JP5287104B2 - 電気化学セル - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性、水蒸気ガスバリア性、耐電解液性、絶縁性に優れる電気化学セルに関するものである。
リチウムイオン電池とは、リチウム二次電池ともいわれ、液状、ゲル状又は高分子ポリマー状の電解質を持ち、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。このリチウムイオン電池は、充電時には正極活物質であるリチウム遷移金属酸化物中のリチウム原子(Li)がリチウムイオン(Li+)となって負極の炭素層間に入り込み(インターカレーション)、放電時にはリチウムイオン(Li+)が炭素層間から離脱(デインターカレーション)して正極に移動し、元のリチウム化合物となることにより充放電反応が進行する電池であり、ニッケル・カドミウム電池やニッケル水素電池より出力電圧が高く、高エネルギー密度である上、浅い放電と再充電を繰り返すことにより見掛け上の放電容量が低下する、いわゆるメモリー効果がないという優れた特長を有している。
また、リチウムイオン電池の構成は、正極集電材/正極活性物質層/電解質層/負極活性物質層/負極集電材及び、これらを包装する外装体からなり、外装体を形成する包装材料として従来、金属をプレス加工し円筒状または直方体状等に容器化した金属製缶が用いられていた。
しかし、金属製缶は、容器外壁がリジッドであるため、電池自体の形状が限定されてしまい、ハード側を電池に合わせて設計する必要から形状の自由度がないため、近年、金属製缶に替わって多層フィルムからなる積層体で構成される包装材料が外装体として用いられる傾向にある。
図8は従来の包装材料30の層構成を示す断面図であり、図8に示すように、従来の包装材料30は、少なくとも基材層31、金属箔層32、熱接着性樹脂層35で構成され、金属箔層32と熱接着性樹脂層35とは接着剤層34により接着され、基材層31と金属箔層32とは接着剤層37により接着されている。
この包装材料30を袋状に加工し、内部に電池本体を収納するパウチタイプの電池用外装体、または、包装材料30をプレス加工して凹部を形成し、凹部内部に電池本体を収納するエンボスタイプの電池用外装体を作製することができる。図9は、パウチタイプの電池用外装体40を用いたリチウムイオン電池41の斜視図であり、図10は、図9に示したリチウムイオン電池41を分解して示す分解斜視図である。図9及び図10に示すように、パウチタイプの電池用外装体40を用いたリチウムイオン電池41は最内層の熱接着性樹脂層35(図8参照)同士を重ね合わせ、外装体40の周縁部であるヒートシール部40aをヒートシールして作製された電池用外装体40内部に、リチウムイオン電池本体42を密封収納して構成される。
また、図11はエンボスタイプの電池用外装体50を用いたリチウムイオン電池51の斜視図であり、図12は図11に示したリチウムイオン電池51を分解して示す分解斜視図である。図11及び図12に示すように、エンボスタイプの電池用外装体50を用いたリチウムイオン電池51はエンボス部が形成されたトレイ50tの内部にリチウムイオン電池本体52を収納し、トレイ50tとシート50sの熱接着性樹脂層35(図8参照)同士を重ね合わせヒートシール部50aをヒートシールすることにより、電池用外装体50内部にリチウムイオン電池本体52を密封収納して構成される。
なお、リチウムイオン電池本体42、52は、正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、正極及び負極間に充填される電解質と(いずれも図示せず)を含むセル(蓄電部)と、セル内の正極及び負極に連結されるとともに先端が電池用外装体40、50の外部に突出する金属端子44、54から構成されている。
また、図13は従来のエンボスタイプの電池用外装体60を用いたリチウムイオン電池61の斜視図であり、図14は図13に示すリチウムイオン電池61のB−B’における断面図である。図14に示すように、外装体60は最内層の熱接着性樹脂層35同士を重ね合わせ、外装体周縁部(ヒートシール部60a)を接着して、外装体60内部にリチウムイオン電池本体62を密封収納している。しかし、第1領域60bにおいて、リチウムイオン電池61の長期間の使用又は急速な充電により、リチウムイオン電池本体62が発熱し、外装体60の最内層に配された熱接着性樹脂層35の一部が溶融することがある。このとき、外装体60内部に充填された電解質が溶融した熱接着性樹脂層35の一部から金属箔層32に浸透し、リチウムイオン電池61が短絡することが問題となっていた。このため、金属箔層32と熱接着性樹脂層35とを接着する接着剤層34にリチウムイオン電池本体62が発熱した場合にも溶融しない一定以上の耐熱性を有する樹脂を用い、包装材料全体の耐熱性向上を図る必要があった。
