JP2011036914A - アルミニウム合金製ブレージングシート - Google Patents

アルミニウム合金製ブレージングシート Download PDF

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Abstract

【課題】ろう材をクラッドした面においてろう付け処理後にも高い耐食性が維持され、良好なろう付け性が得られるアルミニウム合金製ブレージングシートを提供する。
【解決手段】心材11と、前記心材11の一方の面に設けられる第1ろう材12aとを備えたアルミニウム合金製ブレージングシート10Aであって、前記ブレージングシート10Aの板厚は、150〜600μmであり、前記第1ろう材12aは、Siを含むアルミニウム合金からなり、ろう付け温度における液相率X(%)と、ろう材厚さY(μm)と、共晶Siの平均粒径Z(μm)とが、(1)30≦X<89、(2)23≦Y≦180、(3)1000≦X×Y≦12000、(4)Z≦Y/3、の関係を満たすことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱交換器等に使用されるアルミニウム合金製ブレージングシートに関する。
例えば、自動車に搭載される熱交換器は、アルミニウム合金からなるブレージングシートを所定形状に成形し、組み立てて、ろう付けされることにより製造されている。そして、熱交換器のチューブ材等の薄肉部材に使用されるブレージングシートには高強度化と高耐食化が求められている。
また、熱交換器のフィン材に関しては、ろう材をクラッドしないフィン(以下「ベアフィン」という)の使用によってさらなる軽量化が可能であるが、このベアフィンに対して用いるチューブ材は、ベアフィンとの接合面にろう材をクラッドする構成となるために、十分な耐食性を得ることができなくなる。
そこで、ろう材をクラッドした面のろう付け処理後の耐食性を向上させたブレージングシートとして、Al−Mn−Cu合金からなる心材に、Znを含有するAl−Si系合金からなるろう材を積層し、ろう付け後表面に犠牲防食作用を付与したブレージングシート及びその製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示された技術では、ろう付け処理の際にろう材から心材へZnを拡散させ、ろう付け後表面の電位を卑化することによって犠牲防食作用を付与し、耐食性を向上させている。
特許第3360026号公報(段落[0007],[0019]等)
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、Znの拡散の結果として、ろう付け後表面に残留するZnは少量であるため、ろう付け後表面と板材中央部(ろう付け後のブレージングシートの厚さ方向の中央部を指す。以下同様とする)との間に十分な電位差を付与することは困難である。
また、ろう付け処理の際に心材に含まれるCuがろう材面側に拡散し、こうしてろう材面側に拡散したCuは、ろう付け処理の冷却過程においてろう付け後表面に濃縮層を形成する。これにより、ろう付け後表面側の電位が貴化するため、ろう付け後表面と板材中央部との間に十分な電位差を生じさせることができない。その結果、十分な犠牲防食作用が得られず、厳しい腐食環境にさらされた場合には、早期に貫通孔が形成されてしまうおそれがある。
さらに、ろう付け処理の際に生成する流動ろうは多量のZnを含有しているために、ろう付け部(フィレット)が優先腐食を起こしやすく、例えば、ベアフィンのろう付けにおいては、ベアフィンが早期に剥離するおそれがある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、ろう材をクラッドした面においてろう付け処理後に高い耐食性が維持され、しかも良好なろう付け性が得られるアルミニウム合金製ブレージングシートを提供することを目的とする。
本発明者らは、ろう材のろう付け温度における液相率と、ろう材厚さと、共晶Siの平均粒径を制御することにより、ろう付け処理において、ろう材の一部のみを融解、流動させて、残部を心材上に残存させ、この残存ろう材を犠牲防食層として機能させることにより、良好な犠牲防食効果、すなわち、高耐食性を得ることができると共に、十分な量の流動ろうにより、十分なサイズのフィレットが形成されて接合強度を高めることができるアルミニウム合金製ブレージングシートを発明するに至った。
すなわち、請求項1に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、心材と、前記心材の一方の面に設けられる第1ろう材とを備えたアルミニウム合金製ブレージングシートであって、前記ブレージングシートの板厚は、150〜600μmであり、前記第1ろう材は、Siを含むアルミニウム合金からなり、ろう付け温度における液相率X(%)と、ろう材厚さY(μm)と、共晶Siの平均粒径Z(μm)とが、(1)30≦X<89、(2)23≦Y≦180、(3)1000≦X×Y≦12000、(4)Z≦Y/3、の関係を満たすことを特徴とする。
このように、心材の一方の面に、ろう付け温度での液相率、ろう材厚さ、共晶Siの平均粒径が前記条件(1)〜(4)を満たす第1ろう材をクラッドすることにより、流動ろうの量と残留ろうの量が適切に維持され、しかも、ろう付け処理の前後における板厚の変化を抑制することができるため、良好なろう付け性と高い耐食性を得ることができる。
請求項2に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、請求項1に記載のアルミニ
ウム合金製ブレージングシートにおいて、前記第1ろう材は、Zn:1.0〜6.0質量%をさらに含有することを特徴とする。
このように、第1ろう材のZn濃度を制御することにより、アルミニウム合金製ブレージングシートの耐食性を向上させることができる。特に、第1ろう材がクラッドされた面側のろう付け後表面に残留するZnを増加させることができるために、ろう付け後表面の電位を卑とし、当該ろう付け後表面と板材中央部との間に十分な電位差を生じさせて、高い犠牲防食効果を得ることができる。
請求項3に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、請求項1または請求項2に記載のアルミニウム合金製ブレージングシートにおいて、前記第1ろう材は、Cu:0.05〜0.7質量%をさらに含有することを特徴とする。
このように、第1ろう材のCu濃度を制御することにより、第1ろう材のCuが、ろう付け後においてフィレットにより多く含まれるため、残存ろう材の犠牲防食効果を低下させることなく、ろう付け接合部の耐食性を向上させることができる。
請求項4に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシートにおいて、前記心材は、Cu:0.2〜1.0質量%を含有し、Si:1.5質量%以下、Mn:1.8質量%以下、Ti:0.35質量%以下、Mg:0.5質量%以下の少なくと1種を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする。
このように、心材が、所定の元素を所定量含有することによって、アルミニウム合金製ブレージングシートの強度、ろう付け性及び耐食性を向上させることができる。
