本発明の第1の発明に係る自動販売機管理システムは、ある一定の敷地内の所定の施設に設置されている複数で一群の自動販売機群(以下、「自動販売機群」という)であって、異なる複数の施設のそれぞれに設置されている自動販売機群の全てと通信可能なサーバーを備える自動販売機システムであって、複数の自動販売機のそれぞれは、購入決済機能を有する識別媒体で、購入決済可能であり、サーバーは、複数の自動販売機群のそれぞれに含まれる複数の自動販売機のそれぞれからの返信情報を受信する受信手段と、受信手段が受信した返信情報のデータフォーマットを、規定フォーマットに変換する変換手段と、規定フォーマットに基づいて、自動販売機での識別媒体での購入決済処理の可否を決定する決済手段と、決済手段で購入が決済された場合に、複数の自動販売機群の含む少なくとも一部の自動販売機の売り上げを経理処理する経理手段と、を有する。
この構成により、異なる施設に設置される異なる複数の自動販売機群を、単体のサーバーで、管理できる。
本発明の第2の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1の発明に加えて、サーバーは、単体として把握される装置として、前記複数の施設の全てと通信可能である。
この構成により、自動販売機管理システムの設置および保守コストが低減できる。
本発明の第3の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1又は第2の発明に加えて、複数の施設のそれぞれは、異なる住所、異なる性質、異なる所有者および異なる目的を有しており、複数の施設のそれぞれに設置される自動販売機群のそれぞれは、複数の施設の特性に応じた特性を有することが可能である。
この構成により、自動販売機を設置する設置主体者は、様々な施設に、自動販売機群として、自動販売機を設置することができるうえに、単体として把握されるサーバーのみで、異なる施設に設置される異なる複数の自動販売機群を管理できる。
本発明の第4の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第3のいずれかの発明に加えて、識別媒体は、複数の施設のそれぞれで登録された者が所有する、購入決済機能を有する社員証、職員証および登録証のいずれかである。
この構成により、識別媒体は、各施設で登録されたものとなり、社員等を特定できる。この結果、識別媒体の所有者と購入決済とを関連付けることができる。
本発明の第5の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第4のいずれかの発明に加えて、識別媒体は、複数の施設のそれぞれで特定される、特定口座および給与口座の少なくとも一つである決済口座と対応付けされる。
この構成により、識別媒体が、社員証などと兼用されるものであっても、自動販売機での決済が可能となる。
本発明の第6の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第5のいずれかの発明に加えて、購入決済機能は、ICデバイス、IDデバイス、RF−ID、指紋認証デバイスおよび生体認証デバイスの、少なくとも一つを含む。
この構成により、識別媒体は、容易かつ確実に、自動販売機での決済を実行できる。
本発明の第7の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第6のいずれかの発明に加えて、識別媒体は、購入決済の際に、自動販売機から受信手段に送信される返信情報に、個々のデータフォーマットを含む。
この構成により、識別媒体は、データフォーマットに従った返信情報を送信できる。
本発明の第8の発明に係る自動販売機管理システムでは、第7の発明に加えて、データフォーマットは、社員等の個人を特定する個人コード、個人の決済口座を特定する口座コード、施設を特定する施設コード、購入しようとする商品を特定する商品コード、購入しようとする商品の個数を特定する数量コード、購入しようとする商品の購入額を特定する購入額コードおよび購入しようとする日時を特定する日時コードの少なくとも一部を含む。
この構成により、決済および経理処理に必要な情報が、識別媒体から得られるようになる。
本発明の第9の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第8のいずれかの発明に加えて、複数の施設のそれぞれで使用される識別媒体は、異なるデータフォーマットを有することが可能である。
この構成により、識別媒体を発行する管理部門は、自動販売機管理システムの都合に合わせる必要がない。この結果、自動販売機の設置主体者は、様々な施設に、自動販売機群を設置できる。
本発明の第10の発明に係る自動販売機管理システムでは、第9の発明に加えて、変換手段は、複数の施設のそれぞれで使用される識別媒体によって異なるデータフォーマットを、所定の順番に変更して、異なる識別媒体に基づく返信情報であっても、決済処理および経理処理の少なくとも一方を可能とする。
この構成により、自動販売機管理システムは、異なるフォーマットを用いる識別媒体であっても、一括的かつ統一的に管理できる。
本発明の第11の発明に係る自動販売機管理システムでは、第10の発明に加えて、所定の順番は、決済手段および経理手段が、読み込めるデータビット数に揃えられる。
この構成により、決済手段および経理手段は、最初にどのようなフォーマットの識別媒体で購入行動が成されたとしても、購入決済処理および経理処理を行うことができる。
本発明の第12の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第11のいずれかの発明に加えて、サーバーは、複数の自動販売機群が有するそれぞれの自動販売機に、情報送信を要求する要求信号を送信する要求手段を更に備える。
この構成により、自動販売機管理システムは、購入決済だけでなく、経理処理において、主体的に行動を起こすことができる。
本発明の第13の発明に係る自動販売機管理システムでは、第12の発明に加えて、要求手段は、一定期間サイクル、特定時刻、任意時刻および所定条件の少なくとも一つに基づいて、自動販売機群の少なくとも一部の自動販売機に対して、要求信号を送信する。
この構成により、自動販売機管理システムは、様々なバリエーションおよびリアルタイム性の高さをもって、自動販売機の有する情報を得ることができる。
