JP5994734B2 - 電気化学セル用包装材料 - Google Patents

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Description

本発明は、電気化学セルの包装体を形成する電気化学セル用包装材料に関するものである。
近年、電子機器の小型化、軽量化、薄型化に伴い、電子機器内に収納される電池も高性能化、軽量化の向上が要求されている。このような要望にこたえるために、二次電池においても従来のニッケルカドニウム電池から高エネルギー密度を有するリチウム電池へと変わり、現在は、リチウム二次電池がその主流になりその性能向上が急速に行われている。
また、リチウムイオン二次電池が搭載される電子機器は小型化、薄型化される傾向があり、狭い空間にリチウムイオン二次電池を収納する必要がある。このため、リチウムイオン二次電池の包装体を薄型でシャープな形状に成型する必要がある。そこで、包装体の材料となる包装材料はできるだけ薄肉で、シャープな形状の成形が可能でなければならない。
このような要望に応えた電気化学セル用の包装材料が特許文献1に開示されている。この包装材料は最外層の樹脂フィルムからなる基材層、金属箔からなるバリア層、最内層の熱接着性樹脂層が順次積層された積層体により形成される。そして、熱接着性樹脂層同士を対向させて周縁部をヒートシールすることにより電気化学セルの包装体が形成される。包装体は電解液、セパレータ等の電池要素を収納するための空間が設けられる。この空間は矩形状に断裁された包装材料をプレス成形して形成される。なお、基材層には成形性を考慮して延伸ナイロンフィルムが一般的に用いられる。
また、電気化学セルは製造の最終工程において、包装体表面に商品情報が記載されたラベルが貼り付けられたり、包装体表面に直接インクジェットで商品情報が印字される。
特開2008−288117号公報
しかしながら、上記包装材料によると、包装体内部に炭酸アルキルエステル(ジメチルカーボネート、エチルカーボネートなど)及び塩素またはフッ素含有リチウム塩などからなる電解液を封入する際に電解液が包装体上面に付着すると、基材層の延伸ナイロンフィルムが電解液により腐食(白化)して外観不良が発生する問題があった。また、偽造された電気化学セルに正規の製造元と同一の商品情報が付された場合、正規品と偽造品の判別を行うことが困難となる問題があった。
本発明は上記問題点に鑑み、偽造防止を図るとともに耐電解液性に優れる電気化学セル用包装材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、少なくとも樹脂フィルムからなる基材層と、外層に配して前記基材層を保護する保護層と、最内層に配して熱接着性樹脂からなる熱接着層と、前記基材層と前記熱接着層との間に配して金属箔からなるバリア層と、を積層して構成される電気化学セル用包装材料であって、前記基材層と前記バリア層とが顔料を含有する接着剤によりドライラミネート接着され、前記保護層がビスフェノールAもしくはビスフェノールFを骨格中の単位として有するエポキシ樹脂により形成されることを特徴としている。
この構成によると、基材層とバリア層をドライラミネートする接着剤に顔料が含有されるため、基材層の内層側が着色される。この顔料の色により電気化学セル用包装材が正規品であると識別することができる。また、ビスフェノールAもしくはビスフェノールFを骨格中の単位として有するエポキシ樹脂により形成される保護層は耐電解液性に優れるとともに成形(延伸)時の樹脂割れ(微細なクラックによる白化)による外観不良を防止することができる。
また本発明は、少なくとも樹脂フィルムからなる基材層と、外層に配して前記基材層を保護する保護層と、最内層に配して熱接着性樹脂からなる熱接着層と、前記基材層と前記熱接着層との間に配して金属箔からなるバリア層と、を積層して構成される電気化学セル用包装材料であって、前記基材層と前記バリア層とが顔料を含有する接着剤によりドライラミネート接着され、前記保護層がポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、セルロースエステル、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂で形成されることを特徴としている。
この構成によると、基材層とバリア層をドライラミネートする接着剤に顔料が含有されるため、基材層の内層側が着色される。この顔料の色により電気化学セル用包装材が正規品であると識別することができる。また、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、セルロースエステル、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂により形成された保護層は耐電解液性に優れる。
また本発明は、前記保護層がアクリロイル基の官能基数が5以上の多官能ウレタンアクリレートに光重合開始剤を含有する樹脂により形成されていることを特徴としている。この構成によると、光の照射で保護層が容易に形成される。
また本発明は、上記構成の電気化学セル用包装材料において、前記顔料がカーボンブラックであることを特徴としている。この構成によると、電気化学セル用包装材料が黒色に着色され、特に意匠性に優れる。
また本発明は、上記構成の電気化学セル用包装材料において、前記保護層は微粒子フィラーを含有することを特徴としている。この構成によると、微粒子フィラーを含有する保護層表面の外観は艶消しされる。これにより、電気化学セル用包装材料の表面に意匠性を付与することができる。また、微粒子フィラーが添加された保護層は表面に滑性が付与され、包装材料のプレス成形時における成形性が安定する。
