JP4445169B2 - スナップフィット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック等の樹脂材料から成るスナップフィットの改良に関し、例えば各種機器の開閉部分や、部品間の連結に使用されるスナップフィットの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
家電器具、OA機器、パソコンなどの電気、電子機器は、社会の要請に応じて、小型低価格化・軽量化が進められているため、これらの機器を構成する材料としても、材料変更が可能な部分については金属からプラスチックへと移行している。
また、プラスチック製の部品に対して他の部品を固定したり、プラスチック部品自体を筐体に固定する際には、部品点数の削減(コストダウン)、組み付け作業の容易化と組み付け時間短縮による生産性の向上、外観美の向上等を目的として、固定手段、係合手段として、従来から使用されてきたネジに代えて、係合爪から成るスナップフィット(パッチン止め)が多用されている。
また、強度が必要な開閉固定部分には、レバー、マグネット、ラッチを用いていたが、最近では、製品の開閉部分の固定にも、レバー、マグネット、ラッチ等の代用手段としてプラスチック製スナップフィットが使われることが多くなってきている。
【0003】
図7は、従来の一般的なスナップフィットの構成を示す図である。スナップフィットは、ベース部材1上に突設したプラスチック製の係合爪2と、係合爪2が係脱する被係合部(穴、或いは突起)6を有した被係合対象物(相手部材)5と、を備えている。係合爪2は、前後方向へ弾性変形可能な状態でベース部材1上に突設された柱部材3と、柱部材3の先端前面部に突設され且つ被係合部6に係合するアゴ部4と、を備えている。
図7(a)に示すように、係合爪2の係合力は、柱部材3の強度、すなわち厚み(t1)や材質等による曲がり易さと、アゴ部2の出張り量(t2)によって決まる。t1、t2が大きいほど係合力はアップする。図7(a)に示すような相手部材5の被係合部(穴)6内に嵌合して係合する場合、係合途中では係合爪2は点線で示すように背方向へたわみ、被係合部6をアゴ部4が越えたときに図7(b)のように係合が終了する。図7(b)の場合、アゴ部4を係合爪2の背方向に曲げてやることで相手部材5の被係合部6内から離脱することができるが、図7(c)に示すようにアゴ部4の下面に下向きに傾斜する面を設けておけば、相手部材5を上方向に持ち上げるだけで係合爪2との係合を外すことができる。
しかし、従来のプラスチック係合爪は、嵌合い構造とプラスチック係合爪の弾性を利用しているため、部品精度のバラツキにより係合部分の脱着力(開閉部分であれば開閉力)に差が生じたり、繰り返しの脱着により弾性力が劣化する等、当初の脱着力が得られなくなる不具合があり、これを修理する場合にはプラスチック係合爪を含む部品のすべてを交換せねばならないという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、各種機器の開閉部分や、部品間の連結に使用されるプラスチック係合爪から成るスナップフィットにおいて、部品点数の削減による低コスト化、組み付け作業の容易化等による生産性の向上、外観美の維持、向上といった利点を損なうことなく、プラスチック部品精度のバラツキにより係合、係止力にバラツキが発生したり、経時的に弾性力が低下するといった不具合を解消することができるスナップフィットを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、被係合対象物と、ベース部材上に突設され且つ該被係合対象物に対して着脱自在に係合する係合爪と、を備えたスナップフィットにおいて、前記係合爪は、前後方向へ弾性変形可能な状態で前記ベース部材上に突設された柱部材と、該柱部材の先端前面部に突設され且つ被係合対象物に係合するアゴ部と、該柱部材の背面に沿って配置された柱部材の変形量調整手段と、を備え、前記変形量調整手段は、前記柱部材の背面に沿って突設された欠損可能な少なくとも一つのリブから成ることを特徴とする。
