以下、本発明の各実施形態を図面に基づき説明する。
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態における遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1の正面図である。図2はパチンコ遊技機の背面図である。図3は、パチンコ遊技機1が備える主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、以下の説明で用いる図において、「上」、「下」、「左」、「右」はパチンコ遊技機1の方向を示している。また、パチンコ遊技機1の前後方向は、図1の紙面手前側が「前」とし、図1の紙面奥側が「後」とする。
このパチンコ遊技機1は、図1及び図2に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠2と、外枠2に開閉可能に取り付けられた前面枠3と、で主に構成されている。前面枠3の前面には、ガラス扉枠4及び下扉枠5がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
下扉枠5の下部表面には打球供給皿(上皿)6がある。打球供給皿6の下部には、打球供給皿6に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿7(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル8が設けられている。また、ガラス扉枠4の後方においては、遊技盤9が前面枠3に対して着脱可能に取り付けられている。
遊技盤9は、遊技領域10が遊技盤9の前面側に形成された透光性の合成樹脂材からなる盤面板(図示略)と、所定の厚み幅寸法を有する非透光性の合成樹脂材からなり、上記盤面板を取り付ける取付面が前面に設けられたスペーサ部材(図示略)と、から構成されている。また、遊技盤9の背面側には、演出表示装置11及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技盤ユニット260が一体的に組み付けられている(図2参照)。
遊技盤ユニット260は、遊技盤9と、該遊技盤9の背面側に配置され、遊技盤9を背面側から装飾する装飾ユニット(図示略)と、該装飾ユニットの背面に取り付けられ、演出表示装置11及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニットと、から主に構成され、遊技盤9に対して着脱可能に取り付けられる。
上記演出表示装置(飾り図柄表示装置)11は、遊技領域10の中央付近に設けられ、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を有している。演出表示装置11には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア、図中11L,11C,11R)がある。
演出表示装置11は、後述する第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置11は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
遊技盤9における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する上記第1特別図柄表示器12aが設けられている。この実施形態は、第1特別図柄表示器12aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器12aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
また、第1特別図柄表示器12aの上方位置に、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する上記第2特別図柄表示器12bが設けられている。第2特別図柄表示器12bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器12bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
なお、本実施形態では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器12aおよび第2特別図柄表示器12bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器12aと第2特別図柄表示器12bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が後述する第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。
また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が後述する第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置11は、第1特別図柄表示器12aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器12bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器12aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置11における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器12bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置11における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器12aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器12bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置11において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
演出表示装置11の下方には、上記第1始動入賞口13aを有する普通入賞装置20が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤9の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ、図3参照)によって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する普通入賞装置20の下方には、遊技球が入賞可能な上記第2始動入賞口13bを有する普通可変入賞装置21が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤9の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15a及び第2入賞確認スイッチ15b(図3参照)によって検出される。
本実施形態の普通可変入賞装置21は、ソレノイド16によって開閉板17を開閉させることで、第2始動入賞口13bを開状態と閉状態とに変化させる。開閉板17は、矩形板状に形成され、第2始動入賞口13bを前方から覆うことで閉状態とし、その下部を軸中心に前方に向けて約90度回動することで、第2始動入賞口13bを開状態とする。普通可変入賞装置21が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。一方で、普通可変入賞装置21が閉状態となっている場合には、遊技球は第2始動入賞口13bに基本的に入賞しない状態とされる。
なお、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bの検出結果及び第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
次に、第2特別図柄表示器12bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数、すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。
上記第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器12aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、上記第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器12bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置11の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部19aと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部19bとが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
なお、この実施形態では、第2始動入賞口13bが開状態と閉状態とに変化する構成であるが、第1始動入賞口13aも開状態と閉状態とに変化する構成としてもよい。
次に、本実施形態では、遊技領域10において演出表示装置11の下方の位置であって、普通入賞装置20から右方に所定距離離れた位置に、特別可変入賞装置22が設けられている。詳細は後述するが、この特別可変入賞球装置22は、やや傾斜した状態で左右方向に延在し、遊技球が流下する流路の底面として形成される板状の底面部材23を、前後方向に進退移動させることにより、底面部材23の下方に位置する大入賞口24を、遊技球が入賞可能な開状態と遊技球が入賞不能な閉状態とに変化させる。特別可変入賞装置22は、1特別図柄表示器12aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器12bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)において、底面部材23を前方に向けて前進移動させた閉状態から底面部材23を後方に向けて後退移動させ、入賞領域となる大入賞口24を開状態とする開放制御を複数ラウンド実行する。
大入賞口24内には、大入賞口24内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(カウントスイッチ25aと第3入賞確認スイッチ25b、図3参照)が設けられている。なお、図示省略するが、本実施形態では、大入賞口24内において、カウントスイッチ25aが上側に配置され、その下側に第3入賞確認スイッチ25bが配置される。従って、この実施形態では、大入賞口24内に入賞した遊技球は、遊技盤9の背面に導かれ、まずカウントスイッチ25aで検出され、次いで第3入賞確認スイッチ25bで検出されることになる。
カウントスイッチ25aによって遊技球が検出された場合には、この検出情報に基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。ここで、特別可変入賞球装置22において開状態となった大入賞口24を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出されるようになっている。したがって、特別可変入賞球装置22において大入賞口24が開状態となれば、遊技者にとって有利な状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置22において大入賞口24が閉状態となれば、大入賞口24に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な状態となる。