従来、上記課題を解決するために接着剤層34に、特許文献1に示されるポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする樹脂が用いられていた。しかし、接着剤層34にポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート硬化剤とを必須成分とする樹脂を用いた場合でも短絡を防ぐのに十分な耐熱性を有するとはいえなかった。
また、図15は図14で示したリチウムイオン電池61の変形例であり、図15に示すように、金属箔層32と熱接着性樹脂層35との間にポリエチレンナフタレートフィルムのような耐熱性樹脂層36を配すことにより、例えば、リチウムイオン電池本体62が発熱し、外装体60の最内層に配された熱接着性樹脂層35の一部が溶融した場合でも、耐熱性樹脂層36は容易に溶融しない。この構成により、外装体60内部に充填された電解質が溶融した熱接着性樹脂層35の一部から金属箔層32に浸透し、リチウムイオン電池61が短絡するのを防ぐことが可能である。しかし、金属箔層32と熱接着性樹脂層35との間に耐熱性樹脂層36を配した場合、金属箔層32と耐熱性樹脂層36間を強固に接着(図15中、接着剤層64aで接着)することが困難であり、包装材料30をプレス加工しトレイを成形する際、金属箔層32と耐熱性樹脂層36とは延伸性が異なるため、耐熱性樹脂層36に十分な追従性がない場合、トレイの収納部を深く成形できなかった。また、トレイの角部を鋭形に成形することができない等、耐熱性樹脂層36を配した包装材料30は成形性に優れないという問題があった。
特開2005−63685号公報
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、リチウムイオン電池本体、キャパシタ、電気二重層キャパシタ等の電気化学セル本体を成形性に優れる外装体に収納し、耐熱性、水蒸気ガスバリア性、耐電解液性、絶縁性に優れる電気化学セルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の構成による電気化学セルは、正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、正極及び前記負極間に充填される電解質とを含む電気化学セル本体を外装体内部に密封収納して構成される電気化学セルであって、外装体は内容器と外容器の二重構造をとり、内容器と外容器が正極および負極の各々に連結される金属端子の先端を外部に突出するように挟持し、内容器は最内層に熱接着性樹脂層を有し、金属箔層を含まない積層体で構成され、外容器は最内層に熱接着性樹脂層を有し、金属箔層を含む積層体で構成されていることを特徴とする。
また、本発明の第2の構成は、上記電気化学セルにおいて、内容器を構成する積層体に耐熱性樹脂層が含まれることを特徴とする。
また、本発明の第3の構成は、上記電気化学セルにおいて、金属端子は耐熱性樹脂層の両面にポリオレフィン樹脂層を有し、ポリオレフィン樹脂層の少なくとも一方が酸変性ポリオレフィン樹脂層である金属端子フィルムを介して内容器に挟持されていることを特徴とする。
また、本発明の第4の構成は、上記電気化学セルにおいて、内容器を構成する積層体に含まれる耐熱性樹脂層がポリエチレンナフタレートフィルムであることを特徴とする。
また、本発明の第5の構成は、上記電気化学セルにおいて、金属端子フィルムに含まれる耐熱性樹脂層がポリエチレンナフタレートフィルムであることを特徴とする。
また、本発明の第6の構成は、上記電気化学セルにおいて、外容器を構成する積層体に含まれる金属箔層がアルミニウム箔で構成されていることを特徴とする。
また、本発明の第7の構成は、上記電気化学セルにおいて、内容器と外容器の間に形成される空間が真空状態であることを特徴とする。
本発明の第1の構成によると、電気化学セル本体を内部に密封収納する外装体は内容器と外容器の二重構造をとり、外容器は金属箔層を含む積層体で構成され内容器は金属箔層を含まない積層体で構成されているため、内容器および外容器をそれぞれ成形性に優れる積層体で構成することにより、外装体全体の成形性を向上させることができる。
