JP5347411B2 - 電気化学セル用包装材料 - Google Patents

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Description

本発明は、安定した耐熱性、水蒸気ガスバリア性、成形性、耐電解液性を示す電気化学セル用包装材料に関するものである。
リチウムイオン電池とは、リチウム二次電池ともいわれ、液状、ゲル状又は高分子ポリマー状の電解質を持ち、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。このリチウムイオン電池は、充電時には正極活物質であるリチウム遷移金属酸化物中のリチウム原子(Li)がリチウムイオン(Li+)となって負極の炭素層間に入り込み(インターカレーション)、放電時にはリチウムイオン(Li+)が炭素層間から離脱(デインターカレーション)して正極に移動し、元のリチウム化合物となることにより充放電反応が進行する電池であり、ニッケル・カドミウム電池やニッケル水素電池より出力電圧が高く、高エネルギー密度である上、浅い放電と再充電を繰り返すことにより見掛け上の放電容量が低下する、いわゆるメモリー効果がないという優れた特長を有している。
また、リチウムイオン電池の構成は、正極集電材/正極活性物質層/電解質層/負極活性物質層/負極集電材及び、これらを包装する外装体からなり、外装体を形成する包装材料として従来、金属をプレス加工し円筒状または直方体状等に容器化した金属製缶が用いられていた。
しかし、金属製缶は、容器外壁がリジッドであるため、電池自体の形状が限定されてしまい、ハード側を電池に合わせて設計する必要から形状の自由度がないため、近年、金属製缶に替わって多層フィルムが包装材料として用いられる傾向にある。
図4は従来の包装材料30の層構成を示す断面図であり、図4に示すように、従来の包装材料30は、少なくとも基材層31、金属箔層32、熱接着性樹脂層35で構成され、金属箔層32と熱接着性樹脂層35とは接着剤層34により接着され、基材層31と金属箔層32とは接着剤層37により接着されている。
この包装材料30を袋状に加工し、内部に電池本体を収納するパウチタイプの電池用外装体、または、包装材料30をプレス加工して凹部を形成し、凹部内部に電池本体を収納するエンボスタイプの電池用外装体を作製することができる。図5は、パウチタイプの電池用外装体40を用いたリチウムイオン電池41の斜視図であり、図6は、図5に示したリチウムイオン電池41を分解して示す分解斜視図である。図5及び図6に示すように、パウチタイプの電池用外装体40を用いたリチウムイオン電池41は最内層の熱接着性樹脂層35(図4参照)同士を重ね合わせ、外装体40の周縁部であるヒートシール部40aをヒートシールして作製された電池用外装体40内部に、リチウムイオン電池本体42を密封収納して構成される。
また、図7はエンボスタイプの電池用外装体50を用いたリチウムイオン電池51の斜視図であり、図8は図7に示したリチウムイオン電池51を分解して示す分解斜視図である。図7及び図8に示すように、エンボスタイプの電池用外装体50を用いたリチウムイオン電池51はエンボス部が形成されたトレイ50tの内部にリチウムイオン電池本体52を収納し、トレイ50tとシート50sの熱接着性樹脂層35(図4参照)同士を重ね合わせヒートシール部50aをヒートシールすることにより、電池用外装体50内部にリチウムイオン電池本体52を密封収納して構成される。
なお、リチウムイオン電池本体42、52は、正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、正極及び負極間に充填される電解質と(いずれも図示せず)を含むセル(蓄電部)と、セル内の正極及び負極に連結されるとともに先端が電池用外装体40、50の外部に突出する金属端子44、54から構成されている。
また、図9は従来のエンボスタイプの電池用外装体60を用いたリチウムイオン電池61の斜視図であり、図10は図9に示すリチウムイオン電池61のB−B’における断面図である。図10に示すように、外装体60は最内層の熱接着性樹脂層35同士を重ね合わせ、外装体周縁部(ヒートシール部60a)を接着して、外装体60内部にリチウムイオン電池本体62を密封収納している。しかし、第1領域60bにおいて、リチウムイオン電池61の長期間の使用又は急速な充電により、リチウムイオン電池本体62が発熱し、外装体60の最内層に配された熱接着性樹脂層35の一部が溶融することがある。このとき、外装体60内部に充填された電解質が溶融した熱接着性樹脂層35の一部から金属箔層32に浸透し、リチウムイオン電池61が短絡することが問題となっていた。このため、金属箔層32と熱接着性樹脂層35とを接着する接着剤層34にリチウムイオン電池本体62が発熱した場合にも溶融しない一定以上の耐熱性を有する樹脂を用い、包装材料全体の耐熱性向上を図る必要があった。
また、図10に示すように、ヒートシールされた外装体60端面において、接着剤層34から水蒸気ガスが外装体60内部に透過することがある。このとき、外装体60内部に浸透した水蒸気ガスが、外装体60内部に充填された電解質と反応し、フッ化水素ガスが発生すると外装体60が膨張し破裂することが問題となっていた。このため、接着剤層34に水蒸気ガスが透過しない一定以上の水蒸気ガスバリア性を有する樹脂を用い、包装材料全体の水蒸気ガスバリア性向上を図る必要があった。
また、包装材料をプレス加工しトレイ50tを成形する際、図4に示すように、包装材料を構成する金属箔層32と熱接着性樹脂層35とは延伸性が異なるため、接着剤層34に十分な追従性がない場合、金属箔層32と熱接着性樹脂層35とが剥離することが問題となっていた。このため、接着剤層34には一定以上の追従性、弾力性を有する樹脂を用い、包装材料全体の成形性向上を図る必要があった。
また、熱接着性樹脂層35から浸透した電解質により接着剤層34が経年劣化し、金属箔層32と熱接着性樹脂層35とが剥離することが問題となっていた。このため、接着剤層34は一定以上の耐電解液性を有する樹脂を用い、包装材料全体の耐電解液性向上を図る必要があった。
従来、上記課題を解決するために接着剤層34には酸変性ポリオレフィン樹脂や、特許文献1に示されるポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする樹脂が用いられていた。接着剤層34に酸変性ポリオレフィン樹脂を用いた場合、酸変性ポリオレフィン樹脂は水蒸気ガスバリア性、追従性、弾力性、耐電解液性に優れるため、上記問題を解決して包装材料全体に安定した水蒸気ガスバリア性、成形性、耐電解液性を付与することができる。しかし、酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は熱接着性樹脂層と融点が同程度であるため、リチウムイオン電池本体が発熱し、外装体最内層側に配された熱接着性樹脂層35の一部が溶融したとき、酸変性ポリオレフィン樹脂も溶融し、外装体内部に充填された電解質が金属箔層32に浸透し、リチウムイオン電池が短絡する問題が残った。
