本発明の一実施形態に係る貨幣管理システムを図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る貨幣管理システム1は、銀行等の金融機関の店舗に設置されるものであり、図1に示すように、出納機2と、重要物管理金庫3と、現金管理装置4とを有している。
出納機2は、金融機関等の店舗の建屋の例えば執務室のフロア上に設置されるものであり、店舗全体の貨幣の全体在高データを管理する貨幣管理親機となっている。出納機2は、貨幣の入出金が可能であり、自身に収納している貨幣および小切手等の在高である出納機在高データ(親機在高データ)を記憶している。この出納機在高データは、出納機2で行われる貨幣の入出金処理によって増減する。
重要物管理金庫3は、金融機関等の店舗の建屋の例えば執務室のフロアに設置されるオープン型のものであり、出納機2によって在高データが管理される下位機としての貨幣管理中間機となっている。重要物管理金庫3は、簡易設置型の金庫であり、自身に収納している貨幣および小切手等の在高である管理金庫在高データ(中間機在高データ)を記憶している。この管理金庫在高データは、重要物管理金庫3への操作入力によって増減する。重要物管理金庫3は、無線あるいは有線で出納機2と通信可能であり、管理金庫在高データを出納機2に送信可能となっている。
現金管理装置4は、フロアを走行移動可能であり、図2に示すテラー用の窓口機7、顧客用の現金自動預払機8、両替機9等の他の貨幣処理機と共に出納機2によって在高が管理される下位機としての貨幣管理子機となっている。現金管理装置4は、貨幣および小切手等を取り出し可能に収納し自身に収納している貨幣および小切手等の在高である管理装置在高データ(子機在高データ)を記憶している。この管理装置在高データは、現金管理装置4における貨幣の入出金処理によって増減する。現金管理装置4は、無線あるいは有線で接続することにより出納機2と通信可能であり、管理装置在高データを出納機2に送信可能となっている。
窓口機7は、貨幣の入出金の計数値から自身に収納している貨幣の在高である窓口機在高データを記憶している。この窓口機在高データは、窓口機7における貨幣の入出金処理によって増減する。窓口機7は、無線あるいは有線で出納機2と通信可能であり、窓口機在高データを出納機2に送信可能となっている。
現金自動預払機8は、貨幣の入出金の計数値から自身に収納している貨幣の在高であるATM在高データを記憶している。このATM在高データは、現金自動預払機8における貨幣の入出金処理によって増減する。現金自動預払機8は、無線あるいは有線で出納機2と通信可能であり、ATM在高データを出納機2に送信可能となっている。
両替機9は、貨幣の出金の計数値から自身に収納している貨幣の在高である両替機在高データを記憶している。この両替機在高データは、両替機9における貨幣の補充処理および出金処理によって増減し、両替処理で金種変更する。両替機9は、無線あるいは有線で出納機2と通信可能であり、両替機在高データを出納機2に送信可能となっている。
現金管理装置4は、図3に示すように、箱型の現金管理装置本体11とこの現金管理装置本体11に上下方向に複数段具体的には5段設けられた収納庫12とを有している。これら収納庫12は、その左右側壁に設けられた図示略のスライドレールを介して現金管理装置本体11に対して水平前後方向にスライド開閉可能となっている。これら収納庫12は、現金管理装置本体11から引き出されて開状態となり、現金管理装置本体11に押し込まれて閉状態となる。すべての収納庫12が、このように前後方向にのみ所定範囲で移動可能となるように現金管理装置本体11に連結されている。これら収納庫12は、開状態で現金が出し入れ可能となる一方、閉状態では現金の出し入れが不可となる。現金管理装置4において収納庫12の引き出し方向の手前側の面が操作者側の装置前面となっている。
複数段の収納庫12のうち、最も上側のものは、予備収納庫12(a)となっており、結束されていないバラ紙幣、包装されていないバラ硬貨、汚損紙幣や汚損硬貨、新券、小切手等を収納する。また、残りの収納庫12は、上側2段が小束紙幣や大束紙幣を収納する束紙幣収納庫12(b)となっており、下側2段が棒金を収納する棒金収納庫12(c)となっている。勿論、収納庫12の全体の数や、そのうちの束紙幣収納庫12(b)および棒金収納庫12(c)の個々の数、レイアウト等は任意に設定可能であり、例えば、予備収納庫12(a)以外の全てを、束紙幣収納庫12(b)としたり、棒金収納庫12(c)としたり、上側2段を棒金収納庫12(c)とし下側2段を束紙幣収納庫12(b)とすることも勿論可能である。ただし、現金管理装置4は、人力によりフロア上を走行移動させられることから、予備収納庫12(a)を1段、束紙幣収納庫12(b)を2段、棒金収納庫12(c)を2段程度とするのが重量的に好ましい。
現金管理装置本体11の上部の装置後面側には、現金管理装置4を移動させる際に操作者により把持されるハンドルバー15が左右方向に延在して取り付けられている。現金管理装置本体11の上部には、ハンドルバー15よりも装置前面側に、揺動可能なタッチパネル式の管理装置操作表示部16が設けられており、管理装置操作表示部16よりも装置前面側に、管理装置カードリーダ17と、テンキーを含む着脱式の管理装置キー操作部18とが設けられている。管理装置操作表示部16は、操作者により操作入力が行われると共に操作者に表示を行うものであり、管理装置カードリーダ17は操作者により通されたカードから記憶データを読み取るものである。
現金管理装置本体11の下部には、フロア上で転動するローラ37を有するキャスタ38が四隅位置に設けられている。すべてのキャスタ38は、ローラ37が鉛直軸を中心に水平旋回自在となっており、ローラ37が水平軸を中心に回転可能となっている。
現金管理装置本体11には、全ての収納庫12のそれぞれに対して、収納庫12を閉状態で個別にロックする図2に示す収納庫ロック機構22が設けられている。例えば、収納庫ロック機構22は、複数の収納庫12のそれぞれに設けられて収納庫12を現金管理装置本体11に閉状態で電磁的にロックする。図3に示すように、現金管理装置本体11には、複数の収納庫12のそれぞれの側方に、収納庫ロック機構22のロック解除時のみ点灯する表示灯23が設けられている。