また本発明は、上記構成の電気化学セル用包装材料において、前記微粒子フィラーがシリカであることを特徴としている。この構成によると、成形(延伸)時の樹脂割れ(微細なクラックによる白化)による外観不良を防止することができる。
また本発明は、上記構成の電気化学セル用包装材料において、前記保護層表面にスリップ剤層が設けられていることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の電気化学セル用包装材料において、前記スリップ剤層が脂肪酸アマイド系樹脂からなることを特徴としている。
本発明によると、基材層とバリア層を顔料を含有する接着剤によりドライラミネートすることにより、基材層の内層側が着色される。これにより、電気化学セル用包装材料の外観から認識できる色の相違により、偽造品を容易に作成できない。したがって、電気化学セル用包装材料の偽造防止を図ることができる。また、着色により、意匠的にも優れた電気化学セル用包装材料を提供することができる。また、ビスフェノールAもしくはビスフェノールFを骨格中の単位として有するエポキシ樹脂により形成される保護層は耐電解液性に優れるとともに成形(延伸)時の樹脂割れ(微細なクラックによる白化)による外観不良を防止することができる。
また、本発明によると、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、セルロースエステル、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種により形成された保護層が設けられ、電解液の付着による基材層の腐食(白化)を防止することができる。また、基材層とバリア層を顔料を含有する接着剤によりドライラミネートすることにより、基材層の内層側が着色される。これにより、電気化学セル用包装材料の偽造防止を図ることができる。また、着色により、意匠的にも優れた電気化学セル用包装材料を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るリチウムイオン電池の斜視図 図1中のA−A線断面図 本発明の第1実施形態に係る包装材料の層構成を示す概略断面図 本発明の第2実施形態に係る包装材料の層構成を示す概略断面図 本発明の第3実施形態に係る包装材料の層構成を示す概略断面図 プレス成形する工程を示す説明図
[第1実施形態]
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態に係る電気化学セル用包装材料110について説明する。図1は第1実施形態のリチウムイオン電池121の斜視図であり、図2は図1中のA−A線断面図である。
リチウムイオン電池121は包装体120内部に電解液を含むリチウムイオン電池本体122を収納して構成される。包装体120はリチウムイオン電池本体122を収納する収納部120aと収納部120aを覆うシート部120bにより構成される。
包装体120は収納部120aとシート部120bが重なる周縁の熱接着部120cが熱接着され、内部が封止されている。このとき、リチウムイオン電池本体122に連結される正極タブ123a及び負極タブ123bは熱接着部120においてタブフィルム(不図示)を介在させて収納部120aとシート部120bにより挟持されながら外部に延出している。
リチウムイオン電池本体122は、正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、正極及び負極間に充填される電解液とを含むセルにより構成される。セルは正極集電体が延出する正極板と負極集電体が延出する負極板を複数積層して構成される。正極板と負極板はセパレータを介して交互に複数積層される。積層された複数の正極集電体、負極集電体は重畳してそれぞれ一枚の正極タブ123a、負極タブ123bに連結している。
図3は収納部120aとシート部120bを形成する包装材料110の層構成を示す概略断面図であり、包装材料110は保護層111と基材層112とバリア層114と熱接着層116とが順次積層して構成される。基材層112と金属薄層114は接着層113を介して接着され、金属薄層114と熱接着層116は酸変性ポリオレフィン層115を介して接着されている。バリア層114の両面には化成処理が施され、バリア層114と酸変性ポリオレフィン層115及びバリア層114と接着層113との層間接着強度が高められている。
図2に示すように、収納部120aは矩形状に断裁された包装材料110をプレス成形して作製される。その成形工程は、包装材料110の保護層111側を凹状のメス型成形金型に向けて載置した後、熱接着層116側からオス型の成形金型で所定の成形深さに冷間成形する。収納部120とシート部120bは対向する熱接着層116において熱接着している。
基材層112は透過性を有する樹脂フィルムからなり、包装体120に高い耐突き刺し(耐ピンホール)性、絶縁性、作業性等を付与する。また、エンボス加工する際のプレスに耐え得る展延性を有する必要がある。
基材層112は延伸ポリエステル樹脂または延伸ナイロン樹脂等の樹脂フィルムを任意に選択して使用することができる。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。またナイロン樹脂としては、ポリアミド樹脂、すなわち、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
保護層111は外層に配されて基材層112を保護し、基材層112に電解液が付着して腐食(白化)するのを防止する。保護層111としては電解液に対する耐性を有するものであれば使用可能である。例えば、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリエステル、フェノール樹脂、フッ素樹脂、セルロースエステル、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種により形成することができる。これにより、電解液による腐食(白化)を防ぐことができる。