また、接着剤層34にポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする樹脂を用いた場合、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする樹脂は耐熱性に優れるため、リチウムイオン電池本体が発熱し、外装体の最内層に配された熱接着性樹脂層35の一部が溶融したときでも、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする樹脂は溶融し難い。このため、電解質が金属箔層32に浸透するのを接着剤層34が遮断し、リチウムイオン電池が短絡するのを防ぐことができる。しかし、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする樹脂は水蒸気ガスバリア性、耐電解液性に劣るため、包装材料全体に安定した水蒸気ガスバリア性、耐電解液性を付与することができず、上記問題を全て解決することはできなかった。
特開2005−63685号公報
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、リチウムイオン電池本体、キャパシタ、電気二重層キャパシタ等の電気化学セル本体を密封収納する外装体に用いられる電気化学セル用包装材料に求められる、耐熱性、水蒸気ガスバリア性、成形性、耐電解液性の全てを備える包装材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の構成による電気化学セル用包装材料は、正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、正極及び負極間に充填される電解質と、を含む電気化学セル本体を収納し周縁部をヒートシールすることで電気化学セル本体を内部に密封収納する外装体に用いられ、基材層と、表面に化成処理が施された金属箔層と、熱接着性樹脂層とを、少なくとも順次積層して構成される電気化学セル用包装材料であって、金属箔層と、熱接着性樹脂層との間に耐熱性樹脂層が配され、耐熱性樹脂層は酸変性ポリオレフィン層を介して金属箔層及び熱接着性樹脂層と接着していることを特徴とする。
また、本発明の第2の構成は、上記電気化学セル用包装材料において、前記耐熱性樹脂層は前記酸変性ポリオレフィン層が表面に形成された前記金属箔層において、前記酸変性ポリオレフィン層の上から熱硬化樹脂をコーティングして形成されていることを特徴とする。
また、本発明の第3の構成は、上記電気化学セル用包装材料において、金属箔層と耐熱性樹脂層との間に介される酸変性ポリオレフィン層は、熱接着性樹脂層と耐熱性樹脂層との間に介される酸変性ポリオレフィン層と比較して融点が高いことを特徴とする。
また、本発明の第4の構成は、上記電気化学セル用包装材料において、金属箔層と耐熱性樹脂層との間に介される酸変性ポリオレフィン層はエラストマー樹脂が添加された酸変性ポリオレフィン樹脂により構成されていることを特徴とする。
また、本発明の第5の構成は、上記電気化学セル用包装材料において、金属箔層と耐熱性樹脂層との間に介される酸変性ポリオレフィン層を構成する樹脂はコロナ処理が施されていることを特徴とする。
また、本発明の第6の構成は、上記電気化学セル用包装材料において、耐熱性樹脂層がエポキシ樹脂を主成分とする樹脂で構成されていることを特徴とする。
本発明の第1の構成によると、基材層と、表面に化成処理が施された金属箔層と、熱接着性樹脂層とを、少なくとも順次積層して構成される電気化学セル用包装材料の熱接着樹脂層同士を重ね合わせ、その周縁部をヒートシールして外装体を作製し、その外装体内部に正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、正極及び負極間に充填される電解質と、を含む電気化学セル本体を密封収納することができる。
また、本構成の電気化学セル用包装材料は金属箔層と熱接着性樹脂層との間に耐熱性樹脂層が配されている。これにより、本構成の電気化学セル用包装材料を用いて作製された外装体内部に収納した電気化学セル本体が発熱し、外装体の最内層側に配された熱接着性樹脂層の一部が溶融した場合でも、耐熱性樹脂層は容易に溶融しない。このため、溶融した熱接着性樹脂層の一部から金属箔層に浸透しようとする電解質を耐熱性樹脂層が遮断し、電解質と金属箔層との接触を原因とする電気化学セルの短絡を防ぐことができる。したがって、本構成の電気化学セル用包装材料は優れた耐熱性を有し、本構成の電気化学セル用包装材料を用いて作製された外装体は外装体内部の発熱に対して優れた絶縁性を有する。
また、通常、電気化学セル用包装材料を用いて作製された外装体は電気化学セル本体から延出する金属端子を挟持した状態で、その挟持部分を含む周縁部をヒートシールする。このとき、過充電等が原因で外装体内部の温度が上昇したとき、金属端子が発熱し、金属端子の挟持部分において、外装体最内層である熱接着性樹脂層が溶融することがある。しかし、本構成の電気化学セル用包装材料を用いて作製された外装体は、金属端子の挟持部分において、金属箔層と熱接着性樹脂層との間に耐熱性樹脂層が配されているため、外装体最内層である熱接着性樹脂層が溶融しても、耐熱性樹脂層は溶融せず、金属端子と金属箔層とが接触するのを防ぐことができる。これにより、本構成の電気化学セル用包装材料を用いて作製された外装体は電気化学セルが短絡するのを防ぐことができる。
また、耐熱性樹脂層は金属箔層及び熱接着性樹脂層との間に酸変性ポリオレフィン層を介して接着している。酸変性ポリオレフィン層は金属箔層に対して安定した接着性を示すので、金属箔層と耐熱性樹脂層との接着性が安定する。また、酸変性ポリオレフィン層は熱接着性樹脂層に対しても安定した接着性を示すので、熱接着性樹脂層と耐熱性樹脂層との接着性も安定する。また、酸変性ポリオレフィン層は水蒸気ガスバリア性、追従性、弾力性、耐電解液性にも優れるため、本構成の電気化学セル用包装材料全体に安定した水蒸気ガスバリア性、成形性、耐電解液性を付与することができる。
本発明の第2の構成によると、上記電気化学セル用包装材料において、酸変性ポリオレフィン層が形成された金属箔層表面において、酸変性ポリオレフィン層の上から熱硬化樹脂をコーティングして耐熱性樹脂層を形成することにより、所定の耐熱性を確保しながら耐熱性樹脂層を薄層化することができる。通常、包装材料をプレス加工しエンボス部を成形する際、金属箔層と熱接着性樹脂層との延伸性が異なるため、金属箔層と熱接着性樹脂層間に配された樹脂層に一定の追従性及び弾力性がない場合、金属箔層と熱接着性樹脂層とが剥離することがあるが、本構成の電気化学セル用包装材料は、耐熱性樹脂層をコーティングして形成し薄層化することで、酸変性ポリオレフィン層/耐熱性樹脂層/酸変性ポリオレフィン層から構成される積層部分の追従性及び弾力性が安定する。したがって、本構成の電気化学セル用包装材料全体に安定した成形性を付与することができる。
