JP2017228251A - 媒体処理装置及び媒体取引装置 - Google Patents

Abstract

【課題】保守作業時における意図しない箇所への媒体の搬送を防止できるようにする。【解決手段】現金自動預払機１の紙幣入出金機１０は、上収納庫１９が対向状態であり引渡口３２が受取口４１と連結されている場合に、保守作業者による該操作ノブ３８の操作を規制でき、紙幣が上収納庫１９内へ搬送されることを防止できる。その一方で紙幣入出金機１０は、上収納庫１９が非対向状態であり上搬送部１８の引渡口３２が露出した状態であれば、保守作業者による操作ノブ３８の操作を許容し、該上搬送部１８内の紙幣を手動で搬送させた上で、引渡口３２から排出させることができる。この結果、紙幣入出金機１０は、紙幣制御部１１において記憶している各部の紙幣の枚数等と、各部に実際に収納されている紙幣の枚数との間の不一致を、未然に防止できる。【選択図】図４

Description

本発明は媒体処理装置及び媒体取引装置に関し、例えば顧客に紙幣等の媒体を投入させて所望の取引を行う現金自動預払機（ＡＴＭ）に適用して好適なものである。

従来、金融機関等で使用される現金自動預払機等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金するものが広く普及している。

現金自動預払機としては、例えば全体を制御する制御部と、顧客との間で紙幣の授受を行う紙幣入出金部と、投入された紙幣を搬送路に沿って搬送する搬送部と、紙幣の金種及び真偽を鑑別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、金種ごとに紙幣を格納する紙幣収納庫とを有するものが提案されている。

この現金自動預払機は、入金取引において、顧客が紙幣入出金口に紙幣を投入すると、投入された紙幣を鑑別部で鑑別し、正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部へ収納する一方、取引すべきでないと鑑別された紙幣を紙幣入出金口へ戻して顧客に返却する。続いて現金自動預払機は、顧客により入金金額が確定されると、一時保留部に収納している紙幣を繰り出してその金種を鑑別部により再鑑別し、鑑別された金種に応じて各紙幣収納庫へ収納する。

このうち搬送部では、搬送路に沿って配置された複数の搬送ローラに対し所定の駆動モータから駆動力を供給して回転させることにより、紙幣をこの搬送路に沿って搬送することができる（例えば、特許文献１参照）。また搬送部には、保守作業時に搬送ローラ等を手動で回転させるための操作ノブが設けられている場合がある。

例えば現金自動預払機では、搬送部で紙幣の詰まりが発生した場合、保守作業者によって該搬送部から紙幣入出金部や一時保留部等が取り外され、一時保留部等との受渡口を露出させた状態となる。その上で現金自動預払機は、保守作業者によって手動で搬送部の操作ノブが回転操作されることにより、搬送路内に残っていた紙幣を搬送路に沿って手動で進行させ、受渡口から取り出させることができる。

特開２０１６−５７９６７号公報（図３）

ところで現金自動預払機では、紙幣を厳格に管理する観点から、制御部により、一時保留部や紙幣収納庫等の各部ごとに、収納している紙幣の金種や枚数等を記憶し、随時更新している。

このため現金自動預払機では、保守作業等において、保守作業者の手作業により紙幣が各部から取り出された場合や収納された場合、制御部が記憶している紙幣の枚数等と、実際に各部に収納されている紙幣の枚数等とが相違するため、制御部において各部に収納されている紙幣の枚数等を正常に把握できなくなる。この場合、現金自動預払機では、例えば保守作業者により所定の操作部を介して記憶内容の修正作業等を行わせることにより、各部に収納されている紙幣の枚数等を再び正確に把握することができる。

しかしながら、現金自動預払機の搬送部では、紙幣を案内する搬送ガイド等により搬送路がほぼ囲まれた構成となっており、外側から該搬送路内にある紙幣を保守作業者等に目視させることが難しい。このため現金自動預払機では、保守作業において、紙幣収納庫等が取り外されない状態のまま、保守作業者が気付かないうちに手動で紙幣を紙幣収納庫等の各部へ搬送してしまい、収納させてしまう場合がある。

このような場合、現金自動預払機では、制御部により把握している各部における紙幣の枚数等と実際の紙幣の枚数等とが相違し、且つ保守作業者に気付かれないために修正されないまま、すなわち制御部が各部における紙幣の枚数を正確に把握していない状態のまま、運用が開始されてしまう恐れがある、という問題があった。

本発明は以上の点を考慮してなされたもので、保守作業時における意図しない箇所への媒体の搬送を防止し得る媒体処理装置及び媒体取引装置を提案しようとするものである。

かかる課題を解決するため本発明の媒体処理装置においては、紙葉状の媒体を搬送路に沿って搬送する搬送部と、搬送部内に設けられ、所定の駆動力源からの駆動力を媒体に伝達し搬送路に沿って進行させる駆動伝達部と、搬送部の一側面である操作側面に設けられ、駆動伝達部を手動で動作させる操作ノブと、内部に媒体を収納すると共に、搬送部の操作側面における操作ノブを含む範囲に対向する対向状態と、該操作側面に対向しない非対向状態とに遷移可能であり、対向状態において搬送部との間で媒体を受け渡すと共に操作ノブに対する操作を規制する収納庫とを設けるようにした。

また本発明の媒体取引装置においては、利用者との間で取引される紙葉状の媒体を搬送路に沿って搬送する搬送部と、搬送部内に設けられ、所定の駆動力源からの駆動力を媒体に伝達し搬送路に沿って進行させる駆動伝達部と、搬送部の一側面である操作側面に設けられ、駆動伝達部を手動で動作させる操作ノブと、内部に媒体を収納すると共に、搬送部の操作側面における操作ノブを含む範囲に対向する対向状態と、該操作側面に対向しない非対向状態とに遷移可能であり、対向状態において搬送部との間で媒体を受け渡すと共に操作ノブに対する操作を規制する収納庫とを設けるようにした。

