JP6529377B2 - アルミニウム合金ブレージングシートとその製造方法および熱交換器の製造方法 - Google Patents
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Description
係る構成を有していることによって、ろう付け後表面の電位を卑とし、ろう付け後表面と板材中央部との間に十分な電位差を生じさせて、高い耐食性を得ることができる。また、ろう付け後強度を向上させることができる。
係る構成を有していることによって、ろう材から心材へのSiの拡散を促進することになり、さらに耐食性を高めることができる。
係る構成を有していることによって、さらに耐食性を高めることができる。
D=3.5/100000×EXP[−124×1000/{8.31×(T+273.15)}]
係る構成を有していることによって、ろう材から心材へのSiの拡散を十分に進行させつつ、さらにろう材中のZn等の拡散性を理想的に制御することができる。
図1は、本実施形態のアルミニウム合金ブレージングシート(以下、「ブレージングシート」と記載することがある。)1の構成を示す模式的断面図である。本実施形態のブレージングシート1は、心材2の少なくとも一方の面にろう材3を有している。この本実施形態のブレージングシート1を用いて、所定形状に成形し、組み立て、ろう付け処理をすることによって、熱交換器が製造される。図2は、ろう付けした後の本実施形態のブレージングシート10の構成を示す模式的断面図である。ろう付けすることによって、ろう材3の一部は溶融し流動するため、ろう材の厚さが薄くなって新たなろう材30となる。このろう材30の内部は、複数のα相粒子4と、その隙間に存在する共晶部5とから構成されている。
本発明のメカニズムとして、以下のように考えている。
ろう材用合金として、従来から用いられてきた4000系のAl−Si系合金(例えば4045等)を使用する場合には、ろう付け処理後に、ろう材は、心材表面からほぼすべて流動して流失する。
一方、特許文献2等に開示された開発技術では、ろう材のSi濃度および厚さを制御し、ろう付け処理後に「心材+残存ろう材」からなる組織を得ることによって、残存ろう材は犠牲陽極材として機能する。ろう材を低Si濃度とすることによって、ろう材はろう付け時の加熱によって、流動ろうの液相とα相の固相とからなる半溶融状態(固液共存状態)となる。そして、冷却時には、固相のα相を核として流動せずに残った液相が凝固して、通常は、粒子状のα相と粒子周辺の共晶部とからなる粒状組織となる。
本実施形態のブレージングシートの心材は、Al−Mn系合金またはAl−Mn―Cu系合金のAl合金からなる。これらのAl合金であれば、自動車用熱交換器等の用途に使用されるブレージングシートとして、機械的強度等の物性の面で十分に使用し得るものである。
Mnは、ろう付け後強度を向上させる効果があり、含有量の増加によって、ろう付け後強度を高めることができる。また、電位を貴にする働きがあるため、耐食性を向上させる。Mnの含有量が2.0質量%を超えると粗大なAl−Mn系金属間化合物が形成され、成形性の低下し、耐食性低下を起こしやすい。したがって、心材におけるMnの含有量は好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは0.5〜1.8質量%である。
Cuは、電位を貴にする効果があり、耐食性を向上させる。また、ろう付け後強度を向上させる。Cuの含有量が2.5質量%以上になると、融点の低下に伴ってバーニングが発生する可能性がある。ここで、バーニングとは、例えばろう材からの拡散Siなどによって局部的に合金元素濃度が増加した結果、その周辺で(心材マトリックスの融点より低い温度で)溶融する現象である。従って、心材におけるCuの含有量は、好ましくは2.5質量%未満であり、より好ましくは2.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.2〜1.0質量%である。
Siは、ろう付け後強度を向上させる効果があり、特にMg、Mnと共存させた場合に、Mg−Si系金属間化合物、Al−Mn−Si系金属間化合物の形成により、さらにろう付け後強度を高めることができる。しかし、Siの含有量が1.7質量%を超えると心材の融点低下および低融点相増加により、心材の溶融が生じる。したがって、心材におけるSiの含有量は、好ましくは1.7質量%以下である。