また、電気化学セル本体を内部に密封収納する外装体は内容器と外容器の二重構造をとり、内容器及び外容器はそれぞれ最内層に熱接着性樹脂層を有する積層体で構成されている。このため、内容器を構成する積層体の最内層同士を重ね合わせて積層体周縁部をヒートシールすることにより、電気化学セル本体を内容器内部に密封収納することが可能である。さらに、外容器を構成する積層体の最内層同士を重ね合わせて積層体周縁部をヒートシールすることにより、電気化学セル本体の内部に密封収納した内容器を外容器内部に密封収納することが可能となる。このとき、内容器と外容器が正極および負極の各々に連結される金属端子の先端を外部に突出するように挟持しているので外容器の外部に電気化学セルの接続部位が確保される。
また、外容器は金属箔層を含む積層体で構成されているため、金属箔層は外装体の耐突刺し性及び耐衝撃性を確保し、内容器を保護する。また、電気化学セル本体を内部に密封収納する内容器は金属箔層を含まない積層体で構成されているため、内容器は水蒸気ガスバリア性に乏しいが、外容器は金属箔層を含む積層体で構成され、金属箔層は水蒸気ガスバリア性に優れるから、外容器外部から外容器内部に浸透する水蒸気ガスを遮断し、内器内部に水蒸気ガスが浸透するのを防ぐことができる。
また、電気化学セル本体を内部に密封収納する内容器は金属箔層を含まない積層体で構成されているため、電気化学セルの使用時に電気化学セル本体が発熱し、内容器の最内層に配された熱接着性樹脂層の一部が溶融した場合でも、内容器内で短絡が発生することはない。また、外容器は金属箔層を含む積層体で構成されているが、最内層に熱接着性樹脂層を有しているため、内容器の溶融した熱接着性樹脂層の一部から内容器内部に充填された電解質が内容器の外に漏れた場合でも、外容器最内層の熱接着性樹脂層が、外容器を構成する金属箔層にこの電解質が浸透するのを防ぐことができる。
同様に、内容器のヒートシール部を折り曲げて、最内層の熱接着性樹脂層にクラックやピンホールが発生した場合でも、内容器は金属箔層を含まない積層体で構成されているため内容器内で短絡が発生することがない。また、外容器は金属箔層を含む積層体で構成されているが、最内層に熱接着性樹脂層を有しているため、クラックやピンホールが発生した内容器の熱接着性樹脂層の一部から内容器内部に充填された電解質が内容器の外に漏れた場合でも、外容器最内層の熱接着性樹脂層が、外容器を構成する金属箔層にこの電解質が浸透するのを防ぐことができる。したがって、外装体が内容器と外容器の二重構造により、本構成の電気化学セルは外装体内部の発熱およびヒートシール部のクラック又はピンホール発生を起因とする短絡の発生を防ぎ高い絶縁性を有する。
また、内容器のヒートシール部を折り曲げて、最内層の熱接着性樹脂層にクラックやピンホールが発生した場合、内容器は金属箔層を含まない積層体で構成されているため、内容器が透過性を有する樹脂のみの積層体で構成されていれば、外容器から内容器を取り出し、目視によりクラックやピンホールが発生した部位を確認することができる。
また、この内容器と外容器の二重構造により、内容器を構成する積層体と外容器を構成する積層体をそれぞれ異なる特性をもつ層構成にして内容器と外容器を組み合わせることにより、外装体全体の機能を自由に設計することができる。また、従来、外装体の成形時に問題となっていた層間接着強度についても接着強度の低い層同士は内容器と外容器に分けて外装体を構成すれば、内容器と外容器をそれぞれ別々に成形すればよいので外装体全体の成形性を十分確保することができる。
本発明の第2の構成によると、上記電気化学セルにおいて、電気化学セルの外装体は内容器と外容器の二重構造で構成され、内容器に耐熱性樹脂層を配し、外容器に金属箔層を配することにより、金属箔層と耐熱性樹脂層間の接着強度を考慮することなく、内容器と外容器を別々に成形することができる。したがって、本構成の電気化学セルにかかる外装体は成形性に優れる。
また、内容器を構成する積層体に耐熱性樹脂層が含まれるため、電気化学セルの使用時に電気化学セル本体が発熱し、内容器の最内層に配された熱接着性樹脂層の一部が溶融した場合でも、耐熱性樹脂層は容易に溶融しない。このため、内容器の溶融した熱接着性樹脂層の一部に内容器内部に充填された電解質が浸透した場合でも、耐熱性樹脂層が内容器外部に電解質が漏れ出すのを防ぐことができる。
同様に、内容器のヒートシール部を折り曲げて、最内層の熱接着性樹脂層にクラックやピンホールが発生した場合でも、耐熱性樹脂層には容易にクラックやピンホールが発生しない。したがって、クラックやピンホールが発生した内容器の熱接着性樹脂層の一部に内容器内部に充填された電解質が浸透した場合でも耐熱性樹脂層が内容器外部に電解質が漏れ出すのを防ぐことができる。したがって、本構成の電気化学セルは外装体内部の発熱およびヒートシール部のクラック又はピンホール発生を起因とする短絡の発生を防ぎより高い絶縁性を有する。