次に、第1特別図柄表示器12aの下側には、普通図柄表示器26(可変表示手段)が設けられている。普通図柄表示器26は、例えば2つのランプからなる。遊技球が、後述のゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、または後述のゲート33を通過しゲートスイッチ33aで検出されると、普通図柄表示器26の表示の可変表示が開始される。この実施形態では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器26の下側のランプが点灯して当りである場合に、普通可変入賞装置21が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、普通可変入賞装置21の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32又はゲート33を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器27が設けられている。ゲート32またはゲート33への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aまたはゲートスイッチ33aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器27は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器26の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器27には、ゲート32またはゲート33を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置22の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器26は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
本実施形態では、上記ゲート32が、演出表示装置11の左方に設けられている。また、ゲート33が、特別可変入賞装置22と、普通可変入賞装置21との間に設けられている。更に詳しくは、ゲート33は、底面部材23の左下方に設けられている。また、特別可変入賞装置22及びゲート33の周囲には、多数の釘34が植設されている。これらの釘34は、特別可変入賞装置22に遊技球を案内したり、大入賞口24に入賞せずに特別可変入賞装置22を通過した遊技球をゲート33に案内したり、ゲート33を通過した遊技球を普通可変入賞装置21に案内したりするために植設されている。なお、遊技領域10における左側の領域においても、遊技球を普通入賞装置20や普通可変入賞装置21などに案内するための釘が設けられている。
また、演出表示装置11の周囲には飾り枠体35が設けられている。飾り枠体35は、図示省略するランプや可動物を備えており、演出表示装置11の可変表示とともにランプや可動物を作動させることで演出を行う。飾り枠体35は、右側の外周部が遊技領域10の右側周縁部に沿う弧状に形成され、この遊技領域10の右側周縁との間に遊技球の右側通過領域36を画成している。これにより、このパチンコ遊技機1では、右側通過領域36を通過した遊技球を、特別可変入賞装置22側に案内することが可能となっている。
また、遊技領域10の下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口28が設けられている。さらに、遊技領域10の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ29が設けられている。さらにまた、遊技領域10の外周には、天枠ランプ30a、左枠ランプ30bおよび右枠ランプ30cが設けられている。天枠ランプ30a、左枠ランプ30bおよび右枠ランプ30cは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
また、図1および図2では、図示を省略しているが、左枠ランプ30bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠ランプ30aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプが設けられている。なお、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。さらに、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50(図3参照)が、パチンコ遊技機1に隣接して設置される。
遊技領域10おける遊技球の通過ルート、および該通過ルートと打球操作ハンドル8の操作方法について説明すると、このパチンコ遊技機1では、打球操作ハンドル8の操作によって発射された遊技球が、飾り枠体35の左右のいずれか一方のルートを通るようになっている。図1において、R1は、飾り枠体35の左方に規定されるルートを示し、矢印R2は飾り枠体35の右方に規定されるルートを示している。なお、ルートR2は、上記右側通過領域36を通過するルートである。遊技球は、これらルートR1およびルートR2のいずれかのルートを通って、遊技領域10の下方に流下することになる。
一般に、遊技球がルートR1を通って遊技領域10の下方に流下するように遊技球を発射することを、「左打ち」といい、これに対して、遊技球がルートR2を通って遊技領域10の下方に流下するように遊技球を発射することを、「右打ち」という。
本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技領域10において左右方向中央よりも右側に特別可変入賞装置22が設けられているため、ルートR2を通る遊技球が、大入賞口24に入賞する可能性が高くなっている。一方で、ルートR1を通る遊技球は、大入賞口24に入賞する可能性が低くなっている。したがって、パチンコ遊技機1が大当り遊技状態となり、特別可変入賞装置22が大入賞口24を開閉させる際は、遊技者は「右打ち」をすることで、遊技球が大入賞口24に入賞し易くなる。
また、特別可変入賞装置22は、第1始動入賞口13aを有する普通入賞装置20と上下方向で略同一の高さ位置に設けられており、ルートR2を通る遊技球は、パチンコ遊技機1が大当り遊技状態でなく、大入賞口24に入賞することなく特別可変入賞装置22を通過した場合には、第1始動入賞口13aに入賞する可能性が低くなっている。
一方で、第2始動入賞口13bを有する普通可変入賞装置21と、特別可変入賞装置22と、の間には、ゲート33があり、ルートR2を通る遊技球はゲート33を通過し易くなっている。しかしながら、普通可変入賞装置21は、普通図柄表示器26が点灯して当りとなった場合にしか、第2始動入賞口13bを開状態としない。このため、パチンコ遊技機1が特定の遊技状態(詳細は後述する確変状態および時短状態)でないときは、遊技者は、「左打ち」をして、第1始動入賞口13aに入賞させるほうが、パチンコ遊技機1が大当り遊技状態となる可能性が高いといえる。
遊技者が「左打ち」または「右打ち」をするかは、遊技状態に応じて選択されるものであり、遊技者は、打球操作ハンドル8を調整することで、「左打ち」または「右打ち」を打ち分けるようにする。打球操作ハンドル8は、遊技者に回転操作されることで、遊技球を発射し、操作角度に応じて遊技球の発射速度の調整を行う構造となっている。また、打球操作ハンドル8は、遊技球が発射可能な操作角度で操作が維持された場合には、遊技球を一定の発射間隔で連続して発射するように構成されている。そして、打球操作ハンドル8は、操作角度を所定角度範囲内に規制されており、略最大角度まで操作されて場合に、「右打ち」状態となるように調整されている。
なお、特定の遊技状態となった際に、演出表示装置11において、遊技者が「右打ち」をするように促す表示をするのが好ましい。
遊技者の操作により、図示省略する打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域10の左側に形成された発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域10に入り、その後、遊技領域10を下りてくる。
遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器12aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置11において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
また、遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器12bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置11において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器12aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器12bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、大当り遊技状態に移行する。大当り遊技状態においては、特別可変入賞装置22の大入賞口24が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するまで開放する開放制御が行われる。開放制御は、所定回(所定ラウンド、例えば15ラウンド)継続する。遊技者は、この大当り遊技状態では、「右打ち」をすることで、遊技球を大入賞口24に入賞させる可能性を高めることができる。
ここで、演出表示装置11に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア11L,11C,11Rでは、第1特別図柄表示器12aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器12bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア11L,11C,11Rにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置11の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア11L,11C,11Rにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア11L,11C,11Rにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
停止時の第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bにおける特別図柄が大当り図柄のうちのあらかじめ定められた特別な大当り図柄(確変大当り図柄)である場合には、大当り遊技状態後に大当りとすると判定される確率が、通常状態(低確状態と呼ぶ場合もある)であるときに比べて高くなる確率変動状態(確変状態:高確率状態ともいう。)という遊技者にとって有利な状態になる。
一方で、第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bにおける特別図柄が大当り図柄のうちのあらかじめ定められた上記確変大当り図柄でない場合には、大当り遊技状態後に大当りとすると判定される確率が、低確状態とされる。