Tiは、Al合金中でTi−Al系化合物を形成して層状に分散する。Ti−Al系化合物は電位が貴であるため、腐食形態を層状化し、深さ方向への腐食(孔食)を進展し難くする効果がある。0.35質量%を超えると粗大な金属間化合物形成により、加工性および耐食性が低下する。したがって、心材はTiを0.35質量%以下であれば含有してもよい。
Mgは、ろう付け後強度を向上させる効果があり、一方でMgはフラックスろう付け性を低下させる作用がある。そのため、0.5質量%を超えると、ろう付けの際にろう材までMgが拡散してろう付け性が著しく低下する。したがって、心材はMgを0.5質量%以下(より好ましくは0.3質量%以下)であれば含有してもよい。
また、上記以外に添加する合金としては、以下のようなものが挙げられる。心材には耐食性(電位の)調整を目的として、Sn、Inを含有量の合計で0.1質量%以下であれば含有してもよい。また、心材の電位貴化および強度向上のため、Cr、Ni、Zr、Feをそれぞれ0.3質量%以下であれば含有してもよい。
心材は、前記の各組成成分以外は、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものである。不可避的不純物は、本発明の効果を妨げない範囲内であれば含有していてもよい。不可避的不純物は、合計量で概ね1.0質量%未満であれば許容される。
本実施形態のブレージングシートのろう材は、Si:2〜8質量%、Zn:1〜9質量%を含有するAl−Si−Zn系合金のAl合金からなる。
Siは、Al合金の融点低下、ろう付け温度での液相率および流動性を高める作用がある。Si含有量が2質量%未満では、ろう付け時にろうの量が不足してろう付け性が低下する。一方、8質量%を超えるとろう流動量が過剰になり、板厚の減少による接合不良の他、余剰量による浸食などのろう付け不良が発生する。したがって、ろう材におけるSiの含有量は、2〜8質量%とする。ろう材におけるSiの含有量は、好ましくは3.5〜7質量%である。
Znは、Al合金の電位を卑にする作用があり、また融点の低下および液相率を増加させる作用がある。Zn含有量が1質量%未満では、ろう付け後の表面に残留するZnは極少量であるため、耐食性の向上はほとんど認められない。一方、9質量%を超えると、流動ろう材に含有されるZn濃度が増大し、フィレットなどの優先腐食の原因となる。したがって、ろう材におけるZnの含有量は、1〜9質量%とする。ろう材におけるZnの含有量は、好ましくは2〜7質量%である。
また、ろう材には、上記合金成分の他、Al合金の電位を卑にするIn、Snなどを適宜添加しても良い。
ろう材は、前記の各組成成分以外は、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものである。不可避的不純物は、本発明の効果を妨げない範囲内であれば含有していてもよい。不可避的不純物は、合計量で概ね1.0質量%未満であれば許容される。
なお、製造工程およびろう付け処理において心材に含有される合金元素がろう材に拡散するため、ろう付け後のろう材はこれらの合金元素を不可避不純物として含有する。
本実施形態において、ろう材のろう付け温度における液相率X(%)とろう材厚さY(μm)とは、下記式(1)〜(3)を満足する。
(1)30≦X≦80、
(2)Y≧25、
(3)1000≦X×Y≦24000
なお、ろう材のろう付け温度における液相率X(%)は、クラッドに使用するろう材の材料成分から、標準的な熱力学計算ソフト(例えば、サーモカルク)によって算出される値である。
これによって、例えば、フィン等とのろう付け処理においては、適切な絶対量の流動ろう材の生成が確保され、十分なろう付け性を得ることができるとともに、適切な絶対量の残存ろう材が確保されて、残存ろう材に起因する犠牲防食効果が十分に発揮される。
本実施形態において、ろう付け後の心材上に残存するα相の平均長が、残存ろう材厚さの80%以上および70μm以上の少なくとも一方を満足する。
残存ろう材層の腐食は、残存α相と共晶部との界面で進行するため、残存α相サイズを大きくすることで腐食の進行を低減し、α相粒子の脱落を抑制することが可能となる。
残存ろう材厚さが薄くα相の平均長が70μm未満である場合は、α相粒子の平均長が残存ろう材厚さの80%と同等かそれ以上に大きくなれば、残存α相と共晶部との界面が十分に減少し、腐食の抑制効果を得ることができる。
また、α相の平均長が70μm以上になれば、α相粒子は十分に大きいため、脱落に至るまでに必要とされる腐食経路が増大するため、脱落が十分に抑制される。
