JP5918089B2 - アルミニウム合金製熱交換器およびその製造方法 - Google Patents
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Description
Si:2.0〜6.0%
本実施形態にかかるブレージングシートのろう材はSiを2.0〜6.0%含有する。Siは、アルミニウム合金の融点を低下させ液相を生じさせ、これによってろう付を可能にする。2.0%未満のSiの含有量では、ろう付けに必要とする液相が充分に得られずろう付性が満足に機能しがたい。一方、6.0%を越えるSiの含有量では、ろう付け性は良くなるが、液相が多くなりすぎSiがろう材表面に残って共晶相を形成するため耐食性が低下する。
本実施形態にかかるアルミニウム合金製ブレージングシートのろう材のZn含有量は、1.0〜8.0%である。Znは、Alの孔食電位を低くし犠牲防食層として作用する。Znが1.0%未満では、この効果が不十分であり、Znが8.0%を超えると、腐食速度が増大しすぎる。このため、Znの含有量は、1.0〜8.0%とする。Znの含有量は、2.0〜6.0%とするのがより好ましい。
Fe、Ni
本実施形態にかかるアルミニウム合金製ブレージングシートのろう材にFeまたはNiを、0.05〜1.0%含有されることが望ましい。
本実施形態にかかるアルミニウム合金製ブレージングシートのろう材にMnを、0.05〜1.5%含有させることが望ましい。
本実施形態にかかるアルミニウム合金製ブレージングシートのろう材にTi、Zr、CrもしくはVを、0.05〜0.3%含有されることが望ましい。
本実施形態にかかるアルミニウム合金製ブレージングシートのろう材にNaもしくはSrを、10ppm〜500ppm含有されることが望ましい。
Mn:0.5〜2.0%
本実施形態にかかるアルミニウム合金製ブレージングシートの心材にはMnを、0.5〜2.0%含有させる。Mnは、マトリックス中に固溶しろう材との電位差を大きくすることでろう材の犠牲防食効果を向上させる。また、MnはAl−Mn系金属間化合物として晶出または析出し、ろう付後の強度を向上させる。さらに、Al−Mn−Si化合物を形成してマトリックス中へのSi固溶度を低くし、マトリックスの融点を向上させる。Mnの含有量が0.5%未満ではその効果が小さく、2.0%を超えると、粗大なAl−Mn系化合物相を形成するため、耐食性と加工性が低下する。従ってMnの含有量は0.5〜2.0%とする。
Si
本実施形態にかかるアルミニウム合金製ブレージングシートの心材にSiを、0.1〜1.0%含有されることが望ましい。
本実施形態にかかるアルミニウム合金製ブレージングシートの心材にFeを、0.05〜1.0%含有されることが望ましい。
本実施形態にかかるアルミニウム合金製ブレージングシートの心材にCuを、0.05〜1.0%含有されることが望ましい。
本実施形態にかかるアルミニウム合金製ブレージングシートの心材にMgを、0.05〜1.0%含有されることが望ましい。
本実施形態にかかるアルミニウム合金製ブレージングシートの心材にTi、Zr、CrもしくはVを、0.05〜0.3%含有されることが望ましい。
上記本実施形態にかかるアルミニウム合金製ブレージングシートは片面(表の面)にろう材を設けたが、反対の面(裏面)にもろう材を設けてもよい。裏面にろう材を設けるのは他部材とのろう付を目的として、Al−Si系合金ろう材がクラッドされてもよい。ろう材としては特に限定されるものでなく、例えば、JIS4343、JIS4045等に規定されたアルミ材が挙げられる。さらに必要に応じて、Zn、Cu、Mg等を添加してもよい。また犠牲防食作用をもたせるために、Al−Zn系合金犠牲材をクラッドしても良い。
本実施形態にかかるアルミニウム合金製熱交換器のろう材層中に存在する円相当径で0.01μm以上1.0μm未満のSi系析出物は、5000〜20000個/mm2とする。
本実施形態にかかるアルミニウム合金製熱交換器の前記ろう材層表面の共晶相の面積率は、1〜50%とする。
本発明に用いるAl合金製ブレージングシートの製造方法については、通常の方法を採用することができ、特に限定されるものではないが、例えば次のようにすることが好ましい。
(1)Si系析出物分布
(2)共晶の面積率、
(3)ろう付性、
(4)耐食性
