JP5471731B2 - 鋼板用化粧シート及びこれを用いた化粧鋼板 - Google Patents

鋼板用化粧シート及びこれを用いた化粧鋼板 Download PDF

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本発明は、鋼板用化粧シート及びこれを用いた化粧鋼板に関し、より具体的には、折り曲げ加工をしても最表層の表面保護層にクラックが発生せず、耐候性の高い鋼板用化粧シート及びこれを用いた化粧鋼板に関する。さらには、プロジェクターによる画像の投影が可能であり、電子ペンによる入力が可能であるホワイトボードシートとして有用な鋼板用化粧シート及び化粧鋼板に関する。
鋼板に意匠を付与するために、塩化ビニル樹脂フィルム、オレフィン樹脂フィルム又はPETなどのポリエステル樹脂フィルムに加飾したシートを、鋼板にラミネートすることが行われている。特に、耐汚染性、成形加工性及び高硬度を有するものとしてPETフィルムラミネート鋼板が提案されている(特許文献1、特許請求の範囲参照)。また、ポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂からなる基材シート上に、絵柄模様層、透明性接着剤層及び透明性ポリエステル系樹脂層が順に積層されてなる鋼板用の化粧シートが提案されている(特許文献2参照)。
上記化粧シートは、耐汚染性が高く、高硬度ではあるが、鋼板の曲げ加工の際に、曲面部の表面にクラックが発生するという問題があった。PETなどのポリエステルフィルムを用いた場合にはクラックは起きにくく、ある程度の加工性が確保されるが、擦り傷に対する耐性が低いという問題があった。そして、PETなどに耐擦傷性を付与するために、その表面にハードコートする方法があるが、やはり曲面部でハードコートにクラックが発生するという問題が生じる。このようなクラックが発生するとクラック部分に汚れが溜まり、耐汚染性が低下する。また、水廻りなどに用いた場合には、クラック部分にカビが発生するなどの問題が生じたり、ホワイトボードなどに用いた場合には、クラック部分にマーカーが残存し、マーカー消去性が著しく低下するといった問題が生じる。
本発明者らは、上記問題点に対して、鋼板にラミネートして曲げ加工を行っても、曲面部にクラックが入らず、高い成形加工性を有するとともに、耐汚染性及び耐擦傷性を有する鋼板用化粧シートとして、2軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材上に、ウレタン系樹脂組成物からなるプライマー層と電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化させた表面保護層をこの順に積層した鋼板用化粧シートを提案した(特許文献3参照)。
ところで、講義や会議等に際して、インタラクティブな運用を行なうためには、手書きした文字、絵及び記号などを、電子データに変換し、プロジェクター等を通して、映写スクリーンに投影することが必要な場合がある。さらには、映写スクリーンに映った画像に対して、直接書き込みを行ない、それをリアルタイムでデジタル情報として取り込み、プロジェクターを通して、該書き込みを投影させることができれば、非常に有用である。
一方、ブレインストーミング等の上記のようなインタラクティブな会議運営が必要ではない場合、映写スクリーンをホワイトボードのような筆記ボードとして、使用することが有効である。
このような映写スクリーン及びホワイトボードとして、多種の機能を集約した機材は、1つの機材で種々の用途に用いることができるという観点から極めて有用であり、また会議室の省スペース化という観点からも有効である。
上記のような、映写スクリーンに映った画像に対して、直接書き込みを行なう機能、ホワイトボード機能及び映写スクリーン機能を持たせるためには、単純には、パターン印刷シートの表面に、ホワイトボードシート若しくは映写スクリーンシートをラミネートすればよいと考えられる。
パターン印刷シートとしては、例えば、ディスプレイ装置の前面に装着される透明シートであって、入力用電子ペン等による入力軌跡の位置を示すための位置情報を提供可能なドットパターンが印刷された透明シート(特許文献4参照)、赤外線の照射及び検知が可能な入力端末を用いて、印刷面の裏側から赤外線を照射し、赤外線の反射パターンを読み取ることで、透明シート上における入力端末の位置に関する情報を提供可能である赤外線反射パターン印刷透明シート(特許文献5参照)などが提案されている。
しかしながら、実際には、パターン印刷シートの機能を損なわず、ホワイトボードの機能及び/又は映写スクリーンとしての機能を持たせることは容易ではない。
なお、前記特許文献4には、書込対象物のひとつとしてホワイトボードが開示されているが、印刷シートのドットパターンを、ホワイトボードと略同じである白色又は透明のインクによって印刷すればよいと記載されるのみで(特許文献4段落0016参照)、具体的な方法については何ら開示がなく、達成手段が開示されているとは言えない。
具体的に、公知のドットパターンシートに対してホワイトボード機能を持たせようとした場合、機能性シートをラミネートする手法が考えられるが、以下のような問題点がある。
すなわち、白色系のホワイトボードシートを用いると、その下に存在するドットパターンを読み取ることができず、書き込みを行ない、それをリアルタイムでデジタル情報として取り込むという基本的な機能が損なわれる。
一方、透明のホワイトボードシートを用いる場合には、ホワイトボードとしての機能を持たせるために、表面の艶が高いものを用いることが必要であるが、シートの光反射によって、電子ペンでの読み取り適性が低下する。さらには、表面の艶が高いと、映写スクリーンとしての機能を満足させることができないために、ホワイトボードと映像スクリーンの兼用シートとして用いることはできない。
特開2000−43192号公報 特開2005−238498号公報 特開2007−290382号公報 特開2003−256122号公報 特開2008−26958号公報
上記課題に対して、本発明者らは以下のようなパターン印刷シートを提案した。すなわち、基材上に、規則性を有するパターン状印刷層、プライマー層、及び表面保護層をこの順に積層してなるパターン印刷シートであって、該印刷層を構成するインキが着色剤を含み、該印刷層は、パターンを検知可能な入力端末を用いて、表面保護層側から該パターンを読み取ることで、パターン印刷シート上における入力端末の位置に関する情報を提供可能であり、表面保護層がフィラーを含有する硬化性樹脂組成物を硬化したものであり、かつ60度光沢値が8〜20であることを特徴とするパターン印刷シートである(特願2009−102285号公報)。