なお、保護層111をビスフェノールAもしくはビスフェノールFを骨格中の単位として有するエポキシ樹脂で形成することにより、電解液による腐食(白化)を防ぐとともに成形(延伸)時の樹脂割れ(微細なクラックによる白化)による外観不良を防止できる。
このとき、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAもしくはビスフェノールFを骨格中の単位として有し、エピクロルヒドリンとビスフェノールAもしくはビスフェノールFとの脱塩化水素反応及び付加反応の繰返しにより得られるものが挙げられる。また、グリシジル基を2個以上、好ましくは2個有するエポキシ化合物とビスフェノールAもしくはビスフェノールFとの間の付加反応の繰返しにより得られるものも挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えばソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロピレンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりのエポキシ樹脂の化学式量、換言するとエポキシ樹脂の分子量をエポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の数で割った値)は特に制限されるものではないが、100から5000の範囲であることが好ましい。エポキシ当量が5000以上の場合は、塗膜外観が劣る場合がある。
なお、アミノ基とグリシジル基との間の付加反応の繰り返しにより得られるエポキシ樹脂も知られているが、一般に耐薬品性に劣るため、好ましくない。
なお、保護層111をアクリロイル基の官能基数が5以上の多官能ウレタンアクリレートに光重合開始剤を含有する樹脂で形成することにより、光の照射で容易に保護層を形成することができる。ここで、多官能ウレタンアクリレートにおける光官能基の含有比率は50〜95%である。
多官能ウレタンアクリレートは、活性水素を有する多官能アクリレートとポリイソシアネートとを反応させることにより得られる。活性水素を有する多官能アクリレート中の活性水素基1当量に対し、ポリイソシアネートはイソシアネート基当量として通常0.1〜50当量の範囲であり、好ましくは、0.1〜10当量の範囲である。反応温度は、通常30〜150℃、好ましくは、50〜100℃の範囲である。反応の終点は残存イソシアネート量を過剰のn−ブチルアミンで反応させ、1N塩酸にて逆滴定する方法により算出する。このとき、イソシアネートが0.5重量%以下となった時を終了とする。
光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド類等が挙げられる。
光重合開始剤成分の使用量は、保護層111の樹脂組成物の固形分を100重量%とした場合、0.1重量%以上10重量%以下であり、好ましくは1重量%以上7重量%以下である。
バリア層114は金属箔からなり、外部からリチウムイオン電池121の内部に水蒸気が浸入することを防止する。また、バリア層114単体のピンホール、及び加工適性(パウチ化、エンボス成形性)を安定化し、耐ピンホール性をもたせるために厚さ15μm以上のアルミニウムを用いる。
なお、包装体120をエンボスタイプとする場合、バリア層114として用いるアルミニウムの材質を鉄含有量が0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%とすることが望ましい。
これにより、鉄を含有していないアルミニウムと比較して、アルミニウムの展延性がよく、包装体120として折り曲げによるピンホールの発生が少なくなる。また、包装材料料110をエンボス成形する際に側壁を容易に形成することができる。なお、アルミニウムの鉄含有量が0.3重量%未満の場合、ピンホールの発生の防止、エンボス成形性の改善等の効果が認められない。また、アルミニウムの鉄含有量が9.0重量%を超える場合、アルミニウムとしての柔軟性が阻害され、包装材料としての製袋性が悪くなる。
また、バリア層114の冷間圧延で製造されるアルミニウムは焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化する。バリア層114のアルミニウムは焼きなましをしていない硬質処理品より、焼きなまし処理を施した軟質傾向にあるアルミニウムが望ましい。
化成処理はクロム系や非クロム系によりバリア層114の表面に形成される。クロム系化成処理としてクロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、塗布型クロメート処理等が挙げられる。また、非クロム系化成処理としてジルコニウム、チタン、リン酸亜鉛等の化成処理が挙げられる。このとき、連続処理が可能であると共に水洗工程が不要で処理コストを安価にすることができるという点などから塗布型化成処理がより望ましい。特にアミノ化フェノール重合体、3価クロム化合物、リン化合物、を含有する処理液で処理するのが最も望ましい。
また、化成処理の形成方法は処理液をバーコー卜法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等の周知の塗布法を選択して成形すればよい。また、化成処理を施す前にバリア層114の表面に予めアルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、酸活性化法等の周知の脱脂処理法で処理を施しておく方が望ましい。これにより、化成処理の機能を最大限に発現させるとともに長期間維持することができる。
