JP2008111143A - アルミニウム合金ブレージングシートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム合金心材の一方の面にアルミニウム合金中間材をクラッドし、該アルミニウム合金心材の他方の面にはアルミニウム合金犠牲陽極材をクラッドし、該アルミニウム中間材の該アルミニウム合金心材にクラッドされた面とは反対の面にはAl−Si系合金ろう材をクラッドしたアルミニウム合金ブレージングシートであって、400℃以上の温度で2分以上保持するろう付加熱を行った後に、アルミニウム合金心材の結晶粒径が100μm未満であり、且つアルミニウム合金中間材及びアルミニウム合金犠牲陽極材の結晶粒径が100μm以上であるアルミニウム合金ブレージングシート。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、JIS3003合金心材を使用したクラッド材のろう付け後強度は110MPa程度であり、強度が不十分である。
本発明は、この問題点を解消するべく行われたものであって、アルミニウム合金ブレージングシートにおいて、ノコロックろう付法を使用した場合においても良好なろう付性を得ることができ、且つろう付後に優れた強度を有するアルミニウム合金ブレージングシート、特に自動車用熱交換器の流体通路構成材として好適に使用できるアルミニウム合金ブレージングシートおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
すなわち本発明は、
(1)アルミニウム合金心材の一方の面にアルミニウム合金中間材をクラッドし、該アルミニウム合金心材の他方の面にはアルミニウム合金犠牲陽極材をクラッドし、該アルミニウム合金中間材の該アルミニウム合金心材にクラッドされた面とは反対の面にはAl−Si系合金ろう材をクラッドしたアルミニウム合金ブレージングシートであって、400℃以上の温度で2分以上保持するろう付加熱を行った後に、アルミニウム合金心材の結晶粒径が100μm未満であり、且つアルミニウム合金中間材及びアルミニウム合金犠牲陽極材の結晶粒径が100μm以上であることを特徴とするアルミニウム合金ブレージングシート、
(2)アルミニウム合金心材の一方の面にアルミニウム合金中間材をクラッドし、該アルミニウム合金心材の他方の面にはアルミニウム合金犠牲陽極材をクラッドし、該アルミニウム合金中間材の該アルミニウム合金心材にクラッドされた面とは反対の面にはAl−Si系合金ろう材をクラッドしたアルミニウム合金ブレージングシートであって、アルミニウム合金心材、アルミニウム合金中間材およびアルミニウム合金犠牲陽極材中に存在する球相当粒径が0.5μm以上の金属間化合物の数密度(個/mm2)をそれぞれN1、N2、N3とした場合、数密度比N1/N2およびN1/N3がともに2.0以上であり、且つアルミニウム合金心材中に存在する球相当粒径が0.5μm以上の金属間化合物の数密度(個/mm2)N1が1×104個/mm2以上であることを特徴とするアルミニウム合金ブレージングシート、
(3)(a)アルミニウム合金心材がSi:0.3〜1.2%(質量%、以下、同様に組成を示す%は質量%を表す)、Cu:0.3〜1.2%、Mn:0.5〜2.0%、Mg:0.2〜1.5%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(b)アルミニウム合金中間材がSi:1.2%以下、Fe:0.5%以下、Mn:0.5〜2.0%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(c)アルミニウム合金犠牲陽極材がZn:1.0〜6.0%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金である、ことを特徴とする(1)または(2)項に記載のアルミニウム合金ブレージングシート、
(4)(a)アルミニウム合金心材がSi:0.3〜1.2%、Cu:0.3〜1.2%、Mn:0.5〜2.0%、Mg:0.2〜1.5%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、さらにTi:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%のうち1種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(b)アルミニウム合金中間材がSi:1.2%以下、Fe:0.5%以下、Mn:0.5〜2.0%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(c)アルミニウム合金犠牲陽極材がZn:1.0〜6.0%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金である、ことを特徴とする(1)または(2)項に記載のアルミニウム合金ブレージングシート、
