JPH1147919A - ろう付アルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシート - Google Patents

ろう付アルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシート

Info

Publication number
JPH1147919A
JPH1147919A JP20347597A JP20347597A JPH1147919A JP H1147919 A JPH1147919 A JP H1147919A JP 20347597 A JP20347597 A JP 20347597A JP 20347597 A JP20347597 A JP 20347597A JP H1147919 A JPH1147919 A JP H1147919A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brazing
alloy
aluminum
heat exchanger
brazed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20347597A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Takigawa
淳 瀧川
Toshiki Ueda
利樹 植田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shinko Alcoa Yuso Kizai KK
Original Assignee
Shinko Alcoa Yuso Kizai KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shinko Alcoa Yuso Kizai KK filed Critical Shinko Alcoa Yuso Kizai KK
Priority to JP20347597A priority Critical patent/JPH1147919A/ja
Publication of JPH1147919A publication Critical patent/JPH1147919A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた耐食性を有するろう付アルミニウム熱
交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシ
ートを提供する。特に、非腐食性フラックスろう付法又
は真空ろう付法が適用されるろう付アルミニウム製熱交
換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシー
トの耐食性を向上させる。 【解決手段】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
なる心材と、Al−Si系合金又はAl−Si−Mg系
合金又はAl−Si−Bi系合金又はAl−Si−Mg
−Bi系合金をろう材とする皮材を複合化してなるろう
付用アルミニウム合金ブレージングシートを用いてろう
付け組付けしてなるろう付アルミニウム製熱交換器にお
いて、ろう付け後のアルミニウム熱交換器のろう材層の
共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法を25μm以
下にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性に優れるろ
う付アルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム
合金ブレージングシートに関するもので、特に、非腐食
性フラックスろう付法又は真空ろう付法が適用されるろ
う付アルミニウム製熱交換器およびろう付用アルミニウ
ム合金ブレージングシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ろう付アルミニウム熱交換器は軽量化、
加工性に優れるため、自動車用熱交換器として多く使用
されている。自動車用熱交換器として、エバポレータ、
コンデンサー、オイルクーラー、ラジエーター等があ
る。これら自動車用熱交換器のろう付は非腐食性フラッ
クスろう付法および真空ろう付法等が用いられてきた。
【0003】自動車用アルミニウム合金性熱交換器は腐
食に対する厳しい環境下で用いられるた場合、エバポレ
ータでは外面の結露水によるチューブの早期貫通腐食が
問題となり、優れた外面の耐食性の要求される。
【0004】腐食を防止する方法として、(イ)心材に
対して陽極的に作用する犠牲陽極層により心材を電気化
学的に防食する方法が提案されてきた。ろう材中に特定
の元素、例えばZn、Sn、Inを添加してろう材層を
心材に対して陽極的に作用させる方法である。さらに、
ろう材と心材と皮材からなる複合材(ブレージングシー
ト)のろう材と皮材にZnを添加して、これらろう材と
