JP2011012327A - ろう付性に優れるブレージングシートおよび該ブレージングシートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧延方向に対する切り出し方向に拘わらず、良好なろう付け性が得られ、熱交換器のヘッダープレートに好適なブレージングシートを提供する。
【解決手段】Mn:1.0〜1.8%、Si:0.5〜1.2%、Cu:0.5〜1.2%、Fe:0.3〜1.0%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金芯材の片面に、Siを6.0〜9.0%含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金ろう材、他の片面に芯材より電位が卑な犠牲材をクラッドした板厚1.0〜2.0mmのアルミニウム合金クラッド材であって、600℃における圧延方向と平行方向面のろう流動係数Kおよび垂直方向面のろう流動係数KLTが0.3〜0.5、KLT/Kが0.9〜1.0の範囲内にあるブレージングシート。
【選択図】なし

Description

本発明は、ろう付性に優れたアルミニウム合金ブレージングシートに関するものであり、自動車熱交換器用のヘッダープレート材やタンク材として最適に使用できる。
自動車用のラジエーターやヒーターコアなどのチューブ材やヘッダープレート材としては、Al−Mn−Cu系合金からなる芯材の片面にAl−Si系ろう材をクラッドし、他の片面に犠牲陽極材としてAl−Zn系合金やAl−Mg−Zn系合金をクラッドした3層のアルミニウム合金が使用されている。
Al−Si系のろう材は、チューブとフィン、チューブとヘッダープレートなどのろう付接合のために貼り合わされており、ろう付は通常不活性ガス雰囲気中でフッ化物フラックスを用いて行なわれる。
犠牲陽極材は前記ブレージングシートを用いて製作された熱交換器の使用中に作動流体と接して犠牲陽極効果を発揮し、芯材の孔食や隙間腐食の発生を抑制し、耐食性を向上させる作用を有する。
芯材には強度や成形性、ろう付性に優れるAl−Mn−Cu系合金が一般的に使用されている。近年、ラジエータ等の熱交換器は軽量化を図るため部材の薄肉化が進んでおり、そのため部材にはさらなる高強度化が要求されている。そこで、上記芯材のMn、Cu、Si添加量の増加による強度向上が図られている。
ところで、上記クラッド材はろうの流動性低下による接合不良を抑制するためろう付加熱時に芯材の再結晶粒を粗大化させる必要がある。材料中の結晶粒界はろうの侵食経路となりやすく、ろう付時の芯材再結晶粒が微細な場合、材料中に結晶粒界が多く存在することとなり、その後のろう溶融により芯材へのろう侵食(以下、エロージョン)が生じやすくなる。したがって、現在使用されているブレージングシートは通常エロージョンが起こらないように芯材組成や圧延工程を最適化することにより芯材の結晶粒が微細化しすぎないように制御されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−179482号公報
近年、熱交換器のチューブは、従来の電縫溶接管や押出多穴管から、図3に示すように、ブレージングシート1を折り曲げてろう付け時に自身のろう2により造管を行なうチューブが増加している。しかし、このような板曲げ式チューブは表面に溝状の接合部3を有するため、ヘッダープレート接合部から溶融ろうがその溝を介してチューブ側に流動することで発生するろう付け不良が問題となっている。
チューブ側ではろう付時にヘッダー側から多量の溶融ろうが継続的に流れ込むことでエロージョンが発生し、局部的な板厚減少を引き起こす。そのため熱交換器の耐食性や耐久性などが低下し、ひどい場合にはエロージョンによってチューブに貫通孔が発生する場合もある。
また、ヘッダー/チューブ接合部ではチューブ側へろうが流動するためろうが不足することでろうの充填不良が発生し、作動流体の漏れが発生する。ヘッダー/チューブ接合部のフィレットも従来の製品に比べ小さくなるため熱交換器の耐久性が低下する。
