JP2014168765A - 光学フィルム製造システムおよび分散装置制御方法 - Google Patents

光学フィルム製造システムおよび分散装置制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】時間の経過等により変化しうる塗布液の物性を管理して、安定的に光学フィルムを生成するための光学フィルム製造システムを提供する。
【解決手段】光学フィルム製造システム1は、高分子を含有する塗布液を分散する分散装置107と、分散装置107により分散された塗布液を、搬送される基材300上に塗布する塗布装置110と、基材300上に塗布液が塗布されてできた光学フィルムの状態を検出する検出装置113と、検出装置113の検出結果に基づいて、光学フィルムにおける故障形状の発生の有無を判断し、故障形状がある場合、故障形状の特徴に基づいて、分散装置107による分散能力を制御する制御装置115と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学フィルム製造システムおよび分散装置制御方法に関する。
光学フィルムとは、光を透過または反射吸収しうるフィルムであり、屈折、複屈折、反射防止、視野角拡大、光拡散、および輝度向上等の光学機能を発揮しうる。
光学フィルムは、赤外遮蔽フィルム、反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、および電磁波シールドフィルム等として液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)、建物や車両の窓ガラス等に使用されている。
近年、光学フィルムに光学機能を提供する光学機能層には、ナノオーダーの薄膜化が求められている。光学機能層の薄膜化によって、たとえば赤外遮蔽フィルムの屈折率層であれば赤外光の遮蔽性能が向上するといった、種々の効果が得られる。さらに、光学機能層には高いレベルの膜厚均一性が求められている。膜厚を均一化することによって、色ムラ等のない高品質な光学フィルムが提供できる。
薄膜化された光学機能層を形成する方法として、高分子を含有した塗布液(以下、塗布液という)を透明な基材に塗布して乾燥させる技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2008−183882号公報
しかしながら、塗布液は、時間の経過により粘度等の物性が変わることがある。塗布液が調製された時点では塗布に適した物性であっても、基材に塗布するまでの間に不適切な物性に変化してしまうと、塗布液を基材に適切に塗布できず、光学フィルムに故障形状が発生してしまう。たとえば、粘度が不適切に大きくなると、塗布液中に気泡や凝集による異物(ダマ)ができ、また、基材上を塗布液が滑らかに流れず、光学フィルムへの異物の混入やムラの原因となる。また、粘度が不適切に小さくなると、塗布液が乾燥されるまでに光学フィルム上で塗布された際の形状を維持できず、光学フィルム上にムラやスジが発生する原因となる。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、時間の経過等により変化しうる塗布液の物性を管理して、安定的に光学フィルムを生成するための光学フィルム製造システムおよび分散装置制御方法を提供する。
上記目的は、下記の手段によって達成される。
(1)高分子を含有する塗布液を分散する分散装置と、前記分散装置により分散された前記塗布液を、搬送される基材上に塗布する塗布装置と、基材上に前記塗布液が塗布されてできた光学フィルムの状態を検出する検出装置と、前記検出装置の検出結果に基づいて、前記光学フィルムにおける故障形状の有無を判断し、前記故障形状がある場合、前記故障形状の特徴に基づいて、前記分散装置による分散能力を制御する制御装置と、を有する光学フィルム製造システム。
(2)前記故障形状の特徴は、前記故障形状の大きさである上記(1)に記載の光学フィルム製造システム。
(3)前記故障形状の特徴は、前記故障形状の種類であり、前記故障形状の種類は、光学フィルムにおける、線状部分、異物および白濁の少なくとも一つを含む上記(1)または(2)に記載の光学フィルム製造システム。
(4)前記制御装置は、前記故障形状の発生の種類に応じて、前記分散装置による分散能力を向上するか低減するかを決定する上記(3)に記載の光学フィルム製造システム。
(5)前記分散装置は、複数設けられ、前記塗布装置は、複数の層を有する光学フィルムを形成するために、複数の前記分散装置から供給された異なる塗布液を前記基材に同時に塗布する上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の光学フィルム製造システム。
(6)前記検出装置は、乾燥前および乾燥後の少なくとも一方の前記光学フィルムを検出する上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の光学フィルム製造システム。
(7)高分子を含有する塗布液を塗布する工程よりも上流に配置され、塗布前の前記塗布液を分散する分散装置を制御する分散装置制御方法であって、搬送される基材上に前記塗布液が塗布されてできた光学フィルムの状態を検出する検出ステップと、前記検出ステップにおける検出結果に基づいて、前記光学フィルムにおける故障形状の有無を判断し、前記故障形状がある場合、前記故障形状の特徴に基づいて、前記分散装置による分散能力を制御する制御ステップと、を有する分散装置制御方法。
(8)前記故障形状の特徴は、前記故障形状の大きさである上記(7)に記載の分散装置制御方法。
(9)前記故障形状の特徴は、前記故障形状の種類であり、前記故障形状の種類は、光学フィルムにおける、線状部分、異物および白濁の少なくとも一つを含む上記(7)または(8)に記載の分散装置制御方法。
(10)前記制御ステップにおいては、前記故障形状の発生の種類に応じて、前記分散装置による分散能力を向上するか低減するかを決定する上記(9)に記載の分散装置制御方法。
(11)前記検出ステップにおいて、乾燥前および乾燥後の少なくとも一方の前記光学フィルムが検出される上記(7)〜(10)のいずれか一つに記載の分散装置制御方法。
本発明の光学フィルム製造システムおよび分散装置制御方法によれば、光学フィルムに故障形状の発生がある場合に、故障形状の特徴に基づいて、分散装置による分散能力を制御する。したがって、故障形状の発生があれば、即座に高分子含有塗布液の物性を調整し、安定的に光学フィルムを生成できる。
第1実施形態に係る光学フィルム製造システムの概略構成図である。 同時重層塗布用スライド型コーターの概略構成を示す断面図である。 制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。 第2実施形態に係る光学フィルム製造システムの概略構成図である。 第3実施形態に係る光学フィルム製造システムの概略構成図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態の一例を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る光学フィルム製造システムの概略構成図、図2は塗布装置の概略構成を示す断面図である。
図1に示すように、光学フィルム製造システム1は、複数の装置を接続して構成されており、各装置により実現する複数の工程を通じて光学フィルムを製造する。図1に示す例では、光学フィルム製造システムは、大きく分けて、調製工程、供給工程、塗布工程および回収工程を実行する。
各工程に含まれる装置の構造や作用について説明する。
(調製工程)
光学フィルム製造システム1は、調製工程において、光学フィルムの光学機能層を形成する高分子含有塗布液を調製する。調製工程は、調製釜101、送液装置102および濾過装置103を含む。
調製釜101は、高分子含有塗布液を調製するための容器である。塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、高分子、および必要に応じて架橋剤、金属酸化物粒子等の添加剤を溶媒に添加し、撹拌混合する方法である。この際、各成分の添加順も特に制限されず、撹拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、撹拌しながら一度に添加し混合してもよい。これら塗布液の調整方法は、塗布液ごとに適宜決められる。調製釜101は、供給工程に含まれる貯蔵釜に塗布液を供給するために、貯蔵釜に接続されている。
送液装置102は、調製釜101から塗布液を流出する経路に設けられている。送液装置102は、たとえば、ポンプであり、調製された塗布液の流出、流出の停止を制御可能である。送液装置102は、塗布液を流出させる際には、塗布液の流量や速度の増減は適宜設定可能である。
濾過装置103は、調製釜101から塗布液を流出する経路に設けられている。濾過装置103は、塗布液に混ざった異物や、塗布液中に発生した気泡や凝集による異物を除去する。異物が除去された塗布液は、供給工程に送られる。
(供給工程)
光学フィルム製造システム1は、供給工程において、調製された高分子含有塗布液を塗布工程へ供給する。供給工程は、貯蔵釜104、送液装置105、流量計106、分散装置107、脱泡装置108および濾過装置109を含む。
貯蔵釜104は、連続的に塗布工程に塗布液を供給できるように、塗布液を貯蔵する。貯蔵釜104は、内部において塗布液を循環させるための攪拌装置を備えていることが好ましい。これにより、貯蔵釜104内の塗布液の物性を均一にできる。
送液装置105は、貯蔵釜104から塗布工程までの供給経路上に設けられている。送液装置105は、たとえば、ポンプであり、貯蔵釜104に貯蔵されている塗布液の流出、流出の停止を制御可能である。送液装置105は、塗布液を流出させる際には、塗布液の流量や速度の増減は適宜設定可能である。