皮材を犠牲陽極として活用することが提案されている
(特開平6−11291号公報参照)。
【0005】また、(ロ)熱交換器のフィン等に前記陽
極的作用をもたせ、他の熱交換器の隔壁機能を有する主
構成部材を防食する方法が提案されている。この方法は
フィン用ブレージングシートの心材およびろう材に、M
g、Bi、Sb、Ba、Sr等を添加して、犠牲陽極機
能をもたせると共に、さらにろう付性の改善するもので
ある(特開昭54−56961号公報参照)。さらに、
(ハ)心材のAl母材に第3元素、例えばCuを添加し
て、心材をろう材層の対比において陰極的に作用させる
方法が提案されている(特開昭57−21793号公報
参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述の防食方法によっ
て、自動車用に用いられるアルミニウム熱交換器の耐食
性は向上したが、さらに、優れた耐食性が要求されてい
る。アルミニウム熱交換器の軽量化、薄肉化を、熱交換
器の寿命を低下せずに達成する要求が顕著になってお
り、前述の防食方法でも問題が生じる場合がでてきた。
【0007】真空ろう付では、Znはろう付時に蒸発し
てしまうため、ろう材への犠牲陽極層付与の効果がえら
れない。さらに、防食効果の低下の問題だけでなく、蒸
発、飛散したZnにより炉の汚染を招くという問題もあ
る。
【0008】また、熱交換器のフィン等に陽極的作用を
もたせる方法では、フィンが存在する部分では、熱交換
器の隔壁機能を有する主構成部材を防食に効果がある
が、フィンから離れた部分では犠牲陽極効果がなく、防
食効果が示されない場合がある。さらに、心材にCuを
添加して、心材をろう材層の対比において陰極的に作用
させる方法は防食に効果があるが、Cuの添加量にも、
加工性、成形性の点から限度がある。
【0009】そこで本発明は、これらの問題点を解決す
るために、ろう付後のろう材層自体の耐食性を改善する
ことに注目したものである。すなわち、従来の犠牲陽極
機能による防食だけでなく、ろう材層自体の耐食性の改
善を図ることにより、初期の腐食の心材への到達を遅ら
せることにより、さらに優れた耐食性を有するろう付ア
ルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブ
レージングシートを提供することを目的とするものであ
る。特に、非腐食性フラックスろう付法又は真空ろう付
法が適用されるろう付アルミニウム製熱交換器およびろ
う付用アルミニウム合金ブレージングシートの耐食性を
向上させることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、発明者らは、ろう付アルミニウム熱交換器の耐
食性を改善するために鋭意検討を行った。その結果、ろ
う材層の共晶組織を制御してろう材層自体の耐食性を改
善を図ることにより、ろう付アルミニウム熱交換器の耐
食性を向上できることを見い出し、本発明を完成した、
【0011】本発明のうちで請求項1記載の発明は、ア
ルミニウム又はアルミニウム合金からなる心材と、Al
−Si系合金又はAl−Si−Mg系合金又は又はAl
−Si−Bi又はAl−Si−Mg−Bi系合金をろう
材とする皮材を複合化してなるろう付用アルミニウム合
金ブレージングシートを用いてろう付組付けしてなるろ
う付用アルミニウム製熱交換器において、ろう付後のア
ルミニウム熱交換器のろう材層の共晶組織中のSi相粒
子の長径の平均寸法が25μm以下であることを特徴と
するものである。これらろう付後のアルミニウム熱交換
器のろう材層の共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸
法を25μm以下にすることによって、ろう材層の共晶
組織中の腐食経路を分断してろう材層における腐食の進
展が大幅に遅くなりその結果、耐食性が向上する。
【0012】また請求項2記載の発明は、請求項1記載
の発明の構成に加えて、ろう付用アルミニウム合金ブレ
ージングシートのろう材が質量%で(以下%は、すべて
質量%とする。)Sr:0.01〜0.20%、Sb:
0.10〜0.40%およびNa:0.01〜0.10
%のうち1種又は2種以上を含むものである。Sr、S
b、Naのうち1種又は2種以上を前記成分範囲でろう
材に加えることによって、通常のろう付(非腐食性フラ
ックスろう付法又は真空ろう付法)工程で適用される冷
却速度30℃〜150℃/minの範囲でおいても、ろ
う付後のアルミニウム熱交換器のろう材層の共晶組織中
のSi相粒子の長径の平均寸法を25μm以下となりそ
の結果、耐食性が向上する。
【0013】このときのSrを0.05〜0.20%、
Sb量を0.10〜0.20%、Na量を0.02〜
0.10%にすることが好ましい。ろう付後のアルミニ
ウム熱交換器のろう材層の共晶組織中のSi相粒子の長
径の平均寸法をさらに小さくでき、ろう材層の共晶組織
中の腐食経路の分断がより有効に行うことができ、耐食
性がさらに向上する。
【0014】また請求項3記載の発明は、請求項1又は