請求項2の発明は、被係合対象物と、ベース部材上に突設され且つ該被係合対象物に対して着脱自在に係合する係合爪と、を備えたスナップフィットにおいて、前記係合爪は、前後方向へ弾性変形可能な状態で前記ベース部材上に突設された柱部材と、該柱部材の先端前面部に突設され且つ被係合対象物に係合するアゴ部と、該柱部材の背面に沿って配置された柱部材の変形量調整手段と、を備え、前記変形量調整手段は、前記柱部材の背面側のベース部材上に移動、或いは回転自在に配置されることにより、柱部材の背面と接する高さ位置を変化させることができる高さ可変の調整手段であることを特徴とする。
請求項3の発明は、被係合対象物と、ベース部材上に突設され且つ該被係合対象物に対して着脱自在に係合する係合爪と、を備えたスナップフィットにおいて、前記係合爪は、前後方向へ弾性変形可能な状態で前記ベース部材上に突設された柱部材と、該柱部材の先端前面部に突設され且つ被係合対象物に係合するアゴ部と、該柱部材の背面に沿って配置された柱部材の変形量調整手段と、を備え、前記変形量調整手段は、前記柱部材の背面側のベース部材上に移動、或いは回転自在に配置されることにより、柱部材の背面に対する圧接力を変化させることができる圧接力可変の調整手段であることを特徴とする。
請求項4の発明は、被係合対象物と、ベース部材上に突設され且つ該被係合対象物に対して着脱自在に係合する係合爪と、を備えたスナップフィットにおいて、前記係合爪は、前後方向へ弾性変形可能な状態で前記ベース部材上に突設された柱部材と、該柱部材の先端前面部に突設され且つ被係合対象物に係合するアゴ部と、該柱部材の背面に沿って配置された柱部材の変形量調整手段と、を備え、前記変形量調整手段は、前記ベース部材に設けたネジ受け部により上下方向位置、及び回動角度を調整可能に支持されたボルト部と、該ボルト部の先部に固定されて柱部材の背面に圧接又は圧接する当接部材又は圧接部材と、を備えていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4に記載のスナップフィットを開閉部分に備えたことを特徴とする機器。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明の一実施形態を詳細に説明する。
本発明の各実施形態に共通する構成上の特徴は、係合穴、係合凹所、係合突起等の被係合部6を備えた相手部材としての被係合対象物5と、機器や部品の一部を構成するベース部材1上に突設され且つ該被係合対象物5の被係合部6に対して着脱自在に係合する係合爪2と、を備えたスナップフィットにおいて、係合爪2は、前後方向へ弾性変形可能な状態でベース部材1上に突設された柱部材3と、該柱部材3の先端前面部に突設され且つ被係合部6に係合するアゴ部4と、該柱部材3の背面に沿って配置された柱部材の変形量調整手段10と、を備えた点にある。この変形量調整手段10は、係合爪2を構成する柱部材3の背面側に位置していて、柱部材の背面側への変形量を規制、拡大したり、或いは前方への変形量(突出量)を調整する等の機能を発揮するものである。
【0007】
まず、図1(a)及び(b)は夫々本発明の一実施形態に係るスナップフィットの背面側外観斜視図である。
まず、図1(a)(b)の各実施形態に共通する構成上の特徴は、変形量調整手段10を備えている点にあり、この実施形態に係る変形量調整手段10は、柱部材3の背面に沿って突設された欠損可能な少なくとも一つのリブ11から構成されている。
即ち、このスナップフィットは、機器などの一部を構成するベース部材1上に突設したプラスチック製の係合爪2と、係合爪2が係脱する被係合部(穴、凹所、或いは突起)6を有した被係合対象物(相手部材)5と、を備えている。係合爪2は、前後方向へ弾性変形可能な状態でベース部材1上に突設された柱部材3と、柱部材3の先端前面部に突設され且つ被係合部6に係合するアゴ部4と、を備えている。
図1(a)のスナップフィットは、柱部材3の背面中程度の高さ位置からベース部材1上面にかけて一体化された同形状の三角板形状のリブ11を、柱部材3の左右方向(幅方向)に沿って等間隔で配置した構成が特徴的である。この例では、リブ11は、3本形成されているが、1本以上のリブを設けていればよく、本数や配置に制限はない。これらのリブ11は、人手、或いはドライバ、ペンチ等の手軽な道具を用いて欠損(折って除去)することが可能となるように予め柱部材やベースとの取付け強度や、リブ自体の強度(肉厚)を適切に設定してある。
