以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動取引装置の構成]
図1に外観を示すように、現金自動取引装置1は、箱状の装置筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者(すなわち金融期間の顧客)との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。以下では、現金自動取引装置1のうち利用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した利用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
装置筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、カード入出口4、紙幣入出金部5、操作表示部6及び通帳挿入排出口7が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。紙幣入出金部5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。通帳挿入排出口7は、取引の際に通帳を挿入されると共に、該通帳や取引明細書を排出する。
[1−2.現金自動取引装置の内部構成]
図2に示すように現金自動取引装置1の装置筐体2内には、該現金自動取引装置1全体を統括制御する制御部10が収納されると共に、該制御部10の制御のもと、紙幣の入金処理及び出金処理等を行う紙幣処理機11が収納されている。紙幣処理機11は、金庫筐体15及び上部ユニット13を有し、該金庫筐体15に上部ユニット13が載上されている。制御部10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。また制御部10は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
金庫筐体15は、比較的厚い複数の金属板を組み合わせるようにして略箱型に形成され、装置筐体2内に固設されている。また金庫筐体15内には、上端部が開放された略箱型の収納庫装填ケース16が収納されている。収納庫装填ケース16は、最も前側の収納庫装填位置に、破損している紙幣や折れ曲がっている紙幣等のような異常な紙幣であるリジェクト紙幣を収納するリジェクト庫19が着脱可能に装填されている。また収納庫装填ケース16は、最も前側の収納庫装填位置を除く他の複数箇所の収納庫装填位置に、それぞれ入金用及び出金用の紙幣を金種別に収納する複数(例えば5個)の紙幣収納庫20乃至24が着脱可能に装填されている。
リジェクト庫19は、上端部内に、搬送ガイドやローラ等の複数種類の搬送路形成部品を有する収納庫搬送部19Aが一体に設けられている。収納庫搬送部19Aは、複数種類の搬送路形成部品により、リジェクト庫19内にリジェクト紙幣を取り込むように搬送する収納庫搬送路19AXを形成している。
紙幣収納庫20乃至24には、それぞれ上端部内に、搬送ガイドやローラ、ローラ駆動モータ等の複数種類の搬送路形成部品を有する収納庫搬送部20A乃至24Aが一体に設けられている。収納庫搬送部20A乃至24Aは、複数種類の搬送路形成部品により、紙幣収納庫20乃至24内に紙幣を取り込み、また紙幣収納庫20乃至24内から紙幣を繰り出すように搬送する収納庫搬送路20AX乃至24AXを形成している。
上部ユニット13は、上部筐体25及び振分搬送部26を有し、該上部筐体25の下面に振分搬送部26が取り付けられている。上部筐体25内には、紙幣入出金部5が配置され、該紙幣入出金部5の後ろ斜下に鑑別部28が配置されると共に、紙幣入出金部5及び鑑別部28の後側に一時保留部29が配置されている。また上部筐体25内には、鑑別部28の後側と紙幣入出金部5及び一時保留部29とを接続し、鑑別部28の前側と紙幣入出金部5とを接続する上部筐体搬送路25Aが設けられている。上部筐体搬送路25Aは、図示しないローラやベルト等により、図中太線で示す搬送路に沿って長方形の紙幣を短辺方向に搬送する。
振分搬送部26は、振分搬送部筐体27を有し、複数種類の搬送路形成部品により、リジェクト紙幣や正常な紙幣を、搬送先を適宜切り換えてリジェクト庫19や紙幣収納庫20乃至24へ振り分けるように搬送する振分搬送路26Aを形成している。振分搬送路26Aは、2箇所の上端部が上部筐体搬送路25Aの下端部に接続されている。また振分搬送部筐体27は、振分搬送部26における後述する受渡搬送部33乃至38との搬送路接続部分である図2に示す振分搬送部固定ガイド42を、該振分搬送部筐体27の下端よりも下側に突出させている。この振分搬送部固定ガイド42は、下端部が全体として櫛歯状に形成されており、左右方向に沿って複数の爪体が離散的に、すなわち左右方向に所定の間隔でなる隙間を形成しながら配置されている。
金庫筐体15の金庫天板15Tには、収納庫搬送部19A乃至24Aに対応させて、左右に長い略長方形状の角孔でなる図4に示す金庫孔部15TAが上下方向に貫通するよう穿設されている。このため金庫筐体15における金庫孔部15TAの前端面には、上下左右方向(鉛直方向)に沿う平面である金庫孔部端面15SFが形成され、金庫筐体15における金庫孔部15TAの後端面には、鉛直方向に沿う平面である金庫孔部端面15SBが形成されている。以下では金庫孔部端面15SF及び15SBをまとめて金庫孔部端面15Sとも呼ぶ。
金庫筐体15における金庫孔部15TAの左右両側の縁部には、断面略S字形状の金属板でありそれぞれ受渡搬送部33乃至38の後述する受渡ガイドブラケット48に向かって延びる金庫側ブラケット44が固定されている。図4(B)に示すように金庫側ブラケット44は、金庫筐体15における金庫孔部15TAの左右方向の外側の縁部から、水平方向に沿って左右方向の内側に向かって延び、下方向に垂直に屈曲し、下端部においてさらに左右方向の内側に向かって伸びている。
金庫天板15Tのそれぞれの金庫孔部15TAには、振分搬送部26と収納庫搬送部19A乃至24Aとを連結する図1及び図2に示す受渡搬送部33乃至38が受渡ガイドブラケット48(図4)を介し1個ずつ挿入されるようにして取り付けられている。受渡搬送部33は、複数種類の搬送路形成部品により、リジェクト紙幣を振分搬送路26Aから収納庫搬送路19AXへ受け渡すように一方向に搬送する受渡搬送路33Aを形成している。受渡搬送路33Aは、上端部が振分搬送路26Aの複数箇所の下端部のうち対応する最も前の1箇所の下端部に接続される。また受渡搬送路33Aは、下端部が収納庫搬送路19AXの上端部に接続される。