また、電気化学セル本体を内容器内部に熱接着で密封収納する際、電気化学セル本体の正極および負極の各々に連結される金属端子は内容器により挟持された状態で、その挟持部分を含む金属端子周辺がヒートシールされている。このとき、金属端子周辺で最内層の熱接着性樹脂層がヒートシール時の熱と圧により薄肉化して、金属端子周辺から電解質が内容器外部に漏れ出すことがある。また、ヒートシール後、電気化学セルの過充電等が原因で内容器内部の温度が上昇したとき、金属端子が発熱し、金属端子の挟持部分において、内容器の最内層に配された熱接着性樹脂層が溶融して、金属端子周辺から電解質が内容器外部に漏れ出す可能性がある。しかし、本構成の電気化学セルでは、内容器を構成する積層体に耐熱性樹脂層が含まれるため、内容器の最内層である熱接着性樹脂層が薄肉化または溶融しても、耐熱性樹脂層は溶融せず、金属端子周辺から電解質が内容器外部に漏れ出すのを防ぐことができる。また、内容器は金属箔層を含まない積層体で構成されているため、金属端子が発熱して、金属端子の挟持部分において、内容器の最内層に配された熱接着性樹脂層が溶融したとしても、内容器内で短絡が発生することはない。
本発明の第3の構成によると、上記電気化学セルにおいて、耐熱性樹脂層の両面にポリオレフィン樹脂層を有し、そのポリオレフィン樹脂層の少なくとも一方が酸変性ポリオレフィン樹脂層である金属端子フィルムを介して金属端子を内容器に挟持することにより、電気化学セル本体を内容器内部に熱接着で密封収納する際、電気化学セル本体の正極および負極の各々に連結される金属端子は内容器により挟持された状態で、その挟持部分を含む金属端子周辺がヒートシールされるとき、金属端子周辺で最内層の熱接着性樹脂層がヒートシール時の熱と圧により薄肉化しても、金属端子フィルムを構成する耐熱性樹脂層が溶融せず金属端子周辺から電解質が内容器外部に漏れ出すのを防ぐことができる。また、ヒートシール後、電気化学セルの過充電等が原因で内容器内部の温度が上昇したとき、金属端子が発熱し、金属端子の挟持部分において、内容器の最内層に配された熱接着性樹脂層が溶融しても、金属端子フィルムを構成する耐熱性樹脂層が溶融せず金属端子周辺から電解質が内容器外部に漏れ出すのを防ぐことができる。これにより、本構成の電気化学セルの絶縁性が確保される。また、金属端子フィルムを構成する酸変性ポリオレフィン樹脂層を金属端子側に配すことにより、金属端子と金属端子フィルムとの接着性を強固にし、金属端子周辺を折り曲げた場合でも、クラックや剥離が発生し難い。
本発明の第4の構成によると、上記電気化学セルにおいて、ポリエチレンナフタレートフィルムは水蒸気透過度が低いため、内容器を構成する積層体に含まれる耐熱性樹脂層にポリエチレンナフタレートフィルムを用いることにより、内容器外部から内容器内部に浸透しようとする水蒸気を遮断し、内容器内部に収納された電解質と水蒸気の反応によるフッ化水素酸の生成を抑制することができる。また、ポリエチレンナフタレートフィルムは所定の強度を有するため、内容器の耐突刺し性及び耐衝撃性を向上させることができる。
本発明の第5の構成によると、上記電気化学セルにおいて、ポリエチレンナフタレートフィルムは水蒸気透過度が低いため、金属端子フィルムに含まれる耐熱性樹脂層にポリエチレンナフタレートフィルムを用いることにより、金属端子周辺の内容器の端面から内容器内部に浸透しようとする水蒸気を遮断し、内容器内部に収納された電解質と水蒸気の反応によるフッ化水素酸の生成を抑制することができる。
本発明の第6の構成によると、上記電気化学セルにおいて、外容器を構成する積層体に含まれる金属箔層をアルミニウム箔で構成することにより、外容器の耐突刺し性及び耐衝撃性を向上させることができる。
本発明の第7の構成によると、上記電気化学セルにおいて、内容器と外容器の間に形成される空間を真空状態にすることにより、内容器と外容器の間に存在する水蒸気ガスが内容器内に浸透するのを防ぐことができる。
本発明は、耐熱性、水蒸気ガスバリア性、耐電解液性、絶縁性に優れる電気化学セルである。本発明の電気化学セルの一実施形態であるリチウムイオン電池について図等を利用してさらに詳細に説明する。なお、従来例の図8〜図15と共通する部分は説明を省略する。
図1は本発明の電気化学セルの一実施形態であるリチウムイオン電池151の斜視図であり、図2は図1に示したリチウムイオン電池151を内容器160と外容器170に分解して示す分解斜視図であり、図3は図2の内容器160を更に分解してリチウムイオン電池本体152を示す分解斜視図である。図1〜図3に示すように、リチウムイオン電池151はリチウムイオン電池本体152を内部に密封収納する電池用外装体150が内容器160と外容器170の二重構造をとる。ここで、図3に示すように、内容器160はエンボス部が形成されたトレイ160tの内部にリチウムイオン電池本体152を収納し、トレイ160tとシート160sの熱接着性樹脂層165(図4参照)同士を重ね合わせ、内容器160の周縁部(ヒートシール部160a(図7参照))をヒートシールすることにより、リチウムイオン電池本体152を内容器160内部に密封収納している。また、図2に示すように、外容器170はエンボス部が形成されたトレイ170tの内部に内容器160を収納し、トレイ170tとシート170sの熱接着性樹脂層175(図5参照)同士を重ね合わせ、外容器170の周縁部(ヒートシール部170a(図7参照))をヒートシールすることにより、内容器160を外容器170内部に密封収納している。