本発明では、収納庫が対向状態である場合、保守作業者による操作ノブへの操作を規制し、手動により媒体が搬送路に沿って収納庫へ搬送されることを防止できる。また本発明では、収納庫が非対向状態である場合、収納庫を搬送路から切り離した上で、操作ノブを露出させて保守作業者に操作させ、手動で媒体を搬送路に沿って搬送させることができる。これにより本発明では、保守作業者が気付かないうちに媒体を収納庫に搬送させて収納してしまうことを防止できる。

本発明によれば、保守作業時における意図しない箇所への媒体の搬送を防止し得る媒体処理装置及び媒体取引装置を実現できる。

現金自動預払機の外観構成を示す略線的斜視図である。 紙幣入出金機の構成を示す略線図である。 搬送部の構成を示す略線図である。 第１の実施の形態による上搬送部及び上収納庫の構成を示す略線的斜視図である。 第１の実施の形態による上搬送部及び上収納庫の構成を示す略線的側面図である。 第１の実施の形態による上搬送部及び上収納庫の構成を示す略線的平面図である。 第２の実施の形態による上搬送部及び上収納庫の構成を示す略線的斜視図である。 第２の実施の形態による上搬送部及び上収納庫の構成を示す略線的側面図である。 第２の実施の形態による上搬送部及び上収納庫の構成を示す略線的平面図である。 他の実施の形態による上搬送部及び上収納庫の構成を示す略線的斜視図である。 他の実施の形態による上搬送部及び上収納庫の構成を示す略線図である。 他の実施の形態による上搬送部及び上収納庫の構成を示す略線図である。

以下、発明を実施するための形態（以下実施の形態とする）について、図面を用いて説明する。

［１．第１の実施の形態］
［１−１．現金自動預払機及び紙幣入出金機の構成］
図１に外観を示すように、媒体取引装置としての現金自動預払機１は、箱状の筐体２を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者（すなわち金融機関の顧客）との間で入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行うようになっている。

筐体２は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部３が設けられている。顧客応対部３は、顧客との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、カード入出口４、入出金口５、操作表示部６、テンキー７、及びレシート発行口８が設けられている。

カード入出口４は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口４の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部（図示せず）が設けられている。入出金口５は、顧客によって入金される紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される。また入出金口５は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになっている。因みに紙幣は、例えば長方形の紙により、紙葉状に形成されている。

操作表示部６は、取引に際して操作画面を表示するＬＣＤ（Liquid Crystal Display）と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー７は、「０」〜「９」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口８は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口８の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部（図示せず）が設けられている。

以下では、現金自動預払機１のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。

筐体２内には、現金自動預払機１全体を統括制御する主制御部９や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機１０等が設けられている。主制御部９は、図示しないＣＰＵ（Central Processing Unit）を中心に構成されており、図示しないＲＯＭ（Read Only Memory）やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部９は、内部にＲＡＭ（Random Access Memory）、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。

紙幣入出金機１０は、図２に側面図を示すように、内部に媒体としての紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。紙幣入出金機１０は、大きく分けて、上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ユニット１０Ｕと、その下側部分を占める下部ユニット１０Ｌとにより構成されている。

因みに紙幣入出金機１０は、筐体２に対しスライドレール（図示せず）を介して取り付けられており、保守作業等が行われる場合、該筐体２の後側面が開放された状態で後方へ引き出されることにより、各部を露出させた状態となる。

上部ユニット１０Ｕには、全体を統括制御する紙幣制御部１１、顧客との間で紙幣を授受する入出金部１２、紙幣を各部へ搬送する搬送部１３及び上搬送部１８、紙幣を鑑別する鑑別部１４、紙幣を一時的に収納する一時保留部１５、及び紙幣を収納する上収納庫１９が設けられている。

紙幣制御部１１は、主制御部９と同様、図示しないＣＰＵを中心に構成されており、図示しないＲＯＭやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部１１は、内部にＲＡＭ及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。例えば紙幣制御部１１は、紙幣入出金機１０の各部に収納されている紙幣の金種や枚数等をこの記憶部に記憶させ、また随時更新するようになっている。

入出金部１２は、上部ユニット１０Ｕ内における前上部に位置している。この入出金部１２は、利用者から受け取った紙幣及び利用者へ引き渡す紙幣を収容する収容器１２Ａを内部に有しており、その上方をシャッタ１２Ｂにより開閉し得るようになっている。収容器１２Ａ内には、複数の紙幣が紙面を前後方向に向けて集積された状態で収容される。この入出金部１２は、収容器１２Ａ内の紙幣を１枚ずつに分離して搬送部１３に引き渡し、また搬送部１３から受け取った紙幣を収容器１２Ａ内へ放出して集積させる。

搬送部１３は、上部ユニット１０Ｕ内における下端部分に位置しており、全体的に上下方向に薄く前後方向に細長い形状となっている。この搬送部１３内には、紙幣を案内する搬送ガイドや多数の回転するローラ等が適宜配置されており、紙幣の短辺を進行方向に沿わせて、主に前後方向へ搬送させるような直線状の搬送路が形成されている。

搬送部１３は、図３に拡大図を示すように、大きく分けて、中央付近に配置された一時保留切替部２０と、当該一時保留切替部２０の前側及び後側にそれぞれ配置された前搬送部２１及び後搬送部２２により構成されている。一時保留切替部２０は、紙幣制御部１１の制御に基づき、前搬送部２１、後搬送部２２及び一時保留部１５の間で紙幣を搬送するよう、紙幣の搬送経路を切り替える。