接着層113は基材層112とバリア層114とをドライラミネート法により接着する層であり、接着剤には顔料が添加されている。接着層113の接着剤として、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、無機系接着剤等が挙げられる。
ポリアクリル酸エステル系接着剤はアクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、或いは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなる。
エチレン共重合体系接着剤はエチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなる。アミノ樹脂系接着剤は尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなる。また、ゴム系接着剤はクロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなる。また、無機系接着剤はアルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる。
接着層113の接着剤に含有される顔料にはカーボンブラックが用いられ、接着層113は黒色に着色されている。これにより、包装材料110の外観は透過性を有する保護層111及び基材層112を通して黒色に識別される。このため、包装材料110の外観から認識できる色の相違により、偽造品を容易に作成できない。
また、接着層113は顔料であるカーボンブラックが固形分で含有率5重量%以上30重量%以下、好ましくは10重量%以上25重量%以下添加された接着剤で構成されることが望ましい。なお、顔料の添加量が5重量%を下回る場合、着色される色が薄くなり外観上の意匠性が乏しい。また、顔料の添加量が30重量%を上回る場合、基材層112とバリア層114との接着強度が弱くなる。これにより、成形後のシール工程にかかる熱によって基材層112が元の形状に戻るように収縮して基材層112とバリア層114間が剥離して浮きや皺が発生することとなり好ましくない。
なお、着色用の顔料としてはカーボンブラック以外に有彩色着色顔料または無機系の着色顔料を使用することができる。有彩色着色顔料としては、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料などがある。また、アゾ系顔料としてはウッチングレッド、カーミン6C等の溶性顔料、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、レッド、パーマネントレッド等の不溶性アゾ顔料などがある。また、フタロシアニン系顔料としては銅フタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料としては青系顔料又は緑系顔料、縮合多環系顔料としてはジオキサジンバイオレット、キナクリドンバイオレット等を挙げることができる。また、無機系の着色顔料としては、例えば、カーボンブラックの他に酸化チタンを用いることができる。
また、酸化チタンなどの着色顔料の他にパール顔料又は蛍光顔料により接着層113を着色することも可能である。パール顔料としては、古典的には真珠粉や貝殻の内側部分の粉等を使用したが、現在では、微細なフレーク(薄片)の外側を、金属酸化物もしくは金属酸化物の混合物により被覆したものを使用する。微細なフレークとしては、雲母フレーク、タルクフレーク、カオリンフレーク、オキシ塩化ビスマスフレーク、ガラスフレーク、SiO2フレーク、合成セラミックのフレーク等がある。これらの微細なフレークの外側を被覆する金属酸化物の例としては、TiO2、Fe23、SnO2、Cr23、ZnOがある。これらの組合せの中でも、雲母フレーク、ガラスフレーク、SiO2フレークの外側を、TiO2又はFe23で被覆したものが望ましい。また、TiO2及びFe23で被覆してもよい。
また、蛍光顔料としては、蛍光体すなわち広義におけるルミネッセンスを発する物質であって、無機蛍光顔料と有機蛍光顔料の双方を含む。無機蛍光顔料としては、Ca、Ba、Mg、Zn、Cdなどの酸化物の結晶を主成分とし、活性剤を添加して焼成により得ることができる。また、主成分をCa、Ba、Mg、Zn、Cdなどの硫化物の結晶、ケイ酸塩の結晶、リン酸塩の結晶、タングステン酸塩の結晶を主成分としてもよい。活性剤としてMn、Zn、Ag、Cu、Sb、Pbなどの金属元素もしくはランタノイド類などの希土類元素を用いることができる。
望ましい蛍光体としてZnO:Zn、Br5(PO43Cl:Eu、Zn2GeO4:Mn、Y23:Eu、Y(P、V)O4:Eu、Y22Si:Eu、等を例示できる。また、有機蛍光顔料としては、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、イミダゾール誘導体、クマリン誘導体、トリアゾールの誘導体、カルバゾールの誘導体、ピリジンの誘導体、ナフタル酸の誘導体、イミダゾロンの誘導体、色素(フルオレセイン、エオシン等)、その他のベンゼン環(アントラセン等)を持つ化合物を用いることができる。
なお、接着層113とバリア層114を接着剤にて貼り合わせる工程において、気泡を一切含まずに貼り合わせることは難しい。とりわけバリア層114の金属箔側に顔料を添加した接着剤を塗布して基材層112の樹脂フィルムを貼り合わせると気泡を含んだ箇所の外観不良が顕著に目立つ。このため、基材層112の樹脂フィルム側に顔料を添加した接着剤を塗布してバリア層114の金属箔側を貼り合わせることが望ましい。
