JP6000712B2 - 樹脂の製造方法及び樹脂の製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂、特に、ナノインプリント法を利用した樹脂の製造方法及びこの製造方法を利用する際に用いられる樹脂の製造装置に関する。
半導体集積回路は、微細化、集積化が進んでいる。ここで微細化や集積化を実現する微細加工の一つであるパターン形成技術としてフォトリソプロセスが挙げられる。近年では、フォトリソプロセスを利用した半導体集積回路の高精度化が進められてきた。しかし要求される加工精度が露光光の回折限界に近づいたことに伴い、フォトリソグラフィ技術も限界に近づいてきた。ここでさらなる微細化、高精度化を実現する方法としてナノインプリント法が提案されている。ここでナノインプリント法とは、熱又は光によって硬化する樹脂を基板上に塗布・成膜して得られる薄膜に、微細凹凸パターンを有するモールドを押し付けた後、光照射又は熱処理を行うことによってモールドの凹凸が転写された樹脂を形成する方法である。尚、基板上に成膜した薄膜を硬化させる方法としては、光等の放射線を利用する放射線硬化法や、熱を利用する熱硬化法等がある。
ところで、ナノインプリント法は、微細パターンを有する樹脂を形成できる一方で、種々の解決すべき課題がある。その一つとして、モールドを硬化した樹脂から離すために要する力、すなわち離型力が大きいという課題がある。この離型力が大きいと、パターン欠陥の発生、基板がステージから浮き上がることで生じる位置合わせ精度の低下等の問題が発生する。
この状況下において、上記課題を解決するためにいくつかの提案がなされている。例えば、特許文献1には、光又は熱により気体を発生させるガス発生剤を硬化性樹脂中に含有させる手法が提案されている。この手法は、硬化性樹脂からガスを発生させることによって離型力を低減させる手法である。また特許文献2には、光によりガスを発生させる光硬化性樹脂を用い、硬化性樹脂への光照射量や圧力によってガスの発生量を変化させて離型力を低減させる手法が提案されている。さらに特許文献3には、レジストをモールドから離型する際に、モールドに予め離型力を加えて離型力のバラツキを低減することによってパターン欠陥の低減を可能にしたインプリント装置が開示されている。
特開2010−262980号公報 特開2010−103464号公報 特開2011−86727号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている手法では、ガスの発生時期が明示されていないため、モールドから硬化物を離す際にガスの発生が停止する場合がある。係る場合では離型力を十分に低減できているとはいえない。また特許文献2に開示されている手法では、光硬化性樹脂に付与する光照射量や圧力は、あくまでもガスの発生を促進させる補助的な役割に過ぎないため、特許文献1と同様に、離型力を十分に低減できているとはいえない。さらに特許文献3の装置は、ステージの駆動による振動の制御が可能であることに止まり、またモールドにかかる離型力について明確に示されていない。このため、特許文献3に開示されている装置では、離型力を十分に低減できているとはいえない。
本発明は、上述した課題を解決するためになされるものであり、その目的は、ナノインプリント方法を利用した樹脂の製造方法において、モールドと硬化性樹脂との間にかかる離型力を低減させる樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明の樹脂の製造方法の第一の態様としては、表面に所定の凹凸パターンを有するモールドと、放射線硬化性組成物と、を接触させた状態で前記放射線硬化性組成物を硬化させることにより、所定のパターンを有する樹脂を作製する樹脂の製造方法であって、
基板上に放射線硬化性組成物を配置する配置工程と、
前記放射線硬化性組成物にモールドを接触させる接触工程と、
前記モールドと接触した状態で前記放射線硬化性組成物に放射線を照射する放射線照射工程と、
前記放射線を前記放射線硬化性組成物に照射する際に、前記モールドと前記放射線硬化性組成物とが離間しない程度のひっぱり応力を、前記基板と前記モールドとが離間する方向に発生させる引っぱり応力発生工程と、
前記放射線硬化性組成物と前記モールドとを引き離す離型工程と、を含むことを特徴とする。
また本発明の樹脂の製造方法の第二の態様としては、基板上に熱硬化性組成物を配置する配置工程と、
前記熱硬化性組成物にモールドを接触させる接触工程と、
前記モールドと接触した状態で前記熱硬化性組成物を加熱する加熱処理工程と、
前記熱硬化性組成物を加熱する際に、前記モールドと前記熱硬化性組成物とが離間しない程度のひっぱり応力を、前記基板と前記モールドとが離間する方向に発生させる引っぱり応力発生工程と、
前記熱硬化性組成物と前記モールドとを引き離す離型工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、ナノインプリント方法を利用した樹脂の製造方法において、モールドと硬化性樹脂との間にかかる離型力を低減させる樹脂の製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法における樹脂の製造プロセスを示す断面模式図である。 本発明の製造装置における実施形態の例を示す概略図である。
[樹脂の製造方法]
本発明の製造方法は、表面に所定の凹凸パターンを有するモールドと、硬化性組成物と、を接触させた状態で当該硬化性組成物を硬化させることにより、所定のパターンを有する樹脂を作製する際に利用される製造方法である。本発明において、硬化性組成物とは、具体的には、放射線を照射することにより硬化する放射線硬化性組成物及び組成物自体を加熱することにより硬化する熱硬化性組成物である。
本発明の製造方法は、少なくとも下記(1)乃至(5)に示される工程を含んでいる。
(1)基板上に硬化性組成物を配置する配置工程
(2)硬化性組成物にモールドを接触させる接触工程
(3)モールドと接触した状態で硬化性組成物を硬化させる硬化工程
(4)硬化工程を行う際に、モールドと硬化性組成物とが離間しない程度のひっぱり応力を、基板とモールドとが離間する方向に発生させる引っぱり応力発生工程
(5)硬化性組成物とモールドとを引き離す離型工程
ここで、硬化性組成物が放射線硬化性組成物である場合、硬化工程は、具体的には、下記(3a)に示される工程であり、また引っぱり応力発生工程は、具体的には、下記(4a)に示される工程である。
(3a)モールドと接触した状態で放射線硬化性組成物に放射線を照射する工程(放射線照射工程)