(5)(a)アルミニウム合金心材がSi:0.3〜1.2%、Cu:0.3〜1.2%、Mn:0.5〜2.0%、Mg:0.2〜1.5%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(b)アルミニウム合金中間材がSi:1.2%以下、Fe:0.5%以下、Mn:0.5〜2.0%を含有し、さらにCu:1.0%以下、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%のうち1種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(c)アルミニウム合金犠牲陽極材がZn:1.0〜6.0%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金である、ことを特徴とする(1)または(2)項に記載のアルミニウム合金ブレージングシート、
(6)(a)アルミニウム合金心材がSi:0.3〜1.2%、Cu:0.3〜1.2%、Mn:0.5〜2.0%、Mg:0.2〜1.5%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(b)アルミニウム合金中間材がSi:1.2%以下、Fe:0.5%以下、Mn:0.5〜2.0%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(c)アルミニウム合金犠牲陽極材がZn:1.0〜6.0%を含有し、さらにSi:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%のうち1種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金である、ことを特徴とする(1)または(2)項に記載のアルミニウム合金ブレージングシート、
(7)(a)アルミニウム合金心材がSi:0.3〜1.2%、Cu:0.3〜1.2%、Mn:0.5〜2.0%、Mg:0.2〜1.5%、Fe:0.5〜1.5%を含有し、さらにTi:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%のうち1種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(b)アルミニウム合金中間材がSi:1.2%以下、Fe:0.5%以下、Mn:0.5〜2.0%を含有し、さらにCu:1.0%以下、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%のうち1種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(c)アルミニウム合金犠牲陽極材が、Zn:1.0〜6.0%を含有し、さらにSi:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Ti:0.02〜0.3%、V:0.02〜0.3%のうち1種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金である、ことを特徴とする(1)または(2)項に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
(8)アルミニウム合金ブレージングシートが、熱交換器用であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブレージングシート、および
(9)(3)〜(7)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法であって、前記アルミニウム合金心材に対して、500℃以上の温度で均質化処理を行い、次いで、該アルミニウム合金心材の一方の面にアルミニウム合金中間材をクラッドし、該アルミニウム合金心材の他方の面には前記アルミニウム合金犠牲陽極材をクラッドし、前記アルミニウム合金中間材の他面にはAl−Si系合金ろう材をクラッドし、熱間圧延してクラッド材を作製し、その後冷間圧延の間に中間焼鈍を少なくとも1回行い、最終冷間圧延率を20〜50%とすることを特徴とするアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法、および、
(10)前記アルミニウム合金ブレージングシートが熱交換器用であることを特徴とする(9)項記載のアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法、
を提供するものである。
本発明のアルミニウム合金ブレージングシートは、アルミニウム合金心材の一方の面にアルミニウム合金中間材をクラッドし、その心材の他方の面にはアルミニウム合金犠牲陽極材をクラッドし、さらに中間材の他面にはAl−Si系合金ろう材をクラッドした4層クラッド材からなるアルミニウム合金ブレージングシートである。そして、心材、中間材および犠牲陽極材は、好ましくは、それぞれ特定の組成範囲をもつアルミニウム合金である。また、400℃以上の温度で2分以上保持をするろう付加熱を行った後に、心材の結晶粒径が100μm未満であり、且つ中間材、犠牲材の結晶粒径が100μm以上となる。