熱接着層116は包装材料110の最内層に配され、熱によって溶融して対向する包装材料110を相互に融着する熱接着性樹脂からなる。また、熱接着層116と正極タブ123a又は負極タブ123bとの間にタブフィルムを介在させるか否かで樹脂種が異なる。タブフィルムを介在させる場合には、オレフィン系樹脂の単体ないし混合物などからなるフィルムを用いればよい。また、タブフィルムを介在させない場合、不飽和カルボン酸でグラフト変性した酸変性オレフィン樹脂からなるフィルムを用いればよい。
また、熱接着層116としてはポリプロピレンが好適に用いられる。その他にも線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンの単層または多層からなるフィルムも使用できる。また、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンのブレンド樹脂からなる単層または多層からなるフィルムも使用できる。
また、各タイプのポリプロピレンを用いることができる。例えば、ランダムプロピレン、ホモプロピレン、ブロックプロピレン等がある。また、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンには、低結晶性のエチレンーブテン共重合体、低結晶性のプロピレンーブテン共重合体、エチレンとブテンとプロピレンの3成分共重合体からなるターポリマーを添加してもよい。また、これらの樹脂にシリカ、ゼオライト、アクリル樹脂ビーズ等のアンチブロッキング剤(AB剤)、脂肪酸アマイド系のスリップ剤を添加してもよい。
酸変性ポリオレフィン層115はバリア層114と熱接着層116とを安定して接着する樹脂層であり、酸変性ポリプロピレンが好適に用いられる。また、酸変性ポリオレフィン層115は熱接着層116に用いる樹脂種により適宜選択して用いる必要がある。このため、酸変性ポリプロピレン以外の酸変性ポリオレフィン樹脂を用いる場合、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、不飽和カルボン酸でグラフト変性したエチレンとアクリル酸との共重合体、不飽和カルボン酸でグラフト変性したプロピレンとアクリル酸との共重合体、不飽和カルボン酸でグラフト変性したエチレンとメタクリル酸との共重合体、不飽和カルボン酸でグラフト変性したプロピレンとメタクリル酸との共重合体、不飽和カルボン酸でグラフト変性した金属架橋ポリオレフィン樹脂等がある。また、これらの樹脂に必要に応じてブテン成分、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、非晶質のエチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等を5%以上添加してもよい。
また、酸変性ポリプロピレンを用いる場合、
(1)ビガット軟化点115℃以上、融点150℃以上のホモタイプ
(2)ビガット軟化点105℃以上、融点130℃以上のエチレンープロピレンとの共重合体(ランダム共重合タイプ)
(3)融点110℃以上である不飽和カルボン酸を用い酸変性重合した単体又はブレンド物等を用いることができる。
本実施形態によると、基材層112とバリア層114を顔料を含有する接着剤(接着層113)によりドライラミネートすることにより、基材層112の内層側が着色される。これにより、電気化学セル用包装材110の外観から認識できる色の相違により、偽造品を容易に作成できない。したがって、電気化学セル用包装材料110の偽造防止を図ることができる。また、着色により、意匠的にも優れた電気化学セル用包装材料を提供することができる。また、保護層111は耐電解液性に優れるポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、セルロースエステル、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種により形成される。これにより、内層側が着色した基材層112の外層側が電解液による腐食(白化)を防ぐことができる。
なお、保護層111が、ビスフェノールAもしくはビスフェノールFを骨格中の単位として有するエポキシ樹脂組成物により形成される場合には、電解液による腐食(白化)を防ぐことができるとともに成形(延伸)時の樹脂割れ(微細なクラックによる白化)による外観不良を防止することができる。
なお、保護層111が、アクリロイル基の官能基数が5以上の多官能ウレタンアクリレートに光重合開始剤を含有する樹脂で形成される場合には、光の照射で容易に保護層を形成することができる。
なお、本実施形態において、上記各層間に異なる層を介在させてもよい。また、リチウムイオン電池121について述べているが、リチウムイオン電池本体122以外の電気化学セル本体を包装材料110からなる包装体120で包装してリチウムイオン電池121以外の電気セルを作製してもよい。
例えば、電気化学セルとはリチウムイオン電池以外にニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムメタル一次電池あるいは二次電池、リチウムポリマー電池等の化学電池及び電気二重層キャパシタ、キャパシタ、電解コンデンサが含まれる。ここで、電気化学セル本体とは包装材料封入前の正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、正極及び負極間に充填される電解質とを含むセル(蓄電部)と、セル内の正極及び負極に連結される電極端子等、電気エネルギーを発生させる電気デバイス要素全てを含む。
[第2実施形態]
