JP6014010B2 - 抗ピリング性に優れた双糸およびそれを用いた編物 - Google Patents

抗ピリング性に優れた双糸およびそれを用いた編物 Download PDF

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本発明は、特定の多葉横断面の短繊維からなる紡績糸を撚り合わせた双糸、およびその双糸を含む編物に関し、特に末端フリーの毛羽が少ない、抗ピリング性に優れた双糸およびその編物に関する。
従来より、短繊維からなる紡績糸を撚り合わせた双糸は、単糸に比べて均一性が高く、強度ばらつきが少ない利点があるが、糸表面に毛羽が多く存在するため、製造工程では製編性に悪影響を与えたり、出来上がった編地の表面が毛羽っぽく白茶けたりして編地品位を低下させていた。また、この双糸を含有する編物は、洗濯したときに毛羽立ちが増えて、ピリングなどが発生しやすい問題があった。特にポリエステル短繊維等の強度の高い合成繊維を用いた紡績糸では、発生したピルが脱落せずに残るためにピリング性を大きく悪くしていた。
双糸の表面毛羽を減らす方策として、複数本の紡績糸を、一定の間隔をあけて仕掛けることにより合撚角度を持たせて撚り合わせて、末端フリーの毛羽指数が10mあたり120個以下であり、かつループ状毛羽を有する合撚糸およびその織編物が開示されている(特許文献1参照)。この方法によると、耐磨耗性は向上するが、特にポリエステル等の合成繊維を用いた紡績糸において抗ピリング性は十分とは言えなかった。
特開平8−134739号公報
本発明は、上記の従来技術の現状に鑑みなされたものであり、その目的は、特許文献1の合撚角度を持たせて撚り合わせる技術の問題を克服して更に発展させ、毛羽量を低減すると共に毛羽を引き出され難くすることによって抗ピリング性を大幅に向上させた双糸およびそれを用いた編物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、紡績糸に用いる合繊短繊維に特定数の凹部を有する多葉横断面の異形断面糸を用いることによって、糸表面の毛羽が引き出され難くなり、さらに新たに毛羽も発生しにくくなることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(4)の構成を有するものである。
(1)3〜10個の凹部を有する異形度1.5〜3.0の多葉横断面の合繊短繊維を30重量%以上含有する紡績糸を撚り合わせた双糸であって、全毛羽数が15cm当たり150〜500個であり、ループ毛羽数が全毛羽数のうち過半数を占めており、かつ15cm当たり150〜400個であることを特徴とする双糸。
(2)双糸を構成する紡績糸の下撚の撚係数Kが3.5〜7.0であり、紡績糸の上撚の撚係数Kが3.5〜7.0であり、下撚の撚係数Kと上撚の撚係数Kの比K/Kが0.7〜1.5であることを特徴とする(1)に記載の双糸。
(3)合繊短繊維がポリエステル繊維であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の双糸。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の双糸を50重量%以上含む編物であって、抗ピリング性が3級以上であることを特徴とする編物。
本発明の双糸は、3〜10個の凹部を有する多葉横断面の合繊短繊維を含む紡績糸を撚り合わせたものであるので、繊維同士の凹凸が互いにかみ合って紡績糸から毛羽が引き出されにくくなっており、その結果、全毛羽数が15cm当たり100〜500個であり、ループ毛羽数が全毛羽数のうち過半数を占めており、かつ15cm当たり150〜400個である。そのため、本発明の双糸を使用した編物は、毛羽立ちが少なく、抗ピリング性に極めて優れている。
図1は、合撚機の説明図である。 図2は、本発明の双糸(実施例1)の表面毛羽の写真である。 図3は、従来の一般的な双糸(比較例1)の表面毛羽の写真である。 図4は、Y形断面繊維の断面図の一例である。 図5は、実施例1の鹿の子の組織図である。 図6は、異形度測定のための説明図である。