なお、各リブ11は、必ずしも柱部材の背面とベース部材1の上面に対して同時に一体化している必要はなく、柱部材の背面か、或いはベース部材1の上面のいずれか一方だけと一体化し、他方との間は固定せずに接触するだけにしておいても良い。そのようにすれば、欠損による除去が容易となる。
図1(b)のスナップフィットは、リブ11のうちの一部、この例では3本のリブ11の内の中央のリブ11aだけを他のリブ11よりも大型にした構成が特徴的であり、他の構成、特徴は(a)のリブと同等である。
【0008】
このように、図1(a)(b)に示したスナップフィットは、柱部材3の背部分とベース部材1との間に欠損可能な複数のリブ11から成る変形量調整手段10を具備しているので、係合爪2と被係合対象物5との位置関係がずれて、係合爪2の背面側へのたわみ量が不足して係合がうまく行かない場合(係合が固い場合)に、その不足するたわみ量に応じて、リブ11を1本・2本と必要本数だけ折って除去することで柱部材のたわみ量を増大し、被係合部6との係脱に適した適当なたわみ量を得ることが可能となる。又、図1(b)の実施形態のように、複数のリブ11の大きさを変えておけば、1つのリブを折っても、その折ったリブの大きさでたわみ量を調整できることとなり便利である。
【0009】
次に、図2(a)(b)は夫々本発明の第2の実施形態に係るスナップフィットの構成を示す斜視図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して説明する。また、以降の実施形態の図面中には被係合対象物5は、図示を省略する。
図2(a)(b)に示した各スナップフィットの変形量調整手段10の特徴的な構成は、係合爪2を構成する柱部材3の背面側のベース部材1上に直線移動、或いは回転自在に配置されることにより、柱部材の背面と接する高さ位置を変化させることができる高さ可変の調整手段(高さ可変調整手段)15を備えた点にある。
先ず、図2(a)に示したスナップフィットの変形量調整手段10としての高さ可変調整手段15は、係合爪2の背面側のベース部材1上に形成した螺着用穴16と、可動調整片17と、ネジ等の止着手段18を備えている。
まず、プラスチック製の可動調整片17は、貫通した長穴20aを有し且つベース部材1の上面に載置される摺動板20と、摺動板20の一端縁から垂直に起立した楔片21と、を備えている。止着手段18は、ネジ18aとナット18bなどから成り、ネジ18aを長穴20aを介して螺着用穴16内に挿通してナット18bにて締結することによって、可動調整片17を長穴20aに沿った任意の位置に固定することが可能となる。また、楔片21は、柱部材3の背面に沿ってその幅方向に延びる上面21aが一方から他方へ傾斜して上昇する面となっているため、止着手段18によって可動調整片17を固定する位置の違いによって、柱部材3の背面が上面21aに接する高さ位置が異なってくる。このため、上面21aのうち、高さの低い部分が柱部材背面に接していれば、柱部材3は大きく背面側に変形することができる一方で、上面21aのうち、高さの高い部分が柱部材背面に接している場合には柱部材の背面側への変形量は規制される。
即ち、直線的に移動可能な可動調整片17は、楔片21を係合爪の柱部材3の背面に当接させ、ベース部材1上での固定位置を変更することによって、柱部材背面に対する係合力を調整するものである。楔片21から延びる摺動板20は、その長手方向に長穴20aを具備し、止着手段18によりベース部材1の任意の位置に固定することができる。楔片21の斜面21aの高い部分を柱部材3の背面に当接させれば、係合爪2の柱部材3の長さは見かけ上短くなり強い係合力を得ることができる。逆に、斜面21aの低い部分を柱部材3の背面に当接させれば、柱部材3の長さは見かけ上、長くなり係合力を弱くすることができる。
なお、図示した例とは逆に、ベース部材1上に長穴を設け、摺動板20側に螺着用穴を設けても良い。
【0010】
