JP6033231B2 - 3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(以下ではイソホロンジアミン若しくは略してIPDAと記載)を、3−シアノ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノン(以下ではイソホロンニトリル若しくは略してIPNと記載)の接触水素化及び/又は接触還元アミノ化(水素化アミン生成(aminierende Hydrierung)とも呼ばれる)によって製造するための改善された方法に関する。
IPNの水素化アミン生成によるIPDAの製造は公知であり、また既に繰り返し記載されている。
最も簡単な事例(US3,352,913)においては、IPNは、水素と過剰量のアンモニアの存在下でコバルト触媒を用いて反応させられる。まず、IPNとアンモニアから水脱離によってイソホロンニトリルイミン、IPNIが形成し、これは続いてIPDAへと水素化される。
Figure 0006033231
IPDAの収率は、この種類の反応操作の場合、過剰量のアンモニアによって一義的に決められる。獲得されるIPDAの最大収率は、約80%である。主な副生成物は、いわゆるアミノアルコール、IPAAであり、これはIPNの直接水素化から生じる。
Figure 0006033231
IPDA収率の本質的な増大は、IPNIの形成が、適したイミノ化触媒の使用によって促進される場合に達成される。イミノ化触媒として、例えば酸性イオン交換体樹脂(EP042119)が適している。それに加えて、酸性金属酸化物(EP449089)スルホン酸基含有オルガノポリシロキサン(EP816323)、ヘテロポリ酸(DE4426472)及び活性炭(EP061137)がイミノ化触媒として用いられることができる。不所望のアミノアルコールの還元に加えて、他の副生成物、例えば二環式化合物、及びHCNの脱離から生じる副生成物が抑えられる。
IPNといったγ−ケトニトリルからのHCNの脱離の問題は、文献で特に指摘される(US3,352,913)。HCN脱離によってIPDAの収率が低下することが一部では述べられる(EP042119、DE4426472)。
他方で指摘されるのは、HCNが触媒毒として作用し、かつ水素化触媒を失活させることである(EP394967A1、第2頁、第34行目以降、第3頁、第44行目以降)。それゆえ、イミノ化工程を、可能な限りHCNが脱離しないように実施することが推奨される。有利には、このプロセスは、用いられるニトリル1モル当たり0.001モル未満のHCNが脱離するように行われている(EP394967、第5頁、第49行目以降)。IPNの水素化アミン生成に関して、それは163ppmw(0.0163質量%)である。
シアン化物濃度の減少のほかに、更なる方法が、IPNの水素化アミン生成に際してIPDAの収率を高めるために記載されている。
既に冒頭で言及されていたように、過剰量のアンモニア又は溶媒としてのアンモニアの使用は収率に良い影響を及ぼす(例えば、EP449089、EP659734、DE1229078)。
アルカリ金属水酸化物による改質(EP729937)もIPDAの収率の増大につながる。ニトリル水素化に際して、アルカリ金属水酸化物、なかでも水酸化リチウムを添加することによって、第一級アミンの収率を増大できることは、複数の刊行物から公知である(US4,375,003、EP913388)。触媒は、アルカリ金属水酸化物で反応前に処理され得るか、それでなければ、該アルカリ金属水酸化物は反応中に反応混合物に添加される。比較的大量の溶媒、例えばアンモニア、THF又はメタノールが使用されない限り、LiOHで改質された触媒の長期安定性は相当良好である。しかしながら、我々は、いくつかの試験において、上記溶媒を使用した場合、LiOHが連続的に触媒から洗浄により取り除かれ、ひいては第二級アミンの割合が再び高まることに気付かなければならなかった。そのうえ、溶媒を蒸留によって混合物から分離除去し、かつプロセスに返送する連続的なプロセス操作の場合、蒸留塔内でアルカリ金属水酸化物の堆積が生じる。塔は一定の間隔で停止かつ洗浄されなければならないことから、アルカリ金属による改質は製造中断を間接的に生じる。
EP913387によれば、IPDAの製造に際しての選択率を増大させるために、第四級アンモニウム塩基を用いることができる。相応して改質された触媒は、特に溶媒を使用する場合、アルカリ金属で改質された触媒より明らかに高い可使時間を有する。
本発明の課題は、前で記載した方法の上記欠点をなくす、IPNからIPDAへの接触水素化及び/又は接触還元アミノ化の選択率を増大させる方法を見出すことであった。