また受渡搬送部34乃至38は、それぞれ複数種類の搬送路形成部品により、紙幣を振分搬送路26Aから対応する収納庫搬送路20AX乃至24AXへ受け渡し、また対応する収納庫搬送路20AX乃至24AXから振分搬送路26Aへ受け渡すように双方向に搬送する受渡搬送路34A乃至38Aを形成している。受渡搬送路34A乃至38Aは、それぞれ上端部が振分搬送路26Aの対応する下端部に接続される。また受渡搬送路34A乃至38Aは、それぞれ下端部が対応する収納庫搬送路20AX乃至24AXの上端部に接続される。
かかる構成において現金自動取引装置1は、紙幣の入金処理時、顧客により紙幣入出金部5に入金用の紙幣が投入されると、該紙幣入出金部5から紙幣を1枚ずつ繰り出し、上部筐体搬送路25Aを介して鑑別部28へ搬送して、該鑑別部28においてその紙幣の金種や状態等を鑑別させる。現金自動取引装置1は、鑑別部28から正常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、上部筐体搬送路25Aを介して一時保留部29へ搬送して一時的に保持させることにより、該紙幣の入金を保留する。一方で現金自動取引装置1は、鑑別部28から破損や折れ等により異常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、リジェクト紙幣として上部筐体搬送路25Aを介して紙幣入出金部5へ搬送することにより、顧客に該紙幣入出金部5から取り出させるようにして返却する。
現金自動取引装置1は、紙幣入出金部5内に投入された入金用の紙幣が鑑別部28において全て鑑別されると、正常であると鑑別された紙幣の総額(すなわち、入金の金額)を、操作表示部6を介して顧客に提示する。その結果現金自動取引装置1は、入金の金額を確認した顧客により操作表示部6を介して紙幣の入金が指示されると、一時的に保持していた紙幣を一時保留部29から1枚ずつ繰り出し上部筐体搬送路25Aを介して鑑別部28へ搬送して、該鑑別部28において再びその紙幣の金種や状態等を鑑別させる。現金自動取引装置1は、鑑別部28から正常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、上部筐体搬送路25A、振分搬送路26A及び受渡搬送路34A乃至38Aを順次介して該紙幣の金種に応じた紙幣収納庫20乃至24へ搬送し、収納庫搬送路20AX乃至24AXを介して内部に収納させる。現金自動取引装置1は、この際、鑑別部28から異常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、リジェクト紙幣として上部筐体搬送路25A、振分搬送路26A及び受渡搬送路33Aを順次介してリジェクト庫19へ搬送し、収納庫搬送路19AXを介して内部に収納させる。
一方で現金自動取引装置1は、紙幣の出金処理時、顧客により操作表示部6を介して出金の金額が指定されると、紙幣収納庫20乃至24の内部から収納庫搬送路20AX乃至24AXを介して、該顧客により指定された金額分の紙幣を1枚ずつ繰り出す。現金自動取引装置1は、紙幣収納庫20乃至24から1枚ずつ繰り出した紙幣を、受渡搬送路34A乃至38A、振分搬送路26A及び上部筐体搬送路25Aを順次介して鑑別部28へ搬送して、該鑑別部28において紙幣の金種や状態等を鑑別させる。現金自動取引装置1は、鑑別部28から正常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、上部筐体搬送路25Aを介して紙幣入出金部5へ搬送する。一方で現金自動取引装置1は、この際、鑑別部28から異常であると鑑別されて繰り出された紙幣については、リジェクト紙幣として上部筐体搬送路25A、振分搬送路26A及び受渡搬送路33Aを順次介してリジェクト庫19へ搬送し、収納庫搬送路19AXを介して内部に収納させて、その後の出金処理には用いないようにする。現金自動取引装置1は、出金用に指定された金額分の紙幣を紙幣入出金部5に搬送し終えると、出金用に指定された金額分の紙幣を該紙幣入出金部5から顧客に取り出させるようにして引き渡す。
ところで装置筐体2は、前面を覆う装置筐体前扉2Aが図示しないヒンジ部を介して開閉可能に設けられている。また金庫筐体15は、該金庫筐体15を形成する複数の金属板のうち前板となる金属板が金庫筐体前扉15Bとして図示しないヒンジ部を介して開閉可能に設けられている。
上部ユニット13は、図3に示すように上側スライドレール40を介して装置筐体2に取り付けられている。上側スライドレール40は、前後方向に延長されたレール状の部品や複数のローラ等(図示せず)の組み合わせにより構成されており、装置筐体2に対し上部ユニット13を前方向又は後方向へ直線的に且つ円滑に移動させる。
現金自動取引装置1は、顧客との間で取引処理が行われる場合や保守作業が行われない場合、図2に示したように上部ユニット13を装置筐体2の内部に収納することにより、該上部ユニット13の各部や紙幣等を保護する。以下ではこれを上部ユニット収納状態とも呼ぶ。一方現金自動取引装置1は、例えば上部ユニット13内において紙幣詰まりが発生し紙幣が除去される際等、保守作業者により保守作業が行われる場合、図3に示したように装置筐体前扉2Aを開き上部ユニット13を前方(引出方向)へ移動させて、該上部ユニット13を装置筐体2の外部に引き出した状態とする。以下ではこれを上部ユニット引出状態とも呼ぶ。
収納庫装填ケース16は、下側スライドレール41を介して金庫筐体15に取り付けられている。下側スライドレール41は、前後方向に延長されたレール状の部品や複数のローラ等(図示せず)の組み合わせにより構成されており、金庫筐体15に対し収納庫装填ケース16を前方向又は後方向へ直線的に且つ円滑に移動させる。
現金自動取引装置1は、顧客との間で取引処理が行われる場合や保守作業が行われない場合、図2に示したように収納庫装填ケース16を金庫筐体15の内部に収納することにより、該収納庫装填ケース16の各部や紙幣等を保護する。以下ではこれを収納庫装填ケース収納状態とも呼ぶ。一方現金自動取引装置1は、保守作業者により保守作業が行われる場合、図3に示したように装置筐体前扉2A及び金庫筐体前扉15B(図示せず)を開き収納庫装填ケース16を前方(引出方向)へ移動させて、該収納庫装填ケース16を装置筐体2の外部に引き出した状態とする。以下ではこれを収納庫装填ケース引出状態とも呼ぶ。なお図3は、上部ユニット引出状態であり且つ収納庫装填ケース引出状態を示している。