本発明の第14の発明に係る自動販売機管理システムでは、第13の発明に加えて、要求手段は、複数の施設に設置されるそれぞれの自動販売機群に、同時に要求信号を送信しても良いし、異なる時刻に要求信号を送信しても良い。
この構成により、自動販売機管理システムは、単体のサーバーで、複数の異なる自動販売機群を、様々にコントロールできる。
本発明の第15の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第14の発明に加えて、サーバーと自動販売機群のそれぞれの自動販売機は、無線および有線の少なくとも一方で通信可能に接続され、無線および有線の少なくとも一部は、公衆回線もしくは他の専用回線を経由可能である。
この構成により、サーバーと自動販売機の通信網の構築が容易となる。
本発明の第16の発明に係る自動販売機管理システムでは、第8から第15のいずれかの発明に加えて、決済手段は、変換後のフォーマットの、個人コード、口座コード、施設コード、購入額コードおよび日時コードの少なくとも一部に基づいて、識別媒体での購入決済の可否を決定する。
この構成により、決済手段は、確実に購入決済を許可できる。
本発明の第17の発明に係る自動販売機管理システムでは、第16の発明に加えて、決済手段は、
(1)個人コードが、未登録の場合、
(2)口座コードが、未登録の場合、
(3)個人コードと施設コードとが対応しない場合、
(4)購入額コードで示される購入額が、決済口座の所定額を超えている場合、
(5)日時コードで示される日時と、個人コードの登録期間とが相違する場合、
の少なくとも一つの場合に、識別媒体での購入決済を不許可とする。
この構成により、決済手段は、不十分な条件の場合や決済ができない場合には、購入を不許可とできる。この結果、識別媒体による購入のリスクを低減できる。
本発明の第18の発明に係る自動販売機管理システムでは、第1から第17のいずれかの発明に加えて、経理手段は、返信情報に基づいて、所定時刻もしくは所定期間における複数の施設毎に設置された自動販売機群のそれぞれの全体の売り上げ、自動販売機群の一部の売り上げおよび自動販売機群に含まれる個々の自動販売機の売り上げの少なくとも一部、を経理処理し、
売り上げに基づいて、
経理手段は、複数の施設毎に設置された自動販売機群のそれぞれ、自動販売機群の一部および自動販売機群に含まれる個々の自動販売機の少なくとも一部における、時間と売り上げとの時間売り上げ動向、商品と売り上げの商品売り上げ動向、購入者と売り上げ商品の購入者動向および自動販売機の設置場所と売り上げの設置場所売り上げ動向の、少なくとも一つを、関係式、グラフおよび図示の少なくとも一つの手段で、算出する。
この構成により、自動販売機管理システムは、単体のサーバーのみで、複数の異なる施設に設置される複数の異なる自動販売機群での、種々の販売動向などを管理者に提供できる。
(実施の形態1)
実施の形態1について説明する。
(参考技術の説明)
まず、従来技術での問題を有する従来の自動販売機管理システムの態様を、参考技術として説明する。図1は、従来技術を説明する参考技術における自動販売機管理システムのブロック図である。
図1では、施設A、施設B、施設Cのそれぞれで設置される自動販売機管理システム100A、100B、100Cを示している。施設A、施設B、施設Cのそれぞれは、ある敷地内にある企業建物、工場、事業場、オフィスビル、公的施設などを示しており、一つの管理体系で管理される社員や職員等の購入者が存在する施設である。
このため、施設A、施設B、施設Cのそれぞれは、異なる管理体系を有しており、例えば、施設A、施設B、施設Cのそれぞれが、A株式会社、B株式会社、C株式会社である場合には、施設A、施設B、施設Cのそれぞれは、異なる企業であるので、雇用される社員や職員あるいは、内部に出入りする業者などの人員のそれぞれは、異なる体系で管理される。このため、社員証や登録証などの識別媒体は、施設A、施設B、施設Cのそれぞれにおいて異なる管理体系で発行されて、社員や職員などが使用できる。
このような施設A、施設B、施設Cにおいては、複数の自動販売機110を含む、自動販売機群101が設置されている。施設Aでは、複数の自動販売機110Aからなる自動販売機101Aが備わっており、施設Bでは、複数の自動販売機110Bからなる自動販売機101Bが備わっており、施設Cでは、複数の自動販売機110Cからなる自動販売機101Cが備わっている。
自動販売機群101Aの有する複数の自動販売機110Aのそれぞれは、施設Aで発行される識別媒体によって、購入決済を実行できる。施設Aの管理部門200Aは、施設Aの社員、職員、その他の登録可能な人員に識別媒体を発行して登録する。この識別媒体を有している購入者は、自動販売機110Aのそれぞれで、商品を購入して、識別媒体で購入決済を行う。
ここで、自動販売機群101Aは、施設Aに設置されて管理部門200Aで管理されるサーバー120Aに接続している。サーバー120Aは、この識別媒体による購入決済を管理すると共に、購入決済により自動販売機群101Aから得られる種々の情報を収集する。例えば、売り上げなどの経理情報である。サーバー120Aは、施設Aに設置されており、管理部門200Aでの管理の下、これら情報に基づく種々の処理を行う。管理部門200Aが発行する識別媒体は、施設Aに設置される自動販売機群101Aにおいて共通して規格に沿ったものであるので、自動販売機群101Aの含む自動販売機110Aのいずれでも使用できる。サーバー120Aは、この識別媒体に基づく処理を実行できる。
同様に、施設Bでは、管理部門200Bが発行する識別媒体(以下、「識別媒体B」と呼ぶ)が、使用される。施設Bに設置された自動販売機群101Bにおいては、この識別媒体Bが購入決済に用いられる。後は同様に、施設Bに設置されたサーバー120Bが、購入決済や経理処理を実行し、管理部門200Bが、このサーバー120Bを管理する。
同様に、施設Cでは、管理部門200Cが発行する識別媒体(以下、「識別媒体C」と呼ぶ)が、使用される。施設Cに設置された自動販売機群101Cにおいては、この識別媒体Cが購入決済に用いられる。後は同様に、施設Cに設置されたサーバー120Cが、購入決済や経理処理を実行し、管理部門200Cが、このサーバー120Cを管理する。
このように、各施設において、自動販売機群101が構築されて、この自動販売機群101毎に、それぞれに対応するサーバー120が設置されて、決済処理や経理処理が行われる。言い換えれば、自動販売機群101毎に、個別のサーバー120が必要となる。これは、施設毎に、発行される識別媒体の規格や識別媒体とサーバー120とのやり取りにおけるデータフォーマットの相違に依存するためである。例えば、同じ施設内部であっても、異なる識別媒体が用いられる場合には、一つの施設内部に複数の自動販売機群101が構築されるので、サーバー120は、更に多くを必要とする。
