JP6016572B2 - 排ガス処理触媒および排ガス処理方法 - Google Patents
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触媒A成分の組成は除去性能および耐久性に大きく影響し、具体的には触媒A成分中のモリブデン含有量が酸化物換算で10〜30質量%であるのがよく、好ましくは15〜25質量%、更に好ましくは15〜20質量%であるのがよい。触媒A成分中のモリブデン含有量が酸化物換算で10質量%未満では充分な耐久性が得られず、30質量%を超えて多くするとNOxや有機ハロゲン化合物の除去性能が低くなるからである。触媒中に占める触媒A成分の含有量としては、触媒A成分と触媒B成分と触媒C成分の合計に対して70〜96質量%であるのが好ましく、より好ましくは80〜95質量%、更に好ましくは85〜94質量%であるのがよい。触媒A成分の含有量が70質量%未満あるいは96質量%を超えると除去性能が低下するからである。
本発明にかかる触媒調製方法としては、(1)触媒A成分にかかる三元系複合酸化物または混合酸化物を上記手順で得た後、触媒B成分および触媒C成分の水性液を加えニーダーなどで十分混合し所定の形状成形し乾燥、焼成する方法、(2)触媒A成分、触媒B成分および触媒C成分の原料を一度に混合し、乾燥、焼成し、更に水性媒体を加えスラリーとした後に所定形状に成形する方法、(3)触媒A成分、触媒B成分および触媒C成分の原料を一度に混合し、場合によってはpH調整することで沈殿物を得た後、当該沈殿物を乾燥、焼成し、更に水性媒体を加えスラリーとした後に所定形状に成形する方法、(4)(2)または(3)で得られたスラリーを通常触媒用担体として用いられる担体に被覆することもできる。(5)なお、(1)、(2)または(3)で成形する場合、ハニカム、ペレット、粒体に成形し乾燥、焼成し触媒とすることもできる。
本発明にかかる触媒が処理対象とする排ガスは窒素酸化物(NOx)および/または有機ハロゲン化合物を含むものであり、排ガス中のNOx濃度は5〜1000ppm(容量基準)であるのが好ましく、より好ましくは10〜500ppm、更に好ましくは20〜300ppmの範囲にあるのがよい。排ガス中のNOx濃度が5ppm未満では充分なNOx除去性能が発揮されず、一方、1000ppmを超えると排ガス中に硫黄化合物が含まれている場合、硫安化合物の蓄積量が増加して性能低下が大きくなるため好ましくはないからである。
<Ti−Si−Mo複合酸化物(MoO3含有量:20質量%)の調製>
パラモリブデン酸アンモニウム4.9kgと、シリカゾル(スノーテックス−30(製品名、「スノーテックス」は登録商標)、日産化学社製、SiO2換算30質量%含有)6.0kgと、工業用アンモニア水(25質量%NH3含有)109kgと、水186リットル(以下、Lと表記)との混合溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製、TiO2として70g/L、H2SO4として287g/L含有)203Lを、攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させ後、適量のアンモニア水を加えてpHを5に調整した。この共沈スラリーを約20時間静置し、水で充分洗浄した後、濾過し、100℃で1時間乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、550℃で5時間焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級してTi−Si−Mo複合酸化物の粉体を得た。このようにして調製したTi−Si−Mo複合酸化物粉体の組成は、TiO2:SiO2:MoO3=71:9:20(質量比)であった。
<バナジウム酸化物および硫酸マンガンの添加>
8Lの水にメタバナジン酸アンモニウム1.54kgとシュウ酸1.85kg、さらにモノエタノールアミン0.4kgを混合し、溶解させ、均一溶液を調製した。先に調製したTi−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO3含有量:20質量%)17.6kgと、硫酸マンガン5水和物(MnSO4・5H2O)1.92kgをニーダーに投入後、有機バインダーなどの成形助剤とともにバナジウム含有溶液を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで充分混練りし、外形80mm角、長さ500mm、目開き3.2mm、肉厚0.5mmのハニカム状に押し出し成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、500℃で5時間焼成して触媒Aを得た。この触媒Aの組成は、TiO2:SiO2:MoO3:V2O5:MnSO4=62:8:18:6:6(質量比)であり、BET比表面積は100m2/g、全細孔容積は0.32mL/gであった。