(4a)放射線を放射線硬化性組成物に照射する際に、モールドと放射線硬化性組成物とが離間しない程度のひっぱり応力を、基板とモールドとが離間する方向に発生させる工程
(引っぱり応力発生工程)
一方、硬化性組成物が熱硬化性組成物である場合、硬化工程は、具体的には、下記(3b)に示される工程であり、また引っぱり応力発生工程は、具体的には、下記(4b)に示される工程である。
(3b)モールドと接触した状態で熱硬化性組成物を加熱する工程(加熱処理工程)
(4b)熱硬化性組成物を加熱する際に、モールドと熱硬化性組成物とが離間しない程度のひっぱり応力を、基板とモールドとが離間する方向に発生させる工程(引っぱり応力発生工程)
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下に説明する実施形態を適宜設計変更、改良等が加えられた形態についても本発明に含まれる。尚、本発明の製造方法は、好ましくは、1nm〜10mmのサイズのパターンが形成されている樹脂を製造する方法であり、より好ましくは、10nm〜100μmのサイズのパターンが形成されている樹脂を製造する方法である。
また本発明において、放射線とは、α線、β線、γ線及び中性子線に限定されず、光(紫外光、可視光、赤外光)、X線等を含む広義的な概念である。
図1は、本発明の製造方法における樹脂の製造プロセスを示す断面模式図である。尚、図1に示される製造プロセスは、ナノインプリント法を用いた微細パターンを有する樹脂の製造方法である。以下、図1を参照しながら、本発明の製造方法について説明する。
(1)配置工程(図1(a))
まず硬化性組成物1を、基板2上に配置する(図1(a))。硬化性組成物1は、後述する硬化工程で行う操作に応じて適宜選択することができる。具体的には、硬化工程において、放射線を硬化性組成物1に向けて照射する操作を行う場合、硬化性組成物1として、放射線によって硬化する放射線硬化性組成物が用いられる。一方、硬化工程において、硬化性組成物1を加熱する操作を行う場合、硬化性組成物1として、熱によって硬化する熱硬化性組成物が用いられる。
本発明において、硬化性組成物とは、具体的には、下記(1−1)又は(1−2)にて示される組成物(混合物)である。
(1−1)少なくとも熱あるいは放射線を感知して自主的に重合反応を起こさせる化合物を有する組成物
(1−2)少なくともラジカルやカチオンの存在下で重合反応を起こす化合物と、熱あるいは放射線によってラジカルやカチオンを発生させる開始剤と、を有する組成物
ただし、本発明においては、上記(1−1)、(1−2)に限定されるものではない。また上記(1−1)、(1−2)にて示される組成物には、適宜溶媒を添加してもよい。
(重合反応を起こす化合物)
上記重合反応を起こす化合物としては、ラジカル重合性モノマー又はカチオン重合性モノマーが例として挙げられる。
ラジカル重合性モノマーとしては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ以上有する化合物が好ましい。カチオン重合性モノマーとしては、ビニルエーテル基、エポキシ基又はオキセタニル基を1つ以上有する化合物が好ましい。
(ラジカル重合性モノマー)
アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを反応させたp−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを複数モル変性させたフェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記単官能(メタ)アクリル化合物の市販品としては、例えば、アロニックスM101、M102、M110、M111、M113、M117、M5700、TO−1317、M120、M150、M156(以上、東亞合成製)、LA、IBXA、2−MTA、HPA、ビスコート#150、#155、#158、#190、#192、#193、#220、#2000、#2100、#2150(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレートBO−A、EC−A、DMP−A、THF−A、HOP−A、HOA−MPE、HOA−MPL、PO−A、P−200A、NP−4EA、NP−8EA、エポキシエステルM−600A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD TC110S、R−564、R−128H(以上、日本化薬製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成製)、PHE、CEA、PHE−2、PHE−4、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬製)、VP(BASF製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
アクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、EO,PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記多官能(メタ)アクリル化合物の市販品としては、例えば、ユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱化学製)、ビスコート#195、#230、#215、#260、#335HP、#295、#300、#360、#700、GPT、3PA(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレート4EG−A、9EG−A、NP−A、DCP−A、BP−4EA、BP−4PA、TMP−A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD PET−30、TMPTA、R−604、DPHA、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬製)、アロニックスM208、M210、M215、M220、M240、M305、M309、M310、M315、M325、M400(以上、東亞合成製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90(以上、昭和高分子製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらラジカル重合性モノマーは、一種類を単独で用いてもよいし又は二種類以上を組み合わせて用いてもよい。尚、列挙されているラジカル重合性モノマーにおいて、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートを包含する概念である。また(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基及びそれに対応するメタクリロイル基を包含する概念である。EOは、エチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物とは、化合物内にエチレンオキサイド基のブロック構造を有することを意味する。また、POは、プロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物とは、化合物内にプロピレンオキサイド基のブロック構造を有することを意味する。