流量計106は、供給経路を通過する塗布液の流量を計測する装置である。流量計106によって計測された塗布液の流量に応じて、送液装置105の流量が適切に制御されてもよい。流量計としては、たとえば、フラップ式、熱線式、カルマン渦式、または負圧感知方式等の流量計が使用される。流量計に加えて、または流量計の替わりに、供給経路内における塗布液の圧力を計測する圧力計が設けられてもよい。
分散装置107は、塗布液に分散処理、あるいは、せん断処理を施す。これにより、塗布液は、高分子の分子間および分子内の末端基による結合(ファンデルワールス結合等)が切断され、分子どうしの絡み合いが解消され、結果として、粘度が低減される。分散装置107は、塗布液を、分散、せん断できれば、構成は特に制限されず、市販のマイルダー、圧力式ホモジナイザー、高速回転せん断型ホモジナイザー等であってもよい。マイルダーの場合、分散装置107は、たとえば、固定歯と可動歯との間に塗布液を流し、固定歯と可動歯との速度勾配により生じるせん断力により、塗布液を分散処理あるいはせん断処理する。
脱泡装置108は、塗布液中に含まれる気泡や塗布液内に溶け込んでいる溶存空気を除去する。脱泡の原理はたとえば、遠心力により気泡と液体を分離して、気泡を真空引きにより排出するものが考えられる。ただし、脱泡できれば、脱泡装置108は、他のいかなる原理を利用する装置であってもよい。
濾過装置109は、塗布液に混ざった異物や、塗布液中に発生した気泡や凝集による異物を除去する。異物が除去された塗布液は、塗布工程に送られる。
なお、図1では、供給経路に、流量計106、分散装置107、脱泡装置108、濾過装置109の順に装置が並んでいる。しかし、これらの装置の順序は、適宜変更可能である。また、複数の上記装置の機能を統合した1つの装置が供給工程に提供されてもよい。たとえば、分散装置107および脱泡装置108の機能が統合した分散脱泡装置が供給工程に提供されてもよい。
(塗布工程)
光学フィルム製造システム1は、塗布工程において、基材に、塗布液を塗布し、高分子膜を生成する。塗布工程は、塗布装置110、セット装置111および乾燥装置112を含む。
塗布装置110は、基材に、塗布液を塗布する。塗布装置110は、基材に、塗布液を単層で塗布してもよく、また、複数の層で塗布してもよい。以下では、塗布装置110は、塗布液を複数層に重ねて、基材に塗布する場合、いわゆる重層塗布する場合について説明する。この場合、少なくとも隣り合って重ねられる塗布液は、異なる配分や材料によって調製されている。したがって、図1では、1つの調製釜101を示しているが、実際は、複数の調製釜が用意され、別個の調製工程および供給工程を経て、複数種類の塗布液が塗布装置110に供給される。
塗布装置110は、たとえば、図2に示すような構成を有する。図2に示す塗布装置110は、コーター200と、バックロール210とを有する。
コーター200は、複数のダイス202を有する。図2では、4つのダイス202が示され、4つのダイス202の間に3本のスリット204が形成されている。3本のスリット204は、それぞれ、別の調製工程を経た供給工程に接続されており、異なる塗布液が供給される。スリット204は、ダイス202のスライド面206から、塗布液を吐出する。スライド面206は、傾斜されており、重力に従って塗布液が流れる(スライドする)。これにより、図示されるように、塗布液が3層構造に形成されつつ、液溜まりとなり、いわゆるビード208を形成する。なお、スライド面206の傾斜角は、想定する塗布液の粘度にもよるが、水平面に対して30度以下であることが好ましい。
バックロール210は、回転しながら、基材300がコーター200の近傍を通過するように、基材300を一定速度により搬送する。搬送される基材300は、ビード208に接触し、ビード208から3層構造の塗布液が供給され、基材300上に3層の高分子膜(塗膜)302が生成される。
セット装置111は、基材300上に形成された高分子膜302を、一旦冷却する。塗布直後の高分子膜302は粘度が低いため、塗布直後に熱風を当てて乾燥させると、熱風によって一部で膜厚が変わり、全面に均等な屈折率等が得られないことが起こり得る。また、重層塗布を行った場合には、高分子膜を構成する高分子層間において成分が移動し、所望の光学性能に悪影響を与えるほど、層間の境界が曖昧となりうる。しかし、得られた高分子膜を一度冷却することで、熱風を当てても膜厚が変わらず、また、高分子層間の境界が所望の光学性能に悪影響を与えるほど曖昧にもならない。光学フィルム製造システム1においては、セット装置111が省略されてもよい。
乾燥装置112は、たとえば、熱風を基材300上の高分子膜302に与えて、高分子膜302を乾燥させてさらに安定化させる。
(回収工程)
光学フィルム製造システム1は、回収工程において、基材300上に高分子膜302が形成されてなる光学フィルムを回収する。回収工程は、検出装置113、回収装置114および制御装置115を含む。
検出装置113は、光学フィルムの状態を検出する。検出装置113は、たとえば、膜面の状態を画像として検出するカメラである。検出装置113は、搬送される光学フィルムの平面を撮影する。
回収装置114は、完成した光学フィルムを回収する。回収装置114はたとえば、巻取りロールであり、光学フィルムシートを巻き取って回収する。
制御装置115は、プログラムに従って演算するCPU、各種データやプログラムを記録するメモリやハードディスク等を有する。制御装置115は、検出装置113の検出結果に基づいて、光学フィルムにおける故障形状の有無を判断し、故障形状がある場合、故障形状の特徴に基づいて分散装置107による分散能力を制御する。ここで、故障形状の特徴とは、故障形状の種類であり、たとえば、光学フィルムにおける、線状部分、異物および白濁の少なくとも一つを含む。また、故障形状の特徴には、故障形状の幅や長さ等の大きさも含まれる。なお、本明細書では、光学フィルムにおいて不均一な部分を「故障形状」と称している。しかし、光学フィルムは、用途次第で求められる品質は異なり、故障形状があってもその程度によっては製品として出荷できる。したがって、故障形状は、製品に耐えない欠陥だけを示すものではない。
以下、故障形状別に、その発生メカニズムについて説明する。
[線状部分]
線状部分には、2種類ある。
1つ目として、光学フィルムの線状部分は、たとえば、塗布装置110に供給される塗布液の粘度が低すぎる場合に発生する。塗布液の粘度が低すぎると、基材300上に塗布されてセット装置111により冷却された後でも、高分子膜302の粘度が十分に高くなく、乾燥装置112からの風圧により、高分子膜302表面が押され、一部に高分子材料(塗布液)が偏ってしまう。高分子材料の偏りが、光学フィルムの線状部分として表れる。
コンピュータを用いた画像処理等を使えば線状部分を特定できる。そこで、制御装置115は、検出装置113の検出結果を常時参照し、線状部分の発生の有無を判断する。なお、高分子材料の偏りは、乾燥装置112の送風方向に影響を受けた形状となり、通常、基材300の搬送方向ときれいに平行にはならない。したがって、そのような形状の偏りを膜面の画像から抽出することで、粘度の低下に起因する線状部分の発生を区別できる。
粘度低下に起因する線状部分を検出すると、制御装置115は、分散能力を低減すべく、分散装置107を制御する。分散能力を低減させる割合は、線状部分の大きさに基づく。制御装置115は、分散能力と線状部分の大きさとの相関を予め実験やシミュレーションにより算出しておき、実際に発生した線状部分の大きさに合わせて分散能力を制御できる。一般的には、制御装置115は、粘度低下に起因する線状部分が大きい程、分散能力を低減する割合も大きくなるように、分散装置107を制御する。
その一方で、2つ目として、光学フィルムの線状部分は、塗布装置110に供給される塗布液の粘度が高すぎる場合にも発生しうる。塗布液の粘度が高すぎると、塗布液が基材300に対して均一に塗布されず、不均一な塗布が基材300の搬送に伴い連続することで、高分子材料が偏ってしまう。高分子材料の偏りが、光学フィルムの線状部分として表れる。高分子材料が偏るという点では、上記1つ目の粘度低下に起因する線状部分と類似している。しかし、2つ目の線状部分では、偏りは、基材300に塗布液を塗布する方向に沿った形状に形成される。したがって、そのような形状の偏りを膜面の画像から抽出することで、粘度の上昇に起因する線状部分の発生を区別できる。
粘度の上昇に起因する線状部分の発生を検出すると、制御装置115は、分散能力を向上すべく、分散装置107を制御する。分散能力と粘度の上昇に起因する線状部分の大きさとの相関を予め求めておき、制御装置115は、実際の線状部分の大きさに合わせて、分散能力を向上させる割合を調節できる。
[異物]
光学フィルム中の異物は、たとえば、塗布装置110に供給される塗布液の分散状態が不均一な場合に発生する。不均一な分散状態により局所的な濃度不均一ができ、凝集(ダマ)ができてしまう。塗布液を基材300上に塗布して、乾燥等した後でも、凝集が残り、光学フィルム中の異物として表れる。
コンピュータを用いた画像処理等を使えば凝集を確認できるも。そこで、制御装置115は、検出装置113の検出結果を常時参照し、異物の発生の有無を判断する。なお、異物がビード208に発生すると、基材300または塗布された塗布液と摩擦して、異物を核とする搬送方向と平行なスジが発生する場合もある。このように核があるスジが検出された場合も、異物の発生があると判断してもよい。
制御装置115は、異物の発生を検出すると、分散能力を向上すべく、分散装置107を制御する。分散能力と異物の大きさとの相関を予め求めておき、制御装置115は、実際の異物の大きさに合わせて、分散能力を向上させる割合を調節できる。
[白濁]
