JP6307231B2 - アルミニウム合金製熱交換器及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金製熱交換器及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明はアルミニウム合金からなる板材を心材とし、Al-Si系合金からなるろう材を皮材(被覆材)とするアルミニウム合金合せ板に関するものであり、特に、耐食性に優れた熱交換器用チューブとして好適なアルミニウム合金合せ板に関するものである。
アルミニウム合金製の熱交換器は、軽量で熱交換性能に優れるため、自動車に必須の部品となっている。これらは、基本的にろう付けによって接合されて所定の構造となるもので、素材としては一般にAl−Si合金ろう材を皮材とし、Al−Mn系合金を心材としたクラッド材(ブレージングシート)が用いられる。近年さらに軽量化のため、熱交換器の各部材の薄肉化が必要となっている。このような薄肉化を進めることは、腐食の進行速度が同じであるため薄くなる毎に部材の寿命が短くなり、腐食によるリーク不具合発生頻度が高くなる傾向にある。例えば、腐食により熱媒体が流通するチューブにリークが起これば、熱交換器としての機能が失われ安全上の問題を引き起こしかねない。特にエアコンに搭載されているエバポレータにおいては冷房用の低温の冷媒と室内の高温の熱気による温度差の激しい非常に苛酷な腐食環境下に置かれているため、さらなる耐食性向上技術が求められている。
このため、板を加工してチューブを形成する場合には、Znを添加したAl−Zn系合金、あるいはAl−Si−Zn系合金ろう材を皮材として腐食環境に接する面に配し、皮材と心材に電位差をつけることで犠牲防食をはかることが行われている。また、Zn含有合金面にアルミニウム製のベアフィンあるいはクラッドフィンを接合してコンデンサーやエバポレータ等の熱交換器として用いる場合は、このフィンにもZnを添加して、フィンによる犠牲陽極効果もチューブの防食に活かすことが一般的である。しかし、ろう付加熱を行うと、チューブの皮材(ろう材)中のZnがろう付加熱時に心材へ拡散し、皮材と心材の電位差が小さくなり犠牲防食効果が低下してしまう。そのため、皮材が残っているにもかかわらず、心材に腐食が集中して貫通に至るリスクが高くなる。
このようなことから、チューブそのものの犠牲防食効果を向上させる防食技術として、チューブの皮材、ろう材にZnを含有し拡散処理を施し、電位差による防食効果を求めた防食処理と異なった考え方として、チューブの皮材(ろう材)にZnを含有することなく、ろう付け加熱後にさらに加熱処理を施すいくつかの方法が試みられている。
例えば米国特許第4699674号明細書(特許文献1)は、Al−Si系合金ろう材を皮材とし、非熱処理型アルミニウム合金(具体的には3000系:Al−Mn系合金)製板材を心材とするクラッド材を用い、これと他のアルミニウム材をろう付けした後、300〜800°F(149−426℃)の範囲で熱処理する、との提案をしている。この米国特許発明者等による発表論文(W D Finnegan and R A Woods : IMechE C496/064/95 (1995),275.)によれば、ろう付け後に加熱処理を行って、表面に残留したAl−Si系合金ろう材残渣中に微細なSi粒子あるいはα−Al(FeMn)Siが析出した状態にすると、腐食は、このろう材残渣の表面を面方向に進展し、腐食はろう材残渣で留まり、心材の孔食や粒界腐食が抑えられる、と報告している。
また、登録特許3549027号公報(特許文献2)は、Mnを含むAl合金からなる心材の表面に少なくともSiを含むAl系ろう材からなる皮材が用いられた製品の製造方法として、ろう付け作業の後、100〜400℃の温度で15分以上の熱処理を行う、と提案している。この技術によれば初晶α相のSi固溶度と共晶α相のSi固溶度を同等にし、かつSi固溶度を低くすることで、共晶部の電位を卑に下げるZnなどの元素を添加せずに、実質的に犠牲防食が可能となる、としている。
米国特許第4699674号明細書 登録特許3549027号公報
前述の特許文献1と2に示されるような析出処理を施してAl−Si系合金ろう材残渣に防食効果を持たせる方法は今後有望と考えられているが、このような手法により充分な防食効果を発揮させるためには、心材および皮材(ろう材)中の金属間化合物(製造工程の加熱処理や冷却時に生成される晶出物や析出物が混在したもの)の制御を検討しなければならない。Si系の析出物を用いた防食方法としては、Al−Si系合金のろう材残渣中のSi系析出物が微細、かつ密に析出していることにより局所的な腐食の集中が抑えられて腐食が分散される。この腐食の分散効果によってろう材残渣中の防食効果が向上するが、このようにSi系析出物などの金属間化合物の制御を行うにはろう付け温度までの加熱、ろう付け加熱、ろう付け加熱後およびその後の熱処理が重要であり、これらの温度を的確に制御することは極めて難しかった。