請求項5に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシートにおいて、前記心材の他方の面に設けられる第2ろう材をさらに備え、前記第2ろう材は、Si:2.0〜8.0質量%,Zn:1.0〜6.0質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、かつ、ろう付け温度における液相率X(%)と、ろう材厚さY(μm)とが、(1a)30≦X<89、(2a)Y≧23、(3a)1000≦X×Y≦12000、の関係を満たすことを特徴とする。
このように、心材の一方の面に請求項1から請求項3のいずれか一項に規定される第1ろう材を設け、心材の他方の面に前記条件(1a)〜(3a)を満たす第2ろう材を設けることにより、両面を腐食環境に配置した場合にも、十分な犠牲防食効果が発揮され、優れた耐食性が得られる。また、他の板材またはベアフィン等のろう材を備えていない板材とのろう付け接合が可能になる。
また、第2ろう材のSi濃度及びZn濃度を制御することにより、アルミニウム合金製ブレージングシートの耐食性及びろう付け性を向上させることができる。特に、第2ろう材がクラッドされた面側のろう付け後表面に残留するZnを増加させることができるために、ろう付け後表面の電位を卑とし、当該ろう付け後表面と板材中央部との間に十分な電位差を生じさせて、高い犠牲防食効果を得ることができる。
請求項6に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシートにおいて、前記心材の他方の面に設けられる内張材をさらに備え、前記内張材は、Cu:前記心材のCu含有量以上1.0質量%以下を含有し、Si:1.5質量%以下,Mn:0.5〜1.8質量%,Ti:0.05〜0.35質量%から選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする。
このように、心材の一方の面に請求項1から請求項3のいずれか一項に規定される第1ろう材を設け、心材の他方の面に内張材を設けた場合において、腐食環境と非腐食環境とを隔離するようにアルミニウム合金製ブレージングシートを用いる場合には、第1ろう材側を腐食環境側とし、内張材側を非腐食環境側とする。非腐食環境面側に心材に含まれるCu以上のCuを含有する内張材を設けることにより、ろう付け処理後のアルミニウム合金製ブレージングシートに、第1ろう材側から内張材側に向かって電位が貴化する電位勾配を形成することができる。これにより、内張材側に腐食が進行した場合にも犠牲防食作用が維持され、アルミニウム合金製ブレージングシートを長寿命化させることができる。
請求項7に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシートにおいて、前記心材の他方の面に設けられる第2ろう材をさらに備え、前記第2ろう材は、Cu:前記心材のCu含有量以上3.0質量%以下,Si:7質量%以上13質量%未満を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする。
このように、心材の一方の面に請求項1から請求項3のいずれか一項に規定される第1ろう材を設け、心材の他方の面に心材のCu含有量以上のCuを含有する第2ろう材を設けた場合において、腐食環境と非腐食環境とを隔離するようにアルミニウム合金製ブレージングシートを用いる場合には、第1ろう材側を腐食環境側とし、第2ろう材側を非腐食環境側とする。このようにして、非腐食環境側に第2ろう材を設けることにより、他の板材またはベアフィン等のろう材を備えていない板材とのろう付け接合が可能になる。また、第2ろう材を用いることにより、ろう付け処理後のアルミニウム合金製ブレージングシートに第1ろう材側から第2ろう材側に向かって電位が貴化する電位勾配を形成することができるため、第2ろう材側に腐食が進行した場合にも犠牲防食作用が維持され、アルミニウム合金製ブレージングシートを長寿命化させることができる。
請求項8に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシートにおいて、前記心材の他方の面に設けられる犠牲陽極材をさらに備え、前記犠牲陽極材は、Al−Zn系合金からなることを特徴とする。
このように、心材の一方の面に請求項1から請求項3のいずれか一項に規定される第1ろう材を設け、心材の他方の面に犠牲陽極材を設けることにより、第1ろう材側も犠牲陽極材側も腐食環境に用いることができる。また、アルミニウム合金製ブレージングシートの片面にはろう材が不要である場合にも良好な耐食性を得ることができる。
請求項9に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシートにおいて、前記心材がSi,Mn,Ti,Mgを含有する場合の各含有量は、Si:0.3〜1.2質量%,Mn:0.5〜1.8質量%,Ti:0.05〜0.35質量%,Mg:0.05〜0.5質量%であることを特徴とする。
このように、心材に前記した各種元素を、適宜選択の上でその適切量を添加することにより、アルミニウム合金製ブレージングシートのろう付け後強度を向上させ、さらに耐食性を高めることができる。
請求項1に係る発明によれば、第1ろう材を腐食環境側に配置した場合でも、犠牲防食効果が十分に発揮され、高い耐食性を得ることができると共に、良好なろう付け性を得ることができる。請求項2に係る発明によれば、第1ろう材のろう付け後表面に十分なZnが残存するため、さらに耐食性を高めることができる。請求項3に係る発明によれば、ろう材のCuが、ろう付け後においてフィレットにより多く含まれるため、ろう付け接合部の耐食性を向上させることができる。請求項4に係る発明によれば、強度、耐食性及びろう付け性をさらに高めることができる。請求項5に係る発明によれば、心材の両面を腐食環境に配置した場合にも、犠牲防食効果が十分に発揮され、高い耐食性を得ることができると共に、良好なろう付け性を得ることができる。また、第2ろう材のろう付け後表面に十分なZnが残存するため、さらに耐食性を高めることができる。
請求項6に係る発明によれば、腐食が内張材面側へ深くまで進行した場合にも犠牲防食作用が維持されるため、より長期にわたって高い耐食性を維持することができる。請求項7に係る発明によれば、腐食がCuを含有する第2ろう材側に向けて深く進行した場合にも、犠牲防食効果が作用するため、より長期にわたって高い耐食性を維持することができる。請求項8に係る発明によれば、片面にろう材が不要である場合にも、良好な耐食性を得ることができ、特に両面が腐食環境である場合にも、良好な耐食性が得られる。
請求項9に係る発明によれば、ろう付け後強度と耐食性がさらに向上し、厳しい腐食環境においても高い耐食性と高いろう付け後強度を維持することができる。