前搬送部２１内には、前方から順に、リジェクト切替部２４、鑑別部１４及び切替部２５が直列に配置されており、前後方向に沿った概ね直線状の前搬送路２１Ｙが形成されている。リジェクト切替部２４及び切替部２５は、それぞれ紙幣制御部１１の制御に基づき、紙幣の搬送経路を適宜切り替える。後搬送部２２内には、後方から順に、切替部２６、２７、２８及び２９がほぼ直列に配置されており、前後方向に沿った概ね直線状の後搬送路２２Ｙが形成されている。また前搬送部２１及び後搬送部２２は、それぞれ搬送路中に数枚程度の紙幣を貯留し得るようになっている。

鑑別部１４は、前搬送部２１内に組み込まれており、紙幣の搬送経路上で入出金部１２と一時保留切替部２０との間に位置している。この鑑別部１４は、内部に厚みセンサ、イメージセンサ及び磁気センサといった複数種類のセンサが組み込まれており、搬送される紙幣の金種、真偽、正損（損傷しているか否か）等を認識し、その認識結果を紙幣制御部１１へ送出する。

一時保留部１５（図２）は、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることにより当該紙幣を収納し、またこの周側面から当該テープと共に紙幣を引き剥がすことにより該紙幣を繰り出す。

上搬送部１８は、搬送部１３の上側における後端近傍に配置されており、下端から上部前側へ向けて紙幣を搬送するようになっている。上収納庫１９は、搬送部１３の上側における後寄りの箇所であって、上搬送部１８の前側に隣接する位置に設けられている。この上収納庫１９は、上搬送部１８により搬送された紙幣を受け取ると共に内部に収納するようになっている。因みに上収納庫１９は、例えば鑑別部１４において偽券（偽造された紙幣）と判断された紙幣を他の紙幣と区別して収納する偽券収納庫として使用される。

下部ユニット１０Ｌは、その全ての周側面が頑強な金庫筐体１０Ｓにより覆われている。この金庫筐体１０Ｓの内部には、後側から前側へ向けて、５個の紙幣収納庫１６並びにリジェクト庫１７が設けられている。

各紙幣収納庫１６は、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。また各紙幣収納庫１６は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。この紙幣収納庫１６は、搬送部１３から紙幣を受け取ると、これを内部に集積して収納する。また紙幣収納庫１６は、紙幣制御部１１から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を１枚ずつに分離して繰り出し、搬送部１３に引き渡す。

リジェクト庫１７は、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。このリジェクト庫１７は、鑑別部１４及び紙幣制御部１１により損傷の程度が大きく再利用すべきで無いと判断された紙幣（いわゆるリジェクト紙幣）が搬送部１３により搬送されてくると、当該紙幣を内部に収納する。

［１−２．入金処理］
次に、現金自動預払機１により顧客との間で入金取引が行われる場合における、紙幣入出金機１０内での入金処理について説明する。紙幣入出金機１０は、入金処理において、紙幣制御部１１の制御に基づき、まず入金された紙幣の金種等を鑑別しながら枚数を計数する入金計数処理を行い、次に紙幣を適切な収納箇所へ搬送して収納する入金収納処理を行うようになっている。

具体的に紙幣制御部１１は、例えば顧客により操作表示部６（図１）を介して入金取引を開始する旨の操作入力を受け付けると、入金計数処理を開始し、顧客に入出金部１２の収容器１２Ａへ紙幣を投入させ、これを１枚ずつに分離して取り込み、搬送部１３へ順次引き渡す。搬送部１３は、入出金部１２から受け取った紙幣を前搬送部２１により後方へ順次搬送しながら、鑑別部１４により各紙幣を順次鑑別させ、一時保留切替部２０へ順次引き渡す。このとき鑑別部１４は、得られた鑑別結果を紙幣制御部１１へ送出する。

紙幣制御部１１は、取得した鑑別結果を基に、各紙幣における損傷の程度や金種、或いは真偽を判断する。次に紙幣制御部１１は、各紙幣について、正常な紙幣として認識できた場合は以降の処理を継続できる入金受入紙幣であると判断し、正常な紙幣として認識できない場合は、一度顧客に返却すべき入金リジェクト紙幣であると判断する。

さらに紙幣制御部１１は、入金受入紙幣について、正常であり再利用可能な紙幣については金種ごとの各紙幣収納庫１６を、損傷の程度が大きいリジェクト紙幣についてはリジェクト庫１７を、それぞれ最終的な搬送先として決定する。また紙幣制御部１１は、偽券については上収納庫１９を最終的な搬送先として決定する。

続いて紙幣制御部１１は、前搬送部２１から一時保留切替部２０へ引き渡される紙幣の判断結果に応じて、入金受入紙幣及び偽券であれば一時保留部１５へ搬送して収納させ、入金リジェクト紙幣であれば後搬送部２２内へ進行させて後搬送路２２Ｙ内に貯留させる。

やがて紙幣制御部１１は、入出金部１２の収容器１２Ａから全ての紙幣を取り込み終えると、後搬送部２２の後搬送路２２Ｙ内に入金リジェクト紙幣が貯留されていれば、これを顧客に返却する。これにより紙幣制御部１１は、紙幣を前搬送部２１経由で入出金部１２へ搬送して顧客に返却し、紙幣の状態を確認させ、必要に応じて再投入させる。一方、紙幣制御部１１は、後搬送部２２の後搬送路２２Ｙ内に入金リジェクト紙幣が貯留されていなければ、入金計数処理を完了する。