現金管理装置本体11には、図2に示すように、管理装置操作表示部16、管理装置カードリーダ17、管理装置キー操作部18、収納庫ロック機構22および表示灯23に接続されてこれらを制御する管理装置制御部25と、収納しているバラ紙幣、バラ硬貨、棒金、小束紙幣および小切手等のそれぞれの数量情報および種類情報や処理関連のデータ等を記憶する管理装置記憶部26と、が設けられている。管理装置制御部25は、複数の収納庫ロック機構22のロックを個別に解除可能となっており、管理装置記憶部26を用いて複数の収納庫12の現金の収納量つまり在高を個別に管理する。
各収納庫12と現金管理装置本体11との間には、現金管理装置本体11に対する各収納庫12の引き出し位置を検出する引出位置検出機構35が設けられている。引出位置検出機構35は、各収納庫12が現金管理装置本体11に最も押し込まれた全閉位置にあること、および、収納庫12が現金管理装置本体11から最も引き出された全開位置にあることを含んで各収納庫12の引き出し位置を検出する。
図4に示すように、束紙幣収納庫12(b)は、結束された小束紙幣Tを入出庫可能に収納するもので、複数、具体的には前後に3つ配列された合成樹脂製の小束トレイ40を有している。小束紙幣Tは、単一金種の紙幣(貨幣)を所定枚数(100枚)集積し、規定位置に結束テープtを巻回して、この結束テープtを接着することで形成されるものである。各小束トレイ40には10束の小束紙幣Tが収納可能であり、10束の小束紙幣Tを結束した大束紙幣を収納することもできる。また、小束トレイ40の左スペースに後述する棒金トレイを前後に金種径に応じて4つまたは3つ備えるようにしてもよい。
各小束トレイ40は、上方に開口し下方に凹む形状をなすトレイ本体41と、トレイ本体41に、その後壁部42と平行を維持しつつ前後移動可能に設けられた札押さえ板43と、札押さえ板43を後壁部42に向けて付勢する図示略の付勢部材とを有している。各小束トレイ40には、小束紙幣Tが、その長辺方向を左右にし短辺方向を上下にし厚さ方向を前後にした立位状態で、上方から挿入されることになり、小束紙幣Tは、この立位状態のまま、底部に載置され、後壁部42と札押さえ板43とに挟持されて収納されることになる。各小束トレイ40に収納すべき設定金種を示す収納金種データは、予め設定されて管理装置記憶部26に記憶されることになる。
図5に示すように、棒金収納庫12(c)は、単一金種の硬貨(貨幣)が所定枚数(50枚)集積されて包装紙で包装されてなる棒金Bを入出庫可能に収納するもので、複数、具体的には、前後に金種径に応じて4つまたは3つ、左右に3列の合成樹脂製の棒金トレイ50を有している。
棒金トレイ50は、棒金Bが中心軸線を上下にした立位状態で収納されるものである。棒金トレイ50は、下方に凹む上方開口形状の棒金収納凹部51を構成している。棒金トレイ50の棒金収納凹部51には、例えば、合計10本の棒金Bが5本ずつセパレートで収納されるようになっている。棒金Bは、棒金収納凹部51に、その上部開口を介して上方から挿入されることになる。棒金収納凹部51に10本の棒金Bが収納されると、10本の棒金Bは棒金収納凹部51および他の棒金Bで支持されて中心軸線を鉛直配置した立位状態に維持される。ここで、最前列の棒金トレイ50は、端数用となっており、棒金Bの転倒防止用の複数の補助棒52が立設されていて、収納本数が不足した状態でも棒金Bを倒さずに収納可能となっている。各棒金トレイ50に収納すべき設定金種を示す収納金種データは、予め設定されて管理装置記憶部26に記憶されることになる。
現金管理装置本体11の各束紙幣収納庫12(b)が挿入される部分の上部の前端部には、束紙幣収納庫12(b)の左右2列の小束トレイ40のそれぞれの上方近接位置に、束紙幣収納庫12(b)に収納された小束紙幣Tの左端位置を検出する図2に示す左端検出ラインセンサ61、小束紙幣Tの左側に結束テープtつまり帯がある場合にこれを検出する左側帯検出ラインセンサ62、小束紙幣Tの右側に結束テープtがある場合にこれを検出する右側帯検出ラインセンサ63および小束紙幣Tの右端位置を検出する右端検出ラインセンサ64が、それぞれ検出素子を左右方向に並べた状態で固定されている。
束紙幣収納庫12(b)が最も現金管理装置本体11から引き出されて図示略の前端位置ストッパに当接し停止する前端位置から最も現金管理装置本体11に押し込まれて図示略の後端位置ストッパに当接し停止する後端位置まで移動すると、各列用の左端検出ラインセンサ61、左側帯検出ラインセンサ62、右側帯検出ラインセンサ63および右端検出ラインセンサ64が、この束紙幣収納庫12(b)に収納された小束紙幣Tの上端部の反射光データを取得することになる。
管理装置制御部25は、引出位置検出機構35の検出結果と、左端検出ラインセンサ61、左側帯検出ラインセンサ62、右側帯検出ラインセンサ63および右端検出ラインセンサ64の検出結果とに基づいて束紙幣収納庫12(b)内の小束紙幣Tの数量および金種を取得する。すなわち、管理装置制御部25は、右側帯検出ラインセンサ63および右端検出ラインセンサ64の検出結果から帯の数つまり束数を取得し、左端検出ラインセンサ61および左側帯検出ラインセンサ62の検出結果から長さつまり金種を取得する。このようにして、管理装置制御部25は、各束紙幣収納庫12(b)内の小束紙幣Tの各金種別の束数、合計金額等の在高を管理する。
棒金トレイ50の各棒金収納位置の底部には、棒金Bの有無および材質を検出する磁気センサからなる棒金検出センサ68がそれぞれ設けられている。管理装置制御部25は、各棒金検出センサ68の検出結果から、棒金収納庫12(c)内の棒金Bの数量および金種を取得する。このようにして、管理装置制御部25は、各棒金収納庫12(c)内の棒金Bの各金種別の本数、合計金額等の在高を管理する。
管理装置制御部25は、予備収納庫12(a)の在高については、予備収納庫12(a)へのバラ紙幣、バラ硬貨、小切手等の入出庫を含む入出取引の際に、管理装置操作表示部16を介して入力される、バラ紙幣の入庫数、バラ紙幣の出庫数、バラ硬貨の入庫数およびバラ硬貨の出庫数等に基づいて在高を管理する。
また、現金管理装置本体11には、全ての収納庫12のそれぞれに対して、収納庫12を閉状態で個別にロックする上記した収納庫ロック機構22が設けられている。各収納庫ロック機構22は、それぞれ、給電されるとロックを解除して対応する収納庫12を引き出し可能とし開作動を許容する状態となる。また、各収納庫ロック機構22は、それぞれ、対応する収納庫12の引き出し後に給電が停止されることになり、その後は、対応する収納庫12が全閉位置に戻されると収納庫12を引き出し不可に自動的かつ機械的にロックする。