本発明の双糸は、3〜10個の凹部を有する異形度1.5〜3.0の多葉横断面の合繊短繊維を30重量%以上含有する紡績糸を2本撚り合わせたものである。本発明の双糸に用いられる合繊短繊維は、多葉横断面を有し、その断面は、例えば3葉形やY形(図4参照)、4葉形や十字断面、5〜10葉断面等の形状を有する。本発明の双糸では、このように特定の多葉横断面の合繊短繊維を用いることにより、抗ピリング性が飛躍的に向上する効果を奏する。その原因は明確ではないが、繊維同士の凹凸がかみ合うことで紡績糸から毛羽が引き出されるときに抵抗が大きくなって、毛羽が成長しにくくなり、その結果ピルができ難くなるためであると本発明者らは考えている。
合繊短繊維の多葉横断面の凹部の数は、葉(凸部)の数に応じて変化するが、3〜10個であり、好ましくは3〜6個である。凹部が2個のように少なかったり、逆に増えすぎると、毛羽の引き出しを抑制する効果が低下する。また、多葉横断面の異形度は1.5〜3.0であり、好ましくは1.8〜2.8である。異形度が上記範囲未満では、毛羽の引き出しを抑制する効果が低くなり、上記範囲を超えると、葉が長くなりすぎて折れ曲がりやすく、凹凸の互いの嵌り込みによる毛羽の引き出し抑制が低下する。
本発明では、上記の多葉横断面の合繊短繊維を30重量%以上含有する紡績糸を2本撚り合わせて双糸にする。合繊短繊維の含有量は、好ましくは35〜100重量%,より好ましくは50〜100重量%である。30重量%未満になると、抗ピリング性が低下する。
紡績糸に使用する合繊短繊維としては、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、アクリレート等の汎用合成繊維が挙げられる。これらの中では、ポリエステル繊維が特にピリングを発生しやすいため、本発明を効果的に用いることができる。また、本発明の双糸は、合繊短繊維を50〜100重量%含有する場合に、効果的に抗ピリング性を発揮する。しかし、混用する他の繊維がレーヨンやアセテートなど、比較的強度が弱くて脱落しやすい繊維を多く含むときには、できたピルが脱落しやすいので大きなピルに成長し難い。合繊短繊維にポリエステル繊維を用いた場合の原料としては、例えば、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエチレンテレフタレートが汎用されるが、これ以外にポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレートなども使用することができる。これらのポリエステルに5−ナトリウムスルホイソフタル酸のようなカチオン染料の染着性付与成分を共重合してもよく、前記ポリエステルを混合して練り込んでもよい。また、前記ポリエステル繊維の原料には、必要に応じて難燃剤、抗菌剤、UVカット、蓄熱、透け防止、抗酸化剤等の機能性を付与するための微粒子や有機化合物を添加することもできる。このような無機微粒子の例としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化マグネシウム、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等が例示される。
合繊短繊維においては、適当なクリンプ数は5〜20個/25mmであり、クリンプ数が多いほど嵩性や生地表面の乱反射が多くなる。クリンプ数は、好ましくは8〜18個/25mm、より好ましくは10〜16個/25mmである。クリンプ数をこの範囲にすることで、繊維相互の摩擦性が適切になり、紡績性と繊維間の滑り性とのバランスが良好となる。また、繊維カット長は32mm〜80mmが好ましく、その範囲であればバリカットであってもよい。一般的には、繊維カット長は、紡績糸の毛羽数や毛羽絡み度合い、風合い、糸質面から長過ぎない方が好ましく、32mm〜51mmの範囲が好適である。
本発明の双糸に用いられる合繊短繊維の単繊維の繊度は、一般的に0.5〜3.0dtexである。好ましくは0.8〜2.0dtexである。繊度が上記範囲未満では、繊維が細くなりすぎて、糸から引き出されやすく、上記範囲を超えると、風合いが硬くなりすぎる傾向を持つ。双糸の総繊度は、英式番手で30/2〜120/2である。好ましくは40/2〜100/2である。上記範囲より太くなると、インナーやシャツ用途では使いづらくなり、上記範囲より細くなると、生産性が極端に低下しやすくなる。
上記合繊短繊維は、一般的に用いられる手段により単糸に紡績したのち、2本を撚り合わせて双糸とする。紡績方法としては、リング紡績、オープンエンド、結束紡績(例えば、ムラタボルテックススピナー)等を用いることができるが、風合の面からリング紡績が好ましい。