2記載の発明の耐食性に優れるろう付アルミニウム熱交
換器が非腐食性フラックスろう付法又は真空ろう付法に
より製造されるものである。非腐食性フラックスレスろ
う付法又は真空ろう付法により製造することによって、
ろう付後の後処理が不要となりろう付コストが安価にな
るとともに、ろう付材の表面性状が改善できる。なお、
非腐食性フラックスろう付法では、非腐食性フラックス
として、例えば、フッ化物系フラックスを用いる。この
とき、ろう材中のMg含有量0.5%以下、好ましくは
0.2%以下のろう材、例えば、Al−Si系合金又は
Al−Si−Mg系合金又は又はAl−Si−Bi系合
金ろう材を用いることが望ましい。Mgが非腐食性フラ
ックスと反応して、フラックスを変質させるからであ
る。
【0015】また請求項4記載の発明は、アルミニウム
又はアルミニウム合金からなる心材と、Al−Si系合
金又はAl−Si−Mg系合金又はAl−Si−Mg−
Bi系合金又はAl−Si−Bi系合金をろう材とする
皮材を複合化してなるろう付用アルミニウム合金ブレー
ジングシートにおいて、前記ろう材は、Sr、Sb、N
aのうち、1種又は2種以上の合金元素を含有し、その
合金組成範囲がSrでは0.01〜0.201量%、S
b0.10〜0.40%、Naでは0.01〜0.10
%からなることを特徴とするものである。ろう付用アル
ミニウム合金ブレージングシートのろう材を、Sr、S
b、Naのうち、1種又は2種以上の合金元素を含有
し、その合金組成範囲がSrでは0.01〜0.20
%、Sb0.10〜0.40%、Naでは0.01〜
0.10%にすることによって、通常のろう付(非腐食
性フラックスろう付法又は真空ろう付法)工程で適用さ
れる冷却速度30℃〜150℃/minの範囲でおいて
も、ろう付後のアルミニウム熱交換器のろう材層の共晶
組織中のSi相粒子の長径の平均寸法を25μm以下に
することができ、アルミニウム熱交換器の耐食性を向上
させる。
【0016】このときのSrを0.05〜0.20%、
Sb量を0.10〜0.20%、Na量を0.02〜
0.10%にすることが好ましい。ろう付後のアルミニ
ウム熱交換器のろう材層の共晶組織中のSi相粒子の長
径の平均寸法をさらに小さくでき、ろう材層の共晶組織
中の腐食経路の分断がより有効に行うことができ、アル
ミニウム熱交換器の耐食性をさらに向上させる。
【0017】また請求項5記載の発明は、請求項4記載
の発明の構成に加えて、ろう付用アルミニウム合金ブレ
ージングシートのろう材のSi含有量が6.8〜13.
0%である。ろう材のSi含有量はろう付性の観点か
ら、6.8%以上必要であり、Si含有量が13.0%
を越えるとブレージングシートへの加工性が悪化すると
ともに、Si相粒子の長径の平均寸法を25μm以下に
することが困難になる。
【0018】また請求項6記載の発明は、非腐食性フラ
ックスろう付法又は真空ろう付法により用いられる請求
項4又は5記載の耐食性に優れるろう付用アルミニウム
合金ブレージングシートである。本発明のろう付用アル
ミニウム合金ブレージングシートは、ろう付後の後処理
が不要で、ろう材の表面性状が良好な非腐食性フラック
スろう付法又は真空ろう付法に用いることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図示例と
ともに説明する。図1は、共晶組織中のSi相粒子の長
径の平均寸法が25μm以下にした場合のろう付後ろう
材層の腐食経路を示す模式図であり、図2は、共晶組織
中のSi相粒子の長径の平均寸法が25μmより大きい
場合のろう付後ろう材層の腐食経路を示す模式図であ
る。
【0020】本発明の実施の形態は、Al合金(Al−
0.15%Cu−1.2%Mn)心材にAl−Si合金
(Al−10.2%Si)ろう材をクラッドした、ろう
付用アルミニウム合金ブレージングシートを用いた。こ
のろう付用アルミニウム合金ブレージングシートを窒素
雰囲気中で600℃×5分間加熱後、冷却速度を60と
200℃/minに変化させて常温まで冷却して供試材
を作成した。冷却速度が60℃/minでは、ろう材層
の共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法が38μm
(25μm以上)となり、冷却速度が200℃/min
では、Si相粒子の長径の平均寸法が18μm(25μ
m以下)となった。ろう付後の冷却速度は200℃/m
inは通常のろう付後の冷却速度(30℃〜150℃/
min)より、速いものである。このため、ろう付完了
後、ろう付炉より、強制的に取り出して窒素雰囲気中で
強制冷却して製作したものである。これら供試材につい
て、CASS腐食試験を行ない、ろう付後ろう材組織を
調査したものである。
【0021】ろう付後ろう材組織は、図1、2に示され
るように、初晶のAl相とAl−Si共晶と、ろう材層
の侵入(エロージョン)をうけた層、心材残留物(アル
ミニューム合金)からなる。Al−Si共晶組織を詳細
に観察すると、Al−Si共晶組織のSi相粒子は細長