ここで受渡搬送部33乃至38は、図3に示すように振分搬送部26との搬送路接続部分である受渡ガイド46を金庫天板15Tの上側に突出させている。また上述したように振分搬送部筐体27は、振分搬送部固定ガイド42を該振分搬送部筐体27の下端よりも下側に突出させている。よって現金自動取引装置1は、上部ユニット収納状態では、受渡搬送部33乃至38の上に振分搬送部26の対応する受渡ガイド46を位置させる。これにより現金自動取引装置1は、受渡搬送路33A乃至38Aの上端部をそれぞれ振分搬送路26Aの対応する下端部に接続する。
そして上部ユニット13は、装置筐体2内から引き出された場合、受渡搬送部33乃至38の上から振分搬送部26が前側に移動することで、受渡搬送路33A乃至38Aの上端部から振分搬送路26Aの対応する下端部を全て切り離す。また現金自動取引装置1は、上部ユニット13が後方(収納方向)へ移動されて装置筐体2内に上部ユニット13が収納されると、再び受渡搬送部33乃至38の上に振分搬送部26の対応する受渡ガイド46を位置させる。これにより現金自動取引装置1は、受渡搬送路33A乃至38Aの上端部をそれぞれ振分搬送路26Aの対応する下端部に再び接続する。以下では引出方向及び収納方向をまとめてスライド方向とも呼ぶ。
一方現金自動取引装置1は、受渡搬送部33乃至38において受渡ガイド46を金庫天板15Tの下側(すなわち金庫筐体15内)に突出させている。また収納庫装填ケース16は、収納庫搬送部19A乃至24Aにおける受渡搬送部33乃至38との搬送路接続部分である収納庫固定ガイド43を、該収納庫装填ケース16の上端よりも上側に突出させている。この収納庫固定ガイド43は、上端部が全体として櫛歯状に形成されており、スライド方向である前後方向に直交する左右方向に沿って複数の爪体が離散的に、すなわち左右方向に所定の間隔でなる隙間を形成しながら配置されている。よって現金自動取引装置1は、収納庫装填ケース収納状態では、受渡搬送部33乃至38の下に対応する収納庫搬送部19A乃至24Aの収納庫固定ガイド43を位置させる。これにより現金自動取引装置1は、受渡搬送路33A乃至38Aの下端部を対応する収納庫搬送路19AX乃至24AXの上端部に接続する。
そして収納庫装填ケース16は、金庫筐体15内から引き出された場合、受渡搬送部33乃至38の下からリジェクト庫19及び紙幣収納庫20乃至24が前側に移動することで、受渡搬送路33A乃至38Aの下端部から対応する収納庫搬送路19AX乃至24AXの上端部を全て切り離す。また現金自動取引装置1は、収納庫装填ケース16が後方(収納方向)へ移動されて金庫筐体15内に収納庫装填ケース16が収納されると、再び受渡搬送部33乃至38の下に対応する収納庫搬送部19A乃至24Aの収納庫固定ガイド43を位置させる。これにより現金自動取引装置1は、受渡搬送路33A乃至38Aの下端部を対応する収納庫搬送路19AX乃至24AXの上端部に再び接続する。
[1−3.受渡搬送部の構成]
受渡搬送部33乃至38は基本的には同様に構成されているため、以下では受渡搬送部34の構成について説明する。図4に示すように受渡搬送部34は主に、紙幣の搬送を案内する受渡ガイド46と、該受渡ガイド46を保持し金庫筐体15に取り付ける受渡ガイドブラケット48とにより構成されており、金庫側ブラケット44を介して金庫筐体15に取り付けられることにより、金庫孔部15TAを塞いでいる。図4(A)に示すように受渡ガイド46は、それぞれ前側にガイド部62Fが、後側にガイド部62Bが、互いにほぼ前後対称に形成されている。
[1−4.受渡ガイドブラケットの構成]
受渡ガイドブラケット48は、金属板により構成され、上下方向に貫通し左右方向に長い長方形状の角孔でなるブラケット孔部48Hが中央部に形成されており、該ブラケット孔部48Hのそれぞれ前側に前側板部48Fが、後側に後側板部48Bが、左側に左側板部48Lが、右側に右側板部48Rが形成されている。
左側板部48L及び右側板部48Rは、それぞれ金庫側ブラケット44にねじ止めされることにより、受渡ガイドブラケット48を金庫天板15Tに固定している。また左側板部48L及び右側板部48Rは、受渡ガイド46の左右の回動軸60が回転可能に取り付けられることにより、該受渡ガイド46を回動可能に支持している。
前側板部48F及び後側板部48Bは、互いにほぼ前後対称に形成されており、図4(C)に示すようにそれぞれ内側鉛直部50F及び50Bと、水平部51F及び51Bと、外側鉛直部52F及び52Bと、受渡ガイドブラケット爪部53F及び53Bとが形成されている。以下では内側鉛直部50F及び50Bをまとめて内側鉛直部50とも呼び、水平部51F及び51Bをまとめて水平部51とも呼び、外側鉛直部52F及び52Bをまとめて外側鉛直部52とも呼び、受渡ガイドブラケット爪部53F及び53Bをまとめて受渡ガイドブラケット爪部53とも呼ぶ。
図4(C)に示すように内側鉛直部50は、金庫天板15Tの下側から、該金庫天板15Tの鉛直方向の中央部まで鉛直方向に沿う平面形状であり、受渡ガイドブラケット48の左端から右端までに亘って形成されている。内側鉛直部50は、それぞれガイド部62Fの爪体67F(後述する)の前面及びガイド部62Bの爪体67B(後述する)の後面と隣接して対向する内側鉛直面50SF及び50SBが形成されている。以下では内側鉛直面50SF及び50SBをまとめて内側鉛直面50Sとも呼ぶ。
ガイド部62Fの爪体67Fの前面と、該爪体67Fに隣接して対向する境界面である内側鉛直面50SFとの間には、金庫天板15Tの外部と内部とを連通する内側隙間56Fが形成されている。ガイド部62Bの爪体67Bの後面と、該爪体67Bに隣接して対向する境界面である内側鉛直面50SBとの間には、内側隙間56Fと同様の内側隙間56Bが形成されている。以下では内側隙間56F及び56Bをまとめて内側隙間56とも呼ぶ。換言すると、内側鉛直部50Fと、該内側鉛直部50Fに隣接して対向する境界面であるガイド部62Fの爪体67Fの前面との間には、内側隙間56Fが形成されている。また内側鉛直部50Bと、該内側鉛直部50Bに隣接して対向する境界面であるガイド部62Bの爪体67Bの後面との間には、内側隙間56Bが形成されている。
水平部51は、内側鉛直部50の上端部から前後方向の外側に向かって垂直に屈曲し金庫孔部端面15Sの近傍まで水平方向に沿う平面形状であり、受渡ガイドブラケット48の左端から右端までに亘って形成されている。
