JP6278041B2 - 塗布液循環システムおよび光学フィルムの製造方法 - Google Patents

塗布液循環システムおよび光学フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルム製造システムの一部に適用される塗布液循環システムおよび光学フィルムの製造方法に関する。
光学フィルムとは、光を透過または反射吸収しうるフィルムであり、屈折、複屈折、反射防止、視野角拡大、光拡散、および輝度向上等の光学機能を発揮しうる。
光学フィルムは、赤外遮蔽フィルム、反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、および電磁波シールドフィルム等として液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)、建物や車両の窓ガラス等に使用されている。
近年、光学フィルムに光学機能を提供する光学機能層には、ナノオーダーの薄膜化が求められている。光学機能層の薄膜化によって、たとえば赤外遮蔽フィルムの屈折率層であれば赤外光の遮蔽性能が向上するといった、種々の効果が得られる。さらに、光学機能層には高いレベルの膜厚均一性が求められている。膜厚を均一化することによって、色ムラ等のない高品質な光学フィルムが提供できる。
薄膜化された光学機能層を形成する方法として、高分子を含有した塗布液(以下、塗布液という)を透明な基材に塗布して乾燥させる技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2008−183882号公報
しかしながら、塗布液は、時間の経過により粘度等の物性が変わることがあり、その場合、上記の従来技術においては、連続して安定的に、均一に基材に塗布することが難しいという問題がある。塗布液が調製された時点では均一な塗布に適した物性であっても、基材に塗布するまでの間に不適切な物性に変化してしまうと、塗布液を基材に適切に塗布できず、光学フィルムに欠陥が発生してしまう。たとえば、塗布液の粘度が不適切に大きくなり過ぎると、塗布液が基材上を滑らかに流れなかったり、塗布液中に凝固による異物が生じたりしてしまう。これでは、連続して安定的に塗布液を均一に塗布することができず、その結果として、高品質な光学フィルムの生産性を向上させることができなくなり、問題となる。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、時間の経過等により物性が変わる塗布液を、均一な塗布に適した状態で、連続して安定的に塗布装置に供給できる塗布液循環システムおよび光学フィルムの製造方法を提供する。
上記目的は、下記の手段によって達成される。
(1)高分子を含有する塗布液を貯蔵する貯蔵釜と、
前記塗布液を基材に塗布する塗布装置と、
前記貯蔵釜に接続され、前記塗布液を前記塗布装置に順次導く供給経路と、
前記貯蔵釜に、前記供給経路とは別に接続され、前記貯蔵釜に貯蔵された前記塗布液を順次前記貯蔵釜から流出し、再度前記貯蔵釜に戻す循環経路と、
前記循環経路の途中に設けられ、前記貯蔵釜に貯蔵されている塗布液の流出、流出の停止を行う送液装置と、
前記循環経路の途中で、前記送液装置の下流に設けられ、前記循環経路を通る前記塗布液を分散する分散装置と、
前記循環経路の途中で、前記分散装置の下流に設けられ、前記塗布液から脱泡を行う脱泡装置と、
前記循環経路の途中で、前記脱泡装置の下流に設けられ、前記塗布液を濾過する濾過装置と、
を有する塗布液循環システム。
(2)前記塗布液の物性を測定する測定装置をさらに有し、前記分散装置は、前記測定装置により測定された測定値に基づいて分散強度を異ならせる上記(1)に記載の塗布液循環システム。
(3)前記測定装置は、粘性に関する物性を測定し、前記分散装置は、前記測定値が所定の上限値よりも大きい場合は分散強度を大きくし、前記測定値が所定の下限値よりも小さい場合は分散強度を小さくする上記(2)に記載の塗布液循環システム。
)前記測定装置は、前記循環経路上、前記供給経路上および前記貯蔵釜内の少なくとも一箇所に設けられる上記(または(3)に記載の塗布液循環システム。
)上記(1)〜()のいずれか一つに記載の塗布液循環システムを用いて循環されている塗布液を基材上に塗布する工程と、前記基材上の塗布液を乾燥させる工程と、を有する光学フィルムの製造方法。
本発明によれば、塗布液を循環させつつ、塗布液に対して継続的に分散処理を施す。したがって、時間の経過等により粘度等の物性が変わる高分子含有塗布液であっても、均一な塗布に適した状態で、連続して安定的に塗布装置に供給できる。
第1実施形態に係る光学フィルム製造システムの概略構成図である。 第2実施形態に係る光学フィルム製造システムの概略構成図である。 第3実施形態に係る光学フィルム製造システムの概略構成図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本発明は、光学フィルム製造システムの一部に適用される塗布液循環システムに関する。以下、光学フィルム製造システム全般について説明しつつ、本発明の一実施形態である塗布液循環システムを説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光学フィルム製造システムの概略構成図である。
光学フィルム製造システム1は、複数の装置を接続して構成されており、各装置により実現する複数の工程を通じて光学フィルムを製造する。図1に示す例では、光学フィルム製造システム1は、大きく分けて、調製工程、循環工程、供給工程および塗布工程を実行する。
各工程に含まれる装置の構造や作用について説明する。
(調製工程)
光学フィルム製造システム1は、調製工程において、光学フィルムの光学機能層を形成する高分子含有塗布液を調製する。調製工程は、調製釜101、送液装置102および濾過装置103を含む。
調製釜101は、高分子含有塗布液を調製するための容器である。塗布液の調製方法は、特に制限されず、たとえば、高分子、および必要に応じて架橋剤、金属酸化物粒子等の添加剤を溶媒に添加し、撹拌混合する方法である。この際、各成分の添加順も特に制限されず、撹拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、撹拌しながら一度に添加し混合してもよい。これらの塗布液の調製方法は、塗布液ごとに適宜決められる。調製釜101は、循環工程に含まれる貯蔵釜に塗布液を供給するために、貯蔵釜に接続されている。
送液装置102は、調製釜101から塗布液を流出する経路に設けられている。送液装置102は、たとえば、ポンプであり、調製された塗布液の流出、流出の停止を制御可能である。送液装置102は、塗布液を流出させる際には、塗布液の流量や速度を適宜設定可能である。
濾過装置103は、調製釜101から塗布液を流出する経路に設けられている。濾過装置103は、塗布液に混ざった異物や、塗布液中に発生した気泡や凝集による異物を除去する。異物が除去された塗布液は、循環工程に送られる。
(循環工程)
光学フィルム製造システム1は、循環工程(塗布液循環システム)において、調製された塗布液を、適正な物性に保ちつつ循環させる。循環工程は、貯蔵釜104、送液装置105、分散装置106、脱泡装置107、濾過装置108および循環経路R1を含む。
貯蔵釜104は、連続的に塗布液を供給できるように、塗布液を貯蔵する。貯蔵釜104は、貯蔵釜104の内部においても塗布液を循環させるための攪拌装置を備えていることが好ましい。これにより、貯蔵釜104内の塗布液の物性を均一にできる。貯蔵釜104には、塗布液を貯蔵釜104から流出させ、流出させた塗布液を再び貯蔵釜104に戻すための循環経路R1が接続されている。また、貯蔵釜104には、塗布液を供給工程および塗布工程に送るための供給経路も接続されている。
送液装置105は、循環経路R1上に設けられている。送液装置105は、たとえば、ポンプであり、貯蔵釜104に貯蔵されている塗布液の流出、流出の停止を制御可能である。送液装置105は、塗布液を流出させる際には、塗布液の流量や速度を適宜設定可能である。
分散装置106は、循環経路R1上に設けられている。分散装置106は、塗布液に分散処理、あるいは、せん断処理を施す。これにより、塗布液は、高分子の分子間および分子内の末端基による結合(ファンデルワールス結合等)が切断され、分子どうしの絡み合いが解消され、結果として、粘度が低減される。分散装置106は、塗布液を、分散、せん断できれば、構成は特に制限されず、市販のマイルダー、圧力式ホモジナイザー、高速回転せん断型ホモジナイザー等であってもよい。マイルダーの場合、分散装置106は、たとえば、固定歯と可動歯との間に塗布液を流し、固定歯と可動歯との速度勾配により生じるせん断力により、塗布液を分散処理あるいはせん断処理する。
脱泡装置107は、塗布液中に含まれる気泡や塗布液内に溶け込んでいる溶存空気を除去する。脱泡の原理はたとえば、遠心力により気泡と液体を分離して、気泡を真空引きにより排出するものや、超音波を利用するものが考えられる。ただし、脱泡できれば、脱泡装置107は、他のいかなる原理を利用する装置であってもよい。
濾過装置108は、塗布液に混ざった異物や、塗布液中に発生した気泡や凝集による異物を除去する。異物が除去された塗布液は、循環経路R1を通じて貯蔵釜104に戻る。
以上のように、循環工程において、塗布液は、貯蔵釜104から循環経路R1に流出し、分散装置106、脱泡装置107および濾過装置108による処理を施された後、貯蔵釜104に戻る。貯蔵釜104に戻った塗布液は、貯蔵釜104内で撹拌されつつ移動した後、再び循環経路R1に流出し、上記の処理が繰り返し行われる。