実施例1において、硫酸マンガン5水和物1.92kgの代わりに硫酸鉄7水和物(FeSO4・7H2O)2.20kgを使用した以外は実施例1と同様にして、触媒Bを得た。この触媒Bの組成は、TiO2:SiO2:MoO3:V2O5:FeSO4=62:8:18:6:6(質量比)であり、BET比表面積は104m2/g、全細孔容積は0.33mL/gであった。
実施例1において、硫酸マンガン5水和物1.92kgの代わりに硫酸コバルト7水和物(CoSO4・7H2O)2.18kgを使用した以外は実施例1と同様にして、触媒Cを得た。この触媒Cの組成は、TiO2:SiO2:MoO3:V2O5:CoSO4=62:8:18:6:6(質量比)であり、BET比表面積は99m2/g、全細孔容積は0.32mL/gであった。
実施例1において、硫酸マンガン5水和物1.92kgの代わりに硫酸亜鉛7水和物(ZnSO4・7H2O)2.14kgを使用した以外は実施例1と同様にして、触媒Dを得た。この触媒Dの組成は、TiO2:SiO2:MoO3:V2O5:ZnSO4=62:8:18:6:6(質量比)であり、BET比表面積は102m2/g、全細孔容積は0.31mL/gであった。
実施例4において、Ti−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO3含有量:20質量%)の量を17.6kgから18.2kgに変更し、硫酸亜鉛7水和物の量を2.14kgから1.07kgに変更した以外は実施例4と同様にして、触媒Eを得た。この触媒Eの組成は、TiO2:SiO2:MoO3:V2O5:ZnSO4=65:8:18:6:3(質量比)であり、BET比表面積は110m2/g、全細孔容積は0.32mL/gであった。
実施例4において、Ti−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO3含有量:20質量%)の量を17.6kgから16.8kgに変更し、硫酸亜鉛7水和物の量を2.14kgから3.56kgに変更した以外は実施例4と同様にして、触媒Fを得た。この触媒Fの組成は、TiO2:SiO2:MoO3:V2O5:ZnSO4=59:8:17:6:10(質量比)であり、BET比表面積は95m2/g、全細孔容積は0.29mL/gであった。
実施例4において、硫酸亜鉛7水和物2.14kgの代わりに硝酸亜鉛6水和物(Zn(NO3)2・6H2O)4.33kgを使用した以外は実施例4と同様にして、触媒Gを得た。この触媒Gの組成は、TiO2:SiO2:MoO3:V2O5:ZnO=62:8:18:6:6(質量比)であり、BET比表面積は92m2/g、全細孔容積は0.34mL/gであった。
<Ti−Si−Mo複合酸化物(MoO3含有量:9質量%)の調製>
パラモリブデン酸アンモニウム2.2kgと、シリカゾル(スノーテックス−30(製品名))6.0kgと、工業用アンモニア水(25質量%NH3含有)126kgと、水138Lとの混合溶液に、実施例1で用いた硫酸チタニルの硫酸溶液234Lを、攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させ後、適量のアンモニア水を加えてpHを5に調整した。この共沈スラリーを約20時間静置し、水で充分洗浄した後、濾過し、100℃で1時間乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、550℃で5時間焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級してTi−Si−Mo複合酸化物の粉体を得た。このようにして調製したTi−Si−Mo複合酸化物粉体の組成は、TiO2:SiO2:MoO3=82:9:9(質量比)であった。
実施例4において、Ti−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO3含有量:20質量%)17.6kgの代わりに上記Ti−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO3含有量:9質量%)17.6kgを使用した以外は実施例4と同様にして、触媒Hを得た。この触媒Hの組成は、TiO2:SiO2:MoO3:V2O5:ZnSO4=72:8:8:6:6(質量比)であり、BET比表面積は98m2/g、全細孔容積は0.34mL/gであった。