高確率状態では、普通図柄表示器26の変動時間(変動開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を、通常状態よりも短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御も行われる。さらに、この実施形態では、普通図柄表示器26における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、普通可変入賞装置21の開閉板17の開放時間が長くされ、かつ、開放回数が増加するように制御される。また、高確率状態では、大当り遊技が終了すると、所定期間、時短状態(特別図柄および飾り図柄の変動時間が短縮される状態)に制御される。時短状態は、特別図柄の変動(可変表示)が所定回数(例えば、100回、または大当りとなるまで)行なわれるまで継続する。そして、この時短状態では、普通図柄表示器26の変動時間を、通常状態よりも短縮して早期に表示結果を導出表示させるように制御され、かつ、普通図柄表示器26における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、普通可変入賞装置21の開閉板17の開放時間が長くされ、かつ、開放回数が増加するように制御される。
一方で、第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bにおける特別図柄が大当り図柄のうちのあらかじめ定められた確変大当り図柄でない場合においても、大当り遊技が終了すると、所定期間、時短状態(特別図柄および飾り図柄の変動時間が短縮される状態)に制御される。この時短状態は、特別図柄の変動(可変表示)が所定回数(例えば、100回)行なわれるまで継続する。そして、この時短状態では、普通図柄表示器26の変動時間を、通常状態よりも短縮して早期に表示結果を導出表示させるように制御され、かつ、普通図柄表示器26における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、普通可変入賞装置21の開閉板17の開放時間が長くされ、かつ、開放回数が増加するように制御される。
そして、本実施形態では、第2始動入賞口13bを有する普通可変入賞装置21と、特別可変入賞装置22と、の間に設けられたゲート33に、ルートR2を通る遊技球が比較的通過し易くなっているため、確変状態における時短状態または通常状態における時短状態において、「右打ち」をすることで、第2始動入賞口13bへの入賞の可能性が高くなる。このため、遊技者は、上記双方の時短状態においては、「右打ち」をすることで、遊技球を第2始動入賞口13bに効率的に入賞させることができる。なお、以下では、確変図柄で大当り後の確変状態における時短状態を、単に確変状態と呼ぶものとする。
次に、パチンコ遊技機1の背面の構造について図2を主に参照するとともに適宜、図3を併せて参照して説明する。図2は、遊技機を背面から見た背面図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面側では、演出表示装置11を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)40、音声制御基板70(図3)、ランプドライバ基板41(図3)、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。なお、遊技制御基板40は基板収納ケース150に収納されている。
さらに、パチンコ遊技機1背面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板90やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板90には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板40および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板40の遊技制御用マイクロコンピュータ156(図3参照)のRAM55(図3参照)をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
なお、この実施形態では、主基板40は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板40と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
なお、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段(遊技制御用マイクロコンピュータ156)等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置11、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ29等)を制御する。以下、主基板40を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板40以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。なお、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。なお、この実施形態では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
また、パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。なお、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て払出ケース97aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ43が設けられている。球切れスイッチ43が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ43が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対して遊技球の補給が行なわれる。
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払出されて打球供給皿6が満杯になると、遊技球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿7に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。
次に図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板40には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ156(遊技制御手段)が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板40以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
また、乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。なお、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施形態では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。なお、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板40)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、ゲートスイッチ33a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ25a、および第3入賞確認スイッチ25bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板40に搭載されている。また、普通可変入賞装置21を開閉するソレノイド16、特別可変入賞装置22を開閉するソレノイド106(図16、図17参照)と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板40に搭載されている、また、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板40に搭載されている。
この実施形態では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置11との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU(図示略)は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板40からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置11の表示制御を行わせる。
演出制御用CPU(図示略)は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置11に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU(図示略)は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPUから入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
また、中継基板77には、主基板40から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板40から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板40の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板40の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
さらに、演出制御用CPU(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板41に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板41において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED30a、左枠LED30b、右枠LED30cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板41に搭載される。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ29に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
次に、遊技機の動作について説明する。図4は、主基板40における遊技制御用マイクロコンピュータ156が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになり、遊技制御用マイクロコンピュータ156(具体的には、CPU56)は、プログラムの内容が正当か否か確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスの初期化(内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化など)を行った後(ステップS4)、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS5)。なお、割込モード2は、CPU56が内蔵する特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)とから合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。