現金管理装置4は、操作者が、例えば、他の入出金機や両替機に現金を補充したり、他の入出金機や両替機から現金を回収したり、顧客に現金を渡したり、顧客から預かった現金を収納したりする際等に使用される。つまり、現金管理装置4は、操作者が、バラ硬貨、バラ紙幣、棒金Bおよび小束紙幣Tのうちの少なくともいずれか一つを現金管理装置4から取り出す出庫時、現金管理装置4にバラ硬貨、バラ紙幣、棒金Bおよび小束紙幣Tのうちの少なくともいずれか一つを収納する入庫時、および入庫と出庫とを同時並行で行う入庫・出庫時のいずれかからなる入出取引時に使用される。
まず、一の入出取引の開始にあたって、管理装置カードリーダ17にIDカードが通されると、管理装置カードリーダ17は、これに通されたIDカードから管理装置入力操作者識別情報を読み取って管理装置制御部25に出力する。すると、管理装置制御部25が、読み取った管理装置入力操作者識別情報が適正であるか否かを判定する。読み取った管理装置入力操作者識別情報が適正である場合、管理装置制御部25は、一の入出取引のデータ入力を促す表示を、管理装置操作表示部16に表示させる。これを見た操作者によって管理装置操作表示部16にデータ入力が行われると、管理装置制御部25は、この一の入出取引のデータを管理装置記憶部26に記憶させる。
管理装置制御部25は、この一の入出取引にて入力されたデータに基づいて、予備収納庫12(a)、全ての束紙幣収納庫12(b)および全ての棒金収納庫12(c)の中から、この一の入出取引にて現金が入出庫される対象収納庫12をロックしている収納庫ロック機構22のロックを解除して、対象収納庫12を現金管理装置本体11から引き出し可能とする。
例えば、この一の入出取引にて入力されたデータに、バラ紙幣およびバラ硬貨の少なくともいずれか一方に関するものが含まれる場合、管理装置制御部25は、予備収納庫12(a)を対象収納庫12とし、この予備収納庫12(a)をロックしている収納庫ロック機構22のロックを解除する。これにより、この予備収納庫12(a)が現金管理装置本体11から引き出し可能となる。それと共に、管理装置制御部25は、この予備収納庫12(a)用のその側方にある表示灯23を点灯させる。
また、例えば、この一の入出取引にて入力されたデータに、小束紙幣Tに関するものが含まれる場合、管理装置制御部25は、含まれる金種の小束紙幣Tを収納している束紙幣収納庫12(b)を対象収納庫12とし、この束紙幣収納庫12(b)をロックしている収納庫ロック機構22のロックを解除する。これにより、この束紙幣収納庫12(b)が現金管理装置本体11から引き出し可能となる。それと共に、管理装置制御部25は、この束紙幣収納庫12(b)用のその側方にある表示灯23を点灯させる。
また、例えば、この一の入出取引にて入力されたデータに、棒金Bに関するものが含まれる場合、管理装置制御部25は、含まれる金種の棒金Bを収納している棒金収納庫12(c)を対象収納庫12とし、この棒金収納庫12(c)をロックしている収納庫ロック機構22のロックを解除する。これにより、この棒金収納庫12(c)が現金管理装置本体11から引き出し可能となる。それと共に、管理装置制御部25は、この棒金収納庫12(c)用のその側方にある表示灯23を点灯させる。
操作者は、対象収納庫12を引き出し開状態として、現金を取り出したり装填したりする入出庫作業を行う。
例えば、対象収納庫12が一の束紙幣収納庫12(b)である場合、管理装置制御部25は、この一の束紙幣収納庫12(b)をロックしている収納庫ロック機構22を駆動してロックを解除すると共に、この一の束紙幣収納庫12(b)用の表示灯23を点灯させることになる。そして、この一の束紙幣収納庫12(b)の現金管理装置本体11からの引き出しが開始されたことを引出位置検出機構35の検出結果から検出すると、この一の束紙幣収納庫12(b)用の収納庫ロック機構22の駆動を終了する。
その後、引出位置検出機構35が、この一の束紙幣収納庫12(b)について、全開状態になったことを検出した後、閉方向の移動開始を検出すると、管理装置制御部25は、この一の束紙幣収納庫12(b)に対して設けられた左端検出ラインセンサ61、左側帯検出ラインセンサ62、右側帯検出ラインセンサ63および右端検出ラインセンサ64の組の左右二組について、これらに給電してこれらによる反射光データの取り込みを開始させる。そして、引出位置検出機構35がこの一の束紙幣収納庫12(b)が全閉状態になったことを検出すると、管理装置制御部25は、反射光データの取り込みを終了させると共に、この一の束紙幣収納庫12(b)用の表示灯23を消灯させる。この一の束紙幣収納庫12(b)が全閉状態になると、この一の束紙幣収納庫12(b)用の収納庫ロック機構22がこれを自動的にロック状態になる。
そして、管理装置制御部25は、上記した反射光データから、この一の束紙幣収納庫12(b)に収納された小束紙幣Tの金種別の数量データを取得して管理装置記憶部26に記憶させると共に、この金種別の数量データと、管理装置記憶部26に記憶されている前回のこの一の束紙幣収納庫12(b)の金種別の数量データとから、増減分を割り出す。そして、管理装置制御部25は、この増減分を、今回の一の入出取引に対して入力されたデータと照合して差異があるか否かを判定し、差異がなければ、今回の一の入出取引の終了を判定する。
また、対象収納庫12が一の棒金収納庫12(c)である場合、管理装置制御部25は、この一の棒金収納庫12(c)について、引出位置検出機構35が、全開状態になったことを検出した後、全閉状態になったことを検出すると、この一の束紙幣収納庫12(b)用の表示灯23を消灯させると共に、この一の棒金収納庫12(c)に対して設けられた棒金検出センサ68に磁気データを取得させる。
そして、管理装置制御部25は、上記した磁気データから、この一の棒金収納庫12(c)に収納された棒金Bの金種別の数量データを取得して管理装置記憶部26に記憶させると共に、この金種別の数量データと、管理装置記憶部26に記憶されている前回のこの一の棒金収納庫12(c)の金種別の数量データとから、増減分を割り出す。そして、管理装置制御部25は、この増減分を、今回の一の入出取引に対して入力されたデータと照合して差異があるか否かを判定し、差異がなければ、今回の一の入出取引の終了を判定する。
