JP2002001574A - アルミニウム合金製ブレージングシート及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金製ブレージングシート及びその製造方法

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JP2002001574A
JP2002001574A JP2000185336A JP2000185336A JP2002001574A JP 2002001574 A JP2002001574 A JP 2002001574A JP 2000185336 A JP2000185336 A JP 2000185336A JP 2000185336 A JP2000185336 A JP 2000185336A JP 2002001574 A JP2002001574 A JP 2002001574A
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brazing
clad
alloy
brazing sheet
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JP2000185336A
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Susumu Saisho
晋 齋所
Akihiro Tsuruno
招弘 鶴野
Osamu Takezoe
修 竹添
Toshiki Ueda
利樹 植田
Masahiro Nomura
正裕 野村
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄肉材においても耐食性を損ねることなく、
成形性及び耐エロージョン性が優れたアルミニウム合金
製ブレージングシートを提供する。 【解決手段】 アルミニウム合金製ブレージングシート
の構成を、Al−Mn系合金からなる心材1と、この心
材2の両面に形成されたAl−Si系合金からなるろう
材3とからなる3層構造とする。この心材3はその圧延
方向に対して直角な方向の断面における平均結晶粒径を
50μm以下とし、クラッド率を50%以上とする。ま
た、このブレージングシートには1乃至5%の予歪を付
与する。なお、ろう材3の一方を犠牲層2とすることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形性及び耐エロ
ージョン性が優れたアルミニウム合金製ブレージングシ
ート及びその製造方法に関し、特に、ろう付けにより組
み立てられる熱交換器の材料として好適なアルミニウム
合金製ブレージングシート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、熱交換器の軽量化及び小型化によ
る高性能化及びコストの低減を達成するため、材料の薄
肉化及び軽量化が検討されている。熱交換器の材料に
は、アルミニウム合金にろう材をクラッドしたアルミニ
ウム合金製ブレージングシートが一般的に使用されてい
るが、材料を薄肉化するためには材料の耐食性を向上さ
せる必要がある。そのため、従来より、ブレ−ジングシ
ートにおける侵食(エロージョン)を抑制し耐食性を向
上させるため、ブレージングシートのろう付による熱を
利用して心材の結晶粒径を増大させる方法が検討されて
いる(特開2000−38631号公報及び特開平8−
291353号公報等)。
【0003】特開2000−38631号公報では、素
材成分としてFe及びCu等を添加し、また、冷間圧延
及び仕上げ焼鈍を施した材料における圧延方向に対して
直角な方向の面(以下、C断面という)の平均結晶粒径
を40μm以下にすることにより、ろう付け時の加熱で
心材の再結晶が促進され、ろうの侵食が抑制されるアル
ミニウム合金材が記載されている。
【0004】一方、特開平8−291353号公報で
は、電縫加工により熱交換器用チューブを得るブレージ
ングシート条の心材のC断面における平均結晶粒径を3
0μm以下とし、更にこのブレージングシート条を硬質
材とすることを特徴とする電縫加工性に優れたアルミニ
ウム合金ブレージング条が記載されている。このブレー
ジングシート条は、粒界の量を増やして応力を分散させ
て電縫加工時に割れを生じなくするため、板厚を0.4
mm以下とし、犠牲材のクラッド率を5乃至30%と
し、ろう材のクラッド率を5乃至30%としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開2
000−38631号公報に開示された方法では、心材