図4は第2実施形態に係る包装体120の電気化学セル用包装材料110を示す断面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図3に示す第1実施形態と同様の説明には同一の符号を付している。本実施形態の包装材料110の保護層111にはコールターカウンター法による平均粒径が0.2〜3μmの微粒子フィラー111aが添加されている。これにより、微粒子フィラー111aを含有する保護層111の表面は外観が艶消しされる。また、微粒子フィラー111aが添加された保護層111は表面に滑性が付与され、包装材料110のプレス成形時における成形性が安定する。
微粒子フィラー111aとしてシリカ、アクリル、アルミナ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機材料やアクリルビーズ等を使用することができる。シリカの微粒子フィラー111aは包装材料110のプレス成形時に樹脂割れ(微細なクラックによる白化)が発生し難いので好ましい。なお、微粒子フィラー111aの平均粒径が0.2μmより小さいと十分な滑性が得られない。また、平均粒径が3μmより大きいと保護層111の樹脂組成物が脆くなる。
また、保護層111の樹脂組成物におけるフィラー111aの含有比率は5重量%以上50重量%以下であることが望ましい。また、フィラー111aの含有比率を5重量%以上にすることにより、保護層111表面に一定の滑性を付与することができる。また、微粒子フィラー111aの含有比率を50重量%以下にすることにより、保護層111表面の膜荒れを防ぐことができる。これにより、電気化学セル用包装材料110表面の外観不良を防ぐことができる。
なお、コールターカウンター法とは、粒径、粒径分布の測定法の一つである。具体的には電解溶液中に1個の小孔のある隔壁を設け、その両側に電極をおいて電圧を加えると、電流が流れるが、その抵抗は隔壁の小孔部の体積で決まる。この電解質溶液中にフィラー111aを分散させて希薄な懸濁液とし、隔壁の一方から吸引すると、粒子が小孔中を通過する。このとき、その体積分だけ電解質が減り、電気抵抗が増大する。したがって、この抵抗の変化量が粒子体積を示し、抵抗変化の発生数が粒子を示す。これにより、粒径分布が得られる。
本実施形態によると、微粒子フィラー111aを含有する保護層111表面の外観は艶消しされ、意匠性が付与される。また、保護層111表面に滑性が付与され、包装材料110のプレス成形時の成形性が安定する。また、シリカ系のフィラー111aを用いることにより、包装材料110をプレス成形したときに保護層111が樹脂割れ(微細なクラックによる白化)による外観不良を生じにくい。
[第3実施形態]
図5は第3実施形態に係る包装体120の電気化学セル用包装材料110を示す断面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図3に示す第1実施形態と同様の説明には同一の符号を付している。本実施形態の包装材料110の保護層111表面にはスリップ剤層117が設けられている。
図6は電気化学セル用包装材料110をプレス成形する工程を示す説明図である。リチウムイオン電池121の包装体120をエンボスタイプにする場合、所定形状に断裁されたシート状の包装材料110をプレス成形して収納部120aを形成する。プレス成形は周囲に側壁を有して上部が開口するメス型22にオス型21を挿入して包装材料110を挟持しながら行う。
具体的には、メス型22の内面22a側にスリップ剤層117が当接するように包装材料110を載置して熱接着層116側からオス型21で押圧する。これにより、包装材料110の周縁をメス型22の内部に引き込みながら包装材料110に側壁を形成する。このとき、包装材料110は金属薄層114の変形に追従して他の樹脂層が変形する。このため、基材層112とメス型22の内面との間の滑り性が低いと基材層112が金属箔114の変形に追従できずに破断する問題がある。また、この問題はプレス成形により形成される収容部120aの側壁の高さ(成形の深さ)が大きくなるに従って発生し易くなる。
そこで、本実施形態の包装材料110では保護層111の表面にスリップ剤層117が設けられている。これにより、メス型22と基材層112との滑り性がスリップ剤層117を介して間接的に安定する。したがって、成形可能な包装材料110の限界成形の深さが上昇して安定したエンボス成形が可能となる。
スリップ剤層117は、例えば脂肪酸アマイドをイソプロピルアルコール、酢酸エチル、トルエン、メチルーエチルーケトン等の溶剤に0.1から10%になるように希釈し、ロールコート法、噴霧法で形成する。脂肪酸アマイドとしては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等が用いられる。コーティング、または噴霧される脂肪酸アマイド量は、平米当たり0.1mg以上あれば充分な効果が得られる。また、平米当たり10mg以下とすることで、メス型22の金型の汚染、ヒートシール装置の汚染を防ぐことができる。
また、保護層111全面にスリップ剤をコーティング、または噴霧しても良いし、金型内でエンボス成形される部分にのみコーティング、または噴霧しても良い。また、あらかじめ包装材料110にコーティング、または噴霧して巻取り保管することもできるが、成形の直前にコーティング、または噴霧することにより、より優れた成形性が得られる。
次に本発明の作用及び効果について、実施例及び比較例を用いて具体的に説明する。この実験では、電気化学セル用包装材料を構成する基材層の上面に保護層を形成し、電解液を滴下した際の基材層の白化の有無、及び成形(延伸)時の樹脂割れ(微細なクラックによる白化)による外観不良の有無、保護層の滑り性、成形加工適正について評価を行った。
[電気化学セル用包装材料のサンプル作製]