循環工程における分散装置106、脱泡装置107および濾過装置108の処理強度は、光学フィルムの用途や使用する塗布液の性質等の条件に応じて、塗布液の物性が適正な範囲内に保たれるように適宜設定できる。
たとえば、塗布液の粘度が適正な範囲よりも大きいと、基材に塗布する際に塗布液が基材上を滑らかに流れず、塗布液を均一に塗布することは困難となる。さらに、塗布液の凝集による異物が存在した状態で塗布されてしまうことも考えられる。逆に、塗布液の粘度が適正な範囲よりも小さいと、塗布された塗布液が安定せず、搬送時の空気の流れや乾燥時の風圧等により塗布液が流れてしまい、光学フィルムのスジやムラの原因となる。また、他の塗布液と重ねて塗布する際に他の塗布液と混ざってしまい、光学フィルムの白濁の原因となる。
循環工程においては、調製された塗布液を循環させつつ、適切な強度において分散処理、脱泡処理、濾過処理等を連続的に施すことにより、塗布液の粘度等の物性を塗布に適した範囲内に保つことができる。
なお、循環工程においては、塗布液を循環させる回数が予め定められているものではなく、送液装置105の設定等に応じて、一定時間あたり所定の流量の塗布液が、貯蔵釜104から循環経路R1に順次送られて循環する。循環された塗布液は貯蔵釜104に戻り攪拌されるので、貯蔵釜104に収容される塗布液全体の物性を、常に塗布に適した状態に保つことができる。
貯蔵釜104に収容されている塗布液のうちの一部は、貯蔵釜104に接続された供給経路L1を通じて、供給工程に送られる。
なお、図1では、循環経路R1上に、分散装置106、脱泡装置107および濾過装置108の順に装置が並んでいる。しかし、これらの装置の順序は、適宜変更可能である。また、複数の上記装置の機能を統合した1つの装置が循環工程に提供されてもよい。たとえば、分散装置106および脱泡装置107の機能が統合した分散脱泡装置が循環工程に提供されてもよい。また、循環工程には、上記以外の装置が設けられていてもよく、また上記装置のいずれかが設けられていなくてもよい。
(供給工程)
光学フィルム製造システム1は、供給工程において、調製および循環された塗布液を、塗布工程へ供給する。供給工程は、送液装置109、流量計110、分散装置111、脱泡装置112、濾過装置113および供給経路L1を含む。供給経路L1は、循環工程の貯蔵釜104から、塗布工程に、塗布液を供給するための経路である。送液装置109、流量計110、分散装置111、脱泡装置112および濾過装置113は、供給経路L1に設けられている。
送液装置109は、循環工程の貯蔵釜104から流出させた塗布液を、供給経路L1に設けられる各装置に送る。送液装置109は、たとえば、ポンプであり、調製された塗布液の流出、流出の停止を制御可能である。送液装置109は、塗布液を流出させる際には、塗布液の流量や速度を適宜設定可能である。
流量計110は、供給経路を通過する塗布液の流量を計測する装置である。流量計110によって計測された塗布液の流量に応じて、送液装置109の流量が適切に制御されてもよい。流量計としては、たとえば、フラップ式、熱線式、カルマン渦式、または負圧感知方式等の流量計が使用される。流量計に加えて、または流量計の替わりに、供給経路内における塗布液の圧力を計測する圧力計が設けられてもよい。
分散装置111は、塗布液に分散処理、あるいは、せん断処理を施す。これにより、塗布液は、高分子の分子間および分子内の末端基による結合(ファンデルワールス結合等)が切断され、分子どうしの絡み合いが解消され、結果として、粘度が低減される。分散装置111は、塗布液を、分散、せん断できれば、構成は特に制限されず、市販のマイルダー、圧力式ホモジナイザー、高速回転せん断型ホモジナイザー等であってもよい。マイルダーの場合、分散装置106は、たとえば、固定歯と可動歯との間に塗布液を流し、固定歯と可動歯との速度勾配により生じるせん断力により、塗布液を分散処理あるいはせん断処理する。
脱泡装置112は、塗布液中に含まれる気泡や塗布液内に溶け込んでいる溶存空気を除去する。脱泡の原理はたとえば、遠心力により気泡と液体を分離して、気泡を真空引きにより排出するものや、超音波を利用するものが考えられる。ただし、脱泡できれば、脱泡装置112は、他のいかなる原理を利用する装置であってもよい。
濾過装置113は、塗布液に混ざった異物や、塗布液中に発生した気泡や凝集による異物を除去する。異物が除去された塗布液は、供給経路L1を通じて塗布工程に送られる。
なお、図1では、供給経路L1上に、流量計110、分散装置111、脱泡装置112、濾過装置113の順に装置が並んでいる。しかし、これらの装置の順序は、適宜変更可能である。また、複数の上記装置の機能を統合した1つの装置が供給工程に提供されてもよい。たとえば、分散装置111および脱泡装置112の機能が統合した分散脱泡装置が供給工程に提供されてもよい。また、供給工程には、上記以外の装置が設けられていてもよく、また上記装置のいずれかが設けられていなくてもよい。
(塗布工程)
光学フィルム製造システム1は、塗布工程において、基材に、塗布液を塗布し、高分子膜を生成する。塗布工程は、塗布装置114、セット装置115および乾燥装置116を含む。
塗布装置114は、基材に、塗布液を塗布する。塗布装置114は、基材に、塗布液を単層で塗布してもよく、また、複数の層で塗布してもよい。塗布液を複数層に重ねて基材に塗布(いわゆる重層塗布)する場合、少なくとも隣り合って重ねられる塗布液は、異なる配分や材料によって調製されている。したがって、図1では、1つの調製釜101を示しているが、実際は、複数の調製釜が用意され、別個の調製工程および供給工程を経て、複数種類の塗布液が塗布装置114に供給される。
セット装置115は、基材上に形成された高分子膜を、一旦冷却する。塗布直後の高分子膜は粘度が低いため、塗布直後に熱風を当てて乾燥させると、熱風によって一部で膜厚が変わり、全面に均等な屈折率等が得られないことが起こり得る。また、重層塗布を行った場合には、層間において成分が移動し、所望の光学性能に悪影響を与えるほど層間の境界が曖昧となりうる。しかし、得られた高分子膜を一度冷却することで、熱風を当てても膜厚が変わらず、また、所望の光学性能に悪影響を与えるほど層間の境界が曖昧になることを抑制できる。光学フィルム製造システム1においては、セット装置115が省略されてもよい。
乾燥装置116は、たとえば、熱風を基材上の高分子膜に与えて、高分子膜を乾燥させてさらに安定化させ、光学フィルムとして完成させる。
以上のように、第1実施形態の光学フィルム製造システム1によれば、塗布液を循環させて継続的に分散処理を加える。したがって、時間の経過等により物性が変わる高分子含有塗布液を、均一な塗布に適した状態で、連続して安定的に供給できる。
また、光学フィルム製造システム1は、塗布液を基材に塗布する塗布装置114と、塗布液を塗布装置114に供給する供給経路L1を有している。したがって、均一な塗布に適した状態の塗布液を塗布装置に供給でき、効率的に光学フィルムを製造できる。
また、供給経路L1と循環経路R1とは、並列に設けられている。したがって、塗布液の供給を止めることなく連続して安定的に供給しながら、塗布液を循環経路R1に循環させて塗布に適した物性を保つことができる。
また、光学フィルム製造システム1は、循環経路R1の途中に脱泡装置107を有している。したがって、塗布液を気泡や溶存空気がない状態に保つことができ、均一な塗布に適した状態で、塗布液を連続して安定的に供給できる。
また、光学フィルム製造システム1は、循環経路R1の途中に濾過装置108を有している。したがって、塗布液に混ざった異物や、塗布液中に発生した気泡や凝集による異物を取り除くことができ、塗布液を、均一な塗布に適した状態で、連続して安定的に供給できる。
なお、本実施形態において、循環工程は、調製工程の後に設けられるものとして説明したが、これに限定されない。循環工程は、塗布液が調製されてから塗布されるまでの間のいかなる部分に位置してもよい。
また、本実施形態において、循環工程は、光学フィルム製造システム1の中に一つ設けられるものとして説明したが、これに限定されない。循環工程は、光学フィルム製造システム1の中に複数設けられてもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の光学フィルム製造システムについて説明する。
第1実施形態においては、循環経路R1と供給経路L1とは、循環工程の貯蔵釜104にそれぞれ別々の経路として接続され、それぞれの経路に送液装置、分散装置等が設けられている。しかし、循環経路R1と供給経路L1とは、経路や装置の一部を共用し、片方の経路における設備が省略されてもよい。第2実施形態においては、供給経路L1を循環経路R1の途中に接続し、供給経路L1上の経路や装置の一部を省略する場合について説明する。
図2は、第2実施形態に係る光学フィルム製造システムの概略構成図である。図2においては、第1実施形態と同様の構成には同じ参照番号を付している。第1実施形態と同様の構成については、説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図2に示すように、光学フィルム製造システム2の調製工程および塗布工程は、第1実施形態と同様であり、循環工程および供給工程が、第1実施形態と異なる。
(第2実施形態の循環工程)
光学フィルム製造システム2の循環工程は、供給経路L1が、濾過装置108に接続されている点が第1実施形態と異なる。
循環工程において、塗布液は、貯蔵釜104から循環経路R1に流出し、分散装置106、脱泡装置107を経て、濾過装置108に送られる。塗布液は、濾過装置108において異物が除去された後、循環経路R1を通じて再び貯蔵釜104に戻る。ここで、濾過装置108を通過する塗布液のうちの一部は、濾過装置108に接続された供給経路L1を通じて、供給工程に送られる。
