JP6020558B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学フィルムの製造方法に関する。
光学フィルムとは、光を透過または反射吸収しうるフィルムであり、屈折、複屈折、反射防止、視野角拡大、光拡散、および輝度向上等の光学機能を発揮しうる。
光学フィルムは、赤外遮蔽フィルム、反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、および電磁波シールドフィルム等として液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)、建物や車両の窓ガラス等に使用されている。
例えば、特許文献1には、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、表面電界(SED)ディスプレイ、CRTディスプレイに用いられる光学フィルムとして、ポリエステルからなる基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に形成され、屈折率が1.70を超えて1.85以下であり、厚みが50nm以上100nm以下である易接着層と、前記易接着層の上に形成され、屈折率が1.40以上1.60以下であり、厚みが3nm以上10nmである保護層とを備えることを特徴とする光学用積層フィルムが記載されている。特許文献1の光学用積層フィルムによれば、所定の屈折率および厚さを有する易接着層並びに保護層を有することにより、耐傷性の向上が図れ、粉落ちや傷の発生を抑えつつ、虹ムラを無くすことができることが記載されている。
特開2008−183882号公報
近年、使用される光学フィルム、特に光学フィルムを構成する光学機能層を薄膜化(例えば、ナノオーダーの厚さまで薄膜化)することが求められている。光学フィルムを薄膜化することで、種々の効果が得られうる。例えば、反射防止フィルムの反射防止膜を薄膜化することで、フラットパネルディスプレイが高精細化しうる。また、赤外遮蔽フィルムの屈折率層を薄膜化することで、効率的に赤外光を遮蔽しうる。
特許文献1に記載の光学フィルムでは、易接着層および保護層(光学機能層)がナノオーダーの厚さとなっている。特許文献1によれば、ナノオーダーの厚さを有する光学機能層は、塗布液を基材に塗布し、次いで乾燥させて光学機能層を形成させる、いわゆる湿式成膜法によって製造されている。しかしながら、当該湿式成膜法で製造された光学機能層は、光学機能層内で膜厚にバラツキが生じる場合があり、その結果として、光学フィルムに色ムラが生じ、外観が悪くなりうることが判明した。
そこで本発明は、光学機能層をナノオーダーで薄膜化した場合であっても、当該光学機能層内の膜厚のバラツキの発生を抑制できる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、湿式成膜法で光学機能層を形成する場合において、せん断処理した塗布液を用いると、光学機能層をナノオーダーで薄膜化した場合であっても、当該光学機能層内の膜厚のバラツキの発生を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の上記課題は以下の手段により達成される。
1.基材上に、膜厚が1〜1000nmである屈折率の異なる屈折率層が積層されてなる赤外遮蔽フィルムの製造方法であって、高分子を含む塗布液を調製する工程(1)と、前記工程(1)で調製した塗布液に、せん断速度1000(1/s)以上、最小間隙0.1〜0.3mmのせん断処理を加える工程(2)と、前記工程(2)で得られた塗布液を基材上に塗布して塗膜を形成して前記屈折率層を形成する工程(3)と、を含む、製造方法;
2.前記塗布が、1m/min以上の速度で行われる、1に記載の製造方法;
3.前記工程(3)が、前記工程(2)の後、3時間以内に行われる、1または2に記載の製造方法;
4.前記せん断処理が、分散装置、高速撹拌装置、吐出装置、またはこれらの組み合わせにより行われる、1〜3のいずれか1つに記載の製造方法。
分散装置の一形態であるマイルダーの模式図である。 分散装置の一形態である圧力式ホモジナイザーの模式図である。 吐出装置の一形態である外接型ギアポンプの模式図である。 高速撹拌装置の一形態である汎用撹拌装置の模式図である。
本発明の一形態は、基材上に、膜厚が1〜1000nmである光学機能層が少なくとも1層形成されてなる光学フィルムの製造方法に関する。前記製造方法は、高分子を含む塗布液に、せん断速度1000(1/sec)以上のせん断処理を加える工程(1)と、前記工程(1)で得られた塗布液を基材上に塗布して塗膜を形成する工程(2)と、を含む。
本発明によれば、光学機能層をナノオーダーで薄膜化した場合であっても、当該光学機能層内の膜厚のバラツキの発生を抑制できる手段が提供される。
<光学フィルム>
本形態に係る製造方法で製造される光学フィルムは、基材上に、膜厚が1〜1000nmである光学機能層が少なくとも1層形成されてなる。当該光学フィルムの製造方法は、高分子を含む塗布液に、せん断速度1000(1/sec)以上のせん断処理を加える工程(1)と、前記工程(1)で得られた塗布液を基材上に塗布して塗膜を形成する工程(2)と、を含む。
光学フィルムは、光学機能層の組成、構成等によって発揮する機能が異なる。したがって、本発明に係る技術的思想は、適宜公知の事項を参酌することによって、種々の光学フィルム、例えば、赤外遮蔽フィルム、反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、および電磁波シールドフィルム等に用いることができる。以下の説明では、屈折率の異なる屈折率層が積層されてなる赤外遮蔽フィルムについて説明するが、本発明を限定するものではない。なお、赤外遮蔽フィルムは光学フィルムに該当し、屈折率層は光学機能層に該当する。
一般に、赤外遮蔽フィルムにおいては、隣接する屈折率層間の屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外反射率を高くすることができるという観点から好ましい。本形態では、隣接する屈折率層間の屈折率差の少なくとも1つが0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.4以上であることが特に好ましい。また、前記積層された屈折率層間のすべての屈折率差が上記好適な範囲内にあることが好ましい。ただし、この場合でも、反射層を構成する屈折率層のうち、最表層や最下層に関しては、上記好適な範囲外の構成であってもよい。
特定波長領域の反射率は、隣接する2層の屈折率差と積層数で決まり、屈折率の差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率を得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、赤外反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、100層以上の積層が必要となる。このような場合、生産性の低下、積層界面における散乱の増大、透明性の低下、および製造時の故障が生じうる。
さらには、本形態の赤外遮蔽フィルムの光学特性として、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上であることが好ましく、また、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
赤外遮蔽フィルムは、屈折率層が積層された構成を有することにより、基材の側から、または積層された屈折率層の側から赤外光を照射した場合に、少なくとも赤外光の一部を遮蔽して赤外遮蔽効果を発揮することができる。
一実施形態において、前記積層された屈折率層は、高屈折率層および低屈折率層が交互に積層されてなる。積層された高屈折率層および低屈折率層は、それぞれ同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。屈折率層が高屈折率層であるか低屈折率層であるかは、隣接する屈折率層との屈折率の対比によって判断される。具体的には、ある屈折率層を基準層としたとき、当該基準層に隣接する屈折率層が基準層より屈折率が低ければ、基準層は高屈折率層である(隣接層は低屈折率層である)と判断される。一方、基準層より隣接層の屈折率が高ければ、基準層は低屈折率層である(隣接層は高屈折率層である)と判断される。
上述のように、高屈折率層であるか低屈折率層であるかは隣接する屈折率層との関係で定まる相対的なものであるが、高屈折率層の屈折率(nH)は1.60〜2.50であることが好ましく、1.70〜2.50であることがより好ましく、1.80〜2.20であることがさらに好ましく、1.90〜2.20であることが特に好ましい。一方、低屈折率層の屈折率(nL)は、1.10〜1.60であることが好ましく、1.30〜1.55であることがより好ましく、1.30〜1.50であることがさらに好ましい。なお、各屈折率層の屈折率の値は、以下のように測定した値を採用するものとする。具体的には、支持体上に測定対象となる屈折率層を単層で塗布して得られた塗膜を10cm×10cmに断裁してサンプルを作製する。当該サンプルは、裏面での光の反射を防止するため、測定面とは反対側の面(裏面)を粗面化処理し、黒色スプレーで光吸収処理を行う。このように作製したサンプルを、分光光度計U−4000型(株式会社日立製作所製)を用いて、5度正反射の条件にて可視領域(400nm〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その測定結果より平均屈折率を求める。