このような結果、企業や公共施設などである各施設において、管理部門200がサーバー120管理のために設けられる必要が生じてしまい、管理部門200でのサーバー120管理の手間や、サーバー120設置費用の増加などの問題を生じさせてしまう。
また、自動販売機101を設置する商品メーカーにとっては、異なる施設(サーバー120)のそれぞれでまとめられたデータ(売り上げ情報など)を、個別に収集しなければならなくなるので、作業が煩雑となる。このため、多くの情報を一括して収集して、販売動向などを把握したい商品メーカーにとっても、図1に示されるような状況は好ましくなかった。
(全体概要)
実施の形態1における、全体概要について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における自動販売機管理システムのブロック図である。図2では、3箇所の施設である施設A、施設B、施設Cが示されている。これは、図1の参考技術の場合と同じである。施設A、施設B、施設Cは、異なる企業や公的施設であってもよいし、同じ企業や公的施設に属するが、管理部門50A,50B、50Cのそれぞれによって、異なる管理がなされることで、異なる領域であるものとして把握されても良い。
施設Aには、自動販売機群2Aが構築され、自動販売機群2Aは、複数の自動販売機10Aを有している。言い換えれば、複数の自動販売機10Aが施設Aにおいて、自動販売機群2Aを構築している。管理部門50Aは、施設Aの管理部門であり、施設Aの社員や職員など、登録される登録者に特定の規格の識別媒体を配布する。当該識別媒体は、管理部門50Aによって登録されており、所有する社員や職員などは、自動販売機群2Aに含まれる自動販売機10Aのそれぞれにおいて、識別媒体を用いて、自動販売機10Aの商品を購入できる。
図3は、本発明の実施の形態1における識別媒体を用いた自動販売機10での商品購入を示す模式図である。図3の自動販売機10は、自動販売機群2Aに含まれる自動販売機10であってもよいし、自動販売機群2Bに含まれる自動販売機10であってもよいし、自動販売機群2Cに含まれる自動販売機10であってもよい。
自動販売機10は、紙幣や硬貨などの金券で購入することもできるし、識別媒体14を用いて購入することもできる。自動販売機10は、商品陳列部11、商品取り出し口12、金券投入部15、識別媒体反応部13を備える。識別媒体14を有する購入者は、識別媒体反応部13に識別媒体14を接触もしくは非接触とすることで、商品購入を行う。
ここで、自動販売機群2Aで使用するために、管理部門50Aで発行される識別媒体を、識別媒体14Aと定義する。同様に、自動販売機群2Bで使用される識別媒体を、識別媒体14Bと定義する。同様に、自動販売機群2Cで使用される識別媒体を、識別媒体14Cと定義する。それぞれは、異なる企業や公的機関あるいは、異なる管理部門50で発行される識別媒体14であるので、識別媒体の規格が異なる。
特に、識別媒体14は、図3のように、自動販売機10での購入で用いられるための購入決済機能を有している。この購入決済機能は、ICデバイス、IDデバイス、RF−ID,指紋認証デバイスおよび生体認証デバイスの少なくとも一つを含む。この結果、識別媒体14A、識別媒体14B、識別媒体14Cのそれぞれは、異なる購入決済機能の規格を有することがありうる。購入決済機能が異なれば、識別媒体14により、自動販売機10とサーバー2とが通信する際に用いるデータフォーマットが異なる。
このように、データフォーマットが異なることで、従来は、図1に示す参考技術のように、自動販売機群2に応じて(言い換えれば、識別媒体に応じて)、異なるサーバー120を設ける必要があった。もちろん、たまたま自動販売機群2Aと自動販売機群2Bでの識別媒体が同じ規格であっても、施設A,施設Bにおいては、異なるサーバー120A、120Bを設置することになってしまっていた。あるいは、サーバー120を設置するのが、自動販売機110を提供する商品メーカーであっても、念のために、異なるサーバー120を設置する必要があった。
一方で、識別媒体14は、施設A,施設B、施設Cにおいて独自に発行される、社員や職員など施設A,B、Cのそれぞれで登録された者が所有する社員証、職印証および登録証のいずれかである。実際には、管理部門50A、50B、50Cのそれぞれが発行するが、自動販売機10での購入のためだけに発行するものではなく、社員や職員を識別するためであったり、入出門のためであったり、セキュリティのためであったり、給与口座との連動のためであったりするためのものが、これらの識別媒体である。この識別媒体14が、これらの主目的に付随するようにして、施設A、B、Cではなく、これらに納入する自動販売機10の設置主体者(自動販売機10での商品を製造する商品メーカー。例えば飲料メーカーなど)にとって、自動販売機10での購入決済を可能とするものである。
すなわち、識別媒体14Aは、管理部門50Aの都合によってその規格が決定され(いくつかの規格から採用され)、識別媒体14Bは、管理部門50Bの都合によってその規格が決定され(いくつかの規格から採用され)、識別媒体14Cは、管理部門50Cの都合によってその規格が決定される(いくつかの規格から採用される)。これらの識別媒体14A〜14Cの機能が、付随的に自動販売機群A〜Cで購入決済機能として用いられるので、自動販売機群A〜Cを設置する設置主体者は、識別媒体14を、異なる施設や異なる自動販売機群2で、統一させるようにはできない。
これらが、図1で示される参考技術の採用の理由である。
一方で、図2に示される実施の形態1における自動販売機管理システム1は、単体としてみなされるサーバー20を備える。この単体とみなされるサーバー20が、複数の自動販売機群2である、自動販売機群2A、自動販売機群2B、自動販売機群2Cの全てと通信可能である。すなわち、実施の形態1の自動販売機管理システム1は、単体とみなされるサーバー20のみで、複数の自動販売機群2(複数の異なる施設のそれぞれで構築される自動販売機群2)を、管理できる。
図4は、本発明の実施の形態1におけるサーバーの内部ブロック図である。