本発明の第3の構成によると、上記電気化学セル用包装材料において、金属箔層と耐熱性樹脂層との間に介される酸変性ポリオレフィン層が、熱接着性樹脂層と耐熱性樹脂層との間に介される酸変性ポリオレフィン層と比較して融点が高いため、ヒートシール時の熱で熱接着性樹脂層と耐熱性樹脂層との間に介される酸変性ポリオレフィン層が溶融した場合でも、金属箔層と耐熱性樹脂層との間に介される酸変性ポリオレフィン層が溶融するのを防ぐことができる。このため、本構成の電気化学セル用包装材料はヒートシール時、金属箔層/酸変性ポリオレフィン層/耐熱性樹脂層から構成される積層部分の形状が安定する。このため、ヒートシール後、電気化学セル用包装材料に皺が発生することを防ぎ、金属箔層と耐熱性樹脂層とが剥離するのを防ぐことができる。したがって、本構成の電気化学セル用包装材料全体に安定した成形性を付与することができる。また、ヒートシール部における外装体の端面から耐熱性樹脂層を透過して外装体内部に浸透する水蒸気は耐熱性樹脂層を薄層化することにより減少するため、外装体の水蒸気ガスバリア性を向上させることができる。
本発明の第4の構成によると、上記電気化学セル用包装材料において、金属箔層と耐熱性樹脂層との間に介される酸変性ポリオレフィン層はエラストマー樹脂が添加された酸変性ポリオレフィン樹脂により構成されているため、エラストマー樹脂を添加された酸変性ポリオレフィン樹脂自体の追従性、弾力性、水蒸気ガスバリア性、耐電解液性が向上する。これにより、本構成の電気化学セル用包装材料はエラストマーが添加された酸変性ポリオレフィン層が溶融するか否かに関係なく、経年劣化するのを防ぎ、電気化学セルを長期間使用する場合においても高い安全性を確保することができる。そして、ヒートシールした部分を折り曲げても酸変性ポリオレフィン層に白化、亀裂、破断等が発生するのを防ぎ、酸変性ポリオレフィン層と金属箔層とが剥離するのを防ぎ、電気化学セル用包装材料の成形性を向上させることができる。
本発明の第5の構成によると、上記電気化学セル用包装材料において、金属箔層と耐熱性樹脂層との間に介された酸変性ポリオレフィン層にコロナ処理を施すことにより、耐熱性樹脂層とコロナ処理が施された酸変性ポリオレフィン層との接着性が安定する。これにより、本構成の電気化学セル用包装材料は金属箔層/酸変性ポリオレフィン層/耐熱性樹脂層から構成される積層部分の接着強度が安定し、この積層部分が剥離するのを防ぐことができる。
本発明の第6の構成によると、上記電気化学セル用包装材料において、耐熱性樹脂層をエポキシ樹脂を主成分とする樹脂で構成することにより、耐熱性樹脂層の耐熱性を向上させることができる。これにより、本構成の電気化学用包装材料を用いて成形された外装体は外装体内部の発熱に対して優れた絶縁性を有する。
本発明は、耐熱性、耐電解液性、水蒸気ガスバリア性、成形性に優れる電気化学セル用包装材料である。本発明の電気化学セル用包装材料の一実施形態について図等を利用してさらに詳細に説明する。なお、従来例の図4〜図10と共通する部分は説明を省略する。
図1は、本実施形態の電気化学セル用包装材料10の層構成を示す断面図であり、図1を用いて本実施形態の電気化学セル用包装材料10を構成する各層について説明する。本実施形態の電気化学セル用包装材料10は各層が基材層11/接着剤層17/金属箔層12/化成処理層13/酸変性ポリオレフィン層14a/コロナ処理層18/耐熱性樹脂層16/酸変性ポリオレフィン層14b/熱接着性樹脂層15の順に積層されて構成されている。ここで、積層部分最外層には基材層11、最内層には熱接着性樹脂層15、その間に金属箔層12が配され、熱接着性樹脂層15と金属箔層12の間には耐熱性樹脂層16が酸変性ポリオレフィン層14a、14bを介して接着している。以下、金属箔層12と耐熱性樹脂層16との間に配された酸変性ポリオレフィン層14aを第1酸変性ポリオレフィン層14aと呼称し、熱接着性樹脂層15と耐熱性樹脂層16との間に配された酸変性ポリオレフィン層14bを第2酸変性ポリオレフィン層14bと呼称する。なお、本発明の請求項で記載された「前記金属箔層と前記耐熱性樹脂層との間に介される酸変性ポリオレフィン層」は本実施形態における第1酸変性ポリオレフィン層14aに相当し、「前記熱接着性樹脂層と前記耐熱性樹脂層との間に介される酸変性ポリオレフィン層」は本実施形態における第2酸変性ポリオレフィン層14bに相当する。なお、本発明の電気化学セル用包装材料10は上記各層を含むとともに各層間に異なる層を介在させた場合も本発明の技術範囲に含むものとする。
また、図2は本実施形態の電気化学セル用包装材料10を用いて形成されたパウチ型の外装体20内部にリチウムイオン電池本体22(図2中、不図示)を密封収納したリチウムイオン電池21の斜視図であり、図3は図2中のリチウムイオン電池21のA−A’における断面図である。図2及び図3に示すように、外装体20は金属端子24を挟持した状態で、熱接着樹脂層15同士が対向するように電化化学セル用包装材料10を重ね合わせ、金属端子24の挟持部分を含む周縁部がヒートシール(以下、ヒートシールされた部分をヒートシール部20aとする)して、外装体20内部に電解質を含むリチウムイオン電池本体22を封止する。このとき、リチウムイオン電池本体22とは、正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、正極及び負極間に充填される電解質で構成される。このように、本実施形態の電気化学セル用包装材料10は複数の層を積層して構成され、電気化学セル用包装材料10を裁断及び変形させて外装体20の形状を自由に設計することができる。
また、本実施形態の電気化学セル用包装材料10は金属箔層12と熱接着性樹脂層15との間に耐熱性樹脂層16が形成されている。図3に示すように、本実施形態の電気化学セル用包装材料10を用いて作製された外装体20内部に収納したリチウムイオン電池本体22が発熱し、外装体20の最内層に配された熱接着性樹脂層15の一部が溶融した場合でも、耐熱性樹脂層16が容易に溶融しない。これにより、外装体20内部に充填された電解質が溶融した熱接着性樹脂層15の一部から金属箔層12に浸透するのを耐熱性樹脂層16が遮断し、電解質と金属箔層12とが接触してリチウムイオン電池21が短絡するのを防ぐことができる。したがって、本実施形態の電気化学セル用包装材料10は優れた耐熱性を有し、本構成の電気化学セル用包装材料を用いて作製された外装体20は外装体内部の発熱に対して優れた絶縁性を有する。
また、図2に示すように、外装体20はリチウムイオン電池本体22から延出する金属端子24を挟持した状態で、その挟持部分を含む周縁部(ヒートシール部20a)をヒートシールする。したがって、過充電等が原因で外装体20内部の温度が上昇したとき、金属端子24が発熱し、外装体20最内層である熱接着性樹脂層15の金属端子24挟持部分が溶融することがある。しかし、本実施形態の電気化学セル用包装材料10を用いて作製された外装体20は、金属端子24の挟持部分において、金属箔層12と耐熱性樹脂層16との間に耐熱性樹脂層16が配されている。このため、金属端子24挟持部分が溶融した場合でも、耐熱性樹脂層16は溶融せず、金属端子24と金属箔層12とが接触するのを防ぐことができる。これにより、本実施形態の電気化学セル用包装材料10を用いて作製された外装体20を用いるリチウムイオン電池21が短絡するのを防ぐことができ、絶縁性に優れる。