なお、本明細書においては、アルミニウム合金合せ板に、ろう付けのために、あるいは防食のために熱処理を施した後の皮材部分を「ろう材残渣」と表現することがある。
例えば、ろう付加熱までの昇温速度や冷却速度が遅いと、ろう材残渣中のSiが心材側へ拡散し、ろう材残渣内のSiの固溶量が低下して、ろう付後の加熱処理でSi系析出物が密に析出されず、Si系析出物による犠牲防食の向上効果が充分に得られない。また、ろう材残渣が腐食して心材が露出すると、心材側へ拡散したろう材残渣中のSi系析出物が心材中に不均一に析出され、心材中のSi系析出物の近傍が優先腐食して耐食寿命が低下する、等の不具合が発生する。
本発明者らは上記問題点を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、Mnを含むAl合金からなる板材を心材とし、該心材の片面もしくは両面にSiを含むAl合金からなるろう材を皮材として張り合わせたアルミニウム合金合せ板でチューブを作成し、該チューブとアルミニウム部材とをろう付けするに際し、ろう付温度までの昇温、ろう付温度および保持時間、ろう付後の冷却、そして冷却後の再加熱処理を所定条件にて施すことにより、再加熱処理後のろう材残渣中および心材とろう材との界面近傍の心材中に析出されるSi粒子の析出物の個数を制御して、その目的を達成しうることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
本発明のアルミニウム合金製熱交換器は、Mnを0.5mass%(以下%と記す)以上2.0%以下、Siを0.15%以下含有し残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からな板材を心材とし、Siを3.0%以上12.0%以下含有し残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなるろう材を皮材とし、前記心材の片面、または両面に皮材をクラッドしたアルミニウム合金合せ板からなるチューブと、アルミニウム部材であるフィンとを備えるアルミニウム合金製熱交換器であって、前記ろう材残渣中に円相当の直径が0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物が1mm当たり5000個以上分布し、ろう材残渣と心材の界面から心材中心に向かう板厚方向の距離50μm内に円相当の直径が0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物が1mm当たり3000個以上分布することを特徴とする。
また、本発明のアルミニウム合金製熱交換器の製造方法は、Mnを0.5%以上2.0%以下、Siを0.15%以下含有し残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からな板材を心材とし、Siを3.0%以上12.0%以下含有し残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなるろう材を皮材とし、前記心材の片面、または両面に皮材をクラッドしたアルミニウム合金合せ板からなるチューブ材と、アルミニウム部材であるフィン材とをろう付け接合してアルミニウム合金製熱交換器を製造する方法であって、
前記アルミニウム合金合せ板からなるチューブ材を室温から590〜620℃まで50℃/min以上の昇温速度で昇温し、
590〜620℃で1〜15min保持し、
保持温度から500℃までを任意の冷却速度で冷却し、
500℃から200℃までを100℃/min以上の冷却速度で冷却し、
200℃から100℃以下までを任意の冷却速度で冷却した後、
200〜450℃まで任意の昇温速度で昇温し、
当該昇温温度で1〜15min保持した後、
常温まで任意の速度で冷却する、熱履歴を施し、
前記熱処理後のチューブにおいて、ろう材残渣中に円相当の直径が0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物が1mm当たり5000個以上分布し、ろう材残渣と心材の界面から心材中心に向かう板厚方向の距離50μm内に円相当の直径が0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物が1mm当たり3000個以上分布することを特徴とする。
前記心材となるアルミニウム合金板材が、Mnを0.5以上2.0%以下、Siを0.15%以下含有し、さらにCu:0.1%以上0.6%以下、Mg:0.05%以上0.3%以下、Ti:0.05%以上0.3%以下を1種または2種以上含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金であることが好ましい。
また、前記皮材となるろう材が、Siを3.0%以上12.0%以下含有し、さらにZnを0.5%以上6.0%以下含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金であることが好ましい。
