以下、発明を実施するための形態について、図面を用いて詳細に説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
まず、第1の実施の形態について説明する。図1に示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て上下左右をそれぞれ上側、下側、左側及び右側と定義する。
筐体2の前面中央には、紙幣の入出口となる入出金口3が設けられている。また、この入出金口3の上方には、図示しない、カード入出口、操作表示部、レシート発行口などが設けられていて、顧客との間で現金、キャッシュカード、レシート等をやり取りすると共に、取引に関する情報の表示や操作の受付を行うようになっている。
筐体2の内部には、紙幣入出金機4が設けられている。紙幣入出金機4は、入金取引や出金取引等の種々の処理を行うユニットである。この紙幣入出金機4内の上部には、筐体2の前面中央に位置する入出金口3を有する紙幣入出金部10と、紙幣の金種や真偽を鑑別する鑑別部11と、入金紙幣などを一時的に収納する一時保留部12が設けられている。紙幣入出金部10の入出金口3には、シャッタ13が設けられていて、このシャッタ13が開閉することで、入出金口3を開放及び閉塞するようになっている。
また、紙幣入出金機4内の下部には、紙幣を金種別に収納する紙幣収納部14が設けられている。紙幣収納部14の内部には、上下方向に長い直方体形状でなる複数の収納カセット15(15A〜15D)が前後方向に並設されている。さらに、紙幣入出金機4内の後部には、装填庫16、取込庫17及びリジェクト庫18が上下方向に並設されている。さらに装填庫16は、その一部が集積庫16Aとリジェクト庫16Bになっている。
さらに、紙幣入出金機4の内部には、各部を繋ぐ搬送部19が設けられている。搬送部19は、図示しないローラやベルト等により、図中太線で示す搬送路に沿って紙幣を搬送するようになっている。また、搬送部19の分岐点には、図示しないセレクタが設けられていて、このセレクタにより、紙幣の搬送先を切り替えることができるようになっている。
さらに、紙幣入出金機4は、図2に示すように、紙幣収納部14が含まれる下部ユニット4Aと、装填庫16と取込庫17とリジェクト庫18が含まれる後部ユニット4Bとが、紙幣入出金機4の筐体4Cから後方へ引き出すようにして筐体4Cから図示せぬスライドレールにて後方へ引き出すことができ、また引き出した下部ユニット4Aと後部ユニット4Bとを、紙幣入出金機4の筐体4C内へ押し入れるようにして収納できるようになっている。
紙幣入出金機4は、このような構成でなり、鑑別部11による紙幣の鑑別結果等をもとに、図示しない制御部が各部を制御して、紙幣の入金処理及び出金処理を行う。
すなわち、現金自動預払機1は、入金取引時、シャッタ13を開き、その後、顧客によって入出金口3に紙幣が投入されると、シャッタ13を閉じて、投入された紙幣を紙幣入出金部10から1枚ずつ繰り出して鑑別部11に搬送する。ここで現金自動預払機1は、鑑別部11の鑑別結果に基づき入金可能紙幣と判定された紙幣については一時保留部12に搬送して一時的に収納する一方で、入金に適さない入金不可紙幣と判定された紙幣については紙幣入出金部10へ戻して、シャッタ13を開くことで顧客に返却する。
その後、顧客との間で入金取引が確定すると、現金自動預払機1は、一時保留部12に収納している紙幣を鑑別部11に搬送して鑑別結果を得る。ここで、現金自動預払機1は、鑑別部11の鑑別結果に基づき収納可能紙幣と判定された紙幣については、その金種に対応する収納カセット15(15A〜15D)へ搬送して収納する。一方で現金自動預払機1は、収納に適さない収納不可紙幣と判定された紙幣については、リジェクト庫18に搬送して保管する。
また、現金自動預払機1は、出金取引時、顧客からの要求金額に応じて必要な金種毎の紙幣枚数を認識し、この金種毎の紙幣枚数に応じて各収納カセット15(15A〜15D)から紙幣を繰り出して、鑑別部11に搬送して鑑別結果を得る。ここで、現金自動預払機1は、鑑別部11の鑑別結果に基づき出金可能紙幣と判定された紙幣については紙幣入出金部10に搬送する一方で、出金に適さない出金不可紙幣と判定された紙幣についてはリジェクト庫18へと搬送して保管する。そして、要求金額分の紙幣が紙幣入出金部10に集積されると、現金自動預払機1は、シャッタ13を開ける。
このようにして、現金自動預払機1は、紙幣の入金取引及び出金取引を行うようになっている。また、現金自動預払機1は、入金取引時及び出金取引時に、入出金部に搬送した紙幣で顧客が取り忘れた紙幣については、取込庫17に搬送して保管するようになっている。
さらに、現金自動預払機1は、紙幣補充時、装填庫16に装填されている紙幣を1枚ずつ装填庫16から繰り出して、鑑別部11に送る。ここで現金自動預払機1は、鑑別部11の鑑別結果に基づき補充可能紙幣と判定された紙幣については、その金種に対応する収納カセット15(15A〜15D)へ搬送して収納する一方で、補充に適さない補充不可紙幣と判定された紙幣については装填庫16のリジェクト庫16Bへ搬送して保管する。
このように、現金自動預払機1は、紙幣の補充を行うようになっている。また、現金自動預払機1は、装填庫16から1枚ずつ繰り出した紙幣を、鑑別部11を通して、装填庫16の集積庫16Aに集積することで、装填庫16に装填されている紙幣を計数できるようにもなっている。
[1−2.下部ユニットの構成]
次に、図3〜図6を用いて、紙幣入出金機4の下部ユニット4Aについて説明する。図3(A)の斜視図に示すように、下部ユニット4Aは、前後方向に長い直方体形状でなる下部フレーム30によって形成されている。この下部フレーム30には、複数の収納カセット15(15A〜15D)をそれぞれ収容する為の複数のカセット収容部31(31A〜31D)が前後方向に並設されている。各カセット収容部31は、収納カセット15の形状に合わせた形状(すなわち上下方向に長い直方体形状)でなり、上面が収納カセット15の挿入口となっている。尚、下部ユニット4Aは、この下部フレーム30の上側に、各カセット収容部31を覆う蓋状のフレームが開閉自在に取り付けられている場合もあるが、ここでは省略する。
つまり、下部フレーム30は、カセット収容部31の上方からカセット収容部31内に収納カセット15を挿入することで、収納カセット15をカセット収容部31に装着でき、また、カセット収容部31に装着されている収納カセット15を上方に引き出すことで、カセット収容部31から収納カセット15を取り外すことができるようになっている。