屈折率層の総層数の範囲としては、生産性の観点から、好ましくは200層以下であり、より好ましくは100層以下であり、さらに好ましくは50層以下である。
屈折率層の1層あたりの厚さは、1〜1000nmであり、好ましくは20〜800nmであり、より好ましくは50〜350nmである。
<工程(1)>
工程(1)は、高分子を含む塗布液に、せん断速度1000(1/sec)以上のせん断処理を加える工程である。
赤外遮蔽フィルムの製造においては、通常、塗布液として、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の少なくとも2種の塗布液を調製する。
[塗布液の組成]
塗布液は、高分子を含む。さらに、必要に応じて溶媒、架橋剤、金属酸化物粒子、エマルジョン樹脂、その他の添加剤を含んでいてもよい。
(高分子)
用いられうる高分子としては、特に制限されないが、水溶性高分子が挙げられる。水溶性高分子としては、特に制限されないが、反応性官能基を有するポリマー、変性ポリビニルアルコール、ゼラチン、および増粘多糖類等が挙げられる。なお、本明細書において、「水溶性高分子」とは、水溶性高分子が最も溶解する温度で0.5質量%の濃度となるように水に溶解させた場合において、G2グラスフィルタ(最大細孔40〜50μm)でろ過した際にろ別される不溶物の質量が、加えた水溶性高分子の50質量%以内であるものを意味する。
反応性官能基を有するポリマー
本発明で用いられる反応性官能基を有するポリマーとしては、例えば、未変性ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、もしくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、もしくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩が挙げられる。これらの中でも、未変性ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、およびこれらの共重合体を用いることが好ましい。
なお、上記反応性官能基を有するポリマーが共重合体である場合の共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。
変性ポリビニルアルコール
本発明において用いられる変性ポリビニルアルコールは、未変性ポリビニルアルコールに任意の変性処理の1または2以上を施したものである。例えば、アミン変性ポリビニルアルコール、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボン酸変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、チオール変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコールは、市販品を使用してもよく、あるいは当該分野で公知の方法で製造したものを使用してもよい。
また、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも用いてもよい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような第1級〜第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールが挙げられ、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および同63−307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、および特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
そして、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
上述の変性ポリビニルアルコールのうち、(1)平均重合度200以上2400以下の未変性ポリビニルアルコールと、(2)不飽和カルボン酸並びにその塩およびエステルからなる群から選択される1種または2種以上の重合性ビニル単量体とを共重合させて得られる共重合体(グラフト共重合体)を用いることが好ましい。
なお、変性ポリビニルアルコールが上記グラフト共重合体である場合において、当該グラフト共重合体を構成する(1)平均重合度200以上2400以下の未変性ポリビニルアルコールとして、上述した各種の変性ポリビニルアルコールを用いてもよい。
変性ポリビニルアルコールの原料となる未変性ポリビニルアルコールとしては、平均重合度が約200〜2400、好ましくは平均重合度約900〜2400、より好ましくは平均重合度約1300〜1700である。また、未変性ポリビニルアルコールのケン化度は、好ましくは約60〜100モル%、より好ましくは78〜96モル%である。このようなケン化ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルをラジカル重合し、得られたポリ酢酸ビニルを適宜、ケン化することによって製造することができ、所望の未変性ポリビニルアルコールを製造するためには、適宜、重合度、ケン化度をそれ自体公知の方法で制御することによって達成される。
なお、こうした部分ケン化ポリビニルアルコールとしては、市販品を使用することも可能であり、好ましい未変性ポリビニルアルコールの市販品としては、例えばゴーセノールEG05、EG25(日本合成化学工業株式会社製)、PVA203(株式会社クラレ製)、PVA204(株式会社クラレ製)、PVA205(株式会社クラレ製)、JP−04(日本酢ビ・ポバール株式会社製)、JP−05(日本酢ビ・ポバール株式会社製)等が挙げられる。なお、変性ポリビニルアルコールの原料として1種のみの未変性ポリビニルアルコールを単独で使用するのみならず、重合度、ケン化度の異なる2種以上の未変性ポリビニルアルコールを目的に応じて適宜併用することができる。例えば、平均重合度300の未変性ポリビニルアルコールと平均重合度1500の未変性ポリビニルアルコールとを混合して使用することが可能である。
原料の未変性(変性)ポリビニルアルコールと重合させる重合性ビニル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類またはそれらの塩(例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルキルアミン塩)、それらのエステル類(例えば置換または非置換のアルキルエステル、環状アルキルエステル、ポリアルキレングリコールエステル)、不飽和ニトリル類、不飽和アミド類、芳香族ビニル類、脂肪族ビニル類、不飽和結合含有複素環類等が挙げられる。具体的には、(a)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート(ポリエチレングリコールとアクリル酸とのエステル)、ポリプロピレングリコールアクリレート(ポリプロピレングリコールとアクリル酸とのエステル)などが、(b)メタクリル酸エステル類としては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート(ポリエチレングリコールとメタクリル酸とのエステル)などが、(c)不飽和ニトリル類としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが、(d)不飽和アミド類としては例えばアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミドなどが、(e)芳香族ビニル類としてはスチレン、α−メチルスチレンなどが、(f)脂肪族ビニル類としては、酢酸ビニルなどが、(g)不飽和結合含有複素環類としては、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリンなどが例示される。
上述の変性ポリビニルアルコールは、未変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体をそれ自体公知の方法で変性処理することにより製造することができる。
