以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.出納システムの構成]
図1において、出納システム1は、例えば金融機関の営業店において図示しない接客用カウンタの後方に設置され、金銭に関する入金や出金等の各種処理を総合的に実行するようになされている。この出納システム1は、紙幣に対し各種処理を行う複数の装置がシステム筐体13に収納された構成となっている。
出納システム1は、紙幣を1枚単位で入出金する紙幣入出金機2と、金種別の紙幣を所定枚数(例えば100枚)毎に施封して小束にした状態で収納し、また紙幣の小束を出金する施封小束支払機3とを有している。
また出納システム1は、例えば金融機関の営業店、小売店や公共施設等に設置される現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine、図示せず)に着脱可能で、当該現金自動預払機で行われる取引用の紙幣を収納する補充回収カセットに紙幣を補充し、また補充回収カセットから紙幣を回収する紙幣補充回収機4も有している。
さらに出納システム1は、各金種の新券(新札)を出金する新券支払機5と、金種別の一定枚数毎に棒状に重ねて包まれた硬貨(いわゆる棒金)を出金するための棒金支払機6と、硬貨を1枚単位で入出金する硬貨入出金機7とも有している。
さらに出納システム1は、紙幣入出金機2や施封小束支払機3、紙幣補充回収機4、新券支払機5、棒金支払機6及び硬貨入出金機7で行われる入金や出金等の処理内容を認証して所定の帳票等に印字し排出する認証プリンタ8と、及び現金以外の小切手や定期預金証書等の有価証券を取り込んで入金処理する現金外ポスト9とも有している。
さらに出納システム1は、入金や出金等の各種処理に関する種々の情報を表示するディスプレイ10と、入金や出金等の各種処理に関する種々の情報や指示等を入力するためのキーボード11と、出納システム1全体を統括制御する制御装置12とも有している。
出納システム1は、これら各種装置の少なくとも一部については比較的自由に配置することができるものの、棒金支払機6、施封小束支払機3、紙幣補充回収機4、紙幣入出金機2、制御装置12及び硬貨入出金機7が、各々の正面を同一方向に向け互いに隣接するよう横一列に配置されている。
因みに以下の説明では、出納システム1における棒金支払機6、施封小束支払機3、紙幣補充回収機4、紙幣入出金機2、制御装置12及び硬貨入出金機7それぞれの正面が向く方向を前方向と定義し、その反対を後方向と定義して、さらに当該出納システム1の前側に対峙して見たときの左右方向及び上下方向をそれぞれ定義する。
また出納システム1は、紙幣補充回収機4の前上側に新券支払機5が組み込まれて一体化されていると共に、当該紙幣補充回収機4に認証プリンタ8が載置されている。
さらに出納システム1は、紙幣入出金機2にディスプレイ10が正面を前方向に向けて載置されると共に、当該ディスプレイ10の前にキーボード11が載置されている。さらに出納システム1は、硬貨入出金機7に現金外ポスト9が載置されている。
そして出納システム1では、右方向に沿って順次隣接させるようにして配置された施封小束支払機3、紙幣補充回収機4及び紙幣入出金機2が、紙幣を左方向及び右方向に搬送する装置間搬送部(図示せず)によって接続されている。
これにより出納システム1は、施封小束支払機3、紙幣補充回収機4及び紙幣入出金機2の間で、施封や補充、回収等の各種処理に用いる紙幣を適宜、装置間搬送部を介して搬送して受け渡すことができるようになされている。
[1−2.紙幣入出金機の外観構成]
図2に示すように、紙幣入出金機2は、略箱型の筐体(以下、これを入出金機筐体とも呼ぶ)15を有し、所定の空間を内部に具えるシステム筐体13の前端部分においてそれぞれ当該システム筐体13の枠を残すように形成された開口部13Aの内部の空間に収納されている。
入出金機筐体15の前面には板状でなる入出金機パネル14が固定され、入出金機筐体15がシステム筐体13に収納された状態において当該入出金機パネル14の後面がシステム筐体13の枠に接することにより、システム筐体13の開口部13Aを閉鎖している。
また入出金機パネル14の前面には、行員が指を掛けて手前に引くことによりロック部30(後述する)のロックを解除することが可能な解除レバー29が設けられている。
この入出金機筐体15は、スライドレール28を介してシステム筐体13に取り付けられている。スライドレール28は、前後方向に延長されたレール状の部品や複数のローラ等(図示せず)の組み合わせにより構成されており、システム筐体13に対し入出金機筐体15を前方向又は後方向へ直線的に且つ円滑に移動させるようになされている。
またスライドレール28は、システム筐体13に対する入出金機筐体15の移動範囲を規定しており、図2及び図3に示した位置の間で当該入出金機筐体15を移動させる。
出納システム1は、図2に示したように入出金機筐体15をシステム筐体13の内部に収納することにより、当該入出金機筐体15内の各部や紙幣等を保護する。以下これを入出金機筐体15の収納状態と呼ぶ。
この収納状態において、入出金機筐体15はシステム筐体13に対しロック部30でロックされることにより所定のユニットロック位置に位置決めされる。
一方出納システム1は、ジャム紙幣の除去或いは消耗品の補充等の保守作業が行われる場合、行員が解除レバー29に指を掛けて手前へ引きロック部30のロックを解除し、図3及び図4に示すように入出金機筐体15を前方向へ移動させて、当該入出金機筐体15のほぼ全体をシステム筐体13の外部に引き出した状態とする。