従って、ろう付け後の心材上に残存するα相の平均長が、残存ろう材厚さの80%以上および70μm以上の少なくとも一方を満足するようにする。より好ましくは、残存ろう材厚さの90%以上および80μm以上である。
α相の平均長(μm)=√(残存ろう材面積/α相粒子数) ・・・(4)
ここで、残存ろう材面積は、5視野の和として求める。α相の粒子数は、5視野においてカウントした和として求める。
本実施形態のブレージングシートの製造方法について、その具体例を説明する。
なお、ここではろう材+心材の実施形態に準じて説明するが、心材のもう一方の面に、犠牲材をクラッドしたり、犠牲材を設けた上にさらにろう材をクラッドしたり、内張材を設けたり、ろう材の種類を変えたりする場合も同様である。
(1)30≦X≦80、
(2)Y≧25、
(3)1000≦X×Y≦24000、
心材用材料をAl−Mn系合金またはAl−Mn−Cu系合金によって形成する心材形成工程と、ろう材用材料をSi:2〜8質量%、Zn:1〜9質量%を含有するAl−Si−Zn系合金によって形成するろう材形成工程と、心材用材料の少なくとも一方の面にろう材用材料を配置し、心材用材料とろう材用材料とを重ね合わせて、熱間圧延および冷間圧延によって圧着する圧延工程と、冷間圧延の途中段階および冷間圧延後の少なくともいずれか一つ以上の段階において、410℃以上で、570℃以下またはろう材の固相線温度以下の温度で、10分間以上で20時間以下で、加熱処理する加熱工程を含んでいる。
後記する加熱工程は、上記工程において、冷間圧延の途中段階および冷間圧延後の少なくともいずれか1つ以上の段階において実施することが望ましい。
本実施形態において、加熱工程における加熱処理は、ろう付け処理に先立って、またはろう付け処理の前段階として行われるものである。そして、ろう材中のα相を大粒径化し、α相を取り囲む共晶相を減少させ、ろう材中のSi濃度分布を制御するために実施するものである。加熱処理温度が高いほど、加熱処理時間が長いほど拡散量は多くなる。しかし、同加熱処理によって他の添加元素(例えば、心材Cu、ろう材Zn)も同時に拡散するため、過度の加熱処理は耐食性に悪影響を及ぼす(具体的には、犠牲防食作用に必要な電位差を維持できなくなる)。
従って、加熱条件としては、410℃以上で、570℃以下またはろう材の固相線温度以下の温度で、10分間以上で20時間以下の時間とすることが必要である。好ましくは、420℃〜480℃の温度で、1〜6時間である。
(i)熱間圧延→冷間圧延→加熱処理(中間焼鈍)→仕上げ圧延→仕上げ焼鈍、
(ii)熱間圧延→冷間圧延→中間焼鈍→仕上げ圧延→加熱処理(仕上げ焼鈍)、
(iii)熱間圧延→冷間圧延→加熱処理(中間焼鈍)→仕上げ圧延→加熱処理(仕上げ焼鈍)、等がある。
ここで、本実施形態の加熱処理は、前記したように、410℃以上で行うものである。そのため、上記の(ii)における中間焼鈍は410℃未満で行われるものであり、上記の(i)と(iii)における加熱処理(中間焼鈍)は410℃以上で行われるものである。同様に、上記の(i)における仕上げ焼鈍は410℃未満で行われるものであり、上記の(ii)と(iii)における加熱処理(仕上げ焼鈍)は410℃以上で行われるものである。
D=(3.5/100000)×EXP[−124×1000/{8.31×(T+273.15)}] ・・・(5)
D=D0×EXP[−Q/{R×(T+273.15)}] ・・・(6)
ここで、D0は拡散定数(振動因子)であり、Qは拡散の活性化エネルギーであり、Rは気体定数であり、Tは摂氏温度である。
適用される温度範囲は、618〜904°K(344〜631℃)であり、本実施形態の加熱処理の温度範囲が包含される。
一方、Z=Σ(√(D×t))が上記範囲である1E−4未満であると、拡散が不足し、ろう材中のSiが欠乏する層が薄くなり、流動するろう材の量が増大する。α相の平均長は減小するため、α相粒子の脱落が増大し、耐食性が低下する傾向にある。但し、Zn、Cu等の拡散は進行するため、電位差は増大する。
したがって、Z=Σ(√(D×t))が上記の1E−4≦Z≦1E−2 の関係式を満足すると、ろう材中にSiが拡散されない層が適度に形成され、ろう材は適度に流動し、α相粒子の脱落は抑制され、Zn、Cu等が適度に拡散されて、耐食性が良好なものとなる。
表1に示す組成を有する心材と表2に示す組成を有するろう材について、上記の心材形成工程、ろう材形成工程の製造方法に準じて、心材用材料とろう材用材料を作製した。記載のない工程、方法、条件については公知のものを用いた。