なお、リチウムイオン電池本体152は、正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、正極及び負極間に充填される電解質と(いずれも図示せず)を含むセル(蓄電部)と、セル内の正極及び負極に連結される金属端子154とから構成され、図3に示すように、内容器160内部にリチウムイオン電池本体152を密封収納する際、金属端子154は内容器160により金属端子フィルム190を介して挟持され。その挟持部分を含む金属端子154周辺がヒートシールされている。
また、図4は内容器160を構成する積層体の層構成を示す断面図であり、図5は外容器170を構成する積層体の層構成を示す断面図である。図4に示すように、内容器160を構成する積層体は耐熱性樹脂層163/熱接着性樹脂層165の順に積層されて構成されている。また、図5に示すように、外容器170を構成する積層体は基材層171/接着剤層177/金属箔層172/酸変性ポリオレフィン層174/熱接着性樹脂層175の順に積層されて構成されている。また、図6は金属端子フィルム190の層構成を示す断面図であり、図6に示すように、金属端子フィルム190は酸変性ポリオレフィン層194/耐熱性樹脂層193/酸変性ポリオレフィン層194の順に積層されて構成されている。また、図7は図1中のリチウムイオン電池151のA−A’における断面図である。なお、本発明の外容器170及び内容器160及び金属端子タブ190は上記各層を含むとともに各層間に異なる層を介在させた場合も本発明の技術範囲に含むものとする。
本実施形態のリチウムイオン電池151の外装体150は内容器160と外容器170の二重構造で構成され、内容器160に耐熱性樹脂層163を配し、外容器170に金属箔層172を配することにより、金属箔層172と耐熱性樹脂層163間の接着強度を考慮することなく、内容器160と外容器170を別々に成形することができる。したがって、本実施形態のリチウムイオン電池151にかかる外装体150は成形性に優れる。
図4に示すように、リチウムイオン電池本体152を内部に密封収納する内容器160は金属箔層を含まない積層体で構成されているため、内容器160は水蒸気ガスバリア性に乏しいが、耐熱性樹脂層163と熱接着性樹脂層165間の接着強度、耐電解液ラミネート強度は強固である。このため、内容器160は成形性に優れ、耐電解液性に優れる。また、図5に示すように、外容器170は金属箔層172を含む積層体で構成されているため、金属箔層172は外装体150の耐突刺し性及び耐衝撃性を確保し、内容器160を保護することができる。また、金属箔層172は水蒸気ガスバリア性に優れるため、外容器170外部から外容器170内部に浸透する水蒸気ガスを遮断することがきる(図7参照)。したがって、水蒸気ガスバリア性に乏しい内容器160の欠点を外容器170が補い、内容器160と外容器170の二重構造をとる外装体150全体で考えると優れた水蒸気ガスバリア性を提供することができる。
また、リチウムイオン電池本体152を内部に密封収納する内容器160は金属箔層を含まない積層体で構成されているため、リチウムイオン電池151の使用時にリチウムイオン電池本体152が発熱し、内容器160の最内層に配された熱接着性樹脂層165の一部が溶融した場合でも、内容器160内で短絡が発生することはない。
また、内容器160は金属箔層を含まない積層体で構成されているため、最内層の熱接着性樹脂層165にクラックやピンホールが発生した場合、内容器160を構成する耐熱性樹脂層163と熱接着性樹脂層165が透過性を有する樹脂で構成されていれば、外容器170から内容器160を取り出し、クラックやピンホールが発生した部位を目視により確認することができる。
また、図7に示すように、外装体150は内容器160と外容器170の二重構造をとり、内容器160を構成する積層体に耐熱性樹脂層163が含まれている。このため、リチウムイオン電池151の使用時にリチウムイオン電池本体152が発熱し、内容器160の最内層に配された熱接着性樹脂層165の一部が溶融した場合でも、耐熱性樹脂層163は容易に溶融しない。このため、内容器160の溶融した熱接着性樹脂層165の一部に内容器160内部に充填された電解質が浸透した場合でも、耐熱性樹脂層163が内容器160外部に電解質が漏れ出すのを防ぐことができる。