にFe及びCuを多量に添加した場合、Al−Fe系の
粗大化合物が晶出する。また、Cuは粒界腐食の感受性
を高める。このため、耐食性に影響を及ぼす虞があるば
かりか、プレス加工時にプレス成形性を損なう虞もある
という問題点がある。
【0006】一方、特開平8−291353号公報に開
示されたブレージングシート条をチューブ材以外の用
途、例えばヘッダ等に使用した場合、硬質材を使用して
いるため、プレス成形性が劣る虞があるという問題点が
ある。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、薄肉材においても耐食性を損ねることな
く、成形性及び耐エロージョン性が優れたアルミニウム
合金製ブレージングシートを提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアルミニウ
ム合金製ブレージングシートは、Al−Mn系合金から
なる心材と、前記心材の両面にクラッドされたAl−S
i系合金からなるろう材層とを有し、圧延後に焼鈍さ
れ、この焼鈍後に1乃至5%の予歪を付与されたもので
あり、前記心材はその圧延方向に対して直角な方向の断
面における平均結晶粒径が50μm以下であり、前記心
材は全板厚に対する心材の板厚の百分率として定義され
るクラッド率が50%以上であることを特徴とする。
【0009】本発明においては、焼鈍後のブレージング
シートに1乃至5%の予歪を付与することにより、プレ
ス成形後のブレージングシートにおいて、エロージョン
が極大となる1%弱の歪量が付与された部位が発生する
ことを防止し、ブレージングシートの耐エロージョン性
を向上させることができる。また、心材の圧延方向に対
して直角な方向の断面における平均結晶粒径を50μm
以下とすることにより、良好な成形性を実現することが
できる。更に、心材のクラッド率を50%以上とするこ
とにより、心材の板厚を確保し、成形性を向上させると
共に、ろう付後のブレージングシートの強度を確保する
ことができる。
【0010】この場合、前記心材の少なくとも一方の面
と前記ろう材層との間にクラッドされたアルミニウム又
はアルミニウム合金からなる中間層を有し、前記中間層
はその圧延方向に対して直角な方向の断面における平均
結晶粒径が100μm以下であることが好ましい。
【0011】本発明においては、心材とろう材層との間
に中間層を設けることにより、ろう材層のろうが心材を
侵食することを防止できる。また、中間層の平均結晶粒
径を100μm以下とすることにより、良好な成形性を
実現することができる。
【0012】本発明に係る他のアルミニウム合金製ブレ
ージングシートは、Al−Mn系合金からなる心材と、
前記心材の一方の面にクラッドされたAl−Si系合金
からなるろう材層と、前記心材の他方の面にクラッドさ
れたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる犠牲層
とを有し、圧延後に焼鈍され、この焼鈍後に1乃至5%
の予歪を付与されたものであり、前記心材はその圧延方
向に対して直角な方向の断面における平均結晶粒径が5
0μm以下であり、前記心材は全板厚に対する心材の板
厚の百分率として定義されるクラッド率が50%以上で
あることを特徴とする。
【0013】本発明においては、ブレージングシートに
犠牲層を設けることにより、この犠牲層をろう付後に犠
牲陽極として使用することができるため、ブレージング
シートの耐食性を向上させることができる。
【0014】本発明に係るアルミニウム合金製ブレージ
ングシートの製造方法は、Al−Mn系合金からなる心
材の両面にAl−Si系合金からなるろう材層をクラッ
ドする工程と、このクラッド材を380乃至530℃の
温度範囲に1℃/秒以上の急熱加熱により加熱した後、
この温度に20秒以下保持する焼鈍工程と、この焼鈍後
のクラッド材に1乃至5%の予歪を付与する工程と、を
有することを特徴とする。
【0015】本発明に係る他のアルミニウム合金製ブレ
ージングシートの製造方法は、Al−Mn系合金からな
る心材の一方の面にAl−Si系合金からなるろう材層
をクラッドし、前記心材の他方の面にアルミニウム又は
アルミニウム合金からなる犠牲層をクラッドする工程
と、このクラッド材を380乃至530℃の温度範囲に
1℃/秒以上で急熱加熱した後、この温度に20秒以下
保持する焼鈍工程と、この焼鈍後のクラッド材に1乃至
5%の予歪を付与する工程と、を有することを特徴とす
る。
【0016】本発明においては、焼鈍条件を前述のよう
に限定することにより、心材、中間層及び犠牲層の組織
を微細化することができ、ブレージングシートの成形性
