JP2006137019A - 形状転写方法 - Google Patents

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修三 土田
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Abstract

【課題】アスペクト比の高い形状でも安定した離型を実現し、高品質な微細転写形状を形成する形状転写方法を提供する。
【解決手段】金型30と被転写体32を所定温度以上に加熱して接触させる接触工程Aと、金型30もしくは被転写体32に一定圧力を加えて、金型30の微細形状を被転写体32に転写させる転写工程B〜Cと、所定温度まで冷却させた後、金型30と被転写体32を剥離する離型工程D〜Eとを備え、前記接触工程Aの周囲圧力P1より前記離型工程D〜Eの周囲圧力P2の方が低くなるように制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は、微細な金型形状を被転写体に転写する形状転写方法に関するものである。
近年、光学商品あるいはバイオ関連商品の開発において微細な形状を転写させる技術が求められている。例えば光学商品分野では、ディスプレイ用パネル表面に数十nm〜数百nmの微細凹凸を設けた反射防止パネル,数百nm〜数十μmの回折形状を設けたホログラムあるいはレンズ,導波路などの光学素子がある。
また、バイオ関連商品分野では、幅数十nm〜数百nmで高アスペクト比を有するピラーで血球,DNA,蛋白質を分離するバイオチップなどがある。
従来、このような微細形状を形成するためには、フォトリソグラフィー法あるいはエッチング法が利用されてきた。しかし、この方法は、時間あたりの処理能力が低く、かつ工程数が多く、管理が大変であってコストが高い。
最近、この方法に代わる技術としてナノインプリント法が用いられている(特許文献1参照)。
ナノインプリント方法について図7(a)〜(d)を参照して説明する。
図7(a)において、50は予め凹凸パターン51を形成したSiO製の金型、52はレジスト、53は半導体であり、図7(b)に示すように、凹凸パターン51を形成した金型51を、半導体53の表面に塗布したレジスト52に押し付け、図7(c)に示すように、凹凸パターンを転写させ、そのレジストをマスクとして半導体53の表面を加工することで、図7(d)に示すように、半導体53の表面に微細な凹凸形状54を形成する。
また、アスペクト比の高い形状を転写させるため、転写工程を真空中で行う方法が射出成形などで広く使用されている。
米国特許第5772905号明細書
しかしながら、前記従来の方法にてアスペクト比の高い形状を転写させると、真空中で転写させた場合、金型の微細形状に充填された被転写体が減圧吸着された状態になり、金型から剥離することができない、もしくは形状が崩れるという問題がある。
本発明は、前記従来の技術の課題を解決し、アスペクト比が高い形状の成形品でも離型することができる形状転写方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、金型と被転写体を接触させる接触工程と、前記金型と前記被転写体との少なくともいずれか一方に圧力を加えて前記金型の形状を前記被転写体に転写させる転写工程と、前記金型と前記被転写体を剥離する離型工程とにより、前記金型形状を前記被転写体に転写する形状転写方法において、前記接触工程における前記金型と前記被転写体との周囲の雰囲気の圧力をP1としたとき、前記離型工程における前記金型と前記被転写体との周囲の雰囲気の圧力をP2<P1の関係を満たすP2とすることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の形状転写方法において、圧力P2とP1との関係を、10≦P2/P1≦10に設定したことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、金型と被転写体を接触させる接触工程と、前記金型と前記被転写体との少なくともいずれか一方に圧力を加えて前記金型の形状を前記被転写体に転写させる転写工程と、前記金型と前記被転写体を剥離する離型工程とにより、前記金型形状を前記被転写体に転写する形状転写方法において、前記接触工程の前に前記被転写体を所望の温度T1に加熱する加熱工程と、前記離型工程の前に前記被転写体を所望の温度T2に冷却する冷却工程とを備え、かつ前記被転写体と前記金型の接触面に垂直な方向における前記被転写体の線膨張係数を、前記接触面に平行な方向の線膨張係数より大きく設定したことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の形状転写方法において、被転写体として、樹脂に指向性のある液晶ポリマーを用いたことを特徴とする。