このとき紙幣制御部１１は、入出金部１２から取り込んだ紙幣の金種及び枚数の集計結果を基に入金額を算出すると共に、所定の操作指示画面を操作表示部６に表示し、この入金額を顧客に提示すると共に入金取引を継続するか否かを選択させる。ここで紙幣制御部１１は、顧客により入金取引の中止が指示された場合、一時保留部１５に保留している全ての紙幣を搬送部１３により入出金部１２へ搬送して顧客に返却する。

一方、紙幣制御部１１は、顧客により入金取引の継続が指示された場合、入金収納処理を開始する。具体的に紙幣制御部１１は、まず一時保留部１５において操出処理を開始し、収納している紙幣（入金受入紙幣及び偽券）を順次繰り出し、一時保留切替部２０へ引き渡す。

このとき紙幣制御部１１は、入金計数処理において決定された紙幣毎の搬送先に応じて、一時保留切替部２０や各切替部における紙幣の搬送経路を適宜切り替えることにより、各紙幣をそれぞれの搬送先へ搬送して収納させる。これにより紙幣制御部１１は、再利用すべき通常の紙幣を金種ごとに分類して各紙幣収納庫１６に収納でき、また再利用すべきで無いリジェクト紙幣をリジェクト庫１７に収納でき、さらに偽券を上収納庫１９に収納できる。

［１−３．上搬送部及び上収納庫の構成］
次に、上搬送部１８及び上収納庫１９の構成について図４、図５及び図６を参照しながら説明する。因みに図４は模式的な斜視図を表し、図５は模式的な左側面図を表し、図６は模式的な平面図を表している。

上搬送部１８は、全体として直方体状に構成されており、その周囲が上搬送部筐体３０により覆われている。上搬送部筐体３０の下面には、搬送部１３から紙幣を受け取る受取口３１が設けられている。また上搬送部筐体３０の前面である上搬送部前面３０Ｆの上端近傍には、上収納庫１９へ紙幣を引き渡す引渡口３２が設けられている。

図５（Ａ）に示すように、上搬送部１８の内部には、受取口３１から引渡口３２へ向けて紙幣を搬送する搬送路３３が形成されている。搬送路３３は、図示しない搬送ガイド等により、受取口３１から上方へ向かって紙幣を案内した後、前方へ屈曲させて引渡口３２へ進行させるようになっている。

また上搬送部１８の内部には、搬送路３３に沿って所定間隔ごとに複数の搬送ローラ対３４が配置されている。各搬送ローラ対３４は、搬送路３３の前側に配置された駆動ローラ３５と、該搬送路３３の後側に配置された従動ローラ３６との組合せにより構成されている。

駆動ローラ３５は、中心軸を左右方向に向けた円柱状に形成されており、図示しない駆動モータ（以下これを駆動力源とも呼ぶ）から図示しないギアやベルト等を介して駆動力が供給され、それぞれ回転する。従動ローラ３６は、駆動ローラ３５と同様に中心軸を左右方向に向けた円柱状に形成されており、自在に回転し得る状態で、図示しないスプリングにより前方へ、すなわち駆動ローラ３５に向けて押し付けられている。

このため搬送ローラ対３４は、搬送路３３に沿って紙幣が下方から搬送されてきた場合、これを駆動ローラ３５及び従動ローラ３６の間に挟持し、回転する該駆動ローラ３５から駆動力を伝達することにより、この紙幣を搬送路３３に沿ってさらに上方へ搬送することができる。

因みに上搬送部１８では、搬送路３３の周囲が図示しない搬送ガイドや上搬送部筐体３０等により覆われている。このため上搬送部１８では、該搬送路３３内における紙幣の有無を保守作業者に外側から視認させることが、極めて困難となっている。

また図４（Ａ）に示したように、上搬送部１８の上搬送部前面３０Ｆにおける上端近傍の左側部分、すなわち引渡口３２の左側には、周囲よりも後方へ窪んだ凹部３７が形成されている。操作ノブ周囲部分としての凹部３７は、左側、右側、下側及び後側が閉塞される一方で前側及び上側が開放されており、比較的小さく上下方向に長い直方体状の空間を形成している。また凹部３７の後側面には、上下方向に細長く前後方向に貫通された孔部が形成されている。

さらに、上搬送部１８における上端近傍の左側部分、すなわち引渡口３２の左側には、操作ノブ３８が設けられている。操作ノブ３８は、全体として中心軸を左右方向に向けた扁平な円板状に形成されており、その前端近傍を凹部３７の孔部から前方へ、すなわち凹部３７内へ露出させている。因みに操作ノブ３８の前端は、操作側面としての上搬送部前面３０Ｆと同等若しくはこれよりもやや後側に位置している。

この操作ノブ３８は、上搬送部筐体３０の内部に位置する中心軸を回転中心として、回転し得るようになっており、図示しないギア等を介して、各搬送ローラ対３４の駆動ローラ３５と連動している。このため上搬送部１８は、保守作業者により操作ノブ３８が回転された場合、各搬送ローラ対３４の駆動ローラ３５を回転させることができる。このとき上搬送部１８は、搬送路３３内に紙幣ＢＬが残っていた場合、この紙幣ＢＬを搬送路３３に沿って進行させること、すなわち該紙幣ＢＬを手動で搬送することができる。

上収納庫１９は、全体として直方体状に構成されており、その周囲が上収納庫筐体４０により覆われている。上収納庫筐体４０は、上搬送部１８の上搬送部筐体３０と比較して、上下方向及び左右方向の長さが何れも僅かに小さく（短く）なっている。

また上収納庫１９は、後面である上収納庫後面４０Ｒの上端近傍に、上搬送部１８から紙幣を受け取る受取口４１を有しており、またその内部に紙幣を搬送する上収納庫内搬送路４２や紙幣を収納するための空間である収納空間４３を有している。