を向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について添
付の図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実
施例に係るアルミニウム合金製ブレージングシートの構
成を示す断面図であって、(a)は両面ろう材の3層ク
ラッド材、(b)は片面犠牲層の3層クラッド材、
(c)は中間層を有する4層クラッド材、(d)は中間
層を有する5層クラッド材を示す。
【0018】本実施例のブレージングシートは、例えば
図1(a)に示すように、Al−Mn系合金からなる心
材1の両面に、例えばAl−Si系合金からなるろう材
3がクラッドされてなる3層クラッド構造材である。ま
た、図1(b)に示すように、心材1の一方の面にろう
材3がクラッドされ、心材1の他方の面にアルミニウム
又はアルミニウム合金からなる犠牲層2がクラッドされ
てなる3層クラッド構造材である。更に、図1(c)に
示すように、心材1の裏面にろう材3がクラッドされて
おり、また、心材1の表面にはアルミニウム又はアルミ
ニウム合金からなる中間層4がクラッドされ、この中間
層4の表面にろう材3がクラッドされてなる4層クラッ
ド構造材とすることができる。更にまた、心材1の両面
に中間層4がクラッドされ、更にその中間層4の表面に
ろう材3がクラッドされた5層クラッド構造材とするこ
ともできる。このとき、心材1のクラッド率、即ち、ブ
レージングシート全体の板厚に対する心材1の板厚は、
50%以上である。また、心材1の圧延方向に対して直
角な方向の断面(C断面)における平均結晶粒径は50
μm以下である。
【0019】次に、本実施例のブレージングシートの製
造方法について説明する。図1(a)に示すブレージン
グシートの場合においては、先ず、心材1の両面にろう
材3をクラッドし、所定の板厚まで圧延したクラッド材
を得る。そして、最終焼鈍工程において、このクラッド
材を380乃至530℃の温度範囲に1℃/秒以上の急
速加熱により加熱し、この温度で20秒以下保持する。
そして、このクラッド材を、例えば50℃/分以上の降
温速度で冷却する。
【0020】次に、前記クラッド材に予歪を付与する。
予歪とは、プレス成形の前に予め材料に付与しておく歪
である。本実施例においては、最終焼鈍後のクラッド材
をテンションレベラにより圧延方向に1乃至5%伸ばす
ことにより、予歪を付与する。これにより、心材1にお
けるC断面の平均結晶粒径が50μm以下であり、1乃
至5%の予歪が付与されたブレージングシートを製造す
ることができる。また、テンションレベラを使用する替
わりに更に圧延加工を施すことにより予歪を付与するこ
とも可能である。なお、図1(b)乃至(d)に示す3
乃至5層構造のブレージングシートも、同様にして製造
することができる。
【0021】以下、本発明における数値限理由について
説明する。
【0022】最終焼鈍処理後、圧延方向に対して直角な
断面における心材の平均結晶粒径:50μm以下、心材
のクラッド率が50%以上 心材のC断面における平均結晶粒径が50μmを超える
と、心材の成形性が低下し、プレス加工時において割れ
が生じやすくなる。また、心材のC断面における平均結
晶粒径が50μm以下であっても、心材のクラッド率が
50%未満であると、成形加工時においてろう材層の影
響が大きくなる。このため、成形性が劣化すると共に、
ろう付け後の心材部分が少なくなり、ろう付け後の熱交
換器において所望の強度が得られない。なお、クラッド
率は、ブレージングシートの全板厚に対する心材の板厚
の百分率として定義されるものである。従って、心材は
C断面における平均結晶粒径を50μm以下とし、心材
のクラッド率は50%以上とする。
【0023】圧延方向に対して直角な断面における中間
層又は犠牲層の平均結晶粒径:100μm以下 図1(b)に示すように、犠牲層2を有する3層のブレ
ージングシートにおいては、ろう付け後の犠牲陽極とし
て働かせるため、片面に犠牲層2が設けられている。ま
た、図1(c)及び(d)に示すように、4層又は5層
のブレージングシートにおいては、ろう付け時に、ろう
材層3のろうが心材1を侵食することを防止するために
中間層4が設けられている。前記効果を得るためには、
この犠牲層2及び中間層4には一定以上の厚さが必要で
ある。但し、ブレージングシートの成形性を確保するた
めには、これらの犠牲層2及び中間層4の結晶粒径につ
いても制御する必要がある。犠牲層2又は中間層4のC
断面における平均結晶粒径が100μmを超えると、プ
レス成形性が低下する虞がある。従って、犠牲層及び中