外側鉛直部52は、水平部51の前後方向の外側端部から上側に向かって垂直に屈曲し金庫天板15Tの上面近傍まで鉛直方向に沿う平面形状であり、受渡ガイドブラケット48の左端から右端までに亘って形成されている。外側鉛直部52は、それぞれ金庫孔部端面15SF及び15SBと隣接して対向する外側鉛直面52SF及び52SBが形成されている。以下では外側鉛直面52SF及び52SBをまとめて外側鉛直面52Sとも呼ぶ。
外側鉛直面52SFと、該外側鉛直面52SFに隣接して対向する境界面である金庫孔部端面15SFとの間には、金庫天板15Tの外部と内部とを連通する外側隙間58Fが形成されている。外側鉛直面52SBと、該外側鉛直面52SBに隣接して対向する境界面である金庫孔部端面15SBとの間には、外側隙間58Fと同様の外側隙間58Bが形成されている。以下では外側隙間58F及び58Bをまとめて外側隙間58とも呼ぶ。換言すると、金庫孔部端面15Sと、該金庫孔部端面15Sに隣接して対向する境界面である外側鉛直面52Sとの間には、外側隙間58が形成されている。
因みに外側鉛直部52の上端部における左右に沿う方向の一部からは、上側に向かって鉛直方向に延びる平面形状のガイドリミッタ部(図示せず)が形成されている。このガイドリミッタ部は、回動した受渡ガイド46に当接することにより、該受渡ガイド46が回動する際のリミッタとして機能する。
[1−5.受渡ガイドの構成]
受渡ガイド46は、樹脂成形により形成され、受渡ガイドブラケット48のブラケット孔部48H内における中央に配され、左右の両端部において、回動軸60を介して受渡ガイドブラケット48に取り付けられており、受渡ガイドブラケット48に対し回動軸60を中心として回動可能に構成されている。ガイド部62Fは、左右方向に長い直方体状でなる本体部64Fを中心に構成されている。以下ではガイド部62F及び62Bをまとめてガイド部62とも呼ぶ。
本体部64Fの下端には、爪群66Fが形成されている。この爪群66Fは、下端部が全体として櫛歯状に形成されており、左右方向に沿って複数の爪体67Fが離散的に配置されている。各爪体67Fは、概ね小さな直方体状に形成されており、それぞれの後面及び下面の位置を互いに揃えている。左右方向に隣接する爪体67F同士の間には、隙間68Fが形成されている。各爪体67Fの左右方向に関する位置及び長さは、収納庫固定ガイド43における各爪体と相補的に定められている。すなわち、ガイド部62Fの爪群66Fにおける各爪体67Fの左右方向に関する位置及び長さは、収納庫固定ガイド43における各爪体の隙間とそれぞれ対応している。
またガイド部62Fにおける本体部64Fの上端には、爪群70Fが形成されている。この爪群70Fは、上端部が全体として櫛歯状に形成されており、各爪体67Fとそれぞれ左右方向が同じ位置において複数の爪体71Fが設けられている。各爪体71Fは、概ね小さな直方体状に形成されており、それぞれの後面及び上面の位置を互いに揃えている。左右方向に隣接する爪体71F同士の間には、隙間72Fが形成されている。各爪体71Fの左右方向に関する位置及び長さは、振分搬送部固定ガイド42における各爪体と相補的に定められている。すなわち、ガイド部62Fの爪群70Fにおける各爪体71Fの左右方向に関する位置及び長さは、振分搬送部固定ガイド42における各爪体の隙間とそれぞれ対応している。
ガイド部62Bは、ガイド部62Fとほぼ前後対称に構成されており、本体部64Bの下端に爪群66Bが形成されている。この爪群66Bには、ガイド部62Fと同様、左右方向に関し、収納庫固定ガイド43における各爪体と相補的な位置及び長さとなるように、複数の爪体67Bが左右方向に沿って隙間68Bを空けて離散的に配置されている。またガイド部62Bは、本体部64Bの上端に爪群70Bが形成されている。この爪群70Bには、ガイド部62Fと同様、左右方向に関し、振分搬送部固定ガイド42における各爪体と相補的な位置及び長さとなるように、複数の爪体71Bが左右方向に沿って隙間72Bを空けて離散的に配置されている。以下では本体部64F及び64Bをまとめて本体部64とも呼び、爪群66F及び66Bをまとめて爪群66とも呼び、爪体67F及び67Bをまとめて爪体67とも呼び、隙間68F及び68Bをまとめて隙間68とも呼び、爪群70F及び70Bをまとめて爪群70とも呼び、爪体71F及び71Bをまとめて爪体71とも呼び、隙間72F及び72Bをまとめて隙間72とも呼ぶ。
このようにガイド部62は、上側に向けられた爪群70が櫛歯状に形成され、金庫天板15Tの上側に突出することにより、振分搬送部固定ガイド42と噛み合っている。またガイド部62は、下側に向けられた爪群70が櫛歯状に形成され、金庫天板15Tの下側(すなわち金庫筐体15内)に突出することにより、それぞれ収納庫固定ガイド43と噛み合っている。
受渡搬送部34は、ガイド部62Fにおける後側の面である前側ガイド面と、ガイド部62Bにおいて前側ガイド面と平行に対向する後側ガイド面との間に、受渡搬送路34Aを形成している。この受渡搬送路34Aは、紙幣の紙面を前後方向に向け、上下方向に沿って搬送する搬送路となっている。これによりガイド部62Fは紙幣の前面側をガイドし、ガイド部62Bは紙幣の後面側をガイドしている。
[1−6.受渡ガイド爪部の構成]
ガイド部62Fの爪群70Fにおける複数の爪体71Fのうちの一部の爪体71Fの上端部近傍からは、該爪体71Fと同じ左右幅で該爪体71Fと一体に成形された概ね小さな直方体状である受渡ガイド爪部74Fが、受渡搬送路34Aから離隔する方向である前方に向かって突設している。この受渡ガイド爪部74Fは、図4(C)に示すように受渡ガイドブラケット48の外側鉛直部52Fの近傍まで、ガイド部62Fに隣接して対向する内側鉛直面50SFを越えて延設され、該受渡ガイドブラケット48の前側板部48Fの上側に覆いかぶさることにより、金庫天板15Tの外部と内側隙間56Fとの間に位置し、該金庫天板15Tの上方から内側隙間56Fへの紙幣の侵入経路を塞いでいる。以下では、複数の受渡ガイド爪部74Fが左右方向に併設されることにより、受渡ガイドブラケット48の外側鉛直部52Fに隣接して対向し該複数の受渡ガイド爪部74Fの前端に亘って仮想的に形成された面を、受渡ガイド爪部先端面74AF(図4(A))とも呼ぶ。
