JP6025551B2 - 樹脂部品係止構造 - Google Patents
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Description
樹脂部品から一体に突設された挿入部を、相手部品に設けられた係止穴へ挿入することにより、前記挿入部の一側面から面外方向へ向けて突出された係止部を、前記係止穴の一方の縁部に係止させるようにした樹脂部品係止構造において、
前記挿入部に対し、前記係止部の両側部またはそれよりも外側方に位置して、
前記係止部の少なくとも一方の端部を越えて、挿入部の挿入方向へ延びる脆弱部を形成し、
該脆弱部を、前記係止部の前記係止穴への係止時に破断されるものとすることにより、
前記脆弱部の破断によって、前記係止部が前記挿入部から部分的に独立されて、前記挿入部の面直方向へ弾性変形し得るようにしたことを特徴とする。
請求項2に記載された発明は、上記において、前記脆弱部が、前記挿入部の、前記係止部とは反対側の面に形成されたことを特徴とする。
請求項3に記載された発明は、上記において、前記脆弱部が、前記挿入部の全長に亘って延びるものとされたことを特徴とする。
請求項4に記載された発明は、上記において、前記樹脂部品における、前記挿入部の背面側に、前記挿入部から離して、前記挿入部の挿入方向へ延びる位置規制用突出部を設け、
前記係止穴の前記位置規制用突出部側の縁部に、前記位置規制用突出部を受ける突出壁部を設け、
前記位置規制用突出部の基部側の部分が、前記係止穴の前記樹脂部品側の縁部に当接すると共に、
前記位置規制用突出部の先端部が、前記突出壁部に当接するよう構成したことを特徴とする。
請求項5に記載された発明は、上記において、前記係止穴の近傍に、この係止穴に係止された前記挿入部の背面を支持固定可能な係止時爪支持部を設置し、
この係止時爪支持部を、前記突出壁部の先端側に設けたことを特徴とする。
請求項6に記載された発明は、上記において、前記挿入部の裏面側に、係止時爪支持部に対する当り具合を調整するための調整用突条を設けたことを特徴とする。
即ち、挿入部に対し、係止部の両側部またはそれよりも外側方に位置して、係止部の少なくとも一方の端部を越えて、挿入部の挿入方向へ延びる脆弱部を形成することにより、係止部の係止穴への係止時に、脆弱部が破断されることになる。この脆弱部の破断によって、係止部が挿入部から部分的に独立されて、挿入部の面直方向へ弾性変形し得るようになる。
即ち、係止部の周囲に、挿入部を貫通して係止部を部分的に独立させるようにするためのスリット(図+のスリット部6参照)を予め形成する必要がなくなり、浅い脆弱部を形成するだけで良くなるので、挿入部および係止部を成形し易くすることができる。これにより、スライド型を移動するスペースが十分確保できないような場合であっても、挿入部および係止部をより成形し易いものとすることが可能となる。
また、脆弱部が破断しているかどうかを一見するだけで、簡単に未使用のものであるのか、使用済みのものであるのか、を知ることができるようになり、係止構造を有する樹脂部品の管理が容易になる。
請求項2に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、脆弱部を、挿入部の、係止部とは反対側の面に形成することにより、挿入部を成形するためのスライド型を、挿入部の挿入方向へ型抜きすることが可能となる。挿入部の挿入方向には、特に、障害物が存在しないので、金型構造を確実に成立させることが可能となる。これにより、挿入部および係止部の成形を、一層容易化することができる。
請求項3に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、脆弱部が、挿入部の全長に亘って延びるものとされたことにより、脆弱部の破断後に、係止部は、基部側が樹脂部品と連続または連結され、先端部側が自由端となる、片持爪の一部となる。
そして、このように、脆弱部を、挿入部の全長に亘って延ばすことにより、
挿入部を成形するためのスライド型を、挿入部の挿入方向へ抜くようにした場合に、無理抜を行うことなく、挿入部を挿入方向に脱型させることが可能となる。
請求項4に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、樹脂部品に一体に形成された挿入部を相手部品に設けられた係止穴へ挿入することにより、樹脂部品を相手部品に対して係止保持させることができる。
この際、樹脂部品における、挿入部の背面側に挿入部から離して設けられた、挿入部の挿入方向へ延びる位置規制用突出部によって、挿入部を位置規制することができる。