また、ヘッダープレートは細長い形状で熱交器の大きさによってサイズが異なるため、コイルの幅歩留まり改善のため、チューブやフィンと異なり、プレス成形時の長手をコイル幅方向から取る場合とコイル長手方向からとる場合がある。しかし、芯材の結晶粒径は通常圧延方向に長い扁平形状になるため、サンプリング方向によって、ろう材と接する芯材面の結晶粒界の距離が異なり、接合部に流動するろう材量が変化する。芯材の結晶粒径が小さくなると結果、結晶粒界が多くなるため、接合部に流動する溶融ろうは少なくなり、逆に結晶粒径が大きくなると結果、結晶粒界が少なくなるため、溶融ろうの供給量は増加する。したがって、同じ材料でもサンプリング方向の違いでろう流動係数すなわち接合部に流動する溶融ろうの量が変化し、安定したろう付性が確保できないことが問題となっている。
そこで、本発明ではサンプリング方向によってろう流動性の変化が小さく、ろう付け性に優れるブレージングシートおよびその製造方法を提供することにある。本発明のブレージングシートは特にろう付でチューブ造管を行なう熱交換器のヘッダープレート材およびタンク材としての使用に最も適する。
上記のように、ろう付でチューブ造管を行なう熱交換器の場合はヘッダープレートの溶融ろうがチューブ側へ流動することで、接合不良やエロージョンが発生するが、ヘッダープレートとチューブ接合部でろうが不足するとろう付け不良やフィレットが小さくなるため、接合部には十分なろうを安定供給する必要がある。しかし、通常ブレージングシートはコイルの長手方向と幅方向によってろうの流動性が異なるため、ヘッダープレートのサンプリング方向によって接合部へのろう材供給量は異なり、安定したろう付け性が確保できない。
そこで、本発明者らは、上記の観点から熱交換器のろう付け性を向上させるブレージングシートを得るべく研究を行った結果、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明のろう付性に優れるブレージングシートのうち、第1の本発明は、質量%で、Mn:1.0〜1.8%、Si:0.5〜1.2%、Cu:0.5〜1.2%、Fe:0.3〜1.0%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金芯材の片面に、質量%で、Siを6.0〜9.0%含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金ろう材をクラッドし、前記アルミニウム合金芯材の他の片面に前記芯材より電位が卑な犠牲材をクラッドした板厚1.0〜2.0mmのアルミニウム合金クラッド材であって、600℃における圧延方向と平行方向面のろう流動係数Kおよび圧延方向と垂直方向面のろう流動係数KLTがともに0.3〜0.5の範囲内にあり、かつ、前記ろう流動係数の比であるKLT/Kが0.9〜1.0の範囲内にあることを特徴とする。
第2の本発明のろう付性に優れるブレージングシートは、前記第1の発明において、ろう付け熱処理後の前記芯材の板面方向に平行な断面における結晶粒の長径が平均100〜500μmの範囲内にあり、前記結晶粒の長径と短径の比が5倍以内であることを特徴とする。
第3の本発明のろう付性に優れるブレージングシートは、前記第1または第2の発明において、前記ろう材に、さらに質量%で、Zn:1.0〜5.0%を含有することを特徴とする。
第4の発明のろう付性に優れるブレージングシートの製造方法は、前記第1〜第3の発明のいずれかにおけるブレージングシートを製造する方法であって、請求項1〜3のいずれかに記載の組成を有するアルミニウム合金芯材に575℃以上で4時間以上保持する均質化処理を行なった後、該芯材と、前記第1〜第3の発明のいずれかに記載の組成を有するアルミニウム合金ろう材および前記芯材より電位が卑な犠牲材とを熱間圧延し、中間焼鈍することなく所定板厚まで冷間圧延し、30℃/時以上で昇温して最終焼鈍を施すことを特徴とする。
以下に、本発明におけるクラッド材の芯材の成分範囲を前記のごとく限定した理由を述べる。