ここで意想外にも見出されたのは、該課題が、反応混合物中でのシアン化物イオン濃度を高めることによって(例えば、IPNからHCNを適切に脱離することによって引き起こされる)解決できることであった。このことは、シアン化物イオンが触媒毒として記載されており、それゆえ従来技術によれば収率の最適化及び選択率の最適化のために可能な限り低いシアン化物イオンの濃度を得ようと努められているという点で意想外である。
ある特定の範囲内においてシアン化物イオン濃度を高めることで、意想外にも、IPNIからIPDAへの水素化に際して、同じ変換率を維持しながらも選択率の増大が生じる。
本発明の対象は、アンモニア、水素及び少なくとも1種の触媒並びに場合により溶媒若しくは溶媒混合物の存在下における、イソホロンニトリル(IPN)の接触水素化及び/又は接触還元アミノ化によるイソホロンジアミンの製造法であり、その際、水素化に供給される反応混合物中でのシアン化物イオン濃度は、用いられるイソホロンニトリルを基準として200ppmw〜5000ppmwである。
200ppmw〜5000ppmw、有利には3000までのシアン化物濃度の調節は、種々の措置によって、例えば、HCN若しくはシアン化物塩、例えばKCNの適切な計量供給によってか、それでなければ適したIPN品種の使用によって達成されることができる。本発明による方法においては、シアン化物イオン濃度の調節は、有利には、IPNの適切な逆脱離をイミノ化段階において引き起こすことによって達成される。これは、本発明によれば、EP394967A1の教示とは相容れないで、イミノ化段階においてIPNからIPNIへの少なくとも80%の変換率を達成するために、イミノ化触媒の使用に応じて必要とされる温度より5〜50K、有利には7〜30K、特に有利には10〜20Kだけ上回る形で、該イミノ化段階における温度を高めることによって達成されることができる。
本発明による方法は、一段階若しくは多段階で実施することが可能である。
方法が一段階で実施される場合、イソホロンニトリルは、アンモニア、水素、水素化触媒及び場合により更なる添加剤の存在で、かつ有機溶媒の非存在下若しくは存在下で直接的に水素化アミン生成される。
"多段階で"との用語は、まず別個の反応器若しくは反応器部分でイソホロンニトリルがまず完全に若しくは部分的にイソホロンニトリルイミンに変えられ、そしてこのイソホロンニトリルイミンが反応物質として又は他の成分との混合物において少なくともアンモニアの存在下で水素化アミン生成される。
IPDAを製造するための本発明による方法の有利な実施形態は、二段階のプロセスである:1つ目の段階では、用いられるIPNの少なくとも一部が、イミノ化触媒及び/又は溶媒の存在下若しくは非存在下でアンモニアとの反応によってイソホロンニトリルイミンに変えられる。IPNからIPNIへの変換率は、イミノ化に従って、80%超、有利には90%超、特に有利には95%超であるべきである。
2つ目の段階では、1つ目の段階の反応生成物が、その発生と同時に、又は後処理後及び/又は更なるアンモニアの添加後に、少なくともアンモニア及び水素の存在で、かつ有機溶媒の存在若しくは非存在において、20〜150℃、有利には40〜130℃の温度、及び0.3〜50MPa、有利には5〜30MPaの圧力にて、水素化触媒上で水素化アミン生成される。
更なる有利な実施形態においては、IPNからIPDAへの変換は、互いに分けられた3つの反応チャンバー内で行われる。1つ目の反応チャンバー内では、IPNからイソホロンニトリルイミンへの変換は、過剰のアンモニアを用いてイミノ化触媒上で、20〜150℃の温度及び5〜30MPaの圧力にて行われる。2つ目の反応チャンバー内では、発生した反応生成物が、水素により過剰のアンモニアの存在において水素化触媒上で、20〜130℃の温度及び5〜30MPaの圧力にて水素化される。3つ目の反応チャンバー内では、発生した反応生成物が、本発明に従って用いられる触媒上で、100〜160℃の温度及び5〜30MPaの圧力で水素化される。
イミノ化反応の平衡成立を早めるために、イミノ化触媒を使用することが目的に適っている。このために、従来技術により公知のイミノ化触媒を使用することができる。適した触媒は、例えば無機若しくは有機のイオン交換体(EP042119を参照されたい)、担持ヘテロポリ酸(DE4426472を参照されたい)、酸性金属酸化物、殊に酸化アルミニウム及び二酸化チタン(EP449089を参照されたい)、スルホン酸基含有オルガノポリシロキサン(DE19627265.3)及び酸性ゼオライト並びに活性炭(EP061137)である。イミノ化触媒が使用される場合、反応温度は、10〜150℃、好ましくは30〜130℃、極めて有利には40〜100℃であってよい。圧力は、混合物の自生圧〜50MPaの間にある。有利には、イミノ化反応は、続く還元アミノ化の実施に際しても用いられる圧力で実施される。