また、耐熱性樹脂層16は金属箔層12との間で第1酸変性ポリオレフィン層14aを介して接着し、熱接着性樹脂層15との間で第2酸変性ポリオレフィン層14bを介して接着している。ここで、酸変性ポリオレフィン樹脂は金属箔に対して安定した接着性を示すので、第1酸変性ポリオレフィン層14aにより金属箔層12と耐熱性樹脂層16とを強固に接着することができる。また、酸変性ポリオレフィン樹脂は熱接着性樹脂層15に対して安定した接着性を示すので、第2酸変性ポリオレフィン層14bにより熱接着性樹脂層15と耐熱性樹脂層16とを強固に接着することができる。また、酸変性ポリオレフィン樹脂は水蒸気ガスバリア性、追従性、弾力性、耐電解液性にも優れるため、酸変性ポリオレフィン樹脂で構成される本構成の電気化学セル用包装材料10全体に安定した水蒸気ガスバリア性、成形性、耐電解液性を有する。そして、本実施形態の電気化学セル用包装材料10を用いて作製された外装体20も水蒸気ガスバリア性、成形性、耐電解液性に優れる。
また、本実施形態の電気化学セル用包装材料10において、耐熱性樹脂層16は第1酸変性ポリオレフィン層14aの上から熱硬化樹脂をコーティング(塗工)して形成されている。熱硬化樹脂をコーティングすることにより、所定の耐熱性を確保しながら耐熱性樹脂層16を薄層化することができる。電気化学セル用包装材料10をプレス加工しエンボス部を成形する際、金属箔層12と熱接着性樹脂層15との延伸性が異なるため、金属箔層12と熱接着性樹脂層15の間に配される第1酸変性ポリオレフィン層14a/耐熱性樹脂層16/第2酸変性ポリオレフィン層14bで構成される積層部分に追従性、弾力性がない場合、金属箔層12と熱接着性樹脂層15とが剥離することがある。しかし、本実施形態の電気化学セル用包装材料10は熱硬化樹脂をコーティング(塗工)して耐熱性樹脂層16が形成されているため、第1酸変性ポリオレフィン層14a/耐熱性樹脂層16/第2酸変性ポリオレフィン層14bで構成される積層部分の追従性及び弾力性が安定する。このため、本実施形態の電気化学セル用包装材料10は成形性に優れ、金属箔層12と熱接着性樹脂層15とが剥離し難い。また、ヒートシール部20aにおける外装体20端面から耐熱性樹脂層16を透過して外装体20内部に浸透する水蒸気を耐熱性樹脂層16を薄層化することにより減少させ、外装体20の水蒸気ガスバリア性を向上させることができる。
ここで、耐熱性樹脂層16を形成する熱硬化樹脂は、具体的にはエポキシ樹脂を主成分とする樹脂が挙げられ、コーティングされるエポキシ樹脂の厚みは約1μm程度となる。また、耐熱性樹脂層16に用いられる耐熱樹脂はエポキシ系のエポキシ樹脂に限らず、フェノール系、メラミン系、アルキッド系、ポリイミド系、ポリアミドイミド系、ポリアリレート系、不飽和ポリエステル系、ポリウレタン系、液晶ポリマー系、ポリエーテルエーテルケトン系の樹脂を用いることも可能である。また、エポキシ樹脂にアルミナを添加することにより、エポキシ樹脂の耐熱性を向上させることもできる。
また、図3に示すように、電気化学セル用包装材料10をヒートシールするとき、重ね合わせた熱接着性樹脂層15をヒートシールの熱で溶融させた後に冷却して、熱接着性樹脂層15同士を接着させるが、ヒートシールの熱で熱接着性樹脂層15とともに第1酸変性ポリオレフィン層14a及び第2酸変性ポリオレフィン層14bが溶融すると、一端溶融した後、再結晶化した第1酸変性ポリオレフィン層14a及び第2酸変性ポリオレフィン層14bは結晶構造が脆くなり、応力緩和が低下する。このため、電気化学セル用包装材料10から作製された外装体20のヒートシール部20aを折り曲げたとき、第1酸変性ポリオレフィン層14a及び第2酸変性ポリオレフィン層14bに白化、亀裂、破断等が生じ易くなることが問題となっていた。特に、第1酸変性ポリオレフィン層14aは金属材料で構成される金属箔層12と異素材間で安定した接着性が必要とされる。
また、ヒートシール時に耐熱性樹脂層16は溶融しないため、耐熱性樹脂層16を挟む両面の第1酸変性ポリオレフィン層14a及び第2酸変性ポリオレフィン層14bがヒートシール時の熱で溶融した場合、第1酸変性ポリオレフィン層14a/耐熱性樹脂層16/第2酸変性ポリオレフィン層14bから構成される積層部分の形状に歪みが生じ易く、ヒートシール後、電気化学セル用包装材料10に皺が発生したり、金属箔層12と耐熱性樹脂層16とが剥離することが問題となっていた。
本実施形態の電気化学セル用包装材料10は、金属箔層12と耐熱性樹脂層16との間に介される第1酸変性ポリオレフィン層14aが、熱接着性樹脂層15と耐熱性樹脂層16との間に介される第2酸変性ポリオレフィン層14bと比較して融点が高い。このため、ヒートシール時の熱で第2酸変性ポリオレフィン層14bが溶融した場合でも、第1酸変性ポリオレフィン層14aを溶融させることなく熱接着性樹脂層15同士をヒートシールすることができる。このため、第1酸変性ポリオレフィン層14a/耐熱性樹脂層16/第2酸変性ポリオレフィン層14bから構成される積層部分の形状に歪みが発生するのを抑え、ヒートシール後、電気化学セル用包装材料10に皺が発生したり、金属箔層12と耐熱性樹脂層16とが剥離することを防ぐことができる。具体的には、第1酸変性ポリオレフィン層14aを融点150℃〜165℃の樹脂で構成し、第2酸変性ポリオレフィン層14bを融点130℃〜140℃の樹脂で構成することにより、第1酸変性ポリオレフィン層14a/耐熱性樹脂層16/第2酸変性ポリオレフィン層14bの層構成をヒートシール時、安定させることができる。
また、本実施形態の電気化学セル用包装材料10は、金属箔層12と耐熱性樹脂層15との間に介される第1酸変性ポリオレフィン層14aをエラストマー樹脂が添加された酸変性ポリオレフィン樹脂で構成している。このとき、エラストマー樹脂が添加された酸変性ポリオレフィン樹脂はエラストマー樹脂が添加されていない酸変性ポリオレフィン樹脂と比較して追従性、弾力性、水蒸気ガスバリア性、耐電解液性が向上する。これにより、第1酸変性ポリオレフィン層14aはエラストマーが添加された酸変性ポリオレフィン樹脂がヒートシール時に溶融するか否かに関係なく経年劣化するのを防ぎ、本実施形態の電気化学セル用包装材料10を外装体20に用いたリチウムイオン電池21は長期間使用及び高出力化に対しても高い安全性を確保することができる。また、ヒートシールした部分を折り曲げても第1酸変性ポリオレフィン層14aが白化、亀裂、破断等するのを防ぎ、本実施形態の電気化学セル用包装材料10の成形性を向上させることができる。
また、本実施形態の電気化学セル用包装材料10は、金属箔層12と耐熱性樹脂層15との間に介された第1酸変性ポリオレフィン層14aはコロナ処理が施されている。なお、コロナ処理が施された第1酸変性ポリオレフィン層14a表面をコロナ処理層18とし、図1で示す。酸変性ポリオレフィン樹脂にコロナ処理を施すことにより、酸変性ポリオレフィン樹脂表面が活性化し、第1酸変性ポリオレフィン層14aと耐熱性樹脂層15との接着性がより安定化する。これにより、本実施形態の電気化学セル用包装材料10は金属箔層12/第1酸変性ポリオレフィン層14a/耐熱性樹脂層16から構成される積層部分の接着強度が安定し、この積層部分が剥離するのを防ぐことができる。また、図2に示すように、金属箔層12表面には化成処理層13(図3中、不図示)が形成されており、化成処理層13は第1酸変性ポリオレフィン層14aと金属箔層12とを安定的に接着し、金属箔層12と耐熱性樹脂層16との剥離を防止したり、金属箔層12の腐食を防止する働きを有する。