供試材N0.48〜77については、所定の加工率で冷間圧延を行うことによって、板厚400μmのクラッド材を作製した。その後表4〜表5に記載の条件で仕上げ焼鈍としての加熱処理を施して、板厚400μmの供試材を作製した。
供試材N0.82と83については、0.6mmtまたは0.8mmtのクラッド材に表5に記載の条件で中間焼鈍としての加熱処理を施した。その後所定の加工率で冷間圧延を行って、0.4mmtのクラッド材とした。さらに表5に記載の条件で仕上げ焼鈍としての2回目の加熱処理を施して、板厚400μmの供試材を作製した。
供試材N0.118〜127については、0.4mmtまたは0.6mmtのクラッド材に表6に記載の条件で仕上げ焼鈍としての加熱処理を施して、板厚400μmまたは板厚600μmの供試材を作製した。
供試材N0.138〜147については、0.4mmtのクラッド材に表7に記載の条件で仕上げ焼鈍としての加熱処理を施して、板厚400μmの供試材を作製した。
(液相率X)
ろう材のろう付け温度における液相率X(%)は、サーモカルク(Thermo-Calc)を使用して算出する。ここで、サーモカルクとは、スウェーデンの王立工科大学で開発された熱力学計算ソフトウェアを指す。
ろう材厚さY(μm)は、ろう付け処理前のアルミニウム合金ブレージングシートの断面観察を行い、5点の平均値として求める。
拡散係数Dは、Bergnerによって求められたAl−Si合金中のSiの拡散係数であり、アルミニウム合金ブレージングシートの温度T(℃)の関数であり、下記式(5)から求められる。
D=(3.5/100000)×EXP[−124×1000/{8.31×(T+273.15)}] ・・・(5)
作製した各供試材のろう材表面に市販の非腐食性のフラックスを3g/m2で塗布し、治具を用いて吊り下げて、露点が−40℃、酸素濃度が200ppm以下の窒素雰囲気中において、590〜600℃で2分間保持することによって、ろう付け加熱を行い、ろう付け処理材を作製した。この試料を光学顕微鏡を用いて、断面観察を行った。必要に応じてケラーエッチングを行い、任意の5点の断面像(倍率50倍)を得た。
α相の平均長(μm)は、各断面像においてα相の粒子を正方形として求めた一辺の平均長さとして定義して、下記式(4)にて算出し、5点の平均値を求めた。
α相の平均長(μm)=√(残存ろう材面積/α相粒子数) ・・・(4)
ここで、残存ろう材面積は、5視野の和として求めた。α相の粒子数は、5視野においてカウントした和として求めた。
図10は、ろう付性を評価するための隙間充填試験機の斜視図である。図11は隙間充填試験機の正面図である。
供試材から幅25mm×長さ60mmのサイズの試験片を切り出し、その試験片のろう材面に市販の非腐食性のフラックスを5g/m2塗布して乾燥させた。図10に示すように、フラックスを塗布したろう材面が上向きとなるように試験片(下板12)を載置し、その上にφ2mmのステンレス製の丸棒をスペーサ13として挟んで、厚さ1mm、幅25mm×長さ55mmの3003合金板(上板11)を試験片に対し鉛直に立ててワイヤ14で固定した。このとき、スペーサ13の位置は試験片の一端から50mmの距離とした。これらに、ろう付を模擬した条件で熱処理(露点が−40℃、酸素濃度が200ppm以下の窒素雰囲気中で、590〜600℃で2分間保持)を行った。図11に示すように、試験片(下板12)と3003合金板(上板11)とのすき間に充填されたフィレット15の隙間充填長Lを測定した。隙間充填長Lが30mm以上のものをろう付性が良好と判定した。
上記のα相サイズの評価と同じ方法で得られたろう付け熱処理材から、60mm×50mmの試験材を切り出し、ろう材面が試験面となるように、ろう材面の反対の面及び端面をシールテープによりシールして、CASS試験(JIS Z 2371)を1000時間実施した。試験後、最大腐食深さを測定し、心材腐食深さ(=最大腐食深さ−ろう付け後残存ろう材厚さ)(μm)を算出した。この耐食性試験の合格基準は、心材腐食深さが100μm以下である。
なお、腐食深さは、心材表面を基準として表示される。すなわち、腐食が残存ろう材を抜けて、心材内部まで腐食しているとき、その腐食深さは、プラスの値として、○○μmと表示される。一方、腐食が残存ろう材内で留まり、心材表面にまで到達していないときは、マイナスの値として、−○○μmと表示される。
供試材No.108〜147は、加熱処理の条件が本発明の構成から外れるものである。いずれも、加熱処理の温度が低いために、ろう付け後の心材上のろう材中に残存するα相の平均長が70μm未満であり、かつ残存ろう材厚さの80%未満であった。そのため、脱粒発生部の比率が大きく、耐食性に劣っていた。