本発明の第1実施形態に係るブレージングシートの概略断面図である。 本発明の第2実施形態に係るブレージングシートの概略断面図である。 (a)は本発明の第3実施形態に係るブレージングシートの概略断面図であり、(b)はろう付け処理後におけるZnとCuの濃度分布を模式的に示す図である。 本発明の第4実施形態に係るブレージングシートの概略断面図であり、(b)はろう付け処理後におけるZnとCuの濃度分布を模式的に示す図である。 本発明の第5実施形態に係るブレージングシートの概略断面図である。 本発明に係るブレージングシートのろう材の作用機構を説明する概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシート(以下、「ブレージングシート」という)は、熱交換器のチューブ材、ヘッダープレート、ヘッダタンク、インサート材等に使用されるもので、特に、チューブ材等の薄肉部材に使用されるものである。
《第1実施形態》
図1に本発明の第1実施形態に係るブレージングシートの概略構造を表した断面図を示す。ブレージングシート10Aは、心材11と、心材11の一方の面に設けられた第1ろう材12aとからなる2層構造を有している。
ブレージングシート10Aにおいて、その板厚は150〜600μmとする。板厚が150μm未満であると強度が不足し、熱交換器等の薄肉部材(チューブ材)に使用した際に不具合が生じる。また、板厚が600μmを超えるとブレージングシート10Aの重量が増大し、使用する熱交換器等を軽量化することができない。
なお、板厚が100μm以上150μm未満であっても、前記した強度の問題が解決でき、かつ、後記する第1ろう材12aのろう付け温度における液相率Xと、ろう材厚さYと、共晶Siの平均粒径Zとの関係(後記する条件(1)〜(4))を満たせば、本発明と同等の効果を得ることができる。
ブレージングシート10Aにおいて、心材11は、アルミニウム合金からなるものであれば、その構成は特に限定されないが、好ましくはCu:1.5質量%以下を含有するアルミニウム合金である。例えば、0.2〜1.0質量%のCuを含有すると共に、1.5質量%以下のSiと、1.8質量%以下のMnと、0.35質量%以下のTiと、0.5質量%以下のMgの中から選ばれる少なくとも1種を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることが好ましい。Cuは必須成分であるが、Si,Mn,Ti,Mgは任意成分であり、心材11にSi,Mn,Ti,Mgをそれぞれ添加する場合には、Si含有量は0.3〜1.2質量%、Mn含有量は0.5〜1.8質量%、Ti含有量は0.05〜0.35質量%、Mg含有量は0.05〜0.5質量%とすることが好ましい。なお、心材11の厚さは、例えば、熱交換器として組み立てる際の成形性や熱交換器に要求される重量等を考慮し、好ましくは50μm〜500μmとされる。
第1ろう材12aは、Siを含むアルミニウム合金、例えば、Al−Si系合金、Al−Si−Zn系合金、Al−Si−Cu系合金、Al−Si−Zn−Cu系合金等からなり、好ましくは、Al−Si−Zn系合金、または、Al−Si−Zn−Cu系合金である。なお、Siの含有量は、2.0〜8.0質量%が好ましい。また、Siに加えてZnをさらに含有する場合には、Zn:1.0〜6.0質量%が好ましい。さらに、Cuを含有する場合には、Cu:0.05〜0.7質量%が好ましい。そして、第1ろう材12aは、ろう付け温度における液相率をX(%)とし、ろう材厚さをY(μm)とし、共晶Siの平均粒径をZ(μm)としたときに、(1)30≦X<89、(2)23≦Y≦180、(3)1000≦X×Y≦12000、(4)Z≦Y/3の条件を満たしている。
前記条件(1)〜(4)は、第1ろう材12aの作用機構に基づいて設定されたものである。以下に、第1ろう材12aの作用機構について、図6(a)〜図6(c)を参照しながら説明する。例えば、ブレージングシート10Aを用いて熱交換器を組み立てる場合には、第1ろう材12aを腐食環境である空気側とし、心材11の露出面を非腐食環境である流体(冷媒等)通路側とする。図6(a)に示すように、ろう付け処理前には、第1ろう材12aは、α相と共晶Siとからなる。そして、図6(b)に示すように、ろう付け処理中には、第1ろう材12aの一部、すなわち、共晶Siの周辺のα相は、共晶反応により融解して流動ろうとなる。そして、共晶Siから離れたα相は、そのまま心材11の上に残存する。その結果、図6(c)に示すように、ろう付け処理後には、流動ろうはフィレットを形成し、心材11上に残存したα相(第1残存ろう材12a)は犠牲防食層として機能する。このとき、第1ろう材12aが、前記条件(1)〜(4)を満たすことにより、犠牲防食層として機能する第1残存ろう材12aの絶対量が制御されることにより、第1ろう材12aが腐食環境に配置されるようにブレージングシート10Aを用いても、犠牲防食効果が顕著に発揮される。また、前記条件(1)〜(4)が満たされていることにより、ろう付け処理の際に生成する流動ろうの絶対量を適正化できるため、良好なろう付け性を得ることができる。
なお、心材11がCuを含有する場合には、第1ろう材12aを前記条件(2)の通りに構成することにより、ろう付け処理の際に心材11のCuが第1ろう材12a側に拡散して濃縮することが抑制され、ろう付け後表面から他面側表面(ブレージングシート10Aのろう材がクラッドされていない面)に向かって電位が貴となる。また、第1ろう材12aに前記した量のZnが含まれている場合には、前記条件(1)〜(3)が満たされていることにより、ろう付け後表面(第1残存ろう材12a)に十分なZnが残存し、これによっても、ろう付け後表面から板材中央部に向かって電位を貴とすることができる。したがって、第1ろう材12aが腐食環境に配置されるようにブレージングシート10Aを用いても、犠牲防食効果が顕著に発揮される。
以下に、ブレージングシート10Aの構成要素についてより詳細に説明する。
[心材11]
〔心材11のCu含有量:1.5質量%以下、例えば0.2〜1.0質量%〕
Cuは、ろう付け後強度を向上させる効果がある。また、電位を貴にする働きがあるため、耐食性を向上させる。Cu含有量が0.2質量%未満では、ろう付け後表面と板材中央部との間に十分な電位差を生じさせることができない。一方、Cu含有量が1.0質量%を超えると、心材11の局部溶融が発生する可能性がある。したがって、心材11におけるCu含有量は、0.2〜1.0質量%とし、好ましくは0.3〜0.5質量%とする。
〔心材11のSi含有量:1.5質量%以下〕
Siは、ろう付け後強度を向上させる効果があり、特にMg,Mnと共存させた場合にはMg−Si系金属間化合物とAl−Mn−Si系金属間化合物の形成により、さらにろう付け後強度を高めることができる。しかし、Si含有量が1.5質量%を超えると、心材11の融点低下及び低融点相増加により、心材11の溶融が生じる。したがって、心材11におけるSi含有量は、1.5質量%以下とする。なお、Si含有量が少ないと前記効果が小さい。したがって、心材11におけるSi含有量は、好ましくは0.3〜1.2質量%とする。
〔心材11のMn含有量:1.8質量%以下〕
Mnは、ろう付け後強度を向上させる効果があり、含有量増加によりろう付け後強度を高めることができる。また、電位を貴にする働きがあるため、耐食性を向上させる。Mn含有量が1.8質量%を超えると粗大なAl−Mn系金属間化合物が形成され、成形性と耐食性が低下する。したがって、心材11におけるMn含有量は1.8質量%以下とする。なお、Mn含有量が0.5質量%未満では前記効果が小さい。したがって、心材11におけるMn含有量は、好ましくは0.5〜1.8質量%とする。
〔心材11のTi含有量:0.35質量%以下〕