本発明の双糸には、上記の合成繊維以外の素材として、抗ピリング性が大きく低下しない範囲で、綿、ウール、麻などの天然繊維、およびレーヨン、ポリノジック、テンセルなどの再生繊維(溶剤紡糸繊維も含む)等を適宜混合してもよい。この場合の合成繊維以外の素材の混率は、50重量%以下であることが好ましい。
双糸を構成する紡績糸の下撚の撚係数Kは、3.5〜7.0であることが好ましく、さらに好ましくは3.7〜5.5である。撚係数Kが上記範囲未満の場合、紡績性が悪くなり、撚係数Kが上記範囲を超える場合、出来上がった編地の風合いが硬くなる。
双糸を構成する紡績糸の上撚の撚係数Kは、3.5〜7.0であることが好ましく、さらに好ましくは3.5〜4.8である。撚係数Kが上記範囲未満の場合、紡績性が悪くなり、撚係数Kが上記範囲を超える場合、従来の双糸においても、毛羽が少なく、上述の問題の発生がない。
ここで、上記双糸における下撚の撚係数Kと上撚の撚係数Kとの比(K/K)は、0.7〜1.5であることが好ましく、さらに好ましくは1.0〜1.5である。K/Kが上記範囲未満の場合、毛羽の捲き込み量が少なくなり、上記範囲を超える場合、撚りのトルクが大きくなりすぎて、編地にした場合などに斜向の問題が発生する。
本発明では、紡績糸を双糸に撚り合わせるときに、2本の紡績糸を一定の間隔をあけて仕掛けて合撚角度を持たせて撚り合わせることにより、全毛羽数が15cmあたり100〜500個であり、かつ全毛羽数の過半数がループ毛羽である双糸が得られる。
本発明の双糸の製造方法の一例を図1を用いて説明する。まず紡績糸の移送経路に沿ってローラが設けられ、紡績糸がこれらのローラに接触して移送された直後にすべての紡績糸が合撚される構成を備えた撚糸機を用いる。この撚糸機においては、移送経路に沿って下流側から順に設けられた、テンション装置、糸ガイド、糸間隔ガイド、移送ローラ、および合撚前ローラを介して、紡績された2種類の紡績糸が一定の間隔をあけて移送され、合撚ローラに接触して移送された直後に所定の合撚角度で合撚され、双糸が得られる。
こうして得られた双糸の合撚角度は、撚り合わせる一方の紡績糸の毛羽と、他方の紡績糸あるいはその毛羽とが接触する頻度の点から、10度以上40度以下であることが好ましく、さらに好ましくは20度以上30度以下である。合撚角度が10°未満になると、抗ピリング性が低下しやすく、40°を超えると、特別な合撚設備に改造する必要があり、汎用性が低下する。
合撚角度の調整方法は、上記各紡績糸を平行に移送する際の各紡績糸の間隔、紡出時のテンション、双糸の撚数を変化させることによって、容易に調整することができる。合撚直前のローラーパート上での各紡績糸の間隔は8〜30mmとすることが好ましい。より好ましくは10〜25mmである。8mm未満では、合撚角度を10°以上にするのが難しくなり、30mmを超えると、均一な合撚糸をつくるのが難しくなってくる。
合撚時のテンションとしては、0.05g/d以上0.3g/d以下であることが好ましい。0.3g/dを越えると、糸切れが多発し、0.05g/d未満では、糸締まりが悪く、耐摩耗性が劣る可能性がある。紡出安定性をさらに良くし、毛羽の減少率を高くするためには、この紡出時のテンションは、0.1g/d以上0.15g/d以下であることが好ましい。
このように合撚角度を持たせて合撚することにより、それぞれの紡績単糸に存在している毛羽は、もう一方の紡績単糸あるいはそれらの毛羽と接触し、折り曲げられて双糸に捲き込まれる。これにより、図2に示すように、表面にループ状毛羽と、末端フリーの通常毛羽を有する本発明の双糸が得られる。本発明の双糸は、末端フリーの通常毛羽に比べてループ毛羽の数の比率が過半数を占めることが特徴である。一方、従来の双糸は、図3に示すように、末端フリーの通常毛羽が多数存在し、ループ毛羽の比率はそれに比べて非常に少ない。
本発明の双糸は、全毛羽数が15cmあたり100〜500個である。好ましくは400個以下である。因みに、この全毛羽とは、光学顕微鏡で20倍に拡大して肉眼又は写真観察して確認できる全ての毛羽を示す。また、本発明の双糸は、ループ毛羽数が全毛羽数のうち過半数を占めている。好ましくは、全毛羽数の60〜100%がループ毛羽である。ループ毛羽数が過半数を下回ると、ピリング防止性能が低下してしまう。ループ毛羽の総量は、15cm当り150〜400個である。好ましくは150〜300個である。本発明では、ループ毛羽数が増えるほど、毛羽が引き出され難くなりピリング防止性能が向上する。
