JP2003138355A - ろう付け性、成形性および耐エロージョン性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシートの製造方法 - Google Patents
ろう付け性、成形性および耐エロージョン性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシートの製造方法Info
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- JP2003138355A JP2003138355A JP2001334138A JP2001334138A JP2003138355A JP 2003138355 A JP2003138355 A JP 2003138355A JP 2001334138 A JP2001334138 A JP 2001334138A JP 2001334138 A JP2001334138 A JP 2001334138A JP 2003138355 A JP2003138355 A JP 2003138355A
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Abstract
優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージング
シートの製造方法を提供する。 【解決手段】少なくともMnを含むアルミニウム合金芯
材を温度:560〜630℃で均質化処理したのち、こ
の均質化処理したアルミニウム合金芯材の片面あるいは
両面にAl−Si系ろう材を重ね合わせ、この重ね合せ
素材を熱間圧延してアルミニウム合金芯材の片面あるい
は両面にAl−Si系ろう材層が圧接した仕上り温度:
360〜450℃の熱間クラッド素材を成形したのち冷
却速度:10〜150℃/時で冷却し、この冷却した熱
間クラッド素材を中間焼鈍することなく冷間圧延し、こ
の冷間圧延クラッド素材を昇温速度:20〜150℃/
時で温度:300〜450℃に昇温し1〜15時間保持
したのち冷却速度:10〜150℃/時で冷却する最終
焼鈍を施す。
Description
ータ用プレート、ラジエータやヒータコアなどのヘッダ
ープレートやタンクなど自動車の熱交換器用構造部材を
作るために用いる高いろう付け性、成形性および耐エロ
ージョン性を有する高強度アルミニウム合金ブレージン
グシートの製造方法に関するものである。
は、アルミニウム合金ブレージングシートを張出し加工
および絞り加工して得られた一対のプレート材により冷
媒流通部となる管路を形成させ、熱交換を促進するフィ
ンと共にろう付けして製造される。また、ラジエータや
ヒータコアなどのヘッダープレートやタンクもアルミニ
ウム合金ブレージングシートを張出し加工や絞り加工な
どを施した後、チューブなどと組合せてろう付けするこ
とにより製造される。したがって、熱交換器に使用され
るこのアルミニウム合金ブレージングシートは前述のご
とく張出し加工や絞り加工を行なう必要があるところか
ら、成形性が良くなければならない。
などのヘッダープレートやタンクは、芯材にろう材を被
覆したアルミニウム合金ブレージングシートを予め成形
して得られた各種成形体をろう付けして組み立てられる
ので、ろうを接合部へ十分に供給する必要から優れたろ
う付け性が要求される。さらに、溶融したろう材はブレ
ージングシートの芯材を侵食する性質(以下、エロージ
ョン性という)を有し、このエロージョンを受けた部分
は耐食性が低下するとともにろうの流動性を低下させる
ところから、芯材はエロージョンし難い特性(以下、こ
の特性を耐エロージョン性という)を兼ね備えていなけ
ればならない。エロージョンの原因には2種類あると言
われており、その一つは、わずかに歪が導入された部分で
はろう付けを行なっても再結晶化が完了せず、亜結晶粒
が残存するためにこの亜結晶粒界からろうの侵入が起こ
ることによるものであり、もう一つは大きな歪が導入さ
れた部分では再結晶が促進されるために再結晶粒が微細
となって結晶粒界からろうの侵食が起こることによるも
のであると言われている。
性を有するアルミニウム合金ブレージングシートを製造
するために、質量%で、Mn:0.3〜2.0%、C
u:0.1〜1.0%,Fe:0.3%以下を含有し、
残部がAlおよび不可避不純物からなる組成を有するA
l−Mn系合金を均質化処理し、均質化処理されたAl
−Mn系合金を芯材とし、この芯材の片面または両面
に、少なくともSiを含む通常4000系と呼ばれるA
l−Si系合金ろう材を重ね合わせて重ね合わせ素材を
作製し、この重ね合わせ素材を熱間圧延して仕上り厚
さ:6mm以下の熱間クラッド素材を作製し、この熱間
クラッド素材を冷間圧延を施し、次いで、昇温速度:2
00℃/時以下、温度:350〜500℃で1〜20時