Tiは、Al合金中でTi−Al系化合物を形成して層状に分散する。Ti−Al系化合物は電位が貴であるため、腐食形態が層状化し、深さ方向への腐食(孔食)に進展し難くなる効果がある。Ti含有量が0.35質量%を超えると粗大なAl−Ti系金属間化合物が形成され、成形性と耐食性が低下する。したがって、心材11におけるTi含有量は、0.35質量%以下とする。なお、Ti含有量が0.05質量%未満では腐食形態の層状化効果が小さい。したがって、心材11におけるTi含有量は、好ましくは0.05〜0.35質量%とする。
〔心材11のMg含有量:0.5質量%以下〕
Mgは、ろう付け後強度を向上させる効果がある。一方、Mgはフラックスろう付け性を低下させる作用があるため、Mg含有量が0.5質量%を超えると、ろう付けの際にMgが第1ろう材12a(の表面)まで拡散してフラックスと反応し、ろう付け性が著しく低下する。したがって、心材11におけるMg含有量は、0.5質量%以下とする。なお、Mg含有量が0.05質量%未満ではろう付け後強度を向上させる効果が小さい。したがって、心材11におけるMg含有量は、好ましくは0.05〜0.5質量%とする。
〔不可避的不純物〕
心材11は、前記成分の他、不可避的不純物として、例えば、Fe、Cr、Pb等を含有してもよい。詳しくは、Fe:0.5質量%以下、Cr、Pb:各0.3質量%以下であり、かつこれらの成分の含有量の合計が1.0質量%以下であれば不可避的不純物とみなすことができる。
[第1ろう材12a]
〔ろう付け温度における液相率X(%):30≦X<89〕
ろう付け温度における第1ろう材12aの液相率X(%)を制御することにより、ろう付け処理の際の第1ろう材12aの流動性を制御し、第1ろう材12aに起因してろう付け処理後に心材11の表面に残存するろう材(残存ろう材)の量を制御することができる。液相率Xが30%未満の場合には、ろう流動性が低いために、十分なろう付け性を確保することができない。一方、液相率Xが89%以上であると、ろう付け処理後の残存ろう材が少なくなるために、残存ろう材に起因する犠牲防食効果が小さくなる。したがって、ろう付け温度における液相率Xは、30%以上89%未満とし、好ましくは50%以上80%以下とする。なお、ろう付け温度での液相率X(%)は、ブレージングシート10Aの製造工程で使用するろう材の材料成分に基づいて、標準的な熱力学計算ソフト(例えば、サーモカルク(Thermo-Calc))により算出される値である。液相率Xの単位である“%”は、一般的に“質量%”である。
〔ろう材厚さY(μm):23≦Y≦180〕
ブレージングシート10Aを用いた熱交換器等の製品製造の際のろう付け処理工程において、第1ろう材12aはその一部が融解して流動ろうとなる。そして、第1ろう材12aの厚さYが23μm未満では、第1ろう材12aのSi濃度が十分高く、液相率が上限値に近い場合であっても、十分な量の流動ろうが確保できず、ろう付け性が低下する。そして、心材12がCuを含有する場合にろう付け後表面でのCu濃縮を抑制できないため、ろう付け後表面から板材中央部に向って電位が十分に貴とならず、犠牲防食効果を発揮できない。また、厚さYが180μmを超えると、液相率が高ければ過剰な流動ろうによる侵食が発生し、局部腐食の原因となる。一方、液相率が低ければ、共晶反応によって溶融しても、共晶Si密度が低く、流動に寄与しないろうが増加して、ろう付け性が低下する。
〔液相率Xとろう材厚さYの積:1000≦X×Y≦12000〕
液相率Xとろう材厚さYとを制御することにより、ろう付け処理の際に生成する流動ろうの絶対量と、残存ろう材の絶対量を制御することができる。これにより、例えば、フィン等とのろう付け処理においては、適切な絶対量の流動ろうの生成が確保され、十分なろう付け性を得ることができるとともに、適切な絶対量の残存ろう材が確保されて、残存ろう材に起因する犠牲防食効果が十分に発揮される。液相率Xとろう材厚さYの積が1000未満では、流動ろうの絶対量が少なくなるために、十分なろう付け性を確保することができない。例えば、フィレットの形成が不十分となって、接合強度が低下する。一方、液相率Xと厚さYの積が12000を超えると、流動ろうの絶対量が多くなるため、ろう付け処理の前後におけるブレージングシート10Aの板厚の変化が大きくなってコア割れが発生し、また、過剰に生成した流動ろうによる心材11の浸食等が発生し、耐食性が低下する。したがって、液相率Xと厚さYの積(X×Y)は、1000〜12000とする。
〔共晶Siの平均粒径Z(μm):Z≦Y/3〕
共晶Siの平均粒径Zを制御することにより、均一なα相の残存を制御することができる。粗大な共晶Siが存在する場合、その周囲では、ほぼ全てのα相がSiとの共晶反応を起こして残存ろう材が少量となり、場合によっては心材まで共晶反応によって溶融する。粗大な共晶Siが多数ある(平均粒径がある一定値以上になる)場合、十分な残存ろう材が確保できない部位が増加する。平均粒径Zがろう材厚さYの1/3を超えると、十分な残存ろう材が確保できない部位の増加および心材への侵食により耐食性が低下する。したがって、平均粒径Zは、ろう材厚さYの1/3以下、好ましくは1/4以下とする。なお、共晶Siの平均粒径の制御は、Na処理(鋳造時に10〜50ppmのNaを添加する)、P等の微量成分の制御といった従来の方法によって可能である。
〔第1ろう材12aのSi含有量:2.0〜8.0質量%〕
Siは、第1ろう材12aたるAl合金の融点を低下させ、ろう付け温度での液相率及び流動性を高める作用がある。Si含有量が2.0質量%未満では、ろう付け処理の際に流動ろうの量が不足してろう付け性が低下する。一方、Si含有量が8.0質量%を超えると、流動ろうが過剰に生成し、板厚の減少によるコア割れや心材11の浸食等のろう付け不良が発生する。したがって、第1ろう材12aのSi含有量は、2.0〜8.0質量%とすることが好ましい。
〔第1ろう材12aのZn含有量:1.0〜6.0質量%〕
Znは、第1ろう材12aたるAl合金の電位を卑にする作用があり、また融点の低下及び液相率を増加する作用がある。Zn含有量が1.0質量%未満では、ろう付け後表面に残留するZnは極少量となるため、耐食性の向上はほとんど認められない。一方、Zn含有量が6.0質量%を超えると、流動ろうに含有されるZn濃度が増大し、フィレット等が優先腐食する原因となる。したがって、第1ろう材12aにZnを含有させる場合には、Zn含有量は、1.0〜6.0質量%とすることが好ましく、1.5〜6.0質量%とすることがより好ましい。
なお、SiとZnのいずれにもAl合金の融点を低下させ、液相率を増加させる作用があるため、SiとZnの各添加量は、特に、前記した条件(1)が満たされるように、熱力学的計算を行って決定し、その上で、厚さYを前記した条件(2)〜(4)が満たされるように、決定することが望ましい。
〔第1ろう材12aのCu含有量:0.05〜0.7質量%〕