重要物管理金庫3は、図1に示すように、コンポーネント化された複数個の保管庫121〜125が選択的に組み合わせられて一体に構成されてなるものである。保管庫121〜125は、被管理物の保管を行うもので、管理種別毎に設けられている。保管庫121〜125は、複数の大きさのものがある。また、保管庫121〜125は、必要に応じて耐火構造に構成される。
重要物管理金庫3は、前面側に引き出される引き出し開閉式の横方向に長い複数の保管庫121と、前面側に引かれて揺動する片側扉の揺動開閉式の縦方向に長い複数の保管庫122と、前面側に引かれて揺動する両側扉の揺動開閉式の縦方向に短い複数の保管庫123と、前面側に引かれて揺動する両側扉の揺動開閉式の縦方向に長い複数の保管庫124と、前面側に引かれて揺動する両側扉の揺動開閉式の縦方向に中間の長さの保管庫125と、を有している。保管庫121〜125には、被管理物として、大束紙幣、小束紙幣、棒金、バラ紙幣、バラ硬貨、通帳、鍵、カード、金券等が適宜収納される。
例えば、引き出し開閉式であって横方向に長い複数の保管庫121には、そのうちの一つの保管庫121(a)に、被管理物としての大束紙幣、小束紙幣、棒金およびバラ紙幣が収納され保管される。また、他の一つの保管庫121(b)に、被管理物としてのバラ硬貨が収納され保管される。また、他の一つの保管庫121(c)に通帳が収納され保管される。
また、両側扉の揺動開閉式の縦方向に長い複数の保管庫124のうち、最下段に設けられた一つの保管庫124(a)は、図6に示すように、現金管理装置4を収納し取り出し可能に保管する耐火構造の保管部となっている。保管庫124(a)が耐火構造であるため、現金管理装置4自体を耐火構造に構成しなくても、火災等の災害に対して現金管理装置4に収納された現金を安全に管理することができる。
各保管庫121〜125には、それぞれを個別に閉状態でロックする電磁式の図2に示す保管庫ロック機構127(開閉機構)が設けられており、この保管庫ロック機構127は、ロック解除信号が入力されると図1に示す保管庫121〜125の対応するものが開放可能となるようにロックを解除する一方、ロック信号が入力されると保管庫121〜125の対応するものを閉状態で開作動不可にロックする。つまり、保管庫ロック機構127は、保管庫121〜125の対応するものを開閉する。その結果、保管庫124(a)を開閉する保管庫ロック機構127は、重要物管理金庫3のうちの現金管理装置4を保管する保管庫124(a)を開閉する。各保管庫121〜125には、それぞれの開閉状態を検出する図2に示す開閉検知センサ128と、それぞれの状態を点灯状態によって示すLEDランプからなる状態表示部129とが設けられている。保管庫124(a)には、これが現金管理装置4を収納しているか否かを検知する保管検知センサ130が設けられている。
また、重要物管理金庫3は、図1に示すように前面側に、使用者により操作入力が行われるタッチパネル式の管理金庫操作表示部135と、管理金庫カードリーダ136とが設けられている。管理金庫操作表示部135は、操作者により操作入力が行われると共に操作者に表示を行うものであり、管理金庫カードリーダ136は操作者により通されたIDカードの記憶データを読み取るものである。重要物管理金庫3は、内部に重要物管理金庫3を制御する図2に示す管理金庫制御部137と、重要物管理金庫3の各保管庫121〜125内に保管される貨幣類の在高データ等を記憶する管理金庫記憶部139とを内蔵する一つの図1に示す管理金庫制御ユニット140を有している。この管理金庫制御ユニット140は、管理金庫操作表示部135、管理金庫カードリーダ136、管理金庫制御部137および管理金庫記憶部139を一体に有してコンポーネント化されており、保管庫125の下側に配置されている。管理金庫制御部137は、管理金庫操作表示部135への入力に基づいて重要物管理金庫3内に保管される貨幣類の在高データ等を管理金庫記憶部139に記憶させる。
重要物管理金庫3は、管理金庫制御ユニット140と、複数個の保管庫121〜125の適宜のものとが、前面を揃えた状態で、隣り合うもの同士が図示略の連結具で連結されることで、正面視矩形状に組み上げられることになる。その際に、重要物管理金庫3は、後面側に設けられた通信ケーブルで、各保管庫121〜125と管理金庫制御ユニット140とが通信可能に接続されている。重要物管理金庫3の後面側には、通信ケーブルを覆うカバーが取り付けられている。
上記のようにして組み立てられた重要物管理金庫3が後面を壁に近接させて例えば執務室のフロア上に設置されることになり、これにより、重要物管理金庫3の管理金庫制御ユニット140の前面および複数個の保管庫121〜125の前面が執務室の室内側に向いて設置されることになる。
図1に示す出納機2は、被管理物のうちの紙幣、硬貨および金券等の貨幣類を取り扱うもので、金融機関等の店舗に設置されて店舗全体の貨幣処理を管理するものである。出納機2は、例えば、大口顧客に対する係員による入金、出金等の取引処理、係員による渉外先への持ち出し金の出金処理や、渉外先からの持ち帰り金の入金処理、さらには、営業終了後の金融機関店舗全体での入出金状況の締め上げ管理等を行うものである。
出納機2は、紙幣についての入出金処理等を行う紙幣処理装置155と、紙幣の特に新券についての出金処理等を行う新券処理装置156と、硬貨についての入出金処理等を行う硬貨処理装置157とが左右に並設されて構成されている。
紙幣処理装置155は、その前面側の上部に、機外からバラ紙幣が投入されると共に機内から出金用のバラ紙幣が繰り出されるバラ紙幣入出金口160が設けられている。バラ紙幣入出金口160の下側には、入金処理で受け付け不可と判定された入金リジェクト紙幣が機内から繰り出される入金リジェクト口161が設けられている。バラ紙幣入出金口160よりも上側には、機内でバラ紙幣を所定枚数集積して結束してなる小束紙幣を機外に取り出し可能とする束出金口162が設けられている。
新券処理装置156には、その前面側の上部に、機内から出金用の新券のバラ紙幣が繰り出される新券出金口165が設けられている。