光学フィルムの白濁は、たとえば、塗布装置110に供給される塗布液の粘度が低すぎる場合に発生する。塗布液の粘度が低すぎると、基材300上に塗布されてセット装置111により冷却された後でも、高分子膜302の粘度が低く、重層塗布した高分子層間で成分が移動し、混ざってしまう。そして、高分子層間の屈折率差が得られず、層間の成分の混合(以下、成分混合という)が白濁として表れる。
コンピュータを用いた画像処理等を使えば成分混合を確認できる。そこで、制御装置115は、検出装置113の検出結果を常時参照し、白濁の発生の有無を判断する。
制御装置115は、白濁の発生を検出すると、粘度が低くなりつつあるので、分散能力を低減すべく、分散装置107を制御する。分散能力と白濁の大きさとの相関を予め求めておき、制御装置115は、実際の白濁の大きさに合わせて、分散能力を低減させる割合を調節できる。なお、白濁の大きさに代えて、あるいは白濁の大きさに加えて、白濁の濃度と、分散能力との相関を予め求めておき、分散能力の調整に適用してもよい。
次に、制御装置115の動作について、図面を参照して説明する。
図3は、制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。
制御装置115は、検出装置113から高分子膜302の膜面の画像を取得する(ステップS1)。制御装置115は、画像を解析し、高分子膜302に故障形状が発生しているかを判断する(ステップS2)。ここで、制御装置115は、上述の線状部分、異物、白濁の少なくとも一つが発生している場合、故障形状の発生が有ると判断する。
故障形状が発生していない場合(ステップS2:NO)、制御装置115は、ステップS6の処理に進む。
故障形状が発生している場合(ステップS2:YES)、制御装置115は、故障形状の特徴として、故障形状の種類を特定する(ステップS3)。たとえば、画像解析の結果、基材300の搬送方向ときれいに平行ではない偏りが、当該偏りの許容範囲内で表れている場合、制御装置115は、故障形状が粘度低減に起因する線状部分であると判断する。また、たとえば、画像解析の結果、基材300の搬送方向と平行な偏りが、当該偏りの許容範囲内で表れている場合、制御装置115は、故障形状が粘度上昇に起因する線状部であると判断する。他の故障形状の種類についても、上記の故障形状の発生メカニズムに照らして特定できる。
続けて、制御装置115は、故障形状の特徴として、故障形状の大きさを特定する(ステップS4)。たとえば、ステップS3において故障形状の種類が異物である場合、制御部115は、画像解析の結果から、異物の長さや幅を特定する。
続けて、制御装置115は、特定した故障形状の種類および大きさに従って、分散装置107を制御する(ステップS6)。たとえば、粘度低減に起因する線状部分や白濁の発生がある場合、制御装置115は、粘度を上昇すべく、分散装置107の分散能力を低減する。分散能力の低減の割合は、故障形状の大きさによって決定できる。分散能力を低減するには、たとえば、制御装置115は、分散装置107の可動歯の回転速度を低める。あるいは、粘度上昇に起因する線状部分や異物の発生がある場合、制御装置115は、粘度を低減すべく、分散装置107の分散能力を向上する。分散能力の向上の割合は、故障形状の大きさによって決定できる。分散能力を向上するには、たとえば、制御装置115は、分散装置107の可動歯の回転速度を高める。
以上のように、第1実施形態の光学フィルム製造システム1によれば、光学フィルムに故障形状の発生がある場合に、分散装置107による分散能力を制御する。したがって、故障形状の発生を検出すると、即座に塗布液の物性である粘性を調整でき、故障形状を改善あるいは解消できる。結果として、安定的に光学フィルムを生成できる。
特に、光学フィルム製造システム1は、故障形状の特徴として故障形状の大きさを特定し、特定した故障形状の大きさに応じて、分散装置107による分散能力を制御する。したがって、効果的に分散能力を制御できる。
また、光学フィルム製造システム1は、塗布装置110に複数のダイス202を有するコーター200を用いている。したがって、複数層の高分子膜302を有する光学フィルムを生成できる。
また、光学フィルム製造システム1の制御装置115は、故障形状の種類を判別し、粘度が高くなって発生する故障形状であれば、分散装置の分散能力を高くする。逆に、粘度が低くなって発生する故障形状であば、分散装置の分散能力を低くする。すなわち、故障形状の種類によって、分散能力の向上させるか低減させるかを決定するので、故障形状の発生を助長せずに、故障形状の発生の発生を抑制または解消できる。
なお、上記第1実施形態では、塗布装置110が複数のダイス202を有するコーター200を用いて、複数層の高分子膜302を同時に生成する場合について説明した。しかし、塗布装置110は、単層の高分子膜を生成するコーターを備えてもよい。この場合、上記の白濁は発生しない。そのため、制御装置115は、線状部分および異物の発生を監視する。
また、上記実施形態では、故障形状の特徴として、故障形状のいくつかの種類を例示した。しかし、本発明はこれらの故障形状のみを対象とするものではない。本発明は、塗布液の物性の変化により光学フィルムに発生するいかなる故障形状であっても、発生を防止する対象とし、故障形状の特徴を判断して、分散装置等にフィードバックし、故障形状の発生を抑制ないし解消できる。
また、上記実施形態では、検出装置113は、膜面の画像を撮影して、膜面の状態を検出している。しかし、検出装置113はこれに限定されない。たとえば、検出装置113は、膜面を挟んで配置される投光部と受光部とを有し、高分子膜および基材を透過する光の透過度によって、膜面の状態を検出してもよい。
(第2実施形態)
第1実施形態では、乾燥装置112による乾燥後に、検出装置113により、光学フィルムの膜面の状態を検出している。一方、第2実施形態では、塗布装置110による塗布の直後にも、検出装置により膜面の状態を検出する点で異なる。
図4は、第2実施形態に係る光学フィルム製造システム2の概略構成図である。図4においては、第1実施形態と同様の構成には同じ参照番号を付している。第1実施形態と同様の構成については、説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
光学フィルム製造システム2は、塗布装置110によって基材300に塗布液が塗布された直後に、塗布液から生成された高分子膜の膜面の状態を検出する検出装置401を有する。さらに、光学フィルム製造システム2は、検出装置401により検出された検出結果を解析し、解析結果に基づいて、分散装置107を制御する制御装置402を有する。
検出装置401によって検出する膜面は、塗布装置110によって塗布した直後のものであり、セット装置111や乾燥装置112からの温風や冷風の風圧の影響を受けていない。したがって、この段階では、膜面は、温風や冷風が一因となって発生する故障形状は表れない。一方で、セット装置111や乾燥装置112の作用とは関係のない理由で発生する故障形状は、表れうる。たとえば、塗布液中に凝集ができた場合、膜面には、異物が表れる。また、塗布液が均一に塗布されない場合、基材300の搬送方向に平行なスジとして、線状部分が表れる。
制御装置402は、検出装置401による膜面状態の検出結果を解析して、セット装置111や乾燥装置112による処理より前に表れる故障形状を判断する。判断方法は第1実施形態と同様である。加えて、制御装置402は、故障形状の特徴として、故障形状の種類および大きさを特定する。
制御装置402は、塗布液の粘度が高いことに起因する故障形状の発生を判別すると、故障形状の大きさにしたがって、分散装置107の分散能力を向上する。一方、塗布液の粘度が低いことに起因する故障形状の発生を判別すると、故障形状の大きさにしたがって、分散装置107の分散能力を低減する。
第2実施形態の光学フィルム製造システム2は、第1実施形態の光学フィルム製造システム1が達成する効果に加えて、以下の効果を奏する。
第2実施形態では、セット装置111および乾燥装置112の処理後だけでなく、処理前についても膜面を検出し、故障形状の発生を判断する。セット装置111および乾燥装置112の処理前では、発生しうる故障形状の種類が限定されるので、より確実に故障形状の発生を検出できる。
なお、図3に示す光学フィルム製造システム2では、2つの制御装置115および202を設けている。しかし、2つの制御装置115および202を統合してもよい。
また、光学フィルム製造システム2において、セット装置111および乾燥装置112の処理後の膜面を検出する検出装置113を省略してもよい。製造する光学フィルムを構成する材料によっては、セット装置111および乾燥装置112の処理前(乾燥前)の膜面の状態を検出すれば十分な場合もある。
(第3実施形態)
第3実施形態では、第2実施形態の構成に加えて、調製工程にも分散装置を配置し、乾燥前後の膜面の検出結果に基づいて、調製工程の分散装置も制御する。
図5は、第3実施形態に係る光学フィルム製造システム3の概略構成を示す図である。図5においては、第1実施形態および第2実施形態と同様の構成には同じ参照番号を付している。第1実施形態および第2実施形態と同様の構成については、説明を省略し、第1実施形態および第2実施形態と異なる構成について説明する。
図5に示すように、光学フィルム製造システム3では、調製工程において、分散装置501が設けられている。さらに、分散装置501を制御する制御装置502および制御装置503が設けられている。
分散装置501は、分散装置107と同様の原理により塗布液を分散する。ただし、分散装置501の分散能力は、分散装置107と同一である必要はない。
制御装置502は、検出装置401の検出結果に基づいて、分散装置501を制御する。制御装置503は、検出装置113の検出結果に基づいて、分散装置501を制御する。