以下では、入出金機筐体15がシステム筐体13からほぼ全体が引き出されているか否かに拘わらず、当該入出金機筐体15がユニットロック位置から前側に引き出された状態を引出状態と呼ぶ。
[1−3.紙幣入出金機の内部構成]
入出金機筐体15内には、上側の所定位置に、上述した制御装置12からの指示のもとに紙幣入出金機2全体を制御する制御部16が配置されている。
この入出金機筐体15には、正面上寄りに、出金用の紙幣を行員に引き渡すための紙幣引渡部17と、紙幣を返却するための紙幣返却部18と、行員から入金用の紙幣を受け取るための紙幣受取部19とが上から下へ順に配置されている。
また入出金機筐体15内には、紙幣受取部19の後側に、入金用の紙幣を鑑別するための入金紙幣鑑別部20が配置されている。
また入出金機筐体15内には、背面近傍の上寄りに、破損している紙幣や折れ癖、曲がり癖がついている紙幣等のような異常な紙幣(以下、これを特にリジェクト紙幣とも呼ぶ)を収納するためのリジェクト庫21が配置されている。
さらに入出金機筐体15内には、中央部に一時保留ユニット22が収納されている。一時保留ユニット22には、紙幣の金種別に用意された複数(例えば4個)の一時保留部23が前から後ろへ順に配置されている。
また一時保留ユニット22内には、複数の一時保留部23よりも後ろ(すなわち最も後ろ)に、出金用の紙幣を鑑別するための出金紙幣鑑別部24が配置されている。
これに加え入出金機筐体15内には、下側に紙幣収納ユニット25が収納されている。紙幣収納ユニット25には、複数の一時保留部23に対応させて紙幣の金種別に用意された複数(例えば4個)の紙幣収納庫26が、その上端を当該一時保留部23の下端面に対向させて前から後ろへ順に配置されている。
かかる構成のもと制御部16は、紙幣の入金時、行員により紙幣受取部19内に複数の紙幣が投入されると、当該紙幣受取部19内から複数の紙幣を所定の紙幣繰出機構によって1枚ずつ繰り出し搬送路27を介して入金紙幣鑑別部20へ搬送して、当該入金紙幣鑑別部20において紙幣の金種や状態等を鑑別させる。
制御部16は、異常であると鑑別されて入金紙幣鑑別部20から繰り出された紙幣については、リジェクト紙幣として搬送路27を介し紙幣返却部18へ搬送し、行員に返却する。
これに対し制御部16は、正常であると鑑別されて入金紙幣鑑別部20から繰り出された紙幣については、搬送路27を介して当該紙幣の金種に応じた一時保留部23へ搬送する。
そして制御部16は、紙幣受取部19に投入された紙幣が入金紙幣鑑別部20において全て鑑別されると、正常であると鑑別された紙幣の総額(すなわち入金の金額)を、上述の制御装置12経由でディスプレイ10を介して行員に提示する。
制御部16は、入金の金額を確認した行員によりキーボード11を介して紙幣の入金が指示されると、一時保留部23から一時的に保持していた紙幣を落下させるようにして紙幣収納庫26に収納することにより、紙幣の入金を行う。
一方制御部16は、紙幣の出金時、行員によりキーボード11を介して出金の金額が指定されると、紙幣収納庫26から所定の紙幣繰出機構によって、その指定された金額分の紙幣を1枚ずつ繰り出し搬送路27を介して出金紙幣鑑別部24へ搬送して、当該出金紙幣鑑別部24において紙幣の金種や状態等を鑑別させる。
制御部16は、正常であると鑑別されて出金紙幣鑑別部24から繰り出された紙幣については、搬送路27を介して紙幣引渡部17へ搬送し行員に引き渡すことにより、紙幣の出金を行う。
ただし制御部16は、出金紙幣鑑別部24により異常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、リジェクト紙幣として搬送路27を介してリジェクト庫21へ搬送して、当該リジェクト庫21内に所定の紙幣取込機構によって取り込む。
このようにして制御部16は、紙幣の出金時、紙幣収納庫26から繰り出した紙幣の中でリジェクト紙幣を発見すると、そのリジェクト紙幣を分別してリジェクト庫21に収納し、その後出金には用いないようにする。
入出金機筐体15内には、背面側上寄りに上述の装置間搬送部(図示せず)が配置されている。これにより制御部16は、紙幣補充回収機4から紙幣が鑑別された後、装置間搬送部を介して搬送されると、その紙幣を搬送路27を介して一時保留部23へ搬送し、これら一時保留部23を介して紙幣収納庫26に収納する。
また制御部16は、各紙幣収納庫26から繰り出した紙幣を、出金紙幣鑑別部24で鑑別した後、装置間搬送部を介して施封小束支払機3や紙幣補充回収機4へ搬送する。
このようにして制御部16は、紙幣補充回収機4により補充回収カセットから回収された紙幣を保管し、また紙幣補充回収機4に補充回収カセットに補充するための紙幣を供給し、さらに施封小束支払機3に施封して小束にするための紙幣を供給するようになされている。
[1−4.ロック部の構成]
入出金機筐体15の引出状態においてロック機構31がロックポスト33に掛止していない非ロック状態を図5に示すように、ロック部30は、ロックポスト33と、当該ロックポスト33に掛止するロック機構31とにより構成されている。
ロックポスト33は円筒形状でなり、システム筐体13の右壁の内側面においてスライドレール28の上側の近傍に取り付けられている。
ロック機構31は、入出金機筐体15の右側面のスライドレール28の上側の近傍においてロックポスト33とほぼ同等の高さに設けられている。
ロック機構31は主に、回動可能なロックレバー32と、当該ロックレバー32の下側に設けられた第2レバー34とにより構成されている。
ロックレバー32は、全体として正面視において下方が開口するコの字形状の金属板であると共に、右側面視において鈎状となっている。