さらに上収納庫１９は、搬送部１３の上側であって上搬送部１８の前側となる装着箇所Ｐ１に対し着脱可能に構成されている。すなわち上収納庫１９は、図４（Ｂ）及び図５（Ｂ）に示すように装着箇所Ｐ１に装着された状態である場合、上収納庫後面４０Ｒを上搬送部前面３０Ｆと対向させると共に、受取口４１を引渡口３２と連結させる。これにより上収納庫１９は、上搬送部１８から紙幣を受け取ることができる。以下、この状態を対向状態又は受渡状態と呼ぶ。因みに、上搬送部１８の凹部３７については、この対向状態において、上収納庫１９から遠ざかる方向に窪んでいる、と見なすこともできる。

これを他の観点から見れば、上搬送部１８は、上収納庫１９が装着箇所Ｐ１に装着された対向状態である場合、該上収納庫１９により受渡部としての引渡口３２が閉塞されている。このため、紙幣入出金機１０の保守作業を行う保守作業者は、引渡口３２における紙幣の有無や紙幣の受け渡しの状況等を目視により確認することが困難である。

さらに上収納庫１９は、この対向状態において、上搬送部１８の凹部３７の前側における上端近傍を除いた大部分を、上収納庫後面４０Ｒにより閉塞している。これにより上収納庫１９は、保守作業者に対し、操作ノブ３８に対する操作を規制している。これを換言すれば、紙幣入出金機１０では、上収納庫１９が対向状態である場合、上搬送部１８の引渡口３２を受取口４１と連結させて閉塞すると共に、操作ノブ３８の大部分を閉塞することにより保守作業者による操作を規制している。

一方、上収納庫１９は、図４（Ａ）及び図５（Ａ）に示したように、保守作業者によって装着箇所Ｐ１から前上方へ持ち上げられることにより、搬送部１３及び上搬送部１８から取り外され、上収納庫後面４０Ｒを上搬送部前面３０Ｆから十分に引き離した状態となる。以下、これを非対向状態と呼ぶ。このとき上搬送部１８は、上搬送部前面３０Ｆの全範囲、すなわち引渡口３２並びに凹部３７及び操作ノブ３８を外部に露出させ、その前側（すなわち装着箇所Ｐ１）に十分な大きさの空間を形成する。

このため上搬送部１８は、この非対向状態において、保守作業者に操作ノブ３８及び引渡口３２を視認させながら、該操作ノブ３８を操作させ、これに伴い搬送ローラ対３４の駆動ローラ３５を回転させることができる。これにより上搬送部１８は、搬送路３３内に紙幣ＢＬが残っていた場合、この紙幣を引渡口３２まで搬送し、該上搬送部１８の前方へ排出することができる。

［１−４．効果等］
以上の構成において、第１の実施の形態による現金自動預払機１の紙幣入出金機１０は、上搬送部１８の上搬送部前面３０Ｆに操作ノブ３８及び引渡口３２を設けると共に、該上搬送部１８の前側に隣接する装着箇所Ｐ１に上収納庫１９を着脱させるようにした（図４〜図６）。

このため紙幣入出金機１０では、上収納庫１９が装着箇所Ｐ１に装着されて上収納庫後面４０Ｒを上搬送部前面３０Ｆと対向させた対向状態（図４（Ｂ）及び図５（Ｂ））である場合、該上収納庫１９により凹部３７の大部分及び操作ノブ３８の前側を閉塞し、保守作業者による該操作ノブ３８に対する操作を規制できる。

これを換言すれば、紙幣入出金機１０では、上収納庫１９が装着箇所Ｐ１から取り外された非対向状態であり上搬送部１８の引渡口３２を露出させた状態（図４（Ａ）及び図５（Ａ））においてのみ、保守作業者に対し操作ノブ３８を操作させることができる。

これにより紙幣入出金機１０では、上搬送部１８内における紙幣の有無やその位置を外部から視認することが極めて難しいところ、該上搬送部１８の引渡口３２まで搬送された紙幣が保守作業者の意に反して上収納庫１９内に収納されてしまう、といった問題や、このことに保守作業者自身が気付かない、といった問題の発生を、未然に防止できる。これに伴い紙幣入出金機１０では、紙幣制御部１１において記憶している各部の紙幣の枚数等と、各部に実際に収納されている紙幣の枚数とが相違することを、未然に回避できる。

またこれを他の観点から見れば、紙幣入出金機１０では、上収納庫１９が対向状態であるときに受取口４１が上搬送部１８の引渡口３２と連結されているため、該引渡口３２を露出させるには、該上収納庫１９を非対向状態とする必要がある。このことを踏まえ、紙幣入出金機１０では、上収納庫１９を対向状態とした場合に引渡口３２に加えて操作ノブ３８も覆うようにしたことにより、保守作業者が該引渡口３２を露出させる目的で上収納庫１９を非対向状態とした場合に、他の作業をさせる必要無く、同時に操作ノブ３８も露出させることができる。

また紙幣入出金機１０では、対向状態（図４（Ｂ）及び図５（Ｂ））において、上収納庫１９の上収納庫筐体４０を利用して操作ノブ３８の前側を閉塞している。このため紙幣入出金機１０では、操作ノブ３８を閉塞するための部品を別途設ける必要が無く、また上収納庫１９の着脱に応じてこの部品を変位させるための機構等も設ける必要が無い。

