JP6026113B2 - シール材 - Google Patents
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Description
上記構成によれば、シール材がパイル織物によって構成されているため、シール材によって、例えばドアとドア枠との隙間をシールした場合に、ドアの開閉時におけるドアまたはドア枠との摺動抵抗を低減することが可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記薬剤は、ピレスロイド系の防虫剤であることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の発明において、前記エマルジョンは、前記糸を構成する材料と相溶性のある材料を含有していることを要旨とする。
以下、本発明を防虫用のシール材に具体化した第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図3に示すように、玄関のドア20は、ドア枠21と対向する一側面(図3では左側面)において上下一対のヒンジ22を介してドア枠21に対して回動可能に取着されている。そして、通常、ドア20と、ドア枠21及び床面23との間には、それぞれ隙間が形成される。シール材11は、こうした隙間をシール(塞ぐ)するために使用される。
(1)シール材11において、基布12を構成するタテ糸12a及びヨコ糸12bと、毛羽部14を構成する各糸13とには、ピレスロイド系の防虫剤であるペルメトリンが内包されたマイクロカプセルが練り込まれている。そして、このマイクロカプセルの表皮は、ペルメトリンを徐々に外部へ放出する徐放性を有した合成樹脂のエマルジョンによって構成されている。このため、マイクロカプセルからペルメトリンがゆっくりと放出される。したがって、防虫効果を長期間維持することができる。加えて、マイクロカプセルの表皮は可撓性を有しているため、各糸12a,12b,13の紡糸時にこれらに投与したマイクロカプセルに熱や外力が加わっても、マイクロカプセルが壊れてペルメトリンが一気に外部へ放出されることを抑制することができる。
次に、本発明の第2実施形態を、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図5に示すように、この第2実施形態のシール材30は、編物によって構成されている。すなわち、シール材30は、ピレスロイド系の防虫剤が内包されたマイクロカプセルが練り込まれた1本のポリプロピレン製の糸31を蛇行状に編み、両側の湾曲部分を互いに平行に延びる複数本(本実施形態では3本)のポリプロピレン製の保持糸32によってそれぞれ綴じた後、中央部分を切断する(図5の矢印に沿って切断する)ことによって同時に2つ形成される。この場合、シール材30における保持糸32よりも先端側の各糸31の部分が毛羽部33とされている。
図7に示すように、本実施形態のシール材30は、特にドア20と床面23との間の隙間をシールするために使用される。そして、シール材30によってドア20と床面23との間の隙間をシールする場合には、剥離紙17を剥がして両面粘着テープ16によりドア20における床面23との対向面と隣接する面にシール材30を貼り付ける。このとき、シール材30の毛羽部33の先端部は、床面23に摺接する。これにより、ドア20と床面23との間の隙間が、シール材30によってシールされる。
(6)シール材30は、ドア20における床面23との対向面と隣接する面に貼り付けることができるので、ドア20と床面23との隙間が狭くても容易に貼り付けることができる。
なお、上記各実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・第1実施形態において、図8に示すように、シール材11は、ポリプロピレンの成型品により構成された長尺帯状の基材40と、該基材40上に立設された複数のポリプロピレン製の糸41よりなる毛羽部42とによって構成するようにしてもよい。すなわち、シール材11は、基材40上において該基材40の短手方向に所定距離を隔てた位置に一対の凸条40aを該基材40の長手方向に沿って延設し、基材40上における各凸条40a間の領域に、略U字状に折り曲げた状態で束ねた複数の糸41を超音波溶着することで形成される。この場合、基材40上の各凸条40aは、基材40上に各糸41を超音波溶着する際の位置決め手段として機能する。また、シール材11において、基材40及び各糸41(毛羽部42)の両方にピレスロイド系の防虫剤であるペルメトリンが内包されたマイクロカプセルが練り込まれている。なお、基材40における毛羽部42側とは反対側の面にはシール材11を使用場所へ貼着するための両面粘着テープ16が貼り付けられるとともに、この両面粘着テープ16における基材40側とは反対側の粘着面は剥離紙17によって覆われて保護されている。
・各実施形態において、マイクロカプセルの表皮を構成するエマルジョンは、必ずしも各糸12a,12b,13,31と相溶性のある材料を含有する必要はない。
・各実施形態におけるシール材11,30は、引き戸やサッシ窓の重なり部分の隙間のシールや、食器棚などの引き出しの隙間のシールや、食器洗い機や冷蔵庫などの家電製品と壁面との間の隙間のシールなど、あらゆる隙間のシールに用いてもよい。
(実施例1)
図2に示すように、上記第1実施形態のシール材11を実施例1とした。
上記第1実施形態のシール材11においてピレスロイド系の防虫剤であるペルメトリンが内包されたマイクロカプセルを全く含まないようにしたものを比較例1とした。
上記実施例1について、防虫効能の持続性の加速試験を以下のように行った。試験方法は、シール材11のサンプル0.5gを3つ用意し、これらにアセトン10mlを加えてペルメトリンの含有比率(%)を初期、1週間経過後、2週間経過後、3週間経過後、4週間経過後にそれぞれ測定(1週間を1年に想定)した。結果を図9の表に示す。
図11(a)、(b)に示すように、2枚の8×9cmの段ボール板50の間に、5×20mmの発泡スチロール51を略C字状にしたものを挟んだ状態で貼り合わせ、入口となる開口部52の横幅を2cmとし、さらに開口部52において上下一対の実施例1のシール材11を隙間ができるように貼り付けたものをシェルターAとする。シェルターAにおいて実施例1のシール材11を比較例1のシール材に置き換えたものをシェルターBとする。また、供試虫は、図11(c)に示すように、チャバネゴキブリGのオスとメスの各10匹(合計20匹)とする。
有効な数=シェルターAへの侵入数+シェルターBへの侵入数・・・・・・・(式1)
忌避効果=(有効な数の半分−シェルターAの侵入数)/有効な数の半分・・(式2)
忌避試験の結果を図12の表に示す。図12の表より、シェルターAに侵入したチャバネゴキブリGの数は4回の試験全てにおいて0匹であった。すなわち、チャバネゴキブリGの忌避率は100%であった。一方、シェルターBに侵入したチャバネゴキブリGの数は4回の試験でそれぞれ20匹中、18匹、18匹、13匹、16匹であった。
以上の結果より、実施例1のシール材11は、防虫効能の持続性が良好であって、且つ害虫(チャバネゴキブリG)に対する忌避効果が高いということが示された。
Claims (5)
- 複数の糸によって構成される毛羽部を備えたシール材であって、
前記糸には、薬剤がマイクロカプセルに内包された状態で含有され、
前記マイクロカプセルの表皮は、前記薬剤を徐々に外部へ放出する徐放性を有したエマルジョンによって構成されていることを特徴とするシール材。 - 基布に前記糸を織り込んで前記毛羽部を形成したパイル織物によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシール材。
- 前記基布を構成する糸に前記薬剤が含有されていることを特徴とする請求項2に記載のシール材。
- 前記薬剤は、ピレスロイド系の防虫剤であることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のシール材。
- 前記エマルジョンは、前記糸を構成する材料と相溶性のある材料を含有していることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のシール材。
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