(カチオン重合性モノマー)
ビニルエーテル基を1つ有する化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられるが、これらに限定されない。
ビニルエーテル基を2つ以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテル等のジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等の多官能ビニルエーテル類等が挙げられるが、これらに限定されない。
エポキシ基を1つ有する化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられるが、これらに限定されない。
エポキシ基を2つ以上有する化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられるが、これらに限定されない。
オキセタニル基を1つ有する化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル〕フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられるが、これらに限定されない。
オキセタニル基を2つ以上有する化合物としては、例えば、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等の多官能オキセタン等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらカチオン重合性モノマーは、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。尚、上記において、EOは、エチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物は、エチレンオキサイド基のブロック構造を有することを意味する。また、POは、プロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物は、プロピレンオキサイド基のブロック構造を有することを意味する。
(開始剤)
開始剤は、重合性化合物が光硬化性の場合には光ラジカル発生剤や光酸発生剤を用い、重合性化合物が熱硬化性の場合には熱重合開始剤を用いる。
(光ラジカル発生剤)
光ラジカル発生剤とは、赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の荷電粒子線等、放射線の照射により化学反応を生じ、ラジカルを生成し、ラジカル重合を開始できる化合物である。
光ラジカル発生剤としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−又はp−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等のような置換されていてもよい2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノンのようなベンゾフェノン誘導体;
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパノン−1−オン等の芳香族ケトン誘導体;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル誘導体;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン、プロピルベンゾイン等のベンゾイン誘導体;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン等のN−フェニルグリシン誘導体;アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体;チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン誘導体:キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられるが、これらに限定されない。またこれら化合物は、一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
光ラジカル発生剤の市販品としては、例えば、Irgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI−1700、−1750、−1850、CG24−61、Darocur l116、1173(以上、チバ・ジャパン製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF製)、ユベクリルP36(UCB製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
(光酸発生剤)
光酸発生剤とは、赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の荷電粒子線等、放射線の照射により化学反応を生じ、酸を生成し、カチオン重合を開始できる化合物である。このような化合物としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明ではオニウム塩化合物を用いることが好ましい。
オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。オニウム塩化合物の具体例としては、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムピレンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムn−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムピレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムn−オクタンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムピレンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムベンゼンスルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムn−オクタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムピレンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムベンゼンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムn−オクタンスルホネート等が挙げられるが、これらに限定されない。
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらのα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。スルホン化合物の具体例としては、フェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、4−トリスフェナシルスルホン等が挙げられるが、これらに限定されない。
スルホン酸エステル化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。スルホン酸エステル化合物の具体例としては、α−メチロールベンゾインパーフルオロ−n−ブタンスルホネート、α−メチロールベンゾイントリフルオロメタンスルホネート、α−メチロールベンゾイン2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート等が挙げられるが、これらに限定されない。
スルホンイミド化合物の具体例としては、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニル)フタルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
ジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニルp−トルエンスルホニルジアゾメタン、(シクロヘキシルスルホニル)(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの光酸発生剤のうち、オニウム塩化合物が好ましい。本発明において、光酸発生剤は、一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を混合して用いてもよい。
(熱重合開始剤)
熱重合開始剤は、上述した重合反応を起こす化合物に含まれる硬化性官能基によって選択される。硬化性官能基が(メタ)アクリロイル基、ビニル基又はアリル基である場合には、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−S−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシアセテート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の有機過酸化物、又は、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジンー2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等のアゾ化合物等に代表される熱ラジカル重合開始剤等が選択される。
硬化性官能基がエポキシ基である場合には、メラミン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタシルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノー6−〔2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−イミダゾリル−(1’)〕−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕−エチル−S−トリアジン イソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾール イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾール イソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ〔1,2−a〕ベンズイミダゾール、4,4’−メチレンビス(2−エチル−5−メチルイミダゾール)、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド等のイミダゾール類;1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、及びそのフェノール塩、オクチル塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、オルソフタル酸塩、又はフェノールノボラック樹脂塩、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5、及びそのフェノールノボラック樹脂塩等の有機強塩基類及びその塩;4級ホスホニウムブロマイド、芳香族ジメチルウレア、脂肪族ジメチルウレア等のウレア類に代表されるアニオン系開始剤;トリフェニルシラノール等のシラノール系のカチオン触媒;アルミニウムトリス(アセチルアセトン)等のアルミキレート系触媒等が選択される。
これらの熱重合開始剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
基板2としては、通常、シリコンウエハが用いられるが、他にも、アルミニウム、チタン−タングステン合金、アルミニウム−ケイ素合金、アルミニウム−銅−ケイ素合金、酸化ケイ素、窒化ケイ素等の半導体デバイス用基板として知られているものの中からも任意に選んで用いることができる。尚、所定のパターンを有する樹脂を作製した後、その樹脂の加工パターンを利用して基板2を加工する場合、その基板2は、被加工基板と呼ばれることがある。