間保持したのち冷却する最終焼鈍を施すことを特徴とす
るろう付け性および耐エロージョン性に優れた熱交換器
用高強度アルミニウム合金ブレージングシートの製造方
法が提案されている(特開平3−381761号公報参
照)。
器は軽量化による省エネルギー化、環境問題の解決、コ
ストダウンなどのために従来のアルミニウム合金ブレー
ジングシートよりも一層薄くかつろう付け性、成形性お
よび耐エロージョン性に優れたアルミニウム合金ブレー
ジングシートが求められている。しかし、従来の製造方
法ではろう付け性、成形性および耐エロージョン性が十
分に優れたアルミニウム合金ブレージングシートは得ら
れなかった。
う付け性、成形性および耐エロージョン性が一層優れた
アルミニウム合金ブレージングシートの製造方法を開発
すべく研究を行った。その結果、(イ)熱間圧延して得
られた少なくともMnを含むアルミニウム合金芯材の片
面あるいは両面にAl−Si系ろう材層を有する熱間ク
ラッド素材の仕上り温度が360〜450℃の範囲内に
有るように制御し、引き続いてこの熱間クラッド素材を
冷却速度:10〜150℃/時で冷却し、さらに冷却し
たクラッド素材を中間焼鈍することなく冷間圧延したの
ち最終焼鈍し、この最終焼鈍を、昇温速度:20〜15
0℃/時、温度:300〜450℃で1〜15時間保持
した後、冷却速度:10〜150℃/時で冷却する条件
で行なうと、一層ろう付け性、成形性および耐エロージ
ョン性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレ
ージングシートが得られる、(ロ)しかし、熱間圧延し
て得られた少なくともMnを含むアルミニウム合金芯材
の片面あるいは両面にAl−Si系ろう材層を有する熱
間クラッド素材の仕上り温度が360〜450℃の範囲
から外れることがあり、かかる温度範囲から外れた温度
を有する熱間クラッド素材は、温度:300〜360℃
未満で1〜10時間保持したのち、冷却速度:10〜1
50℃/時で冷却し、さらに冷却したクラッド素材を中
間焼鈍することなく冷間圧延したのち最終焼鈍し、この
最終焼鈍を、昇温速度:20〜150℃/時、温度:3
00〜450℃で1〜15時間保持した後、冷却速度:
10〜150℃/時で冷却する条件で行なうと、一層ろ
う付け性、成形性および耐エロージョン性に優れた熱交
換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシートが得
られる、などの研究結果が得られたのである。
に基づいてなされたものであって、(1)少なくともM
nを含むアルミニウム合金芯材を温度:560〜630
℃、8〜30時間保持の条件で均質化処理したのち、こ
の均質化処理したアルミニウム合金芯材の片面あるいは
両面にAl−Si系ろう材を重ね合わせて重ね合せ素材
を作製し、この重ね合せ素材を熱間圧延してアルミニウ
ム合金芯材の片面あるいは両面にAl−Si系ろう材層
を圧接した厚さ:6.5〜10mmおよび仕上り温度:
360〜450℃を有する熱間クラッド素材を成形した
後ただちに冷却速度:10〜150℃/時で冷却し、こ
の冷却した熱間クラッド素材を中間焼鈍することなく冷
間圧延して冷間圧延クラッド素材を形成し、この冷間圧
延クラッド素材を昇温速度:20〜150℃/時で温
度:300〜450℃に昇温し1〜15時間保持したの
ち冷却速度:10〜150℃/時で冷却する最終焼鈍を
施すろう付け性、成形性および耐エロージョン性に優れ
た熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージングシー
トの製造方法、(2)少なくともMnを含むアルミニウ
ム合金芯材を温度:560〜630℃、8〜30時間保
持の条件で均質化処理したのち、この均質化処理したア
ルミニウム合金芯材の片面あるいは両面にAl−Si系
ろう材を重ね合わせて重ね合せ素材を作製し、この重ね
合せ素材を熱間圧延してアルミニウム合金芯材の片面あ
るいは両面にAl−Si系ろう材層を圧接した厚さ:
6.5〜10mmを有する熱間クラッド素材を成形し、
この熱間クラッド素材を温度:300〜360℃未満、
1〜10時間保持したのち冷却速度:10〜150℃/
時で冷却し、この冷却した熱間クラッド素材を中間焼鈍
することなく冷間圧延して冷間圧延クラッド素材を形成
し、この冷間圧延クラッド素材を昇温速度:20〜15
0℃/時で温度:300〜450℃に昇温し1〜15時
間保持したのち冷却速度:10〜150℃/時で冷却す
る最終焼鈍を施すろう付け性、成形性および耐エロージ
ョン性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレ
ージングシートの製造方法、に特徴を有するものであ
る。
むアルミニウム合金芯材」は、質量%で、Mn:1.0
〜1.5%、Cu:0.05〜0.8%、Fe:0.1
〜0.7%を含有し、さらに必要に応じて、Si:0.