該パターン印刷シートを用いた映写スクリーンは、プロジェクター等を通して、文字データ、画像データ等を投影する機能を有し、書き込みを行ない、該書き込みをリアルタイムでデジタル情報として取り込み、映写スクリーンに反映させる機能を有し、かつホワイトボードとしての機能を同時に有する。
上記パターン印刷シートにおいて、入力端末の位置に関する情報を提供するための規則性を有するパターン状印刷層は、精密なパターンであることが必要であるため、基材の表面は平滑性が高いことが好ましい。
一方、近年は外光を取り入れた環境のオフィスが増加しており、このような場所での使用において耐候処理を施していないシートを長期間使用した場合、シートの変色や表面層の剥離などの問題が生じることが懸念される。
本発明の目的は、折り曲げ加工をしても最表層の表面保護層にクラックが発生せず、耐候性の高い鋼板用化粧シートであり、かつプロジェクターによる画像の投影が可能であり、電子ペンによる入力が可能であるホワイトボードシートとして有用な鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、基材上に、耐候性付与層、プライマー層、及び表面保護層をこの順に積層してなる鋼板用化粧シートであって、それぞれの構成要素について、特定の条件を満たすように制御することで、上記課題を解決し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づき完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に、耐候性付与層、プライマー層、及び表面保護層をこの順に積層してなる鋼板用化粧シートであって、基材が2軸延伸ポリエステルフィルムであり、耐候性付与層が紫外線吸収剤を含有する樹脂組成物からなり、プライマー層がウレタン系樹脂組成物からなり、該ウレタン系樹脂のJIS K6732に準拠して測定した常温での伸び率が300%以上であり、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が以下の条件の引張試験により測定した破断伸び率が25%〜45%である鋼板用化粧シート、
引張試験;厚さ90μmのポリプロピレンフィルムに電離放射線硬化性樹脂組成物を厚さ3.5μmとなるように塗工・硬化させた後、温度25℃、引張速度50mm/分で引張試験を行い破断する際の伸び率を測定する、
(2)基材と耐候性付与層の間にさらに規則性を有するパターン状印刷層を有し、該印刷層を構成するインキが着色剤を含み、該印刷層は、パターンを検知可能な入力端末を用いて、表面保護層側から該パターンを読み取ることで、鋼板用化粧シート上における入力端末の位置に関する情報を提供可能である上記(1)に記載の鋼板用化粧シート、及び
(3)上記(1)又は(2)に記載の鋼板用化粧シートを鋼板に貼付した化粧鋼板、
を提供するものである。
本発明の鋼板用化粧シートは、折り曲げ加工をしても最表層の表面保護層にクラックが発生せず、かつ耐候性が高い。また、プロジェクターによる画像の投影が可能であり、電子ペンによる入力が可能であってホワイトボードシートとして有用である。
本発明の鋼板用化粧シートの断面を示す概念図である。
本発明の鋼板用化粧シートの構成について、図1を用いて、以下詳細に説明する。
本発明の鋼板用化粧シート10は、基材11上に、耐候性付与層12、プライマー層13、及び表面保護層14をこの順に積層してなり、所望により、基材11と耐候性付与層12の間にさらに規則性を有するパターン状印刷層15を有する。
本発明の鋼板用化粧シートで用いる基材11は2軸延伸ポリエステルフィルムからなる。ここで用いられるポリエステル樹脂としては特に限定されず、化粧シートの分野で通常用いられているものが使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」ということがある。)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリアリレート等が挙げられる。この中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、ポリエステル樹脂は各種ホモポリマーの他、樹脂の柔軟化等の目的で各種の共重合成分又は改質成分を添加した共重合ポリエステル系樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が使用できる。例えばPETであれば、テレフタル酸とエチレングリコールとの縮合重合反応において、ジカルボン酸成分として、例えば、セバシン酸、エイコ酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の長鎖脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環式ジカルボン酸を導入することができる。また、ジオール成分としてポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の両末端に水酸基を有するポリエーテル系ジオールを導入することができる。
本発明において、基材11として用いるポリエステルフィルムは、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等によりフィルム化され、2軸延伸することで調製される。
2軸延伸されたポリエステル樹脂フィルムを基材11として用いることで、後に詳述する表面保護層14の伸びを抑制することができ、表面保護層14のクラック発生を抑制することができる。
基材11の厚さは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、25〜100μmの範囲が好適である。基材11の厚さが25〜100μmの範囲であると表面保護層14にかかる張力を十分に緩和することができる。
また、基材11に用いられる2軸延伸されたポリエステル樹脂フィルムは、JIS C2151に準拠して測定した引張強度が150MPa以上であることが好ましい。
引張強度が150MPa以上であると、高剛性であるため、曲げ加工部において発生する局部的な伸びが抑制でき、その上層の表面保護層の伸びも抑制することができる。
基材11に用いられるポリエステル樹脂には、必要に応じて、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、充填剤、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。
上記添加剤のうち、特に基材11の弾性及び伸び率を向上させ、耐衝撃性を付与し、折り曲げ加工を施した際に、表面保護層に亀裂や割れを生じさせないとの観点から、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の無機充填剤を含有することが好ましい。
これらの無機充填剤の含有量は、基材11に対して1〜60質量%の範囲が好ましい。