液体アンモニアによるイソホロンニトリルのイミノ化は、有利には更なる溶媒の添加なしに実施されるにも関わらず、付加的に溶媒の存在下で作業してもよい。適しているのは、炭素原子1〜4個を有する一価アルコール、殊にメタノール並びにエーテル、特にTHF、MTBE及びジオキサンである。
イミノ化段階において、用いられるIPN1モル当たり、アンモニア1〜500モル、有利には5〜200モル、特に有利には5〜100モルが用いられる。典型的な触媒負荷量は、触媒1kgかつ1時間当たり、IPN0.01〜10kg、触媒1kgかつ1時間当たり、有利には0.5〜10kg、特に有利にはIPN0.5〜5kgの範囲にある。
イミノ化触媒の存在におけるイミノ化に際して、触媒は、懸濁触媒又は固定床触媒の形で存在してよい。好ましいのは、固定床触媒の使用である。特に有利な実施形態においては、IPNとアンモニアは、イミノ化触媒が充填された反応管に連続的に下方から上方に向かって通される。
水素化は、通常、20〜150℃、有利には40〜130℃の温度、及び0.3〜50MPa、有利には5〜30MPaの圧力で行われる。水素化は、イミノ化段階の箇所で既に挙げていた溶媒の存在下で実施することも可能である。溶媒を使用した場合の本質的な利点は、水素化を0.3〜10MPaのより低い圧力で実施できる点にある。
水素化に必要な水素は、反応器に、過剰量、例えば10000モル当量までで供給するか、又は反応によって消費された水素並びに生成物流に溶解して反応器を抜け出す一部の水素が補充される量のみを供給してよい。連続的な操作の場合、水素は、並流又は向流で供給してよい。
有利な実施形態においては、水素化は、溶媒としての液体アンモニア中で行われる。IPN1モル当たり、アンモニア1〜500モル、有利には5〜200モル、特に有利には5〜100モルが使用される。目的に応じて、少なくとも、先行するイミノ化に際して調整されたアンモニア量が使用される。しかし、アンモニア分は、水素化前にも付加的なアンモニアの添加によって所望の値に高めてもよい。
触媒として、原則的に、水素によるニトリル基及び/又はイミン基の水素化を触媒する全ての触媒を用いてよい。特に適しているのは、ニッケル触媒、銅触媒、鉄触媒、パラジウム触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒及びコバルト触媒であり、極めて有利なのは、ルテニウム触媒及びコバルト触媒である。活性、選択性及び可使時間を増大させるために、触媒は、付加的にドープ金属又は他の改質剤を含んでよい。典型的なドープ金属は、例えばMo、Fe、Ag、Cr、Ni、V、Ga、In、Bi、Ti、Zr及びMn並びに希土類金属である。典型的な改質剤は、例えば、触媒の酸・塩基特性に影響を及ぼし得るもの、有利にはアルカリ金属及びアルカリ土類金属若しくはそれらの化合物、有利にはMg化合物及びCa化合物、並びにリン酸若しくは硫酸並びにそれらの化合物である。
触媒は、粉末又は成形体、例えば押出物又は圧縮粉末の形で用いられることができる。完全触媒、ラネー型触媒又は担体触媒が用いられることができる。有利なのは、ラネー型触媒及び担体触媒である。適した担体材料は、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、ケイ藻土、アルミニウム−ケイ素の混合酸化物、酸化マグネシウム及び活性炭である。活性金属は、当業者に公知の方法で、例えば含浸、噴霧、沈殿によって、担体材料上に施与されることができる。触媒の製造の種類に応じて、当業者に公知の更なる調製工程、例えば乾燥、か焼、形状付与及び活性化が必要である。形状付与のために、任意に更なる助剤、例えばグラファイト又はステアリン酸マグネシウムを添加してもよい。用いられる水素化触媒の必要とされる体積は、用いられるIPNの可能な限り完全な水素化を保証するために、運転圧力、温度、濃度及び触媒活性に依存する、遵守されなければならないLHSV値(液空間速度)に左右される。通常、LHSV値は、IPN、アンモニア及び水素からの有利には用いられる混合物が使用される場合、触媒1リットルかつ1時間当たり、0.5〜4リットルのIPN/アンモニア混合物、有利には1〜3lLsgKat -1-1である。
用いられる水素化触媒を、水素化におけるその使用前に、まずアンモニアで調整することが有利である。そのために、触媒は、アンモニア又は、アンモニアと複数の溶媒とからの混合物と接触される。有利には、調整は、触媒を水素化反応器中に取り付けた後に行われるが、しかし、触媒を取り付ける前に行ってもよい。調整のために、触媒1m3かつ1時間当たり、0.2〜3m3、有利には0.5〜2m3のアンモニアが用いられる。通常、20〜150℃、有利には40〜130℃の温度で作業される。特に有利には、触媒が始めは、緩やかに高められた温度、有利には20〜50℃で、ゆっくりと、あとで水素化のために所望された反応温度、有利には20〜150℃にまで加熱される温度傾斜がとられる。調整は、有利には水素の存在において実施され、その際、使用される水素の分圧は、反応器中で0.1〜50MPa、有利には5〜40MPa、特に有利には10〜30MPaの範囲を包含する。調整の期間は、使用されるアンモニア量に依存し、かつ有利には1〜48時間、特に有利には12〜24時間である。