1〜0.8%,Zr:0.01〜0.2%,Ti:0.
01〜0.25%,Mg:0.05〜0.5%のうち1
種または2種以上を含有し、残りがAlおよび不可避不
純物からなる組成を有するアルミニウム合金芯材であ
り、「Al−Si系ろう材」はSi:5〜15%を有
し、さらに必要に応じてZn:0.1〜5%,In:
0.001〜0.05%,Sn:0.01〜0.2%,
Mg:0.1〜1.5%のうち一種または二種以上を含
有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成を有
するAl−Si系ろう材であることが好ましい。
び耐エロージョン性に優れた熱交換器用高強度アルミニ
ウム合金ブレージングシートの製造条件を上述のごとく
限定した理由を述べる。 (A)均質化処理条件 この発明のろう付け性、成形性および耐エロージョン性
に優れた高強度アルミニウム合金ブレージングシートの
製造方法において、少なくともMnを含むアルミニウム
合金芯材を560〜630℃で均質化処理するのは、鋳
造時に過飽和に固溶したMnを析出させ、最終焼鈍時お
よびろう付け時の特に低ひずみ導入部位の再結晶を促進
し、最終焼鈍後の結晶粒径を微細にして成形加工性を十
分なものとするとともに、ろう付け時の芯材へのろうへ
の侵食を抑制する作用を有するが、その温度が560℃
未満では所望の効果が得られず、一方、630℃を越える
と、局部溶融の可能性が高まるとともに、一層の効果が望
めないので生産性の低下をもたらすので好ましくない。
したがって、均質化処理温度は560〜630℃に定め
た。また、前記温度で8時間未満保持しても十分な均質
化効果が得られないので均質化処理時間は8時間以上で
あることが好ましいが、30時間を越えて保持しても一
層の効果が望めないので、均質化処理時間は8〜30時
間に定めた。
に優れた高強度アルミニウム合金ブレージングシートの
製造方法において、熱間圧延後の熱間クラッド素材の仕
上り温度または保持温度を360〜450℃の範囲内に
有るように制御したのは、熱間圧延終了後の冷却時にマ
トリックス中に固溶しているMnを析出させ、最終焼鈍
時およびろう付け時の特に低ひずみ導入部位の再結晶を
促進し、最終焼鈍後の結晶粒径を微細にして成形加工性
を十分なものとするとともに、ろう付け時の芯材へのろ
うへの侵食を抑制する作用を有するが、その温度が36
0℃未満では所望の効果が得られず、一方、450℃を越
えると、Mnがマトリックス中へ固溶して再結晶を遅延
させるので好ましくない。したがって、熱間圧延後の熱
間クラッド素材の仕上り温度または保持温度は360〜
450℃(一層好ましくは、380〜420℃)に定め
た。 また、厚さ:6.5〜10mmおよび仕上げ温度:30
0〜360℃未満となるように制御して熱間クラッド素
材を作製し、300〜360℃未満に1〜10時間保持
するとマトリックス中に固溶しているMnを析出させる
ことができる。さらに所定の温度で熱間圧延して熱間ク
ラッド素材を作製し、熱間クラッド素材が冷却途中で3
00〜360℃未満になった時点で300〜360℃未
満に1〜10時間保持するとマトリックス中に固溶して
いるMnを析出させることができる。したがって、温
度:300〜360℃未満に1〜10時間保持した熱間
クラッド素材を中間焼鈍を施すことなく冷間圧延し、最