次に、図1に示した本実施形態の電気化学セル用包装材料10を構成する各層について具体的に説明する。最内層の熱接着性樹脂層15は、リチウム電池本体22の金属端子24(図2参照)を外側に突出した状態で挟持して熱接着する。このとき、熱接着性樹脂層15と金属端子24との間に金属接着性を有する金属端子密封用接着性フィルムを介在させるか否かで熱接着性樹脂層15を構成するプロピレンの種類は異なる。金属端子密封用接着性フィルムを介在させる場合には、プロピレン系樹脂の単体ないし混合物などからなるフィルムを用いればよいが、金属端子密封用接着性フィルムを介在させない場合、不飽和カルボン酸でグラフト変性した酸変性オレフィン樹脂からなるフィルムを用いる必要がある。
なお、熱接着性樹脂層15としてはポリプロピレンが好適に用いられるが、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンの単層または多層、または、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンのブレンド樹脂からなる単層または多層からなるフィルムも使用できる。また、ポリプロピレンには、ランダムプロピレン、ホモプロピレン、ブロックプロピレン等各タイプに分けることができる。
また、上記各タイプのポリプロピレン、すなわち、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンには、低結晶性のエチレンーブテン共重合体、低結晶性のプロピレンーブテン共重合体、エチレンとブテンとプロピレンの3成分共重合体からなるターポリマー、シリカ、ゼオライト、アクリル樹脂ビーズ等のアンチブロッキング剤(AB剤)、脂肪酸アマイド系のスリップ剤等を添加してもよい。
また、本発明に係る熱接着性樹脂層15は上記各タイプのポリプロピレン層を適時組み合わせて多層化してもよい。
次に基材層11について説明する。基材層11は、一般に、延伸ポリエステルまたはナイロンフィルムからなるが、この時、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。またナイロンとしては、ポリアミド樹脂、すなわち、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
また、基材層11は耐ピンホール性および電池の外装体とした時の絶縁性を向上させるために、ポリエステルフィルム又はナイロンフィルムの他、異なる材質のフィルムを積層化することも可能である。基材層11を積層体化する場合、基材層が2層以上の樹脂層を少なくとも一つを含み、各層の厚みが6μm以上、好ましくは、6〜25μmである。基材層を積層化する例としては、図示はしないが次の1)〜7)が挙げられる。
1)延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
2)延伸ナイロン/延伸ポリエチレンテレフタレート
3)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート(フッ素系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成)
4)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート(シリコーン系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成)
5)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
6)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
7)アクリル系樹脂/延伸ナイロン(アクリル系樹脂はフィルム状、または液状コーティング後乾燥で硬化)
なお、3)〜7)に示すように、包装材料の機械適性(包装機械、加工機械の中での搬送の安定性)、表面保護性(耐熱性、耐電解質性)、2次加工とてリチウムイオン電池用の外装体20をエンボスタイプとする際に、エンボス時の金型と基材層11との摩擦抵抗を小さくする目的あるいは電解液が付着した場合に基材層11を保護するために、基材層11を多層化、基材層表面にフッ素系樹脂層、アクリル系樹脂層、シリコーン系樹脂層、ポリエステル系樹脂層、及びこれらのブレンド物層等の保護層(図1中、不図示)を設けることが好ましい。
また、上記延伸ポリエチレンテレフタレートの代わりに延伸ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを用いた場合にも同様の効果が得られる。また、基材層11は金属箔層12と、ドライラミネーション法等により接着剤層17を介して貼り合わされる。
次に金属箔層12について説明する。金属箔層12は、外部からリチウムイオン電池の内部に水蒸気が浸入することを防止するための層で、金属箔層単体のピンホール、及び加工適性(パウチ化、エンボス成形性)を安定化し、かつ耐ピンホール性をもたせるために厚さ15μm以上のアルミニウム、ニッケルなどの金属、又は、無機化合物、例えば、酸化珪素、アルミナ等を蒸着したフィルムなども挙げられるが、金属箔層12として好ましくは厚さが20〜100μmのアルミニウムとする。
また、ピンホールの発生を改善し、リチウムイオン電池の外装体のタイプをエンボスタイプとする場合、エンボス成形におけるクラックなどの発生のないものとするために、金属箔層12として用いるアルミニウムの材質を、鉄含有量が0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%とすることが望ましい。
これによって、鉄を含有していないアルミニウムと比較して、アルミニウムの展延性がよく、外装体として折り曲げによるピンホールの発生が少なくなり、包装材料をエンボス成形する時に側壁を容易に形成することができる。なお、鉄含有量が、0.3重量%未満の場合は、ピンホールの発生の防止、エンボス成形性の改善等の効果が認められず、アルミニウムの鉄含有量が9.0重量%を超える場合は、アルミニウムとしての柔軟性が阻害され、包装材料として製袋性が悪くなる。
また、冷間圧延で製造されるアルミニウムは焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化するが、本発明において用いるアルミニウムは焼きなましをしていない硬質処理品より、多少または完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウムがよい。
すなわち焼きなましの条件は、加工適性(パウチ化、エンボス成形)に合わせ適宜選定すればよい。たとえば、エンボス成形時のしわやピンホールを防止するためには、成形の程度に応じて焼きなましされた軟質アルミニウムを用いることができる。
また、金属箔層12であるアルミニウムの表、裏面に化成処理を施し化成処理層13を形成することによって、接着剤との接着強度を向上させることができる。