本発明のアルミニウム合金合せ板は耐食性に優れ、アルミニウム部材との接合(ろう付け)に優れた合せ板である。
アルミニウム合金合せ板(チューブ)とアルミニウム部品(フィン)との接合部を示す説明図である。 アルミニウム合金合せ板とアルミニウム部材とのろう付加熱からろう付後の加熱処理までの温度と時間との関係を示すグラフである。 ろう付け加熱後のチューブとフィンの接合部を示す説明図である。 ろう材残渣中のSi粒子の析出物Aによる防食効果の説明図である。 心材中のSi粒子の析出物Bによる防食効果の説明図である。
以下、本発明を、アルミニウム合金製熱交換器(実施の形態)を例に詳細に説明する。
最初に、アルミニウム合金製熱交換器用チューブ材を作成する本発明アルミニウム合金合せ板のアルミニウム合金組成につき、各成分の作用を説明する。
〔板材(心材)成分〕
Mn:0.5%以上2.0%以下
Mnは、Al−Mn系金属間化合物として晶出または析出し、ろう付後の強度を向上させる。Mn含有量が0.5%未満ではその効果が小さい。一方2.0%を超えると、粗大なAl−Mn系やAl−Mn−Si系金属間化合物を形成するため、加工性と耐食性が低下する。従ってMnの含有量は0.5%以上2.0%以下が望ましい。
Si:0.15%以下
ろう付時にろう材中のSiは心材へ拡散し、心材中のSi濃度が増大する。ろう付後に所定の加熱処理(以下、再加熱処理という)を施すと、皮材(ろう材残渣)−心材の界面付近の心材へ拡散したSiは、これらSiが皮材(ろう材残渣)−心材の界面付近の心材中で微細なSi粒子として析出される。析出するSi粒子は心材へのSiの濃度勾配により材料表面の面方向(材料板厚方向に対して垂直な面)に均一に、かつ板厚方向にはSiの濃度勾配に従い分布する。腐食によって、ろう材残渣が消失した後も、このSi粒子の析出物が分散しているために皮材(ろう材残渣)−心材界面付近の心材の腐食の進行が面方向に分散される。結果、心材の腐食寿命を延ばす効果をもたらす。
心材中にSiが含有されていると、心材中に粗大なAl−Si系またはAl−Mn−Si系金属間化合物が形成される。つまり、心材のSi濃度が高いと、粗大なAl−Si系またはAl−Mn−Si系金属間化合物が心材中に多く形成される。一方、ろう付加熱によりろう材から心材へ拡散されたSiは再加熱処理により腐食の分散効果を得るSi系析出物を析出するが、この金属間化合物が腐食の分散効果を阻害し、板厚方向へ腐食が進行する。従って、心材中に含有されているSiは少ないほどSi粒子の析出物による皮材(ろう材残渣)−心材界面付近の腐食の分散効果が得られ、好ましくは心材のSi含有量は0.15%未満が望ましい。
Cu, Mg,Ti
心材成分には他にも強度を向上させるために必要に応じてCu, Mg,Tiを1種または2種以上含有してもよい。しかし、Cu含有量は少なすぎると強度の向上は十分に得られず、Cu含有量が多すぎるとマトリックスの融点が低下するためろう付時に材料が溶融しやすくなる。
また、Mg含有量は少なすぎると強度の向上は十分に得られず、Mg含有量が多すぎるとろう付性を阻害したり、粒界腐食が発生し耐食性を低下することがある。
また、Ti含有量が少なすぎると、耐食性や強度の向上が十分に得られず、Ti含有量が多すぎると、鋳塊に粗大な化合物が生じて熱間圧延時に割れが生じてしまう。
従って、Cuの含有量は好ましくは0.1%以上0.6%以下、Mgの含有量は好ましくは0.05%以上0.3%以下、Tiの含有量は好ましくは0.05%以上0.3%以下が望ましい。
なお、本発明において、Feが不可避的不純物元素として心材中に含有されることがあるが、0.3%以下であれば本発明の効果に影響を与えない。
〔ろう材(皮材)成分〕
Si:3.0%以上12.0%以下
Siは、Al合金の融点を低下させてろう材として機能させる作用を持つ。そして600℃の加熱によりろう材は心材を残して溶融し、合せ板(例えばチューブ)とアルミニウム部品(例えばフィン)の接合に必要なろうを形成する。また、ろう付加熱後のろう材中のSiはろう材残渣内に固溶しており、再加熱処理でSi粒子の析出物がろう材残渣中に分散析出されて、犠牲防食の向上効果が得られる。Siの含有量が3.0%未満ではろうが溶融せずにろう付性能が低下する。12.0%を超えると再加熱処理で析出されるSi粒子の析出物が粗大化し、ろう材残渣中に占めるSi粒子の析出物の個数が減少し、犠牲防食効果が低下する。従ってSiの含有量は3.0%以上12.0%以下が望ましく、さらに好ましくは4.0%以上8.0%以下が望ましい。
ろう材成分には他にも耐食性を向上させるためにZnを含有することもあるが、Znの含有量は0.5%以上6.0%以下が好ましい。さらに好ましくは3.0%以上6.0%以下である。
なお、本発明において、Feが不可避的不純物元素としてろう材中に含有されることがあるが、0.3%以下であれば本発明の効果に影響を与えない。
(熱処理(ろう付け)工程)
