JP2009161833A - 熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Siを含有するろう材成分22を用いてろう付け接合することにより製造される熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材1である。アルミニウム合金ベアフィン材1は、少なくとも、Sr:0.001〜5.0%(質量%、以下同様)、Na:0.001〜5.0%、Sb:0.001〜5.0%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる。
【選択図】図1
Description
図2、図3に示すように、フィン材91とチューブ材92とを組み付けて加熱することにより、心材921の表面にクラッドされたろう材922が溶融し、それらがフィン材とチューブ材との間隙を充填したり、フィレット923を形成することにより、フィン材91とチューブ材92のろう付け接合が行われる。
この板状や針状の単体Siは、ろう材マトリックスより貴であるため、局部カソードとなり局部腐食を誘発する。図4(a)に示すように、フィレット923に局部腐食が発生した場合、図4(b)に示すように、チューブ材92からフィン材91が脱落する。そして、フィン材の犠牲陽極効果が失われ、チューブ材に早期の貫通腐食が生じる。また、図5(a)に示すように、チューブ材92平坦部のろう材922に局部腐食が発生した場合は、図4(b)に示すように、フィン材91の犠牲陽極が十分に作用せず、チューブ材92に早期の貫通腐食が生じる。
しかしながら、板状や針状の粗大な単体Siの生成を抑制するための効果はある程度は得られるが十分ではなかった。
このような問題は、上述のようなクラッド材よりなるチューブ材を用いた場合のみに限らず、クラッド材よりなるプレート材を用いた場合や、表面にろう材粉末や、ろう付け時にろう材を生成するフラックス等のろう材成分を塗布した押出形材からなるチューブ材又はプレート材を用いた場合にも問題となる。
該アルミニウム合金ベアフィン材は、少なくとも、Sr:0.001〜5.0%(質量%、以下同様)、Na:0.001〜5.0%、Sb:0.001〜5.0%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材にある(請求項1)。
しかしながら、本発明者の多数の実験の結果、ろう付け加熱時にろう材成分に接するフィン材の一部が溶融することが判明した。そして、本発明では、このフィン材のろう付け時の溶融を積極的に利用し、ろう材成分組織の改良を実現したのである。
このように、ろう材成分中に、フィン材側からSr、Na、Sbの少なくとも1種が供給されることにより、ろう材成分が再凝固する際に、上記Sr、Na、Sbがろう材成分中で改良処理材として作用する。これにより、ろう付け後のろう材成分中で晶出する単体Siを微細化することができ、接合部分における板状や針状の粗大な単体Siの発生を抑制することができる。
Srの含有量が0.001%未満である場合には、上述の効果が十分に得られない。一方、上記含有量が5.0%を超える場合には、フィン材の製造が難しくなるおそれがある。Srの含有量のよりこのましい範囲は、0.01〜1.0%である。
Naの含有量が0.001%未満である場合には、上述の効果が十分に得られない。一方、上記含有量が5.0%を超える場合には、フィン材の製造が難しくなるおそれがある。Naの含有量のより好ましい範囲は、0.01〜1.0%である。
Sbの含有量が0.001%未満である場合には、上述の効果が十分に得られない。一方、上記含有量が5.0%を超える場合には、フィン材の製造が難しくなるおそれがある。Sbの含有量のより好ましい範囲は、0.01〜1.0%である。
Tiは、フィン材の板厚方向に濃度の高い領域と低い領域とに分かれ、それらが交互に分布する層状となり、フィン材の防食寿命を高める。
Cr、Zr、V、Bは、ろう付け加熱中の再結晶温度を高め、フィン材の結晶粒度を粗大化させることでろう付け加熱中のエロージョンを抑制する。
Cuは、固溶することでフィン材の強度を向上させる。
上記熱交換器は、例えば、Siを含有するろう材成分を用いて、上記アルミニウム合金ベアフィン材と、チューブ材(作動流体通路構成部材)又はプレート材とをろう付け接合することにより製造することができる。
また、上記ろう材成分は、Sr、Na、Sbのうち1種または2種以上が含有されていることが好ましい。また、上記ろう材成分は、Sr、Na、Sbのうち、上記アルミニウム合金ベアフィン材が含有している元素と同じ元素を含有していることがより好ましい。
なお、上記Zn、In、Snが不可避的不純物として含有されている場合にも、上記範囲を満たす場合には、後述の効果を得ることができる。
Znを含有する場合には、その含有量は、0.1〜5.0%である必要がある。
Znの含有量が0.1%未満の場合には、上述の効果が十分に得られず、一方、上記含有量が5.0%を超える場合には、フィン材自体の自己耐食性が悪くなるおそれがある。
In、Snを含有する場合には、その含有量は、それぞれ0.001〜0.3%である必要がある。
上記In、Snの含有量が0.001%未満である場合には、上述の効果が十分に得られず、一方、上記含有量が0.3%を超える場合には、フィン材自体の自己耐食性が悪くなるおそれがある。
なお、上記Mn、Fe、Siが不可避的不純物として含有されている場合にも、上記範囲を満たす場合には、後述の効果を得ることができる。
そして、Mnを含有する場合には、その含有量は0.1〜3.0%である必要がある。
Mnの含有量が0.1%未満の場合には、上述の効果を十分に得られないおそれがある。一方、Mnの含有量が3.0%を超える場合には、鋳造時に粗大な晶出物が生成して圧延加工性が害される結果、健全な板材が得難くなるおそれがある。Mnの含有量は、好ましくは0.5〜1.7%である。