ロックレバー32における前後方向のほぼ中央部分には、下から上に向かってロックレバー32の一部が略コの字形に切り欠かれた凹部42が設けられている。
またロックレバー32における凹部42から後端にかけては、後方に向かって下端が上方へ削れた掛止部44が形成されている。このため、掛止部44の前側下端には凸部46が、後端面には第1ポスト当接面56が、下端面には第1ポスト摺動面58がそれぞれ形成されている。
ロックレバー32の第1ポスト当接面56と第1ポスト摺動面58とが接する第1頂点64は、非ロック状態においてロックポスト33の中心であるポスト中心33Cよりも下方に位置している。また第1ポスト当接面56は、非ロック状態において鉛直方向に沿って延びている。
第2レバー34は、全体として正面視において上方が開口するコの字形状の金属板であり、ロックレバー32の正面視コの字形状の内部に入り込むように配置され、右側面視において、前方から後方斜め下方向に延びたあと、後方に向かうようにやや湾曲している。
また第2レバー34における後ろ部分の上端面には非ロック状態において水平方向に沿う第2ポスト摺動面62が、後端面には第2ポスト当接面60がそれぞれ形成されている。第2ポスト摺動面62の後端部には、上方に向かって突出する突出部55が形成されている。
第2ポスト摺動面62は、ロックポスト33の最下点であるポスト最下点33Lと同じ上下位置(高さ)となっている。また第2ポスト当接面60と第2ポスト摺動面62とが接する(すなわち突出部55の上端部である)第2頂点66は、非ロック状態においてポスト中心33Cよりも下方に位置している。
また第2頂点66は、非ロック状態において、ロックポスト33の直径であるポスト直径33Rの長さ以上に第1頂点64よりも後方に位置している。
さらに第2レバー34の下端面と第2ポスト当接面60とが接する頂点には、第3頂点68が形成されている。
ロックレバー32及び第2レバー34の前寄りには、入出金機筐体15に固定された円筒形状でなるロック軸36が左右方向に挿通している。ロック軸36の中心であるロック軸中心36Cは、ロックポスト33のポスト中心33Cと同様の高さに位置している。
またロックレバー32及び第2レバー34は、図示しない回転限度制限部材に当接することにより、時計回り及び反時計回りの回動の限界角度が規制されている。これによりロックレバー32は、ロック軸36を中心として図5中時計回り及び反時計回りに一定の角度範囲で回動可能に構成されていると共に、第2レバー34は、ロック軸36を中心としてロックレバー32に対し図5中時計回り及び反時計回りに一定の角度範囲で回動可能に構成されている。
またロックレバー32には、図示しない引張ばねでなるスプリングの一端が取り付けられることにより、ロック軸36を中心として図5中時計回りに付勢力が加えられている。
ロックレバー32の前端部において前方に突出した当接部48には、非ロック状態において、入出金機筐体15から右方向に延びた円筒形状でなる回転抑止軸40の下端部が当接している。
このためロックレバー32は、非ロック状態においてスプリングの付勢力により時計回りに付勢されつつ、回転抑止軸40に当接部48が当接することにより、それ以上の時計回りの回転が抑止され、所定の回動位置に位置決めされる。
またロックレバー32は、ロックポスト33に掛止するロック状態において、スプリングの付勢力により時計回りに付勢されることにより、ロックポスト33に確実に掛止することができる。
ロック軸36には、トーションスプリング38が嵌め込まれている。このトーションスプリング38は、1本の金属棒の中央部分である巻装部50がロック軸36に巻装し、当該巻装部50から上腕部52が上方向へ、下腕部54が下方向へそれぞれ延びている。
トーションスプリング38は、上腕部52の上端部及び下腕部54の下端部が自然状態よりも前側に位置する状態で、それぞれロックレバー32の前端部近傍と第2レバー34の前端部近傍とに当接している。
このためトーションスプリング38は、自然状態に戻ろうとする反発力により、上腕部52はロックレバー32に対し時計回りの付勢力を加える一方、下腕部54は第2レバー34に対し反時計回りの付勢力を加える。すなわちトーションスプリング38は、ロックレバー32及び第2レバー34を互いに閉じる方向へ付勢する。
第2レバー34の前方上部におけるロック軸36の後方からは、板状の近接抑止部49が突設している。近接抑止部49にロックレバー32が当接することにより、それぞれロックレバー32の時計回りの回動と第2レバー34の反時計回りの回動とが規制されるため、ロックレバー32及び第2レバー34は、閉じる方向へ付勢されつつ互いの位置が位置決めされる。これにより第2レバー34は、ロックレバー32に常に引きつけられつつ従動して回動する。
またロックレバー32は、解除レバー29(図2乃至図4)と図示しないリンクにより連結されており、解除レバー29を引くように行員が操作することにより、反時計回りに回動する。第2レバー34は、ロックレバー32と共に反時計回りに回動する。
このためロックレバー32及び第2レバー34は、スプリングの付勢力よりも大きな力で行員により反時計回りに力を加えられると、ロック軸36を支点として図5中反時計回りに回動する一方、当該力が外されると、スプリングの付勢力により時計回りに回動する。
[1−5.ロック部の動作]
[1−5−1.解除レバーを引かずに入出金機筐体を押し込んだ場合]
行員が解除レバー29を引かずに入出金機筐体15を押し込んだ場合、入出金機筐体15と共にロック機構31がロックポスト33へ向かって水平方向に沿って後方へ移動する。