アルミニウム合金合せ板は熱処理することで皮材中に円相当の直径が0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物が1mm当たり5000個以上分布し、皮材と心材の界面から心材中心に向かう板厚方向の距離50μm内に円相当の直径が0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物が1mm当たり3000個以上分布する。熱処理工程を本発明アルミニウム合金合せ板(ブレージングシート)で作成したチューブとアルミニウム部材であるフィンとのろう付け工程を例として説明する。
図1は本発明アルミニウム合金合せ板(ブレージングシート)で作成したチューブ1とアルミニウム部材であるフィン2とをろう付けした製品を示している。チューブ1とフィン2とは図2に示す温度設定でろう付け(熱処理)する。
ステップ1;
室温からろう付温度である590〜620℃まで、50℃/min以上の昇温速度で昇温する。
ステップ2;
ろう付け温度まで達したならば、その温度に1〜15min保持する。
ステップ3;
ろう付温度に1〜15min保持した後、500℃まで任意の冷却速度で冷却する。
ステップ4;
500℃まで冷却した後200℃まで、100℃/min以上の冷却速度で冷却する。
ステップ5;
温度が200℃まで下がったならば、100℃以下に下がるまでは任意の冷却速度で冷却する。
ステップ6;
100℃以下まで任意の冷却速度にて冷却した後、任意の昇温速度で200〜450℃加熱する。
ステップ7
200〜450℃に加熱後、1〜15min保持する。
ステップ8;
1〜15min保持した後、室温までは任意の速度で冷却する。
このような工程(ステップ)を経てろう付けが完了する。
各工程につき更に詳細に説明する。
ステップ1〜5の工程で、チューブ(合せ板)はろう付温度(590〜620℃)まで昇温し次いで冷却される過程で、皮材中のSiが心材へ拡散し、心材中のSi濃度が増大する。このとき、ろう付加熱時の昇温が速いほど、かつろう付加熱後の冷却速度が速いほど、皮材中のSiの心材への拡散距離が短くなり、Siの心材板厚方向への拡散が抑えられる。
また、ろう材残渣中のSiや心材へ拡散したSiが過飽和状態となり、再加熱処理により、0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物が析出されることになる。このとき、ろう付加熱までの昇温速度が50℃/min未満、かつ冷却速度が100℃/min未満では、加熱時間が長くなり、皮材中のSiが心材の板厚方向の中心まで拡散し、再加熱処理で、ろう材残渣と皮材(ろう材残渣)−心材の界面付近に後述する円相当の直径が0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物が密に析出されず、皮材及び心材の板厚方向の腐食を抑える分散効果が得られなくなる。
Si粒子の大きさは後述するように走査型電子顕微鏡で撮影し、円相当の直径で計測している。
なお、以降の説明ではSi粒子の大きさを円相当の直径で表現し、直径△△μm、または単に△△μmと表現する。
Si粒子の分布を0.01〜1.0μmの大きさに限定して腐食効果を判定するのは、直径0.01μm未満の粒子は走査型電子顕微鏡で測ることができず、1.0μmを超えるとAl−Si系金属間化合物として形成されるため、Si粒子の析出物のサイズは直径0.01μm以上1.0μm以下とする。
ろう付加熱時の温度と保持時間は、ろう付保持温度590℃未満や保持時間1min未満ではろうの溶融が不十分で、チューブとフィンの接合に必要な接合部が形成されなくなる。また、ろう付温度620℃や保持時間15minを超えると、ろうの溶融が多くなり、ろう材残渣中のSiの固溶量が低下し、ろう付後の再加熱処理で、皮材(ろう材残渣)−心材の界面付近に0.01〜1.0μmのSi粒子が析出されにくくなる。
また、ろう付保持後の冷却過程において、冷却速度が100℃/min未満では、冷却時にろう材残渣内のSiが心材側へ拡散され、ろう材残渣内のSiの固溶量が低下し、その結果、冷却後の加熱処理でろう材残渣中の直径0.01〜1.0μmのSi粒子の析出数密度が5000個/mm未満となり、ろう材の犠牲防食の向上効果が得られなくなる。
なお、Si粒子の数密度の測定方法等については後述する。
従って、ろう付加熱から冷却までの過程で、室温からろう付温度までの加熱速度は50℃/min以上、ろう付保持温度と保持時間は590〜620℃の温度で1〜15min保持、その後500℃まで任意の冷却速度で冷却し、500℃から200℃までを100℃/min以上の冷却速度で冷却することが望ましい。
なお、500℃以上では、ろう材及びろう材残渣内のSiが固溶状態になり、心材へ拡散されず、200℃未満ではSi粒子は析出されないので、500℃以上と200℃未満の冷却速度はろう材残渣内のSiの析出に影響を及ぼさないため、この間の冷却速度は任意である。