第1ろう材12aはCuを含有してもよい。Cuは、前記したようにアルミニウム合金の電位を貴にする作用があるので、第1ろう材12aにおいてはZnの作用と相反する。ここで、本発明に係るブレージングシート10Aのろう付け処理において、第1ろう材12aは、ろう付け温度における液相率が89%未満であるので、固相のα相(Znが固溶したAl)と、液相の溶融Al−Si合金または溶融Al−Si−Zn合金との2相になる。その他の成分はその性質に応じてそれぞれの相に分配され、Cuについては、Al−Cu合金は共晶合金であるため、第1ろう材12aを形成するAl−Si系合金またはAl−Si−Zn系合金にCuが含有される場合、Cuはα相よりも液相に多く分配される。液相のほとんどは流動するので、ろう付け処理後のアルミニウム合金製ろう付け体(心材11)の表面に残存したα相で主に形成された残存ろう材は、Cu濃度が比較的低く、そのため電位の貴化は小さく、犠牲防食効果が大きく低下せずに耐食性が確保できる。一方、液相すなわち流動ろうで形成されたフィレットのCu濃度は増加するため、接合部の耐食性を高くして、腐食による接合部の剥離をいっそう抑制することができる。この効果を十分なものとするために、第1ろう材12aのCuの含有量は0.05質量%以上とすることが好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。一方、Cuの含有量が0.7質量%を超えると、分配の少ないα相のCu濃度も高くなるため、残存ろう材のCu濃度が高くなって犠牲防食効果が低下する虞がある。したがって、第1ろう材12aにおけるCuの含有量は、0.7質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましい。さらに心材11におけるCuの含有量以下であることが好ましく、心材11に対して0.2質量%以上の差で少ないことがより好ましく、0.3質量%以上の差で少ないことがもっとも好ましい。
第1ろう材12aを形成するAl−Si系合金、Al−Si−Zn系合金、Al−Si−Cu系合金、Al−Si−Zn−Cu系合金等は、前記成分の他、アルミニウム合金の電位を卑にする成分、例えばIn,Snを適宜含有してもよい。また、Fe等のその他の成分も、本発明の効果を妨げない範囲内であれば含有してもよい。詳しくは、Fe:0.5質量%以下、その他の成分:各0.3質量%以下であり、かつこれらの成分の含有量の合計が1.0質量%以下であれば本発明の効果を妨げるものではない。また、厳しい腐食環境下で使用されない場合(腐食深さが浅い場合)において、心材11の他方の面に、板材全体の材料特性を低下させない範囲(材料構成)のAl合金層をクラッドすることが可能である。
《変形例》
以上、心材11と第1ろう材12aとを備えた2層構造のブレージングシート10aについて説明したが、このような2層構造に限らず、用途に応じて、心材11の他方面(第1ろう材12aが設けられた面と反対の面)に、ろう材、内張材、犠牲陽極材等を設けた3層構造のブレージングシートとしてもよい。この場合には、以下の第2〜5実施形態に示すろう材、内張材、および、犠牲陽極材を適用することが好ましい。また、ろう材としてAl−Si系合金(例えばSi:7質量%以上13質量%未満)やAl−Si−Zn系合金等を適用することができ、犠牲陽極材として1000系アルミニウム(またはアルミニウム合金)や7000系アルミニウム合金等を適用することができる。そして、内張材として、Al合金層であって、ろう材として機能せず、また、Znを含有しない点で犠牲陽極材と区別されるものを適用することができる。また、心材11の他方面に、中間材を介してろう材を設けた四層構造のブレージングシートとしてもよく、この場合には、中間材として1000系アルミニウム(またはアルミニウム合金)や7000系アルミニウム合金等を適用することができる。
《第2実施形態》
図2に本発明の第2実施形態に係るブレージングシートの概略構造を表した断面図を示す。ブレージングシート10Bは、心材11と、心材11の一方の面に設けられた第1ろう材12aと、心材11の他方の面に設けられた第2ろう材12bとからなる3層構造を有している。ここでは、ブレージングシート10Bの心材11の組成及び厚さはブレージングシート10Aの心材11の組成及び厚さと同じであるとする。また、ブレージングシート10Bの第1ろう材12aの組成及び厚さは、ブレージングシート10Aの第1ろう材12aの組成及び厚さと同じであるとする。そのため、心材11と第1ろう材12aについての説明は省略する。
ブレージングシート10Bを構成する第2ろう材12bについては、ろう付け温度における液相率をX(%)とし、ろう材厚さをY(μm)としたときに、(1a)30≦X<89、(2a)Y≧23、(3a)1000≦X×Y≦12000、の関係が満たされている。これにより、第1ろう材12aと同様の特性を第2ろう材12bに付与することができ、第1ろう材12aのみならず第2ろう材12bをも腐食環境において用いることができ、第2ろう材12b側でも優れた耐食性を得ることができる。その理由は、前記した第1ろう材12aと同じである。このとき、第2ろう材12bとして、第1ろう材12aと同様に、2.0〜8.0質量%のSiと、1.0〜6.0質量%のZnを含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるものを用いることにより、耐食性をさらに向上させることができる。
《第3実施形態》
図3(a)に本発明の第3実施形態に係るブレージングシートの概略構造を表した断面図を示し、図3(b)に第3実施形態に係るブレージングシートのろう付け処理後におけるZnとCuの濃度分布を模式的に示す。ブレージングシート10Cは、心材11と、心材11の一方の面に設けられた第1ろう材12aと、心材11の他方の面に設けられた内張材13からなる三層構造を有している。ブレージングシート10Cを構成する心材11及び第1ろう材12aは、前記したブレージングシート10A,10Bを構成する心材11及び第1ろう材12aと実質的に同じである。図3(b)に示す符号「12a」はろう付け処理後に心材11の表面に残るろう材、すなわち、第1残存ろう材を示している。
内張材13は、心材11にクラッドされるAl合金層であって、ろう材として機能せず、また、Znを含有しない点で犠牲陽極材と区別される。内張材13は、心材11のCu含有量以上1.0質量%以下のCuを含有し、1.5質量%以下のSi,0.5〜1.8質量%のMn,0.05〜0.35質量%のTiから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。ブレージングシート10Cにおける内張材13の厚さは特に限定されないが、好ましくは0.01〜0.1mmとされる。
例えば、ブレージングシート10Cを用いて熱交換器等の製品を組み立てる場合には、第1ろう材12aを腐食環境である空気側とし、内張材13を非腐食環境である流体(冷媒等)通路側とする。例えば、第1ろう材12aとして所定量のZnを含むものを用い、内張材13として前記した組成を有するものを用いた場合、図3(b)に示すように、ろう付け処理後のブレージングシート10Cにおいては、第1残存ろう材12a側から内張材13側に向かってZn濃度は低下するがCu濃度は増加するように濃度勾配を形成することができるため、第1残存ろう材12aから内張材13にわたって常に貴化する電位勾配を形成することができる。その結果、腐食が内張材13側へ進行した場合にも犠牲防食作用が維持され、長期にわたって耐食性を維持することができる。
[内張材13]
〔内張材13のCu含有量:心材11のCu含有量以上1.0質量%以下〕