特に、変性ポリビニルアルコールとしての上記グラフト共重合体を製造する方法としては、ラジカル重合、例えば溶液重合、懸濁重合、乳化重合および塊状重合などのそれ自体公知の方法を挙げることができ、各々の通常の重合条件下で実施することができる。この重合反応は、通常、重合開始剤の存在下、必要に応じて還元剤(例えば、エリソルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸)、連鎖移動剤(例えば2−メルカプトエタノール、α−メチルスチレンダイマー、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ラウリルメルカプタン)あるいは分散剤(例えばソルビタンエステル、ラウリルアルコールなどの界面活性剤)等の存在下、水、有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、セロソルブ、カルビトール)あるいはそれらの混合物中で実施される。また、未反応の単量体の除去方法、乾燥、粉砕方法等も公知の方法でよく、特に制限はない。
ゼラチン
本発明で用いられるゼラチンとしては、従来、ハロゲン化銀写真感光材料分野で広く用いられてきた各種ゼラチンを挙げることができる。例えば、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンの他に、ゼラチンの製造過程で酵素処理をする酵素処理ゼラチンおよびゼラチン誘導体、すなわち分子中に官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシ基、またはカルボキシ基を有し、それと反応して得る基を持った試薬で処理し改質したものでもよい。ゼラチンの一般的製造法に関しては良く知られており、例えば、T.H.James:The Theory of Photographic Process 4th.ed.1977(Macmillan)55頁、科学写真便覧(上)72〜75頁(丸善株式会社)、写真工学の基礎−銀塩写真編 119〜124頁(コロナ社)等の記載を参考にすることができる。また、リサーチ・ディスクロージャー誌第176巻、No.17643(1978年12月)のIXページに記載されているゼラチンを挙げることができる。
増粘多糖類
本発明で用いられる増粘多糖類としては、特に制限はなく、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類および合成複合多糖類などを挙げることができる。これら増粘多糖類の詳細については、「生化学辞典(第2版)」(東京化学同人)、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
前記増粘多糖類とは、糖類の重合体で、分子内に水素結合基を多数有するものであり、温度による分子間の水素結合力の違いにより、低温時の粘度と高温時の粘度との差が大きいという特性を備えた多糖類であり、さらに金属酸化物粒子や多価金属化合物を添加すると、低温時に金属酸化物粒子または多価金属化合物との反応により金属酸化物粒子または多価金属化合物との水素結合またはイオン結合を形成して、粘度上昇またはゲル化を引き起こすものである。粘度の上昇幅は、金属酸化物粒子または多価金属化合物の添加前の15℃における粘度と比較して、15℃の粘度で、1.0mPa・s以上であることが好ましい。粘度上昇幅は、より好ましくは5.0mPa・s以上であり、さらに好ましくは10.0mPa・s以上である。なお、本明細書において、粘度は、ブルックフィールド粘度計により測定した値を採用するものとする。
本発明に適用可能な増粘多糖類のさらに具体的な例としては、例えば、ペクチン、ガラクタン(例えば、アガロース、アガロペクチン等)、ガラクトマンノグリカン(例えば、ローカストビーンガム、グアラン等)、キシログルカン(例えば、タマリンドガム、タマリンドシードガム等)、グルコマンノグリカン(例えば、蒟蒻マンナン、木材由来グルコマンナン、キサンタンガム等)、ガラクトグルコマンノグリカン(例えば、針葉樹材由来グリカン)、アラビノガラクトグリカン(例えば、大豆由来グリカン、微生物由来グリカン等)、グルコラムノグリカン(例えば、ゲランガム等)、グリコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸等)、アルギン酸およびアルギン酸塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレラン等の紅藻類に由来する天然高分子多糖類、カルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類が挙げられる。塗布液中に共存しうる金属酸化物粒子の分散安定性を低下させないという観点から、その構成単位がカルボン酸基やスルホン酸基を有しないものが好ましい。その様な多糖類としては、例えば、L−アラビトース、D−リボース、2−デオキシリボース、D−キシロースなどのペントース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−ガラクトースなどのヘキソースのみからなる多糖類であることが好ましい。具体的には、主鎖がグルコースであり、側鎖もグルコースであるキシログルカンとして知られるタマリンドシードガムや、主鎖がマンノースで側鎖がグルコースであるガラクトマンナンとして知られるグアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、タラガムや、主鎖がガラクトースで側鎖がアラビノースであるアラビノガラクタンを好ましく使用することができる。
上述の高分子は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、高分子の質量平均分子量は1000以上であることが好ましく、5000〜1000000であることがより好ましく、10000〜100000であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、質量平均分子量とは、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxLまたはTSKgel G2000HxL(東ソー株式会社製)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトフラフィ(GPC)分析装置(溶媒:テトラヒドロフラン(THF))により、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量を意味する。
塗布液中の高分子の濃度は、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。高分子の濃度が上記範囲にあると、塗布液が一定の粘性を有し成膜に有利となりうることから好ましい。
(溶媒)
本発明で用いられうる溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒等が挙げられる。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類;ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上を混合して用いてもよい。環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、水、または水とメタノール、エタノール、もしくは酢酸エチルとの混合溶媒を用いることが好ましく、水を用いることがより好ましい。
(架橋剤)
架橋剤は、高分子を硬化させる機能を有する。硬化によって、屈折率層に耐水性が付与されうる。
用いられうる架橋剤としては、高分子と硬化反応を起こすものであれば特に制限されない。例えば、高分子が未変性ポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールである場合には、ホウ酸およびその塩(ホウ素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩)、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、および八ホウ酸またはそれらの塩を用いることが好ましい。ホウ酸およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用してもよく、ホウ酸およびホウ砂の混合水溶液を用いることが特に好ましい。他にも公知の化合物を使用することができ、一般的には高分子と反応しうる基を有する化合物、または樹脂が有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、樹脂の種類に応じて適宜選択して用いられる。架橋剤の具体例としては、例えば、ジグリシジルエチルエ−テル、エチレングリコ−ルジグリシジルエーテル、1,4一ブタンジオ−ルジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロ−ルポリグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤;ホルムアルデヒド、グリオキザ−ル等のアルデヒド系架橋剤;2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−S−トリアジン等の活性ハロゲン系架橋剤;1.3.5−トリス−アクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等の活性ビニル系化合物;アルミニウム明礬等が挙げられる。