さらに紙幣入出金機１０では、上搬送部１８における凹部３７の上側を開放したことにより、上収納庫１９が装着箇所Ｐ１に装着された対向状態において、該操作ノブ３８の一部を外部に露出させた状態として、保守作業者により上側から該操作ノブ３８の一部を視認させ得るようにした。これにより紙幣入出金機１０では、保守作業者が該紙幣入出金機１０の構造等を十分に把握していない場合であっても、操作ノブ３８の位置を視認させること、及び上収納庫１９を取り外すことにより該操作ノブ３８を操作し得るようになることを、直感的に理解させることができる。

そのうえ紙幣入出金機１０では、凹部３７及び操作ノブ３８を、引渡口３２の近傍、すなわち該引渡口３２と同等の高さであって、左側に近接した箇所に設けるようにした（図４及び図５）。このため紙幣入出金機１０では、保守作業者が操作ノブ３８を操作するために該操作ノブ３８を目視した場合に、その視界に引渡口３２も含めることができ、該引渡口３２から紙幣が排出された場合に、確実にその存在に気付かせることができる。

以上の構成によれば、第１の実施の形態による現金自動預払機１の紙幣入出金機１０は、上収納庫１９が対向状態であり引渡口３２が受取口４１と連結されている場合に、保守作業者による該操作ノブ３８の操作を規制でき、紙幣が上収納庫１９内へ搬送されることを防止できる。その一方で紙幣入出金機１０は、上収納庫１９が非対向状態であり上搬送部１８の引渡口３２が露出した状態であれば、保守作業者による操作ノブ３８の操作を許容し、該上搬送部１８内の紙幣を手動で搬送させた上で、引渡口３２から排出させることができる。この結果、紙幣入出金機１０は、紙幣制御部１１において記憶している各部の紙幣の枚数等と、各部に実際に収納されている紙幣の枚数との間の不一致を、未然に防止できる。

［２．第２の実施の形態］
第２の実施の形態による現金自動預払機１０１（図１）は、第１の実施の形態による現金自動預払機１と比較して、紙幣入出金機１０に代わる紙幣入出金機１１０を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。

紙幣入出金機１１０（図２）は、第１の実施の形態による紙幣入出金機１０と比較して、上搬送部１８及び上収納庫１９に代わる上搬送部１１８及び上収納庫１１９を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。

上搬送部１１８は、図４、図５及び図６とそれぞれ対応する図７、図８及び図９に示すように、第１の実施の形態による上搬送部１８と概ね同様に構成されている。ただし上搬送部１１８は、上搬送部筐体３０及び操作ノブ３８とそれぞれ対応する上搬送部筐体１３０及び操作ノブ１３８を有する点において、第１の実施の形態と相違している。

上搬送部筐体１３０は、全体として第１の実施の形態による上搬送部筐体３０と同様の直方体状に構成されているものの、その前面である上搬送部前面１３０Ｆの上端近傍における左側の箇所、すなわち凹部３７に相当する箇所が平坦に構成された上で、前後方向に貫通する孔部が形成されている。

操作ノブ１３８は、第１の実施の形態による操作ノブ３８と同様に中心軸を左右方向に沿わせた円板状に構成されているものの、上搬送部筐体１３０に対する取付位置が、第１の実施の形態よりもやや前寄りとなっている。すなわち操作ノブ１３８は、その前端近傍を上搬送部前面１３０Ｆの孔部から前方に突出させている。

上収納庫１１９は、第１の実施の形態による上収納庫１９と比較して、概ね同様に構成されているものの、搬送部１３の上面に対し着脱可能に構成されておらず、その代わりに回動可能に構成されている。

具体的に上収納庫１１９は、第１の実施の形態における上収納庫筐体４０と同様、上収納庫筐体１４０が概ね直方体状に構成されているものの、左右方向から見て前下部分が斜めに切り落とされたような形状となっている。この上収納庫筐体１４０は、前下側に設けられた回動軸１４４により、搬送部１３に対し回動可能に構成されている。

すなわち上収納庫筐体１４０は、図７（Ｂ）及び図８（Ｂ）に示すように、回動軸１４４を中心として矢印Ｒ２方向へ回動された場合、上収納庫後面１４０Ｒをほぼ真後ろに向けて上搬送部前面１３０Ｆと対向させた状態となり、受取口４１を上搬送部１１８の引渡口３２と連結させる。以下、この実施の形態において、これを対向状態と呼ぶ。これにより上収納庫１１９は、上搬送部１１８から紙幣を受け取ることができる。

このとき上収納庫１１９は、上収納庫筐体１４０の上収納庫後面１４０Ｒにより操作ノブ１３８を前方から覆った状態となり、保守作業者による該操作ノブ１３８に対する操作を規制している。因みに上収納庫１１９は、この対向状態において上収納庫後面１４０Ｒを操作ノブ１３８の前端よりも僅かに前方に位置させており、上搬送部１１８の上搬送部前面１３０Ｆとの間に僅かな隙間ＧＰを形成している。これにより保守作業者は、操作ノブ１３８を操作することはでき無いものの、目視によりその存在や位置等を確認することができる。

一方、上収納庫筐体１４０は、図７（Ａ）及び図８（Ａ）に示したように、回動軸１４４を中心として矢印Ｒ１方向へ回動された場合、上収納庫後面１４０Ｒを後ろ斜め上方へ向けた姿勢となり、受取口４１を上搬送部１１８の上搬送部前面１３０Ｆや引渡口３２から引き離す。以下、この実施の形態ではこれを非対向状態と呼ぶ。このとき上収納庫１１９は、上収納庫後面１４０Ｒを操作ノブ１３８からも十分に引き離した状態となり、保守作業者による該操作ノブ１３８に対する操作を許容することになる。

以上の構成において、第２の実施の形態による現金自動預払機１０１の紙幣入出金機１１０は、上搬送部１１８の上搬送部前面１３０Ｆに操作ノブ１３８及び引渡口３２を設けると共に、該上搬送部１１８の前側に配置した上収納庫１１９を回動させて対向状態又は非対向状態に遷移させるようにした（図７〜図９）。