サーバー20は、複数の自動販売機群2のそれぞれに含まれる複数の自動販売機10のそれぞれと通信可能である。加えて、複数の自動販売機群2のそれぞれに含まれる複数の自動販売機10のそれぞれからの返信情報を受信する受信手段22を有する。また、サーバー20は、受信手段22が受信した返信情報のデータフォーマットを、単体のサーバー20で取り扱える所定フォーマットに変換する変換手段23を、有する。更に、サーバー20は、変換手段23で変換された所定フォーマットに基づいて、自動販売機10での識別媒体14での購入決済処理の可否を決定する決済手段24を有する。加えて、サーバー20は、決済手段24で購入が決済された場合に、購入の生じた自動販売機10の売り上げを経理処理する経理手段27を有する。すなわち、経理手段27は、複数の自動販売機群2のそれぞれであったり、複数の自動販売機群2のそれぞれが含む複数の自動販売機10のそれぞれであったりの、売り上げ等を経理処理できる。
なお、自動販売機10に備わる識別媒体14の処理手段が、通信を行なわずに識別媒体14の決済可否を判定することを行っても良い。
このように、実施の形態1における自動販売機管理システム1は、単体とみなされるサーバー20のみで、複数の自動販売機群2を、一括管理できる。一括管理できるので、サーバー20を備える自動販売機管理システムは、自動販売機10の設置主体者である商品メーカーによって設置・管理されることができる。言い換えれば、施設毎に、自動販売機10の設置を許可する商品メーカーの顧客敷地において設置・管理される必要がなくなる。これは、商品メーカーは、顧客に対する便益を向上させることができるし、顧客となる施設においては、余分な作業を減少させることができる。
更には、商品メーカーが、複数の施設に構築される複数の自動販売機群2を、みずからが設置・管理(自社内でも可能)できる単体のサーバー20で管理できるので、種々の返信情報に基づく分析(売り上げ動向や顧客動向など)を行うことができる。これにより、商品メーカーは、自動販売機10の設置や自動販売機での商品展開などの、プランを検討できる。
(処理手順)
図2の場合を前提に、図4で示される自動販売機管理システム1の処理手順を説明する。
自動販売機群2Aに含まれる複数の自動販売機10Aのそれぞれは、管理部門50Aで発行される識別媒体14Aによって商品を購入することができる。識別媒体14Aは、施設Aで特定される、特定口座および給与口座の少なくとも一つである決済口座と対応付けされる。この決済口座との対応付けにより、識別媒体14Aは、自動販売機群2Aの自動販売機10Aにおける購入決済機能を発揮できる。これは、識別媒体14B、識別媒体14Cでも同様である。
図2では、施設A、施設B、施設Cの3種類の施設が示されているが、これら施設A,施設B、施設Cのそれぞれは、異なる住所、異なる性質、異なる所有者および異なる目的の少なくとも一つを有している。この結果、自動販売機群2A、2B、2Cのそれぞれは、異なる管理部門50A,50B、50Cのそれぞれで、管理される。識別媒体14A、14B、14Cも同様に、異なる管理部門50A,50B,50Cのそれぞれで管理される。以上のことから、自動販売機群2Aは、施設Aの特性に応じた特性を有することができ、自動販売機群2Bは、施設Bの特性に応じた特性を有することができ、自動販売機群2Cは、施設Cの特性に応じた特性を有することができる。例えば、自動販売機群2A〜2Cの含む自動販売機10の数が異なっていたり、自動販売機10の種類が異なっていたりしてもよい。
識別媒体14Aを有する社員や職員(以下、「購入者」という)は、図3に示されるように、自動販売機群2Aに含まれるある自動販売機10Aの識別媒体反応部13に、識別媒体14Aを接触もしくは非接触で対向させる。加えて、購入者は、購入を希望する商品を選択して購入動作を行う。もちろん、識別媒体14Aの接触もしくは非接触の動作は、商品選択の前後のいずれで行われてもよい。
自動販売機10Aは、この識別媒体14Aからデータを読み取って、サーバー20の受信手段22に返信情報として送信する。サーバー20の受信手段22は、この返信情報を受信する。この返信情報は、識別媒体14Aに依存するデータフォーマットで定義されている。例えば、この識別媒体14Aに依存するデータフォーマットを、フォーマットAと定義する。
一方、施設Bにおける購入者は、自動販売機群2Bに含まれる自動販売機10Bにおいて商品を購入するために、識別媒体14Bを用いる。識別媒体14Bは、管理部門50Bで発行されたものである。自動販売機10Bは、この識別媒体14Bからデータを読み取って、サーバー20の受信手段22に返信情報として送信する。サーバー20の受信手段22は、この返信情報を受信する。この返信情報は、識別媒体14Bに依存するデータフォーマットで定義されている。例えば、この識別媒体14Bに依存するデータフォーマットを、フォーマットBと定義する。
また、施設Cにおける購入者は、自動販売機群2Cに含まれる自動販売機10Cにおいて商品を購入するために、識別媒体14Cを用いる。識別媒体14Cは、管理部門50Cで発行されたものである。自動販売機10Cは、この識別媒体14Cからデータを読み取って、サーバー20の受信手段22に返信情報として送信する。サーバー20の受信手段22は、この返信情報を受信する。この返信情報は、識別媒体14Cに依存するデータフォーマットで定義されている。例えば、この識別媒体14Cに依存するデータフォーマットを、フォーマットCと定義する。
施設A、施設B,施設Cのそれぞれは、異なるフォーマットA,B、Cのいずれかを採用できる。一方、単体のサーバー20で管理したい自動販売機10の設置主体者である商品メーカーは、このように異なるフォーマットA,B、Cにあわせる必要を有する。
受信手段22は、フォーマットA,フォーマットBおよびフォーマットCのいずれかで、識別媒体14に基づいて、自動販売機10からの返信情報を受信する。
図5は、フォーマットA、フォーマットB、フォーマットCのいずれかで定義されるデータフォーマットを示す模式図である。
フォーマットA、フォーマットBおよびフォーマットCのそれぞれは、識別媒体14A,14B、14Cの規格に基づいて、社員等の個人を特定する個人コード、個人の決済口座を特定する口座コード、施設を特定する施設コード、購入しようとする商品を特定する商品コード、購入しようとする商品の個数を特定する数量コード、購入しようとする商品の購入額を特定する購入額コードおよび購入しようとする日時を特定する日時コードの少なくとも一部を含む。図5では、これらの全てが示されているわけではないが、これらのコードの少なくとも一つを、フォーマットA、フォーマットBおよびフォーマットCのそれぞれが含むことで、単体として把握されるサーバー20で、複数の自動販売機群2A、2B、2Cの全てを一括管理できる。