い針条に伸びた形状でランダムに分布している。また、
図2に示すように、ろう材層の共晶組織中のSi相粒子
の長径の平均寸法が38μmの場合はこのSi相粒子が
表面と心材間を連結する形態も認められた。なお、この
Al−Si共晶組織は本実施の形態のAl−Si系ろう
材だけでなく、Al−Si−Mg系ろう材、Al−Si
−Bi系やAl−Si−Mg−Bi系ろう材でも同様の
ろう材組織を示す。
【0022】さらに、これら供試材の腐食挙動の調査結
果を説明する。腐食は、図1、2に示されるように、ろ
う材層の上部表面(アルミニウム熱交換器の外面ろう材
側に相当)で発生して、さらにろう材層中を腐食が進展
する。腐食が心材へ到達した後、心材層でさらに腐食が
進むことが判明した。
【0023】さらに、ろう材層での腐食発生、進展挙動
について調査した。ろう材層での腐食は、初晶のAl晶
出物や心材の残留物は腐食されておらず、Al−Si共
晶組織での腐食が著しいことが明らかになった。このA
l−Si共晶組織中のSi相粒子とAl相との界面で優
先的な腐食が進行している。図2に示すような、ろう材
層の共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法が38μ
m場合は、Al−Si共晶組織中のSi相粒子とAl相
との界面で優先的な腐食が心材へ到達するような腐食経
路が生じていることが判明した。特に、前述の表面と心
材間を連結するSi相粒子の部分では早期に心材に腐食
が到達していることが観察された。
【0024】Al−Si共晶組織中のSi相粒子とAl
相の界面で腐食が優先的に進展する理由は、Al相中の
電位分布が、Si相粒子との界面で最も卑となり、かつ
界面以外の部位との電位差が相対的に大きくなり、電気
化学的に腐食が進行するものと推定される。
【0025】一方、共晶組織中Si相粒子の長径の平均
寸法が18μmの場合は、図2に示すように、Si相粒
子が小さくなることにより、腐食経路が分断されるてい
ることが確認された。このため、アルミニウム熱交換器
のろう材層における腐食の進展が大幅に遅くなり、アル
ミニウム熱交換器の耐食性が向上するものと考えられ
る。
【0026】表1に示すCASS腐食試験の結果によ
り、共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法が25μ
m以下の場合は、CASS腐食試験での最大孔食深さが
80μm以下と優れた耐食性を示していることが明らか
となった。このとき、Al−Si系ろう材だけでなく、
Al−Si−Mg系ろう材やAl−Si−Bi系ろう材
やAl−Si−Mg−Bi系ろう材でも、CASS腐食
試験での最大孔食深さが80μm以下と優れた耐食性を
示していることが判明した。Al−Si共晶組織中のS
i相粒子の長径の平均寸法を25μm以下にすることに
より、アルミニウム熱交換器の耐食性を大幅に向上でき
ることが判明した。
【0027】ブレージングシートのろう付後ろう材中の
共晶組織のSi相粒子の長径の平均寸法を25μm以下
に制御するための方法について検討した。ろう付時の冷
却速度を速くすることにより、共晶組織のSi相粒子の
長径の平均寸法を25μm以下にすることは可能であ
る。また、ろう材中のSi量は少なくすることにより可
能である。
【0028】ろう付性の観点から、Si量は6.8%以
上必要であり、このSi量が6.8%では、共晶組織の
Si相粒子の長径の平均寸法を25μm以下にするため
には、表1よりろう付時の冷却速度を190℃/min
以上にする必要がある。しかしながら、熱交換器のろう
付(非腐食性フラックスろう付法又は真空ろう付法)工
程において、実際に190℃/minの冷却速度を得る
ことは難しい。190℃/minの冷却速度を得るため
は強制冷却装置等を新たに増設する必要があり、設備費
の増加、設備のメンテナンスが複雑になる等の問題が生
ずることとなる。
【0029】このため、通常のろう付工程で適用される
冷却速度30℃〜190℃/minの範囲においても、
共晶組織のSi相粒子の長径の平均寸法を25μm以下
する手段について発明者らはさらに鋭意検討を行った。
その結果、表1に示すように、ろう材中にSr:0.0
1%好ましくは0.05%以上、Sb:0.1%以上、
Na:0.01%好ましくは0.02%以上を,1種又
は2種以上添加することにより、冷却速度30℃〜19
0℃/minの範囲においても、ろう付後共晶組織中の
粒子の長径の平均寸法を25μm以下とできること見い
出した。さらに、表1に示すように、それぞれ、Sr:
0.20%、Sb:0.40%Na:0.10%を越え
ると、ブレージングシートの熱間加工時にそれぞれS
r、Sb、Naを主体とする化合物を生ずるようにな
り、これら化合物を起点として割れの発生が生じるた
め、熱間加工性が悪化することが明らかになった。
【0030】凝固組織に及ぼすSb、Sr、Na添加の
影響について詳細は明らかでないが、ろう付工程でのろ
う材層凝固時、特に共晶反応時のSi相粒子の晶出核の
個数に影響し、これら添加元素はSi相粒子の晶出を促