本発明によれば、アスペクト比の高い形状の転写を可能にし、従来ではフォトリソグラフィー法あるいはエッチング法による加工でしか実現することができなかった微細形状の転写を必要とする商品を安価に成形することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における微細形状転写装置の概略構成図であって、上型10と下型11とからなるナノインプリント装置であり、上型10と下型11との間に樹脂もしくはガラス製の被転写体4と、微細形状パターンが表面に形成された金型5を対向させた構成である。
上型10は、プレート1と弾性パッド3で構成され、その弾性パッド3とプレート1との間に形成された空間に、液体もしくは気体2を循環させている(液体/気体の入出配管は図示せず)。弾性パッド3の材質としてSUSなどの金属膜もしくは耐熱性の樹脂膜などを用い、厚みは30μm〜300μm程度とした。この弾性パッドの選定には、耐熱温度あるいは耐摩耗性を考慮することが重要であり、必要に応じてSiNあるいはDLCなどの耐摩耗性薄膜で表面処理を施すことも有効である。
さらに、温調プレート7には、水あるいは油などの媒体を循環および温度調節する装置(図示せず)が接続されており、温調プレート7自体を所定の温度に維持する構造になっている。
次に、可動機構を有する加熱装置12を設置して、被転写体4および金型5の表面を加熱するために使用する。本例では加熱装置12として抵抗ヒータ,ハロゲンランプなどを用い、輻射熱を利用した表面加熱方法を採用した。しかし、この加熱方法は一例であり、金型5あるいは被転写体4を加熱する方法としては、輻射熱を利用した加熱方法の他に抵抗ヒータあるいは誘導加熱により発生させた熱を伝熱させる加熱方法、もしくはマイクロ波などを用いて金型5および被転写体4を直接熱する加熱方法を採用することも可能である。
下型11は、金型固定プレート6と温調プレート7とから構成されており、この金型固定プレート6には金型5を機械的に固定する機構(図示せず)を有している。
図2は前記金型固定プレートの拡大断面図であり、金型5の周囲に、被転写体4を保持して金型5と所定の空間を設ける保持機構20を設置し、該保持機構20は摺動することにより前記空間を可変することが可能である。
金型固定プレート6には、金型5を吸引固定するための吸気路21を設置し、さらに吸気路21とは別に金型5の表面から空気を噴射する噴気路22を設置し、微細形状を転写させた被転写体4を剥離する際に空気を噴射することを可能にしている。ただし、この噴気路22はなくてもよい。
以上に説明した装置を用いて、接触工程から離型工程において周囲の圧力制御を実施した。その工程について図3のA〜Eを参照して説明する。
図3のA〜Eは、金型30の表面に形成された微細形状31を被転写体32の表面に転写させて、該微細形状31の転写形状34を形成する本実施の形態1の方法を説明するための概略図であって、所定の温度以上に加熱した金型30と被転写体32を接触させる接触工程Aと、金型30もしくは被転写体32に圧力を加えることにより、微細形状31内に被転写体32の一部を充填させる転写工程B〜Cと、金型30および被転写体32を所定温度まで冷却した後、金型30と被転写体32を剥離する離型工程D〜Eを示している。
また、金型30および被転写体32の周囲の圧力制御として、接触工程から転写工程A〜Cでは、図示していないコンプレッサーあるいは真空ポンプ等の圧力制御手段により、圧力P1に、離型工程では圧力P2に設定し、かつ、P1>P2になるように設定した。そのことにより、離型工程では金型の微細形状内に意図的に発生させる微小空間35の圧力はP1と同等もしくは近い値を示し、周囲の圧力P2より高い圧力を示すため、微細形状内に存在する転写形状34を押し出す力が発生し、離型がしやすくなる。
なお、必要に応じて、微細形状31以外の箇所に気体を噴射する通路(図示せず)を設け、離型時に噴射させるのも効果的である。本実施の形態における具体数値として、P1は10−1〜10Pa、P2は10−4〜10−2Paに設定したが、必ずしもこの範囲内にする必要はなく、転写形状などにあわせて最適な圧力設定をすることが望ましい。
さらに、転写工程B〜Cにおいて、微細形状31へ完全に被転写体が充填するのではなく、微小な空間35が存在するように、金型および被転写体の温度,加圧力時間を制御して調整した。
なお、実験によれば前記P1,P2の圧力比P1/P2が10以上になると、被転写体の転写形状を崩すことなく離型が可能であった。また、圧力比P1/P2が10より大きいと微小空間から発生する圧力が大きくなり過ぎ、被転写体の転写形状が崩れる結果となった。つまり、10≦P2/P1≦10の間で圧力を設定することにより、転写形状を崩すことなく離型性の良好な転写を実現することができた。
(実施の形態2)
また、被転写体として液晶ポリマーなどの配向性を有した樹脂板材を使用することによって、アスペクト比の高い形状の離型性を向上させることができる。