Mn:1.0〜1.8%
芯材に含まれるMnは、芯材素地中にAl−Mnとして分散し、耐食性を低下させることなく強度を向上させる作用がある。また、Siと同時に添加することで、微細なAl−Mn−Si系金属間化合物が形成され、さらに強度を向上させる効果を有する。その含有量が1.0%未満では十分な効果が得られず、一方、1.8%を越えて含有すると粗大な化合物により鋳造性や圧延などの加工性が低下するので好ましくない。したがって、Mn含有量を1.0〜1.8%に定めた。Mn含有量の一層好ましい下限は1.2%であり、一層好ましい上限は1.6%である。
Si:0.5〜1.2%
芯材に含まれるSiは、Mnと共存させることによりAl−Mn−Si化合物となって素地中に分散、あるいはマトリックスに固溶して強度を向上させる作用を有するが、Si:0.5%未満では十分な効果が得られず、一方、1.2%を超えて含有させると、芯材の融点を低下させ、さらに粒界腐食を発生させるため好ましくない。したがって、Si含有量を0.5〜1.2%に定めた。Si含有量の一層好ましい下限は0.6%であり、一層好ましい上限は1.0%である。
Cu:0.5〜1.2%
芯材に含まれるCuは、マトリックスに固溶して強度を向上させ、また芯材の電気化学的性質を貴にし、皮材およびろう材との電位差を大きくする作用を有するが、Cu:0.5%未満では十分な効果が得られず、一方、1.2%を越えて含有させると、鋳造性や圧延などの加工性が低下するとともに粒界腐食が起こりやすくなり、耐食性が低下するので好ましくない。したがって、Cu含有量を0.5〜1.2%に定めた。Cu含有量の一層好ましい下限は0.6%であり、一層好ましい上限は1.0%である。
Fe:0.3〜1.0%
Feは、ろう付後の再結晶粒を微細かつ等軸(長径と短径の比を同等)にする効果があり、Fe添加量を調整することでろう付後の再結晶粒の形状や大きさを制御することが可能である。すなわち、芯材Fe添加量を調整することで圧延方向と平行方向面と垂直方向面のろうの流動性を制御することが可能となる。また、材料中にAl−Fe系金属間化合物を生成し、強度を向上させる効果を有する。さらにMnを同時に添加すると、Al−Mn−Fe系金属間化合物が生成し、さらなる強度の向上や結晶粒径を微細かつ等軸にする効果が得られる。
Feはその含有量が0.3%未満では所望の効果が得られず、一方、1.0%を越えて含有すると巨大晶出物が生成し製造上問題となる。また、芯材の再結晶粒が非常に微細化し、ろうの流動性が低下する。したがって、Fe:0.3%〜1.0%に定めた。Fe含有量の一層好ましい下限は0.4%であり、一層好ましい上限は0.8%である。
次に、本発明においてろう材中のSi量を6.0〜9.0%に限定した理由を以下に示す。
通常、ろう付熱処理は約600℃の温度で実施されるがろう付でチューブ造管を行なう熱交換器の場合、ろう材中のSi量を6.0〜9.0%の範囲に制御すると溶融ろうの供給量が最適となり、さらにろう付温度でろう材の一部が固相(初晶)となりろうの流動性が低下し、ろう付の安定性が向上するため、ろう材中のSi量を6.0〜9.0%に限定した。ろう材中のSi量が6.0%より少ない場合は、溶融ろうの不足により接合部でろうの充填不良が発生し、一方、Si量が9.0%を超えると、ろう付温度でほとんど全てが液相となり過剰な溶融ろうの供給によってエロージョンが発生する。したがって、ろう材中のSi量を上記範囲に限定した。ろう材Si量の一層好ましい下限は7.5%であり、一層好ましい上限は8.5%である。
なお、本発明の熱交換器用ブレージングシートで使用するAl−Si系合金ろう材には、Zn:1.0〜5.0%を含有しても良い。また、Znを積極的に含有しない場合にも、不純物として0.2%以下のZnを含有することができる。
次に、本発明におけるブレージングシートのろう付け相当熱処理条件(600℃)で測定した圧延方向と平行方向面のろう流動係数Kと圧延方向と垂直方向面のろう流動係数KLTが共に0.3〜0.5で、KLT/Kが0.9〜1.0の範囲の範囲となるように限定した理由を示す。