受信手段22は、このように異なるフォーマットA,B、Cに従った返信情報を受信する。フォーマットが異なるので、そのままでは、購入決済の可否や購入金額などを、一括的に把握できない。
このため、変換手段23は、それぞれ異なるフォーマットA,フォーマットB、フォーマットCのそれぞれを、サーバー20で特定している所定フォーマットに変換する。フォーマットの変換では、図5に示されるようなデータ領域の順番を変更して、個人コードや口座コードなど、購入決済処理の可否を決定するためのデータや、購入商品や購入数量などの売り上げ動向を判断するためのデータや、購入金額などの売り上げ把握のためのデータなどが、同じビット列から始まるように変換する。ビット列が合わない場合には、ダミービットを挿入するなどして、自動販売機群2(識別媒体14)によって異なるフォーマットA,B、Cを、ビット列の揃った所定フォーマットに変換できる。
例えば、個人コード、施設コード、口座コード、商品コード、購入金額コード、などの順番に、変換手段23は、揃える。このような所定の順番に変更して、所定フォーマットに変換することで、変換手段23は、決済手段24での決済処理および経理手段27での経理処理の少なくとも一方を可能とする。
変換手段によって、所定フォーマットは、ビット列(ビット数)が揃った状態となるので、決済手段24および経理手段27は、所定フォーマットを読み込んで、購入決済処理の可否を決定したり、売り上げなどに関する経理処理を行ったりする。
なお、ここでは、サーバー20が変換手段23を備え、この変換手段23がフォーマット変換を行う処理を説明している。しかしながら、自動販売機10が備える識別媒体反応部13そのものが、フォーマット変換を行うことでもよい。この場合には、フォーマット変換された後のデータが、サーバー20に送信されて、サーバー20が、決済処理等の種々の処理を実行する。
(購入決済処理)
決済手段24は、変換された所定フォーマットから、個人コード、口座コード、施設コード、購入額コードおよび日時コードの少なくとも一部に基づいて、購入者が自動販売機10Aに対向させた識別媒体14Aでの購入決済の可否を決定する。
もちろん、購入者が施設Bの社員等であって、自動販売機群2Bに含まれる自動販売機10Bに識別媒体14Bを用いる場合でも同じである。施設Cでの自動販売機群2Cに含まれる自動販売機10Cに識別媒体14Cを用いる場合も同じである。
決済手段24は、例えば、読み込んだ所定フォーマットにおいて
(1)個人コードが未登録の場合、
(2)口座コードが、未登録の場合、
(3)個人コードと施設コードとが対応しない場合、
(4)購入額コードで示される購入額が、決済口座の所定額を超えている場合、
(5)日時コードで示される日時と、個人コードの登録期間とが相違する場合、
の少なくとも一つの場合には、識別媒体14Aでの自動販売機10Aでの購入決済を不許可とする。
もちろん、識別媒体14Bと自動販売機10Bとの関係でも同様であり、識別媒体14Cと自動販売機10Cとの関係でも同様である。上記の(1)〜(5)の少なくとも一つである場合には、決済手段24は、購入決済を不許可とする。識別媒体14による決済口座での決済が困難であるからである。
もちろん、これら(1)〜(5)だけでなく、他の条件となる場合に、決済手段24は、購入決済を不許可としても良い。逆に、これらの条件以外の場合には、決済手段24は、購入決済を許可しても良い。
決済手段24が、購入決済処理を不許可とする場合には、サーバー20は、要求手段21を用いて、自動販売機10Aにその旨を送信する。自動販売機10Aは、この送信を受け取った場合には、自動販売機10Aの表示部分に決済不可などの表示を行って、購入者に知らせる。
(経理処理)
経理手段27は、決済手段24で、購入決済処理が許可された場合に、売り上げなどを経理処理する。例えば、自動販売機10Aでのある購入者の単一の購入金額を売り上げとして経理処理する。あるいは、ある自動販売機10Aの所定期間での売り上げを経理処理する。あるいは、ある自動販売機群2Aに含まれる一部の自動販売機10Aの所定期間での売り上げを経理処理する。あるいは、自動販売機群2A全体の、所定期間での売り上げを経理処理する。
もちろん、経理手段27は、他の施設にある自動販売機群2B、2C(およびこれらに含まれる自動販売機10B,10Cでも同様)でも、同様に経理処理する。
このように、経理手段27によって、自動販売機10単体や自動販売機群2や、複数の自動販売機群2をまとめた上での、売り上げ等を経理処理できるようになる。これは、当然ながら、管理部門50A〜50Cにとっても有用な情報であるし、自動販売機10を設置する設置主体者である商品メーカーにとっても有用な情報である。
管理部門50も商品メーカーも、この有用な情報に基づいて、様々な商品戦略を構築したり、社員管理を検討したりできるようになる。
以上のように、実施の形態1における自動販売機管理システム1は、異なるデータフォーマットを有する異なる識別媒体14が使用される、異なる複数の自動販売機群2を、単体としてみなされるサーバー20のみで、管理できる。このため、自動販売機管理システム1(サーバー20)は、自動販売機10が設置される施設と異なる場所である、設置主体者の敷地などに設置できるようになる。結果として、設置主体者は、様々な施設における販売動向などを一括管理・一括分離して、様々な施設に自動販売機10とこの管理を通じたサービスを提供できる。このサービス提供によって、設置主体者である商品メーカーは、様々な顧客となる施設等に、自動販売機10の設置が行いやすくなる。
もちろん、自動販売機10を設置させる施設等においても、自社でサーバー20を設置したり管理したりする手間とコストを削減できるので、経営メリットも高くなる。また、販売動向などに応じた商品プランなどが早期かつ適切に、設置主体者によって行われることで、社内での自動販売機10の設置意義が高まり、社員サービスの向上によるメリットを享受できる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
自動販売機管理システム1は、識別媒体14で自動販売機10において購入される都度毎の管理だけでなく、主体的に、自動販売機群2に含まれる自動販売機10へ、売り上げ等の情報を含む返信情報を要求することもできる。