硬貨処理装置157は、その前面側の上部に、機外からバラ硬貨が投入されるバラ硬貨入金口168が設けられている。バラ硬貨入金口168の下側には、入金処理で受け付け不可と判定された入金リジェクト硬貨が機内から繰り出される入金リジェクト口169が設けられている。入金リジェクト口169の下側には、機内から出金用のバラ硬貨が繰り出されるバラ硬貨出金口170が設けられている。前面側の上部には、機内でバラ硬貨を所定枚数集積して包装してなる棒金硬貨を機外に取り出し可能とする棒金出金口171が設けられている。
出納機2は、硬貨処理装置157の上部に、タッチパネル式の出納機操作表示部175と、出納機キー操作部181と、出納機カードリーダ182とを有している。出納機操作表示部175は、操作者により操作入力が行われると共に操作者に表示を行うものであり、出納機キー操作部181は、操作者により操作入力が行われるものであり、出納機カードリーダ182は操作者により通されたIDカードの記憶データを読み取るものである。出納機2は、図2に示すように、出納機2を制御する出納機制御部177と、出納機2内の在高データおよび店舗内の在高データ等を記憶する出納機記憶部179とを有している。
出納機2は、その出納機制御部177が、この出納機2が管理対象とする現金管理装置4の管理装置制御部25と通信可能であり、この出納機2が管理対象とする窓口機7との間で通信可能であり、この出納機2が管理対象とする現金自動預払機8と通信可能であり、この出納機2が管理対象とする両替機9と通信可能である。また、出納機制御部177は、この出納機2と同じ店舗内に設けられた重要物管理金庫3の管理金庫制御部137と通信可能である。
出納機2は、その出納機制御部177が、図7に示すように、管理在高データとして、これが設けられた出納機2の出納機在高データと、この出納機2と同じ店舗内に設けられた重要物管理金庫3の管理金庫在高データと、出納機在高データおよび管理金庫在高データ以外の手許在高データとを出納機記憶部179に記憶させており、これら出納機在高データと管理金庫在高データと手許在高データとをそれぞれ管理する。出納機2は、手許在高データを装填可能額として管理し、手許在高の中から出納機2自身や他の機械に貨幣の装填を行うことができる。また、出納機2は、その出納機制御部177が、管理在高データとして、この出納機2が管理対象とする現金管理装置4の管理装置在高データと、この出納機2が管理対象とする窓口機7の窓口機在高データと、この出納機2が管理対象とする現金自動預払機8のATM在高データと、この出納機2が管理対象とする両替機9の両替機在高データとを出納機記憶部179に記憶させており、これらの管理装置在高データと窓口機在高データとATM在高データと両替機在高データとを管理する。出納機制御部177は、出納機在高データと管理金庫在高データと管理装置在高データと窓口機在高データとATM在高データと両替機在高データとを区別しつつ関連データとして管理する。これにより、出納機2は、店舗内のすべての管理対象機器の貨幣類の在高データを一元管理するようになっている。
出納機制御部177は、重要物管理金庫3が現金管理装置4を保管している状態では、重要物管理金庫3に保管されている現金管理装置4の管理装置在高データを、図7(a)に示すように、出納機在高データおよび管理金庫在高データ以外の手許在高データに含めずに、管理金庫在高データに含める。このとき、出納機制御部177は、重要物管理金庫3の管理金庫在高データを、管理装置在高データと、それ以外の管理金庫本体部分在高データとに区別しつつ関連データとして管理する。また、このとき、出納機制御部177は、窓口機在高データとATM在高データと両替機在高データとを区別しつつ関連する手許在高データとして管理する。
また、出納機制御部177は、現金管理装置4が重要物管理金庫3から取り出されている状態では、重要物管理金庫3から取り出されている現金管理装置4の管理装置在高データを、図7(b)に示すように、管理金庫在高データに含めずに、出納機在高データおよび管理金庫在高データ以外の手許在高データに含める。このとき、出納機制御部177は、管理装置在高データと窓口機在高データとATM在高データと両替機在高データとを区別しつつ関連する手許在高データとして管理する。
「現金管理装置の保管」
出納機2への操作入力時には、出納機カードリーダ182にIDカードが通されることになり、出納機カードリーダ182は、これに通されたIDカードから出納機入力操作者識別情報(親機入力操作者識別情報)を読み取って出納機制御部177に出力する。つまり、出納機2への操作入力時には、出納機入力操作者識別情報が出納機2に入力される。
出納機2の出納機制御部177は、出納機カードリーダ182が読み取った出納機入力操作者識別情報に対して許可されたメニューを出納機操作表示部175に表示させる。このメニューの中に現金管理装置4を重要物管理金庫3に保管する管理装置保管指令操作(子機保管指令操作)が含まれている場合に、この管理装置保管指令操作の選択入力が可能となる。メニューの中に管理装置保管指令操作を含めるか否かは、例えば出納機入力操作者識別情報の役席レベルで設定されている。
上記したメニューの中に管理装置保管指令操作が含まれている場合に、この管理装置保管指令操作が選択入力されると、これに基づいて出納機2の出納機制御部177は、現金管理装置4の管理装置制御部25および重要物管理金庫3の管理金庫制御部137に、出納機2に入力された出納機入力操作者識別情報を含む管理装置保管キュー信号(子機保管指令信号)を出力する。
管理装置保管キュー信号を受けると、現金管理装置4の管理装置制御部25は、管理装置記憶部26に記憶されている管理装置在高データを読み出して出納機2の出納機制御部177に出力する。出納機2の出納機制御部177は、図7(a)に示すように、この現金管理装置4の管理装置在高データを、出納機記憶部179に記憶されている出納機在高データおよび管理金庫在高データ以外の手許在高データに含めずに、管理金庫在高データに含めて出納機記憶部179に記憶させる。つまり、管理装置在高データを手許在高データから管理金庫在高データに付け替える。出納機2の出納機制御部177は、このように、管理装置在高データを管理金庫在高データに含めて出納機記憶部179に記憶させた後は、現金管理装置4を重要物管理金庫3に保管中であることを管理して、現金管理装置4に対する入出金処理等を規制する。