<Ti−Si−Mo複合酸化物(MoO3含有量:35質量%)の調製>
パラモリブデン酸アンモニウム8.6kgと、シリカゾル(スノーテックス−30(製品名))6.0kgと、工業用アンモニア水(25質量%NH3含有)86kgと、水252Lとの混合溶液に、実施例1で用いた硫酸チタニルの硫酸溶液160Lを、攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させ後、適量のアンモニア水を加えてpHを5に調整した。この共沈スラリーを約20時間静置し、水で充分洗浄した後、濾過し、100℃で1時間乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、550℃で5時間焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級してTi−Si−Mo複合酸化物の粉体を得た。このようにして調製したTi−Si−Mo複合酸化物粉体の組成は、TiO2:SiO2:MoO3=56:9:35(質量比)であった。
実施例4において、Ti−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO3含有量:20質量%)17.6kgの代わりに上記Ti−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO3含有量:35質量%)17.6kgを使用した以外は実施例4と同様にして、触媒Iを得た。この触媒Iの組成は、TiO2:SiO2:MoO3:V2O5:ZnSO4=49:8:31:6:6(質量比)であり、BET比表面積は105m2/g、全細孔容積は0.27mL/gであった。
実施例4において、Ti−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO3含有量:20質量%)の量を17.6kgから18.8kgに変更し、硫酸亜鉛7水和物を用いなかった以外は実施例4と同様にして、触媒Jを得た。この触媒Jの組成は、TiO2:SiO2:MoO3:V2O5=67:8:19:6(質量比)であり、BET比表面積は124m2/g、全細孔容積は0.32mL/gであった。
実施例1〜7および比較例1〜3で得た触媒A〜Jを用い、下記条件でNOx除去性能の評価を行なった。
NOx:100ppm,NH3:100ppm,SO2:50ppm,O2:10容量%,H2O:15容量%,N2:balance
[処理条件]
ガス温度:160℃,空間速度:3,000h−1(STP),ガス線速度:1.0m/s(Normal)
次に、触媒入口および触媒出口のNOx濃度を測定し、次式に従ってNOx除去率を算出した。なお、測定は反応開始10時間後と1000時間後に行なった。結果を表1に示す。
実施例4および比較例1、2で得た触媒D、H、Iを用い、下記条件でクロロフェノール分解性能の評価を行なった。
クロロフェノール:30ppm,SO2:50ppm,O2:10容量%,H2O:15容量%,N2:balance
[処理条件]
ガス温度:160℃,空間速度:5,000h−1(STP),ガス線速度:1.0m/s(Normal)
次に、触媒入口および触媒出口のクロロフェノール濃度を測定し、次式に従ってクロロフェノール分解率を算出した。なお、測定は反応開始10時間後と1000時間後に行なった。結果を表2に示す。
Claims (3)
- 窒素酸化物および/または有機ハロゲン化合物を含有する排ガスを処理するための触媒であって、触媒A成分としてチタン、モリブデンおよびケイ素の三元系複合酸化物または混合酸化物、触媒B成分としてバナジウム、ニオブまたはタンタルの少なくとも1種の元素の化合物ならびに触媒C成分としてマンガン、鉄、コバルトまたは亜鉛の少なくとも1種の元素の硫酸塩を含有し、かつその含有量が、触媒A成分と触媒B成分と触媒C成分の合計に対して4〜8質量%であり、かつ触媒A成分中のモリブデン含有量が酸化物換算で10〜30質量%であることを特徴とする排ガス処理触媒。
- 請求項1に記載の触媒を用いて、窒素酸化物および/または有機ハロゲン化合物を含有する排ガスを処理することを特徴とする排ガス処理方法。
- 当該排ガスが更に硫黄酸化物を含有していることを特徴とする請求項2に記載の排ガス処
理方法。
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