同様に、内容器160のヒートシール部160aを折り曲げて、最内層の熱接着性樹脂層165にクラックやピンホールが発生した場合でも、耐熱性樹脂層163は容易にクラックやピンホールが発生しない。したがって、クラックやピンホールが発生した内容器160の熱接着性樹脂層165の一部に内容器160内部に充填された電解質が浸透した場合でも耐熱性樹脂層163が内容器160外部に電解質が漏れ出すのを防ぐことができる。また、内容器160内部に充填された電解質が内容器160の外に漏れた場合でも、外容器170最内層には熱接着性樹脂層175が配されており、外容器170を構成する金属箔層172にこの電解質が浸透するのは防ぐことができる。
また、図3に示すように、耐熱性樹脂層193の両面に酸変性ポリオレフィン樹脂層194を有する金属端子フィルム190を介して金属端子154を内容器160に挟持した状態で、金属端子154周辺がヒートシールされている。これにより、金属端子154周辺で内容器160の熱接着性樹脂層165がヒートシール時の熱と圧により薄肉化しても、金属端子フィルム190を構成する耐熱性樹脂層193が溶融せず(図6参照)、金属端子154周辺から電解質が内容器外部に漏れ出すのを防ぐことができる。また、ヒートシール後、リチウムイオン電池151の過充電等が原因で内容器160内部の温度が上昇したとき、金属端子154が発熱し、金属端子154の挟持部分において、内容器160の最内層に配された熱接着性樹脂層165が溶融しても、金属端子190フィルムを構成する耐熱性樹脂層193が溶融せず(図6参照)、金属端子154周辺から電解質が内容器190外部に漏れ出すのを防ぐことができる。これにより、本実施形態のリチウムイオン電池151の絶縁性が確保されている。なお、外容器170が金属端子154を挟持する部分に金属端子フィルム190を介しても上記効果と同様の効果を得ることができる。また、外容器170に金属端子フィルムを介したとき、外容器170を構成する金属箔層172と金属端子154が接触し短絡するのを防ぐことができる。
また、本実施形態のリチウムイオン電池151の外装体150は内容器160と外容器170の二重構造で構成することで、内容器160に耐熱性樹脂層163を配し、外容器170に金属箔層172を配することができ、金属箔層172と耐熱性樹脂層163間の接着強度を考慮することなく、内容器160と外容器170を別々に成形することができる。また、内容器160を構成する積層体と外容器170を構成する積層体をそれぞれ異なる特性をもつ層構成にして内容器160と外容器170を組み合わせることにより、外装体150全体の機能を自由に設計することができる。
例えば、内容器160を構成する積層体として考えられるのは、耐熱性樹脂層163としてのポリエチレンナフタレートフィルムに熱接着性樹脂層165としてのポリプロピレン樹脂を積層したものや、耐熱性樹脂層163としてのポリエチレンテレフタレートフィルムに熱接着性樹脂層165としてのポリプロピレン樹脂を積層したもの、また、耐熱性樹脂層163の代わりに基材層としてのニ軸延伸ナイロンフィルムに熱接着性樹脂層165としてのポリプロピレン樹脂を積層したものを用いることもできる。このとき、ポリエチレンナフタレートフィルムは水蒸気透過度が低いため、内容器160外部から内容器160内部に浸透しようとする水蒸気を遮断し、内容器160内部に収納された電解質と水蒸気の反応によるフッ化水素酸の生成を抑制することができる。また、ポリエチレンナフタレートフィルム及びポリエチレンテレフタレートフィルムは所定の強度を有するため、内容器160の耐突刺し性及び耐衝撃性を向上させることができる。また、耐熱性樹脂層163の代わりに基材層としてのニ軸延伸ナイロンフィルムを用いた場合、ポリエチレンナフタレートフィルム及びポリエチレンテレフタレートフィルムと比較して耐熱性及び水蒸気ガスバリア性は低下するが、ニ軸延伸ナイロンフィルムとポリプロピレン樹脂との接着強度はポリエチレンナフタレートフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルムとポリプロピレン樹脂との接着強度より強固であり、この内容器160は耐電解液性、内部密封性に優れる。