次に、図2(b)の変形量調整手段10としての高さ可変手段15は、上端面25aの高さ(外周壁の高さ)が周方向に沿って変化する有底円筒状のカム25から成る。即ち、このカム25は、底面中央部に螺着穴26を有し、この螺着穴とベース部材1に形成した図示しない穴内に止着手段27としてのネジを挿通してナットにより固定される。このカム25を係合爪2の柱部材3の背面に相当するベース部材1上に止着手段27及び穴26等によって回転自在に配置することにより、周方向位置によって高さが異なる上端面25aの任意の部分を柱部材3の背面に当接させて、そのたわみ量を微調整することができる。
即ち、図2(b)の高さ可変手段15は、有底円筒状のカム25をベース部材1上に立てた状態で回転自在に支持した構成を備えており、一様でない高さを備えた外周壁と、ネジ27を通すことのできる穴26を具備し、ネジ28によりベース部材1上に固定することが可能である。ネジ27をゆるめることでカム25は回転可能となり、高い外周壁部分や低い外周壁部分を柱部材3の背面の任意の高さ部分に当接させることによって、柱部材の背面方向への変形可能量を微調整することができる。
【0011】
次に、図3(a)及び(b)は夫々本発明の他の実施形態に係るスナップフィットの構成を示す斜視図である。この各実施形態に共通する構成は、変形量調整手段10として、柱部材3の背面側のベース部材1上に直線移動、或いは回転自在に配置されることにより、柱部材の背面に対する前方への圧接力を変化させることができる圧接力可変の調整手段(圧接力可変調整手段)30を用いた点にある。
【0012】
先ず、図3の圧接力可変調整手段30は、幅方向へ隣接してベース部材1上に突設された同等の撓み力を備えた2つの係合爪2A、2Bの背面側のベース部材1上に矢印で示す幅方向固定位置を任意に調整可能に構成された平板状の楔片31と、楔片31に貫通形成され後述する止着手段33が挿通する長穴31aと、楔片31の前端面に沿って形成した傾斜面32と、楔片31を任意の位置に固定する止着手段33としてのネジ(ナット)と、ベース部材1に貫通形成されて止着手段33が係合する螺着穴35と、を備えている。
止着手段33を用いて楔片31の幅方向位置を任意の位置に固定することにより、楔片31の前端面の傾斜面32が各係合爪2A、2Bに接する位置が異なってくる。即ち、傾斜面32は、係合爪の前後方向へ傾斜した面であるため、楔片31をベース部材1上に固定する位置を異ならせることによって、2つの係合爪2A、2Bの各背面を前方へ押圧する量を異ならせることができる。図示した状態で楔31をベース部材1上に固定した場合には、係合爪2Bは、係合爪2Aよりも強い圧接力で前方へ常時付勢された状態となるので、強い嵌合力にて付勢されることとなる。これとは、逆に係合爪2Aに対する圧接力を係合爪2Bに対する圧接力よりも強くしたい場合には、楔片31の表裏を逆にしてベース部材1上に固定すればよい。各係合爪に対する圧接力の強弱の調整は、楔片31を矢印で示す幅方向へ移動させて固定位置を変化させることによって、微調整が可能となる。
なお、長穴をベース部材1側に設け、螺着穴を楔片31側に設けよいことは勿論である。また、楔片31は、上記のように複数の係合爪に対する圧接力を同時に調整するように構成しても良いが、1つの係合爪に対して配置してその圧接力を調整するようにしても良い。
即ち、図3(a)の圧接力可変調整手段30は、楔片31に設けた傾斜面32の向きが、各係合爪2A、2Bの前後方向へ向かう傾斜となっているため、弱めの係合力に設定された係合爪2Aの背部分に傾斜面32を当接させ、柱部材3をある程度係合方向(前方)に曲げた状態を狙いの位置とする。楔片31の傾斜面32をより強く係合爪の背に当接させれば、係合爪は背面側へたわみにくくなり、強い係合力を得ることができる。逆に、傾斜面32を係合爪の背面から遠ざければ、弱い係合力を得ることができる。
【0013】
図3(b)に示した圧接力可変調整手段30は、ベース部材1上の螺着穴36に対して、底面に設けた穴37を図示しない止着手段によって回転自在且つ固定可能に止着可能に構成された略円筒状のカム38から成る。
カム38は、ベース部材1上に支持される有底円筒状の基部38aと、基部38aの上端部に設けられたカム本体38bを備え、カム本体38bは、その半径が一様でないため、その回転方向の固定位置を変えることによって、カム本体38bの外周面が1つ又は複数の係合爪の背面と接する位置が異なるため、前述の楔片と同等に圧接力を調整する効果を得ることができる。