基板2の表面には、硬化性組成物1との密着性を高めるための表面処理が施されていてもよい。本発明において、硬化性組成物1を基板2上に配置する方法としては、塗布法が採用される。具体的には、インクジェット法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコード法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート法、スリットスキャン法等が採用される。
尚、基板2上に配置された硬化性組成物1からなる膜の膜厚は、用途によって異なるが、例えば、0.01μm〜100.0μmである。
(2)接触工程(図1(b1)、(b2))
次に、前工程(配置工程)で形成された硬化性組成物1からなる塗布膜にモールド3を接触させる工程(接触工程、図1(b1)、図1(b2))を行う。尚、モールド3は印章と見立てることができるので、この工程は、押印工程とも呼ばれる。本工程で、硬化性組成物1(被形状転写層)にモールド3を接触させる(図1(b1))と、モールド3上に形成された微細パターンの凹部に塗布膜(の一部)10が充填される(図1(b2))。
本発明の製造方法において用いられるモールド3は、硬化性組成物1とモールド3の表面との剥離性を向上させるための表面処理を行ったものを用いてもよい。表面処理の方法としては、シリコーン系やフッ素系等のシランカップリング剤による処理を行ったもの、具体的には、ダイキン工業(株)製のオプツールDSX等、市販の塗布型離型剤も好適に用いることができる。
また接触工程を行う時間は特に限定されないが、通常、1秒〜600秒であり、好ましくは、1秒〜300秒であり、より好ましくは、1秒〜180秒であり、特に好ましくは、1秒〜120秒である。モールド3を硬化性組成物1に接触させる時間が短いと、硬化性組成物1が十分に充填されない恐れがある。一方、モールド3を硬化性組成物1に接触させる時間が長いと、製造プロセスのスループットが低くなる。
また接触工程を行う際には、大気雰囲気下、減圧雰囲気下、不活性ガス雰囲気下のいずれの条件下でも行うことができる。酸素や水分による光硬化反応への影響を防ぐことができるため、減圧雰囲気や不活性ガス雰囲気が好ましい。不活性ガス雰囲気下で接触工程を行う場合、使用される不活性ガスの具体例としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、各種フロンガス等、あるいはこれらの混合ガスが挙げられる。大気雰囲気下を含めて特定のガスの雰囲気下で本工程(接触工程)を行う場合、好ましい圧力は、0.0001気圧乃至10気圧である。
(3)硬化工程(図1(c1)、(c2))
次に、モールド3に接触している塗布膜10を硬化して、硬化物11を形成する(図1(c1)、(c2))。ここで、本工程は、具体的には、塗布膜10に放射線4を照射する放射線照射工程又は塗布膜10を加熱する加熱工程である。
(3−1)放射線照射工程(図1(c1))
基板2上に配置されている硬化性組成物1が放射線硬化性組成物である場合、モールド3を介して塗布膜10に放射線等の光を照射する(図1(c1))ことによって、硬化性組成物1が硬化して硬化物11が形成される。
照射する放射線は特に限定されるものではなく、硬化性組成物1として使用される放射線硬化性組成物の感度波長に応じて選択されるが、具体的には、150nm乃至400nm程度の波長の紫外光や、X線、電子線等を適宜選択して使用することが好ましい。ここで、光によってラジカルやカチオンを発生させる開始剤が放射線硬化性組成物に含まれている場合、この開始剤のうち、容易に入手可能であるものの多くが紫外光に感度を有することから、本工程で使用される放射線は紫外線であることが特に好ましい。紫外光を発する光源としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、Deep−UVランプ、炭素アーク灯、ケミカルランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、F2エキシマレーザ等が挙げられ、超高圧水銀灯が特に好ましい。これら放射線源(光源)は、1つ又は複数で使用できる。また、放射線の照射は塗布膜10の全面に行ってもよいし、塗布膜10の一部領域にのみ行ってもよい。
(3−2)加熱工程(図1(c2))
基板2上に配置されている硬化性組成物1が熱硬化性組成物である場合、基板2側から熱5を加えて塗布膜10を加熱する(図1(c2))ことによって、硬化性組成物1が硬化して硬化物11が形成される。
尚、硬化性組成物1として放射線硬化性組成物を用いたとしても、その放射線硬化性組成物が加熱によっても硬化する場合は、前記放射線照射工程に加えてあるいは代えて加熱工程を行ってもよい。
一方、硬化性組成物1として熱硬化性組成物を用いた場合であっても、硬化性組成物1を硬化させる際に、加熱工程に加えて放射線照射工程を行ってもよい。
加熱工程を行う際に、加熱雰囲気及び加熱温度等に関しては特に限定されないが、例えば、不活性雰囲気下又は減圧下で、40℃〜200℃で加熱することができる。また本工程(加熱工程)を行う際に用いられる加熱手段として、ホットプレート、オーブン、ファーネス等を用いることができる。
(4)引っぱり応力発生工程(図1(d))
本発明では、上記放射線照射工程又は上記加熱工程を行う際に、モールド3に、基板2との相対距離が離れる方向へ力を加える工程、即ち、引っぱり応力発生工程を行う(図1(d))。
本工程は、具体的には、モールド3と硬化性組成物1とが離間しないようにしながら、基板2との相対距離が離れる方向へモールド3を引っぱる工程である。ここで、基板2との相対距離が離れる方向へモールド3を引っぱると、モールド3と接する硬化性組成物1にひっぱり応力6が生じる。これにより、硬化性組成物1が硬化してなる硬化物11に基板2とモールド3とが離間する方向に圧力が発生するため、放射線又は熱によって硬化物11を得るのと同時に後述の離型工程において必要となる離型力が低減する。
本工程において要求されるひっぱり応力は、好ましくは、0.001N/mm2以上1.000N/mm2以下である。より好ましくは、0.003N/mm2以上0.600N/mm2以下であり、特に好ましくは、0.030N/mm2以上0.400N/mm2以下である。本工程において、ひっぱり応力が0.001N/mm2未満の場合、離型時において硬化物11にかかる応力がひっぱり応力を発生させない時と同程度となり、離型力低減効果が見られない。一方、ひっぱり応力が1.000N/mm2を超えると、硬化物11の一部がモールド3から離れてしまい、パターン精度が低下するという問題が生じる。
