JP6031927B2 - 鋼板用化粧シート及びこれを用いた化粧鋼板 - Google Patents

鋼板用化粧シート及びこれを用いた化粧鋼板 Download PDF

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本発明は、鋼板用化粧シート及びこれを用いた化粧鋼板に関し、より具体的には、折り曲げ加工をしても最表層の表面保護層にクラックが発生しない鋼板用化粧シート及びこれを用いた化粧鋼板に関する。
鋼板に意匠を付与するために、塩化ビニル樹脂フィルム、オレフィン樹脂フィルム又はPET等のポリエステル樹脂フィルムに加飾したシートを、鋼板にラミネートすることが行われている。特に、耐汚染性、成形加工性及び高硬度を有するものとしてPETフィルムラミネート鋼板が提案されている(特許文献1参照)。また、ポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂からなる基材シート上に、絵柄模様層、透明性接着剤層及び透明性ポリエステル系樹脂層が順に積層されてなる鋼板用の化粧シートが提案されている(特許文献2参照)。
上記化粧シートは、耐汚染性が高く、高硬度ではあるが、鋼板の曲げ加工の際に、曲面部の表面にクラックが発生するという問題があった。PET等のポリエステルフィルムを用いた場合にはクラックは起きにくく、ある程度の加工性が確保されるが、擦り傷に対する耐性が低いという問題があった。そして、PET等に耐擦傷性を付与するために、その表面にハードコートする方法があるが、やはり曲面部でハードコートにクラックが発生するという問題が生じる。このようなクラックが発生するとクラック部分に汚れが溜まり、耐汚染性が低下する。また、水廻り等に用いた場合には、クラック部分にカビが発生するなどの問題が生じる。
本発明者の所属する研究グループは、上記問題点に対して、鋼板にラミネートして曲げ加工を行っても、曲面部にクラックが入らず、高い成形加工性を有するとともに、耐汚染性及び耐擦傷性を有する鋼板用化粧シートとして、2軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材上に、ウレタン系樹脂組成物からなるプライマー層と電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化させた表面保護層をこの順に積層した鋼板用化粧シートを提案した(特許文献3参照)。これらの鋼鈑用化粧シートは上述の優れた加工性、耐汚染性及び耐擦傷性を有するが、時間の経過とともにその性能が低下する傾向にあることがわかった。
これらの問題点に対し、基材上にプライマー層と特定の破断伸び率を有する表面保護層をこの順に積層してなる鋼板用化粧シートを提案した(特許文献4参照)。
また、基材上に、ウレタン系樹脂組成物からなるプライマー層と電離放射線硬化性樹脂とイソシアネート系硬化剤を含む樹脂組成物を架橋硬化した表面保護層をこの順に積層してなる鋼板用化粧シートを提案した(特許文献5参照)。
さらに、基材上に、無機顔料を含むウレタン系樹脂組成物からなる第1のプライマー層、末端イソシアネートプレポリマーを主成分とする第2のプライマー層、及び電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化した表面保護層をこの順に積層した鋼板用化粧シートを提案した(特許文献6参照)。
特開2000−43192号公報 特開2005−238498号公報 特開2007−290382号公報 特開2009−96184号公報 特開2009−96186号公報 特開2009−255502号公報
上記特許文献4〜6に記載される鋼板用化粧シートは、鋼板にラミネートして曲げ加工を行っても、曲面部にクラックが入らず、高い成形加工性を有するとともに、該曲面部においても、優れた耐汚染性及び耐擦傷性を有し、しかも時間が経過してもその性能低下がない、優れた鋼板用化粧シートである。
しかしながら、上記鋼板用化粧シートは、製造過程又は保管工程において、ブロッキングが生じることがあるため、ブロッキング防止剤として、シリカなどの無機充填材をプライマー層に添加する場合があった。このような無機充填材は、その上に積層される表面保護層にまで頭出しし、艶ムラとなって意匠性を損ねる場合があった。これを防ぐためには、表面保護層を厚膜にする方法があるが、厚膜化によって折り曲げ加工性などの成形加工性が損なわれる場合がある。
また、上記課題を解決するために。表面保護層を構成する樹脂成分に柔軟性の高い材料を用いる方法もあるが、曲げ加工性等は改善されるものの、耐汚染性又は耐擦傷性が低下する。
本発明はこのような状況下で、鋼板にラミネートして曲げ加工を行っても、曲面部にクラックが入らず、高い成形加工性を有するとともに、該曲面部においても、優れた耐汚染性及び耐擦傷性を有し、経時的性能低下がなく、しかも製造過程等でブロッキングを生じない鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、表面保護層を特定の樹脂組成物で構成することにより、上記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