(第2実施形態の供給工程)
光学フィルム製造システム2の供給工程は、流量計110および供給経路L1を含む。供給経路L1は、循環工程の濾過装置108に接続されている。そのため、第1実施形態とは異なり、供給経路L1上の送液装置、分散装置、脱泡装置および濾過装置は省略されている。
循環工程から供給経路L1に導かれた塗布液は、流量計110を通過し、塗布工程の塗布装置に送られる。
第2実施形態の光学フィルム製造システム2は、第1実施形態の光学フィルム製造システム1が達成する効果に加えて、以下の効果を奏する。
光学フィルム製造システム2によれば、供給経路L1が循環経路R1上に接続され、供給経路L1の経路や装置等の設備を省略できるため、設備投資を抑えつつ、コンパクトな光学フィルム製造システムを構築できる。
なお、本実施形態では、供給経路L1が濾過装置108に接続されるものとして説明したが、これに限定されない。供給経路L1は、循環経路R1に設けられた他の装置に接続されてもよい。あるいは、循環経路R1上に経路を分岐するための装置を設けて、供給経路L1がその装置に接続されるようにしてもよい。
また、本実施形態では、供給経路L1上には流量計110のみが設けられるものとして説明したが、これに限定されない。供給経路L1上には、流量計110以外の装置が設けられていてもよい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の光学フィルム製造システムついて説明する。
第3実施形態は、第1実施形態の構成に加えて、循環工程において、塗布液の物性を測定する測定装置と、測定装置の測定結果に応じて分散装置を制御する装置とを備えている点が第1実施形態と異なる。
図3は、第3実施形態に係る光学フィルム製造システムの概略構成図である。図3においては、第1実施形態と同様の構成には同じ参照番号を付している。第1実施形態と同様の構成については、説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
図3に示すように、光学フィルム製造システム3の調製工程、供給工程および塗布工程は、第1実施形態と同様であり、循環工程のみが、第1実施形態と異なる。
(第3実施形態の循環工程)
光学フィルム製造システム3の循環工程は、第1実施形態と同様の構成に加えて、さらに、測定装置117と制御装置118とを含む。
測定装置117は、循環経路R1上に設けられ、循環経路R1を通過する塗布液の物性を測定する。測定装置117は、たとえば塗布液の粘度を測定する粘度計である。粘度計としては、回転式、振動式、細管式等いかなる方法の粘度計が使用されてもよい。測定装置117は、測定結果を示す情報を制御装置118に通知する。
制御装置118は、プログラムに従って演算するCPU、各種データやプログラムを記録するメモリやハードディスク等を有する。制御装置118は、測定装置117から通知された測定結果を示す情報に基づいて、分散装置106を制御する。
制御装置118は、たとえば、測定装置117が粘度計である場合、測定装置117によって測定された塗布液の粘度に基づいて、分散装置106を制御する。塗布液の粘度が所定の適正な範囲よりも大きい場合、制御装置118は、分散装置106の分散強度を高めるように制御する。分散装置106がマイルダーの場合、制御装置118は、可動歯の回転速度を高めるように分散装置106を制御する。あるいは、塗布液の粘度が所定の適正な範囲よりも小さい場合、制御装置118は、分散装置106の分散強度を低めるように制御する。
第3実施形態の光学フィルム製造システム3は、第1実施形態の光学フィルム製造システム1が達成する効果に加えて、以下の効果を奏する。
光学フィルム製造システム3によれば、測定装置117により測定された塗布液の物性に基づいて、分散装置106の分散強度を制御する。したがって、循環する塗布液をより確実に、均一な塗布に適した物性に保つことができる。
また、光学フィルム製造システム3は、測定装置117により塗布液の粘度を測定し、粘度が所定の適正な範囲よりも大きい場合は分散強度を大きくし、粘度が所定の適正な範囲よりも小さい場合は分散強度を小さくするように分散装置106を制御する。したがって、循環する塗布液の粘度を適正な範囲に保つことができ、均一な塗布に適した状態で供給できる。
なお、第3実施形態においては、測定装置117が塗布液の粘度を測定する例を説明したが、これに限定されない。測定装置117は、塗布液の動粘度や密度、粘弾性、温度等、塗布液のいかなる物性を測定してもよい。
また、第3実施形態においては、制御装置118が塗布液の粘度に基づいて分散装置106を制御する例を説明したが、これに限定されない。制御装置118は、測定装置117が測定した様々な物性に基づいて、分散装置106だけでなく、脱泡装置107や濾過装置108を制御してもよい。たとえば、制御装置118は、塗布液の密度に基づいて脱泡装置107と濾過装置108を制御してもよい。具体的には、密度が所定の範囲よりも小さい場合には、塗布液中の気泡や溶存空気の割合が大きいと判断し、脱泡装置107の脱泡強度を高めるように制御してもよい。あるいは、密度が所定の範囲よりも大きい場合には、塗布液中に凝固による異物等が発生していると判断し、濾過装置108の濾過強度を高めるように濾過フィルターのメンテナンスを行うように制御してもよい。
また、第3実施形態においては、測定装置117が循環工程に設けられるものとして説明したが、これに限定されない。測定装置117は、循環経路R1だけでなく、供給経路L1や貯蔵釜104内等、塗布液が通過するいかなる場所に設けられてもよい。また、測定装置117が複数設けられ、複数の測定結果に基づいて複数の装置が制御されてもよい。これにより、より塗布に適した状態で塗布液を供給できる。
以上、第1実施形態〜第3実施形態において、光学フィルム製造システムのバリエーションを説明してきた。しかし、上記実施形態は一例であり、様々な改変が可能である。たとえば、分散装置を上記実施形態1〜3とは異なる位置に配置してもよい。また、各装置は、図示される順番ではなく、別の順番に配置されて処理を実行してもよい。
(材料等)
次に、第1実施形態〜第3実施形態において、製造される光学フィルム、光学フィルムの製造に用いる材料、光学フィルムの製造工程等について詳細に説明する。
<光学フィルム>
本形態に係る製造方法で製造される光学フィルムは、基材上に、膜厚が1〜1000nmである光学機能層が少なくとも1層形成されてなる。
光学フィルムは、光学機能層の組成、構成等によって発揮する機能が異なる。したがって、本発明に係る技術的思想は、適宜公知の事項を参酌することによって、種々の光学フィルム、例えば、赤外遮蔽フィルム、反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、および電磁波シールドフィルム等に用いることができる。以下の説明では、屈折率の異なる屈折率層(高分子膜)が積層されてなる赤外遮蔽フィルムについて説明するが、本発明を限定するものではない。なお、赤外遮蔽フィルムは光学フィルムに該当し、屈折率層は光学機能層に該当する。
一般に、赤外遮蔽フィルムにおいては、隣接する屈折率層間の屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外反射率を高くすることができるという観点から好ましい。本形態では、隣接する屈折率層間の屈折率差の少なくとも1つが0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.4以上であることが特に好ましい。また、前記積層された屈折率層間のすべての屈折率差が上記好適な範囲内にあることが好ましい。ただし、この場合でも、反射層を構成する屈折率層のうち、最表層や最下層に関しては、上記好適な範囲外の構成であってもよい。
特定波長領域の反射率は、隣接する2層の屈折率差と積層数で決まり、屈折率の差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率を得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、赤外反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、100層以上の積層が必要となる。このような場合、生産性の低下、積層界面における散乱の増大、透明性の低下、および製造時の故障が生じうる。
さらには、本形態の赤外遮蔽フィルムの光学特性として、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上であることが好ましく、また、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
赤外遮蔽フィルムは、屈折率層が積層された構成を有することにより、基材の側から、または積層された屈折率層の側から赤外光を照射した場合に、少なくとも赤外光の一部を遮蔽して赤外遮蔽効果を発揮することができる。
一実施形態において、前記積層された屈折率層は、高屈折率層および低屈折率層が交互に積層されてなる。積層された高屈折率層および低屈折率層は、それぞれ同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。屈折率層が高屈折率層であるか低屈折率層であるかは、隣接する屈折率層との屈折率の対比によって判断される。具体的には、ある屈折率層を基準層としたとき、当該基準層に隣接する屈折率層が基準層より屈折率が低ければ、基準層は高屈折率層である(隣接層は低屈折率層である)と判断される。一方、基準層より隣接層の屈折率が高ければ、基準層は低屈折率層である(隣接層は高屈折率層である)と判断される。