次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ(例えば、電源基板に搭載されている。)の出力信号(クリア信号)の状態を確認する(ステップS6)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理(ステップS10〜S15)を実行する。
クリアスイッチがオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS7)。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。
電力供給停止時処理が行われたことを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェックを行う(ステップS8)。この実施形態では、データチェックとしてパリティチェックを行う。よって、ステップS8では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理(ステップS41〜S43の処理)を行う。具体的には、ROM54に格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS41)、バックアップ時設定テーブルの内容を順次作業領域(RAM55内の領域)に設定する(ステップS42)。作業領域はバックアップ電源によって電源バックアップされている。バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうち初期化してもよい領域についての初期化データが設定されている。ステップS41およびS42の処理によって、作業領域のうち初期化してはならない部分については、保存されていた内容がそのまま残る。初期化してはならない部分とは、例えば、電力供給停止前の遊技状態を示すデータ(特別図柄プロセスフラグ、確変フラグ、時短フラグなど)、出力ポートの出力状態が保存されている領域(出力ポートバッファ)、未払出賞球数を示すデータが設定されている部分などである。
また、CPU56は、電力供給復旧時の初期化コマンドとしての停電復旧指定コマンドを送信する(ステップS43)。そして、ステップS14に移行する。なお、この実施形態では、CPU56は、ステップS43の処理において、バックアップRAMに保存されていた合算保留記憶数カウンタの値を設定した合算保留記憶数指定コマンドも演出制御基板80に対して送信する。
また、この実施形態では、バックアップフラグとチェックデータとの双方を用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否か確認しているが、いずれか一方のみを用いてもよい。すなわち、バックアップフラグとチェックデータとのいずれかを、遊技状態復旧処理を実行するための契機としてもよい。
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS10)。なお、RAMクリア処理によって、所定のデータ(例えば、普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)は0に初期化されるが、任意の値またはあらかじめ決められている値に初期化するようにしてもよい。また、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば、普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS11)、初期化時設定テーブルの内容を順次作業領域に設定する(ステップS12)。
ステップS11およびS12の処理によって、例えば、普通図柄当り判定用乱数カウンタ、特別図柄バッファ、総賞球数格納バッファ、特別図柄プロセスフラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグに初期値が設定される。
また、CPU56は、サブ基板(主基板40以外のマイクロコンピュータが搭載された基板。)を初期化するための初期化指定コマンド(遊技制御用マイクロコンピュータ156が初期化処理を実行したことを示すコマンドでもある。)をサブ基板に送信する(ステップS13)。例えば、演出制御用マイクロコンピュータは、初期化指定コマンドを受信すると、演出表示装置11において、遊技機の制御の初期化がなされたことを報知するための画面表示、すなわち初期化報知を行う。
また、CPU56は、乱数回路60を初期設定する乱数回路設定処理を実行する(ステップS14)。CPU56は、例えば、乱数回路設定プログラムに従って処理を実行することによって、乱数回路60にランダムRの値を更新させるための設定を行う。
そして、ステップS15において、CPU56は、所定時間(例えば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかるように遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行う。すなわち、初期値として例えば2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施形態では、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるとする。
初期化処理の実行(ステップS10〜S15)が完了すると、CPU56は、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)を繰り返し実行する。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理を実行するときには割込禁止状態に設定し(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態に設定する(ステップS19)。この実施形態では、表示用乱数とは、大当りとしない場合の特別図柄の停止図柄を決定するための乱数や大当りとしない場合にリーチとするか否かを決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である
。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。この実施形態では、初期値用乱数とは、普通図柄に関して当りとするか否か決定するための乱数を発生するためのカウンタ(普通図柄当り判定用乱数発生カウンタ)のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技の進行を制御する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータ156が、遊技機に設けられている演出表示装置、可変入賞装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)において、普通図柄当り判定用乱数のカウント値が1周(普通図柄当り判定用乱数の取りうる値の最小値から最大値までの間の数値の個数分歩進したこと)すると、そのカウンタに初期値が設定される。
なお、この実施形態では、リーチ演出は、演出表示装置11において可変表示される演出図柄(飾り図柄)を用いて実行される。また、特別図柄の表示結果を大当り図柄にする場合には、リーチ演出は常に実行される。特別図柄の表示結果を大当り図柄にしない場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数を用いた抽選によって、リーチ演出を実行するか否か決定する。ただし、実際にリーチ演出の制御を実行するのは、演出制御用マイクロコンピュータである。
タイマ割込が発生すると、CPU56は、図5に示すステップS20〜S34のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップS20)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電源監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU56は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、ゲートスイッチ33a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよびカウントスイッチ25aの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
次に、CPU56は、第1特別図柄表示器12a、第2特別図柄表示器12b、普通図柄表示器26、特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄保留記憶表示器27の表示制御を行う表示制御処理を実行する(ステップS22)。第1特別図柄表示器12a、第2特別図柄表示器12bおよび普通図柄表示器26については、ステップS32,S33で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
また、遊技制御に用いられる普通図柄当り判定用乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(判定用乱数更新処理:ステップS23)。CPU56は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(初期値用乱数更新処理,表示用乱数更新処理:ステップS24,S25)。
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス処理では、第1特別図柄表示器12a、第2特別図柄表示器12bおよび大入賞口24(特別可変入賞装置22)を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
次いで、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、CPU56は、普通図柄表示器26の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
また、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータに演出制御コマンドを送出する処理を行う(演出制御コマンド制御処理:ステップS28)。
さらに、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS29)。
また、CPU56は、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよびカウントスイッチ25aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよびカウントスイッチ25aのいずれかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
なお、上述したが、カウントスイッチ25aによって遊技球が検出された場合には、この検出情報に基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。また、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aによって遊技球が検出された場合には、この検出情報に基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出される。