ロックポスト33は、図6に示すようにまず第2頂点66に接触する。第2頂点66はポスト中心33Cよりも下方に位置しているため、第2レバー34を時計回りに回動させる力がロックポスト33から加わる。この力が、トーションスプリング38による反時計回りの付勢力を上回ると、第2レバー34は時計回りに回動し、ロックポスト33が第2頂点66を乗り越えることにより、ロック機構31が後方へ移動する。
続いてロック機構31は、トーションスプリング38からの付勢力により図7に示すように第2レバー34の第2ポスト摺動面62をロックポスト33に摺動させつつ後方へ移動する。
このとき第2頂点66が非ロック状態においてポスト直径33Rの長さ以上に第1頂点64よりも後方に位置しているため、ロックポスト33が第2頂点66を乗り越え、当該第2頂点66と第1ポスト当接面56との間に入り込む。
また第2レバー34は、後端部に形成された突出部55により、ロックポスト33が第2ポスト摺動面62から後方へ外れてしまうことを防止している。
さらに第2レバー34は、仮に第2ポスト摺動面62をポスト最下点33Lよりも高く設定した場合、ロックポスト33に当接すると第2レバー34が時計回りに回動するため、その分下側にスペースが必要となる。
これに対し第2レバー34は、第2ポスト摺動面62をポスト最下点33Lと同じ高さとしたため、ロックポスト33に当接しても第2レバー34が時計回りに回動せず、下側に必要となるスペースを削減することができる。
続いて図7に示したようにロックレバー32の第1ポスト当接面56にロックポスト33が当接する。このとき第1頂点64がポスト中心33Cよりも下側にあり、且つ鉛直方向に沿って延びる第1ポスト当接面56に対し、ロック軸36と同じ高さに位置しているロックポスト33が水平方向に沿って当接するため、ロックレバー32はほとんど回動しない。
これにより入出金機筐体15は、第1ポスト当接面56がロックポスト33に突き当たった状態で停止する。以下では、この状態における入出金機筐体15の位置を第1停止位置とも呼び、第1停止位置に入出金機筐体15が位置している状態を第1停止状態とも呼ぶ。
第1停止状態から行員が解除レバー29を操作すると、ロックレバー32は反時計回りに回動し、さらに行員が入出金機筐体15を押し込むと、図8に示すように第1ポスト摺動面58がロックポスト33に乗り上がることにより、ロック機構31はさらに後方へ移動する。
やがて入出金機筐体15がユニットロック位置に達してそれ以上後方へ移動しなくなったとき、行員が解除レバー29から手を離すことにより、ロックレバー32は時計回りに回動し、図9に示すように凹部42がロックポスト33に掛止し、ロック状態となる。
このロック状態においては、解除レバー29を操作せずに入出金機筐体15に前方向の力が加えられた場合(すなわち行員が解除レバー29を操作せずに入出金機筐体15を引き出そうとした場合)、掛止部44がロックポスト33に当接することにより、入出金機筐体15の前方への移動が防止される。
このように、解除レバー29を引かずに行員が入出金機筐体15をシステム筐体13に押し込んだ場合、まず第1停止位置において入出金機筐体15の後方への移動が停止する。
この第1停止位置は、ユニットロック位置よりも手前であるため、図10に示すようにシステム筐体13と入出金機パネル14との間には隙間SP1が存在する。このため、行員が入出金機パネル14に指を掛けていたとしても、入出金機パネル14とシステム筐体13との間に指を挟んでしまうことはない。
この隙間SP1の量は、入出金機パネル14の後端面に対する第1ポスト当接面56の前後方向の位置により設定することができる。すなわち入出金機筐体15に対するロック機構31の取り付け位置を後方へ移動させるか、又はロックレバー32の前後方向の長さを長く形成することにより、入出金機パネル14に対し第1ポスト当接面56を後方へ位置させる程、隙間SP1は大きくなる。
第1停止状態において行員が解除レバー29を引きつつ入出金機筐体15をさらに押し込むと、入出金機筐体15はユニットロック位置まで移動して停止する。
このように紙幣入出金機2は、解除レバー29を引かずに行員が入出金機筐体15をシステム筐体13に押し込んだ場合、ユニットロック位置よりも前に、第1停止位置において入出金機筐体15の移動を一旦停止させる。
また第1停止状態において行員が解除レバー29を操作しながら入出金機筐体15をさらに押し込んだときに、紙幣入出金機2は当該入出金機筐体15をユニットロック位置まで移動し得るようにした。
すなわち紙幣入出金機2は、2段階で入出金機筐体15を停止させることにより、行員の指挟みを防止することができる。
また行員は、第1停止状態において、隙間SP1から開口部13Aの奥へ指を入れて入出金機筐体15の後方に設けられたレバーを操作する等の危険な操作をする必要なく、指を挟むおそれがない入出金機パネル14前面に設けられた解除レバー29を操作することにより、入出金機筐体15をユニットロック位置まで移動させることができる。
またロック部30は、従来のロック部230(図24)に比較して、第2レバー34が追加されているが、当該第2レバー34はロックレバー32の回動に応じて従動して動くので、行員は第2レバー34を別途操作するという煩雑な作業を行う必要がない。
[1−5−2.解除レバーを引きつつ入出金機筐体を押し込んだ場合]
一方、行員が解除レバー29を引きつつ入出金機筐体15を押し込んだ場合、図11に示すように、トーションスプリング38によりロックレバー32と第2レバー34とは互いに閉じる方向へ付勢されつつ、解除レバー29により非ロック状態よりも反時計回りへ回動する。
この状態において第2レバー34は、図示しない回転限度制限部材に当接することによりこれ以上の反時計回りの回動が規制され、第2ポスト当接面60がロックポスト33と同じ高さに位置している。