尚、この双糸における上撚の撚方向と下撚の撚方向とが同方向であっても逆方向であっても、上記のような双糸が得られる。双糸における上撚の撚方向と下撚の撚方向とを同方向にすると高ピリング性は向上するので、ダブルニットの場合は好ましく使用できる。また、シングルニットの場合は逆方向にすると、斜行が起こりにくく好ましい。このように同方向にするか逆方向にするかは適宜選択できる。
本発明の編物は、上記の本発明の双糸を50重量%以上使用していることを特徴とする。本発明の編物は、単層または二層以上の構造を有することが好ましい。編物の組織は、特に限定されず、例えば、編地なら天竺、スムース、フライス、裏毛組織、鹿の子、ワッフル、ピケ、メッシュ、ブリスターなどが挙げられる。なお、少なくとも肌と接する側の表面層を天竺組織等のフラットな表面構造にすると、突起物に編ループが引っかかり難くて好ましい。より好ましい組織は鹿の子である。
本発明の編物の染色加工は、合成繊維短繊維とセルロース系繊維の混用品の一般的な染色加工を行えばよく、特別な操作を行う必要はない。
本発明の編物中の双糸は、全毛羽数が15mmあたり100〜600個である。好ましくは500個以下である。更に好ましくは400個以下である。また、この双糸は、ループ毛羽数が全毛羽数のうちの過半数を占めていることが好ましい。より好ましくは、全毛羽数の60〜100%がループ毛羽である。ループ毛羽数が過半数を下回ると、ピリング防止性能が低下しやすい。ループ毛羽数の総量は、15mm当り150〜400個である。好ましくは150〜300個である。ループ毛羽数が増えるほど、毛羽が引き出され難くなりピリング防止性能が向上する。本発明の編物中の双糸の毛羽は、編物を慎重に分解して、双糸を取り出して紡績上りの双糸の毛羽の測定と同様に光学顕微鏡を使って評価する。
本発明の編物は、上述のように構成されているので、JIS−L−1076のA法に準拠したピリング試験において判定される抗ピリング性に関して3.0級以上を達成することができる。抗ピリング性が3.0級以上であれば、一般スポーツシャツに好ましく用いることができる。
本発明の双糸及び編物の優れた効果を以下の実施例によって示すが、本発明はこれらに
限定されるものではない。なお、実施例中の特性値の評価は以下の方法に依った。
<総繊度>
JIS−L1095−9.4.2に準拠して見掛けの綿番手(英式番手)を測定した。
<異形度>
異形度は、図6に示すように、繊維横断面の凸部が接する外接円の直径(G)と、凹部底辺に接する断面中心部に位置する内接円の直径(N)との比(G/N)である。
実際には、走査型電子顕微鏡を用いて、繊維を任意に5本選んで、繊維の断面を1000〜2000倍に撮影し、得られた断面写真に対して、繊維一本の断面における外接円の半径を内接円の半径で除した値を算出して、5本の平均値を異形度とした。
<撚係数>
JIS−L1095−9.15のA法に準拠して撚数を測定した。具体的には、下記式を使用して、双糸の上撚の撚係数(K)および下撚の撚係数(K)を求めた。
撚係数(K)=インチ当たりの撚回数(T)/√番手(’s)
<紡績糸の毛羽数>
紡績上りの糸、又は編物を分解して取り出した糸を10cm採取する。できるだけ張力をかけずに真っ直ぐに伸ばした状態で両端を把持し、マイクロスコープ(スカラ株式会社製)を用いて20倍に拡大して写真撮影する。写真から任意の場所で双糸長さ15mmに相当する長さの間に存在する末端フリー通常毛羽、及びループ状毛羽の本数を全て数える。双糸は任意に10ヶ所採取して、10回測定した結果を合計して15cm間に存在する毛羽数に換算する(15mm×10ヶ所=15cm)。なお、全毛羽数とは、15cmの長さにおいて末端フリーの通常毛羽と両端とも紡績糸に入り込んでいるループ状毛羽とを合わせた全ての毛羽数をいう。
<ピリング性>
JIS−L−1076のA法に準拠して判定した。判定の評価は5級(良好)〜1級(不良)で表示した。なお、試験機の回転箱で試料を処理する時間は5時間とした。
(実施例1)