また、この実施形態では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU56は、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域におけるソレノイドのオン/オフに関する内容を出力ポートに出力する(ステップS31:出力処理)。
次で、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行うための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行う(ステップS32)。CPU56は、例えば、特別図柄プロセス処理でセットされる開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、変動速度が1コマ/0.2秒であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値を+1する。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、第1特別図柄表示器12aおよび第2特別図柄表示器12bにおける第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示を実行する。
さらに、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行うための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行う(ステップS33)。CPU56は、例えば、普通図柄の変動に関する開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、普通図柄の変動速度が0.2秒ごとに表示状態(「○」および「×」)を切り替えるような速度であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値(例えば、「○」を示す1と「×」を示す0)を切り替える。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、普通図柄表示器26における普通図柄の演出表示を実行する。
その後、割込許可状態に設定し(ステップS34)、処理を終了する。
以上の制御によって、この実施形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、遊技制御処理は、タイマ割込処理におけるステップS21〜S33(ステップS29を除く。)の処理に相当する。また、この実施形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
図6および図7は、主基板40に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ156(具体的には、CPU56)が実行する特別図柄プロセス処理(ステップS26)のプログラムの一例を示すフローチャートである。上述したように、特別図柄プロセス処理では第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bおよび大入賞口24(特別可変入賞装置22)を制御するための処理が実行される。特別図柄プロセス処理において、CPU56は、第1始動入賞口13aに遊技球が入賞したことを検出するための第1始動口スイッチ14aがオンしていたら、すなわち、第1始動入賞口13aへの始動入賞が発生していたら、第1始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS311,S312)。また、CPU56は、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞したことを検出するための第2始動口スイッチ15aがオンしていたら、すなわち第2始動入賞口13bへの始動入賞が発生していたら、第2始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS313,S314)。そして、ステップS300〜S308のうちのいずれかの処理を行う。第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aがオンしていなければ、内部状態に応じて、ステップS300〜S308のうちのいずれかの処理を行う。
ステップS300〜S308の処理は、以下のような処理である。
特別図柄通常処理(ステップS300):特別図柄プロセスフラグの値が0であるときに実行される。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、保留記憶数バッファに記憶される数値データの記憶数(合算保留記憶数)を確認する。保留記憶数バッファに記憶される数値データの記憶数は合算保留記憶数カウンタのカウント値により確認できる。また、合算保留記憶数カウンタのカウント値が0でなければ、第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示の表示結果を大当りとするか否かを決定する。大当りとする場合には大当りフラグをセットする。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS301に応じた値(この例では1)に更新する。なお、大当りフラグは、大当り遊技が終了するときにリセットされる。
変動パターン設定処理(ステップS301):特別図柄プロセスフラグの値が1であるときに実行される。また、変動パターンを決定し、その変動パターンにおける変動時間(可変表示時間:可変表示を開始してから表示結果を導出表示(停止表示)するまでの時間)を特別図柄の可変表示の変動時間とすることに決定する。また、特別図柄の変動時間を計測する変動時間タイマをスタートさせる。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS302に対応した値(この例では2)に更新する。
表示結果指定コマンド送信処理(ステップS302):特別図柄プロセスフラグの値が2であるときに実行される。演出制御用マイクロコンピュータに、表示結果指定コマンドを送信する制御を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS303に対応した値(この例では3)に更新する。
特別図柄変動中処理(ステップS303):特別図柄プロセスフラグの値が3であるときに実行される。変動パターン設定処理で選択された変動パターンの変動時間が経過(ステップS301でセットされる変動時間タイマがタイムアウトすなわち変動時間タイマの値が0になる)すると、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS304に対応した値(この例では4)に更新する。
特別図柄停止処理(ステップS304):特別図柄プロセスフラグの値が4であるときに実行される。第1特別図柄表示器12aまたは第2特別図柄表示器12bにおける可変表示を停止して停止図柄を導出表示させる。また、演出制御用マイクロコンピュータに、図柄確定指定コマンドを送信する制御を行う。そして、大当りフラグがセットされている場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に対応した値(この例では5)に更新する。大当りフラグにセットされていない場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS300に対応した値(この例では0)に更新する。なお、演出制御用マイクロコンピュータは、遊技制御用マイクロコンピュータ156が送信する図柄確定指定コマンドを受信すると演出表示装置11において演出図柄が停止されるように制御する。
大入賞口開放前処理(ステップS305):特別図柄プロセスフラグの値が5であるときに実行される。大入賞口開放前処理では、大入賞口24を開放する制御を行う。具体的には、カウンタ(例えば、大入賞口24に入った遊技球数をカウントするカウンタ)などを初期化するとともに、ソレノイド106を駆動して大入賞口24を開放状態にする。また、タイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定し、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS306に対応した値(この例では6)に更新する。なお、大入賞口開放前処理は各ラウンド毎に実行されるが、第1ラウンドを開始する場合には、大入賞口開放前処理は大当り遊技を開始する処理でもある。
大入賞口開放中処理(ステップS306):特別図柄プロセスフラグの値が6であるときに実行される。大当り遊技状態中のラウンド表示の演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータに送信する制御や大入賞口24の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口24の閉成条件が成立し、かつ、賞球検出待ち時間が経過した場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS307に対応した値(この例では7)に更新する。
大入賞口開放後処理(ステップS307):特別図柄プロセスフラグの値が7であるときに実行される。大当り遊技状態中のラウンド表示の演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータに送信する制御や大入賞口24の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口24の閉成条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に対応した値(この例では5)に更新する。また、全てのラウンドを終えた場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS308に対応した値(この例では8)に更新する。
大当り終了処理(ステップS308):特別図柄プロセスフラグの値が8であるときに実行される。大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を演出制御用マイクロコンピュータに行わせるための制御を行う。また、遊技状態を示すフラグ(例えば、確変フラグや時短フラグ)をセットする処理を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS300に対応した値(この例では0)に更新する。
図8は、大入賞口開放前処理として、図7のステップS305にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図8に示す大入賞口開放前処理において、CPU56は、まず、大当り状態開始前フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS391)。このとき、大当り状態開始前フラグがオンであれば(ステップS391;Yes)、大当り状態開始待ち時間が経過したか否かを判定する(ステップS392)。そして、大当り状態開始待ち時間が経過していなければ(ステップS392;No)、大入賞口開放前処理を終了することで、大当り状態開始待ち時間が経過するまで待機する。演出制御基板80の側では、例えば大当り状態開始待ち時間が経過するまでの期間において、大当り遊技状態が開始されることを報知する演出動作などが実行されるようにすればよい。
ステップS392にて大当り状態開始待ち時間が経過したときには(ステップS392;Yes)、大当り状態開始前フラグをクリアしてオフ状態とする(ステップS393)。また、演出制御基板80に対して大当り開始コマンドを送信するための設定を行う(ステップS394)。そして、ラウンド開始待ち時間を設定してから(ステップS395)、大入賞口開放前処理を終了する。