基材上に、少なくともプライマー層及び表面保護層をこの順に有する鋼板用化粧シートであって、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が、少なくとも、
(a)官能基数1〜3の(メタ)アクリレートモノマー及び官能基数4以上の(メタ)アクリレートモノマーを53:47〜68:32の範囲内で含有し、
(b)アクリル樹脂を電離放射線硬化性樹脂100質量部(固形分)に対して、8〜23質量部含有し、
(c)イソシアネート系硬化剤を樹脂成分100質量部(固形分)に対して0〜10質量部含有し、
かつ該表面保護層の厚さが1.5〜4.5μmである鋼板用化粧シート、
を提供するものである。
本発明によれば、鋼板にラミネートして曲げ加工を行っても、曲面部にクラックが入らず、高い成形加工性を有するとともに、該曲面部においても、優れた耐汚染性及び耐擦傷性を有し、時間が経過してもその性能低下がなく、かつ製造過程及び保管時にブロッキングを生じない鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を提供することができる。
本発明の鋼板用化粧シートの構成の一例を示す概略断面図である。 本発明の鋼板用化粧シートの構成の他の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の鋼板用化粧シートについて説明する。図1及び図2は、それぞれ本発明の鋼板用化粧シートの構成の一例を示す概略断面図である。
本発明の鋼板用化粧シート1は、基材2上に、少なくともプライマー層3及び表面保護層4をこの順に有する鋼板用化粧シートである。
[基材]
本発明の鋼板用化粧シートに用いられる基材2としては、本発明の効果を奏するものであれば特に制限はないが、2軸延伸ポリエステルフィルムが好適に用いられる。
2軸延伸されたポリエステルフィルムを基材2として用いることで、後に詳述する表面保護層4の伸びを抑制することができ、表面保護層4におけるクラックの発生を抑制することができる。
ここで用いられるポリエステルとしては特に限定されず、化粧シートの分野で通常用いられているものが使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」ということがある。)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリアリレート等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、ポリエステル樹脂は各種ホモポリマーの他、樹脂の柔軟化等の目的で各種の共重合成分又は改質成分を添加した共重合ポリエステル系樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が使用できる。例えばPETであれば、テレフタル酸とエチレングリコールとの縮合重合反応において、ジカルボン酸成分として、例えば、セバシン酸、エイコ酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の長鎖脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環式ジカルボン酸を導入することができる。また、ジオール成分としてポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の両末端に水酸基を有するポリエーテル系ジオールを導入することができる。
本発明において、基材2として好適に用いられる2軸延伸ポリエステルフィルムは、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等によりフィルム化され、2軸延伸することで調製される。
基材2の厚さは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、25〜100μmの範囲が好適である。基材2の厚さが25〜100μmの範囲であると表面保護層4にかかる張力を十分に緩和することができる。
また、基材2に用いられる2軸延伸されたポリエステル樹脂フィルムは、JIS C2151に準拠して測定した引張強度が150MPa以上であることが好ましい。
引張強度が150MPa以上であると、高剛性であるため、曲げ加工部において発生する局部的な伸びが抑制でき、その上層の表面保護層の伸びも抑制することができる。
基材2に用いられるポリエステル樹脂には、必要に応じて、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、充填剤、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。
これらの添加剤のうち、特に基材2の弾性及び伸び率を向上させ、耐衝撃性を付与し、折り曲げ加工を施した際に、表面保護層に亀裂や割れを生じさせないとの観点から、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の無機充填剤を含有することが好ましい。