終焼鈍することができる。 (ii)冷却速度 この発明のろう付け性、成形性および耐エロージョン性
に優れた高強度アルミニウム合金ブレージングシートの
製造方法において、熱間クラッド素材の冷却速度を10
〜150℃/時の範囲内に有るように制御することがこ
の発明の特徴の一つであり、マトリックス中に固溶して
いるMnの析出を促進させるために熱間クラッド素材の
冷却速度を制御するものであるが、熱間クラッド素材の
冷却速度を10℃/時未満にするとMnの析出を促進さ
せる作用の一層の効果が得られない上生産性が低下する
ので好ましくなく、一方、150℃/時を越えるとマトリ
ックス中にMnが固溶し、ろう付け時の再結晶を遅延さ
せるので好ましくない。したがって、熱間クラッド素材
の冷却速度は10〜150℃/時(一層好ましくは、2
0〜80℃/時)の範囲内に定めた。 (iii)熱間クラッド素材の厚さ 熱間圧延後の熱間クラッド素材の仕上り厚さを通常より
厚い厚さの6.5〜10mmに調整することにより、そ
の後施される冷間圧延の圧延率を大きくして最終焼鈍時
の再結晶化を促進し、これにより最終焼鈍後の結晶粒径
を微細に形成して成形加工性を十分なものとする。した
がって、熱間圧延後の熱間クラッド素材の仕上り厚さを
6.5mm未満とすると十分な効果が得られず、一方、1
0mmを越えると、冷間加工工程を増加させる必要があ
り、生産性が増加するにもかかわらず一層の効果が得ら
れないので好ましくないので、熱間圧延後の熱間クラッ
ド素材の仕上り厚さは6.5〜10mmに定めた。
ものとするとともに、成形時に加工の導入されない部分
におけるろうの侵食を抑制する作用を有するが、その昇
温速度が20℃/時未満では再結晶が粗大化してろう付
け性、成形性が低下するので好ましくなく、一方、昇温速
度が150℃/時を越えると、最終焼鈍後の結晶粒径が
微細になりすぎて成形時に加工の導入されない部分でろ
うの侵食が著しく大きくなるので好ましくない。したが
って、最終焼鈍における昇温速度は20〜150℃/時
(一層好ましくは、25〜80℃/時)に定めた。 (ii)保持温度 冷間圧延板を完全に軟化させ、ろう付け性、成形性を向上
させるには、300〜450℃の範囲内に1時間以上保
持する必要があるが、その保持温度が300℃未満では
十分な効果が得られず、一方、450℃を越えて保持す
ると、Mnがマトリックス中へ固溶してろう付け時の再
結晶を遅延させるので好ましくない。したがって、保持
温度を300〜450℃(一層好ましくは、350〜4
00℃)の範囲内に定めた。 (iii)冷却速度 最終焼鈍工程における冷却速度を調整することにより最
終焼鈍工程における冷却速度を10〜150℃/時に調
整するが、冷却速度が10℃/時未満では一層の効果が
得られない上、生産性が低下し、一方、150℃/時を越
えるとMnがマトリックス中へ固溶してろう付け時の再
結晶を遅延させるので好ましくない。したがって、最終焼
鈍工程における冷却速度は10〜150℃/時(一層好
ましくは、20〜80℃/時)の範囲内に定めた。
う付け後の強度を向上させ、芯材の電位を貴にして耐エ
ロージョン性を改善する作用を有するが、その含有量が
1.0%未満では所望の効果が得られず、一方、1.5
%を越えて含有すると圧延などの加工性が低下するとこ
ろから、芯材に含まれるMn量は1.0〜1.5%に定
めた。Mnの含有量の一層好ましい範囲は1.1〜1.