制御装置502および制御装置503の制御の方針は、制御装置402および制御装置115と同様である。ただし、制御装置502および制御装置503が制御する分散装置501は、分散装置107よりも上流の工程に配置されているので、分散装置107よりも制御する程度を異ならせてもよい。たとえば、膜面の検出結果に基づいて分散装置107が分散能力を向上するように制御される場合、分散装置501が分散装置107よりも低い割合で分散能力を向上するように制御される。分散能力を低減する場合も同様である。
あるいは、分散装置107および分散装置501の合計の分散効率を考慮して、分散装置107および分散装置501が制御されてもよい。
第3実施形態の光学フィルム製造システム3は、第1実施形態および第2実施形態の光学フィルム製造システム1、2が達成する効果に加えて、以下の効果を奏する。
第3実施形態では、調製工程においても分散装置501が配置され、分散能力が制御される。したがって、より精密に塗布液の物性を制御できる。
なお、第3実施形態における4つの制御装置115、402、502、503を1つの制御装置に統合してもよい。
以上、第1実施形態〜第3実施形態において、光学フィルム製造システムのバリエーションを説明してきた。しかし、上記実施形態は一例であり、様々な改変が可能である。たとえば、分散装置を上記実施形態1〜3とは異なる位置に配置してもよい。また、各装置は、図示される順番ではなく、別の順番に配置されて処理を実行してもよい。
(材料等)
次に、第1実施形態〜第3実施形態において、製造される光学フィルム、光学フィルムの製造に用いる材料、光学フィルムの製造工程等について詳細に説明する。
<光学フィルム>
本形態に係る製造方法で製造される光学フィルムは、基材上に、膜厚が1〜1000nmである光学機能層が少なくとも1層形成されてなる。 光学フィルムは、光学機能層の組成、構成等によって発揮する機能が異なる。したがって、本発明に係る技術的思想は、適宜公知の事項を参酌することによって、種々の光学フィルム、例えば、赤外遮蔽フィルム、反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、および電磁波シールドフィルム等に用いることができる。以下の説明では、屈折率の異なる屈折率層(高分子膜)が積層されてなる赤外遮蔽フィルムについて説明するが、本発明を限定するものではない。なお、赤外遮蔽フィルムは光学フィルムに該当し、屈折率層は光学機能層に該当する。
一般に、赤外遮蔽フィルムにおいては、隣接する屈折率層間の屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外反射率を高くすることができるという観点から好ましい。本形態では、隣接する屈折率層間の屈折率差の少なくとも1つが0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.4以上であることが特に好ましい。また、前記積層された屈折率層間のすべての屈折率差が上記好適な範囲内にあることが好ましい。ただし、この場合でも、反射層を構成する屈折率層のうち、最表層や最下層に関しては、上記好適な範囲外の構成であってもよい。
特定波長領域の反射率は、隣接する2層の屈折率差と積層数で決まり、屈折率の差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率を得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、赤外反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、100層以上の積層が必要となる。このような場合、生産性の低下、積層界面における散乱の増大、透明性の低下、および製造時の故障が生じうる。
さらには、本形態の赤外遮蔽フィルムの光学特性として、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上であることが好ましく、また、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
赤外遮蔽フィルムは、屈折率層が積層された構成を有することにより、基材の側から、または積層された屈折率層の側から赤外光を照射した場合に、少なくとも赤外光の一部を遮蔽して赤外遮蔽効果を発揮することができる。
一実施形態において、前記積層された屈折率層は、高屈折率層および低屈折率層が交互に積層されてなる。積層された高屈折率層および低屈折率層は、それぞれ同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。屈折率層が高屈折率層であるか低屈折率層であるかは、隣接する屈折率層との屈折率の対比によって判断される。具体的には、ある屈折率層を基準層としたとき、当該基準層に隣接する屈折率層が基準層より屈折率が低ければ、基準層は高屈折率層である(隣接層は低屈折率層である)と判断される。一方、基準層より隣接層の屈折率が高ければ、基準層は低屈折率層である(隣接層は高屈折率層である)と判断される。
上述のように、高屈折率層であるか低屈折率層であるかは隣接する屈折率層との関係で定まる相対的なものであるが、高屈折率層の屈折率(nH)は1.60〜2.50であることが好ましく、1.70〜2.50であることがより好ましく、1.80〜2.20であることがさらに好ましく、1.90〜2.20であることが特に好ましい。一方、低屈折率層の屈折率(nL)は、1.10〜1.60であることが好ましく、1.30〜1.55であることがより好ましく、1.30〜1.50であることがさらに好ましい。なお、各屈折率層の屈折率の値は、以下のように測定した値を採用するものとする。具体的には、支持体上に測定対象となる屈折率層を単層で塗布して得られた塗膜を10cm×10cmに断裁してサンプルを作製する。当該サンプルは、裏面での光の反射を防止するため、測定面とは反対側の面(裏面)を粗面化処理し、黒色スプレーで光吸収処理を行う。このように作製したサンプルを、分光光度計U−4000型(株式会社日立製作所製)を用いて、5度正反射の条件にて可視領域(400nm〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その測定結果より平均屈折率を求める。
屈折率層の総層数の範囲としては、生産性の観点から、好ましくは200層以下であり、より好ましくは100層以下であり、さらに好ましくは50層以下である。
屈折率層の1層あたりの厚さは、1〜1000nmであり、好ましくは20〜800nmであり、より好ましくは50〜350nmである。
<高分子含有塗布液>
赤外遮蔽フィルムの製造においては、通常、塗布液として、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の少なくとも2種の塗布液を調製する。
[塗布液の組成]
塗布液は、高分子を含む。さらに、必要に応じて溶媒、架橋剤、金属酸化物粒子、エマルジョン樹脂、その他の添加剤を含んでいてもよい。
(高分子)
用いられうる高分子としては、特に制限されないが、水溶性高分子が挙げられる。水溶性高分子としては、特に制限されないが、反応性官能基を有するポリマー、変性ポリビニルアルコール、ゼラチン、および増粘多糖類等が挙げられる。なお、本明細書において、「水溶性高分子」とは、水溶性高分子が最も溶解する温度で0.5質量%の濃度となるように水に溶解させた場合において、G2グラスフィルタ(最大細孔40〜50μm)でろ過した際にろ別される不溶物の質量が、加えた水溶性高分子の50質量%以内であるものを意味する。
反応性官能基を有するポリマー
本発明で用いられる反応性官能基を有するポリマーとしては、例えば、未変性ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、もしくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、もしくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体およびそれらの塩が挙げられる。これらの中でも、未変性ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、およびこれらの共重合体を用いることが好ましい。
なお、上記反応性官能基を有するポリマーが共重合体である場合の共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。
変性ポリビニルアルコール
本発明において用いられる変性ポリビニルアルコールは、未変性ポリビニルアルコールに任意の変性処理の1または2以上を施したものである。例えば、アミン変性ポリビニルアルコール、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボン酸変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、チオール変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコールは、市販品を使用してもよく、あるいは当該分野で公知の方法で製造したものを使用してもよい。
また、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも用いてもよい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような第1級〜第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールが挙げられ、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および同63−307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、および特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