ロック機構31がロックポスト33へ向かって後方へ移動すると、図12に示すように、第2レバー34の第2ポスト当接面60にロックポスト33が当接する。
このとき第3頂点68がポスト中心33Cよりも下側にあり、且つ鉛直方向に沿って延びる第2ポスト当接面60に対し、ロック軸36と同じ高さに位置しているロックポスト33が水平方向に沿って当接するため、ロックレバー32はほとんど回動しない。
これにより入出金機筐体15は、第2ポスト当接面60がロックポスト33に突き当たった状態で停止する。以下では、この状態における入出金機筐体15の位置を第2停止位置とも呼び、第2停止位置に入出金機筐体15が位置している状態を第2停止状態とも呼ぶ。
第2停止状態において行員が入出金機筐体15を僅かに手前に引き出した後に手を離すと、スプリングの付勢力により、ロックレバー32及び第2レバー34は時計回りに回動し、図5に示したように非ロック状態となる。
非ロック状態から行員が入出金機筐体15を押し込むと、上述した、解除レバー29を引かずに入出金機筐体15を押し込んだ場合の動作を経て、入出金機筐体15はユニットロック位置にロックされる。
このように、解除レバー29を引きつつ行員が入出金機筐体15をシステム筐体13に押し込んだ場合、第2ポスト当接面60が第1ポスト当接面56よりも後方に位置しているため、上述した第1停止位置よりも前側に設定された第2停止位置において入出金機筐体15の移動が停止する。
この第2停止位置は、ユニットロック位置よりも手前の第1停止位置よりもさらに手前であるため、図13に示すようにシステム筐体13と入出金機パネル14との間には、隙間SP1よりも広い隙間SP2が存在する。このため、行員が入出金機筐体15に指を掛けていたとしても、入出金機パネル14とシステム筐体13との間に指を挟んでしまうことはない。
この隙間SP2の量は、入出金機パネル14の後端面に対する第2ポスト当接面60の前後方向の位置により設定することができる。すなわち入出金機筐体15に対するロック機構31の取り付け位置を後方へ移動させるか、又は第2レバー34の前後方向の長さを長く形成することにより、入出金機パネル14に対し第2ポスト当接面60を後方へ位置させる程、隙間SP2は大きくなる。
また、第1停止位置と第2停止位置との前後方向の間隔は、第1ポスト当接面56と第2ポスト当接面60との前後方向の間隔を変更することにより調整できる。すなわち第1ポスト当接面56に対し第2ポスト当接面60を後方へ位置させる程、すなわち第2レバー34の前後方向の長さを長くするほど間隔は大きくなる。
第2停止状態において行員が解除レバー29から手を離した後、入出金機筐体15を押し込むと、当該入出金機筐体15は第1停止位置まで移動して停止する。第1停止状態において行員が解除レバー29を引きつつ入出金機筐体15をさらに押し込むと、入出金機筐体15はユニットロック位置まで移動して停止する。
[1−5−3.入出金機筐体を引き出す場合]
一方入出金機筐体15を引き出す場合、図9に示したロック状態から、行員が解除レバー29を引くことにより、ロックレバー32及び第2レバー34に対し反時計回りに回動する力を加える。
このとき、図14に示すように第2ポスト摺動面62にロックポスト33が上から当接することにより、第2レバー34の反時計回りの回動が規制され、ロックレバー32のみ反時計回りに回動し、凸部46がポスト中心33Cよりも上方に移動する。
行員が解除レバー29を引きながら入出金機筐体15を引き出すと、第2ポスト摺動面62がロックポスト33に摺動しつつ、ロック機構31が前方へ移動する。
さらに入出金機筐体15が引き出されると、第2頂点66がロックポスト33の下側に当接しつつ前方へ通過し、第2レバー34がロックポスト33から外れて図11に示したように反時計回りに回動することによりロックが外れ、行員は入出金機筐体15を引き出すことができる。
[1−6.動作及び効果]
以上の構成において、紙幣入出金機2は、解除レバー29を引かずに行員が入出金機筐体15をシステム筐体13に押し込んだ場合、ユニットロック位置よりも前に第1停止位置で入出金機筐体15を停止させる一方、解除レバー29を引きつつ入出金機筐体15をシステム筐体13に押し込んだ場合、第1停止位置よりもさらに前に第2停止位置で入出金機筐体15を停止させるようにした。
このように紙幣入出金機2は、行員が解除レバー29を引いていた場合と引いていなかった場合のどちらであっても、ユニットロック位置よりも手前で一旦入出金機筐体15の移動を停止させる。
さらに紙幣入出金機2は、入出金機筐体15が一旦停止した状態から解除レバー29を操作させる(すなわち、解除レバー29を引かずに第1停止状態になった場合は解除レバー29を引かせる一方、解除レバー29を引いて第2停止状態になった場合は解除レバー29から手を離させる)という同一の操作によって、入出金機筐体15をユニットロック位置へ向かわせることができるため、操作性に統一感をもたせることができる。
また解除レバー29を引かずに入出金機筐体15を押し込むと第1停止位置において一旦停止してしまうため、行員が最初から解除レバー29を引きつつ入出金機筐体15を押し込むことが考えられる。
そのような場合に入出金機筐体15が一気にユニットロック位置まで押し込まれてしまうと、指挟みの危険があるため、紙幣入出金機2は、行員が解除レバー29を引きながら入出金機筐体15を押し込んでしまった場合であっても、ユニットロック位置よりも手前の第2停止位置で一旦停止させるようにした。