アルミニウム(厚さ40μm)の両面に化成処理を施し、一方の化成処理面に、延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)を接着剤層の厚さが約4μmとなるようにポリエステル系接着剤を介してドライラミネート法により貼り合わせた。次に、他方の化成処理面に酸変性ポリプロピレン(厚さ23μm、以下酸変性PPと略す)とポリプロピレン(厚さ23μm、以下PPと略す)共押出して積層した。また、延伸ナイロンフィルムの上面には保護層を形成した。
これにより、保護層/延伸ナイロンフィルム/ポリエステル系接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム/酸変性ポリプロピレン/ポリプロピレから構成される電気化学セル用包装材を得た。
なお、化成処理は、いずれも、処理液として、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、リン酸からなる処理液をロールコート法により塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件において焼付けた。ここで、クロムの塗布量は10mg/m2(乾燥重量)とした。
また、ポリエステル系接着剤には着色顔料としてカーボンブラックを固形分で15重量%添加している。
[実施例1]
実施例1に係る電気化学セル用包装材料は上記電気化学セル用包装材料の基材層上面にビスフェノールAを骨格中の単位として有するエポキシ樹脂を塗工量2.5g/mで塗布し、乾燥後、190℃で2分間加熱して硬化膜を形成してこれを保護層とした。
[実施例2]
実施例2に係る電気化学セル用包装材料は上記電気化学セル用包装材料の基材層上面に平均粒径が0.7μmである微粒子のシリカが15重量%添加されるとともにビスフェノールAを骨格中の単位として有するエポキシ樹脂を塗工量2.5g/mで塗布し、乾燥後、190℃で2分間加熱して硬化膜を形成してこれを保護層とした。
[実施例3]
実施例3に係る電気化学セル用包装材料は上記電気化学セル用包装材料の基材層上面にイソシアネート基を含有する硬化剤を添加したアクリル系樹脂を塗工量2.5g/mで塗布し、乾燥後、45℃で3日間加熱して硬化膜を形成してこれを保護層とした。
[実施例4]
実施例4に係る電気化学セル用包装材料は上記電気化学セル用包装材料の基材層上面にイソシアネート基を含有する硬化剤を添加したオレフィン系樹脂を塗工量2.5g/mで塗布し、乾燥後、45℃で3日間加熱して硬化膜を形成してこれを保護層とした。
[実施例5]
実施例5に係る電気化学セル用包装材料は上記電気化学セル用包装材料の基材層上面に光重合開始剤を3重量%含有したアクリロイル基の官能基数が5の多官能ウレタンアクリレートを塗工量2.5g/mで塗布し、乾燥後、100W/cm2のエネルギーを有する高圧水銀灯で5秒間照射して硬化膜を形成してこれを保護層とした。
[実施例6]
実施例6に係る電気化学セル用包装材料は上記電気化学セル用包装材料の基材層上面に光重合開始剤を3重量%含有したアクリロイル基の官能基数が6の多官能ウレタンアクリレートを塗工量2.5g/mで塗布し、乾燥後、100W/cm2のエネルギーを有する高圧水銀灯で5秒間照射して硬化膜を形成してこれを保護層とした。
[実施例7]
実施例7に係る電気化学セル用包装材料は上記電気化学セル用包装材料の基材層上面に平均粒径が0.7μmである微粒子の硫酸バリウムが15重量%添加されるとともにビスフェノールAを骨格中の単位として有するエポキシ樹脂を塗工量2.5g/mで塗布し、乾燥後、190℃で2分間加熱して硬化膜を形成してこれを保護層とした。
[実施例8]
実施例8に係る電気化学セル用包装材料は上記電気化学セル用包装材料の基材層上面に平均粒径が0.7μmである微粒子の炭酸カルシウムが15重量%添加されるとともにビスフェノールAを骨格中の単位として有するエポキシ樹脂を塗工量2.5g/mで塗布し、乾燥後、190℃で2分間加熱して硬化膜を形成してこれを保護層とした。
[実施例9]
実施例9に係る電気化学セル用包装材料は実施例2の上記電気化学セル用包装材料の保護層の上面にエルカ酸アミドをグラビア印刷法により塗工量0.2mg/mで塗布して保護層上面にスリップ剤層を設けた。
[実施例10]
実施例10に係る電気化学セル用包装材料は実施例2の上記電気化学セル用包装材料の保護層の上面にエチレンビスオレイン酸アミドをグラビア印刷法により塗工量0.2mg/mで塗布して保護層上面にスリップ剤を設けた。
[比較例1]
また、比較例1に係る電気化学セル用包装材料は上記電気化学セル用包装材料の基材層上面にヘキサメチレンジアミンを骨格中の単位として有するエポキシ樹脂を塗工量2.5g/mで塗布し、乾燥後、190℃で2分間加熱して硬化膜を形成してこれを保護層とした。
[比較例2]
比較例2に係る電気化学セル用包装材料は上記電気化学セル用包装材料の基材層上面に光重合開始剤を3重量%含有したアクリロイル基の官能基数が3の多官能ウレタンアクリレートを塗工量2.5g/mで塗布し、乾燥後、100W/cm2のエネルギーを有する高圧水銀灯で5秒間照射して硬化膜を形成してこれを保護層とした。
[比較例3]
比較例3に係る電気化学セル用包装材料は上記電気化学セル用包装材料の基材層上面に光重合開始剤を3重量%含有したアクリロイル基の官能基数が4の多官能ウレタンアクリレートを塗工量2.5g/mで塗布し、乾燥後、100W/cm2のエネルギーを有する高圧水銀灯で5秒間照射して硬化膜を形成してこれを保護層とした。
[耐電解液性の評価]
耐電解液性の評価は実施例1〜10及び比較例1〜3に係る包装材料の保護層側に水1000ppmを添加した電解液(エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1の液に1molの6フッ化リン酸リチウムを添加)を3cc滴下し、30分経過後イソプロピレンアルコール(IPA)を染み込ませたワイプで滴下した電解液をふき取った後、包装材料の表面が白化しているか否かを目視により観察した。その結果を表1に示す。