これらの無機充填剤の含有量は、基材2に対して5〜60質量%の範囲が好ましい。
また、上記着色剤としては特に限定されず、顔料、染料等の公知の着色剤を使用できる。例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料;イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(染料も含む);アルミニウム、真鍮等の金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。
基材2の着色には、透明着色と不透明着色(隠蔽着色)があり、これらは任意に選択できる。例えば、被着体(化粧シートを接着する鋼板)の地色を着色隠蔽する場合には、不透明着色を選択すればよい。一方、被着体の地模様を目視できるようにする場合には、透明着色を選択すればよい。
また、紫外線吸収剤及び光安定剤については、後に詳述する本発明の表面保護層4を構成する樹脂組成物に添加し得るものと同様のものを使用することができる。
基材2は、他の層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材2の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
[プライマー層]
本発明の化粧シートにおけるプライマー層3は、基材と表面保護層の接着性を高めるものである。プライマー層を構成する材料としては、本発明の効果を奏するものであれば特に限定されないが、ウレタン系樹脂組成物からなることが好ましい。ウレタン系樹脂組成物は柔軟性、強靭性及び弾性を兼ね備えており、このようなプライマー層3を設けることで、曲げ加工時に表面保護層4にかかる衝撃、引張力又はせん断力を緩和することができ、表面保護層4におけるクラックの発生を抑制することができる。
ここで使用されるウレタン樹脂は、JIS K6732に準拠して測定した常温での伸び率が300%以上であることが好ましい。該伸び率が300%以上であると、曲げ加工時に表面保護層4にかかる衝撃、引張力又はせん断力を十分に緩和することができる。以上の観点から、該伸び率は400%以上がより好ましく、500%以上がさらに好ましい。また、ガラス転移点(Tg)は、鋼板用化粧シートに必要十分な柔軟性・強靭性・弾性に加えて、低温下での曲げ加工性を付与するとの観点から、−20℃以下であることが好ましい。
ウレタン樹脂としては、上記の伸び率、Tgを満足するものが好ましく、従来公知の熱可塑性ウレタン樹脂から選択することができる。例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系、アクリル系、ポリカーボネート系等の熱可塑性ウレタン樹脂を単独で使用するか又は混合して使用する。
熱可塑性ウレタン樹脂としては、例えば、架橋構造を持たないウレタン樹脂であって、その骨格構造が直線状又は枝分かれした構造を有するものが好適に挙げられる。また、水分等で硬化せず経時的安定性が良好な点で、イソシアネート基を持たない飽和熱可塑性ウレタン樹脂も好適である。
一方、耐水性が特に要求される場合などは、上記伸び率、Tgを満足しつつ、ある程度架橋構造を有するウレタン樹脂が好適であり、特に強靭性が要求される場合には、ポリエステルウレタン、ポリカーボネートウレタンが好適である。
このような熱可塑性ウレタン樹脂の具体例としては、水酸基を末端に有するポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させた線状高分子からなるウレタン樹脂を挙げることができる。
ポリオールとしては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボーネートポリオール等が挙げられ、より具体的には、ポリエステルポリオールとして、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエート)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリカプロラクトン等のポリエステルジオールが挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリ(テトラメチレンエーテル)等のポリエーテルジオールが挙げられ、また、ポリカーボネートポリオールとしては、ポリ(ブチレンカーボネート)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)等が挙げられる。その他、アクリルポリオール、ウレタンポリオール、フッ素系ポリオール、アクリルシリコーン系ポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリイソシアネート成分としては、ポリウレタン分野にて従来公知の脂肪族(乃至は脂環式)又は芳香族の各種ジイソシアネート等が挙げられる。例えば、脂肪族(乃至は脂環式)系としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート等の脂環式イソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート等である。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で用いるウレタン系樹脂組成物には、着色剤を含有することができる。着色剤としては特に限定されず、基材2の着色に用いることのできるものと同様のもの、またカーボンブラックなどを挙げることができる。