そして、Feを含有する場合には、その含有量は、0.1〜3.0%である必要がある。
そして、Siを含有する場合には、その含有量は、0.1〜3.0%である必要がある。
Siの含有量が0.1%未満である場合には、上述の効果が得られないおそれがある。一方、上記含有量が3.0%を越える場合には、ろう付け時にフィン材の溶融が生じるおそれがある。Siの含有量は、好ましくは0.5〜1.5%である。
また、上記ろう材は、Sr、Na、Sbのうち1種または2種以上が含有されていることが好ましい。また、上記ろう材は、Sr、Na、Sbのうち、上記ベアフィン材が含有している元素と同じ元素を含有していることがより好ましい。
そして、上述したSi含有のフラックスであっても、通常のフラックスであっても、これらのフラックスは、フィン材やチューブ材やプレート材等の素材を、所望の形状に成形し、熱交換器として組み付けた後に、その熱交換器に塗布することができ、また、あらかじめフィン材やチューブ材やプレート材等の素材に塗布しておくこともできる。前者の場合には、熱交換器にフラックスを塗布した後にろう付け加熱を行い、後者の場合には、上記各素材を所望の形状に成形し、熱交換器として組み付けた後、ろう付け加熱を行う。
本例は、本発明の熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材にかかる実施例及び比較例について説明する。これらの実施例は、一実施態様を示すものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
本例では、本発明の実施例として、表3及び表4に示す熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材(試料E1〜試料E61)、及び比較例として、表4に示す熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材(試料C1、試料C2)を作製し、耐食性の評価を行った。
まず、連続鋳造により、表1及び表2に示す組成を有する鋳塊(鋳塊1〜鋳塊62)を準備し均質化処理を行った。次いで、熱間圧延を行って所定の厚さとし、その後、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延を行って、厚さ0.1mmの板材(質別H14)とし、熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材(試料E1〜試料E60、試料C1、試料C2)を得た。
なお、組成は、均質化処理、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延の前後でほとんど変化がない。
また、表3、表4には、作製した熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材(試料E1〜試料E61、試料C1、試料C2)について、用いた鋳塊の種類、製造方法を示す。
腐食試験について、図1を用いて説明する。
まず、作製した熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材(試料E1〜試料E61、試料C1、試料C2)について、所定幅の帯状に切断した後、歯車回転式の成形機を通してコルゲート成形を行った。
その後、上記アルミニウムフィン材1と、上記プレート材2とを組み付けて、濃度3%のフッ化物系フラックスを塗布した後、窒素ガス雰囲気中600℃で3分間加熱して、ろう付け接合を行い、図1に示すような熱交換器のミニコア3を作製した。
このように、本発明によれば、Siを含有するろう成分を用いてろう付け接合することにより得られる熱交換器の耐食性を向上させることができる熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材を得ることができることがわかる。
2 プレート材
21 心材
22 ろう材(ろう材成分)
3 熱交換器のミニコア
Claims (4)
- Siを含有するろう材成分を用いてろう付け接合することにより製造される熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材であって、
該アルミニウム合金ベアフィン材は、少なくとも、Sr:0.001〜5.0%(質量%、以下同様)、Na:0.001〜5.0%、Sb:0.001〜5.0%のうち1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とする熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材。 - 請求項1において、上記アルミニウム合金ベアフィン材は、さらに、Zn:0.1〜5.0%、In:0.001〜0.3%、Sn:0.001〜0.3%のうち1種又は2種以上を含有することを特徴とする熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材。
- 請求項1又は2において、上記アルミニウム合金ベアフィン材は、さらに、Mn:0.1〜3.0%、Fe:0.1〜3.0%、Si:0.1〜3.0%のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、上記アルミニウム合金ベアフィン材は、心材の表面に上記ろう材成分を含有するろう材をクラッド接合により配設してなるクラッド材よりなる管状のチューブ材及び/又は板状のプレート材にろう付け接合されることを特徴とする熱交換器用のアルミニウム合金ベアフィン材。
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