間層はそのC断面における平均結晶粒径を100μm以
下とすることが好ましい。なお、耐エロージョン性を向
上させるためには、中間層の平均結晶粒径は大きいほう
が有利である。このため、中間層の平均結晶粒径につい
ては、100μm以下の範囲内でなるべく大きいほうが
好ましい。
【0024】なお、本発明の心材、犠牲層及び中間層の
組成については、特に限定されるものではないが、成形
性を確保しつつ耐エロージョン特性を向上させるため
に、犠牲層及び中間層については、Zrを0.05乃至
0.20質量%含有することができる。更に、中間層は
Mgを0.6質量%以下含有することもできる。更にま
た、心材、犠牲層及び中間層がFeを含有する場合、成
形性及び耐食性を維持するためには、その含有量は低い
ことが好ましく、Feの含有量は0.3質量%以下とす
ることが好ましい。
【0025】焼鈍条件:380乃至530℃の温度範囲
に1℃/秒以上で急熱加熱した後、20秒以下保持 本発明のブレージングシートの製造方法においては、図
1(a)乃至(d)に示すような3乃至5層のクラッド
材を形成し、冷間圧延を施した後、所定の条件にて焼鈍
を行う。本発明では、室温から焼鈍温度まで1℃/秒以
上の昇温速度で急速加熱することにより、心材、中間層
及び犠牲層の結晶を適正に微細化し結晶粒径を制御する
ことができる。昇温速度が1℃/秒未満では、心材、中
間層及び犠牲層の結晶粒が粗大化し、成形性が劣化す
る。従って、昇温速度は1℃/秒以上とする。このよう
な急速加熱は連続焼鈍炉によって行うことができる。ま
た、焼鈍温度が380℃未満では、ブレージングシート
が完全に焼鈍されず、心材に亜結晶粒が残存して成形性
が低下する。一方、焼鈍温度が530℃を超えると、加
熱中にろう材が溶融してしまうため、ブレージングシー
トを製造することができない危険性があると共に、各層
の結晶粒が粗大化してしまい、プレス成形性が低下す
る。従って、焼鈍温度は380乃至530℃とする。更
に、温度範囲が適正であっても、保持時間が20秒を超
えると、各層の結晶粒が粗大化して成形性が劣化する。
従って、焼鈍工程における保持時間は20秒以下とす
る。なお、前記範囲内であっても、焼鈍温度が高温域に
あると、結晶粒が若干成長し粗大化してしまうため、4
00乃至450℃の温度範囲まで5℃/秒以上で急速加
熱し、保持時間を20秒以下とすることがより好まし
い。
【0026】なお、焼鈍後の冷却条件については特に規
定しないが、降温速度を50℃/分未満とした場合、若
干ながら結晶粒の粗大化が認められる場合がある。この
ため、降温速度は50℃/分以上とすることが好まし
い。
【0027】最終焼鈍後に付与される予歪:1乃至5% 熱交換器を製造する過程で、ブレージングシートはプレ
ス成形される。このとき、プレス成形によりブレージン
グシートに数%の歪が付与される。ところが、本発明の
ブレージングシートは、歪が1%弱の低歪域において、
ろう付時のエロージョンが極大となる。エロージョンが
起こると、心材がろうによって侵食され、心材の厚さが
減少する。通常、プレス成形に伴い、1%弱の低歪域の
部位はブレージングシート内に不可避的に発生するた
め、ブレージングシート内にエロージョンが極大となる
部位が不可避的に発生する。しかしながら、ブレージン
グシートに付与される歪が1%以上である場合には、エ
ロージョンは減少する。従って、予め、エロージョンが
極大となる歪量以上の歪をブレージングシートに付与し
ておけば、プレス成形後にエロージョンが極大となる部
位の発生を防止することができる。一般に、予歪の付与
はブレージングシートの成形性を低下させるが、本発明
のブレージングシートは、組織の微細化により成形性を
向上させているため、若干の予歪を付与しても成形性を
著しく低下させることはない。本発明においては、成形
性と耐エロージョン性との両立を図り、予歪の範囲を規
定した。
【0028】本発明者等は、本発明のブレージングシー
トにおける予歪と耐エロージョン性との相関を調べるべ
く実験研究し、1%弱の低歪域においてエロージョンが
極大になることを見出した。このため、本発明における
予歪の範囲を1%以上とした。なお、好ましくは3%以
上である。一方、5%を超えて予歪を付与した場合は、
成形性が低下することを見出した。従って、成形性と耐
エロージョン性との両立を図るため、予歪の範囲は5%
以下とした。なお、好ましくは4%以下である。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例に係る成形性及び耐エ
ロージョン性が優れたアルミニウム合金製ブレージング
シートを製造し、その特性を比較例と比較して具体的に