進する効果を有すると推定される。これら添加元素を最
適組成で添加することにより凝固開始時のろう材共晶組
織中のSi相粒子の晶出数を増加させ、その結果、凝固
終了時の共晶組織中のSi相の晶出サイズを小さくする
効果を示すと考えられる。
【0031】
【実施例】本発明の実施例を表1により説明する。表1
は本発明のろう付アルミニウム熱交換器の製造方法とろ
う付アルミニウム熱交換器の試験結果を示すものであ
る。ブレージングシートは心材に、Al−0.15%C
u−1.1%Mn−0.2%Mgを用い、ろう材は表1
に示す組成のものを用いた。ブレージングシートは板厚
0.45mm、両面クラッド材でクラッド率は15%
(板厚の比)である。供試材No.1、8、12を除
き、すべて真空ろう付を行った。真空ろう付法は、真空
雰囲気中(真空度:2.5×10-2Pa)で600℃−
5分間加熱し、その後、炉冷(60〜70℃/min)
した。供試材No.1、8、12は非腐食性フラックス
ろう付を行った。非腐食性フラックスろう付法はブレー
ジングシートのろう材面に非腐食性フラックスを塗布
し、乾燥後、窒素雰囲気中で600℃−5分間加熱し、
その後、炉冷(60〜70℃/min)した。なお、供
試材No.1はろう付完了後、ろう付炉より強制的に取
り出して窒素雰囲気中で強制冷却した。ろう材層の共晶
組織中のSi相粒子の長径の寸法の測定は、光学顕微鏡
により行った。また、腐食試験はJIS規格のCASS
試験200時間後における最大孔食深さを測定し評価し
た。
【0032】
【表1】
【0033】表1の結果より明らかなように、ろう付後
ろう材共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法が25
μm以下の供試材は、すべてCASS腐食試験での最大
孔食深さが80μm以下と優れた耐食性を示している。
Sb、Sr、Na等の最適組成範囲の下限値以上の添加
により、ろう付時の冷却速度が60〜70℃/minに
おいて、Si相粒子の長径の平均寸法が25μm以下と
なった。しかしながら、供試材No.10、11、14
のブレージングシートは熱間加工時に割れの発生等によ
って熱間加工性に問題があった。これらのブレージング
シートは、Sb、Sr、Naが最適組成範囲より多くな
り、Sb、Sr、Naがそれぞれ主体とする化合物を生
じ、これら化合物を起点として割れ等が発生したものと
考えられる。
【0034】本発明の実施例に限定されることなく、以
下に示すような従来の防食方法を併用してもよい。例え
ば、(イ)のろう材中に特定の元素、Zn、Sn、In
を添加してろう材層を心材に対して陽極的に作用させる
犠牲陽極層により心材を電気化学的に防食する方法、
(ロ)熱交換器のフィン等に陽極的作用をもたせ、他の
熱交換器の隔壁機能を有する主構成部材を防食する方
法、(ハ)心材のAl母材に第3元素、例えばCuを添
加して、心材をろう材層の対比において陰極的に作用さ
せる方法等である。従来の防食方法を組み合わせること
により、本発明のろう材層の共晶組織の制御による初期
の腐食の耐食性の改善より、耐食性がさらに向上でき、
さらに軽量化が可能となる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、ろう付
後ろう材共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法をを
25μm以下に制御して、初期の腐食の心材への到達を
遅らせることにより、さらに優れた耐食性を有するろう
付アルミニウム熱交換器を得ることを可能とするもので
ある。特に、非腐食性フラックスろう付法又はろう付法
真空ろう付法が適用されるろう付アルミニウム製熱交換
器の耐食性を向上を可能とするものである。このことに
より、アルミニウム熱交換器の寿命低下させずに、アル
ミニウム熱交換器の軽量化、薄肉化を達成することを可
能とするものである。さらに、最適組成範囲のSb、S
r、Naを添加したろう材を有するろう付用アルミニウ
ム合金ブレージングシートは非腐食性フラックスろう付
法又はろう付法真空ろう付法の冷却速度でう付け後ろう
材共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法をを25μ
m以下にすることを可能し、優れた耐食性を有するろう
付アルミニウム熱交換器用のアルミニウム合金ブレージ
ングシートに適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法をを
25μm以下にした場合のろう付後ろう材層の腐食経路
を示す模式図である。
【図2】共晶組織中のSi相粒子の長径の平均寸法をを
25μmより大きい場合のろう付後ろう材層の腐食経路
を示す模式図である。
【符号の説明】
1 Al初晶 2 エロージョンによる心材の残留物(Al合金) 3 共晶組織中のSi相粒子 4 共晶組織中のAl相 5 腐食経路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 21/00 C22C 21/00 D J E