上述のように、高屈折率層であるか低屈折率層であるかは隣接する屈折率層との関係で定まる相対的なものであるが、高屈折率層の屈折率(nH)は1.60〜2.50であることが好ましく、1.70〜2.50であることがより好ましく、1.80〜2.20であることがさらに好ましく、1.90〜2.20であることが特に好ましい。一方、低屈折率層の屈折率(nL)は、1.10〜1.60であることが好ましく、1.30〜1.55であることがより好ましく、1.30〜1.50であることがさらに好ましい。なお、各屈折率層の屈折率の値は、以下のように測定した値を採用するものとする。具体的には、支持体上に測定対象となる屈折率層を単層で塗布して得られた塗膜を10cm×10cmに断裁してサンプルを作製する。当該サンプルは、裏面での光の反射を防止するため、測定面とは反対側の面(裏面)を粗面化処理し、黒色スプレーで光吸収処理を行う。このように作製したサンプルを、分光光度計U−4000型(株式会社日立製作所製)を用いて、5度正反射の条件にて可視領域(400nm〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その測定結果より平均屈折率を求める。
屈折率層の総層数の範囲としては、生産性の観点から、好ましくは200層以下であり、より好ましくは100層以下であり、さらに好ましくは50層以下である。
屈折率層の1層あたりの厚さは、1〜1000nmであり、好ましくは20〜800nmであり、より好ましくは50〜350nmである。
<高分子含有塗布液>
赤外遮蔽フィルムの製造においては、通常、塗布液として、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の少なくとも2種の塗布液を調製する。
[塗布液の組成]
塗布液は、高分子を含む。さらに、必要に応じて溶媒、架橋剤、金属酸化物粒子、エマルジョン樹脂、その他の添加剤を含んでいてもよい。
(高分子)
用いられうる高分子としては、特に制限されないが、水溶性高分子が挙げられる。水溶性高分子としては、特に制限されないが、反応性官能基を有するポリマー、変性ポリビニルアルコール、ゼラチン、および増粘多糖類等が挙げられる。なお、本明細書において、「水溶性高分子」とは、水溶性高分子が最も溶解する温度で0.5質量%の濃度となるように水に溶解させた場合において、G2グラスフィルタ(最大細孔40〜50μm)でろ過した際にろ別される不溶物の質量が、加えた水溶性高分子の50質量%以内であるものを意味する。
反応性官能基を有するポリマー
本発明で用いられる反応性官能基を有するポリマーとしては、例えば、未変性ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、もしくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、もしくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩が挙げられる。これらの中でも、未変性ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、およびこれらの共重合体を用いることが好ましい。
なお、上記反応性官能基を有するポリマーが共重合体である場合の共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。
変性ポリビニルアルコール
本発明において用いられる変性ポリビニルアルコールは、未変性ポリビニルアルコールに任意の変性処理の1または2以上を施したものである。例えば、アミン変性ポリビニルアルコール、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボン酸変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、チオール変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコールは、市販品を使用してもよく、あるいは当該分野で公知の方法で製造したものを使用してもよい。
また、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも用いてもよい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような第1級〜第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールが挙げられ、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および同63−307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、および特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
そして、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
上述の変性ポリビニルアルコールのうち、(1)平均重合度200以上2400以下の未変性ポリビニルアルコールと、(2)不飽和カルボン酸並びにその塩およびエステルからなる群から選択される1種または2種以上の重合性ビニル単量体とを共重合させて得られる共重合体(グラフト共重合体)を用いることが好ましい。
なお、変性ポリビニルアルコールが上記グラフト共重合体である場合において、当該グラフト共重合体を構成する(1)平均重合度200以上2400以下の未変性ポリビニルアルコールとして、上述した各種の変性ポリビニルアルコールを用いてもよい。
変性ポリビニルアルコールの原料となる未変性ポリビニルアルコールとしては、平均重合度が約200〜2400、好ましくは平均重合度約900〜2400、より好ましくは平均重合度約1300〜1700である。また、未変性ポリビニルアルコールのケン化度は、好ましくは約60〜100モル%、より好ましくは78〜96モル%である。このようなケン化ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルをラジカル重合し、得られたポリ酢酸ビニルを適宜、ケン化することによって製造することができ、所望の未変性ポリビニルアルコールを製造するためには、適宜、重合度、ケン化度をそれ自体公知の方法で制御することによって達成される。
なお、こうした部分ケン化ポリビニルアルコールとしては、市販品を使用することも可能であり、好ましい未変性ポリビニルアルコールの市販品としては、例えばゴーセノールEG05、EG25(日本合成化学工業株式会社製)、PVA203(株式会社クラレ製)、PVA204(株式会社クラレ製)、PVA205(株式会社クラレ製)、JP−04(日本酢ビ・ポバール株式会社製)、JP−05(日本酢ビ・ポバール株式会社製)等が挙げられる。なお、変性ポリビニルアルコールの原料として1種のみの未変性ポリビニルアルコールを単独で使用するのみならず、重合度、ケン化度の異なる2種以上の未変性ポリビニルアルコールを目的に応じて適宜併用することができる。例えば、平均重合度300の未変性ポリビニルアルコールと平均重合度1500の未変性ポリビニルアルコールとを混合して使用することが可能である。
原料の未変性(変性)ポリビニルアルコールと重合させる重合性ビニル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類またはそれらの塩(例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルキルアミン塩)、それらのエステル類(例えば置換または非置換のアルキルエステル、環状アルキルエステル、ポリアルキレングリコールエステル)、不飽和ニトリル類、不飽和アミド類、芳香族ビニル類、脂肪族ビニル類、不飽和結合含有複素環類等が挙げられる。具体的には、(a)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート(ポリエチレングリコールとアクリル酸とのエステル)、ポリプロピレングリコールアクリレート(ポリプロピレングリコールとアクリル酸とのエステル)などが、(b)メタクリル酸エステル類としては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート(ポリエチレングリコールとメタクリル酸とのエステル)などが、(c)不飽和ニトリル類としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが、(d)不飽和アミド類としては例えばアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミドなどが、(e)芳香族ビニル類としてはスチレン、α−メチルスチレンなどが、(f)脂肪族ビニル類としては、酢酸ビニルなどが、(g)不飽和結合含有複素環類としては、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリンなどが例示される。
上述の変性ポリビニルアルコールは、未変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体をそれ自体公知の方法で変性処理することにより製造することができる。