また、係止穴の位置規制用突出部側の縁部に突出壁部を設けることにより、上記した位置規制用突出部を、突出壁部を介して相手部品に受けさせることができる。
挿入部が係止穴(の一方の縁部)に係止され、位置規制用突出部の基部側の部分が、係止穴(の他方の縁部)に当接され、位置規制用突出部の先端部が、突出壁部に当接されることにより、挿入部は、3点支持状態となるので、樹脂部品のガタ付きを少なくすることができる。
請求項5に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、係止穴の近傍に設置した係止時爪支持部によって、挿入部の背面を支持させることにより、係止穴に係止された突出部を動かないようにロックすることができる。これによって、突出部を小さくしても大きな係止力を得ることが可能となる。
また、係止時爪支持部が挿入部を動かないようにロックすることで、係止時や係止後における挿入部の変形が抑えられるようになるので、その分、挿入部が塑性変形を起こし難くなり、挿入部の塑性変形による係止力の低下を防止して、繰返し使用による耐力や安定性を向上することができる。しかも、係止時爪支持部が挿入部に作用する応力を緩和するので、挿入部を破損し難くすることができる。
更に、上記したように突出部を小さくすると、係止穴に係止する際の挿入部の変形量も小さくなるので、挿入部を、より塑性変形し難くすることができる。
以上により、一体爪構造(一体型の樹脂爪構造)であっても、繰返し使用に対する耐力や安定性をこれまでよりも格段に向上しつつ、これまでと同様か、または、それ以上の高い係止力を得ることができるようになり、上記した繰返し使用に対する安定性と係止力とを高度に両立することが可能となる。更に、挿入部の小型化や薄型化までも得ることができる。
そして、突出壁部の先端側に係止時爪支持部を設けることにより、挿入部の(フリーとなっている)先端側の背面を相手部品によって支持固定させて、挿入部を確実にロックすることが可能となる。また、係止時爪支持部を突出壁部の先端側に設けることにより、位置規制などのために設けられた突出壁部を利用して係止時爪支持部を設置することができる。
請求項6に記載された発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。
即ち、挿入部の裏面側に調整用突条を設けたことにより、係止時爪支持部に対する当り具合を最適に調整することができる。
図1〜図8は、この実施例およびその変形例を示すものである。
この実施例にかかる樹脂部品係止構造は、主に、図9の係止後の状態を示す側方断面図に示すように(図1〜図8も併せて参照)、樹脂部品21から一体に突設された挿入部22を、相手部品23に設けられた係止穴24へ挿入することにより、上記挿入部22の一側面から面外方向へ向けて突出された係止部25を、上記係止穴24の一方の縁部に係止(固定)させるようにしたものである。
ここで、上記した「樹脂部品21」は、自動車などの車両の場合、車室内や車室外に各種設けられる。例えば、車室内の前部に設けられるインストルメントパネルや、このインストルメントパネルに取付けられる各種のサブパネルや、車室内に設置されるセンターコンソールや、このセンターコンソールに取付けられる各種のサブパネルなどに設けられる。この場合、樹脂部品21は、硬質樹脂によって構成される。
図3、図4に示すように、上記挿入部22に対し、上記係止部25の両側部またはそれよりも外側方に位置して、上記係止部25の少なくとも一方の端部を越えて、挿入部22の挿入方向31へ延びる脆弱部32を形成する。
そして、この脆弱部32を、上記係止部25の上記係止穴24への係止時に破断されるものとする(図8参照)。これにより、上記脆弱部32の破断によって、上記係止部25が上記挿入部22から部分的に独立されて、上記挿入部22の面直方向へ弾性変形し得るもの(爪部33、図8参照)とする。
ここで、上記した「係止部25の両側部」は、挿入部22の幅方向(図3、図4の(ほぼ)左右方向)の両側部の意味である。この場合には、脆弱部32は、係止部25の両側部に設けられている。
上記において、図3、図4に示すように、上記脆弱部32が、上記挿入部22の、上記係止部25とは反対側の面に形成されるようにする。
ここで、上記した「反対側の面」は、上記した一側面(例えば、表面)に対する他側面(例えば、裏面)のことである。
好ましくは、上記脆弱部32が、上記挿入部22の全長に亘って延びるものとされる。