これらの着色剤のうち、チタン白(酸化チタン)などの無機顔料が好ましい。これらの無機顔料は下地の隠蔽効果が高く、また紫外線をカットする効果もある。さらには化粧シートの生産過程において、ブロッキングを防止する効果もある。
無機顔料の含有量としては、ウレタン系樹脂100質量部に対して5〜300質量部の範囲であることが好ましい。5質量部以上であると、無機顔料としての効果を十分に発揮することができる。一方、無機顔料の含有量が多すぎると、ウレタン樹脂組成物の伸び率が低下するが、300質量部以下であれば、伸び率が低下しても十分な強靭性が保たれる。
無機顔料の粒径については、粒径が5μm以下であることが好ましい。5μm以下であると該無機粒子を起点としてクラックが入るという不具合がない。以上の点からさらに粒径は2μm以下であることが好ましい。
本発明では、当該プライマー層3にブロッキング防止剤として、シリカ等の無機充填材を含有することが好ましい。製造過程又は保管工程において、ブロッキングを防止することができるからである。
一方、上述のように、ブロッキング剤は艶ムラを生じさせ、意匠性を損ねる場合があったが、本発明の化粧シートは、表面保護層を厚膜にしても折り曲げ加工性などの成形加工性が損なわれないため、ブロッキング防止剤を添加しても意匠性を損なうことがない。
本発明の化粧シートは、図2に示すように、プライマー層3と表面保護層4の間に末端イソシアネートプレポリマーを主成分とする第2のプライマー層3’を有することが好ましい。末端イソシアネートプレポリマーは、ポリオール化合物とイソシアネート化合物から得られ、通常、空気中の水分や被着体表面の水分と反応して硬化するので、1液硬化型接着剤と称されるものである。
ここで用いられるポリオール化合物としては、公知のポリオール化合物を用いることができ、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオール及びポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、多価カルボン酸とポリオールとの反応により得られ、多価カルボン酸として、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸が挙げられ、ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール等が上げられる。なお、多価カルボン酸とポリオールはそれぞれ1種単独であっても、2種以上を混合させて反応させてもよい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコール等が挙げられ、上記ポリアルキレンポリオールとしてはポリブタジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、水素化ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。
本発明では、特にポリカーボネートポリオールを用いることが好ましく、炭素数4〜12のアルキレン基を有するアルキレンジオールの1種または2種以上と、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネートなど)から、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートジオールが挙げられる。具体的には、ポリブチレンカーボネートポリオール、ポリヘキサメチレンカーボネートポリオール、ポリシクロヘキサンジメチレンカーボネートポリオール等が挙げられる。
上述したこれらのポリオールは、イソシアネート化合物との反応に際し、単独で用いられてもよく、2種以上を混合して用いられてもよい。
また、イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート等が挙げられる。
第2のプライマー層を形成するためのプライマーインキ中には、上記末端イソシアネートプレポリマーの他に、アクリルを含有させることが好ましい。ここで用いられるアクリルとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、これらは末端イソシアネートプレポリマーと共重合させてもよく、また、混合させてもよい。
該アクリルの含有量は、末端イソシアネートプレポリマー100質量部に対して、5〜50質量部添加することが好ましく、さらには20〜40質量部の範囲であることがより好ましい。