有利な二段階のプロセスにおいては、イソホロンニトリルイミンを含有する混合物が、形成された水素化触媒によって2つ目の段階で水素化される。水素化段階に供給される混合物はじかに、1つ目の段階でのアンモニアを用いたIPNのイミノ化に際して発生するもの、又は、例えばアンモニア、有機溶媒、塩基、共触媒、シアン化物塩、青酸及び/若しくは水といった成分の添加若しくは除去後に得られるようなものであってよい。有利には、水素化は、ダウンフロー又はアップフロー操作で運転可能な固定床反応器中で連続的に実施される。適した反応器タイプは、例えば、直立炉、棚型反応器又は管束反応器である。水素化のために複数の固定床反応器を直列に接続することも可能であり、その際、反応器のいずれも選択的にダウンフロー又はアップフロー操作で運転される。
イミノ化段階に供給される混合物の上述の成分以外に、これは、トリクルベッド反応器から取り出された反応混合物の蒸留精製からのIPDAより高いか又は低い沸点を有する留分を付加的に含有してよい。この種の留分は、IPDAの残分以外に、反応条件下で新たにIPDAを形成する副生成物を含有してよい。特に好ましいのは、IPDAの残分以外に2−アザ−4,6,6−トリメチルビシクロ[3.2.1]−オクタンを主生成物として含有する、IPDAの沸点を上回る留分を返送することである。同様に特に好ましいのは、完全には変換されなかったIPN、殊にイソホロンアミノニトリルを含有する留分を返送することである。返送物は、これが所望されている場合、水素化段階に供給される反応混合物に直接添加してもよい。
IPN若しくはイソホロンニトリルイミンの水素化に際して、2つの異なる立体異性体が形成され得る。水素化工程における温度プロファイルの選択によって、異性体比に影響を及ぼすことができる。例えば、IPN又はイソホロンニトリルイミンを含有する混合物をまず20〜90℃の温度で部分的に水素化し、引き続き反応を2つ目の工程において90〜150℃の温度範囲で完全なものにすることが可能である。1つ目の工程で比較的低い反応温度を維持することによって、選択性をシス異性体のためにシフトさせることができる。そのうえ、反応の開始時に比較的低い反応温度を維持することは、熱に不安定なイソホロンニトリルイミンが特に穏やかに水素化され、それによって副反応が阻止されるという利点をともなう。中間体として形成されたイソホロンアミノニトリルは、熱的に明らかにより安定しており、それゆえ、より高い温度で、更なる副反応が起こることを心配する必要なく水素化されることができる。不所望な副反応に含まれるのはまた、HCNの脱離である。本発明による方法によれば、ある特定のシアン化物イオン濃度が水素化段階の選択性に良い影響を及ぼす。この効果は、シアン化物イオンが既に最初から水素化段階において存在し、かつ水素化の間に初めて発生するものではない場合にはっきりと顕示される。それゆえ、水素化段階中のHCNの脱離は防止される。
所望の温度プロファイルの実現は、例えば、2つ以上の互いに別個に加熱可能な反応器の直列接続によってなされることができる。しかし、上昇する温度プロファイルを水素化反応器中でのみ実現することも可能である。特に有利には、水素化反応の実施は、断熱的に運転されるトリクルベッド反応器中で行われ、その際、反応混合物は、反応器に20〜90℃の温度で供給され、かつ発生する熱と反応混合物によって吸収される反応熱とに基づき90〜150℃で再び抜け出す。
水素化を経た反応混合物は、慣用の方法でさらに精製されて、所望の品質を有するIPDAが得られる。その際、通常よく用いられる全ての分離法、例えば蒸留、フラッシュ蒸発、晶出、抽出、吸着、透過、相分離又は前述の方法の組合せを用いることができる。精製は、連続的に、バッチ式に、一段階若しくは多段階で、真空中又は加圧下で実施されることができる。例えばこの更なる精製の際に分離される成分として考えられるのは、水素、アンモニア、水並びにIPNからIPDAの製造に際して発生する副生成物、例えば水素化されたHCN−脱離生成物又はIPNの不純物、メチル化された副生成物及び/又は不完全に水素化された中間生成物である。
有利には、多段階において加圧下及び/真空中での蒸留による精製が達成される。このために、内部構造物、例えばデフレグメーター、隔壁、不規則的な内部構造物若しくは充填物、規則的な内部構造物若しくは充填物、強制ガイド部を有するか若しくは有さないトレイを備えたものや備えていない任意の蒸留塔を使用することができる。