また、樹脂としてゼラチンを用いる場合は、架橋剤として、例えば、ビニルスルホン化合物、尿素−ホルマリン縮合物、メラニン−ホルマリン縮合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、活性オレフィン類、イソシアネート系化合物などの有機硬膜剤、クロム、アルミニウム、ジルコニウムなどの無機多価金属塩類などを用いるとよい。
塗布液中の架橋剤の濃度は、0.001〜20質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%であることがより好ましい。架橋剤が上記範囲にあると、塗布液が一定の曳糸性や粘性を有し成膜に有利となり、また、形成される屈折率層が好適な耐水性を有しうることから好ましい。
(金属酸化物粒子)
用いられうる金属酸化物粒子としては、特に制限されないが、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化マグネシウム(MgF)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンスズ(ATO)等が挙げられる。これらのうち、高屈折率層用塗布液には酸化チタン(TiO)を、低屈折率層用塗布液には酸化ケイ素(SiO)を、それぞれ用いることが好ましい。
前記酸化チタン(TiO)としては、特に屈折率が高く、触媒活性が低いルチル型の酸化チタンを用いることが好ましい。なお、触媒活性が低いと、屈折率層や隣接する層で生じる副反応(光触媒反応)が抑制されて耐候性が高くなりうる。
また、前記酸化チタンは、pHが1.0〜3.0かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルの表面を疎水化して有機溶剤に分散可能な状態にしたものを用いることが好ましい。前記水系の酸化チタンゾルの調製方法としては、たとえば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等に記載された事項を参照することができる。
また、酸化チタン粒子のその他の製造方法については、たとえば、「酸化チタン−物性と応用技術」(清野学 p255〜258(2000年)技報堂出版株式会社)に記載の方法、またはWO2007/039953号明細書の段落「0011」〜「0023」に記載の工程(2)の方法を参考にすることができる。前記工程(2)による製造方法とは、二酸化チタン水和物をアルカリ金属の水酸化物およびアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の塩基性化合物で処理する工程(1)で得られた二酸化チタン分散物を、カルボン酸基含有化合物および無機酸で処理するものである。本発明では、工程(2)における無機酸によりpHが1.0〜3.0に調整された酸化チタンの水系ゾルを用いることができる。
前記酸化ケイ素(SiO)としては、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらのうち、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることがより好ましく、水および/または有機溶媒に分散させたコロイダルシリカゾルを用いることがさらに好ましい。上記のコロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られうる。かようなコロイダルシリカは、例えば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、および国際公開第94/26530号パンフレット等に記載されている。また、コロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
上記金属酸化物粒子は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
金属酸化物粒子の平均粒径は、2〜100nmであることが好ましく、3〜50nmであることがより好ましく、4〜30nmであることがさらに好ましい。当該金属酸化物粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、屈折率層の固形分100質量%に対して、20〜70質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。金属酸化物粒子の含有量が20質量%以上であると、所望の屈折率が得られることから好ましい。また、金属酸化物粒子の含有量が70質量%以下であると、膜の柔軟性を得ることができ、製膜が容易となることから好ましい。
また、屈折率の異なる屈折率層(例えば、高屈折率層と低屈折率層)がいずれも金属酸化物粒子を含む場合には、アニオン化処理またはカチオン化処理を行い、金属酸化物粒子が同一のイオン性(電荷)を有することが好ましい。アニオン化処理またはカチオン化処理を行うことによって、2種の金属酸化物粒子との間に斥力が生じ、これによって、例えば、重層塗布して屈折率層を形成する際に層界面での凝集等が起こりにくくなりうる。
金属酸化物粒子のアニオン化処理として、例えば、酸化チタンのアニオン処理を例示すると、当該酸化チタン粒子は、含ケイ素の水和酸化物で被覆することによりアニオン化することができる。含ケイ素の水和化合物の被覆量は、通常、3〜30質量%であり、好ましくは3〜10質量%であり、より好ましくは3〜8質量%である。被覆量が30質量%以下であると高屈折率層の所望の屈折率化が得られることから好ましく、被覆量が3%以上であると粒子を安定に形成することができることから好ましい。
金属酸化物粒子のカチオン化処理は、例えば、カチオン性化合物を用いることにより行うことができる。前記カチオン性化合物の例としては、カチオン性ポリマー、多価金属塩等が挙げられるが、吸着力・透明性の観点から多価金属塩が好ましい。多価金属塩としては、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、銅、スカンジウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛等の金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、クロロ酢酸塩等が挙げられる。これらのうち、水溶性アルミニウム化合物、水溶性カルシウム化合物、水溶性マグネシウム化合物、水溶性亜鉛化合物、水溶性ジルコニウム化合物を用いることが好ましく、水溶性アルミニウム化合物、水溶性ジルコニウム化合物を用いることがより好ましい。前記水溶性アルミニウム化合物の具体例としては、ポリ塩化アルミニウム(塩基性塩化アルミニウム)、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム等が挙げられる。当該カチオン性化合物の被覆量は、金属酸化物粒子の形状や粒径等によって異なるが、金属酸化物粒子に対しては1質量%〜15質量%であることが好ましい。
(エマルジョン樹脂)
エマルジョン樹脂は、通常、塗布液に分散されたポリマーである。当該エマルジョン樹脂は、後述する工程(2)における塗布時に互いに融着しうる。エマルジョン樹脂は、油溶性のモノマーを、高分子分散剤等を用いてエマルジョン重合して得られる。
用いられうる油溶性のモノマーは、特に制限されないが、エチレン、プロピレン、ブタジエン、酢酸ビニルおよびその部分加水分解物、ビニルエーテル、アクリル酸およびそのエステル類、メタクリル酸およびそのエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、メタクリルアミドおよびその誘導体、スチレン、ジビニルベンゼン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸、ビニルピロリドンなどが挙げられる。これらのうち、透明性と粒径の観点から、アクリル酸およびそのエステル類、酢酸ビニル系を用いることが好ましい。
アクリル酸および/またはそのエステル類、酢酸ビニル系エマルジョンとしては、市販されているものを用いてもよく、例えば、アクリットUW−309、UW−319SX、UW−520(大成ファインケミカル株式会社製)、およびモビニール(日本合成化学工業株式会社製)等が挙げられる。
また、用いられうる分散剤は、特に制限されないが、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、第4級アンモニウム塩のような低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンのような高分子分散剤が挙げられる。
上述したエマルジョンは、柔軟性を高める観点から、ガラス転移温度(Tg)が20℃以下であることが好ましく、−30〜10℃であることがより好ましい。
(その他の添加剤)
本発明に係る屈折率層に適用可能なその他の添加剤を、以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、および特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、アニオン、カチオン、またはノニオンの各種界面活性剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