なお、上記各実施形態において示した、可動調整片や楔片やカムは、プラスチック、その他の硬質の樹脂材料で構成しても良いし、ゴムのような弾性を持った材料で構成してもよい。
【0014】
次に、図4は、他の実施形態に係る変形量調整手段10の構成例を示す斜視図であり、この変形量調整手段10は、例えば立方体状(六面体等の多面体状)の一つのブロック41から構成されており、図2、図3に示した各実施形態の機能を併有している。
即ち、このブロック41は、6面の全ての面にネジ穴42を貫通形成した構成を備え、各ネジ穴42とベース部材1上の螺着穴と整合させた状態でネジ等の止着手段50によって螺着固定することによって、左方に位置する図示しない係合爪の背面に対する各面の当接位置、当接高さ、圧接力を種々調整可能に構成されている。
また、各面に一つずつ形成した実線で示すネジ穴42は、各面からの距離が異ならせてあり、例えば図示の当接面43を係合爪の背面に当接させる場合に、図示の上面、左右側面、或いは底面に設けたいずれかのネジ穴42を利用してベース側の螺着穴と止着することにより、各ネジ穴42と当接面43との間の距離の違いを利用して係合爪の背面に対する圧接力を調整できる。
なお、点線で示すネジ穴42を実線で示すネジ穴42と併設することにより、一つの面上のネジ穴を選択することによって、当接面による係合爪の背面への当接圧を調整することも可能である。これは、図3の実施形態と同様の圧接力調整効果を狙ったものである。
また、ブロック41の各面上に位置を異ならせて突設した各突条44は、これらを係合爪の背面に当接することによって、当接高さを調整して背面側へのたわみ量を調整したものである。これは、図2の実施形態と同様の効果を狙ったものである。
【0015】
次に、図5(a)及び(b)は、夫々本発明のスナップフィットにおける変形量調整手段10の他の実施形態を示す図である。
この実施形態に係る変形量調整手段10は、ベース部材1上に設けた螺着穴(ネジ受け部)55内にボルト部61を螺合する構成を備えた調整手段60であり、(a)は係合爪2の背面に対する当接高さを調整する例であり、(b)は係合爪の背面に対する圧接量を調整する例である。
螺着穴55は、この例では、ベース部材1上に一体成形等によって突設した台座56の上面に形成されている。
図5(a)の当接高さ調整手段60は、係合爪2の背面に相当するベース部材1上に設けた螺着穴55に螺合して上下方向位置を調整可能に支持されたボルト部61と、該ボルト部61の先部に固定されて柱部材3の背面に当接する当接部材62と、を備えている。円盤状の当接部材62の半径は、ボルト部61を螺着穴55内に締め込んだ時、係合爪2の背面に当接するように設定しておく。調整手段60を回転させて当接部材62の高さ位置を調整することにより、柱部材3の背面に対する当接高さを種々変更し、係合爪2の背面側へのたわみ量を調整することが可能となる。
この実施形態では、当接部材61の位置、すなわちボルト部61の締め込み寸法を調整することによって、クサビやカムを用いることなく、図2の実施形態と同等の効果を得ることができる。又、ボルト部61として汎用品を用いることができるような位置に螺着穴55を設ければ、さらなるコスト削減が可能となる。図5(b)の圧接力調整手段60は、係合爪2の背面に相当するベース部材1上に設けた螺着穴55に螺合して回動角度を調整可能に支持されたボルト部61と、該ボルト部61の先部に固定されて柱部材3の背面に圧接する偏心カムとしての圧接部材65と、を備えている。調整手段60を所要角度回動させて圧接部材65の周面が柱部材背面に圧接する力を調整することにより、柱部材3の背面に対する当接圧力を種々変更し、係合爪2の前方側への変形量を調整することが可能となる。つまり、図3の実施形態と同様の効果を発揮できる。なお、この圧力調整手段60は、圧接部材65の高さも調整できるので、図2の実施形態と同様な効果も発揮できる。
【0016】