要求手段21は、一定期間サイクル、特定時刻、任意時刻および所定条件の少なくとも一つに基づいて、自動販売機群2に含まれる少なくとも一部の自動販売機10に対して、要求信号を送信できる。このため、サーバー20は、要求信号を送信する要求手段21を更に備える。
要求手段21は、一定期間サイクル、特定時刻、任意時刻および所定条件の少なくとも一つに基づいて、自動販売機群2の少なくとも一つの自動販売機10に対して、要求信号を送信する。この要求信号を受けた自動販売機10は、その時点での、売り上げ情報などを含む返信情報を、受信手段22に返信する。
(一定期間サイクル)
例えば、要求手段21は、一定期間の間隔ごとに要求信号を送信する。例えば、1時間毎であったり3時間毎であったりの間隔で、要求手段21は、要求信号を、自動販売機10に出力できる。あるいは、要求手段21は、日中は1時間毎のサイクルで要求信号を出力し、夜間は、3時間毎のサイクルで要求信号を出力するなど、時間帯によって、一定サイクルを変化させることもよい。
あるいは、設置場所によって、時間の異なるサイクルで、要求手段21は、自動販売機10に対して要求信号を送信しても良い。このため、一定サイクルとは、常に一定のサイクルではなく、可変性や変動性のあるサイクルであったり、任意に切り替えられるサイクルであったりしてもよい。あるいは、自動販売機群2が含む自動販売機10の設置場所や種類によって、異なるサイクルが採用されてもよい。
(特定時刻)
要求手段21は、所定に定められた特定時刻に、自動販売機群2の含む自動販売機10のそれぞれに要求信号を出力することも良い。例えば、サーバー20を用いた自動販売機群2の経理処理の締めを17時に行うのであれば、要求手段21は、14時や15時など、決まった特定時刻に、自動販売機10に対して要求信号を送信する。
この特定時刻は、当然に、サーバー20の管理者によって適宜定められればよいし、サーバー20によって異なってもよい。要求手段21が、定められた特定時刻に自動販売機群2の自動販売機10のそれぞれに、要求信号を(特に、一斉に)送信することで、高いリアルタイム性で、受信手段22が自動販売機10からの情報を受信できる。特定時刻を、最適に設定すれば、受信手段22が受信した情報を、経理手段27が、管理者にとって高いリアルタイム性をもって、売り上げ等の経理処理を実行できるようになる。
(任意時刻)
要求手段21は、サーバー20やサーバー20の管理者が任意に決める任意時刻に、自動販売機群2の含む自動販売機10のそれぞれに、要求信号を送信することでも良い。
サーバー20の管理者にとっては、任意のある時刻に、売り上げ情報などを知りたいことが生じる。また、この任意のある時刻は、1日の間に一回であることもあるし複数回であることもある。例えば、午前中のある時刻に、要求信号を用いて、自動販売機群2の含む自動販売機10からの売り上げ情報などを収集した場合に、午後のある時刻に更に売り上げ情報などを収集したい場合もある。
このような場合にはサーバー20の管理者は、任意の時刻を、サーバー20に設定して、自らの発意に基づいた情報収集を行うことができる。特に、経理処理の必要性に応じて、サーバー20の管理者が、この任意の時刻を定めればよい。この定められた任意の時刻によって、サーバー20の管理者は、高いリアルタイム性(特に、必要性のある時刻に対する高いリアルタイム性)を、もって、売り上げ等の情報を、自動販売機群2から得ることができる。
(所定条件)
要求手段21は、所定条件に基づいて、自動販売機群2の含む自動販売機10に対して要求信号を送信することも適当である。例えば、経験則的に、自動販売機群2に含まれる複数の自動販売機10のいずれか(あるいは一部か全部)が、所定金額以上の売り上げとなる時刻が分かっていることがある。あるいは、経験則的に、自動販売機群2に含まれる自動販売機10のいずれか(あるいは一部か全部)が、商品不足となる時刻がわかっていることがある。
このような場合に、サーバー20は、自らが記憶している経験則(これが所定条件となる)に従って、要求部21を制御して、要求信号を、自動販売機群2に含まれる自動販売機10のいずれかに送信する。
このため、所定条件は、任意時刻と同じように、サーバー20の管理者によって自動販売機10の経理処理を行う必要性に応じて、任意に定められる。また、管理者が、サーバー20にプログラマブルに所定条件を記憶させておくことで、所定条件をサーバー20が自ら判断して、所定条件が整った場合に、要求手段21を通じて、要求信号を自動販売機群2の含む複数の自動販売機10に送信する。
以上のように、要求手段21が、一定期間サイクル、特定時刻、任意時刻および所定条件の少なくとも一つに基づいて、自動販売機群2の含む複数の自動販売機10に、要求信号を出力することで、自動販売機管理システム1は、自動販売機10の売り上げ情報などの、バリエーションとリアルタイム性の高い収集が可能になる。
もちろん、サーバー20や管理部門50が、自動販売機10に要求信号を随意に出力することも好適である。また、複数の自動販売機10の内、特定の自動販売機10に要求信号を出力することもよい。この場合には、複数の自動販売機10の内、特定の自動販売機10のみの情報を収集可能である。
これら一定サイクル、特定時刻、任意時刻および所定条件のそれぞれは、サーバー20の管理者によって、予めサーバー20に記憶されても良いし、サーバー20の管理者が、必要に応じて主体的に設定しても良い。いずれにしても、サーバー20の有する様々なバリエーションに従ったリアルタイム性の高い情報収集が実現される。
サーバー20による(要求手段21による)バリエーションとリアルタイム性の高い返信情報の収集によって、識別媒体14での購入決済可否だけでなく、売り上げ等の様々な情報の収集が、様々な条件で実行される。この結果、経理手段27では、任意の期間や時刻における経理処理を行える。
なお、要求手段21は、複数の施設に設置されるそれぞれの自動販売機群2A〜2Cに同時に要求信号を送信しても良いし、異なる時刻に送信しても良い。単体のサーバー20で、自動販売機管理システム1が構築されるので、要求手段21も、複数の自動販売機群2を、様々にコントロールできる。
なお、サーバー20と複数の自動販売機群2の含む複数の自動販売機10のそれぞれは、無線および有線の少なくとも一方で通信可能に接続される。また、無線および有線の少なくとも一部は、公衆回線もしくは他の専用回線を経由可能であることも好適である。
例えば、自動販売機群2は、それぞれの施設に設置されている。この施設の専用回線の一部を用いて、サーバー20と自動販売機群2とが、通信可能であることもよい。