このため紙幣入出金機１１０では、上収納庫１１９が対向状態（図７（Ｂ）及び図８（Ｂ））である場合、該上収納庫１１９により操作ノブ１３８の前側を閉塞し、保守作業者による該操作ノブ１３８に対する操作を規制できる。これを換言すれば、紙幣入出金機１１０では、上収納庫１１９が非対向状態であり上搬送部１１８の引渡口３２を露出させた状態（図７（Ａ）及び図８（Ａ））においてのみ、保守作業者に対し操作ノブ１３８を操作させることができる。

これにより紙幣入出金機１１０では、第１の実施の形態と同様、上搬送部１１８の引渡口３２まで搬送された紙幣が保守作業者の意に反して上収納庫１１９内に収納されてしまう、といった問題や、このことに保守作業者自身が気付かない、といった問題の発生を、未然に防止できる。

また紙幣入出金機１１０は、上収納庫１１９を回動させることにより対向状態又は非対向状態へ遷移させることができる（図７及び図８）。このため紙幣入出金機１１０では、第１の実施の形態のように上収納庫１９を着脱させる場合と比較して、該上収納庫１９を持ち上げる動作や位置を合わせて下ろす動作をさせる必要が無く、保守作業者の作業負担を軽減することができる。

その他の点においても、第２の実施の形態による紙幣入出金機１１０は、第１の実施の形態による紙幣入出金機１０と同様の作用効果を奏し得る。

以上の構成によれば、第２の実施の形態による現金自動預払機１０１の紙幣入出金機１１０は、上収納庫１１９が対向状態であり引渡口３２が受取口４１と連結されている場合に、保守作業者による該操作ノブ１３８の操作を規制でき、紙幣が上収納庫１１９内へ搬送されることを防止できる。その一方で紙幣入出金機１１０は、上収納庫１１９が非対向状態であり上搬送部１１８の引渡口３２が露出した状態であれば、保守作業者による操作ノブ１３８の操作を許容し、該上搬送部１１８内の紙幣を手動で搬送させた上で、引渡口３２から排出させることができる。この結果、紙幣入出金機１１０は、第１の実施の形態と同様、紙幣制御部１１において記憶している各部の紙幣の枚数等と、各部に実際に収納されている紙幣の枚数との間の不一致を、未然に防止できる。

［３．他の実施の形態］
なお上述した第１の実施の形態においては、上搬送部１８の前側部分である装着箇所Ｐ１に対し上収納庫１９を着脱させる場合について述べた。また第２の実施の形態体においては、上搬送部１１８の前側において上収納庫１１９を回動させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば上収納庫１９を上下方向や前後方向に沿ってスライドさせる等、種々の手段により対向状態又は非対向状態に遷移させるようにしても良い。

また上述した第１の実施の形態においては、上収納庫１９が対向状態であるときに、上搬送部１８における凹部３７の上側を開放することにより、保守作業者に操作ノブ３８を視認させ得るようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図１０に示すように、上収納庫２１９の上収納庫筐体２４０における凹部３７と対応する箇所に、後方へ向けて突出した突部２４５を設けることにより、上収納庫１９が対向状態であるときに、保守作業者に操作ノブ３８を視認させ得ないようにしても良い。

さらに上述した第１の実施の形態においては、上搬送部１８に上搬送部前面３０Ｆよりも後方へ窪んだ凹部３７を設け、該凹部３７内に操作ノブ３８の前端近傍を位置させることにより、上収納庫１９の上収納庫後面４０Ｒを平坦に形成する場合について述べた（図４〜図６）。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図１１に示す紙幣入出金機３１０のように、第２の実施の形態と同様の上搬送部１１８において操作ノブ１３８の前端近傍を上搬送部前面１３０Ｆよりも前方に突出させ、上収納庫１９に代わる上収納庫３１９の上収納庫後面３４０Ｒにおいて、操作ノブ１３８と対向する箇所に凹部３４６を形成しても良い。この紙幣入出金機３１０では、上収納庫３１９が対向状態であるときに、操作ノブ１３８の前端近傍を凹部３４６内に入り込ませることにより、保守作業者に該操作ノブ１３８を視認させ得ないようにすることができる。

さらに上述した第１の実施の形態においては、操作ノブ３８及び引渡口３２を何れも上搬送部前面３０Ｆに設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図１２に示す紙幣入出金機４１０のように、上搬送部４１８の上面に引渡口４３２を配置すると共に、対向状態において上収納庫４１９を上搬送部４１８の前側及び上側とそれぞれ対向させ、受取口４４１を引渡口４３２と連結させても良い。すなわち、操作ノブ３８及び引渡口４３２を上搬送部４１８における互いに異なる側面に設けても良い。第２の実施の形態についても同様である。

さらに上述した第１の実施の形態においては、上搬送部１８の前面である上搬送部前面３０Ｆに引渡口３２及び操作ノブ３８を設け、対向状態において上収納庫１９の上収納庫後面４０Ｒをこれらと対向させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば上搬送部１８の上側面に引渡口３２及び操作ノブ３８を設け、上収納庫１９を該上搬送部１８の上側に対し着脱させる等、上搬送部１８における様々な側面に引渡口３２及び操作ノブ３８を設けても良い。要は、対向状態において保守作業者による操作ノブ３８への操作を規制する一方、非対向状態においてこれを許容できれば良い。第２の実施の形態についても同様である。