さらに、下部フレーム30は、左右両側面のうちの一側面(例えば左側面)の下部に、下半分を占有する程度の大きさでなる箱型の基板収容部32が設けられている。この基板収容部32は、左右方向の長さ(これを厚さとする)が、下部フレーム30の左右方向の長さよりも十分短くなっている。この基板収容部32の内部には、収納カセット15を駆動させる為のICなどが実装された基板が収容されている。
さらに、下部フレーム30の左側面には、基板収容部32の上方に、複数のカセット収容部31(31A〜31D)のそれぞれと連通する複数の孔33(33A〜33D)が形成されている。この孔33は、上下方向に長い長方形の孔であり、以下、フレーム側孔33と呼ぶ。
また、各収納カセット15の左側面にも、カセット収容部31に装着されたときにフレーム側孔33と対向する位置に、フレーム側孔33と同形状同サイズでなる孔34が設けられている。以下、この孔34を、カセット側孔34と呼ぶ。
これら、フレーム側孔33とカセット側孔34は、詳しくは後述するが、カセット収容部31から収納カセット15を取り外すことができないようにロックする為のロックレバーが挿入される孔である。尚、カセット側孔34については、ロックレバーが挿入される孔でなくてもよく、例えば、ロックレバーが嵌入される溝や凹みであってもよい。
さらに、下部フレーム30の左側面には、全てのフレーム側孔33を覆うことができるように前後方向に長く、図3(B)に示すように左右方向の長さが基板収容部32の厚さ以下でなる箱型のカセットロック部35が取り付けられている。
図3(C)に示すように、このカセットロック部35の裏面(下部フレーム30の左側面と対向する面)には、複数のフレーム側孔33のそれぞれと対向する位置に、ロック部側孔36(36A〜36D)が形成され、さらに、このロック部側孔36(36A〜36D)から外側に突出するロックレバー37(37A〜37D)が設けられている。
各ロックレバー37(37A〜37D)は、フレーム側孔33及びカセット側孔34に挿入可能な、断面が上下方向に長い長方形でなる板状のレバーでなり、図4(A)に示すように、先端が下部フレーム30のフレーム側孔33を通り、カセット収容部31に収容された収納カセット15のカセット側孔34に挿入されるようになっている。
このように、ロックレバー37をカセット側孔34に挿入することで、カセットロック部35は、図5に示すように、収納カセット15をカセット収容部31から上方に引き出そうとしても、カセット側孔34の下側の縁が、この縁と平行でなるロックレバー37の下面に引っ掛かって、引き出すことができないようになっている。このようにして、カセットロック部35は、収納カセット15をカセット収容部31から取り外すことができないようにロックする。
また、カセットロック部35は、図4(B)に示すように、裏面とは反対側の表面に設けられた鍵孔35Aに鍵38を差し込んで開錠方向に回す開錠操作が行われると、全てのロックレバー37を一括して内部に引き入れることにより、カセット収容部31から収納カセット15を取り外すことができるようにロックを解除する。尚、ここでは、ロックレバー37の先端が、フレーム側孔33を通過した状態をロック状態とし、ロックレバー37の先端が、フレーム側孔33を通過していない状態をロック解除状態とする。
また、カセットロック部35は、図6(A)に示すロック状態(すなわちロックレバー37の先端がフレーム側孔33を通過した状態)を維持するようにロックレバー37がバネなどにより裏面から外側に向かって突出する方向に付勢されている。さらに、ロックレバー37は、上面が先端側に向かって下方に傾斜する傾斜面となっていて、先細り形状となっている。より具体的には、収納カセット15を下部フレーム30に装着する方向の上流側から下流側へ向かうにつれて(すなわち下方に向かうにつれて)ロックレバー37がよりカセット収容部31内へ進入するような形状となっている。
また、ロックレバー37の下面には、左右方向に延びる水平面が形成され、ロックレバー37がロック状態のままで収納カセット15が取り外されようとした場合に、ロックレバー37の下面にカセット側孔34の下辺が接触することで、収納カセット15の取り外しを規制するようになっている。より好ましくは、ロックレバー37の下面に、収納カセット15を下部フレーム30から取り外す方向の上流側から下流側に向かって傾斜する傾斜面(つまりロックレバー37の下面の先端側よりも根元側の方が上方に位置するような傾斜面)を形成するようにしてもよい。このようにすれば、ロックレバー37がロック状態のままで収納カセット15を無理に取り外そうとしても、ロックレバー37がカセットロック部35側へ引き込まれてカセット側孔34から外れてしまうことを防止できる。
ここで、ロックレバー37をロック状態にしたまま、カセット収容部31の上方から収納カセット15をカセット収容部31内に挿入していくと、図6(B)に示すように、収納カセット15の底部がロックレバー37の傾斜面に当接する。さらに、収納カセット15を下方に挿入していくと、収納カセット15の底部と当接したロックレバー37は、バネなどの付勢に抗してカセットロック部35内へと押し込まれていくことで退避する(つまり一旦ロック解除状態となる)。
そのまま、さらに、収納カセット15を下方に挿入していき、カセット収容部31への装着が完了すると、図6(C)に示すように、ロックレバー37と対向する位置に、収納カセット15のカセット側孔34が到達することにより、ロックレバー37がバネの力で押し戻されてカセット側孔34に挿入され、ロック状態に戻る。
このように、カセットロック部35は、カセット収容部31に収納カセット15を装着する過程で、この収納カセット15を自動的にロックできるようになっている。
さらに、このカセットロック部35は、下部フレーム30に対して着脱可能となっている。より具体的には、下部フレーム30の外側において、カセットロック部35に設けられた図示しない締結箇所と下部フレーム30の左側面とを、ネジもしくはカシメにより締結することで、カセットロック部35が下部フレーム30に対して着脱可能に取り付けられるようになっている。また、このカセットロック部35は、上述したように箱型であり、且つ下部フレーム30に取り付けられたときに、ロックレバー37(37A〜37D)が突出する為のロック部側孔36(36A〜36D)などが設けられた裏面側が、下部フレーム30の左側面と密着する為、外部からカセットロック部35の内部にアクセスできないようになっている。このようにして、下部ユニット4Aは、カセットロック部35のセキュリティを確保している。