また、上記着色剤としては特に限定されず、顔料、染料等の公知の着色剤を使用できる。例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料;イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(染料も含む);アルミニウム、真鍮等の金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。
また、紫外線吸収剤及び光安定剤については、後に詳述する本発明の耐候性付与層12を構成する樹脂組成物に添加し得るものと同様のものを使用することができる。
基材11は、他の層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また、本発明においては、化学的表面処理として易接着コート処理を好適に用いることができる。易接着コート処理とは、基材上に樹脂層などをコーティングすることで、接着性を向上させるものであり、例えば、ポリウレタン系樹脂層を設けるなどの方法がある。
ポリウレタン系樹脂層としては、通常のウレタン樹脂のほかウレタン尿素樹脂なども使用できる。また、塗布量としては、通常、0.01〜0.5g/m2程度であり、好ましくは0.03〜0.3g/m2である。
また、該ポリウレタン系樹脂層は架橋されていることが好ましく、架橋剤としては、メラミン系架橋剤やエポキシ系架橋剤等が挙げられる。
次に、本発明の鋼板用化粧シートにおける耐候性付与層12は、紫外線吸収剤を含有する樹脂組成物からなる。紫外線吸収剤を含有することで、本発明の鋼板用化粧シートに耐候性を付与することができる。紫外線吸収剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上のものを併用してもよい。
紫外線吸収剤は、後述するシート性能を損なわない限り、無機系及び有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物などが好ましく挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられ、トリアジン系紫外線吸収剤として、具体的には、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール、1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリ[[3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]などが挙げられる。また、その他、ベンゾフェノン系、サリチレート系、アクリロニトリル系等の各紫外線吸収剤を挙げることができる。
本発明においては、紫外線吸収能が高く、また紫外線等の高エネルギーに対しても劣化しにくいトリアジン系がより好ましい。
耐候性付与層12における紫外線吸収剤の含有量は1〜20質量%の範囲であることが好ましい。1質量%以上であると、鋼板用化粧シートに十分な耐候性を付与することができ、20質量%以下であればブリードアウトの問題がない。以上の観点から、耐候性付与層12における紫外線吸収剤の含有量は1〜15質量%の範囲であることがさらに好ましい。
また、耐候性付与層12には、上記紫外線吸収剤に加えて、光安定剤を含有していてもよい。
光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2'−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
耐候性付与層12における光安定剤の含有量は0.1〜10質量%の範囲であることが好ましい。0.1質量%以上であると、鋼板用化粧シートに十分な耐候性を付与することができ、10質量%以下であればブリードアウトの問題がない。以上の観点から、耐候性付与層12における光安定剤の含有量は0.5〜5質量%の範囲であることがさらに好ましい。
なお、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
耐候性付与層12は、熱可塑性ウレタン樹脂に上記紫外線吸収剤、さらには必要に応じて光安定剤を含有する樹脂組成物を塗工してなる。
熱可塑性ウレタン樹脂としては、従来公知の熱可塑性ウレタン樹脂から選択することができる。例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系、アクリル系、ポリカーボネート系等の熱可塑性ウレタン樹脂を単独使用又は混合使用することができる。
より具体的には、例えば、架橋構造を持たないウレタン樹脂であって、その骨格構造が直線状又は枝分かれした構造を有するものが好適に挙げられる。また、水分等で硬化せず経時的安定性が良好な点で、イソシアネート基を持たない飽和熱可塑性ウレタン樹脂も好適である。
このような熱可塑性ウレタン樹脂の具体例としては、水酸基を末端に有するポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させた線状高分子からなるウレタン樹脂を挙げることができる。
ここで用いられるポリオールとしては、後述するプライマー層に用いられるウレタン系樹脂組成物で使用されるポリオールと同様のものを用いることができる。
また、ポリイソシアネートについても、後述するプライマー層に用いられるウレタン系樹脂組成物で使用されるジイソシアネートを用いることができる。
また、耐候性付与層12を構成する樹脂組成物中には、平均粒径が1〜10μmの微粒子を、耐候性付与層を構成する樹脂100質量部(固形分)に対して、1〜28質量部含有させることが好ましい。該微粒子の含有量が1質量部以上であると、鋼板用化粧シートの生産過程におけるブロッキングを効果的に抑制することができる。一方、該微粒子の含有量が28質量部以下であると、鋼板用化粧シートの曲げ加工性が良好となる。以上の観点から、微粒子の含有量は、樹脂100質量部(固形分)に対して2〜25質量部の範囲が好ましく、5〜20質量部の範囲がさらに好ましい。
微粒子としては、特に制限はなく、シリカ、チタニア、ジルコニアなどの無機粒子、アクリルビーズなどの有機粒子が挙げられる。これらのうち、ブロッキング防止の観点及び製造コストの点などから、表面未処理のシリカが好ましい。
次に、本発明の鋼板用化粧シートにおいては、後述するパターン状印刷層15の保護、表面保護層14と下層との密着性を向上させるためにプライマー層13を設ける。密着性が向上することで、後述するドットパターンに基材密着性に乏しい水性インキ、1液硬化型インキを使用した場合でも、表面摩擦によるドットの剥離を予防することができる。
該プライマー層13を設けることで、時間経過に伴う、加工性、耐汚染性及び耐擦傷性の低下を抑制することができる。