3%である。 Cu:Cuは固溶してろう付け後の強度を向上させると
ともに、芯材の電位を貴にして芯材の耐エロージョン性
を向上する作用を有するが、その含有量が0.05%未
満では所望の効果が得られず、一方、0.8%を越えて
含有すると融点が低下し、ろう付け時に芯材が溶融する
ようになるので好ましくない。そたがって、芯材に含ま
れるCu量は0.05〜0.8%に定めた。Cuの含有
量の一層好ましい範囲は0.1〜0.6%である。 Fe:Feは、金属間化合物として晶出または析出して
ろう付け後の強度を向上させ、最終焼鈍時の再結晶を促
進する作用を有するが、その含有量が0.1%未満では
所望の効果が得られず、一方、0.7%を越えて含有す
ると腐食速度が速くなりすぎ、最終焼鈍後の再結晶粒が
細かくなりすぎて成形時に加工の導入されない部分でろ
うによる侵食が著しく大きくなるので好ましくない。し
たがって、芯材に含まれるFe量は0.1〜0.7%に
定めた。Feの含有量の一層好ましい範囲は0.2〜
0.5%である。 Si,Zr、Ti、Mg:これら成分は、いずれも金属
間化合物として晶出または析出してろう付け後の強度を
向上させる作用を有するので、必要に応じてSi,Z
r、Ti、Mgの内の1種または2種以上を添加する
が、Si:0.1%未満、Zr:0.01%未満,T
i:0.01%未満、Mg:0.05%未満では所望の
効果が得られず、一方、Si:0.8%を越え、Zr:
0.2%を越え、Ti:0.25%を越えて含有すると
圧延などの加工性が低下するので好ましくなく、Mg:
0.5%を越えて含有すると加工性およびろう付け性が
低下するので好ましくない。従って、Si、Zr、T
i、Mgの含有量は、それぞれSi:0.1〜0.8
%、Zr:0.01〜0.2%、Ti:0.01〜0.
25%、Mg:0.05〜0.5%の範囲内に定めた。
ョン性に優れた高強度アルミニウム合金ブレージングシ
ートの製造方法において用いるAl−Si系ろう材は、
Si:5〜15%を含有し、さらに必要に応じてZn:
0.1〜5%、In:0.001〜0.05%、Sn:
0.01〜0.2%、Mg:0.1〜1.5%のうち1
種または2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避不
純物からなる組成を有するAl−Si系ろう材であるこ
とが好ましい。
ゴットを製造し、このインゴットを600℃、15時間
保持の条件で均質化処理後、熱間圧延を行い、厚さ:1
60mmの熱延板とし、芯材a〜jを作製した。
溶解し、鋳造してインゴットを製造し、このインゴット
を600℃、15時間保持の条件で均質化処理後、熱間
圧延を行い、厚さ:20mmの熱延板とし、ろう材ア〜
ケを作製した。
示す成分組成のろう材ア〜ケを表3に示す組み合わせで
重ね合わせて、重ね合わせ素材A〜Rを作製し、この重
ね合わせ素材A〜Rを表4〜5に示す条件で熱間圧延す
ることにより熱間クラッド素材を作製し、続いて熱間ク
ラッド素材を中間焼鈍を施すことなく板厚が0.5mm
となるまで冷間圧延を行い、次いで表4〜表5に示す条
件で最終焼鈍を行なうことにより本発明アルミニウム合
金ブレージングシートの製造方法(以下、本発明法とい
う)1〜18を実施した。なお、表4は請求項1に記載
の発明の重ね合せ素材を熱間圧延してアルミニウム合金
芯材の片面あるいは両面にAl−Si系ろう材層を圧接
した厚さ:6.5〜10mmおよび仕上り温度:360
〜450℃を有する熱間クラッド素材を成形した後ただ
ちに冷却速度:10〜150℃/時で冷却する工程を含
む発明の具体的条件を示し、表5は請求項2に記載の発
明の具体的条件を示す。
を表6〜7に示す条件で熱間圧延することにより熱間ク
ラッド素材を作製し、続いてこれら熱間クラッド素材に
中間焼鈍を施したのち冷間圧延する操作を繰り返し施す
ことにより板厚が0.5mmとなるまで冷間圧延を行
い、次いで表6〜表7に示す条件で最終焼鈍を行なうこ
とにより従来アルミニウム合金ブレージングシートの製
造方法(以下、従来法という)1〜18を実施した。
18で作製したブレージングシートについて、ろう付け
性および耐エロージョン性を評価するために下記のドロ