また、第2のプライマー層には、本発明の効果を阻害しない範囲で上記顔料を含んでもよい。顔料を含む場合は、より隠蔽効果に優れる点で好ましいが、顔料を含まない場合は、空気中の水分を吸収することによるクラックの発生が抑制されるという点でより好ましい。
プライマー層3の厚さ(第2のプライマー層3’がある場合は、プライマー層3と第2のプライマー層3’の総和)については特に制限はないが1〜10μmの範囲が好ましい。1μm以上であると、曲げ加工時に表面保護層4にかかる衝撃、引張力又はせん断力を緩和することができ、表面保護層4におけるクラックの発生を抑制することができる。また、プライマー層3の厚さが10μm以下であると、化粧シートの生産過程において、ブロッキングを抑制することができ、また、印刷紙をリードするガイドロールに印刷面が接触した際に、印刷インキがガイドロールに転写するといった不都合がない。以上の点から、プライマー層3の厚さは1〜5μmの範囲がさらに好ましい。
また、プライマー層を形成するウレタン樹脂組成物の塗工量は、通常1〜10g/m2の範囲であり、より好ましくは2〜5g/m2の範囲である。
[表面保護層]
次に、表面保護層4は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が、少なくとも、以下の(a)〜(c)の要件を満足するものである。
(a)官能基数1〜3の(メタ)アクリレートモノマー及び官能基数4以上の(メタ)アクリレートモノマー(以下「ソフト成分:ハード成分」と表現することがある。)を53:47〜68:32の範囲内で含有すること。
(b)アクリル樹脂を電離放射線硬化性樹脂100質量部(固形分)に対して、8〜23質量部含有すること。
(c)イソシアネート系硬化剤を樹脂成分100質量部(固形分)に対して0〜10質量部含有すること。
なお、ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
<構成要件(a)>
上記構成要件(a)について、官能基数1の(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、官能基数2の(メタ)アクリレートモノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、官能基数3の(メタ)アクリレートモノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
これらの(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、官能基数4以上の(メタ)アクリレートモノマーとしては、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、上記構成要件(a)に記載されるように、官能基数1〜3の(メタ)アクリレートモノマー及び官能基数4以上の(メタ)アクリレートモノマーの比率(質量比)が53:47〜68:32の範囲内であることが重要である。官能基数1〜3の(メタ)アクリレートモノマーがこの範囲の含有量比よりも少ないと、十分な成形加工性が得られず、一方、この範囲の含有量比よりも多いと、十分な耐汚染性及び耐擦傷性が得られない。
なお、電離放射線硬化性樹脂組成物中には、上記構成要件(a)を満足し、本発明の効果を奏する範囲であれば、上述の電離放射線硬化性樹脂以外の電離放射線硬化性樹脂、例えば、重合性オリゴマーやプレポリマーを併用することもできる。
<構成要件(b)>
本発明では、上記構成要件(b)に記載されるように、アクリル樹脂を電離放射線硬化性樹脂100質量部(固形分)に対して、8〜23質量部含有することが必須の構成要件である。アクリル樹脂の含有量が8質量部未満であると、成形加工性に劣り、またインキ化が困難な場合がある。一方、23質量部を超えると十分な耐汚染性及び耐擦傷性が得られない。
以上の観点から、アクリル樹脂は10〜20質量部の範囲であることがより好ましく、13〜18質量部の範囲であることがさらに好ましい。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル/(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸メチル共重合体などの(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる(メタ)アクリル樹脂が好適に用いられる。
また、アクリル樹脂の重量平均分子量は50000〜100000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量がこの範囲であると電離放射線硬化性樹脂と相溶性が良いという利点がある。以上の観点から、アクリル樹脂の重量平均分子量は65000〜80000の範囲であることがより好ましい。
なお、ここで(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルを意味する。
<構成要件(c)>