[1−3.カセットロック部の構成]
次に、図7〜図10を用いて、カセットロック部35の構成についてさらに詳しく説明する。図7(A)、図8(A)に示すように、カセットロック部35は、前後方向に長い箱型の筐体40の内部にロック機構41を有している。ロック機構41は、複数のロックレバー部42(42A〜42D)と、錠部43と、リンク部材44と、スライドバー45とで構成されている。
複数のロックレバー部42(42A〜42D)は、同一構成でなり、前後方向に所定の間隔を隔てて設けられている。図7(C)、図8(C)、図9(A)、(B)に示すように、各ロックレバー部42は、筐体40の裏面の内壁に沿って上下方向に延びる中央板部50と、中央板部50の両側面からそれぞれ中央板部50と直交するように筐体40の裏面の内壁側へと延びる側板部51A、51Bと、側板部51Aの上端から側板部51Aと直交するように側板部51Bの上端側へと延びる上板部52とで構成されている。また、各ロックレバー部42は、側板部51Aの下部に、ロックレバー37が一体に形成され、上板部52の上面に、円柱状のコロ53が取り付けられている。尚、各ロックレバー部42の中央板部50、側板部51A、51B及び上板部52は、強度を保つ為に1枚の金属板を折り曲げて成形されている。
さらに、各ロックレバー部42は、側板部51Aの上端近傍と側板部51Bの上端近傍との間を通る、筐体40の裏面と平行(すなわち下部フレーム30の左側面と平行)な軸60によって回転自在に支持されている。この軸60は、筐体40の裏面の内壁から突出する軸受け部61に嵌合されている。各ロックレバー部42は、この軸60を中心に回転することにより、ロックレバー37を、ロック部側孔36から筐体40の外側に突出させたり、また筐体40の内部に収容したりするようになっている。
尚、各ロックレバー部42は、回転軸となる軸60がロックレバー部42の上下方向の中央より上側に位置していることにより、軸60より下側の部分の方が、軸60より上側の部分より回転時の変位量が大きくなる。こうすることで、各ロックレバー部42は、軸60より上側の部分は筐体40内部に収容したまま、軸60より下側のロックレバー37のみを筐体40の外側に突出させたり、内部に収容したりすることができる。
さらに、各ロックレバー部42は、軸60に嵌入されたトーションバネ62により、ロックレバー37をロック部側孔36から突出させる方向(すなわちロック状態となる方向)に回転するよう付勢されている。
また、図7(A)、図8(A)に示すように、錠部43は、鍵孔35Aを有し、リンク部材44を介してスライドバー45と連結されている。錠部43は、リンク部材44の一端と接続されていて、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38が回されると、これに応じてリンク部材44を回転させるようになっている。
図7(A)〜(C)、図8(A)〜(C)に示すように、スライドバー45は、筐体40の正面と平行(すなわち下部フレーム30の左側面と平行)で前後方向に長いバーであり、各ロックレバー部42の上部と筐体40の正面の内壁との間に設けられている。スライドバー45は、リンク部材44の他端と接続されていて、リンク部材44が回転することにともなって(つまり鍵孔35Aに差し込まれた鍵38が回されることにともなって)、各ロックレバー部42(42A〜42D)の上部と筐体40の正面の内壁との間で、前後方向にスライドするようになっている。
このスライドバー45は、筐体2の正面の内壁に沿って前後方向に延びる中央板部70と、中央板部70の上面から中央板部70と直交するように筐体40の裏面の内壁側へと延びる上板部71と、中央板部70の下面から中央板部70と直交するように筐体40の裏面の内壁側へと延びる下板部72とで構成されている。尚、スライドバー45の中央板部70、上板部71及び下板部72も、強度を保つ為に1枚の金属板を折り曲げて成形されている。
さらに図10(A)、(B)に示すように、スライドバー45は、上板部71の先端面が、各ロックレバー部42のコロ53と当接するようになっている。各ロックレバー部42は、上述したように、トーションバネ62で付勢されていることにより、コロ53を常にスライドバー45の上板部71の先端面に押し付けるようになっている。尚、各ロックレバー部42とスライドバー45の下板部72は接触しない。
このスライドバー45の上板部71の先端面は、各ロックレバー部42のコロ53と接触する範囲が、筐体40の裏面の内側との距離が異なる2つの平面71A、71Bをなだらかな傾斜で繋いだ段差形状となっている。
したがって、スライドバー45は、前後方向にスライドすると、各ロックレバー部42のコロ53と接触する箇所が、段差の一方の平面71Aから他方の平面71Bへ、又はその逆へと切り換わる。
実際、図10(A)に示すように、各ロックレバー部42は、コロ53と接触する箇所が、スライドバー45の平面71Bから平面71Aへと切り替わると、平面71Aの方が、筐体40の裏面の内壁との距離が遠い分、コロ53が当該内壁から遠ざかる。これにともなって、各ロックレバー部42は、ロックレバー37を、筐体40の外部に突出させる方向(すなわちロック状態となる方向)に回転する。この結果、ロックレバー37が筐体40の外部に突出してロック状態となる。
一方で、図10(B)に示すように、各ロックレバー部42は、コロ53と接触する箇所が、スライドバー45の平面71Aから平面71Bへと切り替わると、平面71Bの方が、筐体40の裏面の内壁との距離が近い分、コロ53が当該内壁に近づく。これにともなって、各ロックレバー部42は、ロックレバー37を筐体40内部に収容する方向(すなわちロック解除状態となる方向)に回転する。この結果、ロックレバー37が筐体40の内部に収容され、ロック解除状態となる。
尚、ロックレバー部42は、コロ53が平面71Aに接触しているときに、ロックレバー37が筐体40の外部に所定量突出するようになっている。この場合の所定量とは、ロックレバー37の先端が、少なくともフレーム側孔33を通ってカセット側孔34まで到達する量である。