また、内容器160を構成する積層体が金属箔層を含まないため、外装体150の水蒸気ガスバリア性は外容器170に求められる。したがって、外容器170は金属箔層172を含む積層体で構成され、高い水蒸気ガスバリア性を有する。また、金属箔層172としてアルミニウム箔を用いることにより、外容器170の成形性、水蒸気ガスバリア性、耐突刺し性及び耐衝撃性を確保することができる。具体的には、外容器170に高い水蒸気ガスバリア性を持たせる場合、金属箔層172であるアルミニウムの片面に基材層171であるニ軸延伸ナイロンフィルムをドライラミネート法により接着剤で貼り合わせ、溶融押出した酸変性ポリプロピレン樹脂にポリプロピレンフィルムを積層した積層体で外容器170を構成することができる。
また、内容器160が高い水蒸気ガスバリア性を有する積層体により構成されている場合、外容器170は低い水蒸気ガスバリア性を有する積層体で構成することも可能である。例えば金属箔層172として表面にアルミニウムを蒸着させたポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが挙げられる。具体的には、外容器170の水蒸気ガスバリア性が低くても良い場合、金属箔層172として表面にアルミニウムを蒸着させたポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、アルミニウムを蒸着させた面に基材層171であるニ軸延伸ナイロンフィルムをドライラミネート法により接着剤で貼り合わせ、ポリエチレンテレフタレートフィルムのもう一方の面に溶融押出した酸変性ポリプロピレン樹脂にポリプロピレンフィルムを積層した積層体で外容器170を構成することができる。
また、外容器170は水蒸気ガスバリア性、耐突刺し性及び耐衝撃性を確保すことができれば、外容器170として金属を射出成形して形成された金属容器を用いることも可能であり、外容器170の外表面にアルミラミネート材をインモールド成形した容器を用いることも可能である。
また、図7に示すように内容器160と外容器170の間に形成される空間は真空状態にすることが好ましく、真空状態にすることにより内容器160と外容器170の間に存在する水蒸気ガスが内容器160内に浸透するのを防ぐことができる。また、内容器160と外容器170の間に形成される空間に除湿材を充填することも可能である。また、本実施形態のリチウムイオン電池151では内容器160及び外容器170にトレイタイプのものを用いたが、パウチタイプのものを用いることも可能である。また、内容器160及び外容器170のどちらか一方にトレイタイプのものを用いて、もう一方にパウチタイプのものを用いることも可能である。
次に、図4〜図6に示した本実施形態のリチウムイオン電池151の外装体150を構成する各層について具体的に説明する。内容器160、外容器170の最内層に配された熱接着性樹脂層165、175は、金属端子154を外側に突出した状態で挟持して熱接着する。このとき、熱接着性樹脂層165、175と金属端子154との間に金属接着性を有する金属端子フィルム190を介在させるか否かで熱接着性樹脂層165、175を構成するプロピレンの種類は異なる。金属端子フィルム190を介在させる場合には、熱接着性樹脂層165、175にプロピレン系樹脂の単体ないし混合物などからなるフィルムを用いればよいが、金属端子フィルム190を介在させない場合、不飽和カルボン酸でグラフト変性した酸変性オレフィン樹脂からなるフィルムを用いる必要がある。
なお、熱接着性樹脂層165、175としてはポリプロピレンが好適に用いられるが、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンの単層または多層、または、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンのブレンド樹脂からなる単層または多層からなるフィルムも使用できる。また、ポリプロピレンには、ランダムプロピレン、ホモプロピレン、ブロックプロピレン等各タイプに分けることができる。
また、上記各タイプのポリプロピレン、すなわち、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレンには、低結晶性のエチレンーブテン共重合体、低結晶性のプロピレンーブテン共重合体、エチレンとブテンとプロピレンの3成分共重合体からなるターポリマー、シリカ、ゼオライト、アクリル樹脂ビーズ等のアンチブロッキング剤(AB剤)、脂肪酸アマイド系のスリップ剤等を添加してもよい。
また、本発明に係る熱接着性樹脂層165、175は上記各タイプのポリプロピレン層を適時組み合わせて多層化してもよい。
次に外容器170の最外層に配された基材層171について説明する。基材層171は、一般に、延伸ポリエステルまたはナイロンフィルムからなるが、この時、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。またナイロンとしては、ポリアミド樹脂、すなわち、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