ここで、管理装置保管キュー信号を受けると、現金管理装置4の管理装置制御部25は、現金管理装置4の管理装置在高データを管理装置記憶部26から読み出して、出納機2の出納機制御部177に出力することになるが、それ以後、現金管理装置4の管理装置在高データの変更を伴うローカル処理、すなわち現金管理装置4における貨幣の入出金処理等を制限する状態になる。この状態で、管理装置操作表示部16に、「ローカル処理制限中」の表示を表示させる。あるいは、管理装置保管キュー信号を受けると、現金管理装置4の管理装置制御部25は、現金管理装置4の管理装置在高データを管理装置記憶部26から読み出して、出納機2の出納機制御部177に出力し、その後、現金管理装置4の主電源をシャットダウンする。
出納機2に入力された出納機入力操作者識別情報を含む管理装置保管キュー信号を受けると、重要物管理金庫3の管理金庫制御部137は、この出納機入力操作者識別情報と一致する管理金庫入力操作者識別情報が入力された場合に、現金管理装置4の保管場所である保管庫124(a)の保管庫ロック機構127のロック解除を許可する状態となる。
重要物管理金庫3への操作入力時には、管理金庫カードリーダ136にIDカードが通されることになり、管理金庫カードリーダ136は、これに通されたIDカードから管理金庫入力操作者識別情報(中間機入力操作者識別情報)を読み取って管理金庫制御部137に出力する。つまり、重要物管理金庫3への操作入力時には、管理金庫入力操作者識別情報が重要物管理金庫3に入力される。
重要物管理金庫3の管理金庫制御部137は、読み取った管理金庫入力操作者識別情報に対して許可されたメニューを管理金庫操作表示部135に表示させる。管理金庫制御部137は、読み取った管理金庫入力操作者識別情報が、出納機2の出納機制御部177から出力された管理装置保管キュー信号に含まれる出納機入力操作者識別情報と一致する場合、このメニューの中に現金管理装置4を重要物管理金庫3に保管する管理装置保管実行操作を含めることになり、この場合に、管理装置保管実行操作の選択入力が可能となる。
上記したメニューの中に管理装置保管実行操作が含まれている場合に、この管理装置保管実行操作が入力されると、これに基づいて、管理金庫制御部137は、保管庫124(a)の保管庫ロック機構127にロック解除信号を出力してロックを解除する開作動を実行させると共に、保管庫124(a)に設けられたLEDランプからなる状態表示部129を点滅させて、保管庫124(a)の保管庫ロック機構127がロック解除状態にあることを表示させる。保管庫ロック機構127がロック解除状態になることによって保管庫124(a)が開放可能となり、操作者は、図6に示すように保管庫124(a)を開いて保管庫124(a)内に現金管理装置4を押し込む。そして、保管庫124(a)が閉じられたことが開閉検知センサ128で検知されると、管理金庫制御部137は、保管庫124(a)に現金管理装置4が収納されているか否かを保管検知センサ130に検知させる。管理金庫制御部137は、保管庫124(a)に現金管理装置4が収納されていると、保管庫ロック機構127にロック信号を出力してこれを開作動不可にロックする。ここで、管理金庫制御部137は、上記したローカル処理制限中の状態で、現金管理装置4が保管庫124(a)に収納されたことを示す信号が保管検知センサ130から出力されて保管庫ロック機構127にロック信号を出力すると、その旨の信号を出納機2の出納機制御部177に出力することになり、出納機制御部177は、この信号を受けると、現金管理装置4の管理装置制御部25に信号を出力して、現金管理装置4の主電源をシャットダウンさせる。
以上により、重要物管理金庫3が現金管理装置4を保管している状態では、出納機2の出納機制御部177が、重要物管理金庫3に保管されている現金管理装置4の管理装置在高データを、図7(a)に示すように、出納機在高データおよび管理金庫在高データ以外の手許在高データに含めずに管理金庫在高データに含めることになる。
ここで、保管庫124(a)の保管庫ロック機構127のロックが解除された状態で、保管庫124(a)に現金管理装置4が収納されずに所定時間経過すると、出納機2、重要物管理金庫3および現金管理装置4の少なくともいずれか一つがアラームでこれを報知する。
なお、出納機2の出納機制御部177は、上記のように現金管理装置4の管理装置制御部25から管理装置在高データを受け取った時点ではなく、管理装置制御部25から管理装置在高データを受け取った後、重要物管理金庫3の保管庫124(a)に現金管理装置4が保管されたことが検知されたことを条件に、管理装置在高データを手許在高データに含めずに重要物管理金庫3の管理金庫在高データに含めて出納機記憶部179に記憶させるようにしても良い。
「現金管理装置の取り出し」
出納機2への操作入力時には、出納機カードリーダ182にIDカードが通されることになり、出納機2の出納機制御部177は、出納機カードリーダ182が読み取ったIDカードの出納機入力操作者識別情報(親機入力操作者識別情報)に対して許可されたメニューを出納機操作表示部175に表示させる。このメニューの中に現金管理装置4を重要物管理金庫3から取り出す管理装置取出指令操作(子機取出指令操作)が含まれている場合に、この管理装置取出指令操作の選択入力が可能となる。メニューの中に管理装置取出指令操作を含めるか否かは、例えば出納機入力操作者識別情報の役席レベルで設定されている。
上記したメニューの中に管理装置取出指令操作が含まれている場合に、この管理装置取出指令操作が選択入力されると、これに基づいて出納機2の出納機制御部177は、重要物管理金庫3の管理金庫制御部137に、出納機2に入力された出納機入力操作者識別情報を含む管理装置取出キュー信号(子機取出指令信号)を出力する。それと共に、出納機制御部177は、出納機記憶部179から、図7(a)に示す管理装置在高データと管理金庫本体部分在高データとを含む管理金庫在高データと、手許在高データとを読み出し、図7(b)に示すように、管理装置在高データを、管理金庫在高データに含めずに手許在高データに含めて出納機記憶部179に記憶させる。つまり、管理装置在高データを管理金庫在高データから手許在高データに付け替える。さらに、出納機2の出納機制御部177は、現金管理装置4の主電源をオンしてこれを起動させる。起動後、現金管理装置4は、管理装置在高データの変更を伴うローカル処理を許容する状態になる。