Cuは、ろう付け後強度を向上させる効果がある。また、電位を貴にする働きがあるため、耐食性を向上させる。しかし、Cu含有量が1.0質量%を超えると、内張材合金の局部溶融が発生する可能性がある。また、Cu含有量が心材11のCu含有量未満であると、内張材13に対して心材11側の電位が貴になるため、心材11以深で孔食進展が促進される。したがって、内張材13におけるCu含有量は、心材11のCu含有量以上1.0質量%以下とする。なお、Cu含有量が0.05質量%未満では前記した各種効果が小さい。内張材13のCu含有量は、0.9質量%以下かつ心材11のCu含有量以上とすることが好ましく、心材11のCu含有量+0.1質量%以上とすることがより好ましい。
〔内張材13のSi含有量:1.5質量%以下〕
Siは、ろう付け後強度を向上させる効果があり、特にMg,Mnと共存させた場合には、Mg−Si系金属間化合物、Al−Mn−Si系金属間化合物の形成により、さらにろう付け後強度を高めることができる。しかし、Si含有量が1.5質量%を超えると、内張材13の融点低下と低融点相の増加により、内張材13の溶融が生じる。したがって、内張材13におけるSi含有量は、1.5質量%以下とする。なお、Si含有量が0.03質量%未満では前記した効果が小さい。したがって、内張材13におけるSi含有量は、0.03〜1.5質量%とすることがより好ましい。
〔内張材13のMn含有量:0.5〜1.8質量%〕
Mnは、ろう付け後強度を向上させる効果があり、含有量増加によりろう付け後強度を高めることができる。また、電位を貴にする働きがあるため、耐食性を向上させる。しかし、Mn含有量が0.5質量%未満では強度向上の効果は小さい。一方、Mn含有量が1.8質量%を超えると、粗大なAl−Mn系金属間化合物が形成され、成形性の低下や耐食性の低下が起こりやすい。したがって、内張材13におけるMn含有量は、0.5〜1.8質量%とする。
〔内張材13のTi含有量:0.05〜0.35質量%〕
Tiは、Al合金中でTi−Al系化合物を形成して層状に分散する。Ti−Al系化合物は電位が貴であるため、腐食形態が層状化し、深さ方向への腐食(孔食)に進展し難くなる効果がある。しかし、Ti含有量が0.05質量%未満では腐食形態の層状化効果が小さい。一方、Ti含有量が0.35質量%を超えると粗大なAl−Ti系金属間化合物が形成され、成形性と耐食性が低下する。したがって、内張材13におけるTi含有量は、0.05〜0.35質量%とする。
〔内張材13におけるその他の含有元素〕
内張材13側の電位貴化及び強度向上のために、Cr,Ni,Zr等から選ばれる1種または複数種をそれぞれ0.3質量%以下添加してもよい。
《第4実施形態》
図4(a)に本発明の第4実施形態に係るブレージングシートの概略構造を表した断面図を示し、図4(b)に第4実施形態に係るブレージングシートのろう付け処理後におけるZnとCuの濃度分布を模式的に示す。ブレージングシート10Dは、心材11と、心材11の一方の面に設けられた第1ろう材12aと、心材11の他方の面に設けられた第2ろう材14からなる三層構造を有している。ブレージングシート10Dの心材11及び第1ろう材12aは、前記したブレージングシート10A〜10Cを構成する心材11及び第1ろう材12aと実質的に同じである。図4(b)に示す符号「12a」は、図3(b)と同様に、ろう付け処理後に心材11の表面に残る第1ろう材12aの残存ろう材(第1残存ろう材)を示し、符号「14a」は第2ろう材14の残存ろう材(第2残存ろう材)を示している。
第2ろう材14は、心材11のCu含有量以上3.0質量%以下のCuと、7質量%以上13質量%未満のSiを含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。ブレージングシート10Dにおける第2ろう材14の厚さは特に限定されないが、好ましくは0.01〜0.1mmとされる。
ブレージングシート10Dを用いて、例えば熱交換器等の製品を組み立てる場合には、第1ろう材12aを腐食環境である空気側とし、第2ろう材14を非腐食環境である流体(冷媒等)通路側とする。例えば、第1ろう材12aとして所定量のZnを含むものを用い、第2ろう材14として前記したCuを含有する組成を有するものを用いた場合には、図4(b)に示されるように、ブレージングシート10Dにおいても前記したブレージングシート10Cと同様に、ろう付け処理後において、第1残存ろう材12a側から第2残存ろう材14a側に向かってZn濃度は低下するがCu濃度は増加するように濃度勾配を形成することができるため、第1残存ろう材12aから第2残存ろう材14aにわたって常に貴化する電位勾配を形成することができる。その結果、腐食が第2残存ろう材14a側へ進行した場合にも犠牲防食作用が維持され、長期にわたって耐食性を維持することができる。
[第2ろう材14]
〔第2ろう材14のCu含有量:心材11のCu含有量以上3.0質量%以下〕
Cuは、ろう付け後強度を向上させる効果がある。また、電位を貴にする働きがあるため、耐食性を向上させる。Cu含有量が3.0質量%を超えると、多量のCuを含有するフィレットが形成され、フィレット周辺に優先腐食が発生する。また、心材11のCu含有量未満であると、製造及びろう付け処理の際に、心材11から第2ろう材14にCuが拡散する結果、心材11における第2ろう材14側の電位が卑になるため、心材11以深で孔食進展が促進される。したがって、第2ろう材14におけるCu含有量は、心材11のCu含有量以上3.0質量%以下とする。なお、Cu含有量が0.05質量%未満では前記した各種効果が小さい。第2ろう材14のCu含有量は、2.0質量%以下かつ心材11のCu含有量以上とすることが好ましく、心材11のCu含有量+0.3質量%以上とすることがより好ましい。
〔第2ろう材14のSi含有量:7質量%以上13質量%未満〕
Siは、アルミニウム合金の融点低下、ろう付け温度での液相率及び流動性を高める作用がある。Si含有量が7質量%未満では、ろう付け処理の際に流動ろうの量が不足してろう付け性が低下する。一方、Si含有量が13質量%以上であると、過剰の流動ろうが生成し、板厚の減少によるコア割れの他、心材11の浸食等のろう付け不良が発生する。したがって、第2ろう材14におけるSi含有量は、7質量%以上13質量%未満とする。なお、第2ろう材14のSi含有量が、第1ろう材12aのSi含有量と異なるのは、第2ろう材14を厚くせず、ろう付け温度における液相率をほぼ100%として使用するためである。
〔第2ろう材14におけるその他の含有元素〕
ろう付け処理後における第2残存ろう材14a側の電位貴化のために、第2ろう材14には、Cr,Ni,Zr等から選ばれる1種または複数種をそれぞれ0.3質量%以下添加してもよい。
〔第2ろう材14の液相率Xとろう材厚さY
ブレージングシート10Dのろう付け温度における第2ろう材14の液相率をX(%)とし、ろう材厚さをY(μm)とすると、より好ましくは下記(1b)〜(3b)の関係が満たされることにより、ろう付け処理後における第2内側残存ろう材14aにおけるCu残存量を増加させ、フィレットにおけるCu含有量を低減させることができる。これにより、さらに心材11から第1ろう材12a及び第2ろう材14への元素拡散を低減させることができる。
(1b)30≦X<89
(2b)Y≧23
(3b)1000≦X×Y≦12000
《第5実施形態》