1つ目の工程では、殊に水素、不活性ガス、アンモニア、低沸点不純物及び場合により水も1つ以上の蒸留塔内で完全又は部分的に分離される。その際、分離は、有利には反応工程における圧力より低い圧力で行われる。分離が複数の蒸留工程において行われる場合、圧力を徐々に下げることが好ましい。極めて有利には、分離は、1barより高い圧力で、かつ0〜200℃の塔底温度で行われる。低沸点不純物を除去するためのストリッピングガスの使用は、好ましくあり得る。殊にアンモニア及び水素及び低沸点不純物分が、完全に又は部分的にプロセス(反応)に返送されることができる。低沸点不純物並びに場合により水素及びアンモニア分は、熱利用に供される。
2つ目の工程では、更なる低沸点不純物、水及び高沸点不純物が、完全に又は部分的に分離される。これは1つ以上の蒸留塔内で行われることができる。その際、水は、低沸点の有機不純物及び場合によりIPDA分と一緒に塔の頂部を介して留去され、かつ凝縮後に水相と有機相とに分離されることができる。この場合、有機相は、部分的に還流として塔内に返送されることができる。蒸留の2つ目の工程が唯一の塔内で実施される場合(例えば隔壁塔)、所望の純度を有するIPDAが側流を介して取り出され、その一方で、高沸点不純物は、塔の底部で発生する。しかし、分離が二段階又は多段階で実施される場合、IPDAは塔の頂部で得られる。低沸点及び高沸点の不純物並びに水の分離は、有利には、100Pa〜0.0999MPaの真空中で、かつ50〜300℃の塔底温度で行われる。全体の副成分は、熱利用に供されることができる。
つまり、殊に本発明は、これまでの従来技術とは相容れず、IPNからIPDAへの還元アミノ化の選択率の最大化を、シアン化物イオン濃度の明らかな最小化によっては行わないことを特徴としている。むしろ、用いられるIPNの量を基準として200ppmwの最小濃度が、IPNIを水素化してIPDAにする水素化の選択率にとって有益である。殊に、二環式化合物2−アザ−4,6,6−トリメチルビシクロ[3.2.1]−オクタン、つまり、ニトリル基の炭素原子へのIPANのアミン基の分子間求核攻撃によって形成される、IPNからIPDAへの還元アミノ化に際して生じる主たる副生成物が著しく軽減される。
Figure 0006033231
例1及び2は、フィード中のシアン化物イオン濃度が唯一異なっている2つの比較可能な試験設定を示す。HCN1000ppmwに相当するシアン化物量の計量供給によって、形成された二環式アミンの量が4.13%から2.03%に減少することが明らかになる。中間生成物のアミジンは1.40%から1.00%に下げられる。活性が減少したことを確認することはできなかったので(IPN及びIPANの変換率は一定)、粗生成物中のIPDAの収率は93.23%から95.69%に上昇する。
しかし、同時にシアン化物イオンは、選択率に好ましい影響を及ぼす以外に、文献に記載された毒性作用を水素化触媒に対して及ぼす。それゆえ、シアン化物イオン濃度を過度に高めることは目的に適っておらず、それというのも、さもなければ失活作用が増大するからである。有利なのは、用いられるIPNを基準とした最大3000ppmwの濃度である。この場合、用いられるIPNを基準とした5000ppmwのずっと高いシアン化物濃度が、副生成物濃度の低下を依然としてもたらすが(二環式アミン2.36%、アミジン1.03%)、とはいっても、反応しなかったIPANの割合は0.63%から1.15%に上昇し、それによって、IPDAの全体の収率は94.62%で1%分だけ減少する。これは、例3に明確に示されている。

例1〜3では、シアン化物を手操作で加えた。これは、比較可能な条件下での結果をもたらす。しかしながら、本発明により有利なのは、予備反応器中でシアン化物イオンを製造することである。
連続的な試験装置の説明:
IPNとアンモニアを、容器中で連続的に混合する。そこから混合物は、EP042119に記載のイオン交換体がIPNとアンモニアからのイミン形成を触媒するために充填されている2lの予備反応器にポンプを介して達する。引き続き、この混合物を、3つの個々に加熱可能な温度ゾーンを有する6lのトリクルベッド反応器中で水素化する。
反応後にアンモニアを分離し、かつプロセスに返送する:付加的に、消費したアンモニアを連続的に補う。
例1:
上記の試験装置中で、21.5%のアンモニアアルカリ性のIPN溶液を、1.8lLsgKat -1-1のLHSVで水素化アミン生成した。触媒として、ケイ藻土に担持されたコバルト触媒を使用した。装置内の圧力は252barであった。水素化における調節した温度プロファイルは、断熱的な反応操作に相当し、反応器入口で温度は70℃であり、出口では115℃であった。反応部を抜け出す混合物を、ガスクロマトグラフィーにより試験した、組成を第1表に示す。