[塗布液の調製工程]
塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、高分子、および必要に応じて架橋剤、金属酸化物粒子等の添加剤を溶媒に添加し、撹拌混合する方法が挙げられる。この際、各成分の添加順も特に制限されず、撹拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、撹拌しながら一度に添加し混合してもよい。
塗布液中において、前記高分子は分子間および分子内において、末端基による結合、架橋剤における結合、分子どうしの絡み合い等の相互作用が生じる場合があり、このような高分子は、見かけの分子サイズが大きくなっている。当該見かけの分子サイズの増大は、前記相互作用の有無およびその度合い等によって異なることから、塗布液中には、見かけの分子サイズが異なる種々の高分子が混在することになる。このような状態で基材上に塗布液を塗布すると、塗布液が基材に接する際に、塗布液が均一な厚さに引き伸ばされることなく塗膜が形成される。その結果、屈折率層の膜厚にバラツキが生じる。このような膜厚のバラツキは、ナノオーダーで屈折率層を形成する場合にはより顕著となる。
上記高分子の相互作用は、塗布液中の高分子の質量平均分子量が1000以上であるとき、塗布液中に高分子を0.01質量%以上含むとき、塗布液中に架橋剤を0.001質量%以上含むとき、および塗布液中に高分子との結合反応を伴う固形物(たとえば、粒子)を含むとき等において特に生じうる。
そこで、本形態では、塗布液に、せん断速度1000(1/sec)以上、好ましくは5000〜10000000(1/sec)、より好ましくは10000〜1,000000(1/sec)のせん断処理を加える。塗布液にせん断速度1000(1/sec)以上のせん断処理を加えることによって、高分子に生じた相互作用を解消できる。その結果、塗布液中に存在する高分子の見かけの分子サイズは近似した値をとると考えられる。このような塗布液を基材上に塗布することにより、均一な膜厚の塗膜が形成されうる。
本明細書において、「せん断処理」とは、所定のせん断速度で塗布液を処理することを意味する。より詳細には、所定の間隙を有する流路等において、所定の速度で塗布液を移動させて、塗布液にせん断力を付与することを意味する。せん断処理によって、高分子に生じた相互作用の少なくとも一部を解消させることができる。ここで、本明細書において、「せん断速度」とは、下記式(1)により算出される。
Figure 0006020558
「最小間隙」とは、塗布液が移動する流路のうち、せん断力が付与される最小の間隙をいう。また、「速度」とは、前記最小間隙を塗布液が通過する際の塗布液の移動速度をいう。この際、一定の速度で塗布液を移動させた場合には、最小間隙を通過するときに最も高いせん断力が付与される。
本形態において、せん断処理は、塗布液へのせん断速度が1000(1/sec)以上となるものであればどのような方法によって行ってもよい。せん断処理は、例えば、分散装置、吐出装置、および高速撹拌装置によって行われうる。
分散装置
分散装置としては、マイルダー、圧力式ホモジナイザー、高速回転せん断型ホモジナイザー等が用いられうる。以下、マイルダーおよび圧力式ホモジナイザーを用いた場合におけるせん断処理について詳細に説明する。
図1は、分散装置の一形態であるマイルダーの模式図である。図1のマイルダーは、固定歯であるステーター歯1と、回転歯であるローター歯2とを有する。前記ステーター歯1と前記ローター歯2との間隙(せん断間隙)Laを移動する塗布液4は、ローター歯2の半径方向に速度勾配(ずり速度)が生じる。当該速度勾配によって、前記ステーター歯1および前記ローター歯2間に内部摩擦力(せん断力)が発生する。塗布液4中の高分子は、せん断力を受けながらせん断間隙Laを通過するため、高分子の分子構造が壊されて流れ方向に分子が配向し、結果として高分子に生じる相互作用が解消しうる。図1において、せん断間隙Laが式(1)における「最小間隙」に該当し、最小間隙であるせん断間隙Laを移動する際の塗布液4の速度が式(1)における「速度」に該当する。なお、せん断間隙3への塗布液5の導入は、ローター歯2のスリット間隙から前記半径方向に行っているため、せん断間隙Laに流れる塗布液4と導入した塗布液5とは、連続的に衝突を繰り返していることとなる。すなわち、図1のマイルダーによれば、塗布液に対してせん断および混合が連続的に行われていることとなる。
前記マイルダーにおいて、せん断間隙におけるステーター歯とローター歯との最小間隙は0.05〜0.5mmであることが好ましく、0.1〜0.3mmであることがより好ましい。また、ローター歯の回転速度としては、1〜500m/sであることが好ましく、3〜300m/sであることがより好ましい。せん断間隙におけるステーター歯とローター歯との最小間隙やローター歯の回転速度等を適宜設定することで、せん断速度を調節することができる。
上記のようなマイルダーとしては、例えば、エバラマイルダー(株式会社荏原製作所製)、マイルダー(大平洋機工株式会社製)等を用いることができる。
図2は、分散装置の一形態である圧力式ホモジナイザーの模式図である。図2の圧力式ホモジナイザーは、バルブシート11と、バルブ12とを有する。加圧機構(図示せず)により供給された塗布液14は、バルブシート11間を高圧かつ高速で移動する。当該塗布液が、バルブシート11およびバルブ12の狭い間隙Lbを通過する際、バリブ12に衝突して流れの方向が変わった塗布液と、間隙Lbを通過しようとする塗布液との間で液同士の摩擦が発生し、その結果として、塗布液に大きなせん断力が生じると考えられる。このせん断力は、最小間隙Lbに比例する。図2において、間隙Lbは、せん断力が付与される最小の間隙であり、式(1)における「最小間隙」に該当する。また、最小間隙である間隙Lbを移動する際の塗布液14の速度が式(1)における「速度」に該当する。
前記圧力式ホモジナイザーにおいて、バルブシートとバルブとの距離は0.05〜0.5mmであることが好ましく、0.1〜0.3mmであることがより好ましい。また、バルブシートおよびバルブ間を通過する際の速度としては、1〜500m/sであることが好ましく、3〜300m/sであることがより好ましい。バルブシートとバルブとの距離や加圧機構における塗布液の供給条件等を適宜設定することで、せん断速度を調節することができる。
上記のような圧力式ホモジナイザーとしては、例えば、圧力式ホモジナイザーLAB1000(株式会社エスエムテー製)等を用いることができる。
なお、高速回転せん断型ホモジナイザーは、マイルダーと類似した構成を有しており、高速回転するローターと狭い間隙を経て近接するステーターとの間でせん断処理を行う処理装置である。高速で回転するローターにより塗布液が流動し、ステーターとの間で生じる速度勾配で発生したせん断と、塗布液同士の衝突によるせん断で上記と同様にして高分子間の相互作用が解消しうると考えられる。
高速回転せん断型ホモジナイザーとしては、例えば、T.K.ロボミックス(プライミクス株式会社製)、クレアミックスCLM−0.8S(エム・テクニック株式会社製)、ホモジナイザー(マイクロテック・ニチオン社製)等を用いることができる。
吐出装置
吐出装置としては、キアポンプ、モーノポンプ、ロータリーポンプ等の回転ポンプが用いられうる。以下、ギアポンプを用いた場合におけるせん断処理について詳細に説明する。
図3は、吐出装置の一形態である外接型ギアポンプの模式図である。図3の外接型ギアポンプは、歯車22aと、歯車22bとを有する。歯車22aおよび歯車22bは、中央で歯が噛みあいながら回転する。塗布液24は、歯車22aおよび22bにより分離され、歯車22aまたは22bと、外箱21との間隙Lcを移動する。この際、移動する歯車22aまたは22bと、固定された外箱21との間を移動する塗布液24には速度勾配(ずり速度)が生じ、これによってせん断力が生じる。図3において、間隙Lcが式(1)における「最小間隙」に該当し、最小間隙である間隙Lcを移動する際の塗布液24の速度が式(1)における「速度」に該当する。
前記外接型ギアポンプおいて、歯車と外箱との距離は1〜10mmであることが好ましく、1〜5mmであることがより好ましい。また、歯車および外箱を通過する際の速度としては、1〜10m/sであることが好ましく、2〜10m/sであることがより好ましい。歯車と外箱との距離や歯車の回転速度等を適宜設定することで、せん断速度を調節することができる。
また、図3の外接型ギアポンプの他、外歯歯車および内歯歯車を使用する内接型ギアポンプを用いてもよい。前記内接型ギアポンプは、最小間隙が小さくなることから、より好適に用いられうる。
上記のようなギアポンプとしては、例えば、ケミカルギヤポンプGX−25S(株式会社イワキ製)等を用いることができる。
高速撹拌装置
高速撹拌装置としては、高速回転型の汎用撹拌装置、分散装置にも用いられる密閉タイプの高速撹拌装置等が用いられうる。以下、高速回転型の汎用撹拌装置を用いた場合におけるせん断処理について詳細に説明する。