ガイド部62Bの爪群70Bにおける複数の爪体71Bのうちの一部の爪体71Bの上端部近傍からは、該爪体71Bと同じ左右幅で該爪体71Bと一体に成形された概ね小さな直方体状である受渡ガイド爪部74Bが、受渡搬送路34Aから離隔する方向である後方に向かって突設している。この受渡ガイド爪部74Bは、図4(C)に示すように受渡ガイドブラケット48の外側鉛直部52Bの近傍まで、ガイド部62Bに隣接して対向する内側鉛直面50SBを越えて延設され、該受渡ガイドブラケット48の後側板部48Bの上側に覆いかぶさることにより、金庫天板15Tの外部と内側隙間56Bとの間に位置し、該金庫天板15Tの上方から内側隙間56Bへの紙幣の侵入経路を塞いでいる。以下では、複数の受渡ガイド爪部74Bが左右方向に併設されることにより、受渡ガイドブラケット48の外側鉛直部52Bに隣接して対向し該複数の受渡ガイド爪部74Bの後端に亘って仮想的に形成された面を、受渡ガイド爪部先端面74AB(図4(A))とも呼ぶ。
以下では受渡ガイド爪部74F及び74Bをまとめて受渡ガイド爪部74とも呼び、受渡ガイド爪部先端面74AF及び74ABをまとめて受渡ガイド爪部先端面74Aとも呼ぶ。以下では受渡ガイド爪部74F及び74Bをまとめて受渡ガイド爪部74とも呼び、受渡ガイド爪部先端面74AF及び74ABをまとめて受渡ガイド爪部先端面74Aとも呼ぶ。隣り合う受渡ガイド爪部74の間隔は、現金自動取引装置1において取り扱われる紙幣のうち、搬送方向である短辺方向の長さが最小である最小長さ紙幣における搬送方向長さよりも十分に短く設定されている。また隣り合う受渡ガイド爪部74の間隔は、現金自動取引装置1において取り扱われる紙幣のうち、搬送方向と紙幣の紙面に直交する紙面直交方向とに直交する搬送幅方向である長辺方向の長さが最小である最小幅紙幣における搬送幅方向長さの1/2よりも十分に短く設定されている。
[1−7.受渡ガイドブラケット爪部の構成]
受渡ガイドブラケット48の前側板部48Fの外側鉛直部52Fにおける、受渡ガイド46の複数の爪体71のうちの一部の爪体71と左右方向の位置が一致する上端部からは、該爪体71と同じ左右幅で該前側板部48Fと一体に形成された板状である受渡ガイドブラケット爪部53Fが、受渡搬送路34Aから離隔する方向である前方に向かって突設している。この受渡ガイドブラケット爪部53Fは、図4(C)に示すように金庫天板15Tの上面まで、外側鉛直部52Fに隣接して対向する金庫孔部端面15SFを越えて延設され、該金庫天板15Tの上側に覆いかぶさることにより、金庫天板15Tの外部と外側隙間58Fとの間に位置し、該金庫天板15Tの上方から外側隙間58Fへの紙幣の侵入経路を塞いでいる。以下では、複数の受渡ガイドブラケット爪部53Fが左右方向に併設されることにより、該複数の受渡ガイドブラケット爪部53Fの前端に亘って仮想的に形成された面を、受渡ガイドブラケット爪部先端面53AF(図4(A))とも呼ぶ。
受渡ガイドブラケット48の後側板部48Bの外側鉛直部52Bにおける、受渡ガイド46の複数の爪体71のうちの一部の爪体71と左右方向の位置が一致する上端部からは、該爪体71と同じ左右幅で該後側板部48Bと一体に形成された板状である受渡ガイドブラケット爪部53Bが、受渡搬送路34Aから離隔する方向である後方に向かって突設している。この受渡ガイドブラケット爪部53Bは、図4(C)に示すように金庫天板15Tの上面まで、外側鉛直部52Bに隣接して対向する金庫孔部端面15SBを越えて延設され、該金庫天板15Tの上側に覆いかぶさることにより、金庫天板15Tの外部と外側隙間58Bとの間に位置し、該金庫天板15Tの上方から外側隙間58Bへの紙幣の侵入経路を塞いでいる。以下では、複数の受渡ガイドブラケット爪部53Bが左右方向に併設されることにより、該複数の受渡ガイドブラケット爪部53Bの後端に亘って仮想的に形成された面を、受渡ガイドブラケット爪部先端面53AB(図4(A))とも呼ぶ。
以下では受渡ガイドブラケット爪部先端面53AF及び53ABをまとめて受渡ガイドブラケット爪部先端面53Aとも呼ぶ。隣り合う受渡ガイドブラケット爪部53の間隔は、最小長さ紙幣の搬送方向長さよりも十分に短く、且つ最小幅紙幣の搬送幅方向長さの1/2よりも十分に短く設定されている。
[1−8.効果等]
以上の構成において受渡搬送部34は、受渡ガイド46の爪体71から受渡ガイド爪部74を受渡ガイド46に隣接して対向する内側鉛直面50Sを越えるまで受渡ガイドブラケット48に向かって受渡搬送路34Aから離隔するよう突設し、受渡ガイド爪部先端面74Aが内側鉛直面50Sよりも受渡搬送路34Aから離隔する側に位置するようにした。このため受渡搬送部34は、受渡ガイド爪部74により内側隙間56の一部を埋め、金庫筐体15の外部から該内側隙間56への紙幣の侵入経路を塞ぐことができる。
また受渡搬送部34は、受渡ガイドブラケット48から受渡ガイドブラケット爪部53を受渡ガイドブラケット48に隣接して対向する金庫孔部端面15Sを越えるまで金庫天板15Tに向かって受渡搬送路34Aから離隔するよう突設し、受渡ガイドブラケット爪部先端面53Aが金庫孔部端面15Sよりも受渡搬送路34Aから離隔する側に位置するようにした。このため受渡搬送部34は、受渡ガイドブラケット爪部53により外側隙間58の一部を埋め、金庫筐体15の外部から該外側隙間58への紙幣の侵入経路を塞ぐことができる。
これにより受渡搬送部34は、上部ユニット13内において紙幣詰まりが発生し該上部ユニット13が外部に引き出された際に、該上部ユニット13から紙幣が内側隙間56又は外側隙間58を通過してしまうことを防止し、金庫筐体15内部に紙幣が落下してしまうことを防止できる。
さらに受渡搬送部34は、受渡ガイド爪部74及び受渡ガイドブラケット爪部53の搬送幅方向の位置を爪体71と揃える、すなわち同じ位相に設けるようにした。このため受渡搬送部34は、前後方向に沿って見た際に、受渡ガイド爪部74及び受渡ガイドブラケット爪部53を爪体71と重なるように配置することにより、受渡ガイド爪部74及び受渡ガイドブラケット爪部53が形成されていない場合に対し外形が変化しないようにできる。このため受渡搬送部34は、爪体71と噛み合う振分搬送部26の振分搬送部固定ガイド42の構成を従来に対し変化させることなく、受渡ガイド46と振分搬送部固定ガイド42とを互いに物理的に干渉しない状態を保ちつつ、上部ユニット13を装置筐体2に対しスライドさせることができる。
さらに受渡搬送部34は、受渡ガイド爪部74の間隔と、受渡ガイドブラケット爪部53の間隔とを、最小長さ紙幣の搬送方向長さよりも十分に短く、最小幅紙幣の搬送幅方向長さの1/2よりも狭くするようにした。このため受渡搬送部34は、長辺方向の長さが1/2となるように折れ上部ユニット13において紙幣詰まりの原因となった2つ折れ紙幣が、上部ユニット13から落下したとしても、該2つ折れ紙幣が内側隙間56又は外側隙間58を通過してしまうことを防止できる。