本発明では、上記構成要件(c)に記載されるように、イソシアネート系硬化剤を樹脂成分100質量部(固形分)に対して0〜10質量部含有する。イソシアネート系硬化剤を含有することで、表面保護層4の伸びを抑制することができ、表面保護層4におけるクラックの発生を抑制することができる。一方、イソシアネート系硬化剤が10質量部を超えると、硬化反応後でも該硬化剤が残存し、異物となって耐汚染性及び耐擦傷性などの性能を低下させる場合がある。
以上の観点から、イソシアネート系硬化剤の含有量は1〜5質量部の範囲がより好ましい。
ここで用いられるイソシアネート系硬化剤としては、上述した第2のプライマー層3’で用いられるのと同様に、末端イソシアネートプレポリマーが好ましく、さらにはウレタンポリカーボネートが好ましい。これらを用いることで、プライマー層3との密着性がより高くなり、また、同様の末端イソシアネートプレポリマーからなる第2のプライマー層3’が形成される場合には、より一層その密着性が高くなる。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
また本発明における電離放射線硬化型樹脂組成物には、得られる表面保護層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。
本発明においては、前記の(メタ)アクリレートモノマー、アクリル樹脂、イソシアネート系硬化剤及び必要に応じて添加される各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗工液を調製する。この塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。
上述のようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚さに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚さが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGyの範囲で選定される。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
本発明の化粧シートにおける硬化後の好ましい膜厚は、1.5〜4.5μmである。1.5μm未満であると耐汚染性及び耐擦傷性が不十分となる上、意匠性が悪化する。一方、4.5μmを超えると、十分な成形加工性が得られない。
本発明の化粧シートにおいては、基材2とプライマー層3の間、もしくは基材2の裏側(プライマー層3の反対側)に絵柄模様層を設けてもよい(図示せず)。絵柄模様層は、化粧シート及び化粧鋼板に所望の絵柄による意匠性を付与するものであり、絵柄の種類等は特に制限はない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる着色インキ、コーティング剤等を用いた印刷法などにより形成すればよい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等をさらに配合してもよい。
結着剤樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
また、溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いてもよい。
絵柄模様層の厚さは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、乾燥後の層厚で0.1〜10μm程度である。
次に、本発明の化粧シートは図2に示すように、プライマー層の反対側に接着剤層5を介して、さらに隠蔽層6を積層することができる。基材2が透明である場合及び基材2が隠蔽着色されている場合でも、隠蔽性を安定化するために形成することができる。
隠蔽層6を構成する材質としては特に限定されず、塩化ビニル樹脂フィルム、オレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等を用いることができる。これらのうち、表面保護層4のクラック発生を抑制するとの観点からは、基材2と同様の2軸延伸PETフィルム等のポリエステルフィルムを用いるのが好適である。また、隠蔽性、意匠性、クッション性、さらには環境を考慮すると、オレフィンフィルム、特にポリプロピレンフィルムが好ましい。
隠蔽層6を構成するフィルムは隠蔽層としての機能を発揮するために、通常、着色剤を含有する。着色剤の種類としては、特に限定されず、基材2の着色に用いることのできるものと同様のものを用いることができる。
隠蔽層6を構成するフィルムの厚さとしては、特に制限はないが25〜100μmの範囲が好ましい。25μm以上であると十分な隠蔽効果が得られ、100μm以下であると曲率の関係で表面保護層4が必要以上に伸ばされることがなく、クラック発生をより抑制することができる。
隠蔽層6の形成方法は特に制限はないが、基材2全体を被覆(全面ベタ状)するように形成できる方法が好ましい。例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等が好ましいものとして挙げられる。