ひっぱり応力を発生させる方法としては、特に限定されないが、上述したように、モールド3を、基板2から離間する方向に力を加える(引っぱる)ことによって発生させることができる。あるいは基板2を、モールド3から離間する方向に力を加え(引っぱる)てもよい。つまり、基板2又はモールド3に力を加えることで発生させることができる。また、基板2とモールド3との間隔が開くように基板2とモールド3とにそれぞれ力を加える(引っぱる)方法も採用することができる。
また本発明においては、硬化性組成物中に放射線及び熱のいずれかによってガスが発生するガス発生剤を含ませてもよい。ガス発生剤を含ませると本工程(引っぱり応力発生工程)において引っぱり応力を発生させる際に有利に働く。即ち、硬化性組成物中にガス発生剤を含ませると、本工程においてガス発生剤から生じるガスのガス圧によって離型力をより小さくすることができる。この離型力の低減の効果は、ガス発生量が多ければ多いほど大きくなる。
ひっぱり応力を発生させ始める時期は、放射線照射工程又は加熱工程の開始と同時に行ってもよいし、放射線照射工程又は加熱工程の開始後であってもよい。好ましくは、放射線照射工程又は加熱工程の開始後である。尚、ひっぱり応力を発生させ始める時期が放射線照射工程又は加熱工程の開始前であると、硬化性組成物1が硬化する前に変形してしまい、これによってパターン精度が低下するという問題が生じる。
ひっぱり応力発生工程を終える時期は特に限定されないが、次の工程(離型工程)が開始するまで行うことが好ましく、次の工程(離型工程)が開始した後になってもひっぱり応力を生じさせ続けることがより好ましい。尚、次の工程(離型工程)を開始する前にひっぱり応力の発生を停止させると離型力低減効果が低下する。また硬化性組成物1中にガス発生剤が含まれる場合でも同様であり、ひっぱり応力を加え続けた時と比べて発生した気体によるモールドを引き離す力が分散してしまうために離型力低減効果が低下する。
(5)離型工程(図1(e))
次に、硬化物11からモールド3を離し、基板2上に所定のパターン形状を有する硬化膜を形成する工程(離型工程、図1(d))を行う。この工程(離型工程)は、硬化物11からモールド3を剥離する工程であり、前の工程(硬化工程)において、モールド3上に形成された微細パターンの反転パターンが、硬化物11のパターンとして得られる。
硬化物11からモールド3を剥離する方法としては、剥離の際に硬化物11の一部が物理的に破損しなければ特に限定されず、各種条件等も特に限定されない。例えば、被加工基板(基板2)を固定してモールド3を被加工基板から遠ざかるように移動させて剥離してもよく、モールド3を固定して被加工基板をモールドから遠ざかるように移動させて剥離してもよく、これらの両方を正反対の方向へ引っ張って剥離してもよい。
また塗布型離型剤を用いて光硬化物11からモールド3を剥離する方法も採用できる。ここで塗布型離型剤を用いて光硬化物11からモールド3を剥離するには、接触工程前において、所望のパターンを有するモールドの表面に塗布型離型剤層を形成する工程を行うことになる。
塗布型離型剤を用いる場合、その種類は特に限定されないが、例えば、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、ポリエチレン系離型剤、ポリプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤等がある。尚、これら離型剤は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用して用いてもよい。これらの中でも、フッ素系離型剤が特に好ましい。
(6)エッチング工程(図1(f))
上記離型工程を行ったときに得られる硬化物は、特定のパターン形状を有するものの、このパターン形状が形成される領域以外の領域においても膜の一部が残膜として存在することがある。そこで上記パターン形状のうち、硬化物を除去すべき領域について残存する硬化膜(残膜)を除去する工程(エッチング工程、図1(f))を行う。
ここで残膜を除去する方法としては、例えば、硬化物11の凹部に残った膜(残膜)をエッチングにより取り除き、パターン凹部において基板2の表面を露出させる方法が挙げられる。
エッチングを利用する場合、その具体的な方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法、例えば、ドライエッチングを行うことで形成することができる。ドライエッチングには、従来公知のドライエッチング装置を用いることができる。そして、ドライエッチング時のソースガスは、被エッチ膜の元素組成によって適宜選択されるが、O2、CO、CO2等の酸素原子を含むガス、He、N2、Ar等の不活性ガス、Cl2、BCl3等の塩素系ガス、H2、NH3のガス等を使用することができる。尚、これらのガスは混合して用いることもできる。
上記(1)乃至(6)の製造プロセスによって、所望の凹凸パターン形状(モールド3の凹凸形状に因むパターン形状)を有する硬化物11を得ることができる。ここでこの硬化物11を利用して、基板2を加工する場合は、さらに後述する基板の加工工程を行うことがある。
一方、得られた硬化物11を光学素子(光学素子の一部材として用いる場合を含む。)として利用することもできる。係る場合、少なくとも、基板2と、この基板2上に配置された光硬化物11と、を有する光学部品として提供することができる。
(7)基板加工工程
本発明の製造方法によって得られる所望の凹凸パターン形状を有する硬化物11は、例えば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体素子に代表される電子部品に含まれる層間絶縁膜用膜として利用可能である。一方、この光硬化物11は、半導体素子製造時におけるレジスト膜として利用することもできる。
硬化物11をレジスト膜として利用する場合、エッチング工程にて表面が露出した基板の一部分に対して、エッチング又はイオン注入等を行う。尚、このとき硬化物11は、マスクとして機能する。これにより、硬化物11のパターン形状に基づく回路を基板2に形成することができる。これにより、半導体素子等で利用される回路付基板を製造することができる。尚、この回路付基板に電子部材を設けることにより電子部品が形成される。
尚、回路付基板や電子部品を作製する場合、最終的には、加工された基板から光硬化物のパターンを除去してもよいが、素子を構成する部材として残す構成も好ましい。