特に、変性ポリビニルアルコールとしての上記グラフト共重合体を製造する方法としては、ラジカル重合、例えば溶液重合、懸濁重合、乳化重合および塊状重合などのそれ自体公知の方法を挙げることができ、各々の通常の重合条件下で実施することができる。この重合反応は、通常、重合開始剤の存在下、必要に応じて還元剤(例えば、エリソルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸)、連鎖移動剤(例えば2−メルカプトエタノール、α−メチルスチレンダイマー、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ラウリルメルカプタン)あるいは分散剤(例えばソルビタンエステル、ラウリルアルコールなどの界面活性剤)等の存在下、水、有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、セロソルブ、カルビトール)あるいはそれらの混合物中で実施される。また、未反応の単量体の除去方法、乾燥、粉砕方法等も公知の方法でよく、特に制限はない。
ゼラチン
本発明で用いられるゼラチンとしては、従来、ハロゲン化銀写真感光材料分野で広く用いられてきた各種ゼラチンを挙げることができる。例えば、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンの他に、ゼラチンの製造過程で酵素処理をする酵素処理ゼラチンおよびゼラチン誘導体、すなわち分子中に官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシ基、またはカルボキシ基を有し、それと反応して得る基を持った試薬で処理し改質したものでもよい。ゼラチンの一般的製造法に関しては良く知られており、例えば、T.H.James:The Theory of Photographic Process 4th.ed.1977(Macmillan)55頁、科学写真便覧(上)72〜75頁(丸善株式会社)、写真工学の基礎−銀塩写真編 119〜124頁(コロナ社)等の記載を参考にすることができる。また、リサーチ・ディスクロージャー誌第176巻、No.17643(1978年12月)のIXページに記載されているゼラチンを挙げることができる。
増粘多糖類
本発明で用いられる増粘多糖類としては、特に制限はなく、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類および合成複合多糖類などを挙げることができる。これら増粘多糖類の詳細については、「生化学辞典(第2版)」(東京化学同人)、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
前記増粘多糖類とは、糖類の重合体で、分子内に水素結合基を多数有するものであり、温度による分子間の水素結合力の違いにより、低温時の粘度と高温時の粘度との差が大きいという特性を備えた多糖類であり、さらに金属酸化物粒子や多価金属化合物を添加すると、低温時に金属酸化物粒子または多価金属化合物との反応により金属酸化物粒子または多価金属化合物との水素結合またはイオン結合を形成して、粘度上昇またはゲル化を引き起こすものである。粘度の上昇幅は、金属酸化物粒子または多価金属化合物の添加前の15℃における粘度と比較して、15℃の粘度で、1.0mPa・s以上であることが好ましい。粘度上昇幅は、より好ましくは5.0mPa・s以上であり、さらに好ましくは10.0mPa・s以上である。なお、本明細書において、粘度は、ブルックフィールド粘度計により測定した値を採用するものとする。
本発明に適用可能な増粘多糖類のさらに具体的な例としては、例えば、ペクチン、ガラクタン(例えば、アガロース、アガロペクチン等)、ガラクトマンノグリカン(例えば、ローカストビーンガム、グアラン等)、キシログルカン(例えば、タマリンドガム、タマリンドシードガム等)、グルコマンノグリカン(例えば、蒟蒻マンナン、木材由来グルコマンナン、キサンタンガム等)、ガラクトグルコマンノグリカン(例えば、針葉樹材由来グリカン)、アラビノガラクトグリカン(例えば、大豆由来グリカン、微生物由来グリカン等)、グルコラムノグリカン(例えば、ゲランガム等)、グリコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸等)、アルギン酸およびアルギン酸塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレラン等の紅藻類に由来する天然高分子多糖類、カルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類が挙げられる。塗布液中に共存しうる金属酸化物粒子の分散安定性を低下させないという観点から、その構成単位がカルボン酸基やスルホン酸基を有しないものが好ましい。その様な多糖類としては、例えば、L−アラビトース、D−リボース、2−デオキシリボース、D−キシロースなどのペントース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−ガラクトースなどのヘキソースのみからなる多糖類であることが好ましい。具体的には、主鎖がグルコースであり、側鎖もグルコースであるキシログルカンとして知られるタマリンドシードガムや、主鎖がマンノースで側鎖がグルコースであるガラクトマンナンとして知られるグアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、タラガムや、主鎖がガラクトースで側鎖がアラビノースであるアラビノガラクタンを好ましく使用することができる。
上述の高分子は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、高分子の質量平均分子量は1000以上であることが好ましく、5000〜1000000であることがより好ましく、10000〜100000であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、質量平均分子量とは、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxLまたはTSKgel G2000HxL(東ソー株式会社製)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトフラフィ(GPC)分析装置(溶媒:テトラヒドロフラン(THF))により、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量を意味する。
塗布液中の高分子の濃度は、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。高分子の濃度が上記範囲にあると、塗布液が一定の粘性を有し成膜に有利となりうることから好ましい。
(溶媒)
本発明で用いられうる溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒等が挙げられる。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類;ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上を混合して用いてもよい。環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、水、または水とメタノール、エタノール、もしくは酢酸エチルとの混合溶媒を用いることが好ましく、水を用いることがより好ましい。
(架橋剤)
架橋剤は、高分子を硬化させる機能を有する。硬化によって、屈折率層に耐水性が付与されうる。
用いられうる架橋剤としては、高分子と硬化反応を起こすものであれば特に制限されない。例えば、高分子が未変性ポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールである場合には、ホウ酸およびその塩(ホウ素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩)、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、および八ホウ酸またはそれらの塩を用いることが好ましい。ホウ酸およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用してもよく、ホウ酸およびホウ砂の混合水溶液を用いることが特に好ましい。他にも公知の化合物を使用することができ、一般的には高分子と反応しうる基を有する化合物、または樹脂が有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、樹脂の種類に応じて適宜選択して用いられる。架橋剤の具体例としては、例えば、ジグリシジルエチルエ−テル、エチレングリコ−ルジグリシジルエーテル、1,4一ブタンジオ−ルジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロ−ルポリグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤;ホルムアルデヒド、グリオキザ−ル等のアルデヒド系架橋剤;2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−S−トリアジン等の活性ハロゲン系架橋剤;1.3.5−トリス−アクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等の活性ビニル系化合物;アルミニウム明礬等が挙げられる。