そして、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
上述の変性ポリビニルアルコールのうち、(1)平均重合度200以上2400以下の未変性ポリビニルアルコールと、(2)不飽和カルボン酸並びにその塩およびエステルからなる群から選択される1種または2種以上の重合性ビニル単量体とを共重合させて得られる共重合体(グラフト共重合体)を用いることが好ましい。
なお、変性ポリビニルアルコールが上記グラフト共重合体である場合において、当該グラフト共重合体を構成する(1)平均重合度200以上2400以下の未変性ポリビニルアルコールとして、上述した各種の変性ポリビニルアルコールを用いてもよい。
変性ポリビニルアルコールの原料となる未変性ポリビニルアルコールとしては、平均重合度が約200〜2400、好ましくは平均重合度約900〜2400、より好ましくは平均重合度約1300〜1700である。また、未変性ポリビニルアルコールのケン化度は、好ましくは約60〜100モル%、より好ましくは78〜96モル%である。このようなケン化ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルをラジカル重合し、得られたポリ酢酸ビニルを適宜、ケン化することによって製造することができ、所望の未変性ポリビニルアルコールを製造するためには、適宜、重合度、ケン化度をそれ自体公知の方法で制御することによって達成される。
なお、こうした部分ケン化ポリビニルアルコールとしては、市販品を使用することも可能であり、好ましい未変性ポリビニルアルコールの市販品としては、例えばゴーセノールEG05、EG25(日本合成化学工業株式会社製)、PVA203(株式会社クラレ製)、PVA204(株式会社クラレ製)、PVA205(株式会社クラレ製)、JP−04(日本酢ビ・ポバール株式会社製)、JP−05(日本酢ビ・ポバール株式会社製)等が挙げられる。なお、変性ポリビニルアルコールの原料として1種のみの未変性ポリビニルアルコールを単独で使用するのみならず、重合度、ケン化度の異なる2種以上の未変性ポリビニルアルコールを目的に応じて適宜併用することができる。例えば、平均重合度300の未変性ポリビニルアルコールと平均重合度1500の未変性ポリビニルアルコールとを混合して使用することが可能である。
原料の未変性(変性)ポリビニルアルコールと重合させる重合性ビニル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類またはそれらの塩(例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルキルアミン塩)、それらのエステル類(例えば置換または非置換のアルキルエステル、環状アルキルエステル、ポリアルキレングリコールエステル)、不飽和ニトリル類、不飽和アミド類、芳香族ビニル類、脂肪族ビニル類、不飽和結合含有複素環類等が挙げられる。具体的には、(a)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート(ポリエチレングリコールとアクリル酸とのエステル)、ポリプロピレングリコールアクリレート(ポリプロピレングリコールとアクリル酸とのエステル)などが、(b)メタクリル酸エステル類としては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート(ポリエチレングリコールとメタクリル酸とのエステル)などが、(c)不飽和ニトリル類としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが、(d)不飽和アミド類としては例えばアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミドなどが、(e)芳香族ビニル類としてはスチレン、α−メチルスチレンなどが、(f)脂肪族ビニル類としては、酢酸ビニルなどが、(g)不飽和結合含有複素環類としては、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリンなどが例示される。
上述の変性ポリビニルアルコールは、未変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体をそれ自体公知の方法で変性処理することにより製造することができる。
特に、変性ポリビニルアルコールとしての上記グラフト共重合体を製造する方法としては、ラジカル重合、例えば溶液重合、懸濁重合、乳化重合および塊状重合などのそれ自体公知の方法を挙げることができ、各々の通常の重合条件下で実施することができる。この重合反応は、通常、重合開始剤の存在下、必要に応じて還元剤(例えば、エリソルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸)、連鎖移動剤(例えば2−メルカプトエタノール、α−メチルスチレンダイマー、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ラウリルメルカプタン)あるいは分散剤(例えばソルビタンエステル、ラウリルアルコールなどの界面活性剤)等の存在下、水、有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、セロソルブ、カルビトール)あるいはそれらの混合物中で実施される。また、未反応の単量体の除去方法、乾燥、粉砕方法等も公知の方法でよく、特に制限はない。
ゼラチン
本発明で用いられるゼラチンとしては、従来、ハロゲン化銀写真感光材料分野で広く用いられてきた各種ゼラチンを挙げることができる。例えば、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンの他に、ゼラチンの製造過程で酵素処理をする酵素処理ゼラチンおよびゼラチン誘導体、すなわち分子中に官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシ基、またはカルボキシ基を有し、それと反応して得る基を持った試薬で処理し改質したものでもよい。ゼラチンの一般的製造法に関しては良く知られており、例えば、T.H.James:The Theory of Photographic Process 4th.ed.1977(Macmillan)55頁、科学写真便覧(上)72〜75頁(丸善株式会社)、写真工学の基礎−銀塩写真編 119〜124頁(コロナ社)等の記載を参考にすることができる。また、リサーチ・ディスクロージャー誌第176巻、No.17643(1978年12月)のIXページに記載されているゼラチンを挙げることができる。
増粘多糖類
本発明で用いられる増粘多糖類としては、特に制限はなく、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類および合成複合多糖類などを挙げることができる。これら増粘多糖類の詳細については、「生化学辞典(第2版)」(東京化学同人)、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
前記増粘多糖類とは、糖類の重合体で、分子内に水素結合基を多数有するものであり、温度による分子間の水素結合力の違いにより、低温時の粘度と高温時の粘度との差が大きいという特性を備えた多糖類であり、さらに金属酸化物粒子や多価金属化合物を添加すると、低温時に金属酸化物粒子または多価金属化合物との反応により金属酸化物粒子または多価金属化合物との水素結合またはイオン結合を形成して、粘度上昇またはゲル化を引き起こすものである。粘度の上昇幅は、金属酸化物粒子または多価金属化合物の添加前の15℃における粘度と比較して、15℃の粘度で、1.0mPa・s以上であることが好ましい。粘度上昇幅は、より好ましくは5.0mPa・s以上であり、さらに好ましくは10.0mPa・s以上である。なお、本明細書において、粘度は、ブルックフィールド粘度計により測定した値を採用するものとする。
本発明に適用可能な増粘多糖類のさらに具体的な例としては、例えば、ペクチン、ガラクタン(例えば、アガロース、アガロペクチン等)、ガラクトマンノグリカン(例えば、ローカストビーンガム、グアラン等)、キシログルカン(例えば、タマリンドガム、タマリンドシードガム等)、グルコマンノグリカン(例えば、蒟蒻マンナン、木材由来グルコマンナン、キサンタンガム等)、ガラクトグルコマンノグリカン(例えば、針葉樹材由来グリカン)、アラビノガラクトグリカン(例えば、大豆由来グリカン、微生物由来グリカン等)、グルコラムノグリカン(例えば、ゲランガム等)、グリコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸等)、アルギン酸およびアルギン酸塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレラン等の紅藻類に由来する天然高分子多糖類、カルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類が挙げられる。塗布液中に共存しうる金属酸化物粒子の分散安定性を低下させないという観点から、その構成単位がカルボン酸基やスルホン酸基を有しないものが好ましい。その様な多糖類としては、例えば、L−アラビトース、D−リボース、2−デオキシリボース、D−キシロースなどのペントース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−ガラクトースなどのヘキソースのみからなる多糖類であることが好ましい。具体的には、主鎖がグルコースであり、側鎖もグルコースであるキシログルカンとして知られるタマリンドシードガムや、主鎖がマンノースで側鎖がグルコースであるガラクトマンナンとして知られるグアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、タラガムや、主鎖がガラクトースで側鎖がアラビノースであるアラビノガラクタンを好ましく使用することができる。