このようにスライドバー45は、前後方向にスライドすることにともなって、各ロックレバー部42を回転させることができ、これにより、各ロックレバー37を筐体40の外部に突出させてロック状態に遷移させたり、筐体40の内部に収容してロック解除状態に遷移させたりできるようになっている。
尚、スライドバー45は、施錠時には、各ロックレバー部42のコロ53と、平面71Aが接触する位置にあり、開錠時には、各ロックレバー部42のコロ53と、平面71Bが接触する位置にある。
カセットロック部35のロック機構41は、このような構成となっている。かくして、カセットロック部35は、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38が開錠方向に回されると、これにともなってスライドバー45がスライドすることにより、各ロックレバー部42を回転させて各ロックレバー37をロック解除状態に切り替える。このようにして、カセットロック部35は、カセット収容部31に装着された収納カセット15のロックを解除する。
また、カセットロック部35は、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38が施錠方向に回されると、これにともなってスライドバー45がスライドするとともに、各ロックレバー部42がロック状態となる方向に付勢されていることにより、各ロックレバー部42を、開錠時とは逆方向に回転させて各ロックレバー37をロック状態に切り替える。このようにして、カセットロック部35は、カセット収容部31に装着された収納カセット15をロックする。その後、鍵孔35Aから鍵38が抜かれても、各ロックレバー37は、トーションバネ62によりロック状態を維持する。
[1−4.まとめと効果]
ここまで説明したように、現金自動預払機1は、カセット収容部31を有する下部フレーム30を紙幣入出金機4の筐体4Cから引き出されるようになっている。そのうえで、第1の実施の形態では、下部フレーム30の側面に、着脱可能で、各カセット収容部31から各収納カセット15を取り外すことができないようにロックする為のカセットロック部35を取り付けるようにした。
下部フレーム30は、このカセットロック部35が取り付けられていることにより、各カセット収容部31から各収納カセット15を取り外すことができないようにロックすることができる。この結果、下部フレーム30は、各カセット収容部31から各収納カセット15が取り外されることを規制できる構成、つまりスタッカ構成となる。
一方で、下部フレーム30は、このカセットロック部35が取り外されると、各収納カセット15をカセットロック部35による規制を受けずに各カセット収容部31から取り外すことができる。この結果、下部フレーム30は、各収納カセット15がカセットロック部35による取り外しの規制を受けない構成、つまりカセット構成となる。
このように、現金自動預払機1は、カセットロック部35を下部フレーム30に取り付けるか、下部フレーム30から取り外すかといった簡易な作業で、カセット構成とスタッカ構成とを切り換えることができ、かくして、従来と比して容易にカセット構成とスタッカ構成とを切り換えることができる。また、現金自動預払機1は、カセットロック部35が、複数のロックレバー部42や錠部43を有するロック機構41をアセンブリ化(一体化)したものである為、このカセットロック部35を下部フレーム30に着脱するだけで容易にカセット構成による運用とスタッカ構成による運用とを切り換えることができる。
また、カセットロック部35では、収納カセット15のカセット側孔34に先端が挿入されることで収納カセット15をロックするロックレバー37を、ロック状態を維持するようにトーションバネ62で付勢するようにした。そのうえで、ロックレバー37の形状を、収納カセット15をカセット収容部31に挿入するときに収納カセット15に押されてロック解除状態となる方向に退避する形状(すなわち上面が下方に傾斜していて先細りとなっている形状)とした。
これにより、カセットロック部35は、ロックレバー37をロック状態にしたまま、収納カセット15がカセット収容部31に挿入されていくと、収納カセット15の底部がロックレバー37に当接して押されることで一旦ロック解除状態となり、さらに収納カセット15を挿入していき、収納カセット15がカセット収容部31に完全に装着されると、ロックレバー37が、収納カセット15のカセット側孔34に到達することでカセット側孔34へと入り込みロック状態に戻る。
このように、カセットロック部35は、カセット収容部31に収納カセット15を装着するだけで、この収納カセット15を自動的にロックすることができる。また、カセットロック部35は、ロックレバー37が収納カセット15に当接するとロック状態からロック解除状態へと退避する構造となっている為、ロックレバー37が破損することを防止できる。
また、第1の実施の形態では、下部フレーム30の左側面の上部に取り付けられるカセットロック部35の厚さ(左右方向の長さであり下部フレーム30の左側面からの突出量)を、下部フレーム30の左側面の下部に設けられた基板収容部32の厚さ(左右方向の長さであり下部フレーム30の左側面からの突出量)以下とした。
この為、現金自動預払機1では、カセットロック部35を下部フレーム30に取り付けても、基板収容部32の厚さを含めた下部フレーム30の幅(左右方向の長さ)は変わらない。これにより、現金自動預払機1は、下部フレーム30の左側面に新たにカセットロック部35を取り付ける構成でありながら、下部フレーム30を収納する紙幣入出金機4の筐体4Cのサイズを変更する必要がなく、既存の紙幣入出金機4をそのまま流用することができる。
さらに、カセットロック部35は、鍵孔35Aに1個の鍵38を差し込んで開錠方向に回すと、全てのロックレバー37(37A〜37D)をロック解除状態となるようにした。これにより、すべての収納カセット15(15A〜15D)のロックを一括で解除することができる。また、カセットロック部35は、鍵孔35Aに1個の鍵38を差し込んで施錠方向に回すと、全てのロックレバー37(37A〜37D)をロック状態となるようにした。これにより、すべての収納カセット15(15A〜15D)を一括でロックすることもできる。