また、接着剤層5を構成する接着剤又は粘着剤は特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤又は粘着剤を使用できる。接着剤としては、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂等の硬化性樹脂等が挙げられる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
接着剤層5の厚さは特に制限はないが、通常、乾燥後の厚さが3〜50μmの範囲である。
また、粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系などの粘着剤を適宜選択して用いることができる。これらのうち、耐候性などの点から、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等のアクリル系モノマーの重合体や共重合体を主成分とするアクリル系粘着剤が好ましく、特にn−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどが好適である。
また、架橋剤を添加することもでき、具体的にはイソシアネート系や金属キレート、エポキシ系、およびメラミン系が挙げられる。
該接着剤又は粘着剤の厚さについては、特に制限はないが、通常、1〜100μmの範囲である。
本発明の化粧シートは、鋼板に貼着して化粧鋼板として使用される。被着体となる鋼板としては、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料が挙げられ、これらは溶融亜鉛メッキ処理や電気亜鉛メッキ処理などの表面処理が施されていてもよい。また、被着体の形状は特に限定されず、例えば、平板、曲面板、多角柱等の形状を任意に採用できる。
また、鋼板の厚さについては特に制限はないが、通常0.2〜1mm程度である。なお、被着体である鋼板は隠蔽性を付与するために、鋼板に直接着色してコーティング層を設けてもよい。
本発明の化粧シートを貼付した鋼板は、例えば、汚れやすいユニットバスの壁面やマーカーの消去が求められるホワイトボードなどに好適に用いられる。その他、壁、天井等の建築物内装材、扉、扉枠、窓枠等の建具の表面材、回縁、幅木等の造作部材の表面材、箪笥、キャビネット等の家具の表面材などにも使用できる。また、被着材である鋼板を用いずに、化粧シート自体を建材部材に対するラミネート材、ラッピング材等として使用することもできる。例えば、浴室等に用いられる鋼板基材の表面に本発明の化粧シートを貼着して装飾を施してもよい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて以下に示す性能評価を行った。
(評価方法)
(1)意匠性
表面の意匠性を目視にて評価した。より具体的には、表面に存在する艶ムラの程度により評価した。評価基準は以下のとおりである。
○;艶ムラは存在しない。
△;部分的に艶ムラが存在するが、実用上では気にならない。
×;艶ムラスジが全面に存在し、実用上気になる程度にある。
(2)成形加工性
化粧シートを、外側の半径1.25mmで90度曲げ試験を行い、曲げ加工部にマーカーで色をつけた。該マーカーを布でふきとった後の状態を目視にて観察した(表中では「処理なし」と記載)。評価基準は以下のとおりである。
また、曲げ加工を行う前に、該化粧シートを40℃、相対湿度90%の条件で72時間放置した後、上記と同様の評価を行った(表中では「処理あり」と記載)。評価基準は同様である。
○;色残りがない。
△;僅かに色残りがある。
×;色残りがある。
(3)耐傷性
化粧シートの表面を、ホワイトボード用イレーサー(OHTO社製)を用いて、荷重500gで100回往復試験した後の状態を目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。
○;傷がつかない。
△;若干傷がつくが、実使用では問題なし。
×;実使用で気になる程度の傷がつく。
(4)耐汚染性
化粧シートの表面にマーカーを塗布し、50℃で72時間放置し、該マーカーを布で拭き取った後の状態を目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。
○;色残りがない。
△;僅かに色残りがある。
×;色残りがある。
(5)インキの可否
表面保護層形成用樹脂組成物がインキ化できた場合を○とし、インキ化できなかった場合を×評価とした。
実施例1
基材2として、厚さ50μmの2軸延伸透明PETフィルム(東洋紡績(株)製「コスモシャインA4300」)の裏側に接着剤であるポリエステルウレタン樹脂(大日精化工業(株)製「E−295L)」(商品名))を介して、厚さ60μmのポリプロピレンフィルム(三菱化学MKV(株)製「PB−023」(商品名))を貼付した基材を用意した。この基材の表面側に、軟質ウレタン樹脂(伸び率780%、ガラス転移点;−41℃)をバインダーとし、チタン白(酸化チタン、粒径0.2〜0.3μm)を50質量%含有させたプライマーインキを、基材2の片面に厚さが2.8μmとなるように、塗工してプライマー層3を得た。