図4は、高速撹拌装置の一形態である汎用撹拌装置の模式図である。図4の汎用撹拌装置は、撹拌羽根32を有する。撹拌羽根32が回転することにより、処理室内に供給された塗布液34は撹拌される。この際、撹拌羽根32の撹拌により、塗布液34は処理室の内壁31に衝突し、その後、内壁31に沿って移動する。これによってせん断力が生じる。よって、内壁31に衝突する際の塗布液の速度は、撹拌羽根32の回転速度に対応することから、撹拌羽根32の先端部と内壁31との間隙Ldが式(1)における「最小間隙」に該当し、撹拌羽根32の回転速度が式(1)における「速度」に該当する。なお、汎用撹拌装置はせん断力の付与と同時に塗布液34の混合も同時に行っており、塗布液34にはせん断および混合が連続的に行われていることとなる。
前記汎用撹拌装置おいて、撹拌羽根の先端部と処理室の内壁との距離は1〜10mmであることが好ましく、1〜5mmであることがより好ましい。また、撹拌羽根の回転速度としては、1〜10m/sであることが好ましく、2〜10m/sであることがより好ましい。撹拌羽根の先端部と処理室の内壁との距離や撹拌羽根の回転速度等を適宜設定することで、せん断速度を調節することができる。
上記のような汎用撹拌装置としては、例えば、スリーワンモーターLBシリーズ(新東科学株式会社製)、スーパーミキサー(佐竹化学機械工業製)等を用いることができる。
せん断処理の温度は、せん断速度の数値、塗布液中の高分子の種類および含有量によっても異なるが、20〜70℃であることが好ましく、25〜60℃であることが装置への熱的負荷や作業安全性の観点より好ましい。
また、せん断処理の時間は、せん断速度の数値、塗布液中の高分子の種類および含有量によっても異なり、特に制限されるものではないが、連続処理や生産性の観点からは0.01〜10分であることが好ましく、0.01〜2分であることがより好ましい。
せん断処理を行って得られた塗布液の粘度は、塗布液の温度や塗布液の種類によっても異なるが、1〜2000mPa・sであることが好ましく、1〜1000mPa・sであることがより好ましい。塗布液の粘度が上記範囲にあると、塗布液が高い塗布性を有し、膜厚のバラツキの発生を抑制しうる。なお、塗布液の粘度は、高分子に生じうる相互作用の影響を受けることから、せん断処理により塗布液の粘度を調節することができる。
工程(1)のせん断処理により解消された高分子の相互作用は、高分子の性質上、時間とともに元に戻る場合がある。相互作用が再度生じてしまうと、塗布液中に見かけの分子量が異なる種々の高分子が混在することとなり、膜厚のバラツキが生じうる。そこで、工程(1)の後は、速やかに後述する工程(2)を行うことが好ましい。より詳細には、工程(1)の後、工程(2)を行うまでの時間は、塗布液の種類や塗布液が停滞されている条件によっても異なるが、3時間以内であることが好ましく、1時間以内であることがより好ましく、30分以内であることがさらに好ましい。
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で得られた塗布液を基材上に塗布して塗膜を形成する工程である。
[基材]
本発明の光学フィルムに適用する基材としては、透明であれば特に制限されることはなく、公知の樹脂フィルムを用いることができる。具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアリレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これらのうち、コストや入手の容易性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等を用いることが好ましい。
また、上記樹脂フィルムを用いた基材は、未延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよいが、PETやPENのような結晶性を有する樹脂フィルムの場合には、強度の向上、熱膨張抑制の観点から延伸後、熱固定化されるフィルムであることが好ましい。
上記樹脂フィルムを用いた基材は、従来公知の一般的な方法により製造することができる。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。また、前記未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、樹脂フィルムの流れ(縦軸)方向、および/または樹脂フィルムの流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸フィルムを製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍であることが好ましい。
本発明に係る基材の厚さは、5〜300μmであることが好ましく、15〜150μmであることがより好ましい。また、基材は、2枚以上を重ねたものであってもよく、この際、基材の種類は同じであっても、異なっていてもよい。
また、基材は、寸法安定性の観点から、弛緩処理およびオフライン熱処理を行ってもよい。弛緩処理は前記樹脂フィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、またはテンターを出た後の巻き取りまでの工程で行われることが好ましい。弛緩処理は処理温度が80〜200℃で行われることが好ましく、100〜180℃で行われることがより好ましい。また長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1〜10%に処理されることが好ましく、2〜6%に処理されることがより好ましい。弛緩処理された基材は、さらにオフライン熱処理を施すことにより耐熱性が向上し、より寸法安定性が向上しうる。
前記基材は、製膜過程で片面または両面に、下引層を設けることが好ましい。当該下引層は、インラインでまたは製膜後に形成されうる。下引層の形成方法としては、例えば、下引層塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥する方法が挙げられる。下引層塗布液は、通常、樹脂を含む。当該樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリスチレンブタジエン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール、およびゼラチン等が挙げられる。前記下引層塗布液には、さらに公知の添加剤を加えてもよい。下引層塗布液の塗布量は、乾燥状態で約0.01〜2g/mとなるように塗布することが好ましい。下引層塗布液の塗布方法としては、特に制限されないが、ロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の公知の方法が用いられうる。得られた塗膜は延伸させてもよく、通常、塗布液を塗布した後にテンター内で横延伸を行いながら80〜120℃で乾燥させることで、下引層が形成されうる。なお、下引層は、単層構造であっても、積層構造であってもよい。
本発明に係る基材は、さらに導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、粘着層、中間膜層等の公知の機能層を有していてもよい。
基材が、上述の下引層や機能層等の中間層を有する場合には、基材および中間層の総膜厚は、5〜500μmであることが好ましく、25〜250μmであることがより好ましい。
[塗布工程]
塗布工程では、工程(1)で得られた塗布液を、上記基材に塗布して塗膜を形成する。
塗布液の塗布方式としては、特に制限されず、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号明細書、米国特許第2,761,791号明細書に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
塗布方式により好適な塗布液の粘度は異なるが、例えば、前記塗布方式がスライドビード塗布方式を用いた同時重層塗布である場合には、上記塗布液の粘度は1〜2000mPa・sであることが好ましく、1〜1000mPa・sであることがより好ましい。
塗布温度は、特に制限されないが、20〜60℃であることが好ましい。塗布温度が20℃以下であると、塗布液を冷却するための設備が不要となり、コストを抑えることができることから好ましい。一方、塗布温度が60℃以下であると、塗布液を加熱するための設備が不要となり、コストを抑えることができ、また、作業の安全性が向上しうることから好ましい。
塗布速度は、特に制限されないが、1m/min以上であることが好ましく、1〜500m/minであることがより好ましい。塗布速度が1m/min以上であると、高い生産性が得られることから好ましい。
塗布温度および塗布速度を考慮して塗布を行うことにより、膜厚のバラツキが抑制された屈折率層が得られうる。
[乾燥工程]
工程(2)で得られた塗膜を乾燥させることにより、屈折率層が形成されうる。
乾燥の方法としては、特に制限されず、公知の方法で行われうる。乾燥方法の例としては、自然乾燥、加熱乾燥、熱風を当てる方法、冷風を当てる方法等が挙げられる。迅速に乾燥を行う観点から、加熱乾燥により乾燥を行うことが好ましい。この際、加熱温度としては、形成された塗膜の組成等によっても異なるが、15〜120℃であることが好ましく、20〜90℃であることがより好ましい。