について評価した。評価結果を表4、6、8に示す。
作成したブレージングシートとコルゲート加工したA3003フィンを非腐食性フラックスに浸漬し、熱交換器を作成する条件と同じ条件である表3、5、7に示す条件でろう付・加熱処理を行い、ろう材の断面を日本電子(株)社製、走査型電子顕微鏡(JSM−6460LA)で×5000倍率にて5視野撮影し、ろう材中から円相当径0.01μm以上1.0μm以下のSi系粒子の個数を画像処理ソフトウエア Image−Jを用いて測定し、測定面積で除することでSi系析出物分布(個/mm2)を得た。
作成したブレージングシートとコルゲート加工したA3003フィンを非腐食性フラックスに浸漬し、表3、5、7に示す条件でろう付・加熱処理を行い、ろう材の表面を日本電子(株)社製、走査型電子顕微鏡(JSM−6460LA)のCOMPO像×500倍率にて5視野撮影し、共晶の面積率を求めた。
作成したブレージングシートとコルゲート加工したA3003フィンを非腐食性フラックスに浸漬し、表3、5、7に示す条件でろう付・加熱処理を行い、フィンとの接合を観察した。
作成したブレージングシートとコルゲート加工したA3003フィンを非腐食性フラックスに浸漬し、表3、5、7に示す条件でろう付・加熱処理を行い、水系冷媒環境を模擬した試験を行った。試験は腐食試験片の試験面に対して比液量6mL/cm2で、Cl−:195ppm、SO4 2−:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe2+:30ppm水溶液を、88℃、流速2m/sで8時間加熱・循環し、その後、16時間放置する循環サイクル試験を3ヶ月間行った。試験後、表面腐食生成物を除去して、腐食状況を観察し評価した。
Claims (5)
- アルミニウム合金製の心材と、前記心材の少なくとも一方の面にクラッドされたアルミニウム合金製のろう材を備えるブレージングシートを用いたアルミニウム合金製熱交換器において、
前記心材は、Mn:0.5〜2.0mass%(以下、mass%を単に%と記載する)を含有し残部Alおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金であり、前記ろう材は、Si:2.0〜6.0mass%、Zn:1.0〜8.0%を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金であり、
アルミニウム合金製熱交換器の前記ろう材層中には、
円相当径で0.01〜1.0μmのSi系析出物が5000〜20000個/mm2存在し、ろう材層表面の共晶相の面積率が1〜50%である
ことを特徴とするアルミニウム合金製熱交換器。 - 請求項1に記載のブレージングシートのろう材が、さらに、Fe:0.05〜1.0%、Mn:0.05〜1.5%、Ti:0.05〜0.3%、Zr:0.05〜0.3%、Cr:0.05〜0.3%、Ni:0.05〜1.0%、V:0.05〜0.3%、Na:10ppm〜500ppm、Sr:10ppm〜500ppmのうちの1種以上を含有することを特徴とするアルミニウム合金製熱交換器。
- 請求項1、2に記載のブレージングシートの心材が、さらに、Si:0.1〜1.0%、Fe:0.05〜1.0%、Cu:0.05〜1.0%、Mg:0.05〜1.0%、Ti:0.05〜0.3%、Zr:0.05〜0.3%、Cr:0.05〜0.3%、V:0.05〜0.3%のうちの1種以上を含有することを特徴とするアルミニウム合金製熱交換器。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のブレージングシートの前記ろう材からなる面を内側にして成形した冷媒通路管を用いて組み付けたことを特徴とするアルミニウム合金製熱交換器。
- 請求項1に記載の熱交換器の製造方法であって、ブレージングシートを加工した熱交換器用部品と他の熱交換器部品とを組み付けし、590〜630℃の温度で1〜15min保持するろう付加熱を行い、その後500〜200℃までを50℃/min以上の冷却速度で室温まで冷却した後、200〜450℃で1min以上保持することを特徴とするアルミニウム熱交換器の製造方法。
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