ここで、上記した「全長に亘って延びる」は、挿入部22の基端部から先端部へ向け、全域に亘り連続して延びることである。この構成により、上記した「爪部33」は、基部(付根部)側が樹脂部品21と連続されて、先端側がフリーな片持梁となる。これにより、爪部33の梁長さを挿入部22の全長と等しくして、弾性変形能力を最も高くして、塑性変形し難くすることができる。
図9に示すように、上記樹脂部品21における、上記挿入部22の背面側(図中右側)に、上記挿入部22から離して、上記挿入部22の挿入方向31へ延びる位置規制用突出部41を設ける。
また、上記係止穴24の上記位置規制用突出部41側の縁部(図中右側の縁部、または、他方の縁部)に、上記位置規制用突出部41を受ける突出壁部42を設ける。
そして、上記位置規制用突出部41の基部側の部分が、上記係止穴24の樹脂部品21側の縁部(図中上縁部)に当接するように構成される。
また、上記位置規制用突出部41の先端部が、上記突出壁部42に当接するように構成される。
ここで、上記した「位置規制用突出部41」は、挿入部22と平行な面を有すると共に、挿入部22よりも短いものとされる。位置規制用突出部41の、係止穴24へ挿入される部分の長さは、少なくとも、相手部品23の肉厚の倍程度以上とするのが好ましい。この場合、位置規制用突出部41は、挿入部22の係止部25における導入テーパ部25bの中間部の位置まで延びるものとされている。
上記係止穴24の近傍に、この係止穴24に係止された上記挿入部22(の爪部33)の背面を支持固定可能な係止時爪支持部46を設置する。
そして、この係止時爪支持部46を、上記突出壁部42の先端側に設けるようにする。
ここで、上記した「係止時爪支持部46」は、挿入部22(の爪部33)の係止穴24に対する係止時に、爪部33の背面を押さえて爪部33が動かないようにロックするロック部としての機能を有するものとされる。係止時爪支持部46は、構造的には、樹脂部品21や、相手部品23や、周囲に存在する部品などに対して適宜設けることが可能である。
上記において、上記突出壁部42が、上記爪部33の先端部を、上記係止時爪支持部46へ向けて案内する案内面49を有するものとされる。
ここで、上記した「案内面49」は、突出壁部42の先端側の延長部47に設けられる。この案内面49は、延長部47の爪部33側の面に形成されて、突出壁部42と係止時爪支持部46との間を繋ぐガイド面などとされる。この場合、上記した案内面49は、上記した停止面48から係止時爪支持部46へ向け、下り勾配に延びる傾斜面とされている。
上記において、係止穴24の周囲に、爪部33に対する挿入ガイド部51が設けられる。
ここで、上記した「挿入ガイド部51」は、相手部品23における、樹脂部品21側の面で、且つ、係止穴24の爪部33側の縁部に設けられる。この挿入ガイド部51は、例えば、上記した縁部に沿って突条部52を突設し、この突条部52の爪部33側の側面から係止穴24の爪部33側の縁部に亘って形成された導入テーパ部などとされる。この導入テーパ部は、係止穴24へ向かって下り勾配となる傾斜面などとされる。
図3、図4に示すように、上記挿入部22の裏面側に、係止時爪支持部46に対する当り具合を調整するための調整用突条53を設けるようにする。
ここで、上記した「調整用突条53」は、挿入部22の爪部33の裏面側に設けられる。この調整用突条53は、例えば、挿入部22の挿入方向31の全長に亘って設けられる。
樹脂部品21に一体に形成された挿入部22を、図5〜図9に順に示すように、相手部品23に設けられた係止穴24へ挿入することにより、図9に示すように、樹脂部品21を相手部品23に対して係止保持させることができる。
この際、挿入部22の係止部25は、係止穴24における、相手部品23の奥側の面に係止される。
(作用効果1)
挿入部22に対し、係止部25の両側部またはそれよりも外側方に位置して、係止部25の少なくとも一方の端部を越えて、挿入部22の挿入方向31へ延びる脆弱部32を形成することにより、係止部25の係止穴24への係止時に、脆弱部32が破断されることになる。この脆弱部32の破断によって、係止部25が挿入部22から部分的に独立されて、挿入部22の面直方向へ弾性変形し得るようになる。即ち、係止穴24への挿入によって、爪部33が出現されることになる。
即ち、係止部25の周囲に、挿入部22を貫通して係止部25を部分的に独立させるようにするためのスリット(図10のスリット部6参照)を予め形成する必要がなくなり、浅い脆弱部32を形成するだけで良くなるので、挿入部22および係止部25を成形し易くすることができる。これにより、スライド型を移動するスペースが十分確保できないような場合であっても、挿入部22および係止部25をより成形し易いものとすることが可能となる。