図5に本発明の第5実施形態に係るブレージングシートの概略構造を表した断面図を示す。ブレージングシート10Eは、心材11と、心材11の一方の面に設けられた第1ろう材12aと、心材11の他方の面に設けられた犠牲陽極材15からなる三層構造を有している。ブレージングシート10Eの心材11及び第1ろう材12aは、前記したブレージングシート10A〜10Dを構成する心材11及び第1ろう材12aと実質的に同じである。犠牲陽極材15はAl−Zn系合金からなり、第1ろう材12aのろう付け温度では溶融せず、ろう材としては機能しない。このブレージングシート10Eは、第1ろう材12a側と犠牲陽極材15側の両面を腐食環境にさらして用いることができ、特に一方の面にのみろう材が必要である環境において好適に用いられ、良好な耐食性を得ることができる。
犠牲陽極材15は、心材11に対して電位が卑であり、犠牲防食作用を示すものであればAl−Zn系組成は特に限定されるものではない。例えば、1〜5質量%のZnを含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるAl−Zn合金や、これに強度向上を目的としてSi,Mn,Mgを添加したAl−Si−Mn−Zn合金、Al−Zn−Mg合金等が好適に用いられる。
《ブレージングシート10A〜10Eの製造方法》
ブレージングシート10A〜10Eの製造方法の一例について説明する。例えば、ブレージングシート10A〜10Eのろう付け温度を決定し、そのろう付け温度での第1ろう材12aの液相率X(%)を30≦X<89の範囲で決定するとともに、第1ろう材12aの組成を決定する。次いで第1ろう材12aの厚さY(μm)を、23≦Y≦180、1000≦X×Y≦12000、かつ、共晶Siの平均粒径Z(μm)をZ≦Y/3となるように決定し、材料板厚や圧延条件を決定する。ブレージングシート10Bについては、必要に応じて、第1ろう材12aと同様の設計を第2ろう材12bについて行う。
このような設計の後、実際の製造プロセスにおいては、まず、心材用アルミニウム合金,第1ろう材用アルミニウム合金,第2ろう材用アルミニウム合金,内張材用アルミニウム合金及び犠牲陽極材用アルミニウム合金をそれぞれ、連続鋳造にて溶解、鋳造し、必要に応じて面削、均質化熱処理(以下「均熱」という)して、心材用鋳塊,第1ろう材用鋳塊,第2ろう材用鋳塊,内張材用鋳塊及び犠牲陽極材用鋳塊を得る。第1ろう材用鋳塊,第2ろう材用鋳塊,内張材用鋳塊及び犠牲陽極材用鋳塊をそれぞれ熱間圧延または切断によってそれぞれ所定厚さにして、第1ろう材12a,第2ろう材12b,第2ろう材14,内張材13及び犠牲陽極材15を製造する。
心材用鋳塊の一方の面に第1ろう材12aを配置し、必要に応じて心材用鋳塊の他方の面に第2ろう材12b,第2ろう材14,内張材13及び犠牲陽極材15から選ばれた1つの材料を配置して、所定のクラッド率になるように重ね合わせ、400℃以上の温度で加熱した後、熱間圧延により圧着し、板材とする。その後、冷間圧延−中間焼鈍−冷間圧延を行うことにより所定の板厚とする。なお、熱間圧延による圧着後、冷間圧延前に、合金中の元素分布を調整する目的で、焼鈍を実施してもよい。中間焼鈍は350〜450℃で3時間以上実施することが望ましく、最終の冷間加工率は30〜60%となるようにすることが好ましい。また、最終の板厚とした後、成型加工性を考慮して仕上げ焼鈍を実施してもよい。仕上げ焼鈍により、材料が軟化し、伸びが向上するため加工性を高めることができる。
以上、本発明を実施するための形態について述べてきたが、以下に、本発明の効果を確認した実施例を、本発明の構成要件を満たさない比較例と比較して具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に用いる「第1ろう材」,「第2ろう材」はそれぞれ、前記した実施の形態における「第1ろう材12a」,「第2ろう材12b、14」と同じ意味で用いるものとする。
[供試材作製]
表1に示す心材及び内張材と、表2に示す組成を有するろう材及び犠牲陽極材を周知の方法を用いて作製し、表3,4に示す組合せで重ね合わせ、450℃において熱間圧延してクラッドし、焼鈍を行うことなく冷間圧延にて板厚を2.5mmとした。その後、400℃で5時間の中間焼鈍を行い、さらに加工率;50%で冷間圧延を行う(中間焼鈍は適宜実施する)ことにより、所定の最終板厚とし、最後に仕上げ焼鈍を300℃で3時間行って、表3,4に示す供試材を作製した。
なお、表2に示す通り、ろう材は、Znを含有するがCuを含有しないもの、あるいは、ZnとCuを含有するものを「ろう材A」とし、Znを含有しないがCuを含有するものを「ろう材B」とし、ZnおよびCuを含有しないものを「ろう材C」としている。また、各ろう材の液相率、および、共晶Siの平均粒径を記載した。なお、共晶Siの平均粒径は、以下の手順で算出した。ろう材表面を鏡面研磨(ケラーエッチング)し、その断面を光学顕微鏡で観察(観察倍率;×100〜200)する。そして、その観察像から市販画像解析ソフトを使用して、共晶Siの粒径を円相当径として実測する。一視野から任意に抽出した30点の共晶Siの実測値(円相当径)を平均して共晶Siの平均粒径とした。第1ろう材としては、ろう材Aのみが用いられる。第2ろう材としては、ろう材B,Cのみならずろう材A(ただし、Cuを含まないもの)を用いることができるため、表3,4では、第2ろう材の液相率と厚さをそれぞれ第1ろう材と同様にX,Yで表すこととする。また、共晶Siの平均粒径の制御は、鋳造時のNa添加量で行った。
[熱処理材と試験材の作製]
作製した各供試材の第1ろう材の表面に市販の非腐食性のフラックスを3g/mで塗布し、治具を用いて吊り下げて、酸素濃度が200ppm以下の雰囲気において590〜600℃で2分間保持することにより、ろう付け加熱を行い、ろう付け熱処理材を作製した。その後、ろう付け熱処理材から所定の形状の試験材を切り出して、下記の腐食試験に供した。なお、加工性や融点等の問題から、試験材を作製できなかったものについては、表3,4の「試験材の作製可否」の欄に「×」で示しており、試験材を作製することができたものについては同欄に「○」で示している。
[腐食試験]
腐食試験は、ろう付け熱処理材から60mm×50mmの試験材を切り出し、第1ろう材面が試験面となるように、第1ろう材面の反対の面及び端面をシールテープによりシールして、CASS試験(JIS Z 2371)を1000時間実施することにより、行った。試験後、最大腐食深さを測定し、最小残存板厚(=試験前の板厚−最大腐食深さ)を算出した。結果を表3,4に示す。この腐食試験の合格基準は、試験材の最小残存板厚が元板厚(ろう付け前厚さの)の40%(板厚0.2mmの場合は80μm、板厚0.5mmの場合は200μm)以上であることとした。
[接合部腐食試験]
ブレージングシートが熱交換器として使用される際の耐食性を評価するため、供試材から所定形状の板材を切り出して、その第1ろう材の表面にベアフィン材(Al−2Zn)を、前記ろう付け熱処理材と同様にして、ろう付け接合し、この面が試験面となるように、第1ろう材面の反対の面及び端面をシールして、CASS試験(JIS Z 2371)を実施した。試験後、ベアフィン材との接合部周辺(つまり、フィレットの周辺のベアフィン材、ブレージングシート)における腐食発生の有無を目視判定し、腐食の発生が確認されなかったものを合格として表3,4に「○」で示し、腐食の発生が確認されたものを不合格として表3,4に「×」で示した。