上述の高分子は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、高分子の質量平均分子量は1000以上であることが好ましく、5000〜1000000であることがより好ましく、10000〜100000であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、質量平均分子量とは、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxLまたはTSKgel G2000HxL(東ソー株式会社製)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトフラフィ(GPC)分析装置(溶媒:テトラヒドロフラン(THF))により、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量を意味する。
塗布液中の高分子の濃度は、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。高分子の濃度が上記範囲にあると、塗布液が一定の粘性を有し成膜に有利となりうることから好ましい。
(溶媒)
本発明で用いられうる溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒等が挙げられる。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類;ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上を混合して用いてもよい。環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、水、または水とメタノール、エタノール、もしくは酢酸エチルとの混合溶媒を用いることが好ましく、水を用いることがより好ましい。
(架橋剤)
架橋剤は、高分子を硬化させる機能を有する。硬化によって、屈折率層に耐水性が付与されうる。
用いられうる架橋剤としては、高分子と硬化反応を起こすものであれば特に制限されない。例えば、高分子が未変性ポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールである場合には、ホウ酸およびその塩(ホウ素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩)、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、および八ホウ酸またはそれらの塩を用いることが好ましい。ホウ酸およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用してもよく、ホウ酸およびホウ砂の混合水溶液を用いることが特に好ましい。他にも公知の化合物を使用することができ、一般的には高分子と反応しうる基を有する化合物、または樹脂が有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、樹脂の種類に応じて適宜選択して用いられる。架橋剤の具体例としては、例えば、ジグリシジルエチルエ−テル、エチレングリコ−ルジグリシジルエーテル、1,4一ブタンジオ−ルジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロ−ルポリグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤;ホルムアルデヒド、グリオキザ−ル等のアルデヒド系架橋剤;2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−S−トリアジン等の活性ハロゲン系架橋剤;1.3.5−トリス−アクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等の活性ビニル系化合物;アルミニウム明礬等が挙げられる。
また、樹脂としてゼラチンを用いる場合は、架橋剤として、例えば、ビニルスルホン化合物、尿素−ホルマリン縮合物、メラニン−ホルマリン縮合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、活性オレフィン類、イソシアネート系化合物などの有機硬膜剤、クロム、アルミニウム、ジルコニウムなどの無機多価金属塩類などを用いるとよい。
塗布液中の架橋剤の濃度は、0.001〜20質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%であることがより好ましい。架橋剤が上記範囲にあると、塗布液が一定の曳糸性や粘性を有し成膜に有利となり、また、形成される屈折率層が好適な耐水性を有しうることから好ましい。
(金属酸化物粒子)
用いられうる金属酸化物粒子としては、特に制限されないが、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ケイ素(SiO2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンスズ(ATO)等が挙げられる。これらのうち、高屈折率層用塗布液には酸化チタン(TiO2)を、低屈折率層用塗布液には酸化ケイ素(SiO2)を、それぞれ用いることが好ましい。
前記酸化チタン(TiO2)としては、特に屈折率が高く、触媒活性が低いルチル型の酸化チタンを用いることが好ましい。なお、触媒活性が低いと、屈折率層や隣接する層で生じる副反応(光触媒反応)が抑制されて耐候性が高くなりうる。
また、前記酸化チタンは、pHが1.0〜3.0かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルの表面を疎水化して有機溶剤に分散可能な状態にしたものを用いることが好ましい。前記水系の酸化チタンゾルの調製方法としては、たとえば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等に記載された事項を参照することができる。
また、酸化チタン粒子のその他の製造方法については、たとえば、「酸化チタン−物性と応用技術」(清野学 p255〜258(2000年)技報堂出版株式会社)に記載の方法、またはWO2007/039953号明細書の段落「0011」〜「0023」に記載の工程(2)の方法を参考にすることができる。前記工程(2)による製造方法とは、二酸化チタン水和物をアルカリ金属の水酸化物およびアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の塩基性化合物で処理する工程(1)で得られた二酸化チタン分散物を、カルボン酸基含有化合物および無機酸で処理するものである。本発明では、工程(2)における無機酸によりpHが1.0〜3.0に調整された酸化チタンの水系ゾルを用いることができる。
前記酸化ケイ素(SiO2)としては、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらのうち、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることがより好ましく、水および/または有機溶媒に分散させたコロイダルシリカゾルを用いることがさらに好ましい。上記のコロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られうる。かようなコロイダルシリカは、例えば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、および国際公開第94/26530号パンフレット等に記載されている。また、コロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
上記金属酸化物粒子は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
金属酸化物粒子の平均粒径は、2〜100nmであることが好ましく、3〜50nmであることがより好ましく、4〜30nmであることがさらに好ましい。当該金属酸化物粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、屈折率層の固形分100質量%に対して、20〜70質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。金属酸化物粒子の含有量が20質量%以上であると、所望の屈折率が得られることから好ましい。また、金属酸化物粒子の含有量が70質量%以下であると、膜の柔軟性を得ることができ、製膜が容易となることから好ましい。
また、屈折率の異なる屈折率層(例えば、高屈折率層と低屈折率層)がいずれも金属酸化物粒子を含む場合には、アニオン化処理またはカチオン化処理を行い、金属酸化物粒子が同一のイオン性(電荷)を有することが好ましい。アニオン化処理またはカチオン化処理を行うことによって、2種の金属酸化物粒子との間に斥力が生じ、これによって、例えば、重層塗布して屈折率層を形成する際に層界面での凝集等が起こりにくくなりうる。
金属酸化物粒子のアニオン化処理として、例えば、酸化チタンのアニオン処理を例示すると、当該酸化チタン粒子は、含ケイ素の水和酸化物で被覆することによりアニオン化することができる。含ケイ素の水和化合物の被覆量は、通常、3〜30質量%であり、好ましくは3〜10質量%であり、より好ましくは3〜8質量%である。被覆量が30質量%以下であると高屈折率層の所望の屈折率化が得られることから好ましく、被覆量が3%以上であると粒子を安定に形成することができることから好ましい。