次に、プライマー層3を乾燥後、その上に、テレフタル酸、イソフタル酸、及びセバシン酸からなる多価カルボン酸とネオペンチルグリコール及びエチレングリコールからなる多価アルコールを反応させて得られるポリエステルポリオール(大日精化工業(株)製「E−256−NT」)100質量部に対して、イソシアネート系硬化剤(大日精化工業(株)製「C−55」)3質量部、及び粒径5μmの未処理シリカ2質量部からなる樹脂組成物を、厚さが1μmとなるように塗布して第2のプライマー層(軟質プライマー層)3’を形成した。
次に、3官能アクリレートモノマーであるエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリアクリレートを60質量部と6官能アクリレートモノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを40質量部、これに2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、スチレン、α−メチルスチレンをモノマーとするアクリル系樹脂(DICグラフィックス(株)「EBT−クリヤーWBWグロス」(製品名))0.2質量部、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート3質量部、及び分子量50000〜100000のアクリル樹脂15質量部からなる電子線硬化性樹脂組成物をグラビアダイレクトコート法により、厚さが3μmとなるように(3g/m2)塗工した。塗工後、加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面保護層4として化粧シート1を得た。
次いで、該化粧シート1をウレタン系の接着剤を用いて厚さ0.6mmの亜鉛メッキ鋼板に貼付し、50℃で24時間養生して、化粧鋼板を得た。
該化粧鋼板について上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
参考例2、実施例3〜9及び比較例1〜9
実施例1において、硬化剤の添加量(参考例2、実施例9、比較例2及び9)、電子線硬化性樹脂の塗布量(実施例3、4、比較例3及び4)、アルカリ樹脂の添加量(実施例5、6、比較例1、2、5及び6)、及びソフト成分:ハード成分(質量比)(実施例7、8、比較例7及び8)を第1表に記載されるように変更したこと以外は実施例1と同様にして、鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を作製した。
上記方法にて評価した結果を第1表に示す。
本発明の化粧シートを貼付した化粧鋼板は、汚れやすいユニットバスの壁面やマーカーの消去が求められるホワイトボードなどに好適に用いられる。その他、壁、天井等の建築物内装材、扉、扉枠、窓枠等の建具の表面材、回縁、幅木等の造作部材の表面材、箪笥、キャビネット等の家具の表面材などにも使用できる。
1.鋼板用化粧シート
2.基材
3.プライマー層
3’.第2のプライマー層
4.表面保護層
5.接着剤層
6.隠蔽層

Claims (7)

  1. 基材上に、少なくともプライマー層及び表面保護層をこの順に有する鋼板用化粧シートであって、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が、少なくとも、
    (a)官能基数1〜3の(メタ)アクリレートモノマー及び官能基数4以上の(メタ)アクリレートモノマーを53:47〜68:32の範囲内で含有し、
    (b)アクリル樹脂を電離放射線硬化性樹脂100質量部(固形分)に対して、8〜23質量部含有し、
    (c)イソシアネート系硬化剤を樹脂成分100質量部(固形分)に対して10質量部以下含有し、
    かつ該表面保護層の厚さが1.5〜4.5μmである鋼板用化粧シート。
  2. 前記基材が2軸延伸ポリエステルフィルムである請求項1に記載の鋼板用化粧シート。
  3. 前記プライマー層がウレタン系樹脂組成物からなる請求項1又は2に記載の鋼板用化粧シート。
  4. 前記プライマー層に無機充填材を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板用化粧シート。
  5. 前記基材のプライマー層側とは反対側に隠蔽層を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼板用化粧シート。
  6. 前記イソシアネート系硬化剤の含有量が、樹脂成分100質量部(固形分)に対して1〜10質量部である請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋼板用化粧シート。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の鋼板用化粧シートを鋼板に貼付した化粧鋼板。
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