また、樹脂としてゼラチンを用いる場合は、架橋剤として、例えば、ビニルスルホン化合物、尿素−ホルマリン縮合物、メラニン−ホルマリン縮合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、活性オレフィン類、イソシアネート系化合物などの有機硬膜剤、クロム、アルミニウム、ジルコニウムなどの無機多価金属塩類などを用いるとよい。
塗布液中の架橋剤の濃度は、0.001〜20質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%であることがより好ましい。架橋剤が上記範囲にあると、塗布液が一定の曳糸性や粘性を有し成膜に有利となり、また、形成される屈折率層が好適な耐水性を有しうることから好ましい。
(金属酸化物粒子)
用いられうる金属酸化物粒子としては、特に制限されないが、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ケイ素(SiO2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンスズ(ATO)等が挙げられる。これらのうち、高屈折率層用塗布液には酸化チタン(TiO2)を、低屈折率層用塗布液には酸化ケイ素(SiO2)を、それぞれ用いることが好ましい。
前記酸化チタン(TiO2)としては、特に屈折率が高く、触媒活性が低いルチル型の酸化チタンを用いることが好ましい。なお、触媒活性が低いと、屈折率層や隣接する層で生じる副反応(光触媒反応)が抑制されて耐候性が高くなりうる。
また、前記酸化チタンは、pHが1.0〜3.0かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルの表面を疎水化して有機溶剤に分散可能な状態にしたものを用いることが好ましい。前記水系の酸化チタンゾルの調製方法としては、たとえば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等に記載された事項を参照することができる。
また、酸化チタン粒子のその他の製造方法については、たとえば、「酸化チタン−物性と応用技術」(清野学 p255〜258(2000年)技報堂出版株式会社)に記載の方法、またはWO2007/039953号明細書の段落「0011」〜「0023」に記載の工程(2)の方法を参考にすることができる。前記工程(2)による製造方法とは、二酸化チタン水和物をアルカリ金属の水酸化物およびアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の塩基性化合物で処理する工程(1)で得られた二酸化チタン分散物を、カルボン酸基含有化合物および無機酸で処理するものである。本発明では、工程(2)における無機酸によりpHが1.0〜3.0に調整された酸化チタンの水系ゾルを用いることができる。
前記酸化ケイ素(SiO2)としては、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらのうち、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることがより好ましく、水および/または有機溶媒に分散させたコロイダルシリカゾルを用いることがさらに好ましい。上記のコロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られうる。かようなコロイダルシリカは、例えば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、および国際公開第94/26530号パンフレット等に記載されている。また、コロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
上記金属酸化物粒子は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
金属酸化物粒子の平均粒径は、2〜100nmであることが好ましく、3〜50nmであることがより好ましく、4〜30nmであることがさらに好ましい。当該金属酸化物粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、屈折率層の固形分100質量%に対して、20〜70質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。金属酸化物粒子の含有量が20質量%以上であると、所望の屈折率が得られることから好ましい。また、金属酸化物粒子の含有量が70質量%以下であると、膜の柔軟性を得ることができ、製膜が容易となることから好ましい。
また、屈折率の異なる屈折率層(例えば、高屈折率層と低屈折率層)がいずれも金属酸化物粒子を含む場合には、アニオン化処理またはカチオン化処理を行い、金属酸化物粒子が同一のイオン性(電荷)を有することが好ましい。アニオン化処理またはカチオン化処理を行うことによって、2種の金属酸化物粒子との間に斥力が生じ、これによって、例えば、重層塗布して屈折率層を形成する際に層界面での凝集等が起こりにくくなりうる。
金属酸化物粒子のアニオン化処理として、例えば、酸化チタンのアニオン処理を例示すると、当該酸化チタン粒子は、含ケイ素の水和酸化物で被覆することによりアニオン化することができる。含ケイ素の水和化合物の被覆量は、通常、3〜30質量%であり、好ましくは3〜10質量%であり、より好ましくは3〜8質量%である。被覆量が30質量%以下であると高屈折率層の所望の屈折率化が得られることから好ましく、被覆量が3%以上であると粒子を安定に形成することができることから好ましい。
金属酸化物粒子のカチオン化処理は、例えば、カチオン性化合物を用いることにより行うことができる。前記カチオン性化合物の例としては、カチオン性ポリマー、多価金属塩等が挙げられるが、吸着力・透明性の観点から多価金属塩が好ましい。多価金属塩としては、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、銅、スカンジウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛等の金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、クロロ酢酸塩等が挙げられる。これらのうち、水溶性アルミニウム化合物、水溶性カルシウム化合物、水溶性マグネシウム化合物、水溶性亜鉛化合物、水溶性ジルコニウム化合物を用いることが好ましく、水溶性アルミニウム化合物、水溶性ジルコニウム化合物を用いることがより好ましい。前記水溶性アルミニウム化合物の具体例としては、ポリ塩化アルミニウム(塩基性塩化アルミニウム)、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム等が挙げられる。当該カチオン性化合物の被覆量は、金属酸化物粒子の形状や粒径等によって異なるが、金属酸化物粒子に対しては1質量%〜15質量%であることが好ましい。
(エマルジョン樹脂)
エマルジョン樹脂は、通常、塗布液に分散されたポリマーである。エマルジョン樹脂は、油溶性のモノマーを、高分子分散剤等を用いてエマルジョン重合して得られる。
用いられうる油溶性のモノマーは、特に制限されないが、エチレン、プロピレン、ブタジエン、酢酸ビニルおよびその部分加水分解物、ビニルエーテル、アクリル酸およびそのエステル類、メタクリル酸およびそのエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、メタクリルアミドおよびその誘導体、スチレン、ジビニルベンゼン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸、ビニルピロリドンなどが挙げられる。これらのうち、透明性と粒径の観点から、アクリル酸およびそのエステル類、酢酸ビニル系を用いることが好ましい。
アクリル酸および/またはそのエステル類、酢酸ビニル系エマルジョンとしては、市販されているものを用いてもよく、例えば、アクリットUW−309、UW−319SX、UW−520(大成ファインケミカル株式会社製)、およびモビニール(日本合成化学工業株式会社製)等が挙げられる。
また、用いられうる分散剤は、特に制限されないが、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、第4級アンモニウム塩のような低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンのような高分子分散剤が挙げられる。
上述したエマルジョンは、柔軟性を高める観点から、ガラス転移温度(Tg)が20℃以下であることが好ましく、−30〜10℃であることがより好ましい。
(その他の添加剤)
本発明に係る屈折率層に適用可能なその他の添加剤を、以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、および特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、アニオン、カチオン、またはノニオンの各種界面活性剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
[塗布液の調製]
塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、高分子、および必要に応じて架橋剤、金属酸化物粒子等の添加剤を溶媒に添加し、撹拌混合する方法が挙げられる。この際、各成分の添加順も特に制限されず、撹拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、撹拌しながら一度に添加し混合してもよい。