なお、後述するパターン状印刷層を有する場合には、上記の密着性向上に加えて、最終製品としてのドット読み取り性の観点から、プライマー層13は無色、若しくは半透明乳白色であることが好ましい。
該プライマー層13はウレタン系樹脂組成物からなり、該ウレタン系樹脂のJIS K6732に準拠して測定した常温での伸び率が300%以上である。
ウレタン系樹脂組成物は柔軟性、強靭性及び弾性を兼ね備えており、このような特定のプライマー層13を設けることで、曲げ加工時に表面保護層14にかかる衝撃、引張力又はせん断力を緩和することができ、表面保護層14におけるクラックの発生を抑制することができる。
以上の観点から、該ウレタン系樹脂のJIS K6732に準拠して測定した常温での伸び率は400%以上がさらに好ましく、500%以上がさらに好ましい。
ここで用いられるウレタン樹脂としては、上記の伸び率を満足するものであれば特に制限はなく、従来公知の熱可塑性ウレタン樹脂から選択することができる。例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系、アクリル系、ポリカーボネート系等の熱可塑性ウレタン樹脂を単独使用又は混合使用することができる。
熱可塑性ウレタン樹脂としては、例えば、架橋構造を持たないウレタン樹脂であって、その骨格構造が直線状又は枝分かれした構造を有するものが好適に挙げられる。また、水分等で硬化せず経時的安定性が良好な点で、イソシアネート基を持たない飽和熱可塑性ウレタン樹脂も好適である。
一方、耐水性が特に要求される場合などは、上記伸び率を満足しつつ、ある程度架橋構造を有するウレタン樹脂が好適であり、特に強靭性が要求される場合には、ポリエステルウレタン、ポリカーボネートウレタンが好適である。
このような熱可塑性ウレタン樹脂の具体例としては、水酸基を末端に有するポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させた線状高分子からなるウレタン樹脂を挙げることができる。
ポリオールとしては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボーネートポリオール等が挙げられ、より具体的には、ポリエステルポリオールとして、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエート)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリカプロラクトン等のポリエステルジオールが挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリ(テトラメチレンエーテル)等のポリエーテルジオールが挙げられ、また、ポリカーボネートポリオールとしては、ポリ(ブチレンカーボネート)、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)等が挙げられる。その他、アクリルポリオール、ウレタンポリオール、フッ素系ポリオール、アクリルシリコーン系ポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用する。
ジイソシアネート成分としては、ポリウレタン分野にて従来公知の脂肪族(乃至は脂環式)又は芳香族の各種ジイソシアネートが挙げられる。例えば、脂肪族(乃至は脂環式)系としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート等の脂環式イソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート等である。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明におけるプライマー層で用いるウレタン系樹脂組成物には、本発明の鋼板用化粧シートの生産過程におけるブロッキングを抑制するために、平均粒径が1〜10μmの微粒子を含有させることができる。具体的には、上述した耐候性付与層で用いられるシリカと同様のものを好適に用いることができる。
また、プライマー層における該微粒子の含有量は、プライマー層を構成する樹脂の固形分100質量部に対して0.5〜7質量部であることが好ましい。該微粒子の含有量が0.5質量部以上であると、十分にブロッキング性能を付与することができ、7質量部以下であると鋼板用化粧シートの曲げ加工性が良好となる。以上の観点から、プライマー層における該微粒子の含有量は、1〜4質量部の範囲であることがさらに好ましい。
プライマー層14の厚さについては特に制限はないが、1〜10μmの範囲が好ましい。1μm以上であると、表面摩耗に対する印刷層15の保護の点で有利であり、10μm以下であると、プライマー層を構成する樹脂の屈折率によるドットパターンへの悪影響を抑えることができ、位置情報に対する、電子ペンによる認識を損なうことがない。以上の観点から、プライマー層14の厚さは、1〜5μmの範囲がより好ましい。
また、プライマー層14の塗工方法としては、特に制限はなく、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式を用いることができる。
本発明の鋼板用化粧シートは、基材と耐候性付与層の間にさらに規則性を有するパターン状印刷層15(以下、単に「印刷層」と称することがある。)を設けることができる。該印刷層を構成するインキは着色剤を含み、該印刷層は、パターンを検知可能な入力端末を用いて、表面保護層側から該パターンを読み取ることで、鋼板用化粧シート上における入力端末の位置に関する情報を提供することができる。
印刷層15の形成に用いられるインキとしては、バインダーに上記着色剤を含有し、さらに体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
また、印刷層15の印刷方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、孔版印刷法、インキジェット印刷法等が挙げられるが、これらのうち、後述するドットの再現性、インキの転移性の観点から、インキジェット印刷法及びフレキソ印刷法が特に好ましい。
また、印刷層15における規則性を有するパターンは、例えば、多数個の独立したドットにより構成され、基材11に分散して配置される(以下「ドットパターン」と記載することがある)。これらのドットはあらかじめ定められた規則に従って配置されており、その配置関係から鋼板用化粧シート上での位置が特定される。このようなドットパターンの具体例としては、アノト社の規格による、いわゆるアノトパターンが挙げられる。