次に、図6は本発明のスナップフィットを種々の部位に利用した画像形成装置の概略図である。この画像形成装置70は、トナー補給用の前ドア71と、紙づまり処理用の右ドア72を具備し、各ドア71、72は夫々矢印方向へ開閉する。
従来、これらのドアを閉じた状態で本体側筐体に保持する手段としては、マグネットやロック用のレバーなどが用いられていた。これらに代えて、本発明の係合爪2と変形量調整手段10を使用することで、係合力、即ち、ドア71、72の開閉時に要する力を調整することが可能となる。さらに、係合爪2が繰り返しの係合(ドアの開閉)で弱くなったとしても、変形量調整手段10によって、係合爪の背面側へのたわみ量や、前方への圧接力を調整することにより対応できるので、部品の交換が一切不要となる。
なお、本発明の変形量調整手段10は、画像形成装置のみならず、開閉部、部品間の連結部を備えた機器一般に適用することができる。
【0017】
【発明の効果】
以上述べたように、係合爪の変形量を調整する変形量調整手段を備えた本発明によれば、必要に応じて係合爪の後方への撓み量や、前方への圧接量を調整し、最適な状態に微調整することができるので、各種機器の開閉部分や、部品間の連結に使用される係合爪から成るスナップフィットにおいて、部品点数の削減による低コスト化、組み付け作業の容易化等による生産性の向上、外観美の維持、向上といった利点を損なうことなく、プラスチック部品精度のバラツキにより係合、係止力にバラツキが発生したり、経時的に弾性力が低下するといった不具合を解消することができるスナップフィットを提供することができる。
前記変形量調整手段が、柱部材の背面に沿って突設された欠損可能な少なくとも一つのリブから成る請求項1の発明によれば、部品のバラツキで係合爪の係合力が狙いよりも強い時は、リブを折ってしまうことで係合爪の柱部材のたわみが大きくなり、係合力を弱くすることができる。
前記変形量調整手段が、柱部材の背面側のベース部材上に移動、或いは回転自在に配置されることにより、柱部材の背面と接する高さ位置を変化させることができる高さ可変の調整手段である請求項2の発明によれば、係合爪の係合力が狙いよりも強い時は、別部材を下げ、係合爪の柱の長さを簡易的に伸ばすことでたわみを大きくすること、すなわち係合力を弱めることができる。逆に、係合爪の係合力が狙いよりも弱い時は、別部材を上げ、係合爪の柱の長さを簡易的に短くすることでたわみを小さくすること、すなわち係合力を強めることができる。又、本発明では繰り返しの脱着で係合爪の係合力が弱くなった場合でも、別部材を上げることで係合力を元に戻すことが可能である。すなわち、繰り返しの脱着(係合)に関係なく、係合爪の係合力を自在に調整できる。
【0018】
前記変形量調整手段が、柱部材の背面側のベース部材上に移動、或いは回転自在に配置されることにより、柱部材の背面に対する圧接力を変化させることができる圧接力可変の調整手段である請求項3の発明によれば、請求項2と同様に係合力が狙いよりも強い時は、別部材を係合爪の係合方向から離れる方向に移動させることで係合力を弱めることができる。逆に、係合力が狙いよりも弱い時は、別部材を係合爪の係合方向へ移動させることで係合力を弱めることができる。本発明でも請求項2の発明と同様に、繰り返しの脱着に関係なく、係合爪の係合力を自在に調整できる。
前記変形量調整手段が、ベース部材に設けたネジ受け部により上下方向位置、及び回動角度を調整可能に支持されたボルト部と、該ボルト部の先部に固定されて柱部材の背面に圧接又は圧接する当接部材又は圧接部材と、を備えている請求項4の発明によれば、請求項2と請求項3で述べた別部材の機能をネジ1本という簡易な構成で実現し、さらにコストダウンも図れる。すなわち、ネジの頭部分を係合爪の背部分に当接させ、ネジの締め込み寸法で請求項2の発明と同様の効果が得られる。又、ネジの頭部分をカム形状にし、係合爪の背部分に当接させ、ネジの締め込み角度の調整により請求項4の発明と同様の効果が得られる。
請求項5の発明では、家電、パソコン、画像形成装置等のOA機器になどの主にカバーの開閉部分に前記係合爪を用いることで、顧客の好みに合わせて開閉力を調整できる上に、繰り返しの開閉で係合爪が弱ってきても元に戻すことが可能となり、カバー全体の交換を無くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)は夫々本発明の一実施形態に係るスナップフィットの背面側外観斜視図。