異形度2.3のY形断面ポリエステル短繊維(単繊維繊度1.3dtex、平均繊維長38mm、クリンプ数13個/25mm)を用いて、OHARA製混綿機で混綿混紡した後、石川製作所製カード機を用いてカードスライバーを作った。コーマ機にかけて繊維長の長いものだけを残し、原織機製練条機に2回通して260ゲレン/6ydのスライバーとした。更に豊田自動織機製粗紡機に通して100ゲレン/15ydの粗糸を作成した。次いで精紡機でこの粗糸に約42倍のドラフトをかけ、英式番手で50番手のZ撚(左撚)の単糸を作製した。この紡績糸の撚係数を測定するとK=4.0であった。この紡績糸を2本用いて、合撚前ローラーでの糸間隔20mm、合撚角度30度、テンション0.5g/dで撚り合わせて、上撚の撚係数K=4.0、撚り方向Z撚(左撚)の双糸を得た。この双糸の上撚の撚係数Kと下撚の撚係数Kとの比(K/K)は1.0である。さらに、このようにして得られた合撚糸を用いて、図5に示される鹿の子組織で福原精機製シングル編機(26インチ、28ゲージ)を用いて編成糸長290mm/100ウエールの条件で製編した。これらの条件をまとめて表1に示す。
出来上がった編地に精練・染色・仕上処理を以下のように行った。日阪製作所製液流染色機NSタイプを用いて、編地を開反せず下記処方1,2、3にて精練・分散染色処理、浴中柔軟処理を行った後、荒繰り、丸セットを行って仕上げた。仕上生地の目付160g/m、密度の粗い面を表としたときの表面の編地密度がコース35鹿の子目/inch、ウエール32/inchの編地を得た。この編地を評価した結果を表1に示した。
処方1:苛性ソーダ(日本曹達製)0.5g/L、
精練剤(第一工業製薬(株)製ノイゲンHC)1g/L、
浴比1:15、温度95℃・60分間処理⇒湯水洗。
処方2:分散染料(住友カラーケミカル(株)製Sumikaron Blue E−F
BL) 1.0%owf
pH調整剤(酢酸) 0.2g/l(pH=4に調整)
均染剤(明成化学工業(株)製ディスパTL) 1g/l
染色条件:浴比1:15、130℃×30分⇒ソーピング2回・湯水洗。
処方3
柔軟処理:クラリアント(株)製サンドパームMEJ―50リキッド1.0%owfで加工を行った。
出来上がった編地の評価結果を表1に示す。実施例1の編地は、全体的に毛羽が少なく、ループ状毛羽が総毛羽数の過半数を占め、エステル短繊維でありながら抗ピリング性を4〜5級とすることができた。実施例1の双糸の表面毛羽の写真を図2に示す。
(実施例2)
紡績糸二本を12mmの間隔を開けて合撚した以外は、実施例1と同じ方法で編地を作製した。出来上がった編地の評価結果を表1に示す。実施例2の編地は、実施例1とほぼ同等の毛羽形状となり、ピリング等級も4級であった。
(実施例3)
紡績糸と合撚糸の撚係数K=K=3.5にした以外は、実施例1と同じ方法で編地を作製した。出来上がった編地の評価結果を表1に示す。実施例3の編地は、実施例1とほぼ同等の毛羽形状となり、ピリング等級も3.5級でやや劣るが、合格ライン(3級)以上であった。
(実施例4)
実施例1で用いたポリエステル短繊維カードスライバーとスーピマ綿を用いたコーマスライバーを50:50の重量比で混紡して原織機製練条機に2回通して250ゲレン/6ydのスライバーとした。更に豊田自動織機製粗紡機に通して50ゲレン/15ydの粗糸を作成した。次いで精紡機でこの粗糸を2本使用して約43倍のドラフトをかけ、英式番手で50番手の糸を作製した。この紡績糸の撚係数を測定するとK=4.0であった。この紡績糸2本を合撚機を用いて20mmの間隔を開けて紡績糸とは逆の方向に撚係数K=4.0で撚合わせた。次いで実施例1と同様の方法で編地を作製した。引き続き、常法にて綿側の精練・漂白処理を行い、中間セット後、処方1にてポリエステル混率にあわせて分散染料でポリエステルのみ片染めした。その後、実施例1と同様に仕上げた。出来上がった編地の評価結果を表1に示す。実施例4の編地は、実施例1と同様の毛羽数、毛羽形状、抗ピリング性を得ることができた。
(実施例5)
編組織を天竺にした以外は、実施例1と同じ方法で編地を作製した。出来上がった編地の評価結果を表1に示す。実施例5の編地は、実施例1とほぼ同等の毛羽形状となり、ピリング等級も4.0級で合格ライン(3級)以上であった。
(実施例6)
Y形断面ポリエステル短繊維の代わりに、十字形横断面を持つ異形度2.7のポリエステル短繊維(セミダル、単繊維繊度1.3dtex、平均繊維長38mm、クリンプ数13個/25mm)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で編地を作製した。出来上がった編地の評価結果を表1に示す。実施例6の編地は、実施例1と同様の毛羽数、ピリング等級となった。