ろう材中のSi量により生成する溶融ろうの割合は変化するが、接合部に適度な溶融ろうが供給され、良好な接合状態が得られるブレージングシートのろう流動係数を求めた結果、0.3〜0.5の範囲であることがわかったため、ろう流動係数KおよびKLTを共に上記範囲に限定した。一方のろう流動係数が0.3を下回ると接合部に流動する溶融ろうが不足し、一方、0.5を超えると過剰な溶融ろうによってろう侵食が発生する。
さらに圧延方向に平行方向と圧延方向に垂直方向でろう流動係数に大きな差が生じると、ヘッダープレートなどのサンプリング方向によって接合部に流動する溶融ろうの絶対量が変化するため、安定したろう付け性を確保することが困難となる。そこで、圧延方向と平行方向面のろう流動係数Kと圧延方向と垂直方向面のろう流動係数KLTの比KLT/Kを0.9〜1.0の範囲に規定した。KLT/Kが0.9未満あるいは1.0を超える場合はサンプリング方向によって、接合部に流動する溶融ろうの量に変動が大きく、ろう充填不良やエロージョンの発生が問題となる。KLT/Kは、1.0以下で1.0により近い値となることが望ましい。
さらに、本発明においてろう付け熱処理後の芯材の板面方向に平行な断面における結晶粒の長径平均は100〜500μmであるのが望ましい。その理由は、十分なろう流動性を確保するためで、長径平均が100μm未満では芯材へのろう侵食により流動する溶融ろうが減少し、500μmを越える場合は過剰に溶融ろうが流動すると共に材料の強度や加工性が低下する。
また、結晶粒が扁平形状になるとサンプリング方向によってろう材と接する芯材面の結晶粒界の距離が異なり、接合部に流動するろう材量が変化する。そこで、安定したろう付け性を得るため結晶粒の長径と短径の比は5倍以内が望ましく、さらには1.0〜3.0の範囲が一層望ましい。
なお、上記結晶粒は、芯材の深さ位置によっては大きさ等に若干の相違が見られる場合があるが殆ど無視できる程度の相違である。したがって、上記長径および長径と短径の比は、芯材のいずれかの深さ位置で上記条件を満たしているものであればよい。
また、本願発明のブレージングシートの製造方法で、芯材について575℃以上で4時間以上保持する均質化処理を実施するのは、鋳造時に過飽和に固溶したMnを金属間化合物として析出させ、最終焼鈍時やろう付け時の再結晶を促進させ、結晶粒径をより等軸かつ微細にするためである。均質化処理温度が575℃より低い場合や保持時間が短い場合は、その効果が不十分である。
また、本願発明のブレージングシートの製造方法で、上記芯材にろう材、犠牲材をクラッドした後、最終焼鈍時の昇温速度を30℃/時間以上とするのは、最終焼鈍における結晶粒径を微細かつ等軸とするためである。昇温速度が30℃未満の場合は結晶粒が粗大かつ扁平になるため好ましくない。なお、最終焼鈍の温度としては、例えば300〜420℃とすることができる。
なお、本願発明のブレージングシートの製造方法では、好適には、ろう材として、前記ブレージングシートで示した組成のものを用いることができ、犠牲材には、上記芯材よりも卑となる材質のものを用いる。
以上説明したように、本発明ブレージングシートは、ろう付けによりチューブを造管する自動車用熱交換器のヘッダープレートとして使用した場合、サンプリングする方向によらず、安定したろう付け性が得られ、熱交換器のろう付不良や耐久性の向上に大いに貢献し得る。
本発明の実施例における芯材の結晶粒観察断面を示す図である。 同じく、ろう流動性試験の試験方法を示す図である。 板曲げ式チューブの例を示す図である。
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
本発明の熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートは、芯材、犠牲陽極材およびろう材を構成するアルミニウム合金を、半連続鋳造により造塊する。