また、中間材、犠牲陽極材の上記ろう付後の結晶粒径が100μm未満であると、ろうの侵入経路が多くなり、エロージョンが発生する。その結果、ろう付に有効に作用するろう材量が少なくなってしまい、ろう付不良になる可能性が高くなる。上記ろう付加熱を行った後の中間材及び犠牲陽極材の結晶粒径は、好ましくは150μm以上であり、さらに好ましくは200μm以上である。
Siは、Fe、MnとともにAl−Fe−Mn−Si系の化合物を形成し、分散強化として作用し、或いはマトリクスに固溶して固溶強化により強度を向上させる。また、Mgと反応してMg2Si化合物を形成することで強度が向上する。Siの含有量は、0.3〜1.2%(組成の%は質量%を表す、以下同じ)の範囲であり、0.3%未満ではその効果が小さく、1.2%を超えると心材の融点が低下し、溶融が起こる可能性が高くなる。好ましくは、0.5〜1.0%である。
Cuは、固溶強化により強度を向上させ、また電位を貴にして中間材、犠牲陽極材、フィン材との電位差を大きくし、犠牲陽極効果による防食効果を向上させる。Cuの含有量は、0.3〜1.2%の範囲であり、0.3%未満ではその効果が小さく、1.2%を超えると粒界腐食が発生する可能性が高くなる。好ましくは、0.3〜1.0%である。
Mnは、強度とろう付性、耐食性を向上させ、また電位を貴にする効果がある。Mnの含有量は、0.5〜2.0%であり、0.5%未満ではその効果が小さく、2.0%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成されやすくなり、塑性加工性を低下させる。好ましくは、0.8〜1.6%である。
Mgは、Mg2Si析出による強度向上に効果がある。Mgの含有量は、0.2〜1.5%であり、0.2%未満ではその効果が小さく、1.5%を超えると心材の融点低下が起こり、また粒界腐食が発生しやすくなる。好ましくは、0.3〜1.0%である。
Feは、再結晶核となり得るサイズの金属間化合物を作りやすく、再結晶核を増やし、結晶粒を微細にすることができる。ろう付後の結晶粒を微細化するため、Feの含有量は、0.5〜1.5%であり、0.5%未満ではその効果が小さく、1.5%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成されやすくなり、塑性加工性を低下させる。好ましくは、0.5〜1.2%である。
本発明においては、上記の各成分に加え、心材中に、さらに必要によりTi、Vのうち1種以上を添加することができる。
Tiは、固溶強化により強度を向上させ、また耐食性の向上が図れる。好ましい含有量は、0.02〜0.3%であり、0.02%未満ではその効果は得ることが困難となり、0.3%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.1〜0.2%である。
Vは、固溶強化により強度を向上させ、また耐食性の向上が図れる。好ましい含有量は、0.02〜0.3%であり、0.02%未満ではその効果は得ることが困難となり、0.3%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.1〜0.2%である。
Siは、Fe、MnとともにAl−Fe−Mn−Si系の化合物を形成し、分散強化として作用し、或いはマトリクスに固溶して固溶強化により強度を向上させる。また、ろう付時に心材から拡散してくるMgと反応してMg2Si化合物を形成することで強度が向上する。Siの含有量は、1.2%以下であり、1.2%を超えると心材の融点が低下し、溶融が起こる可能性が高くなる。好ましくは、0.1〜1.0%である。
Mnは、強度とろう付け性、耐食性を向上させ、また電位を貴にする効果がある。Mnの含有量は、0.5〜2.0%であり、0.5%未満ではその効果が小さく、2.0%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成されやすくなり、塑性加工性を低下させる。好ましくは、0.8〜1.6%である。
Feは、再結晶核となり得るサイズの金属間化合物を作りやすく、再結晶核を増やし、結晶粒が微細になる。ろう付後の結晶粒を粗大にするため、Feの含有量は、0.5%以下であり、0.5%以上ではろう付加熱後の結晶粒が微細になる。好ましくは、0.05
〜0.2%である。
本発明においては、上記の各成分に加え、中間材中に必要により、Ti、V、Cuの少なくとも1種を添加することができる。
Tiは、固溶強化により強度を向上させ、また耐食性の向上が図れる。好ましい含有量は、0.02〜0.3%以下である。0.3%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.1〜0.2%である。