ステップS391にて大当り状態開始前フラグがオフであるときには(ステップS391;No)、ラウンド開始待ちが経過したか否かを判定する(ステップS396)。このとき、ラウンド開始待ち時間が経過していなければ(ステップS396;No)、大入賞口開放前処理を終了することで、ラウンド開始待ち時間が経過するまで待機する。
ステップS396にてラウンド開始待ち時間が経過したときには(ステップS396;Yes)、入賞個数カウンタをクリアして、その格納値である入賞個数カウント値を「0」に初期化する(ステップS397)。また、大入賞口最大開放時間(例えば29000ms)を設定する(ステップS398)。このときには、ソレノイド106を駆動して底面部材23により大入賞口24を開放状態とする設定を行う(ステップS399)。さらに、演出制御基板80に対してラウンド開始コマンドを送信するための設定を行う(ステップS400)。そして、特図プロセスフラグの値を大入賞口開放中処理に対応した値である“6”に更新してから(ステップS401)、大入賞口開放前処理を終了する。
図9は、大入賞口開放中処理として、図7のステップS306にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す大入賞口開放中処理において、CPU56は、まず、賞球検出待ち時間が設定されているか否かを判定し(ステップS410)、賞球検出待ち時間が設定されていない場合には(ステップS410;No)、大入賞口最大開放時間が経過したか否かを判定する(ステップS411)。このとき、大入賞口最大開放時間が経過していなければ(ステップS411;No)、カウントスイッチ25aがオンであるか否かを判定し(ステップS412)、カウントスイッチ25aがオンであれば(ステップS412;Yes)、入賞個数カウント値を1加算するように更新した後(ステップS413)、賞球個数コマンドを払出制御基板37に送信し(ステップS414)、ステップS415に進む。また、カウントスイッチ25aがオンでなければ(ステップS412;No)、そのままステップS415に進む。
ステップS415においては、入賞個数カウント値が所定の最大入賞判定値(例えば「9」)に達したか否かを判定し(ステップS415)、所定の最大入賞判定値に達していなければ、大入賞口開放中処理を終了する。
ステップS411にて大入賞口最大開放時間が経過している場合(ステップS411;Yes)またはステップS415にて入賞個数カウント値が所定の最大入賞判定値に達したことによりラウンド終了条件が成立した場合には、ソレノイド106の駆動を停止して底面部材23により大入賞口24を閉鎖状態とする設定を行う(ステップS416)。続いて、ラウンド終了コマンドを演出制御基板80に対して送信するための設定を行った後(ステップS417)、賞球検出待ち時間を設定して(ステップS418)、大入賞口開放中処理を終了する。
ここで、賞球検出待ち時間は、底面部材23を閉鎖する直前に入賞した遊技球がカウントスイッチ25aを通過するまでにかかる時間であり、大入賞口24からカウントスイッチ25aまでの入賞球誘導通路の長さに応じて設定される。つまり、上記ラウンドの終了条件が成立したことに基づき底面部材23を閉鎖してからカウントスイッチ25aにて検出された遊技球は、当該ラウンドにてオーバー入賞した遊技球として検出され、次のラウンドで入賞した遊技球として検出されないようになっている。
ステップS410にて賞球検出待ち時間が設定されている場合には(ステップS410;Yes)、賞球検出待ち時間が経過したか否かを判定し(ステップS420)、賞球検出待ち時間が経過していない場合には(ステップS420;No)、カウントスイッチ25aからの検出信号がオンであるか否かを判定し(ステップS422)、カウントスイッチ25aからの検出信号がオンである場合には(ステップS422;Yes)、賞球個数コマンドを払出制御基板37に送信し(ステップS423)、大入賞口開放中処理を終了する。
また、ステップS420にて賞球検出待ち時間が経過した場合には(ステップS420;Yes)、特図プロセスフラグの値を大入賞口開放後処理に対応した値である“7”に更新してから(ステップS421)、大入賞口開放中処理を終了する。
図10は、大入賞口開放後処理として、図7のステップS307にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図10に示す大入賞口開放後処理において、CPU56は、まず、大入賞口開放カウント値が1減算されるように更新する(ステップS431)。このときには、更新後の大入賞口開放カウント値が「0」となったか否かを判定する(ステップS432)。そして、大入賞口開放カウント値が「0」以外であれば(ステップS432;No)、ラウンド開始待ち時間を設定するとともに(ステップS433)、特図プロセスフラグの値を大入賞口開放前処理に対応した値である“5”に更新してから(ステップS434)、大入賞口開放後処理を終了する。こうして、ステップS432の処理により更新後の大入賞口開放カウント値が「0」であると判定されるまでは、図7に示すステップS305〜S307の処理を繰り返し実行することにより、大当り遊技状態にて特別可変入賞球装置22を開放状態とする複数回のラウンド遊技を実行させることができる。
ステップS432にて大入賞口開放カウント値が「0」であるときには(ステップS432;Yes)、大当り終了前時間を設定する(ステップS435)。このときには、大当りフラグをクリアしてオフ状態とする(ステップS436)。そして、特図プロセスフラグの値を大当り終了処理に対応した値である“8”に更新してから(ステップS437)、大入賞口開放後処理を終了する。
次に図11は、主基板40に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ156(具体的には、CPU56)が実行する普通図柄プロセス処理(ステップS27)のプログラムの一例を示すフローチャートである。
普通図柄プロセス処理では、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲート32またはゲート33を遊技球が通過してゲートスイッチ32aまたはゲートスイッチ33aがオン状態となったことを検出すると、ゲートスイッチ通過処理が実行し、その後、普通図柄プロセスフラグの値に応じてステップS100〜S104に示された処理のうちのいずれかの処理を実行する。
普通図柄通常処理(ステップS100):遊技制御用マイクロコンピュータ156は、普通図柄の変動を開始することができる状態(例えば普通図柄プロセスフラグの値がステップS100を示す値「0」となっている場合、具体的には、普通図柄表示器26において普通図柄の変動表示が行われていない状態であって、かつ、普通図柄表示器26に当たり図柄が導出表示されたことにもとづく普通可変入賞装置21の開閉動作中でもない場合)には、ゲート通過記憶数の値を確認する。具体的には、ゲート通過記憶数カウンタのカウント値を確認する。ゲート通過記憶数が0でなければ、当りとするか否か(普通図柄の停止図柄を当り図柄とするか否か)を決定する。そして、普通図柄プロセスタイマに普通図柄の変動時間をセットし、タイマをスタートさせる。そして、普通図柄プロセスフラグの値を普通図柄変動処理(ステップS101)を示す値(具体的には「1」)に更新する。
普通図柄変動処理(ステップS101):遊技制御用マイクロコンピュータ156は、普通図柄プロセスタイマがタイムアウトしたか否か確認し、タイムアウトしていたら、普通図柄表示器26における普通図柄の変動を停止し、普通図柄プロセスタイマに普通図柄停図柄表示時間をセットし、タイマをスタートさせる。そして、普通図柄プロセスフラグの値を普通図柄停止処理(ステップS102)を示す値(具体的には「2」)に更新する。
普通図柄停止処理(ステップS102):遊技制御用マイクロコンピュータ156は、普通図柄プロセスタイマがタイムアウトしたか否かを確認し、タイムアウトしていたら、普通図柄の停止図柄が当り図柄であるかどうかを確認する。当り図柄でなければ(はずれ図柄であれば)、普通図柄プロセスフラグの値を普通図柄通常処理(ステップS100)を示す値(具体的には「0」)に更新する。普通図柄の停止図柄が当り図柄であれば、普通図柄プロセスフラグの値を普通電動開放前処理(ステップS103)を示す値(具体的には「3」)に更新する。
普通電動役物開放前処理(ステップS103):遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1回目の開放前であれば、開放回数カウンタに開放回数をセットし、ソレノイド16を駆動して普通電動役物(普通可変入賞装置21)を開放する。そして、普通図柄プロセスフラグの値を普通電動開放中処理(ステップS104)を示す値(具体的には「4」)に更新する。第1回目の開放前でなければ、すなわち2回目以降の開放後であれば、閉鎖時間を計測し、閉鎖時間が経過したら、普通図柄プロセスフラグの値を普通電動開放中処理(ステップS104)を示す値(具体的には「4」)に更新する。
普通電動役物開放中処理(ステップS104):遊技制御用マイクロコンピュータ156は、開放時間を計測し、開放時間が経過したら、ソレノイド16の駆動を停止させて普通電動役物を閉鎖する。最後の開放が終了した場合には、普通図柄プロセスフラグの値を普通図柄通常処理(ステップS100)を示す値(具体的には「0」)に更新する。最後の開放が終了した場合でなければ、普通図柄プロセスフラグの値を普通電動開放前処理(ステップS103)を示す値(具体的には「3」)に更新する。
ここで、この実施形態では、図12(A)および図12(B)のタイミングチャートに示すように、通常状態での普通図柄の変動時間は30.0秒であり、確変状態および時短状態での普通図柄の変動時間は1.0秒である。また、通常状態での開放時間、閉時間および開放回数は、0.3秒、1.0秒および2回であり、確変状態および時短状態での開放時間、閉時間および開放回数は、1.2秒、1.5秒および3回である。また、時短状態では、確変状態の場合と同様である。なお、ここで説明した変動時間などは一例であり、他の態様であっても構わない。
次に図13〜図18は、特別可変入賞球装置22を示す図である。以下では、図1および図13〜図17を参照して特別可変入賞球装置22について説明する。
図13〜図16に示すように、特別可変入賞球装置22は、左右方向に長い矩形板状のベース板部101を備えている。特別可変入賞球装置22は、このベース板部101が遊技領域10に例えば螺子などで固定されることで、遊技領域10に固定支持される。ベース板部101の略中央領域には、前方に向けて開口する大入賞口24が形成されるとともに、ベース板部101における大入賞口24よりも上方の位置には、底面部材23が後退移動した際に、底面部材23を遊技領域10の背面側(後方)に収容するための左右方向に長いスリット状の収容孔102が形成されている。なお、本実施形態において大入賞口24は詳しくは、ベース板部101の左右方向中央よりやや左側に形成されているが、これよりも左または右であってもよい。
底面部材23は、右方からその上面に進入した遊技球を、左方に向けて流下させるように、左下がり傾斜し、収容孔102は、底面部材23の傾斜に沿うように、左下がり傾斜するように形成されている。底面部材23は、図14に示す前進移動された状態と、図15に示す後退移動した状態と、に進退移動可能とされており、図16及び図17を参照し、ベース板部101の背面側(後方)には、底面部材23を進退移動させる駆動装置103が配置されている。
駆動装置103は、ベース板部101の背面に一体形成された収容部104(図16において、説明便宜上、二点鎖線で示す。)に収容され、この収容部104は、遊技領域10に形成された図示省略する孔に挿通されて、遊技領域10の後方内部に収容されるように配置されている。なお、本実施形態において収容部104は、ベース板部101に一体形成されるが、別体でベース板部101に固定されるものであってもよい。