<工程(3)>
本発明に係る製造方法には、前記工程(2)で得られた塗膜を、乾燥前に一度冷却する工程(以下、工程(3)とも称する)をさらに含んでいてもよい。工程(3)を行うことにより、屈折率層の表面(積層されている場合には界面)がより均一となりうる。
塗布直後の塗膜は粘度が低いため、例えば、塗布直後の塗膜に熱風を当てて乾燥させる場合には、得られる屈折率層の表面は熱風によって膜厚のバラツキが生じうる。また、重層塗布を行った場合には、塗膜間において塗膜成分が移動し、得られる屈折率層間の境界が曖昧となりうる。しかし、得られた塗膜を一度冷却すると、塗膜の粘度が急激に上昇して塗膜が安定化しうる。その結果、熱風等の乾燥による膜厚のバラツキの発生、塗膜間の塗膜成分の移動を抑制しうる。ただし、塗膜間の塗布成分の移動によって、赤外遮蔽フィルムの性能が異なる場合もありうることから、工程(3)を行うか否かは、赤外遮蔽フィルムの所望の性能に応じて適宜決定されうる。
工程(3)を行う場合には、塗膜の冷却によって粘度が上昇しやすい高分子を塗布液の成分とすることが好ましい。上述のように、高分子の相互作用は、高分子の分子間および分子内の末端基による結合、架橋剤における結合、分子どうしの絡み合い等によって生じうる。よって、工程(3)の効果をより有効に発揮するために、塗布液の成分として、官能基を多数有している高分子、分子量が大きい高分子を使用し、架橋剤を含むことが好ましい。
工程(3)における冷却温度は、用いる塗布液によっても異なるが、−20〜20℃であえることが好ましく、−5〜10℃であることがより好ましい。
<用途>
上記で得られた赤外遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、赤外遮蔽効果を付与する赤外遮蔽フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。
特に、本発明に係る赤外遮蔽フィルムが直接または接着剤を介してガラスまたはガラス代替の樹脂などの基体に貼合されている部材には、赤外遮蔽フィルムは好適に適用されうる。
すなわち、本発明のさらに他の形態によれば、上記赤外遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けた、赤外遮蔽体をも提供する。
前記基体の具体的な例としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、金属板、セラミック等が挙げられる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれでもよく、これらを2種以上組み合わせて用いてもよい。本発明で使用されうる基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。基体の厚さは特に制限されないが、通常0.1mm〜5cmである。
赤外遮蔽フィルムと基体とを貼り合わせる接着層または粘着層は、赤外遮蔽フィルムを日光(熱線)入射面側に設置することが好ましい。また、本発明に係る赤外遮蔽フィルムを、窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等の周囲のガスから封止でき耐久性に優れるため好ましい。本発明に係る赤外遮蔽フィルムを屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
本発明に適用可能な接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を用いてもよい。具体的には可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業社製、三菱モンサント社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、メルセンG)等である。なお、接着層には紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。
赤外遮蔽フィルムまたは赤外遮蔽体の断熱性能、日射熱遮蔽性能は、一般的にJIS R 3209(複層ガラス)、JIS R 3106(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)、JIS R 3107(板ガラス類の熱抵抗および建築における熱貫流率の算定方法)に準拠した方法により求めることができる。
日射透過率、日射反射率、放射率、可視光透過率の測定は、(1)波長(300〜2500nm)の分光測光器を用い、各種単板ガラスの分光透過率、分光反射率を測定する。また、波長5.5〜50μmの分光測定器を用いて放射率を測定する。なお、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、熱線吸収板ガラスの放射率は既定値を用いる。(2)日射透過率、日射反射率、日射吸収率、修正放射率の算出は、JIS R 3106に従い、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、垂直放射率を算出する。修正放射率に関しては、JIS R 3107に示されている係数を、垂直放射率に乗ずることにより求める。断熱性、日射熱遮蔽性の算出は、(1)厚さの測定値、修正放射率を用いJIS R 3209に従って複層ガラスの熱抵抗を算出する。ただし中空層が2mmを超える場合はJIS R 3107に従って中空層の気体熱コンダクタンスを求める。(2)断熱性は、複層ガラスの熱抵抗に熱伝達抵抗を加えて熱貫流抵抗で求める。(3)日射熱遮蔽性はJIS R 3106により日射熱取得率を求め、1から差し引いて算出する。
また、上記で得られた赤外遮蔽フィルムは薄膜化されたものであることから、ディスプレイパネルの表面に適用してもよい。例えば、プラズマディスプレイパネルでは、赤外遮蔽フィルムを高透明PETフィルムに貼り合わせて、ディスプレイ画面に導入することができる。これによって、プラズマディスプレイパネルから放射される赤外線を遮蔽し、人体の保護、電子機器相互の誤動作防止、およびリモコンの誤動作防止等に寄与しうる。
[赤外遮蔽フィルムの製造]
(実施例1)
工程(1)
低屈折率層用塗布液の調製
コロイダルシリカ(スノーテックスOXS、日産化学工業株式会社製、固形分10質量%)2400質量部に、5質量%ポリビニルアルコール(PVA−103、重合度300、鹸化度98.5mol%、株式会社クラレ製)水溶液400質量部、3質量%ホウ酸水溶液1500質量部をそれぞれ添加した後、45℃に加熱し、撹拌しながら、5質量%ポリビニルアルコール(PVA−117、重合度1700、鹸化度98.5mol%、株式会社クラレ製)水溶液4000質量部、1質量%界面活性剤(ラピゾールA30、日油株式会社製)水溶液100質量部を添加し、純水1600質量部を加えて低屈折率層用塗布液を10000質量部調製した。
高屈折率層用塗布液の調製
15.0質量%酸化チタンゾル(SRD−W、体積平均粒径5nm、ルチル型二酸化チタン粒子、堺化学工業株式会社製)5000質量部に純水20000質量部を加えた後、90℃に加熱した。次いで、ケイ酸水溶液(ケイ酸ソーダ4号(日本化学工業株式会社製)をSiO濃度が2.0質量%となるように純水で希釈したもの)13000質量部を徐々に添加し、オートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行った。冷却後、限外濾過膜にて濃縮することにより、固形分濃度が20質量%であるSiOが表面に付着した二酸化チタンゾル(以下、アニオン処理された二酸化チタンゾル)を得た。
前記アニオン処理された二酸化チタンゾル(固形分20.0質量%)3000質量部に、5質量%ポリビニルアルコール(PVA−103、重合度300、鹸化度98.5mol%、株式会社クラレ製)水溶液200質量部、3質量%ホウ酸水溶液1000質量部、2質量%クエン酸水溶液1000質量部をそれぞれ添加した後、45℃に加熱し、撹拌しながら、5質量%ポリビニルアルコール(PVA−617、重合度1700、鹸化度95.0mol%、株式会社クラレ製)水溶液2000質量部、1質量%界面活性剤(ラピゾールA30、日油株式会社製)水溶液100質量部を添加し、純水2700質量部を加えて高屈折率層用塗布液を10000質量部調製した。
得られた低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液について、分散装置であるクレアミックスCLM−0.8S(エム・テクニック株式会社製)を用いてせん断処理を加えた。前記せん断処理は、より詳細には、最小間隙0.2mm(2×10−4m)のスクリーンスリット部(S2.0−24)を備えた350ccのベッセル(処理室)に、ロータリーポンプを用いて1L/minの流量で塗布液を供給し、17m/secの速度でローター(R2)を回転させてせん断処理を行った。なお、せん断速度は、85000(1/sec)である。
工程(2)