また、本発明における規則性を有するパターンは、特許文献4にも例示されており、例えばドットの形状を複数設定し、平面内に於いて、所定範囲内に配置されたこれら複数形状のドットの組み合わせをパターン化したもの、縦横に配置した罫線の太さを変えて、所定範囲内の前記罫線の重なり部分の大きさの組み合わせをパターン化したようなもの、x、y座標の値を直接ドットの縦横の大きさと結びつけたもの等が挙げられるが、特に簡素で好適なものとしては、縦横に等間隔に並ぶ基準点を設定して、この基準点に対して上下左右に変位したドットを配置し、これらドットの当該基準点からの相対的な位置関係を利用する方法が挙げられる。この方法はドットのサイズを小さく一定にできるため入力装置の高分解能化に有利である。
また、ドットパターンのドット形状は隣接するドットと容易に区別できれば特に制限はなく、通常は、平面視形状が、円、楕円、多角形などの形状が用いられる。またドットの立体形状についても特に制限はなく、略円盤状、半球状、凹面状、多角形状などが挙げられる。
次に、表面保護層14は電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化したもので構成される。ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
本発明で用いる電離放射線硬化性樹脂組成物は、特定の条件下での引張試験において、破断伸び率が25%〜45%であることを特徴とする。この破断伸び率が25%以上であると、鋼板用化粧シートにおいて、好適な曲げ加工性が得られる。以上の観点から、破断伸び率は30%以上であることが好ましい。
一方、十分な耐汚染性を得るためには、破断伸び率が45%以下であることが必要である。以上の観点から破断伸び率は35%以下であることが好ましい。
引張試験の方法としては、厚さ90μmのポリプロピレンフィルムに電離放射線硬化性樹脂組成物を厚さ3.5μmとなるように塗工・硬化させた後、温度25℃、引張速度50mm/分で引張試験を行い破断する際の伸び率を測定するものである。硬化の条件としては、用いる電離放射線樹脂に応じ、完全硬化する条件を選択すればよい。また、引張試験に用いる装置としては、例えば、ORIENTEC社製「RTC-1250A」を用いることができる。
前記重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
本発明における電離放射線硬化性樹脂組成物は、その平均官能基数が3.1〜4.5の範囲であることが好ましい。平均官能基数が3.1以上であると、十分な架橋硬化が進行し、鋼板用化粧シートの表面物性、具体的には耐汚染性及び耐光性が良好となる。一方、平均官能基数が4.5以下であると、上記表面物性を維持しつつ、優れた加工性を得ることができる。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
また、本発明における電離放射線硬化性樹脂組成物には、艶消し剤としてフィラーを含有することができる。フィラーの材質及び含有量は、使用する基材、プライマー層を構成する樹脂組成などとの関係で決定されるものであり、本発明の鋼板用化粧シートの表面の60度光沢度が8〜40の範囲となるように選択される。より好適な映写機能を得るためには、鋼板用化粧シートの表面の60度光沢度が8〜20の範囲であることがより好ましい。
このような60度光沢度の条件を満たし、かつ後述する性能を損なわない限りフィラーの材質は特に限定されず、無機フィラー及び有機フィラーのいずれを用いることもできる。
無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、フライアッシュ、脱水汚泥、天然シリカ、合成シリカ、カオリン、クレー、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、焼成タルク、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、燐酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム、シリカバルーン、ガラスフレーク、ガラスバルーン、シリカ、製鉄スラグ、銅、鉄、酸化鉄、カーボンブラック、センダスト、アルニコ磁石、各種フェライト等の磁性粉、セメント、ガラス粉末、珪藻土、三酸化アンチモン、マグネシウムオキシサルフェイト、水和アルミニウム、水和石膏、ミョウバン等が挙げられる。
なお、これらの無機フィラーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
有機フィラーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;フッ素系樹脂;スチレン系樹脂;エポキシ系樹脂;メラミン系樹脂;尿素系樹脂;アクリル系樹脂;フェノール系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂等が挙げられ、また、上記樹脂の共重合体を用いることもできる。これらのうち、ホワイトボードとしての性能の観点から、より具体的には、筆記、消去を行った際にマーカーによるフィラーの染色汚染を防止する観点から、尿素樹脂により形成された有機フィラーが好適である。
また、硬化性樹脂の硬化後のフィラーの安定性の観点から、硬化性樹脂中の反応基を有する化学組成を有したものが望ましい。
さらに、映写スクリーンとしての機能を十分に得るとの観点から、有機フィラーは不定形のフィラーであることが好ましく、十分な吸油量を有するものが望ましい。
なお、これらの有機フィラーは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
電離放射線硬化性樹脂組成物中のフィラーの含有量は、上述のように、鋼板用化粧シートの表面の60度光沢度が8〜40、より好ましくは8〜20の範囲となるように選択され、用いる材料等によって、その最適範囲は異なる。通常、60度光沢度は、フィラーの含有量が高いほど低下し、フィラーの含有量が低いほど増大する傾向を示す。
より具体的な好適範囲としては、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、通常、1〜50質量部の範囲であり、特に、有機フィラーの場合には、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、1〜20質量部の範囲が好ましく、無機フィラーの場合には、5〜30質量部の範囲が好ましい。
また、フィラーの平均粒径についても、鋼板用化粧シートの表面の60度光沢度が8〜40の範囲、より好ましくは8〜20の範囲となるように選択されるが、通常、0.5〜10μmの範囲内であることが好ましい。平均粒子径が0.5μm以上であると、表面保護層の十分なつや消し効果を得ることができ、映写スクリーンとしての十分な機能を発揮し得る。一方10μm以下であると、表面保護層を形成した際の表面凹凸を滑らかにできるため、ホワイトボードマーカーの筆記をスムーズに行なえる点や、イレーサーによるマーカー消去時にマーカー残りを防止し得る。以上の観点から、フィラーの平均粒径は1〜7μmの範囲であることが、さらに好ましい。