【図2】(a)(b)は夫々本発明の第2の実施形態に係るスナップフィットの構成を示す斜視図。
【図3】(a)(b)は夫々本発明の他の実施形態に係るスナップフィットの構成を示す斜視図。
【図4】他の実施形態に係る変形量調整手段の構成例を示す斜視図。
【図5】(a)(b)は夫々本発明のスナップフィットにおける変形量調整手段の他の実施形態を示す図。
【図6】本発明のスナップフィットを種々の部位に利用した画像形成装置の概略図。
【図7】(a)(b)及び(c)は従来例の説明図。
【符号の説明】
1 ベース部材、2 係合爪、3 柱部材、4 アゴ部、5 被係合対象物、6被係合部、10 変形量調整手段、11 リブ、15 高さ可変調整手段、16 螺着用穴、17 可動調整片、18 止着手段、20 摺動板、20a 長穴、21 楔片、21a 上面(斜面)、25 カム、26 螺着穴、27 止着手段、28 ネジ、30 調整手段(圧接力可変調整手段)、31 楔片、32 傾斜面、33 止着手段、35 螺着穴、36 螺着穴、37 穴、38 カム、38a 基部、38b カム本体、41 ブロック、42 ネジ穴、43当接面、50 止着手段、55 螺着穴、56 台座、56 当接高さ調整手段(圧接力調整手段)、61 ボルト部、62 当接片、65 圧接部材、70画像形成装置、71、72 ドア。
Claims (5)
- 被係合対象物と、ベース部材上に突設され且つ該被係合対象物に対して着脱自在に係合する係合爪と、を備えたスナップフィットにおいて、
前記係合爪は、前後方向へ弾性変形可能な状態で前記ベース部材上に突設された柱部材と、該柱部材の先端前面部に突設され且つ被係合対象物に係合するアゴ部と、該柱部材の背面に沿って配置された柱部材の変形量調整手段と、を備え、
前記変形量調整手段は、前記柱部材の背面に沿って突設された欠損可能な少なくとも一つのリブから成ることを特徴とするスナップフィット。 - 被係合対象物と、ベース部材上に突設され且つ該被係合対象物に対して着脱自在に係合する係合爪と、を備えたスナップフィットにおいて、
前記係合爪は、前後方向へ弾性変形可能な状態で前記ベース部材上に突設された柱部材と、該柱部材の先端前面部に突設され且つ被係合対象物に係合するアゴ部と、該柱部材の背面に沿って配置された柱部材の変形量調整手段と、を備え、
前記変形量調整手段は、前記柱部材の背面側のベース部材上に移動、或いは回転自在に配置されることにより、柱部材の背面と接する高さ位置を変化させることができる高さ可変の調整手段であることを特徴とするスナップフィット。 - 被係合対象物と、ベース部材上に突設され且つ該被係合対象物に対して着脱自在に係合する係合爪と、を備えたスナップフィットにおいて、
前記係合爪は、前後方向へ弾性変形可能な状態で前記ベース部材上に突設された柱部材と、該柱部材の先端前面部に突設され且つ被係合対象物に係合するアゴ部と、該柱部材の背面に沿って配置された柱部材の変形量調整手段と、を備え、
前記変形量調整手段は、前記柱部材の背面側のベース部材上に移動、或いは回転自在に配置されることにより、柱部材の背面に対する圧接力を変化させることができる圧接力可変の調整手段であることを特徴とするスナップフィット。 - 被係合対象物と、ベース部材上に突設され且つ該被係合対象物に対して着脱自在に係合する係合爪と、を備えたスナップフィットにおいて、
前記係合爪は、前後方向へ弾性変形可能な状態で前記ベース部材上に突設された柱部材と、該柱部材の先端前面部に突設され且つ被係合対象物に係合するアゴ部と、該柱部材の背面に沿って配置された柱部材の変形量調整手段と、を備え、
前記変形量調整手段は、前記ベース部材に設けたネジ受け部により上下方向位置、及び回動角度を調整可能に支持されたボルト部と、該ボルト部の先部に固定されて柱部材の背面に圧接又は圧接する当接部材又は圧接部材と、を備えていることを特徴とするスナップフィット。 - 請求項1、2、3又は4に記載のスナップフィットを開閉部分に備えたことを特徴とする機器。
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