さらに、カセットロック部35は、筐体40の正面に設けられた鍵孔35Aに挿入された鍵38が回されると、この力を利用してスライドバー45を筐体40の正面と平行(すなわち下部フレーム30の左側面と平行)な前後方向にスライドさせる。さらに、カセットロック部35は、スライドバー45の上板部71に形成されている、筐体40の裏面との距離が異なる2つの平面71A、71Bからなる段差に、各ロックレバー部42のコロ53を当接させ、スライドバー45が前後方向にスライドすると、各ロックレバー部42のコロ53と当接する箇所が、段差の平面71Aから平面71Bへ、またはその逆へと切り替わることで、各ロックレバー部42をロックレバー37がロック解除状態となる方向、またはロック状態となる方向に回転させるようにした。
このように、カセットロック部35は、厚さ方向に可動する範囲を極力小さくすることで、筐体40の厚さを極力薄くできるので、下部フレーム30の左側面に取り付けられたときに、下部フレーム30の左側面からの突出量を極力小さくできる。さらに、可動部分であり大きな力が加わるスライドバー45と、ロックレバー部42については、金属板を折り曲げ加工してなる曲げ部(上板部71及び下板部72と、側板部51A及び51B)を有する形状としたことで、十分な強度を確保することができる。
[2.第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、カセットロック部の構成が、第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。カセットロック部以外の構成については、第1の実施の形態と同様である為、詳しい説明については第1の実施の形態を参照とする。よって、ここでは、カセットロック部の構成について説明する。
[2−1.カセットロック部の構成]
図11、図12(A)〜(D)を用いて、第2の実施の形態のカセットロック部100の構成について説明する。カセットロック部100は、第1の実施の形態のカセットロック部35に鍵孔35Aを覆う鍵孔カバー101を追加した構成となっている。尚、図11、図12では、第1の実施の形態のカセットロック部35と同一部分については同一の符号を付してある。
鍵孔カバー101は、長方形板状でなる金属製のカバーであり、上下方向の長さが、筐体40の正面の上下方向の長さよりわずかに長く、前後方向の長さが、鍵孔35Aの前後方向の長さより十分長くなっている。
この鍵孔カバー101は、筐体40の正面と対向する裏面の上端部に突設された突部101Aが、筐体40の上面の、鍵孔35Aの上方に位置する箇所に突設されたカバー取り付け部102に、前後方向に延びる軸103を介して回転自在に支持されている。
これにより、鍵孔カバー101は、筐体40の正面に近づく方向及び正面から遠ざかる方向に回動することができ、筐体40の正面に近づけられることで、鍵孔35Aを覆い、筐体40の正面から遠ざけられることで、鍵孔35Aを露出させる。尚、鍵孔カバー101は、前側の側面が、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38より前側に位置し、且つ後側の側面が、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38より後側に位置するように、筐体40に取り付けられている。また、鍵孔カバー101は、自重により鍵孔35Aを覆う方向へ回動することが可能な程度に、その回動角度が規制されていることが望ましい。
この鍵孔カバー101は、鍵孔35Aに鍵38が差し込まれているときには、鍵孔35Aから突出している鍵38の頭部の外側に位置することになる。ここで、図13に示すように、この状態のまま、下部フレーム30を、紙幣入出金機4の筐体4Cに収納する為に、筐体4Cに挿入していくとする。
このとき、鍵孔カバー101が、カセットロック部100の正面より外側に出っ張っている為、鍵孔カバー101の前側の側面が筐体4Cと衝突して、それ以上、下部フレーム30を挿入できなくなる。
この時点で、作業者は、鍵孔35Aに鍵38が差したままであることに気付くことができ、例えば、鍵孔35Aから鍵38を引き抜いて、鍵孔カバー101を閉じてから、再度、下部フレーム30を、筐体4Cに挿入することになる。
このように、現金自動預払機1は、鍵孔35Aに鍵38が差し込まれたまま、下部フレーム30が、紙幣入出金機4の筐体4Cに挿入されたときに、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38よりも先に、鍵孔カバー101が筐体4Cに衝突するようにしたことで、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38が筐体4Cに衝突して折れてしまうことを防止することができる。
実際、鍵孔35Aに差し込まれた状態で鍵38が折れてしまうと、鍵38の一部が、鍵孔35Aの中に残ってしまう状況が起こり得る。この場合、この鍵38の一部を鍵孔35Aの中から取り出すまで、下部フレーム30を、紙幣入出金機4の筐体4Cに収納できなくなる為、長時間、現金自動預払機1を利用できなくなってしまう。
第2の実施の形態の現金自動預払機1では、このような状況を、鍵孔カバー101を設けることで回避できるようになっている。
[2−2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第2の実施の形態の現金自動預払機1は、カセットロック部100に鍵孔35Aを覆う鍵孔カバー101を設け、鍵孔35Aに鍵38を差し込んだままの状態で、下部フレーム30が、紙幣入出金機4の筐体4Cに挿入された場合、鍵孔カバー101が、筐体4Cと衝突することで、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38が、筐体4Cと衝突することを防ぐようにした。
これにより、現金自動預払機1は、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38が、紙幣入出金機4の筐体4Cと衝突して折れてしまうことを防ぐことができる。
[3.第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態は、下部フレームのカセットロック部の取り付け箇所が、第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。下部フレームとカセットロック部と収納カセット以外の構成については、第1の実施の形態と同様である為、詳しい説明については第1の実施の形態を参照とする。よって、ここでは、下部ユニットとカセットロック部と収納カセットの構成について説明する。