さらに受渡搬送部34は、受渡ガイドブラケット48から受渡ガイドブラケット爪部53を金庫天板15Tの上面を覆うように突設させるようにしたため、例えば金庫天板15Tにおいて受渡ガイドブラケット爪部53と隣接して対向する箇所を刻設し該受渡ガイドブラケット爪部53が金庫天板15Tと噛み合うようにする場合と比べて、金庫孔部15TAを単純な角孔のままとすることができる。これにより受渡搬送部34は、金庫筐体15の板厚が厚いために複雑な孔部の形状に形成することが困難な金庫孔部15TAを、従来の単純な角孔のままとし、従来に対し追加で複雑な加工を要しないようにできる。
このように受渡搬送部34は、受渡ガイド爪部74及び受渡ガイドブラケット爪部53を搬送幅方向に沿って離散的に設けることにより、上部ユニット13等から落下した紙幣が内側隙間56又は外側隙間58を介し金庫筐体15内部に落下してしまうことを防止できる。
以上の構成によれば現金自動取引装置1は、ユーザとの間で媒体としての紙幣の受け渡しを行う紙幣入出金部5と、紙幣を搬送する第1搬送部としての振分搬送部26を有する上部ユニット13と、紙幣を搬送する第2搬送部としての収納庫搬送部20Aを有し筐体としての金庫筐体15内に配置される収納庫装填ケース16と、金庫筐体15に形成された開口部としての金庫孔部15TAを介して振分搬送部26と収納庫搬送部20Aとを接続する受渡搬送部34とを設け、受渡搬送部34は、振分搬送部26と収納庫搬送部20Aとの間で紙幣を案内する搬送路としての受渡搬送路34Aを形成する受渡ガイド46と、金庫孔部15TA内に配置され、金庫筐体15に受渡ガイド46を保持する受渡ガイドブラケット48と、受渡ガイド46に設けられ、内側隙間56を介して隣接して対向する受渡ガイドブラケット48の対向面である内側鉛直面50Sを受渡ガイド爪部先端面74Aが越える受渡ガイド爪部74と、受渡ガイドブラケット48に設けられ、外側隙間58を介して隣接して対向する金庫筐体15の対向面である金庫孔部端面15Sを受渡ガイドブラケット爪部先端面53Aが越える長さで形成された受渡ガイドブラケット爪部53とを有するようにした。
これにより現金自動取引装置1は、それぞれ受渡ガイド爪部74により内側隙間56の一部を、受渡ガイドブラケット爪部53により外側隙間58の一部を埋め、内側隙間56及び外側隙間58への紙幣の経路を塞ぐことができる。
[2.第2の実施の形態]
[2−1.現金自動取引装置の構成]
図1及び図2に示すように、第2の実施の形態による現金自動取引装置101は、第1の実施の形態による現金自動取引装置1と比較して、受渡搬送部133乃至138が受渡搬送部33乃至38と相違するものの、それ以外は同様に構成されている。
[2−2.受渡搬送部の構成]
受渡搬送部133乃至138は基本的には同様に構成されているため、以下では受渡搬送部134の構成について説明する。図4と対応する部材に同一符号を付した図5に示すように、受渡搬送部134は受渡搬送部34と比較して、受渡ガイド146が受渡ガイド46と、受渡ガイドブラケット148が受渡ガイドブラケット48と、金庫天板115Tが金庫天板15Tと異なっている。受渡ガイド146は受渡ガイド46と比較して、ガイド部162(162F及び162B)がガイド部62(62F及び62B)と、受渡ガイド爪部174(174F及び174B)が受渡ガイド爪部74(74F及び74B)と異なっている。受渡ガイドブラケット148は受渡ガイドブラケット48と比較して、受渡ガイドブラケット爪部153(153F及び153B)が受渡ガイドブラケット爪部53(53F及び53B)と異なっている。
[2−3.金庫筐体の構成]
金庫天板115Tにおける、受渡ガイドブラケット148の受渡ガイドブラケット爪部153Fと対向する位置には、該受渡ガイドブラケット爪部153Fが入り込む金庫天板溝部80Fが刻設されている。金庫天板115Tにおける、受渡ガイドブラケット148の受渡ガイドブラケット爪部153Bと対向する位置には、該受渡ガイドブラケット爪部153Bが入り込む金庫天板溝部80Bが刻設されている。以下では金庫天板溝部80F及び80Bをまとめて金庫天板溝部80とも呼ぶ。
[2−4.受渡ガイドブラケットの構成]
受渡ガイドブラケット148の前側板部148Fにおける、受渡ガイド146の受渡ガイド爪部174Fと対向する位置には、該受渡ガイド爪部174Fが入り込む受渡ガイドブラケット溝部82Fが刻設されている。受渡ガイドブラケット148の後側板部148Bにおける、受渡ガイド146の受渡ガイド爪部174Bと対向する位置には、該受渡ガイド爪部174Bが入り込む受渡ガイドブラケット溝部82Bが刻設されている。以下では受渡ガイドブラケット溝部82F及び82Bをまとめて受渡ガイドブラケット溝部82とも呼ぶ。
[2−5.受渡ガイドブラケット爪部の構成]
受渡ガイドブラケット爪部153Fは、受渡ガイドブラケット爪部53Fと同様の左右方向の位置において、水平部51Fの前端部から前方に向かって突設している。この受渡ガイドブラケット爪部153Fは、外側鉛直部52Fに隣接して対向する金庫孔部端面15SFを越えて延設され、金庫天板溝部80Fに入り込むことにより、金庫天板115Tの外部と外側隙間58Fとの間に位置し、該金庫天板115Tの上方から外側隙間58Fへの紙幣の侵入経路を塞いでいる。以下では、複数の受渡ガイドブラケット爪部153Fが左右方向に併設されることにより、該複数の受渡ガイドブラケット爪部153Fの前端に亘って仮想的に形成された面を、受渡ガイドブラケット爪部先端面153AFとも呼ぶ。
受渡ガイドブラケット爪部153Bは、受渡ガイドブラケット爪部53Bと同様の左右方向の位置において、水平部51Bの後端部から後方に向かって突設している。この受渡ガイドブラケット爪部153Bは、外側鉛直部52Bに隣接して対向する金庫孔部端面15SBを越えて延設され、金庫天板溝部80Bに入り込むことにより、金庫天板115Tの外部と外側隙間58Bとの間に位置し、該金庫天板115Tの上方から外側隙間58Bへの紙幣の侵入経路を塞いでいる。以下では、複数の受渡ガイドブラケット爪部153Bが左右方向に併設されることにより、該複数の受渡ガイドブラケット爪部153Bの後端に亘って仮想的に形成された面を、受渡ガイドブラケット爪部先端面153ABとも呼ぶ。
以下では受渡ガイドブラケット爪部153F及び153Bをまとめて受渡ガイドブラケット爪部153とも呼び、受渡ガイドブラケット爪部先端面153AF及び153ABをまとめて受渡ガイドブラケット爪部先端面153Aとも呼ぶ。
[2−6.受渡ガイド及び受渡ガイド爪部の構成]