Figure 0006033231
例2:
例1と同じように、しかしながら、付加的に、イミノ化反応器の下流で10%のKCN水溶液40g/hを計量供給した。これは、IPNを基準としてHCN1000ppmwの負荷量に相当する。反応生成物のガスクロマトグラフィー分析の結果を第2表に示す:
Figure 0006033231
例3:
例1と同じように、しかしながら、付加的に、イミノ化反応器の下流で20%のKCN水溶液100g/hを計量供給した。これは、IPNを基準としてHCN5000ppmの負荷量に相当する。反応生成物のガスクロマトグラフィー分析の結果を第3表に示す:
Figure 0006033231

Claims (23)

  1. アンモニア、水素及び少なくとも1種の触媒並びに場合により溶媒若しくは溶媒混合物の存在下で、イソホロンニトリル(IPN)の接触水素化及び/又は接触還元アミノ化によって、イソホロンジアミン(IPDA)を製造する方法において、
    前記水素化に供給される反応混合物中のシアン化物イオン濃度が、用いられるイソホロンニトリル(IPN)を基準として200ppmw〜5000ppmwであり、
    ここで、
    前記シアン化物イオン濃度、HCN若しくはシアン化物塩の適切な計量供給によって、若しくは1000ppmw〜5000ppmwのシアン化物イオン濃度を有するイソホロンニトリル(IPN)品種の使用によって調節するか、又は
    前記シアン化物イオン濃度を、イミノ化段階においてイソホロンニトリル(IPN)からイソホロンニトリルイミン(IPNI)への少なくとも80%の変換率を達成するために、イミノ化触媒の使用に応じて必要とされる温度より5〜50Kだけ上回る形で、イミノ化段階における温度を高めることにより、イミノ化段階においてイソホロンニトリル(IPN)の適切な逆脱離を引き起こすことによって調節することを特徴とする方法。
  2. 前記シアン化物イオン濃度が200ppmw〜3000ppmwであることを特徴とする、請求項1記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  3. 前記シアン化物イオン濃度の調節を、イミノ化段階においてイソホロンニトリル(IPN)からイソホロンニトリルイミン(IPNI)への少なくとも80%の変換率を達成するために、イミノ化触媒の使用に応じて必要とされる温度より30Kだけ上回る形で、イミノ化段階における温度を高めることにより、イミノ化段階におけるイソホロンニトリル(IPN)の適切な逆脱離を引き起こすことによって行うことを特徴とする、請求項1又は2記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  4. 前記方法を、一段階又は多段階で実施することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  5. イソホロンジアミン(IPDA)の製造を以下の(i)1つ目の段階および(ii)2つ目の段階の二段階のプロセス
    (i)1つ目の段階で、用いられるイソホロンニトリル(IPN)の少なくとも一部を、イミノ化触媒及び/又は溶媒の存在下若しくは非存在下でアンモニアとの反応によってイソホロンニトリルイミン(IPNI)に変え、その際、イソホロンニトリル(IPN)からイソホロンニトリルイミン(IPNI)への変換率が、前記イミノ化に従って、80%超であること;および
    (ii)2つ目の段階で、1つ目の段階の反応生成物を、その発生と同時に、又は後処理後及び/又は更なるアンモニアの添加後に、少なくともアンモニアと水素の存在で、かつ有機溶媒の存在下若しくは非存在下で、20〜150℃の温度、及び0.3〜50MPaの圧力にて、水素化触媒上で水素化してアミンを生成すること
    によって行うことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  6. イソホロンニトリル(IPN)からイソホロンジアミン(IPDA)への変換を、互いに分けられた3つの反応チャンバー内で行い、その際、1つ目の反応チャンバー内では、イソホロンニトリル(IPN)からイソホロンニトリルイミン(IPNI)への変換を、過剰のアンモニアを用いてイミノ化触媒上で、20〜150℃の温度及び5〜30MPaの圧力にて行い、2つ目の反応チャンバー内では、発生した反応生成物を、水素により過剰のアンモニアの存在において水素化触媒上で、20〜130℃の温度及び5〜30MPaの圧力にて水素化し、そして3つ目の反応チャンバー内では、発生した反応生成物を、触媒上で、100〜160℃の温度及び5〜30MPaの圧力で水素化することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  7. 