本発明の鋼板用化粧シートは、映写スクリーンとしての機能を確保するとの観点から、表面の艶の程度が、60度光沢値の値として8〜40の範囲、さらには8〜20の範囲であることが好ましい。映写スクリーンとしてより高い機能を求める場合には、60度光沢値が11〜15の範囲であることがさらに好ましい。
本発明の鋼板用化粧シートは、表面の鉛筆硬度が2B以上であることが好ましい。鉛筆硬度が2B以上であると、良好な耐擦傷性が得られるとともに入力端末である先端が硬質な電子ペンなどのペン先で筆記した場合の筆圧による凹みがつき難い。以上の観点から、鉛筆硬度はB以上がさらに好ましい。
本発明で用いることができる入力端末としては、パターン状印刷層15のパターン形成部とパターン非形成部とのコントラストを認識し得るものであれば、特に限定はなく、従来公知のセンサーが備えられていればよい。
入力端末で読み取った連続的な撮像データから位置情報が算出され、それを時間情報と組み合わせ、情報処理装置で扱える入力軌跡データとして提供される。なお、これらの処理装置としては、特に限定されず、プロセッサ、メモリ、通信インタフェース及びバッテリ等の部材を具備していれば良い。
また、読取データ処理装置は、入力端末に内蔵されていてもよいし、また、外部の情報処理装置に内蔵されていてもよい。
本発明の化粧シートは図1に示すように、基材11の耐候性付与層の反対側に接着剤層33を介して、さらに隠蔽層31を積層することができる。隠蔽層31を設けることによって、基材11が透明である場合に亜鉛メッキ鋼板40を隠蔽することができ、また基材11が隠蔽着色されている場合でも、隠蔽性を安定化することができる。
隠蔽層31を構成する材質としては特に限定されず、塩化ビニル樹脂フィルム、オレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等を用いることができる。これらのうち、表面保護層14のクラック発生を抑制するとの観点からは、基材11と同様の2軸延伸PETフィルム等のポリエステルフィルムを用いるのが好適である。また、隠蔽性、意匠性、クッション性、さらには環境を考慮すると、オレフィンフィルム、特にポリプロピレンフィルムが好ましい。
隠蔽層31を構成するフィルムは隠蔽層としての機能を発揮させるために、通常、着色剤を含有する。着色剤の種類としては、特に限定されず、基材11の着色に用いることのできるものと同様のものを用いることができる。
隠蔽層31を構成するフィルムの厚さとしては、特に制限はないが25〜100μmの範囲が好ましい。25μm以上であると十分な隠蔽効果が得られ、100μm以下であると曲率の関係で表面保護層14が必要以上に伸ばされることがなく、クラック発生をより抑制することができる。
また、隠蔽層31の形成方法は特に制限はないが、基材11全体を被覆(全面ベタ状)するように形成できる方法が好ましい。例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等が好ましいものとして挙げられる。
接着剤層33に用いる材料としては特に制限はなく、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。具体的にはポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂等の硬化性樹脂等が挙げられる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。これらのうち、熱可塑性樹脂が、クッション層としての機能を果たし、化粧鋼板の加工時に表面保護層14のクラックを抑制する効果があるため好ましい。
接着剤層33の厚さは特に制限はないが、通常、乾燥後の厚さが3〜50μmの範囲である。
本発明の化粧シートにおいては、基材31と接着剤層33の間、もしくは基材11の裏側(耐候性付与層12の反対側)に絵柄模様層を設けてもよい(図示せず)。絵柄模様層は、化粧シート及び化粧鋼板に所望の絵柄による意匠性を付与するものであり、前述のドットパターンによる入出力を阻害しない限り絵柄の種類等は特に制限はない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる着色インキ、コーティング剤等を用いた印刷法などにより形成すればよい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等をさらに配合してもよい。
結着材樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
また、溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いてもよい。
絵柄模様層の厚さは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、乾燥後の層厚で0.1〜10μm程度である。
本発明の化粧シートは、鋼板に貼着して化粧鋼板として使用される。被着体となる鋼板としては、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料が挙げられ、これらは溶融亜鉛メッキ処理や電気亜鉛メッキ処理などの表面処理が施されていてもよい。また、被着体の形状は特に限定されず、例えば、平板、曲面板、多角柱等の形状を任意に採用できる。
また、鋼板の厚さについては特に制限はないが、通常0.2〜1mm程度である。なお、被着体である鋼板は隠蔽性を付与するために、鋼板に直接着色してコーティング層を設けてもよい。
被着体である鋼板と化粧シートを積層するのに用いる接着剤又は粘着剤は特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤又は粘着剤を使用できる。接着剤としては、隠蔽層31を接着するための接着剤層33で用いるものと同様のものを用いることができる。また、粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系などの粘着剤を適宜選択して用いることができる。これらのうち、耐候性などの点から、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等のアクリル系モノマーの重合体や共重合体を主成分とするアクリル系粘着剤が好ましく、特にn−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどが好適である。
また、架橋剤を添加することもでき、具体的にはイソシアネート系や金属キレート、エポキシ系、およびメラミン系が挙げられる。