Vは、固溶強化により強度を向上させ、また耐食性の向上が図れる。好ましい含有量は、0.02〜0.3%であり、0.02%未満ではその効果が得にくく、0.3%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.1〜0.2%である。
Cuは、固溶強化により強度を向上させ、また電位を貴にしてフィン材との電位差を大きくし、犠牲陽極効果による防食効果を向上させる。好ましい含有量は、1.0%以下である。1.0%を超えると、心材との電位差が小さくなり、耐食性が低下する。より好ましくは、0.6%以下である。
Znは、電位を卑にすることができ、心材との電位差を形成することで犠牲陽極効果により耐食性を向上できる。Znの含有量は、1.0〜6.0%であり、1.0%未満ではその効果が十分ではなく、6.0%を超えると、腐食速度が速くなり早期に犠牲陽極材が消失し、耐食性が低下する。好ましくは、2.0〜5.0%である。
本発明においては、上記のZnに加え、犠牲陽極材中に、さらに必要によりSi、Mn、Ti、V、Feの少なくとも1種が添加することができる。
Siは、Fe、MnとともにAl−Fe―Mn−Si系の化合物を形成し、分散強化として作用し、或いはマトリクスに固溶して固溶強化により強度を向上させる。また、ろう付時に心材から拡散してくるMgと反応してMg2Si化合物を形成することで強度が向上する。好ましいSi含有量は、1.0%以下である。1.0%を超えると心材の融点が低下し、溶融が起こる可能性が高くなる。また犠牲陽極材の電位を貴にするため、犠牲陽極効果を阻害し、耐食性が低下する。より好ましくは、0.1〜0.8%である。
Mnは、強度と耐食性を向上させる。好ましい含有量は、2.0%以下である。2.0%を超えると鋳造時に巨大金属間化合物が形成されやすくなり、塑性加工性を低下させる。また犠牲陽極材の電位を貴にするため、犠牲陽極効果を阻害し、耐食性が低下する。より好ましくは、0.1〜1.6%である。
Tiは、固溶強化により強度を向上させ、また耐食性の向上が図れる。好ましい含有量は、0.02〜0.3%以下である。0.3%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.1〜0.2%である。
Vは、固溶強化により強度を向上させ、また耐食性の向上が図れる。好ましい含有量は、0.02〜0.3%であり、0.02%未満ではその効果は得られず、0.3%を超えると巨大金属間化合物を形成しやすくなり、塑性加工性を低下させる。より好ましくは、0.1〜0.2%である。
Feは、再結晶核となり得るサイズの金属間化合物を作りやすく、再結晶核を増やし、結晶粒が微細になる。ろう付後の結晶粒を粗大にするため、Feの含有量は、0.5%以下であり、0.5%以上ではろう付加熱後の結晶粒が微細になる。好ましくは、0.05
〜0.2%である。
ろう材は通常使用されているAl−Si系合金ろう材を使用することができ、特に制限されるものではなく、例えば、JIS4343、4045、4047合金(Al−7〜13mass%Si)が好ましい。
本発明のアルミニウム合金ブレージングシートは、上記記載の合金からなる心材の一方の面に上記記載の合金からなる中間材をクラッドし、心材の他方の面には上記記載の合金からなる犠牲陽極材をクラッドし、中間材の他面にはAl−Si系合金ろう材をクラッドすることにより製造される。得られたアルミニウム合金ブレージングシートは、400℃以上の温度で2min以上保持をするろう付加熱を行った後に、心材の結晶粒径が100μm未満であり、且つ中間材、犠牲材の結晶粒径が100μm以上であり、および/または、心材、中間材および犠牲陽極材中に存在する球相当粒径が0.5μm以上の金属間化合物の数密度(個/mm2)をそれぞれN1、N2、N3とした場合、数密度比N1/N2およびN1/N3がともに2.0以上であり、且つ心材中に存在する球相当粒径が0.5μm以上の金属間化合物の数密度(個/mm2)N1が1×104個/mm2以上となる。
この後このクラッド材を冷間圧延するが、冷間圧延の間に中間焼鈍を少なくとも1回行うものである。ここで中間焼鈍には、バッチ式焼鈍炉、或いは連続焼鈍炉(CAL)のいずれを用いてもよい。中間焼鈍を行うことで、それまでの圧延で導入されたひずみにより加工硬化した材料を軟化させることができ、圧延時に発生するエッジクラック等を低減できる。また、中間焼鈍でO調質材とすることで、最終冷間圧延率を変えることによりろう付後の結晶粒径を制御しやすくなる。中間焼鈍は350〜400℃×1〜5hを1〜2回行うことが好ましい。
このアルミニウム合金ブレージングシートは、肉薄でありながら強度に優れ、ろう付性も良好であるので、熱交換器用として好適であり、特に軽量の自動車用熱交換器の作製に好適である。
600℃×3分のろう付加熱後、心材、中間材、犠牲陽極材のL−LT面を研磨して面出しし、その後バーカーエッチングを行い、金属学会会報、第10巻(1971)、279−289頁の記載に基づき、面積法にて平均結晶粒径の算出を行った。
(2)0.5μm以上の金属間化合物の数密度比N1/N2およびN1/N3および心材中に存在する球相当粒径が0.5μm以上の金属間化合物の数密度:
心材、中間材、犠牲陽極材のL−LT面を研磨して面出しし、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察することにより調べた。まず、各層につき10視野ずつ観察し、それぞれの視野のSEM写真を画像解析することにより、金属間化合物の数密度を求めた。表記した金属間化合物の数密度および数密度比は、各10視野より求めた値の平均値とした。
(3)ろう付後の引張強度:
600℃×3分のろう付加熱後、200℃/minの冷却速度で冷却し、その後室温で1週間放置した。このサンプルを引張速度10mm/min、ゲージ長50mmの条件で、JIS Z2241に従って、常温にて引張試験を実施した。
3003合金のフィン材をコルゲート成形し、供試材のろう材面とあわせた後、これを5%のフッ化物フラックス水溶液中に浸漬し、200℃で乾燥後に600℃×3分のノロックろう付加熱を行った。この試験コアのフィン接合率が95%以上のものはろう付性が良好「○」、95%未満のものはろう付性が不十分「×」とした。
(5)耐エロージョン性:
上記と同様の条件で試験コアを作製後、断面ミクロ観察を行い、エロージョン発生の有無を確認した。エロージョン無しは「○」、エロージョン有りは「×」とした。
(6)外部耐食性評価:
上記と同様の条件で試験コアを作製後、犠牲陽極材側をシールし、CASS試験(JIS H8681)500hを実施し、最大孔食深さを測定した。
(7)内部耐食性評価:
引張試験試料と同様、600℃×3分のろう付加熱を行った後、ろう材側をシールし、Cl−500ppm、SO4 2−100ppm、Cu2+10ppmを含む88℃の高温水中で8h、室温放置で16hのサイクル浸漬試験を3ヶ月実施し、最大孔食深さを測定した。
それに対して、比較例である試験材No.17は、ろう付加熱後の引張強さが190N/mm2未満であり、本発明例よりも低かった。No.19については、フィン接合率の低下、あるいはエロージョン発生により、ろう付性が低下した。No.18は、最終圧延率が不十分で、ろう付加熱時に中間材、心材、犠牲陽極材の再結晶が完了しなかったため、エロージョンが発生した。その結果、フィン接合率の低下が生じた。
Claims (10)
- アルミニウム合金心材の一方の面にアルミニウム合金中間材をクラッドし、該アルミニウム合金心材の他方の面にはアルミニウム合金犠牲陽極材をクラッドし、該アルミニウム中間材の該アルミニウム合金心材にクラッドされた面とは反対の面にはAl−Si系合金ろう材をクラッドしたアルミニウム合金ブレージングシートであって、400℃以上の温度で2分以上保持するろう付加熱を行った後に、アルミニウム合金心材の結晶粒径が100μm未満であり、且つアルミニウム合金中間材及びアルミニウム合金犠牲陽極材の結晶粒径が100μm以上であることを特徴とするアルミニウム合金ブレージングシート。
- アルミニウム合金心材の一方の面にアルミニウム合金中間材をクラッドし、該アルミニウム合金心材の他方の面にはアルミニウム合金犠牲陽極材をクラッドし、該アルミニウム中間材の該アルミニウム合金心材にクラッドされた面とは反対の面にはAl−Si系合金ろう材をクラッドしたアルミニウム合金ブレージングシートであって、アルミニウム合金心材、アルミニウム合金中間材およびアルミニウム合金犠牲陽極材中に存在する球相当粒径が0.5μm以上の金属間化合物の数密度(個/mm2)をそれぞれN1、N2、N3とした場合、数密度比N1/N2およびN1/N3がともに2.0以上であり、且つアルミニウム合金心材中に存在する球相当粒径が0.5μm以上の金属間化合物の数密度(個/mm2)N1が1×104個/mm2以上であることを特徴とするアルミニウム合金ブレージングシート。
- (a)アルミニウム合金心材がSi:0.3〜1.2質量%、Cu:0.3〜1.2質量%、Mn:0.5〜2.0質量%、Mg:0.2〜1.5質量%、Fe:0.5〜1.5質量%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(b)アルミニウム合金中間材がSi:1.2質量%以下、Fe:0.5質量%以下、Mn:0.5〜2.0質量%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(c)アルミニウム合金犠牲陽極材がZn:1.0〜6.0質量%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウム合金ブレージングシート。 - (a)アルミニウム合金心材がSi:0.3〜1.2質量%、Cu:0.3〜1.2質量%、Mn:0.5〜2.0質量%、Mg:0.2〜1.5質量%、Fe:0.5〜1.5質量%を含有し、さらにTi:0.02〜0.3質量%、V:0.02〜0.3質量%のうち1種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(b)アルミニウム合金中間材がSi:1.2%質量以下、Fe:0.5質量%以下、Mn:0.5〜2.0質量%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(c)アルミニウム合金犠牲陽極材がZn:1.0〜6.0質量%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウム合金ブレージングシート。 - (a)アルミニウム合金心材がSi:0.3〜1.2質量%、Cu:0.3〜1.2質量%、Mn:0.5〜2.0質量%、Mg:0.2〜1.5質量%、Fe:0.5〜1.5質量%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(b)アルミニウム合金中間材がSi:1.2質量%以下、Fe:0.5質量%以下、Mn:0.5〜2.0質量%を含有し、さらにCu:1.0質量%以下、Ti:0.02〜0.3質量%、V:0.02〜0.3質量%のうち1種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(c)アルミニウム合金犠牲陽極材がZn:1.0〜6.0質量%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であることを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウム合金ブレージングシート。 - (a)アルミニウム合金心材がSi:0.3〜1.2質量%、Cu:0.3〜1.2質量%、Mn:0.5〜2.0質量%、Mg:0.2〜1.5質量%、Fe:0.5〜1.5質量%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(b)アルミニウム合金中間材がSi:1.2質量%以下、Fe:0.5質量%以下、Mn:0.5〜2.0質量%を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(c)アルミニウム合金犠牲陽極材がZn:1.0〜6.0質量%を含有し、さらにSi:1.0質量%以下、Mn:2.0質量%以下、Ti:0.02〜0.3質量%、V:0.02〜0.3質量%のうち1種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウム合金ブレージングシート。 - (a)アルミニウム合金心材がSi:0.3〜1.2質量%、Cu:0.3〜1.2質量%、Mn:0.5〜2.0質量%、Mg:0.2〜1.5質量%、Fe:0.5〜1.5質量%を含有し、さらにTi:0.02〜0.3質量%、V:0.02〜0.3質量%のうち1種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(b)アルミニウム合金中間材がSi:1.2質量%以下、Fe:0.5質量%以下、Mn:0.5〜2.0質量%を含有し、さらにCu:1.0質量%以下、Ti:0.02〜0.3質量%、V:0.02〜0.3質量%のうち1種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金であり、
(c)アルミニウム合金犠牲陽極材が、Zn:1.0〜6.0質量%を含有し、さらにSi:1.0質量%以下、Mn:2.0質量%以下、Ti:0.02〜0.3質量%、V:0.02〜0.3質量%のうち1種以上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるAl合金である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウム合金ブレージングシート。 - 前記アルミニウム合金ブレージングシートが熱交換器用であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブレージングシート。
- 請求項3〜7のいずれか1項に記載のアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法であって、前記アルミニウム合金心材に対して、500℃以上の温度で均質化処理を行い、次いで、該アルミニウム合金心材の一方の面に前記アルミニウム合金中間材をクラッドし、該アルミニウム合金心材の他方の面には前記アルミニウム合金犠牲陽極材をクラッドし、前記アルミニウム合金中間材の他面にはAl−Si系合金ろう材をクラッドし、熱間圧延してクラッド材を作製し、その後冷間圧延の間に中間焼鈍を少なくとも1回行い、最終冷間圧延率を20〜50%とすることを特徴とするアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法。
- 前記アルミニウム合金ブレージングシートが熱交換器用であることを特徴とする請求項9記載のアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法。
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