[樹脂の製造装置]
図2は、本発明の製造装置における実施形態の例を示す概略図である。図2の製造装置20(インプリント装置)は、上述したナノインプリント法を利用した所定のパターンを有する樹脂の作製を可能にする製造装置である。
図2の製造装置20は、樹脂の製造室となる本体部30と、制御部40と、からなる。図2の製造装置20において、本体部30は、室内に、基板ステージ31と、モールド32と、を有している。
基板ステージ31は、支持部(除振制御部)32と、この支持部32上に設けられるZチルトステージ33と、XYチルトステージ34と、からなるステージ部と、からなる部材である。ここで、Zチルトステージ33及びXYチルトステージ34は、基板ステージ31の位置を制御するためのステージであり、基板上に設けられた硬化性組成物とモールドとを接触させる手段として機能する。またZチルトステージ33は、さらに硬化性組成物を硬化させる際に、モールドと硬化性組成物とが離間しない程度の引っぱり応力を、基板とモールドとが離間する方向に発生させる手段も備えている。尚、硬化性組成物の特性(放射線硬化性、熱硬化性)を考慮して、基板ステージ31上に、モールドと接触した状態で硬化性組成物を硬化させる手段となる加熱制御部35を適宜設けてもよい。
また図2の製造装置20において、モールド3は、モールドZチルト駆動部36と接合されており、またモールドZチルト駆動部36は、固定軸37によって固定されている。ここでモールドZチルト駆動部36は、モールド3の高さ方向の位置を制御するためのステージであって、下記(a)乃至(c)の手段を備えている。
(a)硬化性組成物にモールドを接触させる手段
(b)硬化性組成物を硬化させる際に、モールドと硬化性組成物とが離間しない程度の引っぱり応力を、基板とモールドとが離間する方向に発生させる手段
(c)硬化性組成物とモールドとを引き離す手段
尚、硬化性組成物の特性(放射線硬化性、熱硬化性)を考慮して、モールド3上に放射線、例えば、光を照射し、モールド3と接触した状態で硬化性組成物を硬化させる手段となる照明光学系38を適宜設けてもよい。
ところで、図2においては、図示していないが、本体部30内には、基板上に硬化性組成物を配置する手段(例えば、ディスペンサー等)を備えている。また本発明において、引っぱり応力を発生させる手段は、モールドと硬化性組成物とが離間しない程度に、基板の相対位置と前記モールドの相対位置と、をそれぞれ移動させる手段である。図2の製造装置20においては、Zチルトステージ33及びモールドZチルト駆動部36が該当する。ただし、基板とモールドとの相対的な移動が実現すればよいので、基板及びモールドの両方に移動手段を有する構成であってもよいし、基板のみあるいはモールドのみのどちらか一方を移動させる移動手段であってもよい。
制御部40には、インプリント制御部41と、引っぱり応力検出部42と、引っぱり応力制御部43と、を含む制御部材である。インプリント制御部41は、樹脂の製造プロセスに含まれる工程、即ち、接触工程、硬化工程、引っぱり応力形成工程及び離型工程を、それぞれ制御するために用いられる。また引っぱり応力検出部42は、モールドZチルト駆動部36に接続されている応力検出部39から出力される信号を受けとり、この信号を引っぱり応力に関する信号に変換した後、変換した信号をインプリント制御部41へ送信するために用いられる。さらに引っぱり応力制御部43は、基板ステージ31、モールドZチルト駆動部38及びインプリント制御部41から送信される信号に基づいて引っぱり応力の大きさを制御するために設けられる。即ち、制御部40、特に、インプリント制御部41及び引っぱり応力制御部43は、硬化性組成物を硬化させる際に、モールドと硬化性組成物とが離間しない程度の引っぱり応力を、基板2とモールド3とが離間する方向に発生させる手段として機能する。尚、応力検出部39は、モールド3や硬化性組成物にかかる応力をなるべく正確に検知するという観点から、本体部30の内部に設置するのが好ましい。
図2の製造装置の駆動方法の具体例を以下に説明する。
まず本体部30内において、基板上に硬化性組成物を配置する手段(例えば、ディスペンサー等)を用いて基板2上に硬化性組成物を配置する。次に、基板搬送装置(不図示)を用いて、基板2を、基板ステージ31上に載置した後、この基板ステージ31を用いて、基板ステージ31上に載置されている基板2を所定の位置に移動させる。次に、Zチルトステージ34とモールドZチルト駆動部38とを適宜移動させて基板2上に設けられる硬化性組成物とモールド32とを接触させる。次に、加熱制御部37及び照明光学系310のいずれかを用いて基板2上に設けられる硬化性組成物を硬化させる。また硬化性組成物を硬化させる際に、Zチルトステージ34とモールドZチルト駆動部38とを適宜移動させて引っぱり応力を発生させる。ここで引っぱり応力を発生させる際には、引っぱり応力検出部42にて示される応力に応じて、インプリント制御部41及び引っぱり応力制御部43にて引っぱり応力の大きさを適宜制御する。次に、Zチルトステージ34とモールドZチルト駆動部38とをそれぞれ移動させて基板2とモールド32とを引き離す。この後、基板2は、基板搬送装置(不図示)を用いて、本体部30からエッチング工程を行う装置内に移動される。
尚、図2の製造装置20において、基板2上に硬化性組成物を配置する際に、基板2を基板ステージ31上に予め載置してもよい。
以下、実施例にて本発明について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。尚、以下の説明において示される「部」及び「%」は、特に指示がない限り全て重量基準(重量部、重量%)である。
[実施例1]
(1)硬化性組成物(放射線硬化性組成物)
下記に示される試薬、溶媒を混合して硬化性組成物(放射線硬化性組成物)を調製した。
<光重合性モノマー(注1)>トリメチロールプロパントリアクリラート(東亞合成(株)製):100部
<光重合開始剤>Dar.1173(チバ・ジャパン製):3部
<ガス発生剤(注2)>2,2’−アゾビス−(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)(商品名:VAm−110、和光純薬製):15部
(注1)メタクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物
(注2)光によってガスを発生するガス発生剤
(2)樹脂の製造方法