ステップ6〜8において、100℃以下まで任意の冷却速度にて冷却した後に、さらに任意の昇温速度で200〜450℃の再加熱処理をする。この再加熱処理で、ろう材残渣中の0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物A(以下析出物Aと表現することがある)が5000個/mm以上、皮材(ろう材残渣)−心材の界面から板厚方向心材の中心に向かう距離50μm内に分布する0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物B(以下析出物Bと表現することがある)が3000個/1mm以上析出される。Siは固溶された状態で電位を貴にする作用を持ち、ステップ6、7の処理を行なうことで、ろう付加熱後の急冷(ステップ4)によってろう材残渣中及び皮材(ろう材残渣)−心材の界面付近に過飽和の状態で固溶された析出物Aと析出物Bが微細で密に析出される。
Si粒子が微細で密に析出されることによって、ろう材残渣中のSi固溶量が下がることでマトリックスの電位が卑になる。結果ろう材のろう材残渣とAl−Mn系合金心材との電位差が大きくなることによってろう材による犠牲防食効果が向上し、合せ板(チューブ)の耐食寿命を改善する。
また、ろう材残渣の耐食性の改善効果はSi粒子の析出状態により決まる。Si粒子の析出により、Si粒子近傍のマトリックスとSi粒子との間で、ミクロな電池が形成される。この析出物周辺が優先的な腐食位置となることから、Si粒子の析出物が微細かつ高密度で分布することによって、ろう材残渣中で腐食の進行が分散され、面方向に腐食が進展する状態が維持され、良好な防食機能が発揮される。
析出物Aによる腐食の分散効果の模式図を図4に示す。図4(a)では、ろう材残渣41中の共晶42、もしくはその近傍で電位差が生じ、そこが腐食の起点となり、深さ方向へ腐食が進行する。図4(b)では、ろう材残渣中に析出された析出物A43によって、ろう材残渣中で腐食の進行が分散されて、面方向に腐食が進展し、腐食が心材に到達するのを遅延させる防食機能が働き、深さ方向の浸食が遅延される。
このとき、ろう材残渣中に、直径0.01μm以上1.0μm未満のSi粒子の析出物A43が5000個/mm以上分布していることで、腐食の分散効果が得られる。Si粒子の析出物Aが5000個/mm未満では、Si粒子の析出物による防食効果が充分に得られなくなる。
一方、ろう付加熱時に皮材中のSiが心材側へ拡散し、ろう付後の再加熱処理によって、皮材(ろう材残渣)−心材の界面から心材中心方向の距離50μm以内にSi粒子が析出される。0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物Bの数が1mm当たり3000個以上分布していることで、Si粒子が腐食によってろう材残渣が消失した後も、皮材(ろう材残渣)−心材界面から心材側へ50μmまでの間において腐食の進行が面方向に分散されて、心材の腐食寿命を遅延させる効果をもたらす。析出物Bによる腐食の分散効果の模式図を図5に示す。図5(c)では、ろう材残渣41が腐食で消失後は心材51が板厚方向へ腐食されるが、図5(d)に示すように、皮材(ろう材残渣)−心材の界面から心材51の中心方向距離50μm内で析出される析出物B52によって、心材51の腐食の進行が面方向に分散されて深さ方向への腐食の進行が遅延し、心材の腐食寿命が延ばされる。
このとき、Si粒子が3000個/mm未満では、析出物Bの分布に疎な箇所が生じて、腐食の分散効果が得られなくなる。
従って析出物Aの分布は1mm当たり5000個以上、析出物Bの分布は1mm当たり3000個以上分布していることが好ましい。
また、ろう付加熱時に、皮材(ろう材)中のSiが皮材側から心材側へ拡散されるが、心材の板厚方向にいくにつれて、拡散されたSi量が低下するので、ろう付後の再加熱処理によって形成される析出物Bの分布はろう材中に分布される析出物Aを超えることはない。
ろう付後、100℃以下まで冷却した後の加熱処理では、200〜450℃の温度まで再加熱して1〜15minの保持を行う。加熱処理の温度が200℃未満では、Si粒子は析出されない。また、保持時間1min未満では、適当なSi粒子が析出されず、ろう材残渣中の0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物が1mm当たり5000個以上、皮材(ろう材残渣)−心材から板厚方向心材の中心に向かう距離50μm内に0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物が1mm当たり3000個以上を占める分散状態を得ることが困難となる。
また、加熱温度が450℃を超えると、粗大な析出物が形成されやすくなって腐食の分散が粗くなり防食効果が低減される。保持時間が15minを超えると、ろう材残渣中のSiが心材へ拡散し、ろう材残渣中のSi粒子の析出物が1mm当たり5000個以上を占める分散状態が得られなくなるため、犠牲防食効果が低下する。また、保持時間が15minよりも長いとアルミニウム部材(熱交換器)が軟化し、強度の低下によりアルミニウム部材が変形しやすくなる恐れがある。従って、ろう付後の再加熱処理では、200〜400℃の温度で1〜15minの保持を行うことが望ましく、さらに好ましくは加熱温度は300〜350℃で、保持時間は8〜12minが好ましい。