受渡ガイド146のガイド部162Fの本体部64Fにおける複数の爪体71Fと爪体67Fとの間のうちの一部の爪体71Fと爪体67Fとの間からは、該爪体71Fと同じ左右幅で該爪体71Fと一体に成形された概ね小さな直方体状である受渡ガイド爪部174Fが前方に向かって突設している。この受渡ガイド爪部174Fは、上下方向の高さが金庫天板115Tの厚さより低く形成されている。またこの受渡ガイド爪部174Fは、受渡ガイドブラケット148の外側鉛直部52Fの近傍まで、ガイド部162Fに隣接して対向する内側鉛直面50SFを越えて延設され、該受渡ガイドブラケット148の受渡ガイドブラケット溝部82Fに入り込むことにより、金庫天板115Tの外部と内側隙間56Fとの間に位置し、該金庫天板115Tの上方から内側隙間56Fへの紙幣の侵入経路を塞いでいる。以下では、複数の受渡ガイド爪部174Fが左右方向に併設されることにより、受渡ガイドブラケット148の外側鉛直部52Fに隣接して対向し該複数の受渡ガイド爪部174Fの前端に亘って仮想的に形成された面を、受渡ガイド爪部先端面174AFとも呼ぶ。
受渡ガイド146のガイド部162Bの本体部64Bにおける複数の爪体71Bと爪体67Bとの間のうちの一部の爪体71Bと爪体67Bとの間からは、該爪体71Bと同じ左右幅で該爪体71Bと一体に成形された概ね小さな直方体状である受渡ガイド爪部174Bが後方に向かって突設している。この受渡ガイド爪部174Bは、上下方向の高さが金庫天板115Tの厚さより低く形成されている。またこの受渡ガイド爪部174Bは、受渡ガイドブラケット148の外側鉛直部52Bの近傍まで、ガイド部162Bに隣接して対向する内側鉛直面50SBを越えて延設され、該受渡ガイドブラケット148の受渡ガイドブラケット溝部82Bに入り込むことにより、金庫天板115Tの外部と内側隙間56Bとの間に位置し、該金庫天板115Tの上方から内側隙間56Bへの紙幣の侵入経路を塞いでいる。以下では、複数の受渡ガイド爪部174Bが左右方向に併設されることにより、受渡ガイドブラケット148の外側鉛直部52Bに隣接して対向し該複数の受渡ガイド爪部174Bの後端に亘って仮想的に形成された面を、受渡ガイド爪部先端面174ABとも呼ぶ。
以下では受渡ガイド爪部174F及び174Bをまとめて受渡ガイド爪部174とも呼び、受渡ガイド爪部先端面174AF及び174ABをまとめて受渡ガイド爪部先端面174Aとも呼ぶ。
[2−7.効果等]
このように受渡搬送部134は、受渡ガイド146の本体部64から受渡ガイド爪部174を受渡ガイドブラケット148に向かって受渡ガイドブラケット溝部82と噛み合うよう突設し、受渡ガイド爪部先端面174Aが内側鉛直面50Sよりも受渡搬送路34Aから離隔する側に位置するようにした。このため受渡搬送部134は、受渡ガイド爪部174により内側隙間56の一部を埋め、金庫筐体15の外部から該内側隙間56への紙幣の侵入経路を塞ぐことができる。
また受渡搬送部134は、受渡ガイドブラケット148から受渡ガイドブラケット爪部153を金庫天板115Tに向かって金庫天板溝部80と噛み合うよう突設し、受渡ガイドブラケット爪部先端面153Aが金庫孔部端面15Sよりも受渡搬送路34Aから離隔する側に位置するようにした。このため受渡搬送部134は、受渡ガイドブラケット爪部153により外側隙間58の一部を埋め、金庫筐体15の外部から該外側隙間58への紙幣の侵入経路を塞ぐことができる。
さらに受渡搬送部134は、受渡ガイド爪部174を金庫天板115Tの厚さより低く形成し該金庫天板115Tの上面と下面との間に収めるように配置すると共に、受渡ガイドブラケット爪部153を金庫天板115Tの厚さより薄く形成し該金庫天板115Tの上面と下面との間に収めるように配置するようにした。これにより受渡搬送部134は、受渡ガイド爪部174及び受渡ガイドブラケット爪部153を金庫天板115Tの金庫孔部15TAから上下方向に突出しないようにし、高さを抑えることができる。その他受渡搬送部134は、受渡搬送部34とほぼ同様の作用効果を奏する。
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、受渡ガイド爪部74を受渡ガイドブラケット48の外側鉛直部52の近傍まで延設する場合について述べた。本発明はこれに限らず、受渡ガイド爪部74を金庫天板15Tの上面まで延設しても良い。この場合、外側隙間58への紙幣の落下を受渡ガイド爪部74により防止できる。その場合、受渡ガイドブラケット爪部53を設けず省略しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
また上述した第1の実施の形態においては、受渡ガイド46から受渡ガイド爪部74を受渡ガイドブラケット48へ向かって突設させることにより内側隙間56を覆う場合について述べた。本発明はこれに限らず、受渡ガイドブラケット48から爪部を受渡ガイド46へ向かって突設させることにより内側隙間56を覆っても良い。要は、受渡ガイド又は受渡ガイドブラケットから、隣接して対向する境界面(対向面)を先端が越える爪部を延設すれば良い。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、受渡ガイドブラケット48から受渡ガイドブラケット爪部53を金庫天板15Tへ向かって突設させることにより外側隙間58を覆う場合について述べた。本発明はこれに限らず、金庫天板15Tから爪部を受渡ガイドブラケット48へ向かって突設させることにより外側隙間58を覆っても良い。その場合、金庫天板15Tから爪部を受渡ガイド46まで延設しても良い。この場合、内側隙間56への紙幣の落下を金庫天板15Tの爪部により防止できる。その場合、受渡ガイド爪部74を設けず省略しても良い。要は、受渡ガイドブラケット48又は金庫天板15Tから、隣接して対向する境界面を先端が越える爪部を延設すれば良い。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、受渡ガイド爪部74及び受渡ガイドブラケット爪部53の両方を形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、受渡ガイド爪部74又は受渡ガイドブラケット爪部53の何れか一方は省略しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、受渡ガイド爪部74F及び74Bの両方を形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、受渡ガイド爪部74F又は74Bの何れか一方は省略しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、受渡ガイドブラケット爪部53F及び53Bの両方を形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、受渡ガイドブラケット爪部53F又は53Bの何れか一方は省略しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、受渡ガイド爪部74及び受渡ガイドブラケット爪部53の搬送幅方向の位置を爪体71と揃える場合について述べた。