説明する。
【0030】先ず、下記表1に示す成分を有する心材
用、中間層用、犠牲層用及びろう材層用アルミニウム合
金を通常の方法により、溶解及び鋳造し、鋳塊を作製し
た。これらのアルミニウム合金材を組み合わせ、板厚が
3mmになるまで熱間圧延加工し、更に板厚が0.4m
mになるまで冷間圧延し、下記表2に示す各ブレージン
グシートを作製した。次に、下記表3に示す最終焼鈍条
件で熱処理を行った。次に、テンションレベラにより、
予歪として0乃至7%の歪をブレージングシートに付与
した。
【0031】このようにして得られたブレージングシー
トについて、以下に示す評価を行った。成形性の評価
は、JISZ2247に準じたエリクセン試験を行い、
このエリクセン値を評価した。この結果を表4に示す。
本実施例においては、エリクセン値が8mm以上の場合
を合格とした。また、心材、中間層及び犠牲層の結晶粒
径は、最終焼鈍後のブレージングシートから試料を採取
し、C断面が観察できるように樹脂に埋め込み、研磨及
びエッチング処理後、光学顕微鏡により結晶組織を写真
撮影し、平均結晶粒径を求めた。この結果を表4に示
す。
【0032】また、各ブレージングシートについて耐エ
ロージョン性を評価するために、各ブレージングシート
から板幅方向30mm及び圧延方向100mmの大きさ
の試験片を採取し、窒素雰囲気下で595℃に加熱され
た炉に前記試験片を入れ2分間保持し、炉中ろう付を行
った。この炉中ろう付の前後に、前記試験片の断面を写
真撮影し、炉中ろう付前の心材の板厚から炉中ろう付後
の心材の板厚を減じた値をエロージョン深さとした。こ
の結果を表4に示す。
【0033】なお、表1に示す「−」は該当する成分が
添加されていないことを示し、表2及び表4に示す
「−」は該当する層が形成されていないことを示す。ま
た、表2のクラッド率とは、ブレージングシートの全板
厚に対する各部材の板厚の割合を百分率で表したクラッ
ド率を示し、「(15×2)」は、クラッド率が15%
の層が2層形成されていることを示す。更に、表3の保
持時間の欄に示す「0」は所定の温度まで加熱した後、
直ちに冷却したことを示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】前記表4におけるNo.1乃至7は本発明
の実施例である。実施例No.1乃至7はいずれも成形
性及び耐エロージョン性が優れていた。特に、実施例N
o.6は最も焼鈍温度が低く、特に良好な成形性を示し
た。また、実施例No.7は心材の両側に中間層を具備
するため、ろう材のろうが心材に侵食することを防止で
き、特に良好な耐エロージョン性を示した。
【0039】一方、前記表4におけるNo.8乃至15
は比較例である。比較例No.8はバッチ炉により焼鈍
したため、焼鈍における保持時間が長く、心材及び中間
層の結晶粒が粗大化し、成形性が低下した。比較例N
o.9は連続焼鈍炉にて低速で通板したため昇温速度が
遅く、心材及び中間層の結晶粒が粗大化し、成形性が低
下した。比較例No.10は焼鈍温度が本発明の上限値
を超えていたため、心材及び中間層の結晶粒が粗大化
し、成形性が低下した。比較例No.11は連続焼鈍炉
にて低速で通板したため昇温速度が遅く、心材及び中間
層の結晶粒が粗大化し、成形性が低下した。比較例N
o.12は予歪を付与しなかったため、耐エロージョン
性が劣っていた。比較例No.13は予歪の量が本発明
の上限値を超えていたため、成形性が低下した。比較例
No.14は心材の両側に中間層を具備するため、耐エ
ロージョン性は良好であったが、心材のクラッド率が5
0%未満であるため、中間層及びろう材層の影響が大き
くなり、成形性が低下した。なお、比較例No.14は
ろう付後の強度も低かった。また、比較例No.15は
焼鈍における保持時間が長く、心材及び中間層の結晶粒
が粗大化し、成形性が低下した。
【0040】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
心材の平均結晶粒径及びクラッド率を適切に規定し、焼
鈍後に予歪を付与することにより、成形性及び耐エロー
ジョン性が優れたアルミニウム合金製ブレージングシー
トを得ることができる。また、中間層及び犠牲層の結晶
粒径を制御することにより、ブレージングシートの成形
性をより向上させることができる。本発明に係る製造方
法により、心材、中間層及び犠牲層の結晶粒径を制御す
ることが可能となる。本発明に係るアルミニウム合金製
ブレージングシートを使用することにより、熱交換器の
軽量化及び小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るアルミニウム合金製ブレ