芯材は、Mn:1.0〜1.8%、Si:0.5〜1.2%、Cu:0.5〜1.2%、Fe:0.3〜1.0%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成に調製し、ろう材は、Siを6.0〜9.0%含有し、さらに所望によりZn:1.0〜5.0%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成に調製し、犠牲材は、上記芯材よりも卑となる組成に調製する。
上記芯材については575℃以上で4時間以上保持する均質化処理を行なった後、芯材、ろう材、犠牲材それぞれを所定厚さまで熱間圧延する。その後、各材料を組み合わせ、熱間圧延によりクラッド材とし、最終的に所定厚さまで冷間圧延する工程を経てブレージングシートが製造される。
上記製造過程では、中間焼鈍することなく最終板厚とするのが望ましい。中間焼鈍を施さないのは、なるべく最終焼鈍時の結晶粒を等軸とするためである。
また、冷間圧延後には、30℃/時以上で昇温して、例えば300〜420℃で最終焼鈍を施す。
上記製造工程により得られた本発明のアルミニウム合金ブレージングシートをヘッダープレートとし、自動車用のラジエーターやヒーターコアなどのアルミニウム製熱交換器の組み立てに使用する場合には、プレス成型で所定の形状にして、アルミニウム合金のチューブやフィン材を組み合わせ、ろう付炉中においてフラックスを用いる不活性雰囲気ろう付けを行う。なお、ろう付け雰囲気は本発明としては、特に不活性雰囲気に限定されるものではない。
上記ろう付けに際し、圧延方向と平行方向、垂直方向のいずれからブレージングシートを切り出したものを用いても良好なろう付け性が得られている。
なお、本発明のブレージングシートは、上記のようにヘッダープレートとして用いるのが好適であるが、本発明の用途がこれに限定されるものではない。
表1に示す成分組成のアルミニウム合金を半連続鋳造により造塊し、均質化処理を実施した後、熱間圧延を行い、芯材a〜nを作製した(均質化処理条件は表3中に記載)。
次に、表2に示す成分組成のろう材用アルミニウム合金を半連続鋳造により造塊した後、熱間圧延を行い、ろう材A〜Jを作製した。
Figure 2011012327
Figure 2011012327
さらに、犠牲材用アルミニウム合金(JIS 7072、Zn:1.0% 残部Alおよび不可避不純物)を溶解、鋳造してインゴットを製造し、このインゴットを通常の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、厚さ20mmの圧延板とし、犠牲材として使用した。
その後、犠牲材、芯材、ろう材のクラッド率がそれぞれ10%、80%、10%となるように各材料を組み合わせ熱間圧延によりクラッド材とし、厚さ約1.5mmまで冷間圧延後、表3に示す熱処理条件にて最終焼鈍を実施した。芯材の結晶粒径長径サイズおよび長径、短径の比については、芯材のろう材界面近傍を露出させ、図1に示すように、該芯材の板面方向と平行な断面における結晶粒を顕微鏡にて撮影し、任意の5ヶ所について線分切断法により求めた平均値を表3に示した。
Figure 2011012327
次に各ブレージングシートについてろう流動係数、引張強さ、ろう付け性などの特性を評価した結果を表4に示す。
ろう流動係数Kは図2に示したドロップ型流動試験で測定し、不活性ガス雰囲気中において600℃で5分保持するろう付け相当熱処理を行なった後、次式により算出した。なお、圧延方向と平行方向および垂直方向のろう流動係数は同じブレージングシートからそれぞれ同一サイズの試験片を5枚ずつサンプリングし、軽金属溶接構造協会規格 LWS T8801(アルミニウムブレージングシートのろう付性試験方法)に基づきろう流動係数KおよびKLTを求めた。
K = (4W−W)/(3W×ろう材クラッド率)
:ろう付前のブレージングシートの質量
:ろう付後のブレージングシート下部1/4の質量
クラッド率:ろう材クラッド率実測値