駆動装置103は、プランジャ105を前後方向に進退移動させるソレノイド106と、プランジャ105の先端部に、一端部を上下方向を軸中心として回動可能に支持されるとともに他端を右方に延ばし、その中央部に枢支孔107が形成された第1アーム部108と、第1アーム部108の先端部に形成された長孔109に挿通される軸部110を一端部に有するとともに、他端部を底面部材23の後部に固定させた前後方向に延在する第2アーム部111と、を備えている。
ソレノイド106は、主基板40からの指令に基づき駆動し、第1アーム部108の枢支孔107には、上下方向が軸中心となるように図示省略する枢軸(例えば、収容部104に形成される)が挿通される。これにより、プランジャ105の進退移動に伴い、第1アーム部108が枢支孔107を軸中心に揺動し、長孔109が形成された側の端部が前後方向に揺動する。そして、第2アーム部111は、軸部110が長孔109の長手方向に相対移動可能に挿通されることで、第1アーム部108の揺動に応じて長孔109から前後方向に沿った作用力を付与されることになり、底面部材23を前後方向に沿って進退移動させることが可能となっている。
本実施形態では、図17(A)に示すように、プランジャ105が後方に向けて推進した状態で、底面部材23が前進移動した状態となる一方で、図17(B)に示すように、図17(A)の状態からプランジャ105を縮退させることで、第1アーム部108が枢支孔107を軸中心に揺動して、長孔109が形成された側の端部が後方に移動する。これにより、第2アーム部111が後方に引かれることで、底面部材23が後退移動した状態となり、逆の動作によって、底面部材23が前進移動した状態となる。
図13〜図15に戻り、ベース板部101の正面側には、前方に向けて突出した流路形成台部112が形成されており、この流路形成台部112の上部には、前進移動した状態の底面部材23の上方側端部(右端部)である上流領域23Uと底面部材23の長手方向で連なり、底面部材23とともに遊技球の流路を形成する上流側流路部113と、底面部材23の下方側端部(左端部)である下流領域23Lと底面部材23の長手方向で連なり、底面部材23とともに遊技球の流路を形成する下流側流路部114と、が形成されている。
また、流路形成台部112の上部には、上流側流路部113及び下流側流路部114の底面部材23側の端部から下方に凹み、正面視で、大入賞口24を左右及び下方から囲うようにして、底面部材23の下方に落下した遊技球を大入賞口24に案内する案内流路部115が形成されている。
上流側流路部113及び下流側流路部114は、遊技球を左方に流下させるべく左下がりに傾斜するように形成されている。また、案内流路部115の底部は、大入賞口24側に向けて左下がりに延びるとともに、大入賞口24の前方の位置で凹んでいる。そして、案内流路部115の底部において上記凹んだ空間には、遊技球を大入賞口24側(遊技領域10の背面側)に向けて後方に案内する三角形状のガイド部116が配設されている。
またさらに、流路形成台部112の前部(遊技者側)には、上流側流路部113、下流側流路部114および案内流路部115を前方から覆う被覆部117が一体に形成されている。この被覆部117は、上流側流路部113、下流側流路部114および案内流路部115を前方から覆うことで、これら各流路部を流下する遊技球がガラス扉枠4側に跳ねてしまうことを防ぐ機能を有している。なお、本実施形態では、被覆部117が流路形成台部112に一体形成されるが、別体で固定されるものでもよい。
特別可変入賞球装置22では、ベース板部101と被覆部117との間において、上流側流路部113、底面部材23、および下流側流路部114からなる、左右方向に連なる遊技球の流路Fが形成される。ここで、本実施形態では、ベース板部101及び被覆部117に、流路Fを流下する遊技球の流下速度を低下させる複数の規制片118(遅延手段に相当)が形成されている。
本実施形態において、規制片118は、ベース板部101及び被覆部117に一体形成され、ベース板部101から前方に突出する、または被覆部117から後方に突出するリブ状に形成され、遊技球に干渉することで、左方に向けて流下する遊技球を前後方向成分の動きをもって蛇行するように、遊技球の流下方向を変更させて、その流下にかかる時間を、規制片118がない場合よりも遅延させる。これら規制片118は、流路Fにおける遊技球の流下方向で、所定間隔を空けて並ぶように形成され、かつベース板部101及び被覆部117に交互に形成されている。また、規制片118は、底面部材23の前後方向幅の1/3〜1/4程度の幅寸法に設定され、かつ隣接するもの同士の間に遊技球が通過可能な幅寸法に設定されている。
さらに詳しくは、本実施形態では、被覆部117のうちの上流側流路部113を前方から覆う部位に、規制片118が1つ形成されるとともに、被覆部117のうちの下流側流路部114を前方から覆う部位に、規制片118が1つ形成されている。また、ベース板部101および被覆部117のうちの底面部材23を覆う部位には、ベース板部101および被覆部117に交互に形成された規制片118が合計5つ形成されている。なお、このような規制片118の数は、特段限定されるものではない。
また、本実施形態では、規制片118の大部分が、前方(遊技者側)から被覆部117によって覆われるようになっている。
以上のような規制片118の配置により、図14及び図16に示すように、本実施形態の特別可変入賞球装置22では、流路Fを流下しようとする遊技球Pが、流路F上を蛇行するようにして流下することになる。そして、このような流路Fが形成される特別可変入賞球装置22の閉状態では、遊技球Pが大入賞口24に入賞せずに、特別可変入賞球装置22を基本的に通過する。一方で、図15を参照し、底面部材23が後退移動した特別可変入賞球装置22の開状態では、遊技球Pが、流路形成台部112の案内流路部115に落下することが可能となり、この案内流路部115を流下して、大入賞口24に入賞することが可能となる。
図18は、規制片118により遅延された遊技球Pの、底面部材23における上流領域23Uから下流領域23Lへの流下にかかる時間(以下、流下時間)と、大当り遊技状態におけるラウンドインターバルとの関係を説明する図である。
図18(A)では、遊技球Pの、底面部材23における上流領域23Uから下流領域23Lへの流下時間を便宜上、符号Ta(s)で示している。一方、図18(B)には、大当り遊技状態におけるラウンドインターバルをTin(s)で示している。ラウンドインターバルTin(s)は、大当り遊技状態において特別可変入賞装置22を開状態から閉状態に変化させたあと、再度開状態に変化させる時間であり、図9のステップS418で設定される賞球検出待ち時間と、図10のステップS433で設定されるラウンド開始待ち時間とを加算した加算時間にもとづくものである(当該加算時間そのものでもよい)。
なお、本実施形態では、賞球検出待ち時間は、案内流路部115に進入した遊技球が大入賞口24を通過して、カウントスイッチ25aで検出される時間を勘案して決定される。
ここで、本実施形態では、流下時間Ta(s)>ラウンドインターバルTin(s)の関係が成り立つように、規制片118が設けられるようになっている。このような関係とするための具体的な手段としては、例えば、底面部材23上の上流領域23Uから下流領域23Lへ蛇行して流下する遊技球の流下距離を、上流領域23Uに達する際の遊技球の平均的な速度で除することなどに基づいて規制片118の数や配置を演算的に決定したりしてもよい。また、実験的に決定したりしてもよい。
以上に記載した第1の実施形態に係るパチンコ遊技機1では、パチンコ遊技機1が大当り遊技状態となり、特別可変入賞装置22が開閉制御された際に、遊技者は、右打ちをして遊技球を特別可変入賞装置22に向けて発射し、大入賞口24に遊技球を入賞させようとする場合に、有益な効果が得られる。
すなわち、このパチンコ遊技機1では、上記のように右打ちを行い、遊技球が底面部材23の上流領域23Uに達した際に特別可変入賞装置22が閉状態であっても、規制片118によって遊技球が底面部材23の下流領域23Lに達するまでの時間がかかる。つまり、遊技球の流下速度が低下されることで、遊技球の流下に時間がかかる。これにより、遊技球が上記下流領域23Lに達したときに、特別可変入賞装置22が開状態になっている可能性を高くすることができる。このため、このパチンコ遊技機1では、遊技球を大入賞口24に入賞させ易くすることができるといった有益な効果が得られる。
また具体的に、この実施形態のパチンコ遊技機1では、特別可変入賞装置22が、遊技の結果が特定遊技結果(大当り遊技状態)となったときに複数回開状態に制御され、規制片118により遅延された遊技球の、底面部材23における上流領域23Uから下流領域23Lへの流下時間Ta(s)が、特別変入賞装置22を開状態から閉状態に変化させたあと、再度開状態に変化させる時間であるラウンドインターバルTin(s)よりも長く設定される(制御される)ことで、1回前の開状態への変化で入賞しなかった遊技球が、この次の開状態で入賞する可能性を高めている。ちなみに、この時間関係としない場合であっても、入賞の可能性は高まる。
また、この実施形態のパチンコ遊技機1では、規制片118の遊技者側に、規制片118を被覆する被覆部材である被覆部117が設けられているので、規制片118を目立たなくして、遊技球の流下に遊技者が気付き難くなるようにすることができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態のパチンコ遊技機1’について、図19〜図21を参照して説明する。本実施形態のパチンコ遊技機1’では、第1の実施形態で特別可変入賞装置22として用いられた入賞装置が、所謂電動チューリップ(普通可変入賞装置121)として用いられている。なお、本実施形態における第1の実施形態と同一の構成要素については、同一符号で示し説明を省略する。
まず、図19を参照し、パチンコ遊技機1’の遊技領域10における各種役物の配置構成について説明すると、演出表示装置11は、遊技領域10の中央に設けるが、第1の実施形態のものよりも小さく、第1の実施形態で説明したような飾り枠体35が設けられていない。そして、演出表示装置11の左右には、遊技球を流下させるスペースが比較的大きく確保されている。
普通入賞装置20は、第1の実施形態と同様に演出表示装置11の下方に設けられている。普通図柄表示器26を可変表示させるゲートは2つ設けられ、ゲート32は、第1の実施形態と同様のもので同様の位置に設けられるが、もう一方のゲート133は、演出表示装置11の右方に設けられている。そして、第1の実施形態で特別可変入賞装置22として用いられた入賞装置と同様の構成の装置が、所謂電動チューリップとして機能する普通可変入賞装置121とされ、ゲート133の左下方に設けられている、なお、符号133aは、ゲート133を通過した遊技球を検知するためのゲートスイッチを示している。また、131bは、本実施形態における第2始動入賞口を示している。
ゲート133と普通可変入賞装置121との間には、ゲート133を通過した普通可変入賞装置121の流路F(図14等参照のこと)に誘導する誘導釘群134A〜Cが設けられている。
図20に示すように、誘導釘群134Aは、ゲート133の下方直近位置から延び、略真直ぐ下方にゲート133を通過した遊技球が右方に流下方向を変更するように、下方に向かうに従い右に向かって弧状をなすように植設されている。誘導釘群134Bは、誘導釘群134Aを通過し右下方に流下しようとする遊技球が左方に流下方向を変更するように、比較的急角度で左下がりに延びるように植設されている。また、誘導釘群134Cは、誘導釘群134Bの左下方に位置しており、誘導釘群134Bによって左下方に流下しようと流下方向を変更した遊技球が、普通可変入賞装置121の手前で下方に流下しないように、緩やか角度で左下がりに延びるように植設されている。なお、本実施形態において、誘導釘群134Aを遊技球が右側に流下方向を変更するように設けるのは、遊技球が普通可変入賞装置121に達するまでの時間を稼ぐためである。