前記イミノ化反応を、少なくとも1種のイミノ化触媒の存在下で行うことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  8. 液体アンモニアによるイソホロンニトリル(IPN)のイミノ化を、更なる溶媒の添加なしに実施することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  9. 前記イミノ化段階において、用いられるイソホロンニトリル(IPN)1モル当たり、アンモニア1〜500モルを用いることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  10. 前記イミノ化を、懸濁触媒又は固定床触媒の存在下で実施することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  11. 前記イミノ化に際して、イソホロンニトリル(IPN)とアンモニアを、イミノ化触媒が充填された反応管に下方から上方に向かって連続的に通すことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  12. 前記水素化に必要な水素を、反応器に、過剰量で供給するか、又は反応によって消費された水素並びに生成物流に溶解して反応器を抜け出す一部の水素が補充される量のみを供給することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  13. 前記水素化を、溶媒としての液体アンモニア中で実施し、その際、イソホロンニトリル(IPN)1モル当たり、アンモニア1〜500モルを用いることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  14. 前記水素化触媒として、ニッケル触媒、銅触媒、鉄触媒、パラジウム触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒及びコバルト触媒を用いることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  15. 前記水素化触媒が、付加的にドープ金属を含有することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  16. 前記水素化触媒が、改質剤を含有することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  17. 前記水素化触媒を、粉末又は成形体の形で用いることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  18. 前記水素化触媒として、完全触媒、ラネー型触媒又は担体触媒を使用することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  19. 二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、ケイ藻土、アルミニウム−ケイ素の混合酸化物、酸化マグネシウム及び活性炭から選択された担体材料を用いることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  20. 前記水素化触媒を、前記水素化におけるその使用前に、まずアンモニアで調整することを特徴とする請求項1から19までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)製造法。
  21. 前記水素化を、ダウンフロー又はアップフロー操作で運転される固定床反応器中で連続的に実施することを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  22. 前記水素化を経た反応混合物を一段精製又は多段精製し、かつ前記イソホロンジアミン(IPDA)を得ることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
  23. 前記水素化を経た反応混合物を2つの工程で精製し、その際、1つ目の工程では、水素、不活性ガス、アンモニア、低沸点不純物及び場合により水を1つ以上の蒸留塔内で完全又は部分的に分離し、そして2つ目の工程では、更なる低沸点不純物、水及び高沸点不純物を完全に又は部分的に蒸留塔内で分離し、かつ前記イソホロンジアミン(IPDA)を得ることを特徴とする、請求項1から22までのいずれか1項記載のイソホロンジアミン(IPDA)の製造法。
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