金属酸化物粒子のカチオン化処理は、例えば、カチオン性化合物を用いることにより行うことができる。前記カチオン性化合物の例としては、カチオン性ポリマー、多価金属塩等が挙げられるが、吸着力・透明性の観点から多価金属塩が好ましい。多価金属塩としては、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、銅、スカンジウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛等の金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、クロロ酢酸塩等が挙げられる。これらのうち、水溶性アルミニウム化合物、水溶性カルシウム化合物、水溶性マグネシウム化合物、水溶性亜鉛化合物、水溶性ジルコニウム化合物を用いることが好ましく、水溶性アルミニウム化合物、水溶性ジルコニウム化合物を用いることがより好ましい。前記水溶性アルミニウム化合物の具体例としては、ポリ塩化アルミニウム(塩基性塩化アルミニウム)、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム等が挙げられる。当該カチオン性化合物の被覆量は、金属酸化物粒子の形状や粒径等によって異なるが、金属酸化物粒子に対しては1質量%〜15質量%であることが好ましい。
(エマルジョン樹脂)
エマルジョン樹脂は、通常、塗布液に分散されたポリマーである。エマルジョン樹脂は、油溶性のモノマーを、高分子分散剤等を用いてエマルジョン重合して得られる。
用いられうる油溶性のモノマーは、特に制限されないが、エチレン、プロピレン、ブタジエン、酢酸ビニルおよびその部分加水分解物、ビニルエーテル、アクリル酸およびそのエステル類、メタクリル酸およびそのエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、メタクリルアミドおよびその誘導体、スチレン、ジビニルベンゼン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸、ビニルピロリドンなどが挙げられる。これらのうち、透明性と粒径の観点から、アクリル酸およびそのエステル類、酢酸ビニル系を用いることが好ましい。
アクリル酸および/またはそのエステル類、酢酸ビニル系エマルジョンとしては、市販されているものを用いてもよく、例えば、アクリットUW−309、UW−319SX、UW−520(大成ファインケミカル株式会社製)、およびモビニール(日本合成化学工業株式会社製)等が挙げられる。
また、用いられうる分散剤は、特に制限されないが、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、第4級アンモニウム塩のような低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンのような高分子分散剤が挙げられる。
上述したエマルジョンは、柔軟性を高める観点から、ガラス転移温度(Tg)が20℃以下であることが好ましく、−30〜10℃であることがより好ましい。
(その他の添加剤)
本発明に係る屈折率層に適用可能なその他の添加剤を、以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、および特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、アニオン、カチオン、またはノニオンの各種界面活性剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
[塗布液の調製]
塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、高分子、および必要に応じて架橋剤、金属酸化物粒子等の添加剤を溶媒に添加し、撹拌混合する方法が挙げられる。この際、各成分の添加順も特に制限されず、撹拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、撹拌しながら一度に添加し混合してもよい。
[基材]
本発明の光学フィルムに適用する基材としては、特に制限されることはなく、公知の樹脂フィルムを用いることができる。具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアリレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これらのうち、コストや入手の容易性の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等を用いることが好ましい。
また、上記樹脂フィルムを用いた基材は、未延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよいが、PETやPENのような結晶性を有する樹脂フィルムの場合には、強度の向上、熱膨張抑制の観点から延伸後、熱固定化されるフィルムであることが好ましい。
上記樹脂フィルムを用いた基材は、従来公知の一般的な方法により製造することができる。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸フィルムを製造することができる。また、前記未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、樹脂フィルムの流れ(縦軸)方向、および/または樹脂フィルムの流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸フィルムを製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍であることが好ましい。
本発明に係る基材の厚さは、5〜300μmであることが好ましく、15〜150μmであることがより好ましい。また、基材は、2枚以上を重ねたものであってもよく、この際、基材の種類は同じであっても、異なっていてもよい。
また、基材は、寸法安定性の観点から、弛緩処理およびオフライン熱処理を行ってもよい。弛緩処理は前記樹脂フィルムの延伸製膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、またはテンターを出た後の巻き取りまでの工程で行われることが好ましい。弛緩処理は処理温度が80〜200℃で行われることが好ましく、100〜180℃で行われることがより好ましい。また長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1〜10%に処理されることが好ましく、2〜6%に処理されることがより好ましい。弛緩処理された基材は、さらにオフライン熱処理を施すことにより耐熱性が向上し、より寸法安定性が向上しうる。
前記基材は、製膜過程で片面または両面に、下引層を設けることが好ましい。当該下引層は、インラインでまたは製膜後に形成されうる。下引層の形成方法としては、例えば、下引層塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥する方法が挙げられる。下引層塗布液は、通常、樹脂を含む。当該樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリスチレンブタジエン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール、およびゼラチン等が挙げられる。前記下引層塗布液には、さらに公知の添加剤を加えてもよい。下引層塗布液の塗布量は、乾燥状態で約0.01〜2g/m2となるように塗布することが好ましい。下引層塗布液の塗布方法としては、特に制限されないが、ロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の公知の方法が用いられうる。得られた塗膜は延伸させてもよく、通常、塗布液を塗布した後にテンター内で横延伸を行いながら80〜120℃で乾燥させることで、下引層が形成されうる。なお、下引層は、単層構造であっても、積層構造であってもよい。
本発明に係る基材は、さらに導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、粘着層、中間膜層等の公知の機能層を有していてもよい。
基材が、上述の下引層や機能層等の中間層を有する場合には、基材および中間層の総膜厚は、5〜500μmであることが好ましく、25〜250μmであることがより好ましい。
[塗布]
塗布装置において、上記基材に所定の温度、所定の速度で塗布液を塗布して塗膜を形成する。
塗布液の塗布方式としては、特に制限されず、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号明細書、米国特許第2,761,791号明細書に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
前記塗布方式がスライドビード塗布方式を用いた同時重層塗布である場合には、塗布液の粘度は1〜2000mPa・sであることが好ましく、1〜1000mPa・sであることがより好ましい。
塗布温度は、20〜60℃であることが好ましい。塗布温度が60℃以下であると、塗布液を高温に保つための設備が比較的簡素化でき、コストを抑えることができることから好ましい。一方、塗布温度が20℃以上であると、塗布液を冷却するための設備が不要となり、コストを抑えることができ、また、作業の安全性が向上しうることから好ましい。
塗布速度は、1m/min以上であることが好ましく、1〜500m/minであることがより好ましい。塗布速度が1m/min以上であると、高い生産性が得られることから好ましい。
[乾燥]
乾燥装置において、塗膜を乾燥させることにより、屈折率層が形成されうる。
乾燥の方法としては、特に制限されず、公知の方法で行われうる。乾燥方法の例としては、自然乾燥、加熱乾燥、熱風を当てる方法、冷風を当てる方法等が挙げられる。迅速に乾燥を行う観点から、加熱乾燥により乾燥を行うことが好ましい。この際、加熱温度としては、形成された塗膜の組成等によっても異なるが、15〜120℃であることが好ましく、20〜90℃であることがより好ましい。