これにより紙幣入出金機2は、行員が入出金機筐体15を押し込んだ場合、ユニットロック位置まで一気に入出金機筐体15を移動させずに、手前で一旦停止させることができ、行員の指挟みを防止できる。
以上の構成によれば、紙幣入出金機2は、行員が解除レバー29を引かずに入出金機筐体15をシステム筐体13に押し込んだ際はロックレバー32の第1ポスト当接面56にロックポスト33を当接させる一方、行員が解除レバー29を引きながら入出金機筐体15をシステム筐体13に押し込んだ際は第2レバー34の第2ポスト当接面60にロックポスト33を当接させるようにした。
これにより紙幣入出金機2は、解除レバー29を行員が操作しているかいないかに拘わらず、入出金機筐体15を押し込んだ場合、ユニットロック位置の前に一旦入出金機筐体15を停止させることができる。
[2.第2の実施の形態]
図1に示す第2の実施の形態による紙幣入出金機102は、第1の実施の形態による紙幣入出金機2と比較して、図15及び図16に示すロック部130が、紙幣入出金機2におけるロック部30(図2及び図3)と異なっているものの、それ以外は同様に構成されている。
また第2の実施の形態によるロック部130は、第1の実施の形態によるロック部30と比較して、図17に示すようにロックレバー132の形状がロックレバー32とは異なり、ロックポスト33に加えて当接ポスト72が追加される一方、第2レバー34が省略されている。
[2−1.ロック部の構成]
入出金機筐体15の引出状態においてロック機構131がロックポスト33に掛止していない非ロック状態を図17に示すように、ロック部130は、ロックポスト33と、当接ポスト72と、ロックポスト33に掛止するロック機構131とにより構成されている。
当接ポスト72は円筒形状でなり、システム筐体13の右壁の内側面においてロックポスト33の前方上側に取り付けられている。
ロック機構131は、入出金機筐体15に固定された円筒形状でなるロック軸36を中心として回動可能なロックレバー132により構成されている。
ロックレバー132には、当該ロックレバー132の上端面であるレバー上端面74からポスト当接部70が非ロック状態において鉛直方向に沿って突設している。
またロックレバー132は、図示しない回転限度制限部材が当接することにより、時計回り及び反時計回りの回動の限界角度が規制されている。これによりロックレバー132は、ロック軸36を中心として図17中時計回り及び反時計回りに一定の角度範囲で回動可能に構成されている。
ポスト当接部70の上端部は、当接ポスト72の最下点である当接ポスト最下点72Lよりも非ロック状態において下側に位置している。
[2−2.ロック部の動作]
[2−2−1.解除レバーを引かずに入出金機筐体を押し込んだ場合]
行員が解除レバー29を引かずに入出金機筐体15を押し込んだ場合、入出金機筐体15と共にロック機構131がロックポスト33へ向かって水平方向に沿って後方へ移動する。
ロックレバー132がロックポスト33に向かって後方へ移動すると、図18に示すようにロックレバー132の第1ポスト当接面56にロックポスト33が当接する。このとき、ポスト当接部70の上端部が当接ポスト最下点72Lよりも下側に位置しているため、ポスト当接部70は当接ポスト72に接触しない。
これにより入出金機筐体15は、第1ポスト当接面56がロックポスト33に突き当たった状態で停止する。以下では、この状態における入出金機筐体15の位置を第3停止位置とも呼び、第3停止位置に入出金機筐体15が位置している状態を第3停止状態とも呼ぶ。第3停止状態においては、ポスト当接部70は当接ポスト72よりも後側に位置している。
第3停止状態から行員が解除レバー29を操作すると、ロックレバー132は反時計回りに回動し、さらに行員が入出金機筐体15を押し込むと、第1ポスト摺動面58がロックポスト33に乗り上がることにより、ロック機構131はさらに後方へ移動する。
凸部46がロックポスト33を乗り越える際、図19に示すようにポスト当接部70が当接ポスト72よりも後側に位置しているため、当該ポスト当接部70が当接ポスト72に当接することはない。
やがて入出金機筐体15がユニットロック位置に達してそれ以上後方へ移動しなくなったとき、行員が解除レバー29から手を離すことにより、ロックレバー132は時計回りに回動し、図20に示すように凹部42がロックポスト33に掛止し、ロック状態となる。
このように、解除レバー29を引かずに行員が入出金機筐体15をシステム筐体13に押し込んだ場合、紙幣入出金機102は、第1の実施の形態と同様にロックポスト33に第1ポスト当接面56を当接させることにより、ユニットロック位置よりも手前に位置する第3停止位置において入出金機筐体15の後方への移動を停止させるようにした。
また第3停止状態において行員が解除レバー29を操作しながら入出金機筐体15をさらに押し込んだときに、紙幣入出金機102は当該入出金機筐体15をユニットロック位置まで移動し得るようにした。
[2−2−2.解除レバーを引きつつ入出金機筐体を押し込んだ場合]
一方、行員が解除レバー29を引きつつ入出金機筐体15を押し込んだ場合、ロックレバー132は非ロック状態よりも反時計回りへ回動する。
このままロック機構131がロックポスト33へ向かって後方へ移動すると、図21に示すように、ポスト当接部70が当接ポスト72に当接する。
このとき、ポスト当接部70の上端部は当接ポスト72の中心である当接ポスト中心72Cよりも上側に位置している。さらにロック機構131が後方へ押し込まれると、ロックレバー132は反時計回りに回転し、図22に示すようにレバー上端面74が当接ポスト72に下側から当接することにより、それ以上反時計回りに回転しなくなる。
