成形加工して、アルミニウム合金のチューブやフィン材を組み合わせ、ろう付炉中においてフラックスを用いる不活性雰囲気によってろう付けを行う。なお、ろう付け雰囲気は本発明としては、特に不活性雰囲気に限定されるものではない。
上記熱交換器は、ろう付け後において、該ヘッダープレート表面のろう材のうち、少なくとも前記チューブとの接合部およびその近傍のろう材の電位が、前記チューブの母材の電位より30mV以上卑になっており、優れた耐食性を示す。
表1に示す成分組成のAl合金を溶解鋳造してインゴットを製造し、このインゴットを均質化処理後、熱間圧延を行い、犠牲陽極皮材A〜Qを作製した。
Figure 2011042853
次に、表2に示す成分組成のAl合金を溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このインゴットを均質化処理後、熱間圧延を行い、芯材a〜tを作製した。
Figure 2011042853
さらに、表3に示すろう材用アルミニウム合金を溶解、鋳造してインゴットを製造し、熱間圧延を行い、ろう材ア〜コを作製した。
Figure 2011042853
表1に示す成分組成の犠牲陽極皮材A〜Q、表2に示す成分組成の芯材a〜t、および表3に示すろう材ア〜コを、表4に示す組み合わせで重ね合わせ、犠牲材およびろう材がそれぞれ10%の厚さとなるように熱間圧延によりクラッドし、続いて冷間圧延を行うことにより板厚1.5mm、質別O材の計29種類のクラッド材を作製した。
次に熱交換器としての耐食性を評価するため、上記ブレージングシートをヘッダープレート材として使用し、高周波溶接にて造管した板厚0.25mmのチューブ(犠牲材:JIS7072/芯材:Al−1.2Mn−0.5Cu/ろう材:JIS4343、クラッド率 犠牲材15%、ろう材10%)および板厚0.07mmのフィン(JIS3003+1.5Zn)と組み合わせて熱交換器を作製した。
ろう付けは熱交換器に外部からフッ化物フラックスを塗布して窒素ガス中で600℃に5分間保持した後、室温まで50℃/分で冷却する条件で実施した。作製した熱交換器について、チューブ芯材中央部とヘッダープレートろう材表面およびヘッダープレート芯材中央部との電位差を測定した。この際に、チューブ芯材に対し、ヘッダプレートろう材表面およびヘッダープレート芯材は、同等または卑となる電位となった。
[耐食性評価]
耐食性はASTM G85−A3で規定されているSWAAT試験を1000時間実施し、1000時間経過後のヘッダープレートおよびチューブ材の最大腐食深さを測定した。その結果を表4中に示す。
[耐久性評価]
作製した熱交換器に0.5⇔150kPaの繰り返し加圧試験を実施し、部材に破断が発生するまでの回数を測定した。耐久性の判断は以下の指標に基づき行い、その結果を表4中に記載した。
◎:破断までの回数が15万回以上
○: 〃 10〜15万回未満
×: 〃 10万回未満
Figure 2011042853
表4にみられるように、本発明によるブレージングシートをヘッダープレートとして使用した本発明品の熱交換器は、比較品に比べ、いずれも優れた耐食性と耐久性が得られた。

Claims (3)

  1. ヘッダープレートとチューブとを組み合わせてろう付けにより接合したアルミニウム合金製熱交換器において、
    前記ヘッダープレートが、質量%で、Mn:1.0〜1.8%、Si:0.5〜1.2%、Cu:0.5〜1.2%、Fe:0.3〜1.0%、Zn:0.1〜1.0%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金芯材の片面に、質量%で、Siを6.0〜11.0%、Znを0.1〜5.0%含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金ろう材がクラッドされ、他の片面に、質量%で、Zn:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜1.8%、Si:0.1〜1.2%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金犠牲材がクラッドされたブレージングシートにより構成され、該ヘッダープレート表面のろう材のうち、少なくとも前記チューブとの接合部およびその近傍のろう材の電位が、前記チューブの母材の電位より30mV以上卑であることを特徴とする耐食性および耐久性に優れるアルミニウム合金製熱交換器。
  2. ヘッダープレートとチューブとを組み合わせてろう付したアルミニウム合金製熱交換器において、
    前記ヘッダープレートが、質量%で、Mn:1.0〜1.8%、Si:0.5〜1.2%、Cu:0.5〜1.2%、Fe:0.3〜1.0%、Zn:0.1〜1.0%、Mg:0.05〜0.30%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金芯材の片面に、質量%で、Siを6.0〜11.0%、Znを0.1〜5.0%含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金ろう材がクラッドされ、他の片面に、質量%で、Zn:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜1.8%、Si:0.1〜1.2%、Mg:0.1〜2.0%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金犠牲材がクラッドされたブレージングシートにより構成され、該ヘッダープレート表面のろう材のうち、少なくとも前記チューブとの接合部およびその近傍のろう材の電位が、前記チューブの母材の電位より30mV以上卑であることを特徴とする耐食性および耐久性に優れるアルミニウム合金製熱交換器。
  3. 前記チューブの母材と、前記ヘッダープレートの芯材との電位差が30mV以内であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐食性および耐久性に優れるアルミニウム合金製熱交換器。
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