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なる心材と、Al−Si系合金又はAl−Si−Mg系
    合金又はAl−Si−Bi系合金又はAl−Si−Mg
    −Bi系合金をろう材とする皮材を複合化してなるろう
    付用アルミニウム合金ブレージングシートを用いてろう
    付組付けしてなるろう付用アルミニウム製熱交換器にお
    いて、 ろう付後のアルミニウム熱交換器のろう材層の共晶組織
    中のSi相粒子の長径の平均寸法が25μm以下である
    ことを特徴とする耐食性に優れるろう付アルミニウム熱
    交換器。
  2. 【請求項2】 前記ろう付用アルミニウム合金ブレージ
    ングシートのろう材がSr:0.01〜0.20質量
    %、Sb:0.10〜0.40質量%およびNa:0.
    01〜0.10質量%のうち1種又は2種以上を含んで
    なる請求項12記載の耐食性に優れるろう付アルミニウ
    ム熱交換器。
  3. 【請求項3】 非腐食性フラックスろう付法真空ろう付
    法により製造される請求項1又は2記載の耐食性に優れ
    るろう付アルミニウム熱交換器。
  4. 【請求項4】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なる心材と、Al−Si系合金又はAl−Si−Mg系
    合金又はAl−Si−Bi系合金又はAl−Si−Mg
    −Bi系合金をろう材とする皮材を複合化してなるろう
    付用アルミニウム合金ブレージングシートにおいて、 前記ろう材は、Sr、Sb、Naのうち、1種又は2種
    以上の合金元素を含有し、その合金組成範囲がSrでは
    0.01〜0.20質量%、Sb0.10〜0.40質
    量%、Naでは0.01〜0.10質量%からなること
    を特徴とする耐食性に優れるろう付用アルミニウム合金
    ブレージングシート。
  5. 【請求項5】 前記ろう付用アルミニウム合金ブレージ
    ングシートのろう材のSi含有量が6.8〜13.0質
    量%である請求項4記載の耐食性に優れるろう付用アル
    ミニウム合金ブレージングシート。
  6. 【請求項6】 非腐食性フラックスろう付法又は法真空
    ろう付法に用いられる請求項4又は5記載の耐食性に優
    れるろう付用アルミニウム合金ブレージングシート。
JP20347597A 1997-07-29 1997-07-29 ろう付アルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシート Pending JPH1147919A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20347597A JPH1147919A (ja) 1997-07-29 1997-07-29 ろう付アルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20347597A JPH1147919A (ja) 1997-07-29 1997-07-29 ろう付アルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1147919A true JPH1147919A (ja) 1999-02-23