なお、ろう付け後に行なう加熱処理は、大気中、不活性ガス雰囲気中、あるいは真空中のいずれで実施しても良い。
次に本発明を実施例に基づき更に詳細に説明する。
表1には、本実施例及び比較例で用いた板材(心材)の合金組成を示す。A1〜A19の組成を持つ合金を用いて258mm×790mm×1600mmサイズの鋳塊を作製し、面削した。次に、表2に示す本実施例及び比較例で用いたB1〜B9の合金組成を有するろう材を鋳造で作成し、前記板材の片面に皮材として張り合わせ、合せ板(ブレージングシート)を作成した。張り合わせは、心材と皮材の合わせ率(クラッド率)が20%となるようにろう材を熱間圧延した後板材と張り合わせた。
表3に示す試作材No.1〜105のろう材と板材を準備し、板材を心材とし、その片面にろう材を皮材として張り合わせた。張り合わせは480℃で3時間の合せ加熱を行なった後、3.5mmまで熱間圧延を行い、板厚0.3mmまで冷間圧延した後、370℃で2時間の中間焼鈍を行い、更に冷間圧延を行って板厚0.2mm、調質H14の合せ板とした。実施例の合せ板のろう材は全て厚さ30μmとした。このように作成した合せ板の引張強度を測定し、その結果を表4に示した。
また、上記で製造した合せ板をチューブに加工し、アルミニウム部品とろう付けした。ろう付けは表3に示す条件で図2に示す工程で行い、ろう付性、Si粒子の析出物の数密度、耐食性(最大浸食深さ)を測定し、評価した。評価結果を表4に示す。
(1)引張強度
上記の製造方法で作製した合せ板からJIS5号試験片を切り出し、非腐食性フラックスブレージング法で表3に示す昇温速度、ろう付け温度、保持時間でろう付け加熱した。ろう付け加熱、保持後は表3に示す冷却速度で冷却し、冷却後は表3に示す加熱温度と保持時間で再加熱処理を施した。再加熱後の試験片で引張試験を実施して引張強度を測定した。引張強度の判定は、ろう付け加熱後の引張強度が150MPa以上なら○、150Mpa未満を×とした。
(2)ろう付性評価
図1に示す、熱交換器を模擬したチューブ1とフィン2を接合(ろう付け)し評価した。前記製造方法で作製した合せ板で作成したチューブ1とA3003板をコルゲート加工したフィン2を合わせて、 非腐食性フラックスブレージング法で表3に示す昇温速度、ろう付け温度、保持時間でろう付け加熱した。ろう付け加熱、保持後は表3に示す冷却速度で冷却し、冷却後は表3に示す加熱温度と保持時間で再加熱処理を施した。再加熱後に合せ板製チューブ1とフィン2の接合部の断面を観察し、健全な評価材を○とし、合せ板とフィンが未接合、ろう材に溶融、酸化皮膜が見られた場合を×とした。
(3)Si粒子の析出物の数密度の測定
表3に示す条件の昇温速度でろう付け温度まで昇温し、昇温温度で保持し、その後表3に示す冷却速度で冷却し、冷却後表3に示す加熱温度と保持時間で再加熱処理を施した合せ板のろう材残渣と心材の圧延方向と垂直方向の断面を日本電子(株)社製、走査型電子顕微鏡(JSM−6460LA)で×5000倍率にて撮影し、ろう材残渣中、及び皮材(ろう材残渣)−心材の界面から心材の中心方向距離50μm内に存在する円相当径0.01μm以上1.0μm未満のSi析出粒子の1mmあたりの個数を、旭化成エンジニアリング(株)社製画像解析ソフト(A像くん)にてカウントし、ろう材中のSi粒子(析出物A)の数密度(個/mm)と皮材(ろう材残渣)−心材の界面から中心方向距離50μm内のSi粒子(析出物B)の数密度 (個/mm)を測定した。
(4)合せ板(チューブ材)の耐食性試験
図1に示すように板厚0.1mmのA3003合金をコルゲート加工したフィン材2と、幅16×長さ70(mm)のサイズの合せ板1とを接合し、フラックス(KAlF系)の5%懸濁液を塗布し、酸素濃度約30ppmの窒素雰囲気中にて表3に示す昇温速度、ろう付け温度、保持時間でろう付け加熱し、ろう付け加熱後表3に示す冷却速度で冷却し、冷却後は表3に示す加熱温度と保持時間で再加熱処理を施した。加熱処理後の評価材につきSWAAT試験を行い、500hr後の最大腐食深さを調べ表4にその結果を示した。評価は最大腐食深さが100μm未満なら合格、最大腐食深さが100μm以上、貫通なら不合格とした。
Figure 0006307231
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本発明方法によれば、本発明の合せ板をチューブとして用いた熱交換器は、ろう付け加熱後の冷却速度、ろう付後の加熱処理条件を規定することで、ろう材残渣中、皮材(ろう材残渣)−心材界面付近にSi粒子が適切に析出し、従来の熱交換器よりも耐食性に優れた改善が見られた。
一方、比較例70は心材のMn含有量が少ないため、引張強度が低く不合格であった。
比較例71は心材のMn含有量が多いため、腐食深さが高く不合格であった。