該接着剤又は粘着剤の厚さについては、特に制限はないが、通常、1〜100μmの範囲である。
本発明の化粧シートを貼付した鋼板は、例えば、汚れやすいユニットバスの壁面やマーカーの消去が求められるホワイトボードなどに好適に用いられる。その他、壁、天井等の建築物内装材、扉、扉枠、窓枠等の建具の表面材、回縁、幅木等の造作部材の表面材、箪笥、キャビネット等の家具の表面材などにも使用できる。また、被着材である鋼板を用いずに、化粧シート自体を建材部材に対するラミネート材、ラッピング材等として使用することもできる。例えば、浴室等に用いられる鋼板基材の表面に本発明の化粧シートを貼着して装飾を施してもよい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)曲げ加工性
各実施例及び比較例にて製造した化粧鋼板について、JIS K6744に準拠し、試験温度25±5℃、外側半径1.50mmでの90度曲げ試験を実施した後、曲げ試験を行った試験体を以下の評価基準で評価した。
◎;クラックは全く発生しなかった。
○;表面保護層にマイクロサイズのクラックが発生したが、表面意匠を損なうほどではなかった。
△;表面保護層にマイクロサイズのクラックが発生し、時間経過と共にクラックが拡大した。
×;曲げ加工時点でクラックが発生した。
(2)表面の艶
各実施例及び比較例にて製造した化粧鋼板について、表面の艶をグロスメーター(Gardner社製「micro−TRI−gloss」)を使用し、入射光60度の条件で測定した(60度光沢度)。
(3)耐候性
各実施例及び比較例にて製造した化粧鋼板について、スガ試験機(株)製「紫外線オートフェードメーター U48AU」を用いシート表面に対して48時間促進耐侯劣化処理を施こした後、シート表面に対して桝目状(2mm角、100個)に傷をつけた。次にシート表面のシリコーン成分を除去した後、JIS K5600に準拠して剥離試験を実施し、その表面状態を目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。
○:表面保護層の欠落が殆ど生じなかった。
×:表面保護層の欠落が生じた。
(4)マーカー消去性
各実施例及び比較例にて製造した化粧鋼板について、ぺんてる(株)製ホワイトボードマーカー「EMWLM−B」で筆記し、常温常湿環境下で1分間放置した後に、マグエックス製ホワイトボードイレーサーにて拭き取り、マーカーの消え残りの有無を目視にて確認した。
◎;1回の消去でマーカーが完全に拭き取れた。
○:複数回の消去(5回以内)でマーカーが完全に拭き取れた。
△:複数回の消去(5回以内)でマーカーが殆ど拭き取れた。
×;マーカーが拭き取れなかった。
(5)耐ブロッキング性
各実施例及び比較例の製造過程における中間シート20の表面と裏面を重ね合わせた状態で、24℃の環境下で、72時間、2kg/cm2の荷重をかけた後の中間シート間の密着の有無を確認した。
○:基材同士が全く密着しなかった。
△:基材同士が若干密着した。
実施例1
(1)鋼板用化粧シートの製造
基材11としての厚さ50μmの2軸延伸透明PETフィルム(東洋紡績(株)製「コスモシャインA4300」)の表面側に、水性アクリル樹脂(インクテック(株)製オーデKR991墨、オーデミキサーを質量比10:90で混合したもの)を用いてフレキソ印刷法にてアノトパターンを印刷した(パターン状印刷層15)。
次にパターン状印刷層15の表面に、ポリカーボネート系ウレタン−アクリル共重合体(イソシアネート系硬化剤を6質量%含有)にトリアジン系紫外線吸収剤7質量%(チバジャパン製チヌビン479を4%、チヌビン400を3%含有)、及びヒンダードアミン系光安定剤(チバジャパン製チヌビン400)2質量%を添加した樹脂組成物を塗工し、耐候性付与層12(塗工量;1.0g/m2)を形成した。
次いで、耐候性付与層12の表層に、テレフタル酸、イソフタル酸、及びセバシン酸からなる多価カルボン酸とネオペンチルグリコール、エチレングリコールからなるポリオールを反応させて得られたポリエステルポリオール(大日精化工業(株)製「E−256−40」;伸び率570%以上、Tg47℃)100質量部に、イソシアネート系硬化剤(大日精化工業(株)製「C−55」)3質量部、粒径5μmの表面未処理シリカ2質量部を添加して得たウレタン系樹脂組成物を塗工してプライマー層13を得た。
基材11上にパターン状印刷層15、耐候性付与層12、及びプライマー層13を塗布したものを中間シート20と称する。
中間シート20のプライマー層13の上に、3官能アクリレートモノマーであるエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリアクリレートを87質量部、6官能アクリレートモノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを13質量部、シリコーンアクリレートプレポリマー1質量部、及び平均粒径5μmの尿素系樹脂からなるフィラーを5質量部添加した電子線硬化性樹脂組成物(平均官能基数は3.4、破断伸び率は31%)を、塗工厚み2.0μmで、グラビアリバースコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、該電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて表面保護層14を形成させ、本発明の鋼板用化粧シート10を得た。
(2)化粧鋼板の製造
厚さ60μmの白色ポリプロピレンフィルム(三菱化学MKV(株)製「PB−013」(商品名)、基材31)の裏面に、鋼板接着用プライマー32として塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂(DICグラフィックス製「WBSプライマー」)を1.2g/m2塗工し、本発明の鋼板用化粧シートと鋼板とを接着させるための中間シート30を準備した。
次に、上記(1)で製造した鋼板用化粧シート10の裏面と該中間シート30の表面を接着剤であるポリエステルウレタン樹脂(大日精化工業(株)製「E−295L」(商品名)、接着剤層33)を介してラミネートした。
次いで、ウレタン系の接着剤を用いて(図示せず)、前記鋼板接着用プライマーを介して、厚さ0.6mmの亜鉛メッキ鋼板40に貼付し、本発明の化粧鋼板50を得た。該化粧鋼板について上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
実施例2
実施例1において、耐候性付与層12を形成するための樹脂組成物中に、さらに粒径5μmの表面未処理シリカを、ポリカーボネート系ウレタン−アクリル共重合体100質量部に対して、7質量部添加したこと以外は、実施例1と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例3