[冷却]
光学フィルムの製造において、基材上に生成された塗膜を、乾燥前に一度冷却してもよい。冷却することにより、屈折率層の表面(積層されている場合には界面)がより均一となりうる。
塗布直後の塗膜は粘度が低いため、例えば、塗布直後の塗膜に熱風を当てて乾燥させる場合には、得られる屈折率層の表面は熱風によって膜厚のバラツキが生じうる。また、重層塗布を行った場合には、塗層間において塗膜成分が移動し、得られる屈折率層間の境界が光学性能に悪影響を与えるほど曖昧となりうる。しかし、得られた塗膜を一度冷却すると、塗膜の粘性が急激に上昇して塗膜が安定化しうる。その結果、熱風等の乾燥による膜厚のバラツキの発生、塗層間の塗膜成分の移動を抑制しうる。ただし、塗層間の塗布成分の移動によって、赤外遮蔽フィルムの性能が異なる場合もありうることから、冷却を行うか否かは、赤外遮蔽フィルムの所望の性能に応じて適宜決定されうる。
冷却を行う場合には、塗膜の冷却によって粘性が上昇しやすい高分子を塗布液の成分とすることが好ましい。上述のように、粘性は、塗布液中の高分子の分子間および分子内の末端基による結合、架橋剤における結合、分子どうしの絡み合い等によって生じうる。よって、工程(3)の効果をより有効に発揮するために、塗布液の成分として、官能基を多数有している高分子、分子量が大きい高分子を使用し、架橋剤を含むことが好ましい。
冷却温度は、用いる塗布液によっても異なるが、−20〜20℃であることが好ましく、−5〜10℃であることがより好ましい。
<用途>
上記で得られた赤外遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、赤外遮蔽効果を付与する赤外遮蔽フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。
特に、本発明に係る赤外遮蔽フィルムが直接または接着剤を介してガラスまたはガラス代替の樹脂などの基体に貼合されている部材には、赤外遮蔽フィルムは好適に適用されうる。
すなわち、本発明のさらに他の形態によれば、上記赤外遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けた、赤外遮蔽体をも提供する。
前記基体の具体的な例としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、金属板、セラミック等が挙げられる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれでもよく、これらを2種以上組み合わせて用いても良い。本発明で使用されうる基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。基体の厚さは特に制限されないが、通常0.1mm〜5cmである。
赤外遮蔽フィルムと基体とを貼り合わせる接着層または粘着層は、赤外遮蔽フィルムを日光(熱線)入射面側に設置することが好ましい。また、本発明に係る赤外遮蔽フィルムを、窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等の周囲のガスから封止でき耐久性に優れるため好ましい。本発明に係る赤外遮蔽フィルムを屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
本発明に適用可能な接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を用いてもよい。具体的には可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業社製、三菱モンサント社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、メルセンG)等である。なお、接着層には紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。
赤外遮蔽フィルムまたは赤外遮蔽体の断熱性能、日射熱遮蔽性能は、一般的にJIS R 3209(複層ガラス)、JIS R 3106(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)、JIS R 3107(板ガラス類の熱抵抗および建築における熱貫流率の算定方法)に準拠した方法により求めることができる。
日射透過率、日射反射率、放射率、可視光透過率の測定は、(1)波長(300〜2500nm)の分光測光器を用い、各種単板ガラスの分光透過率、分光反射率を測定する。また、波長5.5〜50μmの分光測定器を用いて放射率を測定する。なお、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、熱線吸収板ガラスの放射率は既定値を用いる。(2)日射透過率、日射反射率、日射吸収率、修正放射率の算出は、JIS R 3106に従い、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、垂直放射率を算出する。修正放射率に関しては、JIS R 3107に示されている係数を、垂直放射率に乗ずることにより求める。断熱性、日射熱遮蔽性の算出は、(1)厚さの測定値、修正放射率を用いJIS R 3209に従って複層ガラスの熱抵抗を算出する。ただし中空層が2mmを超える場合はJIS R 3107に従って中空層の気体熱コンダクタンスを求める。(2)断熱性は、複層ガラスの熱抵抗に熱伝達抵抗を加えて熱貫流抵抗で求める。(3)日射熱遮蔽性はJIS R 3106により日射熱取得率を求め、1から差し引いて算出する。
また、上記で得られた赤外遮蔽フィルムは薄膜化されたものであることから、ディスプレイパネルの表面に適用してもよい。例えば、プラズマディスプレイパネルでは、赤外遮蔽フィルムを高透明PETフィルムに貼り合わせて、ディスプレイ画面に導入することができる。これによって、プラズマディスプレイパネルから放射される赤外線を遮蔽し、人体の保護、電子機器相互の誤動作防止、およびリモコンの誤動作防止等に寄与しうる。
1、2、3 光学フィルム製造システム、
101 調製釜、
102 送液装置、
103 濾過装置、
104 貯蔵釜
105 送液装置、
106 流量計、
107、501 分散装置、
108 脱泡装置、
109 濾過装置
110 塗布装置、
111 セット装置、
112 乾燥装置、
113、401 検出装置、
114 回収装置、
115、402、502、503 制御装置、
200 コーター、
202 ダイス、
204 スリット、
206 スライド面、
208 ビード、
210 バックロール、
300 基材、
302 高分子膜。

Claims (11)

  1. 高分子を含有する塗布液を分散する分散装置と、
    前記分散装置により分散された前記塗布液を、搬送される基材上に塗布する塗布装置と、
    基材上に前記塗布液が塗布されてできた光学フィルムの状態を検出する検出装置と、
    前記検出装置の検出結果に基づいて、前記光学フィルムにおける故障形状の有無を判断し、前記故障形状がある場合、前記故障形状の特徴に基づいて、前記分散装置による分散能力を制御する制御装置と、
    を有する光学フィルム製造システム。
  2. 前記故障形状の特徴は、前記故障形状の大きさである請求項1に記載の光学フィルム製造システム。
  3. 前記故障形状の特徴は、前記故障形状の種類であり、
    前記故障形状の種類は、光学フィルムにおける、線状部分、異物および白濁の少なくとも一つを含む請求項1または請求項2に記載の光学フィルム製造システム。
  4. 前記制御装置は、前記故障形状の種類に応じて、前記分散装置による分散能力を向上するか低減するかを決定する請求項3に記載の光学フィルム製造システム。
  5. 前記分散装置は、複数設けられ、
    前記塗布装置は、複数の層を有する光学フィルムを形成するために、複数の前記分散装置から供給された異なる塗布液を前記基材に同時に塗布する請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルム製造システム。
  6. 前記検出装置は、乾燥前および乾燥後の少なくとも一方の前記光学フィルムを検出する請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルム製造システム。
  7. 高分子を含有する塗布液を塗布する工程よりも上流に配置され、塗布前の前記塗布液を分散する分散装置を制御する分散装置制御方法であって、
    搬送される基材上に前記塗布液が塗布されてできた光学フィルムの状態を検出する検出ステップと、
    前記検出ステップにおける検出結果に基づいて、前記光学フィルムにおける故障形状の有無を判断し、前記故障形状がある場合、前記故障形状の特徴に基づいて、前記分散装置による分散能力を制御する制御ステップと、
    を有する分散装置制御方法。
  8. 前記故障形状の特徴は、前記故障形状の大きさである請求項7に記載の分散装置制御方法。
  9. 前記故障形状の特徴は、前記故障形状の種類であり、
    前記故障形状の種類は、光学フィルムにおける、線状部分、異物および白濁の少なくとも一つを含む請求項7または請求項8に記載の分散装置制御方法。
  10. 前記制御ステップにおいては、前記故障形状の種類に応じて、前記分散装置による分散能力を向上するか低減するかを決定する請求項9に記載の分散装置制御方法。
  11. 前記検出ステップにおいて、乾燥前および乾燥後の少なくとも一方の前記光学フィルムが検出される請求項7〜10のいずれか一項に記載の分散装置制御方法。
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