比較例72は心材のSi含有量が多いため、皮材(ろう材残渣)−心材界面付近の心材中にSi系粒子層が生じて腐食の分散効果が阻害され、腐食深さが高く不合格であった。
比較例73は心材のCu含有量が多いため、ろう付時に皮材−心材界面付近で心材の溶融が起こり、ろう付性が不合格であった。
比較例74は心材のMg含有量が多いため、フィン接合されず、ろう付性が不合格であった。
比較例75は心材のTi含有量が多いため、鋳塊に粗大な化合物が生じて、熱間圧延時に割れが発生し、最終製品が製造できなかった。
比較例76はろう材のSi含有量が少ないため、ろう材が溶融せず不合格であった。
比較例77はろう材のSi含有量が多いため、Si系粒子の粗大化及びろう材残渣中のSi粒子析出物の数密度が不足し、腐食深さが高く不合格であった。
比較例78はろう材のZn含有量が多いため、腐食進行速度が促進され、耐食性が不合格であった。
比較例79はろう付加熱後の加熱時の昇温速度が遅いため皮材(ろう材残渣)−心材界面のSi粒子析出物の数密度が低く、腐食深さが高く不合格であった。
比較例80はろう付加熱後の冷却速度が遅いため、加熱処理によるろう材残渣中のSi粒子析出物の数密度が低く、腐食が促進し貫通して不合格であった。
比較例81はろう付加熱後の加熱処理を入れていないため、ろう材残渣中にSi粒子析出物が形成されず、腐食が促進し貫通して不合格であった。
比較例82はろう付加熱後の加熱処理の温度が低いため、ろう材残渣中のSi粒子析出物の数密度が低く、腐食深さが高く不合格であった。
比較例83はろう付加熱後の加熱処理の温度が高いため、Si系粒子の粗大化及び数密度が低く、腐食深さが高く不合格であった。
比較例84はろう付加熱後の加熱処理の保持時間が短いため、ろう材残渣中のSi粒子析出物の数密度が低く、腐食深さが高く不合格であった。
比較例85はろう付加熱後の加熱処理の保持時間が長いため、引張強度の低下、犠牲防食効果の低下で腐食が促進し貫通して不合格であった。
比較例86はろう付加熱温度が低く、保持時間が短いため、ろう材が溶融せず不合格であった。
比較例87はろう付け加熱温度が高く、保持時間が長かったため心材の板厚中央までSi粒子が密に析出し、ろう材残渣−心材界面のSi粒子析出物による腐食の分散効果が得られず不合格であった。
比較例88はろう付け加熱時の昇温速度が遅かったためろう材残渣−心材界面のSi粒子析出物の吸う密度が低く、腐食深さが高く不合格であった。
比較例89はろう付加熱後の冷却速度が遅いため、加熱処理によるろう材残渣中のSi粒子析出物の数密度がが低く腐食が促進し貫通して不合格であった。
比較例90はろう付加熱後の加熱処理を入れていないため、皮材中Si系粒子が形成されず、腐食が促進し、貫通して不合格であった。
比較例91はろう付加熱後の加熱処理の温度が低いため、ろう材残渣中のSi粒子析出物の数密度が低く、腐食深さが高く不合格であった。
比較例92はろう付加熱後の加熱処理の温度が高いため、Si系粒子の粗大化及び数密度が低く、腐食深さが高く不合格であった。
比較例93はろう付加熱後の加熱処理の保持時間が短いため、ろう材残渣中のSi粒子析出物の数密度が低く、腐食深さが高く不合格であった。
比較例94はろう付加熱後の加熱処理の保持時間が長いため、引張強度の低下、犠牲防食効果の低下で腐食が促進し、貫通して不合格であった。
比較例95はろう付加熱温度が低く、保持時間が短いため、ろう材が溶融せず不合格であった。
比較例96はろう付加熱温度が高く、保持時間が長いため、心材の板厚中央までSiが密に析出し、Si粒子析出物による腐食の分散効果が得られず不合格であった。
比較例97はろう付け加熱時の昇温速度が遅く、ろう材残渣−心材界面のSi粒子析出物の数密度が低いため、腐食深さが高く不合格であった。
比較例98はろう付加熱後の冷却速度が遅いため、加熱処理によるろう材残渣中のSi粒子析出物の数密度が低く腐食が促進し貫通して不合格であった。
比較例99はろう付加熱後の加熱処理を入れていないため、皮材中にSi系粒子が形成されず、腐食が促進されて不合格であった。
比較例100はろう付加熱後の加熱処理の温度が低いため、皮材中にSi系粒子が形成されず、腐食深さが高く不合格であった。
比較例101はろう付加熱後の加熱処理の温度が高いため、Si系粒子の粗大化及び数密度が低く、腐食深さが高く不合格であった。
比較例102はろう付加熱後の加熱処理の保持時間が短いため、ろう材残渣中のSi粒子析出物の数密度が低く、腐食深さが高く不合格であった。
比較例103はろう付加熱後の加熱処理の保持時間が長いため、引張強度の低下、犠牲防食効果の低下で腐食が促進され貫通して不合格であった。
比較例104はろう付加熱温度が低く、保持時間が短いため、ろう材が溶融せず不合格であった。
比較例105はろう付加熱温度が高く、保持時間が長いため、心材の板厚中央までSiが密に析出し、Si粒子析出物による腐食の分散効果が得られず不合格であった。
本発明アルミニウム合金合せ板は耐食性に優れ、耐食性が要求される各種の用途に適合できる優れた性能を有するものである。