次にこの化成処理層13について説明する。図1に示すように、化成処理層13は少なくとも金属箔層12の熱接着性樹脂層15側の面に形成するものである。化成処理層13は酸変性ポリオレフィン層14と金属箔層12とを安定的に接着し、金属箔層12と熱接着性樹脂層15のデラミネーションを防止することができる。また、化成処理層13は金属箔層12の腐食を防止する働きも有る。
具体的には、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物等の耐酸性皮膜を形成することによってエンボス成形時の金属箔層12と耐熱性樹脂層16との間のデラミネーション防止と、リチウムイオン電池の電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素により、アルミニウム表面の溶解、腐食、特にアルミニウムの表面に存在する酸化アルミが溶解、腐食することを防止し、かつ、アルミニウム表面の接着性を向上させることができる。
化成処理層13は、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、塗布型クロメート処理等のクロム系化成処理、あるいは、ジルコニウム、チタン、リン酸亜鉛等の非クロム系(塗布型)化成処理等により金属箔層12面に形成されるものであるが、連続処理が可能であると共に水洗工程が不要で処理コストを安価にすることができるという点などから塗布型化成処理、特にアミノ化フェノール重合体、3価クロム化合物、リン化合物、を含有する処理液で処理するのが最も好ましい。
また、化成処理層13の形成方法としては、処理液をバーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等の周知の塗布法を選択して成形すればよい。また、化成処理層13を形成する前に金属箔層12表面に、予め、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、酸活性化法等の周知の脱脂処理法で処理を施しておく方が、化成処理層13の機能を最大限に発現させるとともに、長期間維持することができる点から好ましい。
次に第1酸変性ポリオレフィン層14a及び第2酸変性ポリオレフィン層14bについて説明する。第1酸変性ポリオレフィン層14a及び第2酸変性ポリオレフィン層14bはそれぞれ金属箔層12と耐熱性樹脂層16及び熱接着性樹脂層15と耐熱性樹脂層16とを接着するために設ける層であり、第2酸変性ポリオレフィン層14bは熱接着性樹脂層15に用いる樹脂種により適宜選択して用いる必要がある。第1酸変性ポリオレフィン層14a及び第2酸変性ポリオレフィン層14bには、酸変性ポリオレフィン樹脂を用いることができ、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体、あるいは、金属架橋ポリオレフィン樹脂等であり、必要に応じてブテン成分、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、非晶質のエチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等を5%以上添加してもよいものである。
また、第1酸変性ポリオレフィン層14a及び第2酸変性ポリオレフィン層14bは酸変性ポリプロピレンを用いることで、耐電解質性、接着強度に優れた外装体20を提供することができる。
酸変性ポリプロピレンを用いる場合、
(1)ビガット軟化点115℃以上、融点150℃以上のホモタイプ、
(2)ビガット軟化点105℃以上、融点130℃以上のエチレンープロピレンとの共重合体(ランダム共重合タイプ)
(3)融点110℃以上である不飽和カルボン酸を用い酸変性重合した単体又はブレンド物等を用いることができる。
また、第1酸変性ポリオレフィン層14aは上記各タイプの酸変性ポリオレフィン樹脂にエラストマー樹脂が添加して構成することにより、第1酸変性ポリオレフィン層14aの融点を上昇させたり、追従性、弾力性、水蒸気ガスバリア性、耐電解液性を向上させ、上記した効果を得ることができる。なお、熱接着性樹脂層15を構成する樹脂にエラストマー樹脂を添加した樹脂を用いて、これらの効果を得ることもできる。
また、前記の各層には、適宜、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性を向上、安定化する目的のために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理をしてもよい。
次に、本実施形態の電気化学セル用包装材料10の積層方法について具体的に説明する。例えば、図1に示される本実施形態の電気化学セル用包装材料10は、まず金属箔層12であるアルミニウムの片面に化成処理を施し化成処理層13を形成し、化成処理層13が形成されていない面にドライラミネート法により接着剤(接着剤層17)を用いて基材層11となる延伸ポリエステルフィルムを積層する。次に化成処理層13表面にエラストマー樹脂が添加された酸変性ポリプロピレン樹脂(第1酸変性ポリオレフィン層14a)を溶融押出しする。次に、溶融押出した酸変性ポリプロピレン樹脂を後過熱して表面にコロナ処理を施す(コロナ処理層18の成形)。次にコロナ処理を施した酸変性ポリプロピレン樹脂の上からエポキシ樹脂をコーティング(塗工)して耐熱性樹脂層16を形成する。次に、コーティングして形成されたエポキシ樹脂(耐熱性樹脂層16)の上から酸変性ポリプロピレン樹脂(第2酸変性ポリオレフィン層14b)を溶融押出しする。次に、溶融押出した酸変性ポリプロピレン樹脂(第2酸変性ポリオレフィン層14b)を後加熱してポリプロピレンフィルムを貼り合わせ熱接着性樹脂層15を形成する。なお、熱接着性樹脂層15はポリプロピレンフィルムを貼り合わせる以外にも滑剤が添加されたポリプロピレン樹脂を第2酸変性ポリオレフィン層14b上に溶融押出して形成することもできる。上記積層方法によると、金属箔層12と熱接着性樹脂層15の間に第1酸変性ポリオレフィン層14a/耐熱性樹脂層16/第2酸変性ポリオレフィン層14bから構成される積層部分を配し、これら各層を安定して積層することができる。そして、耐熱性、耐電解液性、水蒸気ガスバリア性、成形性に優れる電気化学セル用包装材料を作製することができる。
以下、本発明の作用及び効果について、実施例を用いて具体的に説明する。実施例1は、電気化学セル用包装材料の耐電解液シール強度、耐電解液ラミ強度、ヒートシール時の短絡発生について評価したものである。
[包装材料のサンプル作製]