これにより入出金機筐体15は、ポスト当接部70及びレバー上端面74が当接ポスト72に突き当たった状態で停止する。以下では、この状態における入出金機筐体15の位置を第4停止位置とも呼び、第4停止位置に入出金機筐体15が位置している状態を第4停止状態とも呼ぶ。
第4停止状態において行員が入出金機筐体15を僅かに手前に引き出した後に手を離すと、スプリングの付勢力により、ロックレバー132は時計回りに回動し、図17に示したように非ロック状態となる。
非ロック状態から行員が入出金機筐体15を押し込むと、上述した、解除レバー29を引かずに入出金機筐体15を押し込んだ場合の動作を経て、入出金機筐体15はユニットロック位置にロックされる。
因みに、図17に示した非ロック状態において僅かに解除レバー29を引くことにより、ポスト当接部70の上端部が当接ポスト中心72Cよりも下側に位置した状態でポスト当接部70が当接ポスト72に当接した場合、当該ポスト当接部70が当接ポスト72の下側に接触しながら後方へ移動することにより、ロックレバー132は時計回りに回転し、上述した第3停止状態となる。
このように、解除レバー29を引きつつ行員が入出金機筐体15をシステム筐体13に押し込んだ場合、ポスト当接部70が第1ポスト当接面56よりも前方に位置しているため、上述した第3停止位置よりも後側に設定された第4停止位置において入出金機筐体15の移動が停止する。
第4停止状態において行員が解除レバー29から手を離した後、入出金機筐体15を押し込むと、当該入出金機筐体15は第3停止位置まで移動して停止する。第3停止状態において行員が解除レバー29を引きつつ入出金機筐体15をさらに押し込むと、入出金機筐体15はユニットロック位置まで移動して停止する。
このように紙幣入出金機102は、当接ポスト72を、行員が解除レバー29を引いていない場合はポスト当接部70に当接しない一方、行員が解除レバー29を引いていた場合はポスト当接部70に当接する位置に設けるようにした。
[2−2−3.入出金機筐体を引き出す場合]
一方入出金機筐体15を引き出す場合、図20に示したロック状態から、行員が解除レバー29を引くことにより、ロックレバー132を反時計回りに回動させる。
行員が解除レバー29を引きながら入出金機筐体15を引き出すと、図19に示したように凸部46がロックポスト33に接触しつつ乗り越え、ロック機構131が前方へ移動する。
さらに入出金機筐体15が引き出されると、ロックレバー132がロックポスト33から外れて図17に示したようにロックが外れ、行員は入出金機筐体15を引き出すことができる。
[2−3.動作及び効果]
以上の構成において、紙幣入出金機102は、解除レバー29を引かずに行員が入出金機筐体15をシステム筐体13に押し込んだ場合、ユニットロック位置よりも前の第3停止位置で入出金機筐体15を停止させる一方、解除レバー29を引きつつ入出金機筐体15をシステム筐体13に押し込んだ場合、第4停止位置で入出金機筐体15を停止させるようにした。
このように紙幣入出金機102は、行員が解除レバー29を引いていた場合と引いていなかった場合のどちらであっても、ユニットロック位置よりも手前で一旦入出金機筐体15の移動を停止させる。
さらに紙幣入出金機102は、入出金機筐体15が一旦停止した状態から解除レバー29を操作させる(すなわち、解除レバー29を引かずに第3停止状態になった場合は解除レバー29を引かせる一方、解除レバー29を引いて第4停止状態になった場合は解除レバー29から手を離させる)という同一の操作によって、入出金機筐体15をユニットロック位置へ向かわせることができるため、操作性に統一感をもたせることができる。
また解除レバー29を引かずに入出金機筐体15を押し込むと第3停止位置において一旦停止してしまうため、行員が最初から解除レバー29を引きつつ入出金機筐体15を押し込むことが考えられる。
そのような場合に入出金機筐体15が一気にユニットロック位置まで押し込まれてしまうと、指挟みの危険があるため、紙幣入出金機102は、行員が解除レバー29を引きながら入出金機筐体15を押し込んでしまった場合であっても、ユニットロック位置よりも手前の第4停止位置で一旦停止させるようにした。
これにより紙幣入出金機102は、行員が入出金機筐体15を押し込んだ場合、ユニットロック位置まで一気に入出金機筐体15を移動させずに、手前で一旦停止させることができ、行員の指挟みを防止できる。
また紙幣入出金機102は、ロック部30(図5)と比較して、可動する第2レバー34を省略できるため、簡易な構成により行員の指挟みを防止できる。
以上の構成によれば、紙幣入出金機102は、行員が解除レバー29を引かずに入出金機筐体15をシステム筐体13に押し込んだ際はロックレバー132の第1ポスト当接面56にロックポスト33を当接させる一方、行員が解除レバー29を引きながら入出金機筐体15をシステム筐体13に押し込んだ際はロックレバー132のポスト当接部70に当接ポスト72を当接させるようにした。
これにより紙幣入出金機102は、入出金機筐体15を押し込んだ場合、解除レバー29を行員が操作しているかいないかに拘わらず、ユニットロック位置の前に一旦入出金機筐体15を停止させることができる。
[3.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、円筒形状でなるロックポスト33について述べた。本発明はこれに限らず、多角形又は板状等、種々の形状のロックポストであっても良い。要はロックポストは、ロックレバー32を掛止でき、第1ポスト当接面56又は第2ポスト当接面60に当接することによりロック機構31の移動を停止させると共に、第1ポスト摺動面58又は第2ポスト摺動面62に対し摺動することによりロック機構31を移動させるものであれば良い。