ージングシートを示す断面図であって、(a)は心材の
両面にろう材層を有する3層クラッド材、(b)は心材
の一方の面にろう材層を有し他方の面に犠牲層を有する
3層クラッド材、(c)は心材とろう材層の間に中間層
を有する4層クラッド材、(d)は2層の中間層有する
5層クラッド材を示す。
【符号の説明】
1;心材 2;犠牲層 3;ろう材層 4;中間層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C22F 1/00 627 C22F 1/00 627 630 630M 682 682 691 691A 691C (72)発明者 竹添 修 栃木県真岡市鬼怒ヶ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内 (72)発明者 植田 利樹 栃木県真岡市鬼怒ヶ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内 (72)発明者 野村 正裕 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al−Mn系合金からなる心材と、前記
    心材の両面にクラッドされたAl−Si系合金からなる
    ろう材層とを有し、圧延後に焼鈍され、この焼鈍後に1
    乃至5%の予歪を付与されたものであり、前記心材はそ
    の圧延方向に対して直角な方向の断面における平均結晶
    粒径が50μm以下であり、前記心材は全板厚に対する
    心材の板厚の百分率として定義されるクラッド率が50
    %以上であることを特徴とするアルミニウム合金製ブレ
    ージングシート。
  2. 【請求項2】 Al−Mn系合金からなる心材と、前記
    心材の一方の面にクラッドされたAl−Si系合金から
    なるろう材層と、前記心材の他方の面にクラッドされた
    アルミニウム又はアルミニウム合金からなる犠牲層とを
    有し、圧延後に焼鈍され、この焼鈍後に1乃至5%の予
    歪を付与されたものであり、前記心材はその圧延方向に
    対して直角な方向の断面における平均結晶粒径が50μ
    m以下であり、前記心材は全板厚に対する心材の板厚の
    百分率として定義されるクラッド率が50%以上である
    ことを特徴とするアルミニウム合金製ブレージングシー
    ト。
  3. 【請求項3】 前記心材の少なくとも一方の面と前記ろ
    う材層との間にクラッドされたアルミニウム又はアルミ
    ニウム合金からなる中間層を有し、前記中間層はその圧
    延方向に対して直角な方向の断面における平均結晶粒径
    が100μm以下であることを特徴とする請求項1又は
    2に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
  4. 【請求項4】 前記犠牲層はその圧延方向に対して直角
    な方向の断面における平均結晶粒径が100μm以下で
    あることを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム合
    金製ブレージングシート。
  5. 【請求項5】 Al−Mn系合金からなる心材の両面に
    Al−Si系合金からなるろう材層をクラッドする工程
    と、このクラッド材を380乃至530℃の温度範囲に
    1℃/秒以上の急熱加熱により加熱した後、この温度に
    20秒以下保持する焼鈍工程と、この焼鈍後のクラッド
    材に1乃至5%の予歪を付与する工程と、を有すること
    を特徴とするアルミニウム合金製ブレージングシートの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 Al−Mn系合金からなる心材の一方の
    面にAl−Si系合金からなるろう材層をクラッドし、
    前記心材の他方の面にアルミニウム又はアルミニウム合
    金からなる犠牲層をクラッドする工程と、このクラッド
    材を380乃至530℃の温度範囲に1℃/秒以上で急
    熱加熱した後、この温度に20秒以下保持する焼鈍工程
    と、この焼鈍後のクラッド材に1乃至5%の予歪を付与
    する工程と、を有することを特徴とするアルミニウム合
    金製ブレージングシートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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