本発明はこれに限らず、受渡ガイド爪部74及び受渡ガイドブラケット爪部53の周囲のスペースに余裕がある場合、受渡ガイド爪部74又は受渡ガイドブラケット爪部53の搬送幅方向の位置を爪体71と揃えなくても良い。その場合、例えば受渡ガイド爪部74又は受渡ガイドブラケット爪部53を受渡ガイド46の右端から左端まで搬送幅方向に亘って板状に形成し、内側隙間56又は外側隙間58を右端から左端までに亘って覆っても良い。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、受渡ガイド46と受渡ガイドブラケット48とが別部品であり、該受渡ガイド46と該受渡ガイドブラケット48との間に内側隙間56が存在する受渡搬送部34に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、受渡ガイド46と受渡ガイドブラケット48とが一体化しており両者の間に隙間が存在しない受渡搬送部においても本発明を適用しても良い。その場合であっても、外側隙間58への紙幣の落下を受渡ガイドブラケット爪部53により防止できる。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、受渡ガイド爪部74の間隔と、受渡ガイドブラケット爪部53の間隔とを、最小長さ紙幣の搬送方向長さよりも十分に短く、且つ最小幅紙幣の搬送幅方向長さの1/2よりも狭くする場合について述べた。本発明はこれに限らず、少なくとも最小紙幣幅よりも狭ければ良い。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ガイド部62の爪体71から受渡ガイド爪部74を突設する場合について述べた。本発明はこれに限らず、爪体71及び爪体67の両方から受渡ガイド爪部を突設しても良く、爪体67のみから受渡ガイド爪部を突設しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、受渡ガイドブラケット48の外側鉛直部52から金庫天板15Tの上面を覆うよう受渡ガイドブラケット爪部53を突設する場合について述べた。本発明はこれに限らず、受渡ガイドブラケット48の外側鉛直部52から金庫天板15Tの下面を覆うよう受渡ガイドブラケット爪部53を突設しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ガイド部62Fとガイド部62Bとを互いにほぼ前後対称に形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、ガイド部62Fとガイド部62Bとは互いに前後対称でなくても良い。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、前側板部48Fと後側板部48Bとを互いにほぼ前後対称に形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、前側板部48Fと後側板部48Bとは互いに前後対称でなくても良い。第2の実施の形態においても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、受渡搬送路34Aにおいて紙幣の紙面を前後方向に向け上下方向に沿って搬送する受渡搬送部34及び134に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、紙幣の紙面を種々の方向に向け種々の方向に沿って搬送する受渡搬送部に本発明を適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、それぞれ引出方向及び収納方向が前方向及び後方向であり、スライド方向が前後方向である現金自動取引装置1及び101に本発明を適用する場合について述べた。発明はこれに限らず、スライド方向が左右方向等、種々の方向の現金自動取引装置に本発明を適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、顧客との間で現金に関する取引を行う現金自動取引装置1及び101の紙幣処理機11に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば金融機関の窓口に設置され該金融機関の職員が主に使用する紙幣処理装置(いわゆるテラーマシン)等、装置本体からスライドレールにより装填部を引き出した状態で収納庫を装填し又は取り外すような、種々の装置に適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、リジェクト庫19及び紙幣収納庫20乃至24に紙幣を収納する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば金券や証券、或いは入場券等の種々の媒体を収納する収納庫が格納される金庫筐体に取り付けられる種々の受渡搬送部に適用しても良い。媒体の形状としては、紙幣のような紙葉状に限らず、直方体状等の種々の形状であっても良い。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、受渡ガイドとしての受渡ガイド46と、受渡ガイドブラケットとしての受渡ガイドブラケット48と、爪部としての受渡ガイドブラケット爪部53及び受渡ガイド爪部74とを有する受渡搬送部としての受渡搬送部33乃至38と、接客部としての紙幣入出金部5と、第1ユニットとしての上部ユニット13と、第2ユニットとしての収納庫装填ケース16とによって、媒体処理装置としての現金自動取引装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる受渡ガイドと、受渡ガイドブラケットと、爪部とを有する受渡搬送部と、接客部と、第1ユニットと、第2ユニットとによって、媒体処理装置を構成しても良い。