[基材]
本発明の光学フィルムに適用する基材としては、特に制限されることはなく、公知の樹脂フィルムを用いることができる。具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアリレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これらのうち、コストや入手の容易性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等を用いることが好ましい。
また、上記樹脂フィルムを用いた基材は、未延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよいが、PETやPENのような結晶性を有する樹脂フィルムの場合には、強度の向上、熱膨張抑制の観点から延伸後、熱固定化されるフィルムであることが好ましい。
上記樹脂フィルムを用いた基材は、従来公知の一般的な方法により製造することができる。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。また、前記未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、樹脂フィルムの流れ(縦軸)方向、および/または樹脂フィルムの流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸フィルムを製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍であることが好ましい。
本発明に係る基材の厚さは、5〜300μmであることが好ましく、15〜150μmであることがより好ましい。また、基材は、2枚以上を重ねたものであってもよく、この際、基材の種類は同じであっても、異なっていてもよい。
また、基材は、寸法安定性の観点から、弛緩処理およびオフライン熱処理を行ってもよい。弛緩処理は前記樹脂フィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、またはテンターを出た後の巻き取りまでの工程で行われることが好ましい。弛緩処理は処理温度が80〜200℃で行われることが好ましく、100〜180℃で行われることがより好ましい。また長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1〜10%に処理されることが好ましく、2〜6%に処理されることがより好ましい。弛緩処理された基材は、さらにオフライン熱処理を施すことにより耐熱性が向上し、より寸法安定性が向上しうる。
前記基材は、製膜過程で片面または両面に、下引層を設けることが好ましい。当該下引層は、インラインでまたは製膜後に形成されうる。下引層の形成方法としては、例えば、下引層塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥する方法が挙げられる。下引層塗布液は、通常、樹脂を含む。当該樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリスチレンブタジエン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール、およびゼラチン等が挙げられる。前記下引層塗布液には、さらに公知の添加剤を加えてもよい。下引層塗布液の塗布量は、乾燥状態で約0.01〜2g/m2となるように塗布することが好ましい。下引層塗布液の塗布方法としては、特に制限されないが、ロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の公知の方法が用いられうる。得られた塗膜は延伸させてもよく、通常、塗布液を塗布した後にテンター内で横延伸を行いながら80〜120℃で乾燥させることで、下引層が形成されうる。なお、下引層は、単層構造であっても、積層構造であってもよい。
本発明に係る基材は、さらに導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、粘着層、中間膜層等の公知の機能層を有していてもよい。
基材が、上述の下引層や機能層等の中間層を有する場合には、基材および中間層の総膜厚は、5〜500μmであることが好ましく、25〜250μmであることがより好ましい。
[塗布]
塗布装置において、上記基材に所定の温度、所定の速度で塗布液を塗布して塗膜を形成する。
塗布液の塗布方式としては、特に制限されず、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号明細書、米国特許第2,761,791号明細書に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
前記塗布方式がスライドビード塗布方式を用いた同時重層塗布である場合には、塗布液の粘度は1〜2000mPa・sであることが好ましく、1〜1000mPa・sであることがより好ましい。
塗布温度は、20〜60℃であることが好ましい。塗布温度が60℃以下であると、塗布液を高温に保つための設備が比較的簡素化でき、コストを抑えることができることから好ましい。一方、塗布温度が20℃以上であると、塗布液を冷却するための設備が不要となり、コストを抑えることができ、また、作業の安全性が向上しうることから好ましい。
塗布速度は、1m/min以上であることが好ましく、1〜500m/minであることがより好ましい。塗布速度が1m/min以上であると、高い生産性が得られることから好ましい。
[乾燥]
乾燥装置において、塗膜を乾燥させることにより、屈折率層が形成されうる。
乾燥の方法としては、特に制限されず、公知の方法で行われうる。乾燥方法の例としては、自然乾燥、加熱乾燥、熱風を当てる方法、冷風を当てる方法等が挙げられる。迅速に乾燥を行う観点から、加熱乾燥により乾燥を行うことが好ましい。この際、加熱温度としては、形成された塗膜の組成等によっても異なるが、15〜120℃であることが好ましく、20〜90℃であることがより好ましい。
[冷却]
光学フィルムの製造において、基材上に生成された塗膜を、乾燥前に一度冷却してもよい。冷却することにより、屈折率層の表面(積層されている場合には界面)がより均一となりうる。
塗布直後の塗膜は粘度が低いため、例えば、塗布直後の塗膜に熱風を当てて乾燥させる場合には、得られる屈折率層の表面は熱風によって膜厚のバラツキが生じうる。また、重層塗布を行った場合には、層間において塗膜成分が移動し、得られる屈折率層間の境界が光学性能に悪影響を与えるほど曖昧となりうる。しかし、得られた塗膜を一度冷却すると、塗膜の粘性が急激に上昇して塗膜が安定化しうる。その結果、熱風等の乾燥による膜厚のバラツキの発生、層間の塗膜成分の移動を抑制しうる。ただし、層間の塗布成分の移動によって、赤外遮蔽フィルムの性能が異なる場合もありうることから、冷却を行うか否かは、赤外遮蔽フィルムの所望の性能に応じて適宜決定されうる。
冷却を行う場合には、塗膜の冷却によって粘性が上昇しやすい高分子を塗布液の成分とすることが好ましい。上述のように、粘性は、塗布液中の高分子の分子間および分子内の末端基による結合、架橋剤における結合、分子どうしの絡み合い等によって生じうる。よって、工程(3)の効果をより有効に発揮するために、塗布液の成分として、官能基を多数有している高分子、分子量が大きい高分子を使用し、架橋剤を含むことが好ましい。
冷却温度は、用いる塗布液によっても異なるが、−20〜20℃であることが好ましく、−5〜10℃であることがより好ましい。
<用途>
上記で得られた赤外遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、赤外遮蔽効果を付与する赤外遮蔽フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。
特に、本発明に係る赤外遮蔽フィルムが直接または接着剤を介してガラスまたはガラス代替の樹脂などの基体に貼合されている部材には、赤外遮蔽フィルムは好適に適用されうる。
すなわち、本発明のさらに他の形態によれば、上記赤外遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けた、赤外遮蔽体をも提供する。
前記基体の具体的な例としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、金属板、セラミック等が挙げられる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれでもよく、これらを2種以上組み合わせて用いても良い。本発明で使用されうる基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。基体の厚さは特に制限されないが、通常0.1mm〜5cmである。
赤外遮蔽フィルムと基体とを貼り合わせる接着層または粘着層は、赤外遮蔽フィルムを日光(熱線)入射面側に設置することが好ましい。また、本発明に係る赤外遮蔽フィルムを、窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等の周囲のガスから封止でき耐久性に優れるため好ましい。本発明に係る赤外遮蔽フィルムを屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