工程(1)で得られた低屈折率層用塗布液および高屈折率層用塗布液を45℃に保温しながら、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製A4300:両面易接着層)上に、低屈折率層と高屈折率層とがそれぞれ交互に9層積層されるように、スライドホッパー塗布装置を用いて速度6m/minで9層同時塗布を行い、得られた塗膜を乾燥させて赤外遮蔽フィルムを作製した。この際、工程(1)を行った後、工程(2)を行うまでの時間は、30分であった。乾燥後の平均膜厚が低屈折率層は各層150nmであり、高屈折率層は各層150nmであった。
(実施例2)
工程(1)のせん断処理に分散装置であるT.K.ロボミックス(プライミクス株式会社製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で赤外遮蔽フィルムを作製した。なお、前記せん断処理は、以下のように行った。すなわち、最小間隙0.3mm(3×10−4m)のスクリーンスリット部を備えた350ccのベッセル(処理室)に、ロータリーポンプを用いて1L/minの流量で塗布液を供給し、3m/secの速度でローターを回転させてせん断処理を行った。せん断速度は、10000(1/sec)である。
(実施例3)
工程(1)のローターの回転速度を15m/secに変更したことを除いては、実施例2と同様の方法で赤外遮蔽フィルムを作製した。なお、せん断速度は、52000(1/sec)である。
(実施例4)
工程(1)のせん断処理に分散装置であるマイルダーMDN303V(太平洋機工株式会社製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で赤外遮蔽フィルムを作製した。なお、前記せん断処理は、以下のように行った。すなわち、最小間隙0.3mm(3×10−4m)のスクリーンスリット部を備えた350ccのベッセル(処理室)に、ロータリーポンプを用いて1L/minの流量で塗布液を供給し、26m/secの速度でローターを回転させてせん断処理を行った。せん断速度は、90000(1/sec)である。
(実施例5)
工程(1)のせん断処理に分散装置である圧力式ホモジナイザーLAB1000(株式会社エスエムテー製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で赤外遮蔽フィルムを作製した。なお、前記せん断処理は、以下のように行った。すなわち、最小間隙が0.2mm(2×10−4m)となるように調節されたバルブとバルブシートとを有する処理室に、圧力500barで塗布液を供給した。この際、最小間隙を通過する際の塗布液の速度は、300m/secであった。せん断速度は1500000(1/sec)である。
(比較例1)
工程(1)のせん断処理に内接型ギアポンプであるケミカルギヤポンプGX−25S(株式会社イワキ製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で赤外遮蔽フィルムを作製した。なお、前記せん断処理は、以下のように行った。すなわち、駆動ギヤ(ピニオン)と従動ギヤ(インターナルギヤ)との噛み合い部の最小間隙が0.5mm(5×10−4m)である処理室に、当該噛み合い部を通過する際の塗布液の速度が0.3m/secとなるように駆動ギヤを調節した。せん断速度は600(1/sec)である。
(実施例6)
工程(1)の噛み合い部の通過速度を1.5m/secに変更したことを除いては、比較例1と同様の方法で赤外遮蔽フィルムを作製した。なお、せん断速度は、3000(1/sec)である。
(実施例7)
工程(1)の噛み合い部の通過速度を4.8m/secに変更したことを除いては、比較例1と同様の方法で赤外遮蔽フィルムを作製した。なお、せん断速度は、9600(1/sec)である。
(比較例2)
工程(1)のせん断処理に高速撹拌装置であるスリーワンモーターLBシリーズ(新東科学株式会社製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法で赤外遮蔽フィルムを作製した。なお、前記せん断処理は、以下のように行った。すなわち、外径50nmの撹拌羽根を備え、撹拌羽根の先端部と内壁の間隙が10mm(1×10−3m)となる処理室に塗布液を供給し、0.8m/secの速度で撹拌羽根を回転させて塗布液を撹拌した。せん断速度は80(1/sec)である。
(比較例3)
工程(1)の撹拌羽根の回転速度を3m/secに変更したことを除いては、比較例2と同様の方法で赤外遮蔽フィルムを作製した。なお、せん断速度は、300(1/sec)である。
(比較例4)
工程(1)の撹拌羽根の回転速度を8m/secに変更したことを除いては、比較例2と同様の方法で赤外遮蔽フィルムを作製した。なお、せん断速度は、800(1/sec)である。
(比較例5)
工程(1)に用いた装置が有する処理室の撹拌羽根と内壁との間隙を5mm(5×10−4m)に変更し、撹拌羽根の回転速度を3m/secに変更したことを除いては、比較例2と同様の方法で赤外遮蔽フィルムを作製した。なお、せん断速度は、600(1/sec)である。
(実施例8)
工程(1)の撹拌羽根の回転速度を5m/secに変更したことを除いては、比較例5と同様の方法で赤外遮蔽フィルムを作製した。なお、せん断速度は、1000(1/sec)である。
(実施例9)
工程()に用いた装置が有する処理室の撹拌羽根の先端部と内壁との間隙を3mm(3×10−4m)に変更し、撹拌羽根の回転速度を7m/secに変更したことを除いては、比較例2と同様の方法で赤外遮蔽フィルムを作製した。なお、せん断速度は、2300(1/sec)である。
実施例1〜9および比較例1〜5における速度、最小間隙、およびせん断速度の関係を下記表1に示す。
Figure 0006020558
[赤外遮蔽フィルムの評価]
実施例1〜9および比較例1〜5で製造した赤外遮蔽フィルムについて、下記の性能評価を行った。
(膜厚変動率の測定)
赤外遮蔽フィルムの断面を電子顕微鏡(FE−SEM、S−5000H型、株式会社日立製作所製)を用いて観察した。この際、加速電圧2.0kVの条件で1cm長さが観察できるように視野数を選択した。画像は、デジタル化し、接続されたファイリング装置(VIDEOBANK)に転送しMOディスク中に保存した。続いて、画像処理装置にてコントラストを調整し、各層の膜厚を1000点測定して膜厚の平均値(μ)と膜厚の標準偏差(σ)を算出した。膜厚の標準偏差(σ)を膜厚変動幅として、膜厚の平均値に対する膜厚変動率(V)を下記の式(2)により求めた。
Figure 0006020558
下記基準に従い、得られた値から赤外遮蔽フィルムの膜厚変動率を評価した:
○:3%未満
△:3%以上5%未満
×:5%以上。
得られた結果を下記表2に示す。
(色差の測定)
分光光度計(積分球使用、U−4000型、株式会社日立製作所社製)を用いて、製造した赤外遮蔽フィルムの測定側の裏面を粗面化処理を行い、黒色のスプレーで光吸収処理することで裏面での光の反射を防止した。次いで、5度正反射の条件と45度正反射の条件で可視光領域(360nm〜740nm)の反射率を測定し、得られた結果から、L値を算出し、5度正反射の条件と45度正反射の条件の色差ΔEを下記式(3)により求めた。
Figure 0006020558
下記基準に従い、得られた値から赤外遮蔽フィルムの色差を評価した:
○:10未満
△:10以上20未満
×:20以上。
得られた結果を下記表2に示す。
Figure 0006020558
表2の結果から明らかなように、実施例1〜9の赤外遮蔽フィルムは、膜厚変動率および色差について良好な結果が得られた。すなわち、塗布液に、せん断速度1000(1/sec)以上のせん断処理を加えると、ナノオーダー(実施例では150nm)で薄膜化した場合であっても膜厚のバラツキが抑制され、色ムラの発生が抑制された赤外遮蔽フィルムを得ることができることが理解される。また、せん断速度が高いほど、良好な結果が得られていることが分かる。
1 ステーター歯、
2 ローター歯、
3 せん断間隙、
4、5、14、24、34 塗布液、
11 バルブシート、
12 バルブ、
La、Lb、Lc、Ld 間隙、
21 外箱、
22a、22b 歯車、
31 内壁、
32 撹拌羽根。

Claims (4)

  1. 基材上に、膜厚が1〜1000nmである屈折率の異なる屈折率層が積層されてなる赤外遮蔽フィルムの製造方法であって、
    高分子を含む塗布液を調製する工程(1)と、
    前記工程(1)で調製した塗布液に、せん断速度1000(1/s)以上、最小間隙0.1〜0.3mmのせん断処理を加える工程(2)と、
    前記工程(2)で得られた塗布液を基材上に塗布して塗膜を形成して前記屈折率層を形成する工程(3)と、
    を含む、製造方法。
  2. 前記塗布が、1m/min以上の速度で行われる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記工程(3)が、前記工程(2)の後、3時間以内に行われる、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記せん断処理が、分散装置、高速撹拌装置、吐出装置、またはこれらの組み合わせにより行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
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