(実施例7)
実施例1で用いたポリエステル短繊維カードスライバーとレーヨンを用いたカードライバーを70:30の重量比で混紡して原織機製練条機に2回通して250ゲレン/6ydのスライバーとした。更に豊田自動織機製粗紡機に通して50ゲレン/15ydの粗糸を作成した。次いで精紡機でこの粗糸を2本使用して約43倍のドラフトをかけ、英式番手で50番手の糸を作製した。この紡績糸の撚係数を測定するとK=4.0であった。この紡績糸2本を合撚機を用いて20mmの間隔を開けて紡績糸とは逆の方向に撚係数K=4.0で撚合わせた。次いで実施例1と同様の方法で編地を作製した。引き続き、常法にてレーヨン側の精練・漂白処理を行い、中間セット後、処方1にてポリエステル混率にあわせて分散染料でポリエステルのみ片染めした。その後、実施例1と同様に仕上げた。出来上がった編地の評価結果を表1に示す。実施例7の編地は、実施例1と同様の毛羽数、毛羽形状、抗ピリング性を得ることができた。
(比較例1)
繊維長が38mm、繊度が1.3Tの丸断面のポリエステル短繊維を100%用いて紡績糸二本の間隔を開けず(0mm)で合撚した以外は、実施例1と同じ方法で編地を作製した。出来上がった編地の評価結果を表1に示す。比較例1の編地は、実施例1とは毛羽形状が異なり、実施例1で見られたループ状の毛羽がほとんどなく、通常の毛羽が二倍以上の個数となり、ピリング等級も2.0級と満足のいく値ではなかった。比較例1の双糸の表面毛羽の写真を図3に示す。
(比較例2)
紡績糸二本を8mmの間隔を開けて合撚した以外は、実施例1と同じ方法で編地を作製した。出来上がった編地の評価結果を表1に示す。比較例2の編地は、実施例1に見られたループ状の毛羽が少なく、通常の毛羽が多く見られた。ピリング等級も2.5級と満足のいく値ではなかった。
(比較例3)
ポリエステル短繊維の断面形状が丸断面であること以外は、実施例1と同じ方法で編地を作製した。出来上がった編地の評価結果を表1に示す。比較例3の編地は、実施例1に見られたループ状の毛羽が少なく、通常の毛羽が多く見られた。ピリング等級も2.5級と満足のいく値ではなかった。
(比較例4)
実施例1と同じY型のポリエステル短繊維を用い、実施例1と同じ工程で120ゲレン/15ydの粗糸を作製し、約36倍のドラフトをかけ、英式番手で25番手の紡績単糸とした以外は、実施例1と同様の方法で編地を作製した。出来上がった編地の評価結果を表1に示す。比較例4の編地は、実施例1に見られたループ状の毛羽は少なく、通常の毛羽が多く見られた。ピリング等級も2.0級と満足のいく値ではなかった。
(比較例5)
ポリエステル短繊維の断面形状が三角断面であること以外は、実施例1と同じ方法で編地を作製した。出来上がった編地の評価結果を表1に示す。比較例5の編地は、実施例1に見られたループ状の毛羽が少なく、通常の毛羽が多く見られた。ピリング等級も2.5級と満足のいく値ではなかった。
本発明の双糸は、ポリエステル等の合成繊維を用いながら、高い抗ピリング性を有するので、これを使用した編地は表面の毛羽立ちがなく、高い品位を有する。

Claims (4)

  1. 3〜10個の凹部を有する異形度1.5〜3.0の多葉横断面の合繊短繊維を30重量%以上含有する紡績糸を撚り合わせた双糸であって、全毛羽数が15cm当たり150〜500個であり、ループ毛羽数が全毛羽数のうち過半数を占めており、かつ15cm当たり150〜400個であることを特徴とする双糸。
  2. 双糸を構成する紡績糸の下撚の撚係数Kが3.5〜7.0であり、紡績糸の上撚の撚係数Kが3.5〜7.0であり、下撚の撚係数Kと上撚の撚係数Kの比K/Kが0.7〜1.5であることを特徴とする請求項1に記載の双糸。
  3. 合繊短繊維がポリエステル繊維であることを特徴とする請求項1又は2に記載の双糸。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の双糸を50重量%以上含む編物であって、抗ピリング性が3級以上であることを特徴とする編物。
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