金属箔層となるアルミニウムの両面に化成処理を施し、一方の化成処理面に、基材層となる延伸ナイロンフィルムを2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により貼り合わせた。次にもう一方の化成処理面にエラストマー樹脂が添加された酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融押出しする。次に、この酸変性ポリプロピレン樹脂の上から耐熱性樹脂層となるエポキシ樹脂をコーティング(塗工)する。次に、エポキシ樹脂の上から酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融押出するとともに、熱接着性樹脂層となる滑剤が添加されたポリプロピレン樹脂を酸変性ポリプロピレン上に溶融押出して、延伸ナイロンフィルム/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム/エラストマーが添加された酸変性ポリプロピレン樹脂/エポキシ樹脂/酸変性ポリプロピレン樹脂/ポリプロピレン樹脂から構成される実施例1にかかる電気化学セル用包装材料を得た。なお、エラストマーが添加された酸変性ポリプロピレン樹脂の融点は160℃であり、エポキシ樹脂とポリプロピレン樹脂の間に配された樹脂の融点は140℃であった。
なお、本実施例において、延伸ナイロンフィルムは厚さ25μm、アルミニウムは厚さ40μmであり、化成処理層には、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、リン酸からなる処理液をロールコート法により塗布し、皮膜温度が90℃以上となる条件において焼付けた。ここで、クロムの塗布量は10mg/m2(乾燥重量)とした。
次に、上記実施例1で得られた包装材料の積層方法において、エラストマー樹脂が添加された酸変性ポリプロピレン樹脂及びエポキシ樹脂を設けず、化成処理が施されたアルミニウムの上から酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融押出するとともに、熱接着性樹脂層となる滑剤が添加されたポリプロピレン樹脂を酸変性ポリプロピレン上に溶融押出して、延伸ナイロンフィルム/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム/酸変性ポリプロピレン樹脂/ポリプロピレン樹脂から構成される比較例1にかかる電気化学セル用包装材料を得た。
次に、上記実施例1で得られた包装材料の積層方法において、エラストマー樹脂が添加された酸変性ポリプロピレン樹脂及びエポキシ樹脂を設けず、化成処理が施されたアルミニウムの上から2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により熱接着性樹脂層となるポリプロピレンフィルムを貼り合わせ、延伸ナイロンフィルム/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム/接着剤/ポリプロピレンフィルムから構成される比較例2にかかる電気化学セル用包装材料を得た。
次に、上記実施例1で得られた包装材料の積層方法において、エラストマー樹脂が添加された酸変性ポリプロピレン樹脂の代わりにエラストマー樹脂が添加されていない酸変性ポリプロピレン樹脂を化成処理が施されたアルミニウムの上に溶融押出し、酸変性ポリプロピレン樹脂の上から耐熱性樹脂層となるエポキシ樹脂をコーティング(塗工)する。次に、エポキシ樹脂の上から酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融押出するとともに、熱接着性樹脂層となる滑剤が添加されたポリプロピレン樹脂を酸変性ポリプロピレン上に溶融押出して、延伸ナイロンフィルム/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム/エラストマーが添加されていない酸変性ポリプロピレン樹脂/エポキシ樹脂/酸変性ポリプロピレン樹脂/ポリプロピレン樹脂から構成される実施例2にかかる電気化学セル用包装材料を得た。なお、エラストマーが添加されていない酸変性ポリプロピレン樹脂の融点は160℃であり、エポキシ樹脂とポリプロピレン樹脂の間に配された樹脂の融点は140℃であった。
次に、上記実施例1で得られた包装材料の積層方法において、アルミニウムにエラストマー樹脂が添加された酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融押出しせずに、アルミニウム上に耐熱性樹脂層となるエポキシ樹脂をコーティング(塗工)し、次に、エポキシ樹脂の上から酸変性ポリプロピレン樹脂を溶融押出するとともに、熱接着性樹脂層となる滑剤が添加されたポリプロピレン樹脂を酸変性ポリプロピレン上に溶融押出して、延伸ナイロンフィルム/接着剤/両面化成処理が施されたアルミニウム/エポキシ樹脂/酸変性ポリプロピレン樹脂/ポリプロピレン樹脂から構成される比較例4にかかる電気化学セル用包装材料を得た。なお、エポキシ樹脂とポリプロピレン樹脂の間に配された樹脂の融点は140℃であった。
[耐電解液シール強度の測定による評価]
次に、上記作製した各包装材料を60mm(MD方向)×150mm(TD方向)に裁断しTD方向に2つ折りにし、対向する2辺を加熱及び加圧により熱接着し(シール条件:シール温度190℃、面圧1.0MPa、シール時間3秒)、折り返し辺と対向する辺が開口するパウチを形成した。次に、開口部から3gの電解液(6フッ化リン酸リチウムを混合液(エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1の容積比で混合した溶液)に溶解し、1mol/Lの6フッ化リン酸リチウム溶液としたもの)を注入し、開口部を7mm幅で熱接着(シール条件:シール温度190℃、面圧1.0MPa、シール時間3秒)した。次に開口部を上向きにして60℃の恒温槽に24時間保存した。
次に、上記保存後の各サンプルを恒温層から取り出して電解液を捨てた後、開口部における熱接着部を15mm巾の短冊状に切り取り、電気化学セル用包装材料の最内層である熱接着性樹脂層同士が接着した7mm×15mmの接着部を引張り機(島津製作所製、AGS−50D(商品名))で300mm/分の速度で引張り、接着部のシール強度を測定してこの値を耐電解液シール強度とした。なお、単位はN/15mm巾である。以上、実施例1、実施例2及び比較例1、2、4の電気化学セル用包装材料について測定した耐電解液シール強度を表1に示す。
[表1]

Figure 0005347411
表1から明らかなように実施例1にかかる電気化学セル用包装材料は比較例4に係る電気化学セル用包装材料と比較して耐電解液シール強度が高いことから、アルミニウムと酸変性ポリプロピレン樹脂の間に耐熱性樹脂層であるエポキシ樹脂を介す場合、アルミニウムとエポキシ樹脂の間に酸変性ポリプロピレン樹脂を配することにより、耐電解液シール強度を高めることができることがわかった。また、実施例1にかかる電気化学セル用包装材料は比較例2に係る電気化学セル用包装材料と比較して耐電解液シール強度が高いことから、2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により熱接着性樹脂層となるポリプロピレンフィルムを貼り合わせた場合、溶融押出した酸変性ポリプロピレン樹脂上に熱接着性樹脂層となるポリプロピレン樹脂を積層した場合と比較して耐電解液シール強度が低いことがわかった。
[耐電解液ラミネート強度の測定による評価]