脆弱部32を、挿入部22の、係止部25とは反対側の面に形成することにより、挿入部22を成形するためのスライド型を、挿入部22の挿入方向31へ型抜きすることが可能となる。挿入部22の挿入方向31には、特に、障害物が存在しないので、金型構造を確実に成立させることが可能となる。これにより、挿入部22および係止部25の成形を、一層容易化することができる。
脆弱部32が、挿入部22の全長に亘って延びるものとされたことにより、脆弱部32の破断後に、係止部25は、基部側が樹脂部品21と連続または連結され、先端部側が自由端となる、片持爪の一部となる。
樹脂部品21における、挿入部22(の爪部33)の背面側に爪部33から離して設けられた、挿入部22の挿入方向31へ延びる位置規制用突出部41によって、樹脂部品21を、位置規制用突出部41と挿入方向31との離隔方向(或いは、挿入部22の面直方向、または、図1の左右方向)に対して位置規制させることが可能となる。
上記した挿入部22(の爪部33)が係止穴24へ挿入係止された時に、係止穴24の近傍に設置した係止時爪支持部46によって、挿入部22の背面を支持固定させることにより、係止穴24に係止された係止部25を動かないようにロックすることができる。これによって、係止部25を小さくしても大きな係止力を得ることが可能となる。
突出壁部42に案内面49を設けることにより、係止穴24に対して挿入部22を挿入する際に、挿入部22の先端部を、案内面49に沿って、係止時爪支持部46へ向けスムーズに案内することができると共に、挿入部22の先端部を係止時爪支持部46によって確実に支持させることができる。
相手部品23が、係止穴24の周囲(入口部)に、挿入部22に対する挿入ガイド部51を有することにより、挿入ガイド部51が挿入部22を案内して、挿入部22を確実に係止穴24へ挿入させることができる。これにより、挿入部22の側に挿入ガイド部51に相当する傾斜面などを設ける必要がなくなるので、その分、挿入部22を薄肉化することができる。
挿入部22の裏面側に調整用突条53を設けたことにより、係止時爪支持部46に対する当り具合を最適に調整することができる。
22 挿入部
23 相手部品
24 係止穴
25 係止部
31 挿入方向
32 脆弱部
33 爪部
41 位置規制用突出部
42 突出壁部
46 係止時爪支持部
53 調整用突条
Claims (6)
- 樹脂部品から一体に突設された挿入部を、相手部品に設けられた係止穴へ挿入することにより、前記挿入部の一側面から面外方向へ向けて突出された係止部を、前記係止穴の一方の縁部に係止させるようにした樹脂部品係止構造において、
前記挿入部に対し、前記係止部の両側部またはそれよりも外側方に位置して、
前記係止部の少なくとも一方の端部を越えて、挿入部の挿入方向へ延びる脆弱部を形成し、
該脆弱部を、前記係止部の前記係止穴への係止時に破断されるものとすることにより、
前記脆弱部の破断によって、前記係止部が前記挿入部から部分的に独立されて、前記挿入部の面直方向へ弾性変形し得るようにしたことを特徴とする樹脂部品係止構造。 - 前記脆弱部が、前記挿入部の、前記係止部とは反対側の面に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂部品係止構造。
- 前記脆弱部が、前記挿入部の全長に亘って延びるものとされたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂部品係止構造。
- 前記樹脂部品における、前記挿入部の背面側に、前記挿入部から離して、前記挿入部の挿入方向へ延びる位置規制用突出部を設け、
前記係止穴の前記位置規制用突出部側の縁部に、前記位置規制用突出部を受ける突出壁部を設け、
前記位置規制用突出部の基部側の部分が、前記係止穴の前記樹脂部品側の縁部に当接すると共に、
前記位置規制用突出部の先端部が、前記突出壁部に当接するよう構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の樹脂部品係止構造。 - 前記係止穴の近傍に、この係止穴に係止された前記挿入部の背面を支持固定可能な係止時爪支持部を設置し、
この係止時爪支持部を、前記突出壁部の先端側に設けたことを特徴とする請求項4に記載の樹脂部品係止構造。 - 前記挿入部の裏面側に、係止時爪支持部に対する当り具合を調整するための調整用突条を設けたことを特徴とする請求項5に記載の樹脂部品係止構造。
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