図4は本発明の実施の形態2における微細形状転写方法の説明図であり、被転写体40として射出成形などで予備成形した液晶ポリマー製の板材を用いた。液晶ポリマーは射出成形により予備成形すると、射出方向に向かって樹脂の配向が発生し、射出方向とその直角方向では線膨張係数が異なる性質がある。具体的には、射出方向であるX方向の線膨張係数は通常の非結晶性ポリマーの線膨張係数より約1桁ほど小さく、射出方向と直角の方向であるZ方向の線膨張係数は約1.2〜1.5倍ほど大きい。
次に、加熱工程にて所定温度T1以上に加熱し、接触工程にて加熱した被転写体40に対して微細形状を有する金型41を押し付け、転写工程にて微細形状42を転写させる。そのときの被転写体表面における樹脂配向を図5(a)に示す。
転写終了後、冷却工程にて樹脂温度を所定温度T2まで低下させると、図5(b)に示すように、樹脂配向に対して直角方向であるZ方向およびY方向において収縮量が大きく、金型から剥離する方向へ収縮するため、金型41の微細形状43と被転写体40の転写形状42との接触面に空間が発生し、離型工程における離型性が向上する。
ここで、被転写体の収縮による微細形状の根元への歪み発生を防ぐため、図6に示すように、被転写体40を冷却するときは、被転写体40の転写形状42に対して反対の面から冷却するように温度制御して、転写形状42の先端が最後に冷却するようにする。そのことにより、樹脂が収縮するとき転写形状42の根元44は高温であるため、歪みを緩和することができる。
また、樹脂の配向方向であるX方向の収縮率が、通常の樹脂よりも約1桁低いことから、収縮による寸法変化が少ない。そのため、多数のピラーによって形成される微細な隙間にタンパク質あるいは血球,DNAなどを通過させて分離するバイオチップなどにおいて、隙間精度が必要な方向を樹脂配向に合わせることによって転写精度が良くなる。
本実施の形態における内容は、温度,圧力,加圧速度などのプロセス条件によって樹脂の配向は変動するため、最適なプロセス条件の設定が必要である。
本発明は、マイクロメートルからナノメートルオーダの微細形状、もしくは高アスペクト比を有する形状を転写させるナノインプリントに関する形状転写方法に適用され、光学商品あるいはバイオ関連商品に用いられている微細形状形成を、従来まで利用されてきたフォトリソグラフィー法あるいはエッチング法に代わって、安価に実現することができる。
本発明の実施の形態1における微細形状転写装置の概略構成図 実施の形態1における金型固定プレートの拡大断面図 A〜Eは、微細形状の転写形状を形成する実施の形態1の方法を説明するための概略図 本発明の実施の形態2における微細形状転写方法の説明図 (a)は本実施の形態における被転写体表面における樹脂配向状態の説明図、(b)は本実施の形態において転写終了後、樹脂温度を所定温度まで低下させた状態の説明図 本実施の形態における被転写体の転写形状に対する温度制御の説明図 (a)〜(d)は従来のナノインプリント方法の説明図
符号の説明
1 プレート
2 流体(気体)
3 弾性パッド
4 被転写体
5 金型
6 金型固定プレート
7 温調プレート
10 上型
11 下型
12 加熱装置
20 保持機構
21 吸気路
22 噴気路
30 金型
31 金型の微細形状
32 被転写体
33 圧力
34 転写形状
35 微小空間
40 被転写体
41 金型
42 転写形状
43 金型の微細形状
44 転写形状の根元

Claims (4)

  1. 金型と被転写体を接触させる接触工程と、前記金型と前記被転写体との少なくともいずれか一方に圧力を加えて前記金型の形状を前記被転写体に転写させる転写工程と、前記金型と前記被転写体を剥離する離型工程とにより、前記金型形状を前記被転写体に転写する形状転写方法において、
    前記接触工程における前記金型と前記被転写体との周囲の雰囲気の圧力をP1としたとき、前記離型工程における前記金型と前記被転写体との周囲の雰囲気の圧力をP2<P1の関係を満たすP2とすることを特徴とする形状転写方法。
  2. 前記圧力P2とP1との関係を、10≦P2/P1≦10に設定したことを特徴とする請求項1記載の形状転写方法。
  3. 金型と被転写体を接触させる接触工程と、前記金型と前記被転写体との少なくともいずれか一方に圧力を加えて前記金型の形状を前記被転写体に転写させる転写工程と、前記金型と前記被転写体を剥離する離型工程とにより、前記金型形状を前記被転写体に転写する形状転写方法において、
    前記接触工程の前に前記被転写体を所望の温度T1に加熱する加熱工程と、前記離型工程の前に前記被転写体を所望の温度T2に冷却する冷却工程とを備え、かつ前記被転写体と前記金型の接触面に垂直な方向における前記被転写体の線膨張係数を、前記接触面に平行な方向の線膨張係数より大きく設定したことを特徴とする形状転写方法。
  4. 前記被転写体として、樹脂に指向性のある液晶ポリマーを用いたことを特徴とする請求項3記載の形状転写方法。
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