また上述した実施の形態においては、同一の軸でなるロック軸36を中心としてロックレバー32及び第2レバー34が回動する場合について述べた。本発明はこれに限らず、ロックレバー32と第2レバー34とは、互いに異なる軸を中心として回動しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、図7に示したように、鉛直方向に沿って延びる第1ポスト当接面56に対しロックポスト33が水平方向に沿って当接すると共に、ポスト中心33Cとロック軸中心36Cとが同じ高さに位置する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、要は、図7に示したロック軸中心36Cとポスト中心33Cとを通る仮想線L1がロックポスト33の外周面と接する部分における接線L2に第1ポスト当接面56が沿うか、若しくは接線L2よりも図中反時計回りに傾いていれば良い。
第1ポスト当接面56が接線L2よりも図中反時計回りに傾いていた場合、ロックポスト33が第1ポスト当接面56に当接すると、ロックレバー32は時計回りに回動しようとするが、回転抑止軸40に当接部48が当接するため時計回りの回動が防止される。これによりロックレバー32は、入出金機筐体15を第1停止位置で確実に停止させることができる。
さらに上述した実施の形態においては、図12に示したように、鉛直方向に沿って延びる第2ポスト当接面60に対しロックポスト33が水平方向に沿って当接すると共に、ポスト中心33Cとロック軸中心36Cとが同じ高さに位置する場合について述べた。
本発明はこれに限らず、要は、図12に示したロック軸中心36Cとポスト中心33Cとを通る仮想線L3がロックポスト33の外周面と接する部分における接線L4に第2ポスト当接面60が沿っていれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、解除レバー29を操作することによりロックレバー32及び第2レバー34を回動させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、ロックレバー32と第2レバー34とを異なる解除レバーにより回動させても良い。
また、システム筐体13から入出金機筐体15を引き出すときと押し込むときとで異なる解除レバーを用いても良い。また、行員が指を引っ掛けて入出金機筐体15を手前に引き出す部材と、ロックレバー32及び第2レバー34を回動させる解除レバー29とは異なる箇所に設けられていても良い。
さらに上述した実施の形態においては、システム筐体13に対し入出金機筐体15を水平方向に沿って移動させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、システム筐体に対し入出金機筐体を上下方向に沿って移動させる場合にも本発明を適用して良い。
さらに上述した実施の形態においては、ロック軸36を中心としてロックレバー32及び第2レバー34を回動させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、ロックレバーに対し第2レバーを上下に平行移動させる等、種々の動作を行っても良い。
さらに上述した実施の形態においては、入出金機筐体15をシステム筐体13にロックする際に本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、システム筐体13に対しスライドして引き出し可能な種々のユニットをシステム筐体13にロックする際に適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、入出金機筐体15をシステム筐体13の前側へ移動させることにより、その殆どをシステム筐体13の外部へ引き出した引出状態とするようにした場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えば入出金機筐体15をシステム筐体13の後側へ移動させることにより引出状態とするようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、入出金機筐体15がシステム筐体13の内部に収納され又はその外部へ引き出される出納システム1に本発明を適用するようにした場合について述べた。
本発明はこれに限らず、例えば紙幣処理部(図示せず)等の各部が筐体の内部に収納され又はその外部へ露出される現金自動預払機に本発明を適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、紙幣等の現金を入出する出納システム1の紙幣入出金機2において、媒体としての紙幣について搬送処理及び収納処理等の各処理を行うようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体を搬送処理及び収納処理等の各処理を行う種々の装置に適用するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、筐体としてのシステム筐体13と、引出としての入出金機筐体15と、ロックポストとしてのロックポスト33と、ロックレバーとしてのロックレバー32と、第2レバーとしての第2レバー34とによって引出装置としての紙幣入出金機2を構成する場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる筐体と、引出と、ロックポストと、ロックレバーと、第2レバーとによって引出装置を構成するようにしても良い。