本発明に適用可能な接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を用いてもよい。具体的には可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業社製、三菱モンサント社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、メルセンG)等である。なお、接着層には紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。
赤外遮蔽フィルムまたは赤外遮蔽体の断熱性能、日射熱遮蔽性能は、一般的にJIS R 3209(複層ガラス)、JIS R 3106(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)、JIS R 3107(板ガラス類の熱抵抗および建築における熱貫流率の算定方法)に準拠した方法により求めることができる。
日射透過率、日射反射率、放射率、可視光透過率の測定は、(1)波長(300〜2500nm)の分光測光器を用い、各種単板ガラスの分光透過率、分光反射率を測定する。また、波長5.5〜50μmの分光測定器を用いて放射率を測定する。なお、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、熱線吸収板ガラスの放射率は既定値を用いる。(2)日射透過率、日射反射率、日射吸収率、修正放射率の算出は、JIS R 3106に従い、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、垂直放射率を算出する。修正放射率に関しては、JIS R 3107に示されている係数を、垂直放射率に乗ずることにより求める。断熱性、日射熱遮蔽性の算出は、(1)厚さの測定値、修正放射率を用いJIS R 3209に従って複層ガラスの熱抵抗を算出する。ただし中空層が2mmを超える場合はJIS R 3107に従って中空層の気体熱コンダクタンスを求める。(2)断熱性は、複層ガラスの熱抵抗に熱伝達抵抗を加えて熱貫流抵抗で求める。(3)日射熱遮蔽性はJIS R 3106により日射熱取得率を求め、1から差し引いて算出する。
また、上記で得られた赤外遮蔽フィルムは薄膜化されたものであることから、ディスプレイパネルの表面に適用してもよい。例えば、プラズマディスプレイパネルでは、赤外遮蔽フィルムを高透明PETフィルムに貼り合わせて、ディスプレイ画面に導入することができる。これによって、プラズマディスプレイパネルから放射される赤外線を遮蔽し、人体の保護、電子機器相互の誤動作防止、およびリモコンの誤動作防止等に寄与しうる。
<用途>
上記で得られた赤外遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、赤外遮蔽効果を付与する赤外遮蔽フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。
特に、本発明に係る赤外遮蔽フィルムが直接または接着剤を介してガラスまたはガラス代替の樹脂などの基体に貼合されている部材には、赤外遮蔽フィルムは好適に適用されうる。
すなわち、本発明のさらに他の形態によれば、上記赤外遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けた、赤外遮蔽体をも提供する。
前記基体の具体的な例としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、金属板、セラミック等が挙げられる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれでもよく、これらを2種以上組み合わせて用いても良い。本発明で使用されうる基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。基体の厚さは特に制限されないが、通常0.1mm〜5cmである。
赤外遮蔽フィルムと基体とを貼り合わせる接着層または粘着層は、赤外遮蔽フィルムを日光(熱線)入射面側に設置することが好ましい。また、本発明に係る赤外遮蔽フィルムを、窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等の周囲のガスから封止でき耐久性に優れるため好ましい。本発明に係る赤外遮蔽フィルムを屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
本発明に適用可能な接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を用いてもよい。具体的には可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業社製、三菱モンサント社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、メルセンG)等である。なお、接着層には紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。
赤外遮蔽フィルムまたは赤外遮蔽体の断熱性能、日射熱遮蔽性能は、一般的にJIS R 3209(複層ガラス)、JIS R 3106(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)、JIS R 3107(板ガラス類の熱抵抗および建築における熱貫流率の算定方法)に準拠した方法により求めることができる。
日射透過率、日射反射率、放射率、可視光透過率の測定は、(1)波長(300〜2500nm)の分光測光器を用い、各種単板ガラスの分光透過率、分光反射率を測定する。また、波長5.5〜50μmの分光測定器を用いて放射率を測定する。なお、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、熱線吸収板ガラスの放射率は既定値を用いる。(2)日射透過率、日射反射率、日射吸収率、修正放射率の算出は、JIS R 3106に従い、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、垂直放射率を算出する。修正放射率に関しては、JIS R 3107に示されている係数を、垂直放射率に乗ずることにより求める。断熱性、日射熱遮蔽性の算出は、(1)厚さの測定値、修正放射率を用いJIS R 3209に従って複層ガラスの熱抵抗を算出する。ただし中空層が2mmを超える場合はJIS R 3107に従って中空層の気体熱コンダクタンスを求める。(2)断熱性は、複層ガラスの熱抵抗に熱伝達抵抗を加えて熱貫流抵抗で求める。(3)日射熱遮蔽性はJIS R 3106により日射熱取得率を求め、1から差し引いて算出する。
また、上記で得られた赤外遮蔽フィルムは薄膜化されたものであることから、ディスプレイパネルの表面に適用してもよい。例えば、プラズマディスプレイパネルでは、赤外遮蔽フィルムを高透明PETフィルムに貼り合わせて、ディスプレイ画面に導入することができる。これによって、プラズマディスプレイパネルから放射される赤外線を遮蔽し、人体の保護、電子機器相互の誤動作防止、およびリモコンの誤動作防止等に寄与しうる。
本出願は、2013年3月5日に出願された日本国特許出願第2013−043222号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。
1、2、3 光学フィルム製造システム、
101 調製釜、
102、105、109 送液装置、
103、108、113 濾過装置、
104 貯蔵釜、
106、111 分散装置、
107、112 脱泡装置、
110 流量計、
114 塗布装置、
115 セット装置、
116 乾燥装置、
117 測定装置、
118 制御装置、
R1 循環経路、
L1 供給経路。

Claims (5)

  1. 高分子を含有する塗布液を貯蔵する貯蔵釜と、
    前記塗布液を基材に塗布する塗布装置と、
    前記貯蔵釜に接続され、前記塗布液を前記塗布装置に順次導く供給経路と、
    前記貯蔵釜に、前記供給経路とは別に接続され、前記貯蔵釜に貯蔵された前記塗布液を順次前記貯蔵釜から流出し、再度前記貯蔵釜に戻す循環経路と、
    前記循環経路の途中に設けられ、前記貯蔵釜に貯蔵されている塗布液の流出、流出の停止を行う送液装置と、
    前記循環経路の途中で、前記送液装置の下流に設けられ、前記循環経路を通る前記塗布液を分散する分散装置と、
    前記循環経路の途中で、前記分散装置の下流に設けられ、前記塗布液から脱泡を行う脱泡装置と、
    前記循環経路の途中で、前記脱泡装置の下流に設けられ、前記塗布液を濾過する濾過装置と、
    を有する塗布液循環システム。
  2. 前記塗布液の物性を測定する測定装置をさらに有し、
    前記分散装置は、前記測定装置により測定された測定値に基づいて分散強度を異ならせる請求項1に記載の塗布液循環システム。
  3. 前記測定装置は、粘性に関する物性を測定し、
    前記分散装置は、前記測定値が所定の上限値よりも大きい場合は分散強度を大きくし、前記測定値が所定の下限値よりも小さい場合は分散強度を小さくする請求項2に記載の塗布液循環システム。
  4. 前記測定装置は、前記循環経路上、前記供給経路上および前記貯蔵釜内の少なくとも一箇所に設けられる請求項2または3に記載の塗布液循環システム。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の塗布液循環システムを用いて循環されている塗布液を基材上に塗布する工程と、
    前記基材上の塗布液を乾燥させる工程と、
    を有する光学フィルムの製造方法。
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