Family

ID=16474767

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20347597A Pending JPH1147919A (ja) 1997-07-29 1997-07-29 ろう付アルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1147919A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007512143A (ja) * 2003-11-28 2007-05-17 アルカン レナリュ アルミニウム合金製の帯材のロウ付け方法
JP2009161835A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Sumitomo Light Metal Ind Ltd アルミニウム製熱交換器及びその製造方法
JP2009162450A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Sumitomo Light Metal Ind Ltd アルミニウム製熱交換器及びその製造方法
JP2009161833A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材
JP2009161826A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 熱交換器のチューブ材用ブレージングシート並びに熱交換器及びその製造方法
JP2009161831A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 熱交換器のフィン材用ブレージングシート並びに熱交換器及びその製造方法
JP2009161834A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Sumitomo Light Metal Ind Ltd アルミニウム製熱交換器及びその製造方法
JP2011036914A (ja) * 2009-07-14 2011-02-24 Kobe Steel Ltd アルミニウム合金製ブレージングシート
JP2011036915A (ja) * 2009-07-14 2011-02-24 Kobe Steel Ltd アルミニウム合金製ブレージングシート
WO2015147256A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 株式会社神戸製鋼所 電縫溶接用アルミニウム合金ブレージングシート
CN110719965A (zh) * 2019-01-23 2020-01-21 三菱铝株式会社 无助焊剂钎焊用铝钎焊板