さらに上述した第１の実施の形態においては、操作ノブ３８を駆動ローラ３５と連動させることにより、駆動モータ（図示せず）により該駆動ローラ３５が回転される場合に、該操作ノブ３８も回転するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば操作ノブ３８を前後方向へ移動可能に構成すると共にばね等により前方向へ付勢して内部のギア等の噛み合いを解除しておき、保守作業者により後方へ押し込まれた場合のみ内部のギア等を噛み合わせて駆動ローラ３５と連動するようにしても良い。これにより、駆動モータにより駆動ローラ３５が回転される場合に操作ノブ３８を静止させたままとすることができる。第２の実施の形態についても同様である。

さらに上述した第１の実施の形態においては、操作ノブ３８を円板状に構成し、保守作業者によって該操作ノブ３８が回転されることにより、駆動ローラ３５を回転させて紙幣を手動で搬送させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば操作ノブ３８を上下方向にスライドするレバーの操作子（いわゆるつまみ）として構成し、これを上下方向に移動させることにより、紙幣を手動で搬送させるようにしても良い。第２の実施の形態についても同様である。

さらに上述した第１の実施の形態においては、上収納庫１９を偽券収納庫として利用する場合、すなわち上搬送部１８により搬送されてきた紙幣（偽券）を収納する一方、出金処理等において該上収納庫１９から紙幣を繰り出す動作を行わない場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば上収納庫１９に対し紙幣収納庫１６（図２）と同様に再利用可能な紙幣を収納するようにし、出金処理等において該上収納庫１９から繰り出した紙幣を受取口４１から引渡口３２へ受け渡し、上搬送部１８に沿って下方向へ搬送するようにしても良い。第２の実施の形態についても同様である。

さらに上述した第１の実施の形態においては、媒体としての紙幣を顧客との間で取引する現金自動預払機１の紙幣入出金機１０に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば種々の証券や金券、或いは商品券や入場券等、紙葉状の媒体を取り扱う種々の装置に適用しても良い。第２の実施の形態についても同様である。

さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。

さらに上述した第１の実施の形態においては、搬送部としての上搬送部１８と、駆動伝達部としての駆動ローラ３５と、操作ノブとしての操作ノブ３８と、収納庫としての上収納庫１９とによって媒体処理装置としての紙幣入出金機１０を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる搬送部と、駆動伝達部と、操作ノブと、収納庫とによって媒体処理装置を構成しても良い。

本発明は、例えば顧客との間で紙幣に関する取引を行う現金自動預払機で利用できる。

１、１０１……現金自動預払機、１０、１１０……紙幣入出金機、１３……搬送部、１８、１１８……上搬送部、１９、１１９……上収納庫、３０、１３０……上搬送部筐体、３０Ｆ、１３０Ｆ……上搬送部前面、３２……引渡口、３３……搬送路、３４……搬送ローラ対、３５……駆動ローラ、３６……従動ローラ、３７……凹部、３８、１３８……操作ノブ、４０、１４０……上収納庫筐体、４０Ｒ、１４０Ｒ……上収納庫後面、４１……受取口、１４４……回動軸、Ｐ１……装着箇所。

Claims (8)

1. 紙葉状の媒体を搬送路に沿って搬送する搬送部と、
   前記搬送部内に設けられ、所定の駆動力源からの駆動力を前記媒体に伝達し前記搬送路に沿って進行させる駆動伝達部と、
   前記搬送部の一側面である操作側面に設けられ、前記駆動伝達部を手動で動作させる操作ノブと、
   内部に前記媒体を収納すると共に、前記搬送路と連結され前記搬送部の前記操作側面における少なくとも前記操作ノブを含む範囲に対向する対向状態と、前記搬送路から切り離され前記操作側面と対向しない非対向状態とに遷移可能である収納庫と
   を具えることを特徴とする媒体処理装置。
2. 前記搬送部の前記操作側面に設けられ、前記搬送路に沿って搬送された前記媒体を、前記対向状態にある前記収納庫との間で受け渡す受渡部
   をさらに具えることを特徴とする請求項１に記載の媒体処理装置。
3. 前記収納庫は、前記対向状態において前記操作ノブの一部を外部に露出させる
   ことを特徴とする請求項１に記載の媒体処理装置。
4. 前記搬送部は、前記操作側面における前記操作ノブの周囲を形成する操作ノブ周囲部分が、前記対向状態である前記収納庫から遠ざかる方向へ窪んでいる
   ことを特徴とする請求項３に記載の媒体処理装置。
5. 前記収納庫は、前記対向状態において前記操作ノブを外部に対し閉塞する
   ことを特徴とする請求項１に記載の媒体処理装置。
6. 前記収納庫は、前記搬送部に隣接する装着箇所に対し着脱可能であり、該装着箇所に装着された場合に前記対向状態となり、該装着箇所から取り外された場合に前記非対向状態となる
   ことを特徴とする請求項１に記載の媒体処理装置。
7. 前記収納庫は、所定の回動軸を中心として回動することにより、前記対向状態又は前記非対向状態に遷移する
   ことを特徴とする請求項１に記載の媒体処理装置。
8. 利用者との間で取引される紙葉状の媒体を搬送路に沿って搬送する搬送部と、
   前記搬送部内に設けられ、所定の駆動力源からの駆動力を前記媒体に伝達し前記搬送路に沿って進行させる駆動伝達部と、
   前記搬送部の一側面である操作側面に設けられ、前記駆動伝達部を手動で動作させる操作ノブと、
   内部に前記媒体を収納すると共に、前記搬送路と連結され前記搬送部の前記操作側面における少なくとも前記操作ノブを含む範囲に対向する対向状態と、前記搬送路から切り離され前記操作側面と対向しない非対向状態とに遷移可能である収納庫と
   を具えることを特徴とする媒体取引装置。

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