実施例2において、表面未処理シリカの含有量を25質量部としたこと以外は実施例2と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例4
実施例1において、電子線硬化性樹脂組成物中の平均粒径5μmの尿素系樹脂からなるフィラーに代えて、平均粒径3μmの尿素系樹脂からなるフィラーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
実施例5
実施例4において、耐候性付与層12を形成するための樹脂組成物中に、さらに粒径5μmの表面未処理シリカを、ポリカーボネート系ウレタン−アクリル共重合体100質量部に対して、7質量部添加したこと以外は、実施例4と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1において、耐候性付与層12を設けなかったこと、プライマー層13中にシリカを添加しなかったこと、及び表面保護層14中の尿素系樹脂からなるフィラーの含有量を1質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
比較例2
比較例1において、表面保護層14中の尿素系樹脂からなるフィラーの含有量を12質量部としたこと以外は、比較例1と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
比較例3
比較例1において、表面保護層14中の尿素系樹脂からなるフィラーの含有量を6質量部としたこと以外は、比較例1と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
比較例4
実施例1において、耐候性付与層12を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
比較例5
比較例4において、プライマー層13中の表面未処理シリカの含有量を8質量部に代えたこと以外は、比較例4と同様にして鋼板用化粧シート及び化粧鋼板を製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
Figure 0005471731
本発明の鋼板用化粧シートによれば、プロジェクター等を通して、文字データ、画像データ等を投影することのできる映写スクリーンとしての機能を有し、しかも、これに書き込みを行なうことができ、該書き込みをリアルタイムでデジタル情報として取り込み、映写スクリーンに反映させることのできる機能を有し、かつホワイトボードとしても使用できる機能を同時に有する映写スクリーンを得ることができる。
さらには、本発明の鋼板用化粧シートの背面部に、プラスチックフィルム、木製合板、鋼板、マグネットシート、吸着シートを張り合わせて使用することもできる。プラスチックフィルム、木製合板、鋼板等の機材と組み合わせることで、従来の移動式ホワイトボードやパーテーション、壁面等の建材製品の一部として利用することが可能である。
またマグネットシートや吸着シートを張り合わせた場合には、すでに設置されている黒板や、壁に対してこれまでに述べた様な性能を付与することができるとともに、シート形状であるため容易に人が持ち運びでき、空間の制限にとらわれない利用が可能である。
さらに、本発明の鋼板用化粧シートは、電子ペンとしての使用を行わずに、映写兼用ホワイトボードシートとしても利用可能である。
10:鋼板用化粧シート
11:基材
12:耐候性付与層
13:プライマー層
14:表面保護層
15:パターン状印刷層
20:中間シート
30:中間シート
31:隠蔽層
32:鋼板接着用プライマー
33:接着剤層
40:亜鉛メッキ鋼板
50:化粧鋼板

Claims (9)

  1. 基材上に、耐候性付与層、プライマー層、及び表面保護層をこの順に積層してなる鋼板用化粧シートであって、基材が2軸延伸ポリエステルフィルムであり、耐候性付与層が紫外線吸収剤を含有する樹脂組成物からなり、プライマー層がウレタン系樹脂組成物からなり、該ウレタン系樹脂のJIS K6732に準拠して測定した常温での伸び率が300%以上であり、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物の平均官能基数が3.1〜4.5であり、該表面保護層が有機フィラーからなる艶消し剤を含有し、該艶消し剤の含有量が該電離放射線硬化性樹脂組成物中の電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1〜50質量部であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が以下の条件の引張試験により測定した破断伸び率が25%〜45%である鋼板用化粧シート。
    引張試験;厚さ90μmのポリプロピレンフィルムに電離放射線硬化性樹脂組成物を厚さ3.5μmとなるように塗工・硬化させた後、温度25℃、引張速度50mm/分で引張試験を行い破断する際の伸び率を測定する。
  2. 前記耐候性付与層を構成する樹脂組成物中に平均粒径が1〜10μmの微粒子を含み、該微粒子の含有量が樹脂の固形分100質量部に対して1〜28質量部である請求項1に記載の鋼板用化粧シート。
  3. 前記プライマー層を構成する樹脂組成物中に平均粒径が0.5〜10μmの微粒子を含み、該微粒子の含有量が樹脂の固形分100質量部に対して1〜7質量部である請求項1又は2に記載の鋼板用化粧シート。
  4. 表面の60度光沢値が8〜40である請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼板用化粧シート。
  5. 電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼板用化粧シート。
  6. 前記有機フィラーが平均粒径0.5〜10μmの尿素系樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋼板用化粧シート。
  7. 基材と耐候性付与層の間にさらに規則性を有するパターン状印刷層を有し、該印刷層を構成するインキが着色剤を含み、該印刷層は、パターンを検知可能な入力端末を用いて、表面保護層側から該パターンを読み取ることで、鋼板用化粧シート上における入力端末の位置に関する情報を提供可能である請求項1〜6のいずれか1項に記載の鋼板用化粧シート。
  8. 前記基材の耐候性付与層の反対側にさらに隠蔽層を積層してなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の鋼板用化粧シート。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化粧シートを鋼板に貼付した化粧鋼板。
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