ップ試験を行ない、さらに成形性を評価するために下記
の深絞り試験を行なった。
板厚:0.5mmのブレージングシートを縦:100m
m、横:25mmの寸法に切断して試験片を作製した。
さらに、成形加工をシュミレーションするために最終焼
鈍後にさらに5%の圧延加工を施した試験片も作製し
た。これは通常のブレージングシートに5%程度低加工
を加えたブレージングシートはろうの侵食が激しくなる
ことは一般に知られているので、本発明法1〜18およ
び従来法1〜18で作製した板厚:0.5mmのブレー
ジングシートについて5%の圧延加工を施した試験片を
作製し、これをドロップ試験することによりろう付け性
および耐エロージョン性を評価するためである。図1
は、ドロップ試験前の試験片の断面図であり、図1にお
いて、1は芯材、2はろう材、3は試験片である。この
試験片3を長手方向に吊り下げた状態で温度:600
℃、5分間保持の条件のろう付けを想定したドロップ試
験を行なった。図2はドロップ試験後の試験片の断面図
であり、図2において1bはドロップ試験後の試験片の
芯材、2bはドロップ試験後の試験片のろう材である。
図2に示されるように、ドロップ試験後の試験片は上部
のろう材が溶けて垂れ下がり、下部に貯まってろう材の
膨らみが形成されている。そこで、ドロップ試験後の試
験片を、図2に示されるように、a:b=3:1となる
ようにS−S線で切断し、切断したS−S線より下の部
分の試験片重量をWB、ドロップ試験前の図1における
試験片重量をW0、流動係数をKdとすると、下記の
式: Kd=(4WB−W0)/3W0×クラッド率 から流動係数Kdを求め、その結果を表4〜表7に示し
た。
試験片における芯材の厚さをt0、図2に示されるドロ
ップ試験後の試験片における芯材の残存厚さをtb、ろ
う侵食率をEとすると、下記の式: E=((t0−tb)/t0)×100(%) からろう侵食率Eを求め、その結果を表4〜表7に示し
た。
ージングシートを、パンチ角半径:4.5mmを有する
平底パンチおよびダイス肩半径:4.3mmを有する平
面ダイスを備えた工具を用い、絞り速度:20m/mi
nで絞り得るブレージングシートの最大直径をD0max、
パンチ直径をdpとすると、LDR(限界絞り比)=D
0max/dpを求め、その結果を表4〜表7に示した。
法1と従来法1とでは同じ重ね合わせ素材Aを使用して
いるが、本発明法1で得られたブレージングシートは従
来法1で得られたブレージングシートに比べて、流動係
数Kdが大きいところからろう付け性に優れ、またろう
侵食率Eが小さいところから耐エロージョン性に優れて
いることが分かる。さらに本発明法1で得られたブレー
ジングシートは従来法1で得られたブレージングシート
に比べてLDR(限界絞り比)が大きいところから成形
性に優れていることが分かる。
〜18を比較すると、同じ番号の本発明法と従来法とは
同じ重ね合わせ素材を使用しているにもかかわらず、本
発明法2〜18で得られたブレージングシートは従来法
2〜18で得られたブレージングシートに比べて、流動
係数Kdが大きいところからろう付け性に優れ、またろ
う侵食率Eが小さいとことから耐エロージョン性に優れ
ていることが分かる。さらに本発明法2〜18で得られ
たブレージングシートは従来法2〜18で得られたブレ
ージングシートに比べてLDR(限界絞り比)が大きい
ところから成形性に優れていることが分かる。上述のよ
うに、この発明は、一層優れた熱交換器用高強度アルミ
ニウム合金ブレージングシートを提供することができ、
産業の発展に大いに貢献し得るものである。
した試験片の断面説明図である。
ージングシートの試験片の断面説明図である。
Claims (5)
- 【請求項1】少なくともMnを含むアルミニウム合金芯
材を温度:560〜630℃、8〜30時間保持の条件
で均質化処理したのち、この均質化処理したアルミニウ
ム合金芯材の片面あるいは両面にAl−Si系ろう材を
重ね合わせて重ね合せ素材を作製し、 この重ね合せ素材を熱間圧延してアルミニウム合金芯材
の片面あるいは両面にAl−Si系ろう材層を圧接した
厚さ:6.5〜10mmおよび仕上り温度:360〜4