本実施形態の特別可変入賞装置122は、普通可変入賞装置121の下方であって、遊技領域10において左右方向中央よりも右側に設けられている。特別可変入賞装置122は、ソレノイドによって左右方向に長尺な矩形状の開閉蓋を開閉させて、大入賞口24を開閉させる一般的なものが用いられている。この特別可変入賞装置122の上方には、普通可変入賞装置121で入賞せずに流下した遊技球が、特別可変入賞装置122に誘導され易くするための、誘導釘群134Dが植設されている。
この実施形態のパチンコ遊技機1’は、第1の実施形態と概略同様の遊技方法で遊技されるものであり、遊技者が、パチンコ遊技機1’の遊技状態に応じて、R1で示す「左打ち」またはR2で示す「右打ち」を打ち分ける仕様のものである。
詳しくは、このパチンコ遊技機1’では、遊技領域10において中央よりも右側に特別可変入賞装置122が設けられているため、ルートR2を通る遊技球が、大入賞口24に入賞する可能性が高くなっている。一方で、ルートR1を通る遊技球は、大入賞口24に入賞する可能性が低くなっている。したがって、パチンコ遊技機1’が大当り遊技状態となり、特別可変入賞装置122が大入賞口24を開閉させる際は、遊技者は「右打ち」をすることで、遊技球が大入賞口24に入賞し易くなる。
また、第2始動入賞口131bを有する普通可変入賞装置121の上方には、ゲート133があり、ルートR2を通る遊技球はゲート133を通過し易くなっている。しかしながら、普通可変入賞装置121は、普通図柄表示器26が点灯して当りとなった場合にしか、第2始動入賞口131bを開状態としない。このため、パチンコ遊技機1が特定の遊技状態(確変状態および時短状態)でないときは、遊技者は、「左打ち」をして、第1始動入賞口13aに入賞させるほうが、パチンコ遊技機1が大当り遊技状態となる可能性が高いといえる。
ゲート32またはゲート133を遊技球が通過してゲートスイッチ32aまたはゲートスイッチ33aがオン状態となったことが検出された場合に実行される普通図柄プロセス処理(ステップS27)は、第1の実施形態と同様である。
ここで、この実施形態では、図21(A)の説明図および図21(B)のタイミングチャートに示すように、通常状態での普通図柄の変動時間は30.0秒であり、確変状態および時短状態での普通図柄の変動時間はt1(s)秒である。また、通常状態での開放時間、閉時間および開放回数は、0.3秒、1.0秒および2回であり、確変状態および時短状態での開放時間、および開放回数は、topen(s)秒、および1回である。なお、本実施形態では、確変状態および時短状態での閉時間は、開放回数が1回であることで、保留玉があり連続して当りとなる場合には、t1(s)秒に相当することになる。また、図20(B)において示すt2(s)は、t1(s)+topen(s)に相当する。また、普通図柄表示器26の保留玉がある場合には、topen(s)秒だけ普通可変入賞装置121を開放した後、すぐさま普通図柄表示器26の変動が開始される。
ここで、図18(A)を援用し、遊技球Pの、普通可変入賞装置121の底面部材23における上流領域23Uから下流領域23Lへの流下時間Ta(s)とした場合に、本実施形態では、流下時間Ta(s)>変動時間t1(s)の関係が成り立つように規制片118が設けられるようになっている。なお、t1(s)は例えば0.6秒などに設定される。なお、このような時間設定は、第1の実施形態と同様に演算的または実験的に決定すればよい。
また、図20では、ゲート133を通過した遊技球Pが、普通可変入賞装置121の上流側流路部113に達するまでの流下時間を便宜上、符号Tb(s)で示すが、本実施形態では、変動時間t1(s)<流下時間Tb(s)<変動時間・開放時間t2(s)の関係が成り立つように、ゲート133、普通可変入賞装置121、および誘導釘群134A〜134Cが配置されている。
つまり、遊技球Pがゲート133を通過して普通図柄表示器26が変動表示を開始してから、当りとなり普通可変入賞装置121が底面部材23を開放させる時間である変動時間t1(s)を、遊技球Pがゲート133を通過してから普通可変入賞装置121の上流側流路部113に達するまでの流下時間Tb(s)よりも短くなるように設定している。また、遊技球Pがゲート133を通過してから普通可変入賞装置121の上流側流路部113に達するまでの流下時間Tb(s)を、普通図柄表示器26が変動表示を開始して、当りとなり、普通可変入賞装置121が底面部材23を開放させ、その後、底面部材23を閉鎖する時間t2(s)よりも、短くなるように設定している。
この場合、遊技球Pがゲート133を通過して普通図柄表示器26が当りとなり、普通可変入賞装置121の上流側流路部113に達したときには、普通可変入賞装置121が開放状態となり、topen(s)秒だけ普通可変入賞装置121の開状態が維持されるので、遊技球Pが普通可変入賞装置121に入賞し易くなる。
また、遊技球Pがゲート133を通過して普通図柄表示器26が変動表示を開始してから、当りとなり普通可変入賞装置121が底面部材23を開放させる時間である変動時間t1(s)は、打球操作ハンドル8による遊技球の発射間隔(例えば、0.6秒)と同一またはそれ以下に設定されるのが好ましい。この場合、発射された遊技球が底面部材23に達した際に、底面部材23はほぼ開放状態となっているため、普通可変入賞装置121の入賞の可能性を高めることができる。
以上に記載した第2の実施形態に係るパチンコ遊技機1’では、パチンコ遊技機1’が確変状態または時短状態となり、ゲート133を通過した遊技球によって普通可変入賞装置121が頻繁に開閉制御され易くなる場合に、遊技者は、右打ちをして遊技球を普通可変入賞装置121に向けて発射し、第2始動入賞口131bに入賞させようとする場合に、有益な効果が得られる。
すなわち、このパチンコ遊技機1’では、上記のように右打ちを行い、遊技球が底面部材23の上流領域23Uに達した際に普通可変入賞装置121が閉状態であっても、規制片118によって遊技球が底面部材23の下流領域23Lに達するまでの時間がかかる。これにより、遊技球が上記下流領域23Lに達したときに、普通可変入賞装置121が開状態になっている可能性を高くすることができる。このため、このパチンコ遊技機1’では、遊技球を第2始動入賞口131bに入賞させ易くすることができるといった有益な効果が得られる。
また具体的に、本実施形態では、遊技球Pの、底面部材23における上流領域23Uから下流領域23Lへの流下時間Ta(s)が、確変状態および時短状態での普通図柄の変動時間t1(s)よりも長く設定(制御)されることで、1回前の普通図柄表示器26の所定表示結果(当り)の開状態で入賞しなかった遊技球が、この次の開状態で入賞する可能性を高めている。ちなみに、この時間関係としない場合であっても、入賞の可能性は高まる。
また、本実施形態では、上記Ta(s)>t1(s)の関係の他、t1(s)<Tb(s)<t2(s)、また、t1(s)≦発射間隔の関係を設定することで、普通可変入賞装置121への入賞の可能性が高くなっているため、例えば、普通可変入賞装置121の入賞の際の賞球を少なく(例えば、1個)したとしても、確変状態・時短状態における遊技球の減少を効果的に抑えることができる。
なお、この第2の実施形態では、確変状態および時短状態での普通可変入賞装置121の開放時間、および開放回数は、topen(s)秒、および1回であると説明したが、開放回数を複数回にしてもよく、この場合には、普通可変入賞装置121の閉時間を変動時間t1(s)と同じ間隔とするのがよい。このようにすれば、流下時間Ta(s)>t1(s)の関係と同様に、普通可変入賞装置121の当り時の開閉制御中において、閉状態のとき遊技球が底面部材23に達した際の入賞の可能性は高まる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこれら実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、第1実施形態の特別可変入賞装置22および第2の実施形態の普通可変入賞装置121の変形例として、図22、図23に示すようなものであってもよい。この変形例では、図22に示すように、遊技球Pをベース板部101の裏面側に案内する迂回路140がベース板部101の裏面に形成され、底面部材23が前進移動した状態で、底面部材23に設けられた誘導リブ141が迂回路140に遊技球Pを誘導するようになっている。一方で、図23に示すように、底面部材23が後退移動した状態で、誘導リブ141はベース板部101の裏面側に収容され、遊技球Pは、入賞口に入賞可能な状態になる。
迂回路140は、入口142を底面部材23の上流領域23Uに開口させるとともに、出口143を底面部材23の下流領域23Lに開口させており、底面部材23の長さ寸法よりも、長く設定されている。このような変形例においても、遊技球が底面部材23の上流領域23Uに達した際に入賞装置が閉状態であっても、遊技球が迂回路140を流下することで底面部材23の下流領域23Lに達するまでの時間がかかる。これにより、遊技球が上記下流領域23Lに達したときに、入賞装置が開状態になっている可能性を高くなり、遊技球を賞させ易くすることができる。
また、上記第1の実施形態および第2の実施形態では、遅延手段としての規制片118をベース板部101および被覆部117に設けたが、このような規制片は、底面部材23の上面に直接設けてもよい。また、規制片118などの他の遅延手段として、底面部材23の上面に凹凸を設けたり、底面部材23の上面に、例えばショットブラスト処理を施して表面を粗くしたり、底面部材23の上面に、粘性の高い材料を設けて遊技球の転動抵抗を高くしたりして、遅延手段を構成してもよい。
また、上記各実施形態では、ソレノイド106によって底面部材23を動作させる例を説明したが、モータなどを用いるものであっても構わない。
また、上記第1の実施形態では、大当り遊技状態におけるラウンドインターバルをTin(s)として説明したが、パチンコ遊技機によっては、このようなラウンドインターバルが、ラウンドごとに常に一定でなく、特定のラウンドの際に、比較的長い期間(Tin(s)よりも大)だけ特別可変入賞装置22を閉状態としたあと、短時間だけ開状態とし、そのあと、比較的短く閉状態として、そのあと開状態としてラウンド遊技状態とするような場合もある。なお、短時間だけ開状態とする期間を複数回とする場合もある。
このようなラウンドインターバルの態様である場合には、ラウンドインターバル期間中において特別可変入賞装置22を閉状態とする期間を、Tin(s)と同様の時間とする、つまり、流下時間Ta(s)よりも短くするのがよい。このように設定すれば、ラウンドインターバル期間中において特別可変入賞装置22が閉状態の際に底面部材23上に達した遊技球が、下流領域23Lに到達するまでに、遊技球が入賞する可能性を高めることができる。
また、第2の実施形態の変形例として、確変または時短時の普通図柄の変動後に複数回、普通可変入賞装置121が開状態となる場合が考えられ、例えば、普通図柄の変動時間t1(s)秒のあと、topen(s)秒だけ普通可変入賞装置121が開状態になり、そのあと、比較的長い期間(t1(s)より大)だけ閉状態となり、そのあと、開状態となって、さらに短い期間だけ閉状態となり、さらに再度開状態になるような態様も考えられる。このような場合には、上記短い期間を、t1(s)と同様として、流下時間Ta(s)よりも短くするのがよい。
また、第2の実施形態の変形例として、確変または時短時の普通図柄の変動時間が複数種類ある場合も考えられる。具体的には例えば、変動時間が、1秒、1.5秒、2秒等の中から、選択される場合も考えられる。このような場合には、普通図柄の変動時間のうち、最も短い変動時間を、t1(s)と同様として、流下時間Ta(s)よりも短くするのがよい。