[3−1.下部フレーム、カセットロック部、収納カセットの構成]
図14、図15を用いて、紙幣入出金機4の下部フレーム200、カセットロック部201、収納カセット202について説明する。尚、図14、図15では、第1の実施の形態の下部フレーム30、カセットロック部35、収納カセット15と同一部分については同一の符号を付してある。
図14(A)、(B)に示すように、下部フレーム200は、カセットロック部201の取り付け箇所が、基板収容部32と同一の左側面ではなく、下面となっている。尚、下部フレーム200の下面と、下部フレーム200を収容する紙幣入出金機4の筐体4Cの底部との間には、カセットロック部201の厚さよりわずかに大きい隙間が形成されている。よって、下部フレーム200の下面に、カセットロック部201を取り付けても、紙幣入出金機4の筐体4Cのサイズを変更する必要がなく、既存の紙幣入出金機4をそのまま流用することができる。
この下部フレーム200は、下面のカセットロック部201を取り付ける箇所に、複数のカセット収容部31(31A〜31D)のそれぞれと連通する複数のフレーム側孔203(203A〜203D)が形成されている。
また、各収納カセット202には、その下面に、カセット収容部31に装着されたときにフレーム側孔203と対向する位置に、フレーム側孔203と同形状同サイズでなるカセット側孔204が形成されている。
さらに、下部フレーム200の下面には、全てのフレーム側孔203(203A〜203D)を覆うカセットロック部201が取り付けられている。
このカセットロック部201の一側面(例えば左側面)には鍵孔35Aが設けられ、このカセットロック部201の上面(下部フレーム200の下面と対向する面)には、複数のフレーム側孔203(203A〜203D)のそれぞれと対向する位置に、ロック部側孔205(205A〜205D)が形成されている。さらに、カセットロック部201は、各ロック部側孔205(205A〜205D)から外側に突出するロックレバー206(206A〜206D)が設けられている。
各ロックレバー206は、それぞれの先端が下部フレーム200の各フレーム側孔203を通過して、カセット収容部31に収容された収納カセット202のカセット側孔204に挿入されるようになっている。
図15(A)に示すように、各ロックレバー206は、カセット側孔204から収納カセット202内に挿入される部分に、収納カセット202の下面の内壁と対向するかえし面206Aが形成されている。さらに、各ロックレバー206は、このかえし面206Aと上端との間の面が、上端からかえし面206Aに向かって傾斜する傾斜面となっていて、全体としてフック形状となっている。
各ロックレバー206は、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38が回されることに応じて、かえし面206Aが収納カセット202の下面の内壁の上に位置するロック状態(図15(A)の状態)から、収納カセット202の下面のカセット側孔204の延長上に位置するロック解除状態(図15(B)に示す状態)へ、またその逆へと回転できるようになっている。尚、各ロックレバー206は、かえし面206Aがカセット側孔204の延長上に位置するとき、かえし面206Aだけでなく、ロックレバー206全体が、カセット側孔204の延長上に位置するようになっている。
そして、各ロックレバー206は、かえし面206Aが収納カセット202の下面の内壁の上に位置するロック状態にあるとき、収納カセット202を上方に引き出そうとしても、収納カセット202の下面の内壁が、かえし面に引っ掛かることで、引き出すことができない。このようにして、各ロックレバー206は、収納カセット202をロックするようになっている。
また、各ロックレバー206は、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38が開錠方向に回転させられると、全体が収納カセット202のカセット側孔204の延長上に位置するように回転して、収納カセット202の下面の内壁に引っ掛かる部分が無くなることにより、収納カセット202を上方に引き出すことができるロック解除状態となる。このようにして、ロックレバー206は、収納カセット202のロックを解除するようになっている。
さらに、ロックレバー206は、かえし面206Aが収納カセット202の下面の内壁の上に位置する状態(つまりロック状態)を維持するようにバネなどにより付勢されている。
ここで、図15(C)に示すように、ロックレバー206をロック状態にしたまま、カセット収容部31の上方から収納カセット202をカセット収容部31内に挿入していくと、収納カセット202のカセット側孔204の縁がロックレバー206の傾斜面に当接する。さらに、図15(D)に示すうように、収納カセット202を下方に挿入していくと、収納カセット202のカセット側孔204の縁によって、ロックレバー206が収納カセット202のカセット側孔204の内側へと押されてロック解除状態へと一旦退避することにより、ロックが解除された状態となる。
そのまま、さらに、収納カセット202を下方に挿入していき、収納カセット202がカセット収容部31に完全に装着されると、このとき、図15(A)に示すように、収納カセット202のカセット側孔204の縁が、ロックレバー206の傾斜面を通り過ぎることにより、ロックレバー206が押し戻されて、かえし面206Aが収納カセット202の下面の上に位置することにより、ロック状態に戻る。
このように、カセットロック部201は、カセット収容部31に収納カセット202を装着する過程で、この収納カセット202を自動的にロックできるようになっている。
さらに、このカセットロック部201は、下部フレーム200に対して着脱可能となっている。詳しい説明は省略するが、カセットロック部201は、ロックを解除する鍵38を利用して下部フレーム200から取り外したり取り付けたりできるようになっている。
[3−2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第3の実施の形態では、下部フレーム200の下面に、着脱可能で、カセット収容部31から収納カセット202を取り外すことができないようにロックする為のカセットロック部201を取り付けるようにした。