出納機2に入力された出納機入力操作者識別情報を含む管理装置取出キュー信号を受けると、重要物管理金庫3の管理金庫制御部137は、この出納機入力操作者識別情報と一致する管理金庫入力操作者識別情報が入力された場合に、現金管理装置4を保管している保管庫124(a)の保管庫ロック機構127のロック解除を許可する状態となる。
つまり、重要物管理金庫3への操作入力時には、管理金庫カードリーダ136にIDカードが通されることになり、重要物管理金庫3の管理金庫制御部137は、管理金庫カードリーダ136が読み取ったIDカードの管理金庫入力操作者識別情報(中間機入力操作者識別情報)に対して許可されたメニューを管理金庫操作表示部135に表示させる。管理金庫制御部137は、管理金庫カードリーダ136が読み取った管理金庫入力操作者識別情報が、出納機2の出納機制御部177から出力された管理装置取出キュー信号に含まれる出納機入力操作者識別情報と一致する場合、このメニューの中に現金管理装置4を重要物管理金庫3から取り出す管理装置取出実行操作を含めることになり、この場合に、管理装置取出実行操作の選択入力が可能となる。
上記したメニューの中に管理装置取出実行操作が含まれている場合に、この管理装置取出実行操作が入力されると、これに基づいて、管理金庫制御部137は、保管庫124(a)の保管庫ロック機構127にロック解除信号を出力してロックを解除する開作動を実行させると共に、保管庫124(a)に設けられたLEDランプからなる状態表示部129を点滅させて、保管庫124(a)の保管庫ロック機構127がロック解除状態にあることを表示させる。保管庫ロック機構127がロック解除状態になることによって保管庫124(a)が開放可能となり、操作者は、図6に示すように保管庫124(a)を開いて保管庫124(a)から現金管理装置4を取り出す。そして、保管庫124(a)が閉じられたことが開閉検知センサ128で検知されると、管理金庫制御部137は、保管庫124(a)から現金管理装置4が取り出されているか否かを保管検知センサ130に検知させる。管理金庫制御部137は、保管庫124(a)から現金管理装置4が取り出されていると、保管庫ロック機構127にロック信号を出力してこれを開作動不可にロックする。ここで、管理金庫制御部137は、現金管理装置4が保管庫124(a)から取り出されたことを示す信号が保管検知センサ130から出力されて保管庫ロック機構127にロック信号を出力すると、現金管理装置4が保管庫124(a)から取り出されたことを示す信号を出納機2の出納機制御部177に出力することになり、出納機制御部177は、この信号を受けると、現金管理装置4の管理装置制御部25に信号を出力して、現金管理装置4の主電源をオンする。また、出納機制御部177は、現金管理装置4を重要物管理金庫3から取り出した状態であることを管理して、現金管理装置4に対する入出金処理等を許容する。
以上により、現金管理装置4が重要物管理金庫3から取り出されている状態では、出納機2の出納機制御部177が、重要物管理金庫3から取り出されている現金管理装置4の管理装置在高データを、図7(b)に示すように、管理金庫在高データに含めずに、出納機在高データおよび管理金庫在高データ以外の、手許在高データに含めることになる。
保管庫124(a)の保管庫ロック機構127のロックが解除された状態で、保管庫124(a)から現金管理装置4が取り出されずに所定時間経過すると、出納機2および重要物管理金庫3の少なくともいずれか一方がアラームで報知する。
なお、出納機2の出納機制御部177は、管理装置取出指令操作が選択入力された時点ではなく、その後、管理金庫制御部137から、現金管理装置4が保管庫124(a)から取り出されたことを示す信号を受けると、管理装置在高データを管理金庫在高データに含めずに、手許在高データに含めて出納機記憶部179に記憶させるようにしても良い。
以上に述べた本実施形態の貨幣管理システム1によれば、重要物管理金庫3が、移動可能であって貨幣を取り出し可能に収納する現金管理装置4を取り出し可能に保管するため、現金管理装置4を用いても、これを保管する金庫室がなくて済む。よって、簡素であり利便性が高くなる。また、出納機2が、現金管理装置4および重要物管理金庫3と通信可能であって、重要物管理金庫3が現金管理装置4を保管している状態では、現金管理装置4の管理装置在高データを手許在高データに含めずに重要物管理金庫3の管理金庫在高データに含め、重要物管理金庫3から現金管理装置4が取り出されている状態では、管理装置在高データを管理金庫在高データに含めずに手許在高データに含めるため、このような在高データの人手による専用の付け替え作業が不要になる。よって、さらに利便性が高くなる。
また、出納機2は、管理装置保管指令操作が入力されると、現金管理装置4の管理装置在高データを手許在高データに含めずに重要物管理金庫3の管理金庫在高データに含めると共に、重要物管理金庫3に管理装置保管指令信号を出力する。この管理装置保管指令信号を受けると、重要物管理金庫3は、保管庫ロック機構127の開作動を許可する。よって、管理装置在高データを手許在高データに含めずに管理金庫在高データに含めるという在高データの付け替えを行わずに、重要物管理金庫3に現金管理装置4が保管されてしまうことを抑制できる。
また、出納機2は、出納機入力操作者識別情報を含んで重要物管理金庫3に管理装置保管指令信号を出力する。すると、重要物管理金庫3は、入力された管理金庫入力操作者識別情報が出納機入力操作者識別情報と一致する場合に、保管庫ロック機構127の開作動を許可する。よって、出納機2への操作者以外による重要物管理金庫3への現金管理装置4の保管を抑制でき、他の現金管理装置4が保管される等の誤保管を抑制できる。
また、出納機2は、管理装置取出指令操作が入力されると、現金管理装置4の管理装置在高データを重要物管理金庫3の管理金庫在高データに含めずに手許在高データに含めると共に、重要物管理金庫3に管理装置取出指令信号を出力する。この管理装置取出指令信号を受けると、重要物管理金庫3は、保管庫ロック機構127の開作動を許可する。よって、管理装置在高データを管理金庫在高データに含めずに手許在高データに含めるという在高データの付け替えを行わずに、重要物管理金庫3から現金管理装置4が取り出されてしまうことを抑制できる。