まず100mm2のシリコンガラス上に、先程調製した硬化性組成物を塗布した後、このシリコンガラスに並行になるように100mm2の石英ガラス(パターンがないモールド)を挟持して硬化性組成物と石英ガラスとを接触させた。このとき硬化性組成物からなる膜の膜厚は1μmであった。次に、石英ガラス側から、波長365nmの光(照度:19.1mW/cm2)の光を、硬化性組成物に20秒照射した。次に、波長365nmの光(照度:19.1mW/cm2)の光を照射しながら、引っぱり応力が0.354N/mm2になるように、シリコンガラスと石英ガラスとの相対的距離が大きくなる方向に石英ガラスを適宜移動させた。次に、石英ガラスを硬化した硬化性組成物から引き離した。これにより、硬化した樹脂を得た。ここで石英ガラスを硬化した硬化性組成物から引き離した際に生じた離型力について測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、引っぱり応力が0.177N/mm2になるように、シリコンガラスと石英ガラスとの相対的距離が大きくなる方向に適宜移動させたことを除いては、実施例1と同様の方法により樹脂を製造した。また実施例1と同様に離型力の測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、引っぱり応力が0.035N/mm2になるように、シリコンガラスと石英ガラスとの相対的距離が大きくなる方向に適宜移動させたことを除いては、実施例1と同様の方法により樹脂を製造した。また実施例1と同様に離型力の測定を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、引っぱり応力が0.004N/mm2になるように、シリコンガラスと石英ガラスとの相対的距離が大きくなる方向に適宜移動させたことを除いては、実施例1と同様の方法により樹脂を製造した。また実施例1と同様に離型力の測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、光照射を行った後、引っぱり応力をかけることなく石英ガラスを硬化した硬化性組成物から引き離したことを除いては、実施例1と同様の方法により樹脂を製造した。また実施例1と同様に離型力の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006000712
1:硬化性組成物、2:基板、3:モールド、6:引っぱり応力、10:塗布膜、11:光硬化物、20:製造装置、30:本体部、31:基板ステージ、32:支持部(除振制御部)、33:Zチルトステージ、34:XYチルトステージ、35:加熱制御部、36:モールドZチルト駆動部、37:固定軸、38:照明光学系、39:応力検出部、40:制御部、41:インプリント制御部、42:ひっぱり応力制御部、43:ひっぱり応力検出部

Claims (10)

  1. 表面に所定の凹凸パターンを有するモールドと、放射線硬化性組成物と、を接触させた状態で前記放射線硬化性組成物を硬化させることにより、所定のパターンを有する樹脂を作製する樹脂の製造方法であって、
    基板上に放射線硬化性組成物を配置する配置工程と、
    前記放射線硬化性組成物にモールドを接触させる接触工程と、
    前記モールドと接触した状態で前記放射線硬化性組成物に放射線を照射する放射線照射工程と、
    前記放射線を前記放射線硬化性組成物に照射する際に、前記モールドと前記放射線硬化性組成物とが離間しない程度のひっぱり応力を、前記基板と前記モールドとが離間する方向に発生させる引っぱり応力発生工程と、
    前記放射線硬化性組成物と前記モールドとを引き離す離型工程と、を含むことを特徴とする、樹脂の製造方法。
  2. 前記引っぱり応力が、0.001N/mm2以上1.000N/mm2以下であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂の製造方法。
  3. 前記放射線硬化性組成物が、前記放射線の放射によりガスを発生するガス発生剤をさらに有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の樹脂の製造方法。
  4. 前記放射線照射工程の開始後に、前記モールドと前記放射線硬化性組成物が離間しない程度のひっぱり応力を、前記基板と前記モールドとが離間する方向に発生させる工程を行うことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂の製造方法。
  5. 前記放射線照射工程と前記ひっぱり応力発生工程との間に、前記放射線照射工程で使用した放射線とは異なる波長の放射線を前記放射線硬化性組成物に照射してガスを発生させるガス発生工程が含まれることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂の製造方法。
  6. 基板上に熱硬化性組成物を配置する配置工程と、
    前記熱硬化性組成物にモールドを接触させる接触工程と、
    前記モールドと接触した状態で前記熱硬化性組成物を加熱する加熱処理工程と、
    前記熱硬化性組成物を加熱する際に、前記モールドと前記熱硬化性組成物とが離間しない程度のひっぱり応力を、前記基板と前記モールドとが離間する方向に発生させる引っぱり応力発生工程と、
    前記熱硬化性組成物と前記モールドとを引き離す離型工程と、を含むことを特徴とする、樹脂の製造方法。
  7. 前記引っぱり応力が、0.001N/mm2以上1.000N/mm2以下であることを特徴とする、請求項6に記載の樹脂の製造方法。
  8. 前記熱硬化性組成物が、前記加熱によりガスを発生するガス発生剤をさらに有することを特徴とする、請求項6又は7に記載の樹脂の製造方法。
  9. 所定のパターンを有する樹脂を作製する樹脂の製造装置であって、
    基板上に硬化性組成物を配置する手段と、
    前記硬化性組成物にモールドを接触させる手段と、
    前記モールドと接触した状態で前記硬化性組成物を硬化させる手段と、
    前記硬化性組成物を硬化させる際に、前記モールドと前記硬化性組成物とが離間しない程度の引っぱり応力を、前記基板と前記モールドとが離間する方向に発生させる手段と、
    前記硬化性組成物と前記モールドとを引き離す手段と、を有することを特徴とする、樹脂の製造装置。
  10. 前記引っぱり応力を発生させる手段が、前記モールドと前記硬化性組成物とが離間しない程度に、前記基板の相対位置と前記モールドの相対位置と、をそれぞれ移動させる手段であることを特徴とする、請求項9に記載の樹脂の製造装置。
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