本発明のアルミニウム合金合せ板を使用したアルミニウム製品ば、耐食性に優れた接合部を有し、特にアルミニウム製熱交換器等の耐食性が向上し、寿命の長いアルミニウム製品を提供することができる優れた効果を有するものである。
本発明品は自動車用熱交換器において、本発明品を用いた熱交換器は従来のものに比べ耐食寿命の向上が期待され、産業上顕著な効果を有するものである。
1 試料片
2 フィン材
41 皮材(ろう材残渣)
42 ろう材残渣内の共晶部分
43 Si析出物A
51 心材
52 Si析出物B

Claims (6)

  1. Mnを0.5mass%(以下%と記す)以上2.0%以下、Siを0.15%以下含有し残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなる板材を心材とし、Siを3.0%以上12.0%以下含有し残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなるろう材を皮材とし、前記心材の片面、または両面に皮材をクラッドしたアルミニウム合金合せ板からなるチューブと、アルミニウム部材であるフィンとを備えるアルミニウム合金製熱交換器であって、
    前記ろう材残渣中に円相当の直径が0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物が1mm当たり5000個以上分布し、ろう材残渣と心材の界面から心材中心に向かう板厚方向の距離50μm内に円相当の直径が0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物が1mm当たり3000個以上分布することを特徴とするアルミニウム合金製熱交換器。
  2. 心材となるアルミニウム合金板材が、Mnを0.5以上2.0%以下、Siを0.15%以下含有し、さらにCu:0.1%以上0.6%以下、Mg:0.05%以上0.3%以下、Ti:0.05%以上0.3%以下を1種または2種以上含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  3. 皮材となるろう材が、Siを3.0%以上12.0%以下含有し、さらにZnを0.5%以上6.0%以下含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム合金製熱交換器。
  4. Mnを0.5%以上2.0%以下、Siを0.15%以下含有し残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなる板材を心材とし、Siを3.0%以上12.0%以下含有し残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなるろう材を皮材とし、前記心材の片面、または両面に皮材をクラッドしたアルミニウム合金合せ板からなるチューブ材と、アルミニウム部材であるフィン材とをろう付け接合してアルミニウム合金製熱交換器を製造する方法であって、
    前記アルミニウム合金合せ板からなるチューブ材を室温から590〜620℃まで50℃/min以上の昇温速度で昇温し、
    590〜620℃で1〜15min保持し、
    保持温度から500℃までを任意の冷却速度で冷却し、
    500℃から200℃までを100℃/min以上の冷却速度で冷却し、
    200℃から100℃以下までを任意の冷却速度で冷却した後、
    200〜450℃まで任意の昇温速度で昇温し、
    当該昇温温度で1〜15min保持した後、
    常温まで任意の速度で冷却する、熱履歴を施し、
    前記熱処理後のチューブにおいて、ろう材残渣中に円相当の直径が0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物が1mm当たり5000個以上分布し、ろう材残渣と心材の界面から心材中心に向かう板厚方向の距離50μm内に円相当の直径が0.01〜1.0μmのSi粒子の析出物が1mm当たり3000個以上分布することを特徴とするアルミニウム合金製熱交換器の製造方法。
  5. 心材となるアルミニウム合金板材が、Mnを0.5以上2.0%以下、Siを0.15%以下含有し、さらにCu:0.1%以上0.6%以下、Mg:0.05%以上0.3%以下、Ti:0.05%以上0.3%以下を1種または2種以上含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項に記載のアルミニウム合金製熱交換器の製造方法
  6. 皮材となるろう材が、Siを3.0%以上12.0%以下含有し、さらにZnを0.5%以上6.0%以下含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項4又は5に記載のアルミニウム合金製熱交換器の製造方法
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