50℃を有する熱間クラッド素材を成形した後ただちに
冷却速度:10〜150℃/時で冷却し、 この冷却した熱間クラッド素材を中間焼鈍することなく
冷間圧延して冷間圧延クラッド素材を形成し、この冷間
圧延クラッド素材を昇温速度:20〜150℃/時で温
度:300〜450℃に昇温し1〜15時間保持したの
ち冷却速度:10〜150℃/時で冷却する最終焼鈍を
施すことを特徴とするろう付け性、成形性および耐エロ
ージョン性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金
ブレージングシートの製造方法。 - 【請求項2】少なくともMnを含むアルミニウム合金芯
材を温度:560〜630℃、8〜30時間保持の条件
で均質化処理したのち、この均質化処理したアルミニウ
ム合金芯材の片面あるいは両面にAl−Si系ろう材を
重ね合わせて重ね合せ素材を作製し、 この重ね合せ素材を熱間圧延してアルミニウム合金芯材
の片面あるいは両面にAl−Si系ろう材層を圧接した
厚さ:6.5〜10mmを有する熱間クラッド素材を成
形し、この熱間クラッド素材を温度:300〜360℃
未満、1〜10時間保持したのち冷却速度:10〜15
0℃/時で冷却し、 この冷却した熱間クラッド素材を中間焼鈍することなく
冷間圧延して冷間圧延クラッド素材を形成し、この冷間
圧延クラッド素材を昇温速度:20〜150℃/時で温
度:300〜450℃に昇温し1〜15時間保持したの
ち冷却速度:10〜150℃/時で冷却する最終焼鈍を
施すことを特徴とするろう付け性、成形性および耐エロ
ージョン性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金
ブレージングシートの製造方法。 - 【請求項3】前記少なくともMnを含むアルミニウム合
金芯材は、質量%で、Mn:1.0〜1.5%、Cu:
0.05〜0.8%、Fe:0.1〜0.7%を含有
し、残りがAlおよび不可避不純物からなる組成を有す
るアルミニウム合金芯材であり、かつ前記Al−Si系
ろう材はSi:5〜15%を有し、残部がAlおよび不
可避不純物からなる組成を有するAl−Si系ろう材で
あることを特徴とする請求項1または2記載のろう付け
性、成形性および耐エロージョン性に優れた熱交換器用
高強度アルミニウム合金ブレージングシートの製造方
法。 - 【請求項4】前記少なくともMnを含むアルミニウム合
金芯材は、質量%で、Mn:1.0〜1.5%、Cu:
0.05〜0.8%、Fe:0.1〜0.7%を含有
し、 さらに、Si:0.1〜0.8%,Zr:0.01〜
0.2%,Ti:0.01〜0.25%,Mg:0.0
5〜0.5%のうち1種または2種以上を含有し、残り
がAlおよび不可避不純物からなる組成を有するアルミ
ニウム合金芯材であり、かつ前記Al−Si系ろう材は
Si:5〜15%を有し、残部がAlおよび不可避不純
物からなる組成を有するAl−Si系ろう材であること
を特徴とする請求項1または2記載のろう付け性、成形
性および耐エロージョン性に優れた熱交換器用高強度ア
ルミニウム合金ブレージングシートの製造方法。 - 【請求項5】前記Al−Si系ろう材はSi:5〜15
%を有し、さらにZn:0.1〜5%,In:0.00
1〜0.05%,Sn:0.01〜0.2%,Mg:
0.1〜1.5%のうち一種または二種以上を含有し、
残部がAlおよび不可避不純物からなる組成を有するA
l−Si系ろう材であることを特徴とする請求項3また
は4記載のろう付け性、成形性および耐エロージョン性
に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金ブレージン
グシートの製造方法。
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- 2001-10-31 JP JP2001334138A patent/JP3801016B2/ja not_active Expired - Fee Related
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