このように、サーバー20は、要求手段21を用いて、識別媒体14による購入時のみでなく、自動販売機10のそれぞれが有している様々な情報を、主体的に得ることができる。この結果、自動販売機管理システム1は、売り上げ等の重要な情報の把握を、高いバリエーションとリアルタイム性によって、実行できる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3では、経理手段27での経理処理のバリエーションや、経理処理に繋がる次のステップの処理について説明する。自動販売機10を設置する設置主体者である商品メーカーは、自動販売機管理システム1の管理者となり、各施設に設置されている自動販売機群2の販売動向や顧客嗜好動向を把握できることは、この管理者にとって高いメリットをもたらす。
(経理処理のバリエーション)
経理手段27は、把握手段23で抽出された自動販売機群2に含まれる複数の自動販売機10のそれぞれの売り上げを経理処理できる。経理処理は、自動販売機10のそれぞれの売り上げ、利益金額、商品ごとの販売数、商品ごとの売り上げ、時間単位での売り上げ、時間単位での売り上げ商品、時間帯と売り上げとの関連性、時間帯と売り上げ商品との関連性、購入者の特定、購入者と購入額の関連性、購入者と購入商品との関連性、などの、整理と分析を含む。
また、経理手段27は、自動販売機群2に含まれるそれぞれの自動販売機10、あるいは自動販売機群2全体(あるいは一部)の、時間売り上げ動向、商品売り上げ動向、購入者動向、設置場所と売り上げ動向などについて、分析した結果を、関係式、グラフ、図示などの少なくとも一つの手段で算出することも好適である。これら関係式、グラフ、図示などの可視化できる状態とすることで、管理者や商品メーカーにとって、その後の商品プランニングや、自動販売機設置プランニングや、自動販売機管理プランニングなどに、容易に役立てることができるからである。
(時間帯と売り上げの関連性)
図6は、実施の形態3における時間帯と売り上げとの関連性を示すグラフである。図6は、8時から18時までの、2時間間隔での売り上げをヒストグラムおよび時間関係曲線で表している。これは、自動販売機群2に含まれる複数の自動販売機10のいずれか一つの売り上げでも良いし、複数の自動販売機10のいくつかの売り上げでも良いし、自動販売機群2全体の売り上げでも良い。自動販売機管理システム1の管理者にとって、図6のような分析結果は、必要に応じた売り上げと時間との関係を把握することに役立つ。
すなわち、経理手段27は、時間と売り上げの時間売り上げ動向を分析して、管理者に提供できる。このとき、上述のように、複数の自動販売機10のそれぞれにおいてでもよいし、いくつかにおいてでも良いし、自動販売機群2全体においてでもよい。
図6では、当然ながらお昼の時間帯の売り上げが大きく、早朝や夜間は、売り上げが小さい。このため、管理者は、自動販売機10の商品補充のタイミングを夜に行ったり、夜間や早朝における、商品の冷却や加熱の消費電力を低減させたりするプランニングを行うことをできるようになる。
時間帯と売り上げとの関連性である時間売り上げ動向が、個々の自動販売機10や自動販売機群2で分かることで、管理者は、自動販売機10の設置場所、補充プラン、設置数の最適プラン等を、検討することができる。
(商品ごとの売り上げ関連性)
図7は、本発明の実施の形態3における商品種類と売り上げとの関連性を示すヒストグラムである。自動販売機10には、飲料であれ、食物であれ、日曜品であれ、複数の種類の商品が用意されている。購入者は、自分の必要なあるいは好みの商品を選択して、自動販売機10での購入を行う。また、飲料メーカーなどにとっては、自社の販売拡大を狙う商品、販売の安定した商品、新規参入商品など、様々な意図で複数の種類の商品を用意している。
自動販売機10が備える複数の商品においては、人気商品、中程度の人気商品、やや不人気商品などがある。自動販売機10の商品を製造する飲料メーカーなどにとっては、スーパーやコンビニエンスストアでの複数の商品のそれぞれでの販売動向も重要であるが、自動販売機10での販売動向も重要である。自動販売機10での販売動向は、消費者の商品への好みを反映している可能性が高いと考えられるからである。
図7では、商品A、商品D、商品Fの売り上げが低い。図7で、破線で示す閾値1未満の売り上げである。一方、商品Eの売り上げはまあまあであり、商品B、商品Cは、閾値2以上の大きな売り上げを有している。この点で、商品A〜Fの人気度合いが分かる。管理者は、この図7の分析結果によって、商品の人気度合いを計り、商品開発や商品補充のプランニングを行うことができる。
例えば、図7のA,商品D、商品Fは、閾値1よりも低い売り上げしかない(例えば、ある一日での売り上げであったり、ある時間帯での売り上げであったり、ある期間での売り上げであったりする)。閾値1も、閾値2も、管理者や商品メーカーによって任意に定められれば良いが、閾値1は、非常に低い金額に設定されているものとする。
この結果からすれば、閾値1よりも低い売り上げしかない状態では、商品A,D、Fは、極めて売り上げが悪いといえる。管理者や商品メーカーは、この商品A、D、Fは、不人気商品であると考えて、例えば廃盤商品にすることもありえる。あるいは、不人気商品であるので、売り方の戦略を考え直すこともありえる。例えば、販売する場所や季節、商品パッケージや商品名称などである。
また、商品Eは、閾値1と閾値2の間の売り上げである。すなわち、まあまあの売り上げであるといえる。極めて多くの販売が行われるわけではないが、売れ行きが悪いといえるほどでもない。このため、管理者や商品メーカーにとっては、定番商品であると言える。このため、当該商品Eは、このままの路線を継承していけばよいと考えられる。
一方、商品B、商品Cは、閾値2以上の売り上げである。非常に高い売れ行きを示していることが、経理手段27によって算出された図7のグラフによって分かる。このような商品は、管理者や商品メーカーにとっての稼ぎ頭であり、重要商品である。管理者や商品メーカーは、例えば、商品B,Cの一つの自動販売機10での収容数を多くしたり、補充回数を増やすなどをプランニングしたりする。
特に、経理手段27は、単体のサーバー20に含まれるので、異なる施設に設置される異なる自動販売機群2のそれぞれの、時間帯での売り上げ動向を分析することもできるし、複数の自動販売機群2をまとめて、時間帯での売り上げ動向を分析することもできる。この結果、管理者は、施設ごと(自動販売機群2毎)に、商品開発、商品補充、商品補充手順のプランニングを行える。