次に、上記作製した各包装材料を60mm(MD方向)×150mm(TD方向)に裁断しTD方向に2つ折りにし、対向する2辺を加熱及び加圧により熱接着し(シール条件:シール温度190℃、面圧1.0MPa、シール時間3秒)、折り返し辺と対向する辺が開口するパウチを形成した。次に、開口部から3gの電解液(6フッ化リン酸リチウムを混合液(エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1の容積比で混合した溶液)に溶解し、1mol/Lの6フッ化リン酸リチウム溶液としたもの)を注入し、開口部を7mm幅で熱接着(シール条件:シール温度190℃、面圧1.0MPa、シール時間3秒)した。次に開口部を上向きにして60℃の恒温槽に24時間保存した。
次に、上記保存後の各サンプルを恒温層から取り出して電解液を捨てた後、折り返し部を15mm巾の短冊状に切り取り、積層された電気化学セル用包装材料の最内層である熱接着性樹脂層とアルミニウム間を引張り機(島津製作所製、AGS−50D(商品名))で50mm/分の速度で引張り、ラミネート強度を測定しこの値を耐電解液ラミネート強度とした。なお、単位はN/15mm巾である。以上、実施例1、実施例2及び比較例1、2、4の電気化学セル用包装材料について測定した耐電解液ラミネート強度を表2に示す。
[表2]

Figure 0005347411
表2から明らかなように実施例1にかかる電気化学セル用包装材料は比較例4に係る電気化学セル用包装材料と比較して耐電解液ラミネート強度が高いことから、アルミニウムと酸変性ポリプロピレン樹脂の間に耐熱性樹脂層であるエポキシ樹脂を介す場合、アルミニウムとエポキシ樹脂の間に酸変性ポリプロピレン樹脂を配した方が、アルミニウムと熱接着性樹脂層であるポリプロピレン樹脂間の耐電解液ラミネート強度を高めることができることがわかった。また、実施例1にかかる電気化学セル用包装材料は比較例2に係る電気化学セル用包装材料と比較して耐電解液ラミネート強度が高いことから、2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により熱接着性樹脂層となるポリプロピレンフィルムを貼り合わせた場合、溶融押出した酸変性ポリプロピレン樹脂上に熱接着性樹脂層となるポリプロピレン樹脂を積層した場合と比較して耐電解液ラミネート強度が低いことがわかった。
[ヒートシール時の短絡発生の評価]
次に、上記作製した各包装材料を60mm(MD方向)×150mm(TD方向)に裁断しTD方向に2つ折りにし、ニッケルタブ(幅4mm×長さ80mm×厚さ100μm)を挟持した。次に、テスターの正極端子をニッケルタブにセットし、負極端子を包装材を構成するアルミニウムにセットした。次に、正極端子および負極端子間に電圧25Vを印加し、ニッケルタブを挟持した部分を含み、ニッケルタブの長さ方向と垂直な方向に7mm幅でシール温度160℃又は190℃、シール圧1.0MPaでそれぞれシールを行い、ニッケルタブとアルミニウム間の絶縁性が低下し短絡が発生する抵抗値が1000MΩ以下になる時間(以下、絶縁性破壊時間(秒)とする)をそれぞれ測定し、下記の表3にまとめた。
[表3]

Figure 0005347411
表3から明らかなようにエラストマー樹脂が添加されて融点の高い酸変性ポリプロピレン/エポキシ樹脂/酸変性ポリプロピレンから構成される積層部分を含む実施例1にかかる電気化学セル用包装材料は、エポキシ樹脂を含まない比較例1にかかる電気化学セル用包装材料および、エラストマー樹脂が添加されていない酸変性ポリプロピレンを含む実施例2にかかる電気化学セル用包装材料および、アルミニウムとエポキシ樹脂の間に酸変性ポリプロピレンを介さない比較例4にかかる電気化学セル用包装材料と比較して、ヒートシール時に短絡が発生し難いことがわかった。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の電気化学セル用包装材料の層構造を示す断面図 本発明の電気化学セル用包装材料を外装体に用いたリチウムイオン電池の斜視図 図2で示したリチウムイオン電池のA−A’における断面図 従来の電気化学セル用包装材料の層構造を示す断面図 従来の電気化学セル用包装材料を外装体に用いたリチウムイオン電池の斜視図 図5で示したリチウムイオン電池の分解斜視図 従来の電気化学セル用包装材料を外装体に用いたリチウムイオン電池の斜視図 図7で示したリチウムイオン電池の分解斜視図 従来の電気化学セル用包装材料を外装体に用いたリチウムイオン電池の斜視図 9で示したリチウムイオン電池のB−B’における断面図
符号の説明
10、30 電気化学セル用包装材料
11、31 基材層
12、32 金属箔層
13、33 化成処理層
34 接着剤層
14a 第1酸変性ポリオレフィン層
14b 第2酸変性ポリオレフィン層
15、35 熱接着性樹脂層
16 耐熱性樹脂層
17、37 接着剤層
20、40 外装体
20a、40a ヒートシール部
21、41 リチウムイオン電池
22、42 リチウムイオン電池本体
24、44 金属端子(タブ)

Claims (5)

  1. 正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、前記正極及び前記負極間に充填される電解質と、を含む電気化学セル本体を収納し周縁部をヒートシールすることで前記電気化学セル本体を内部に密封収納する外装体に用いられ、
    基材層と、金属箔層と、熱接着性樹脂層とを、少なくとも順次積層して構成される電気化学セル用包装材料であって、
    前記金属箔層は少なくとも前記熱接着性樹脂層側の面に化成処理が施され、
    前記金属箔層と前記熱接着性樹脂層との間に耐熱性樹脂層が配され、
    前記耐熱性樹脂層は酸変性ポリオレフィン層を介して前記金属箔層及び前記熱接着性樹脂層と接着し、
    前記金属箔層と前記耐熱性樹脂層との間に介される前記酸変性ポリオレフィン層は、前記熱接着性樹脂層と前記耐熱性樹脂層との間に介される前記酸変性ポリオレフィン層と比較して融点が高いことを特徴とする電気化学セル用包装材料。
  2. 前記耐熱性樹脂層は前記酸変性ポリオレフィン層が表面に形成された前記金属箔層において、前記酸変性ポリオレフィン層の上から熱硬化樹脂をコーティングして形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル用包装材料。
  3. 前記金属箔層と前記耐熱性樹脂層との間に介される前記酸変性ポリオレフィン層は、エラストマー樹脂が添加された酸変性ポリオレフィン樹脂により構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気化学セル用包装材料。
  4. 前記金属箔層と前記耐熱性樹脂層との間に介される前記酸変性ポリオレフィン層を構成する樹脂は前記耐熱性樹脂層側の面にコロナ処理が施されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1に記載の電気化学セル用包装材料。
  5. 前記耐熱性樹脂層がエポキシ樹脂を主成分とする樹脂で構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1に記載の電気化学セル用包装材料。
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