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007512143A (ja) * 2003-11-28 2007-05-17 アルカン レナリュ アルミニウム合金製の帯材のロウ付け方法
JP2009161835A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Sumitomo Light Metal Ind Ltd アルミニウム製熱交換器及びその製造方法
JP2009162450A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Sumitomo Light Metal Ind Ltd アルミニウム製熱交換器及びその製造方法
JP2009161833A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材
JP2009161826A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 熱交換器のチューブ材用ブレージングシート並びに熱交換器及びその製造方法
JP2009161831A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 熱交換器のフィン材用ブレージングシート並びに熱交換器及びその製造方法
JP2009161834A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Sumitomo Light Metal Ind Ltd アルミニウム製熱交換器及びその製造方法
JP2011036914A (ja) * 2009-07-14 2011-02-24 Kobe Steel Ltd アルミニウム合金製ブレージングシート
JP2011036915A (ja) * 2009-07-14 2011-02-24 Kobe Steel Ltd アルミニウム合金製ブレージングシート
WO2015147256A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 株式会社神戸製鋼所 電縫溶接用アルミニウム合金ブレージングシート
JP2015190013A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 株式会社神戸製鋼所 電縫溶接用アルミニウム合金ブレージングシート
CN106103761A (zh) * 2014-03-28 2016-11-09 株式会社神户制钢所 电缝焊用铝合金钎焊板
US10307869B2 (en) 2014-03-28 2019-06-04 Kobe Steel, Ltd. Aluminum alloy brazing sheet for electric resistance welding
CN110719965A (zh) * 2019-01-23 2020-01-21 三菱铝株式会社 无助焊剂钎焊用铝钎焊板

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2004084060A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金フィン材および該フィン材を組付けてなる熱交換器
JP2007152421A (ja) アルミニウム合金ブレージングシート
JP4634854B2 (ja) 自然冷媒用熱交換器のアルミニウム合金押出しチューブ材
JPH1147919A (ja) ろう付アルミニウム熱交換器およびろう付用アルミニウム合金ブレージングシート
JP3827601B2 (ja) ろう付け用アルミニウム合金複合材
JPH11335764A (ja) 押出性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム押出合金および熱交換器用高強度アルミニウム合金押出材の製造方法
JP6307231B2 (ja) アルミニウム合金製熱交換器及びその製造方法
JP2008111143A (ja) アルミニウム合金ブレージングシートおよびその製造方法
JP2004017116A (ja) ろう付造管チューブ用アルミニウム合金ブレージングシートおよびその製造方法
JP4395420B2 (ja) 二酸化炭素冷媒用熱交換器のアルミニウム合金押出しチューブ材
JP4190295B2 (ja) 耐食性に優れたアルミニウム合金クラッドチューブ材および該クラッドチューブ材を組付けた熱交換器
JP2000317674A (ja) ろう付け性に優れた高強度、高耐食性ブレージングシート
JP4263160B2 (ja) アルミニウム合金クラッド材並びにそれを用いた熱交換器用チューブ及び熱交換器
JP4573150B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金押出ヘッダータンクおよびこのヘッダータンクを用いた熱交換器
JP3876180B2 (ja) アルミニウム合金三層クラッド材
JPH1088265A (ja) ろう付け後の強度および犠牲陽極効果に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材
JP3876179B2 (ja) アルミニウム合金三層構造クラッド材
JP4019337B2 (ja) 耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
JP3863595B2 (ja) アルミニウム合金製ブレージングシート
JPH0790442A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートおよびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法
JPH0210213B2 (ja)
JPH0615701B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金クラツド材
JP2691069B2 (ja) 耐食性及び伝熱性にすぐれた熱交換器
JP2004225062A (ja) 耐食性に優れたアルミニウム合金クラッドチューブ材および該クラッドチューブ材を組付けた熱交換器
JPH0788677A (ja) アルミニウム合金ブレージングシートおよびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040519

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060425

A521 Written amendment

Effective date: 20060626

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060829

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061030

A521 Written amendment

Effective date: 20061030

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061212