また、出納機2は、出納機入力操作者識別情報を含んで重要物管理金庫3に管理装置取出指令信号を出力する。すると、重要物管理金庫3は、入力された管理金庫入力操作者識別情報が出納機入力操作者識別情報と一致する場合に、保管庫ロック機構127の開作動を許可する。よって、出納機2への操作者以外による重要物管理金庫3からの現金管理装置4の取り出しを抑制でき、セキュリティ性を高めることができる。また、在高の移動とそれを行った操作者の識別情報とを出納機2で一元管理することができる。
本実施形態の出納機2によれば、現金管理装置4および重要物管理金庫3と通信可能であって、重要物管理金庫3が現金管理装置4を保管している状態では、現金管理装置4の管理装置在高データを手許在高データに含めずに重要物管理金庫3の管理金庫在高データに含め、重要物管理金庫3から現金管理装置4が取り出されている状態では、管理装置在高データを管理金庫在高データに含めずに手許在高データに含めるため、このような在高データの人手による専用の付け替え作業が不要になる。よって、利便性が高くなる。
本実施形態の在高データ管理方法によれば、重要物管理金庫3が現金管理装置4を保管している状態では、現金管理装置4の管理装置在高データを手許在高データに含めずに重要物管理金庫3の管理金庫在高データに含め、重要物管理金庫3から現金管理装置4が取り出されている状態では、管理装置在高データを管理金庫在高データに含めずに手許在高データに含めるため、このような在高データの人手による専用の付け替え作業が不要になる。よって、利便性が高くなる。
上記の実施形態では、貨幣管理システム1が現金管理装置4を一台備える場合を例にとり説明したが、独立した現金管理装置4を複数台備えていても良い。この場合、それぞれの現金管理装置4を個別に上記と同様に重要物管理金庫3に対し保管したり取り出したりすることになる。あるいは、複数台の現金管理装置4を重要物管理金庫3に対し一斉に保管したり取り出したりすることも可能である。この場合、保管時にすべての現金管理装置4が重要物管理金庫3に保管されていない場合や、取り出し時にすべての現金管理装置4が重要物管理金庫3から取り出されていない場合に、アラームを発生させて報知するようにしても良い。また、出納機2の近くに存在する現金管理装置4のみに対して、管理装置保管キュー信号や管理装置取出キュー信号を送信したり、現金管理装置4の管理金庫在高データに応じて管理装置保管キュー信号や管理装置取出キュー信号を送信する現金管理装置4を決定するようにしても良い。複数台の現金管理装置4の保管および取り出しを、例えば繁忙期か否かを予め設定しておき、繁忙期には取り出し台数を増やすようにすることができる。
また、貨幣管理システム1が、マスター・スレイブ動作を行う複数台の現金管理装置4を備えていても良い。親機となる現金管理装置4が、子機となる現金管理装置4を含めて管理金庫在高データを管理しているため、出納機2は、すべての現金管理装置4が重要物管理金庫3に保管されたことを条件に、すべての現金管理装置4の管理装置在高データを手許在高データに含めずに、重要物管理金庫3の管理金庫在高データに含めることになる。また、出納機2は、すべての現金管理装置4が重要物管理金庫3から取り出されたことを条件に、現金管理装置4の管理装置在高データを、重要物管理金庫3の管理金庫在高データに含めずに、手許在高データに含めることになる。この場合、保管時にすべての現金管理装置4が重要物管理金庫3に保管されていない場合や、取り出し時にすべての現金管理装置4が重要物管理金庫3から取り出されていない場合に、アラームを発生させて報知するようにしても良い。
なお、上記各実施形態では、操作者の認証は、磁気カードやICカード等のIDカードを用いて行う場合について説明したが、操作者の指紋あるいは静脈等の生体情報を用いた認証手段であってもよいし、これらを併用してもよい。
また、上記各実施形態において、出納機2は締上業務において重要物管理金庫3に未処理の管理装置保管キューや管理装置取出キューの照会を行い、現金管理装置4の保管や取出処理に未処理が無いかの確認を行う。出納機2は、現金管理装置4の保管や取出処理に未処理があった場合はアラームを発生させ、操作者に警告し、操作を促す。
また、上記の現金管理装置の保管処理では、出納機2からの管理装置保管キュー信号をトリガにして行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、現金管理装置4において、管理装置カードリーダ17が読み取った管理装置入力操作者識別情報に対して許可されたメニューの中に管理装置保管指令操作を含め、管理装置操作表示部16に表示させる。この管理装置保管指令操作が選択入力されると、現金管理装置4の管理装置制御部25は、管理装置記憶部26に記憶されている管理装置在高データを読み出して、管理装置カードリーダ17が読み取った管理装置入力操作者識別情報と現金管理装置4の保管処理が行われたことを示す信号と共に出納機2の出納機制御部177に出力し、現金管理装置4の主電源をシャットダウンする。これに基づいて出納機2の出納機制御部177は、管理装置在高データを手許在高データから管理金庫在高データに付け替え、重要物管理金庫3の管理金庫制御部137に、この管理装置入力操作者識別情報を含む管理装置保管キュー信号を出力する。重要物管理金庫3は、管理金庫カードリーダ136が読み取った管理金庫入力操作者識別情報が、管理装置保管キュー信号に含まれる管理装置力操作者識別情報と一致する場合に管理装置保管実行操作の選択入力を可能にする。その他の処理については、上記の現金管理装置の保管処理と同様に、各装置は動作を行う。
また、上記の現金管理装置の取り出し処理では、出納機2からの管理装置取出キュー信号をトリガにして行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、重要物管理装置3において、管理金庫カードリーダ136が読み取った管理金庫入力操作者識別情報に対して許可されたメニューの中に管理装置取出指令操作を含め、管理金庫操作表示部135に表示させる。この管理装置取出指令操作が選択入力されると、重要物管理装置3の管理金庫制御部137は、現金管理装置4の取り出し処理が行われたことを示す信号を出納機2の出納機制御部177に出力する。これに基づいて出納機2の出納機制御部177は、管理装置在高データを管理金庫在高データから手許在高データに付け替える。その他の処理については、上記の現金管理装置の取り出し処理と同様に、各装置は動作を行う。