この場合も、現金自動預払機1は、カセットロック部201を下部フレーム200に取り付けるか、下部フレーム200から取り外すかといった簡易な作業で、カセット構成とスタッカ構成とを切り換えることができ、かくして、従来と比して容易にカセット構成とスタッカ構成とを切り換えることができる。
また、第3の実施の形態のカセットロック部201も、カセット収容部31に収納カセット202を装着するだけで、この収納カセット202を自動的にロックすることができ、また、ロックレバー206が収納カセット202に当接するとロック状態からロック解除状態へと退避する構造となっている為、ロックレバー206が破損することを防止できる。
[4.他の実施の形態]
[4−1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1の実施の形態では、カセットロック部35によって、下部ユニット4Aに装着される複数の収納カセット15(15A〜15D)の全てをロックするようにした。これに限らず、例えば、図16に示すように、カセットロック部35に設けられている複数のロックレバー37(37A〜37D)のうちの任意のロックレバー37(例えばロックレバー部37D)を、ロックレバー部42ごとカセットロック部35から取り外すことで、下部ユニット4Aに装着される複数の収納カセット15のうちの特定の収納カセット15(例えば収納カセット15A〜15C)のみをロックするようにしてもよい。このようにすれば、現金自動預払機1を、スタッカ構成とカセット構成を混在させた構成とすることができる。このことは、第2及び第3の実施の形態についても同様である。
[4−2.他の実施の形態2]
また、上述した第3の実施の形態では、下部フレーム200のカセット収容部31に収納カセット202を挿入していくと、ロック状態のロックレバー206が収納カセット202に押されてロック解除状態へと退避することで一旦ロックが解除された状態となり、さらに収納カセット202を挿入していき、収納カセット202が完全に装着されると、退避していたロックレバー206が元のロック状態に戻ることで、収納カセット202を自動的にロックするようにした。
これに限らず、図17(A)、(B)に示すように、鍵孔35Aに差し込んだ鍵38を開錠方向に回して、ロックレバー300によるロック状態を解除してからでないと、下部フレーム200のカセット収容部31に収納カセット202を装着することができず、またカセット収容部31に収納カセット202を装着した後、鍵38を施錠方向に回して、ロックレバー300をロック状態に遷移させないと、収納カセット202をロックできないようにしてもよい。
具体的には、カセットロック部201に、L字型に折り曲げられた棒状でなるロックレバー300を設けるようにする。このロックレバー300は、カセットロック部201の上面から上方に延びる根元部300Aと、根元部300Aの先端から根元部300Aと直交する方向に延びる先端部300Bとで構成され、全体としてL字型のフック形状となっている。
このロックレバー300は、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38が開錠方向に回されると、根元部300Aを軸に回転して、根元部300Aと先端部300Bの両方がフレーム側孔203の延長上に収まることにより、ロック解除状態となる。このとき、下部フレーム200では、カセット収容部31に収納カセット202を装着したり、取り外したりできる状態となる。
一方で、このロックレバー300は、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38が施錠方向に回されると、根元部300Aを軸に回転して、先端部300Bが、フレーム側孔203の延長上からはみ出すことにより、ロック状態となる。このとき、下部フレーム200では、カセット収容部31に収納カセット202を装着することはできず、また装着された収納カセット202をロックした状態となる。
このように動作するロックレバー300により、鍵38を用いて手動で施錠したり、開錠したりしないと、収納カセット202を装着したり取り外したりできないようにすることができる。
尚、上述した第1の実施の形態についても同様に、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38が開錠方向に回された場合にのみ、ロックレバー37をカセットロック部35の内部へと収容し、鍵孔35Aに差し込まれた鍵38が施錠方向に回された場合にのみ、ロックレバー37をカセットロック部35から突出するような構造にして、手動で施錠したり開錠したりしないと、収納カセット15を装着したり取り外したりできないようにしてもよい。この場合、ロックレバー37の形状については、先細り形状でなくてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
[4−3.他の実施の形態3]
また、上述した第1及び第2の実施の形態では、カセットロック部35の正面に鍵孔35Aを設けるようにしたが、これに限らず、上面や側面に鍵孔35Aを設けるようにしてもよい。第3の実施の形態についても同様に、カセットロック部201の左側面に鍵孔35Aを設けるようにしたが、前面や後面、右側面に鍵孔35Aを設けるようにしてもよい。
[4−4.他の実施の形態4]
さらに、上述した第1の実施の形態では、装填庫16と取込庫17とリジェクト庫18が含まれる後部ユニット4Bが実装された現金自動預払機1について説明したが、これに限らず、後部ユニット4Bについては、現金自動預払機1に実装されていなくてもよい。
[4−5.他の実施の形態5]
さらに、上述した第1の実施の形態では、下部フレーム30の外側において、カセットロック部35の締結箇所と下部フレーム30の左側面の所定箇所とを、ネジもしくはカシメにより固定することで、カセットロック部35を下部フレーム30に対して着脱可能に取り付けるようにした。これに限らず、例えば、カセットロック部35の裏面などに締結箇所を設け、この締結箇所と下部フレーム30の左側面とを、下部フレーム30の内側となるカセット収容部31内から、ネジもしくはカシメにより固定することで、カセットロック部35を下部フレーム30に対して着脱可能に取り付けるようにしてもよい。この場合、収納カセット15がカセット収容部31に装着されているとき、下部フレーム30にカセットロック部35を固定しているネジもしくはカシメ等の締結箇所を、収納カセット15で覆うような状態となる。したがって、カセット収容部31から収納カセット15を取り外した状態でないと、カセットロック部35を下部フレーム30に対して着脱できなくなる為、カセット収容部31から収納カセット15を取り外すときに必要となる鍵38がないとカセットロック部35を着脱することもできなくなり、セキュリティが向上する。