また試験後において、フィレットが健全にベアフィン材とブレージングシートを接合できている部分の比率(以下「接合部残存率」という)を求めた。この接合部残存率は、“試験後のフィレット長さ/ベアフィン材の幅×100(%)”で定義される。この接合部腐食試験での合格基準は、接合部残存率が60%以上であることとした。なお、前記腐食試験および接合部腐食試験については、すべてのろう材面(腐食環境側の第1ろう材と非腐食環境側の第2ろう材の両方)について観察した。
[第2ろう材のろう付け性評価]
第2ろう材を有する供試材から所定形状の板材を切り出して、第2ろう材の表面にベアフィン材(Al−2Zn)を、前記ろう付け熱処理材と同様にして、ろう付け接合し、ろう切れの有無を観察した。この試験では、ろう切れが発生していないものを合格として表3,4に「○」で示し、ろう切れが発生したものを不合格として表3,4に「×」で示した。
Figure 2011036914
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[試験結果]
実施例1〜37は本発明の構成要件を備えているために、最小残存板厚は最も薄い実施例17で81μmであり、また、接合部残存率は最も小さい実施例2で67%であり、目視判定結果も良好であるという結果が得られ、良好な耐食性を示すことが確認された。また、第2ろう材によるろう付け性も良好であった。
なお、実施例1〜37はこのように十分な耐食性を示すが、例えば、実施例1を基準としたときに、実施例3では、フィレット耐食性がCuの増加により向上している。実施例4〜7から、心材のSiとMnは耐食性に大きな影響を与えないことがわかる。実施例9では、心材のTiが多いために第1ろう材側の耐食性が向上している。実施例12では、第1ろう材の厚さが薄いことにより、フィレットではZnが減少し、耐食性が向上している。実施例15では、第1ろう材のZnが少ないためにフィレットの耐食性が向上している。実施例16では、第1ろう材のZnが多いために第1ろう材側の耐食性が向上している。実施例18〜20では、第2ろう材としてCuを含むろう材を用いているが、腐食が深く進行しておらず、第1ろう材側における耐食性への影響は小さいことがわかる。実施例21〜23は犠牲陽極材を備えているが、第1ろう材側の耐食性への影響は小さいことがわかる。実施例24〜27は内張材を備えているが、第1ろう材側の耐食性への影響は小さいことがわかる。実施例33は第2ろう材としてSiのみを含むろう材を用いているが、第1ろう材側における耐食性への影響は小さいことがわかる。実施例35〜37では、第1ろう材としてZnおよびCuを含むろう材を用いているが、腐食が深く進行しておらず、第1ろう材側における耐食性への影響は小さいことがわかる。
比較例38では、第1ろう材のろう材不足によりろう切れが発生し、接合部残存率を求めることができなかった。比較例39は、第1ろう材のろう材不足によりろう切れが発生して接合部残存率を求めることができず、また、第1,第2ろう材の厚さが薄いためにCuの濃縮による貫通(孔食)が発生した。比較例40,41では、第1ろう材のろう材不足によりろう切れが発生し、接合部残存率を求めることができなかった。比較例42,43では、第1ろう材の液相率Xが大きいために、第1ろう材側のろう付け後表面における残存Zn不足により、耐食性が低下した。
比較例44は、第1ろう材の共晶Siの平均粒径が大きいため、耐食性が低下した。比較例45は、第1ろう材の液相率Xが大きいために、第1ろう材側のろう付け後表面における残存Zn不足により、耐食性が低下した。
10A,10B,10C,10D,10E ブレージングシート
11 心材
12a 第1ろう材
12a 第1残存ろう材
12b 第2ろう材
13 内張材
14 第2ろう材
14a 第2残存ろう材
15 犠牲陽極材

Claims (9)

  1. 心材と、前記心材の一方の面に設けられる第1ろう材とを備えたアルミニウム合金製ブレージングシートであって、
    前記ブレージングシートの板厚は、150〜600μmであり、
    前記第1ろう材は、Siを含むアルミニウム合金からなり、ろう付け温度における液相率X(%)と、ろう材厚さY(μm)と、共晶Siの平均粒径Z(μm)とが、
    (1)30≦X<89、
    (2)23≦Y≦180、
    (3)1000≦X×Y≦12000、
    (4)Z≦Y/3、の関係を満たすことを特徴とするアルミニウム合金製ブレージングシート。
  2. 前記第1ろう材は、Zn:1.0〜6.0質量%をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
  3. 前記第1ろう材は、Cu:0.05〜0.7質量%をさらに含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
  4. 前記心材は、Cu:0.2〜1.0質量%を含有し、Si:1.5質量%以下、Mn:1.8質量%以下、Ti:0.35質量%以下、Mg:0.5質量%以下の少なくとも1種をさらに含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
  5. 前記心材の他方の面に設けられる第2ろう材をさらに備え、
    前記第2ろう材は、Si:2.0〜8.0質量%,Zn:1.0〜6.0質量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、かつ、ろう付け温度における液相率X1(%)と、ろう材厚さY1(μm)とが、
    (1a)30≦X1<89、
    (2a)Y1≧23、
    (3a)1000≦X1×Y1≦12000、の関係を満たすことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
  6. 前記心材の他方の面に設けられる内張材をさらに備え、
    前記内張材は、Cu:前記心材のCu含有量以上1.0質量%以下を含有し、Si:1.5質量%以下,Mn:0.5〜1.8質量%,Ti:0.05〜0.35質量%から選ばれた1種または2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
  7. 前記心材の他方の面に設けられる第2ろう材をさらに備え、
    前記第2ろう材は、Cu:前記心材のCu含有量以上3.0質量%以下,Si:7質量%以上13質量%未満を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
  8. 前記心材の他方の面に設けられる犠牲陽極材をさらに備え、
    前記犠牲陽極材は、Al−Zn系合金からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
  9. 前記心材がSi,Mn,Ti,Mgを含有する場合の各含有量は、Si:0.3〜1.2質量%,Mn:0.5〜1.8質量%,Ti:0.05〜0.35質量%,Mg:0.05〜0.5質量%であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
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