2 心材
3、30 ろう材
4 α相
5 共晶部
Claims (8)
- 心材と当該心材の少なくとも一方の面にろう材を有するアルミニウム合金ブレージングシートであって、
前記心材がAl−Mn系合金またはAl−Mn―Cu系合金からなり、
前記ろう材がSi:2〜8質量%、Zn:1〜9質量%を含有するAl−Si−Zn系合金からなり、
前記ろう材のろう付け温度における液相率X(%)とろう材厚さY(μm)とが、下記式(1)〜(3)を満足し、
(1)30≦X≦80、
(2)Y≧25、
(3)1000≦X×Y≦24000、
前記アルミニウム合金ブレージングシートを、露点が−40℃、酸素濃度が200ppm以下の窒素雰囲気中において、590〜600℃で2分間保持するという条件でろう付け処理を行った後の前記心材上のろう材中に残存するα相の平均長が、残存ろう材厚さの80%以上および70μm以上の少なくとも一方を満足することを特徴とするアルミニウム合金ブレージングシート。 - 前記心材が、Al−Mn系合金またはAl−Mn―Cu系合金からなり、Mn:0.5〜2.0質量%を含有し、Cu:2.5質量%未満およびSi:1.7質量%以下のうちの少なくとも一種以上を含有する請求項1に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
- 前記心材が、Al−Mn系合金またはAl−Mn―Cu系合金からなり、Si:0.5質量%以下を含有する請求項2に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の、心材と当該心材の少なくとも一方の面にろう材を有するアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法であって、
前記ろう材のろう付け温度における液相率X(%)とろう材厚さY(μm)とが、下記式(1)〜(3)を満足し、
(1)30≦X≦80、
(2)Y≧25、
(3)1000≦X×Y≦24000、
前記心材用材料をAl−Mn系合金またはAl−Mn−Cu系合金によって形成する心材形成工程と、
前記ろう材用材料をSi:2〜8質量%、Zn:1〜9質量%を含有するAl−Si−Zn系合金によって形成するろう材形成工程と、
前記心材用材料の少なくとも一方の面に前記ろう材用材料を配置し、前記心材用材料と前記ろう材用材料とを重ね合わせて、熱間圧延および冷間圧延によって圧着する圧延工程と、
前記冷間圧延の途中段階および前記冷間圧延後の少なくともいずれか1つ以上の段階において、410℃以上で、570℃以下または前記ろう材の固相線温度以下の温度で、10分間以上で20時間以下で、加熱処理する加熱工程を含むアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法。 - 前記心材が、Al−Mn系合金またはAl−Mn―Cu系合金からなり、Mn:0.5〜2.0質量%を含有し、Cu:2.5質量%未満およびSi:1.7質量%以下のうちの少なくとも一種以上を含有する請求項4に記載のアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法。
- 前記加熱処理を、拡散係数D(m2/sec)と加熱時間t(sec)の積の平方根の積算値であるZ=Σ(√(D×t))が、1E−4≦Z≦1E−2 の関係式を満足するように行うことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法。
ここで、拡散係数Dはアルミニウム合金ブレージングシートの温度T(℃)の関数であり、下記式から求められる。
D=3.5/100000×EXP[−124×1000/{8.31×(T+273.15)}] - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブレージングシートを成形し、組み立て、ろう付け処理をすることによって製造されることを特徴とする熱交換器の製造方法。
- 請求項4〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法によって得られたアルミニウム合金ブレージングシートを成形し、組み立て、ろう付け処理をすることによって製造されることを特徴とする熱交換器の製造方法。
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