[4−6.他の実施の形態6]
さらに、上述した各実施の形態では、本発明を、媒体処理装置としての現金自動預払機1に適用したが、これに限らず、収納カセットを装着可能で、筐体に対して引出及び収納可能なフレームを有する媒体処理装置であれば、現金自動預払機1とは異なる構成の自動取引装置にも適用できる。例えば、紙、切符など、紙幣以外の媒体を扱う自動取引装置であっても、収納カセットを装着可能で、筐体に対して引出及び収納可能なフレームを有する媒体処理装置であれば適用できる。
さらに、上述した各実施の形態では、紙幣入出金機4の筐体4Cから引出及び収納可能で収納カセット15、202を装着可能なフレームの具体例として、下部フレーム30、200を用いたが、これに限らず、筐体から引出及び収納可能で収納カセットを装着可能なフレームであれば、下部フレーム30、200とは構造が異なるフレームを用いるようにしてもよい。
さらに、上述した各実施の形態では、フレームに装着された収納カセットがフレームから取り外されることを規制する着脱規制部の具体例として、カセットロック部35、100、201を用いたが、これに限らず、収納カセットがフレームから取り外されることを規制することができるものであれば、カセットロック部35、100、201とは構成が異なる着脱規制部を用いてもよい。
さらに、上述した各実施の形態では、フレームから収納カセットが取り外されることを規制する規制部材の具体例として、ロックレバー37、206、300を用いたが、これに限らず、フレームから収納カセットが取り外されることを規制できるものであれば、ロックレバー37、206、300とは構成が異なる規制部材を用いてもよい。例えば、カセットロック部35側に、ロックレバー37に代えて左右方向に移動可能でカセット側孔34に挿入されるピンを設け、このピンとカセット側孔34とで、収納カセット15の取り外しを規制するようにしてもよい。また、例えば、収納カセット15側に、カセット側孔34に代えて凸部を形成するとともに、カセットロック部35側には、ロックレバー37に代えて収納カセット15側に形成した凸部が引っ掛かるフック形状でなる規制部材を設け、収納カセット15を取り外そうとしたときに、収納カセット15側の凸部が、カセットロック部35の規制部材に引っ掛かることで、収納カセット15の取り外しを規制するようにしてもよい。
さらに、上述した第1の実施の形態では、各ロックレバー37を、下部フレーム30から収納カセット15を取り外すことができないようにするロック状態、又は下部フレーム30から収納カセット15を取り外すことができるようにするロック解除状態に切り替える為のロック機構として、複数のロックレバー部42(42A〜42D)と、錠部43と、リンク部材44と、スライドバー45とでなるロック機構41を用いたが、これに限らず、各ロックレバー37をロック状態又はロック解除状態に切り替えることができるものであれば、ロック機構41とは異なる構造のロック機構を用いるようにしてもよい。
さらに、上述した第1の実施の形態では、カセットロック部35において、スライドバー45により1つの錠部43で複数のロックレバー37をロック状態からロック解除状態へと一括で切り替えるようにしたが、これに限らず、複数のロックレバー37ごとに錠部43を設け、各ロックレバー37を個別にロック状態からロック解除状態へと切り替えるようにしてもよい。第2、第3の実施の形態についても同様である。尚、このように錠部43を複数設けると、鍵孔35Aも複数設けることになる。この場合、複数の鍵孔35Aのそれぞれを覆う複数の鍵孔カバー101を設けるようにしてもよいし、複数の鍵孔35Aの全てを覆う1個の鍵孔カバー101を設けるようにしてもよい。
さらに、上述した第1の実施の形態では、ロック機構41に、下部フレーム30に収納カセット15が装着されているかどうかに依らず、常に各ロックレバー37をロック状態となる方向へ付勢する付勢手段の具体例として、トーションバネ62を用いたが、これに限らず、常に各ロックレバー37をロック状態となる方向へ付勢できるものであれば、トーションバネ62以外の付勢部材を用いてもよい。
さらに、上述した第2の実施の形態では、鍵孔35Aに鍵38が差し込まれたままの状態で下部フレーム30が筐体4Cに収納されることを規制する鍵孔カバーの具体例として、鍵孔カバー101を用いたが、これに限らず、鍵孔35Aに鍵38が差し込まれたままの状態で下部フレーム30が筐体4Cに収納されることを規制できるものであれば、鍵孔カバー101とは構成が異なる鍵孔カバーを用いてもよい。
さらに、上述した第1の実施の形態では、各ロックレバー37をロック状態からロック解除状態となる方向に可動させるスライドバーの具体例として、スライドバー45を用いたが、これに限らず、ロックレバー37をロック状態からロック解除状態となる方向に可動させることができるものであれば、スライドバー45とは構造が異なるスライドバーを用いてもよい。
さらに、上述した第1の実施の形態では、規制部材と一体に形成されていてスライドバーのスライドにともなって回転する回転部材の具体例として、ロックレバー部42を用いたが、これに限らず、規制部材と一体に形成されていてスライドバーのスライドにともなって回転することができるものであれば、ロックレバー部42とは構成が異なる回転部材を用いてもよい。
さらに、上述した第1の実施の形態では、フレームの側面から突出する突出部の具体例としての基板収容部32が下部フレーム30の左側面に設けられ、カセットロック部35の突出量を、基板収容部32の突出量以下とした。これに限らず、下部フレーム30の左側面に基板収容部32以外の突出部が設けられていてもよい。この場合も、カセットロック部35の突出量を、この突出部の突出量以下とすればよい。
[4−7.他の実施の形態7]
さらに、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した第1〜第3の実施の形態と他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。