引張強さは不活性ガス雰囲気中において600℃で5分保持するろう付け相当熱処理を行なった後、JIS5号試験片で引張試験を実施した。引張強さは熱交換器として十分な耐久性が得られる140MPa以上を合格とした。
ろう付性の評価は各ブレージングシートを圧延方向と平行方向および垂直方向からそれぞれサンプリングし、ヘッダープレートとして成形加工した後、チューブ表面に溝を有するろう付で造管を行なうチューブ(板厚:0.25mm)およびフィン(板厚:0.08mm)と組み合わせて、100台ずつ熱交換器を作製し、ヘッダープレートとチューブ接合部(各コア150ヶ所)のろう付不良率とヘッダー近傍チューブ接合部のエロージョンの有無により判定した。
Figure 2011012327
表4のように本発明ブレージングシートをヘッダープレートとして使用するとろう付不良率が低く、チューブのエロージョンも抑制された。また、ブレージングシート成形時にも特に割れ等の不具合は生じなかった。
一方、本発明範囲外のブレージングシートではろう付性や強度のいずれかの特性が低下し、使用上問題を生じた。
試験材9〜13は芯材の均質化処理あるいは最終焼鈍条件が最適範囲でなかったため、芯材結晶粒が粗大化ならびに扁平化し、ろう付け不具合率がやや増加した。
試験材No.14,16は芯材Mn,CuまたはSi添加量が少ないためろう付後の強度が低く、熱交換器の強度及び耐久性が低下した。
試験材No.15,18は芯材MnおよびCu添加量が多いため鋳造が困難で良好な材料が作製できなかった。
試験材17は芯材Si量が多いため、芯材へろう侵食が発生した。
試験材No.19は芯材Fe添加量が多いため芯材再結晶粒が非常に微細化しろうの流動性が低下した。
試験材No.20はろう材Si添加量が少ないため、ろう付不具合率が著しく増大した。 試験材No.21はろう材Si添加量が高く、溶融ろうの供給量が過剰となりチューブでエロージョンが発生した。
1 ブレージングシート
2 ろう

Claims (4)

  1. 質量%で、Mn:1.0〜1.8%、Si:0.5〜1.2%、Cu:0.5〜1.2%、Fe:0.3〜1.0%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金芯材の片面に、質量%で、Siを6.0〜9.0%含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金ろう材をクラッドし、前記アルミニウム合金芯材の他の片面に前記芯材より電位が卑な犠牲材をクラッドした板厚1.0〜2.0mmのアルミニウム合金クラッド材であって、
    600℃における圧延方向と平行方向面のろう流動係数Kおよび圧延方向と垂直方向面のろう流動係数KLTがともに0.3〜0.5の範囲内にあり、かつ、前記ろう流動係数の比であるKLT/Kが0.9〜1.0の範囲内にあることを特徴とするろう付性に優れるブレージングシート。
  2. ろう付け熱処理後の前記芯材の板面方向に平行な断面における結晶粒の長径が平均100〜500μmの範囲内にあり、前記結晶粒の長径と短径の比が5倍以内であることを特徴とする請求項1記載のろう付性に優れるブレージングシート。
  3. 前記ろう材に、さらに質量%で、Zn:1.0〜5.0%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のろう付性に優れるブレージングシート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のブレージングシートを製造する方法であって、請求項1〜3のいずれかに記載の組成を有するアルミニウム合金芯材に575℃以上で4時間以上保持する均質化処理を行なった後、該芯材と、請求項1〜3のいずれかに記載の組成を有するアルミニウム合金ろう材および前記芯材より電位が卑な犠牲材とを熱間圧延し、中間焼鈍することなく所定板厚まで冷間圧延し、30℃/時以上で昇温して最終焼鈍を施すことを特徴とするろう付性に優れるブレージングシートの製造方法。
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