[成形時の樹脂割れの評価]
成形時の樹脂割れ(微細なクラックによる白化)の評価は実施例1〜10及び比較例1〜3に係る包装材料を80mm×120mmに裁断した後、30mm×50mmの口径の成形金型(メス型)とこれに対応した成形金型(オス型)にて、0.4MPaで6.0mmの深さに冷間成形し、包装材料の保護層側の表面に樹脂割れ(微細なクラックによる白化)が発生しているか否かを目視により観察した。その結果を表1に示す。
[滑り性の評価]
滑り性の評価は、実施例1、2、7〜10に係る包装材料を150mm×60mmに裁断し、保護層表面又はスリップ剤層表面を100gの荷重をかけて重ね、摩擦試験機(新東科学(株)社製、HEIDON TYPE14(商品名))にて動摩擦係数の測定を行った。なお、測定速度は100mm/minである。その結果を表1に示す。
[成型加工適正の評価]
成形加工適正の評価は、実施例1、2、7〜10に係る包装材料を80mm×120mmに裁断して短冊片を作製する。次に、成形金型(オス型)側に熱接着層が位置するように成形金型(メス型)上に短冊片を載置し、短冊片を0.16MPaの押え圧(面圧)で押えて、4.0mm、5.0mm、6.0mm、7.0mmの各成形深さに各包装材料を30検体ずつ冷間プレス成形する。このとき、包装材料にピンホールが発生するか否かを観察して30検体中1検体もピンホールが発生しない場合を良品(○)と評価し、1検体以上ピンホールが発生した場合を不良品(×)と評価した。その結果を表2に示す。なお、成形金型(オス型)は55mm×32mmの矩形状(コーナーR:2mm、稜線R:1mm)であり、成形金型(メス型)はオス型とのクリアランスが0.3mmからなる。
Figure 0005994734
Figure 0005994734
表1に示すように、実施例1、2、9、10に係る包装材料は電解液の滴下において保護層側の表面に白化が観察されず(○)、且つ、プレス成形(延伸)時の樹脂割れ(微細なクラックによる白化)も観察されなかった(○)。一方、実施例3〜8に係る包装材料は、電解液の滴下による保護層側の表面に白化は観察されなかったが(○)、プレス成形(延伸)時の樹脂割れ(微細なクラックによる白化)が観察された(×)。また、比較例1に係る包装材料は電解液の滴下において保護層側の表面に白化が観察された(×)。また、比較例2、3に係る包装材料は電解液の滴下において保護層側の表面に白化が観察され(×)、且つ、プレス成形(延伸)時の樹脂割れ(微細なクラックによる白化)も観察された(×)。
また、微粒子フィラーを添加した実施例2、7、8は動摩擦係数が0.50以下であり、微粒子フィラーが添加されていない実施例1より滑り性に優れていた。また、保護層表面にスリップ剤層を設けた実施例9、10は動摩擦係数が0.25以下であり、スリップ剤を設けていない実施例2より滑り性に優れていた。
また、表2に示すように微粒子フィラーを添加した実施例2、7、8は微粒子フィラーが添加されていない実施例1に比べ、成形加工適正に優れていた。また、保護層表面にスリップ剤層を設けた実施例9、10はスリップ剤層を設けていない実施例2に比べ、成形加工適正に優れていた。
本発明は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムメタル一次電池あるいは二次電池、リチウムポリマー電池等の化学電池及び電気二重層キャパシタ、キャパシタ、電解コンデンサを包装する包装体として用いることができる。
110 包装材料
111 保護層
111a フィラー
112 基材層
113 接着層
114 バリア層
115 酸変性ポリオレフィン層
116 熱接着層
117 スリップ剤層
120 包装体
120a 収納部
120b シート部
121 リチウムイオン電池
122 リチウムイオン電池本体
123a 正極タブ
123b 負極タブ

Claims (5)

  1. 少なくとも樹脂フィルムからなる基材層と、外層に配して前記基材層を保護する保護層と、最内層に配して熱接着性樹脂からなる熱接着層と、前記基材層と前記熱接着層との間に配して金属箔からなるバリア層と、を積層して構成される電気化学セル用包装材料であって、前記基材層と前記バリア層とが顔料を含有する接着剤により接着され、前記保護層が耐電解液性を有するポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、フェノール樹脂、セルロースエステル、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂から選ばれた少なくとも1種の樹脂で形成されることを特徴とする電気化学セル用包装材料。
  2. 前記保護層がアクリロイル基の官能基数が5以上の多官能ウレタンアクリレートに光重合開始剤を含有する樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル用包装材料。
  3. 前記顔料がカーボンブラックであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気化学セル用包装材料。
  4. 前記保護層表面にスリップ剤層が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材料。
  5. 前記スリップ剤層が脂肪酸アマイド系樹脂からなることを特徴とする請求項4に記載のリチウムイオン電池用包装材料。
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