(顧客と売り上げの動向)
図8は、本発明の実施の形態3における、顧客と売り上げの関連性を示す顧客売り上げ動向を表すグラフである。図8のグラフは、ある顧客Aの商品A〜Fのそれぞれに対する購入動向を示している。既に述べたように、施設内部に設置された自動販売機群2では、社員証によって購入決済が行われる。社員証は、当該社員のIDコードを有しているので、この社員が現金やプリペイドカードなどではなく、社員証で商品を購入する場合には、社員のIDコードと購入商品とが対応付けられることになる。
経理手段27は、このように社員証などで購入決済されることを利用して、特定顧客と売り上げの動向を算出して、図8のグラフのように可視化することもできる。図8では、ある顧客Aの商品A〜Fのそれぞれの売り上げがヒストグラムで示されている。
図8のグラフでは、顧客Aは、商品Cと商品Dを中心に購入しており、それ以外の商品は、購入実績が少ないことが分かる(商品Eはやや多いが)。例えば、商品C、商品Dは、コーヒー系飲料であり、それ以外の商品は、ジュース類であるとすると、当該顧客Aは、コーヒー系飲料を好む傾向を見て取れる。施設内部には、当然顧客A以外の顧客もいるので、他の顧客についても同様の動向を算出して分析すれば、当該施設内部では、どのジャンルの商品が人気があり、どのジャンルの商品が、人気がないかが分かる。
あるいは、施設内部で、顧客Aが購入する自動販売機10の設置エリアが、一定の範囲に限定される場合(広いオフィスビルや工場では、購入場所は、顧客Aの所属部門の場所に依存すると考えられる)には、この顧客Aに合わせて、自動販売機10の商品ラインアップを変えることも考えられる。もちろん、顧客Aだけでなく、ある一定の範囲の自動販売機10での購入の多い顧客の購入動向に従って、これらの範囲に設置される自動販売機10でのラインアップを検討しても良い。
(設置場所売り上げ動向)
また、経理手段27は、自動販売機10の設置場所と売り上げ動向との関係を算出して可視化することも好適である。図9は、本発明の実施の形態3における設置場所と売り上げとの関係を示すグラフである。図9に示されるヒストグラムにより、設置場所の異なる自動販売機A〜自動販売機Fのそれぞれの売り上げの違いが分かる。ここで、図9における自動販売機A〜Fのそれぞれは、設置場所の違いによる自動販売機10である。
これらの自動販売機A〜Fのそれぞれは、同じ自動販売機群2の中に含まれる自動販売機10のいずれかであっても良い。あるいは、自動販売機A〜Fのそれぞれは、異なる自動販売機群2に分布している自動販売機10のいずれかであってもよい。
ここでは、ある設置場所に設置されている自動販売機Aと自動販売機Eの売り上げが高いことが分かる。別の場所に設置されている自動販売機B、Cは、中程度の売り上げであり、更に別の場所に設置されている自動販売機D,Fのそれぞれは、売り上げが非常に低い。
このため、管理者や商品メーカーなど、自動販売機を設置する主体者は、この自動販売機D、Fの設置を取りやめることも検討対象とできる。あるいは設置場所を変えるなどの検討も可能である。
以上のように、経理手段27が、様々な売り上げ動向を算出・分析し、更に、図6〜9のように可視化できることで、管理者や商品メーカーは、種々の検討をできる。
(プランニング手段)
図10は、本発明の実施の形態3における自動販売機管理システムのブロック図である。図10の自動販売機管理システム1は、プランニング手段28を更に備えている。
プランニング手段28は、実施の形態3で説明した経理手段が算出する販売動向に基づいて、自動販売機群2に含まれる少なくとも一部の自動販売機10での商品プラン、商品補充サイクルプランおよび商品補充手順プランの少なくとも一つを決定する。
図6〜図9に示されるような、種々の視点での販売動向が得られれば、その結果を踏まえて、管理者や商品メーカーが、人力で商品プランなどを検討することがありえる。例えば、開発会議によって商品プランや商品補充プランを決定すればよい。
しかし、コンピューター機器の性能の向上に伴って、人的要素がなくても、種々のプランニングが解析される。このため、サーバー20は、人力で検討するようなプランニングを実行するプランニング手段28を有することもできる。例えば、サーバー20が有するマイクロプロセッサが、特定のプログラムを動作させることで、このプランニング手段28の機能を実現しても良い。
商品プランは、図6〜図9で示される販売動向から、「売れていない商品」、「売れている商品」、「改良や入れ替えを検討すべき商品」などを検討することである。一定のルーティーンな計算を繰り返せば、販売動向のデータが投入されることで、プランニング手段28は、これらに対して、適切な解や提案を提示することができる。
同様に、販売動向の十分な量のデータが与えられることで、プランニング手段28は、商品補充サイクルや商品補充手順について、適切な解や提案を提示できる。例えば、特定の商品の売り上げが自動販売機群2において大きいので、商品補充においては、この商品をより多く積んだトラック等で補充することが適切である。あるいは、ある場所に設置されている自動販売機の売り上げが大きいことで、商品が減りやすいこの自動販売機から補充を開始する補充手順が適切である。
プランニング手段28は、このように、種々のプランニングを行い、管理者や商品メーカーに適切なソリューションを提供できるようになる。
以上、実施の形態3における自動販売機管理システム1は、売り上げの把握と経理処理に基づいて、様々な分析を行ったり、分析に基づくプランニングを行ったりして、自動販売機管理システムの管理者や商品メーカーへの、商品開発や商品展開への適切な解を提供できる。
また、識別媒体14によって購入決済されることで、特定の購入者の嗜好が経理手段27によって分析される。この分析結果によって、プランニング手段28は、特定の購入者の嗜好をプランニングできる。このプランニングによって、特定の購入者に対して、嗜好に適した商品を、自動販売機10を介して通知したり、識別媒体14を通じて通知したりすることも好適である。特に、識別媒体14が、携帯端末に含まれている場合には、このような通知が容易に行われる。
管理者にとっては、特定の購入者の嗜好に沿った商品案内を行えることで、売り上げ増加を狙うことも可能となる。
以上、実施の形態1〜3で説明された自動販売機管理システムは、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。