また、基材層171は耐ピンホール性および電池の外装体とした時の絶縁性を向上させるために、ポリエステルフィルム又はナイロンフィルムの他、異なる材質のフィルムを積層化することも可能である。基材層171を積層体化する場合、基材層が2層以上の樹脂層を少なくとも一つを含み、各層の厚みが6μm以上、好ましくは、6〜25μmである。基材層を積層化する例としては、図示はしないが次の1)〜7)が挙げられる。
1)延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
2)延伸ナイロン/延伸ポリエチレンテレフタレート
3)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート(フッ素系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成)
4)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート(シリコーン系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成)
5)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
6)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
7)アクリル系樹脂/延伸ナイロン(アクリル系樹脂はフィルム状、または液状コーティング後乾燥で硬化)
なお、3)〜7)に示すように、包装材料の機械適性(包装機械、加工機械の中での搬送の安定性)、表面保護性(耐熱性、耐電解質性)、2次加工とてリチウムイオン電池用の外装体150をエンボスタイプとする際に、エンボス時の金型と基材層171との摩擦抵抗を小さくする目的あるいは電解液が付着した場合に基材層171を保護するために、基材層171を多層化、基材層表面にフッ素系樹脂層、アクリル系樹脂層、シリコーン系樹脂層、ポリエステル系樹脂層、及びこれらのブレンド物層等の保護層を設けることが好ましい。
また、上記延伸ポリエチレンテレフタレートの代わりに延伸ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを用いた場合にも同様の効果が得られる。また、基材層171は金属箔層172と、ドライラミネーション法等により接着剤層177を介して貼り合わされる。
次に外容器170に配される金属箔層172について説明する。金属箔層172は、外容器170の外部から内部に水蒸気が浸入することを防止するための層で、金属箔層単体のピンホール、及び加工適性(パウチ化、エンボス成形性)を安定化し、かつ耐ピンホール性をもたせるために厚さ15μm以上のアルミニウム、ニッケルなどの金属、又は、無機化合物、例えば、酸化珪素、アルミナ等を蒸着したフィルムなども挙げられるが、金属箔層172として好ましくは厚さが20〜100μmのアルミニウムとする。
また、ピンホールの発生を改善し、外容器170のタイプをエンボスタイプとする場合、エンボス成形におけるクラックなどの発生のないものとするために、金属箔層172として用いるアルミニウムの材質を、鉄含有量が0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%とすることが望ましい。
これによって、鉄を含有していないアルミニウムと比較して、アルミニウムの展延性がよく、外容器として折り曲げによるピンホールの発生が少なくなり、積層体をエンボス成形する時に側壁を容易に形成することができる。なお、鉄含有量が、0.3重量%未満の場合は、ピンホールの発生の防止、エンボス成形性の改善等の効果が認められず、アルミニウムの鉄含有量が9.0重量%を超える場合は、アルミニウムとしての柔軟性が阻害され、積層体の包装材料として製袋性が悪くなる。
また、冷間圧延で製造されるアルミニウムは焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化するが、本発明において用いるアルミニウムは焼きなましをしていない硬質処理品より、多少または完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウムがよい。
すなわち焼きなましの条件は、加工適性(パウチ化、エンボス成形)に合わせ適宜選定すればよい。たとえば、エンボス成形時のしわやピンホールを防止するためには、成形の程度に応じて焼きなましされた軟質アルミニウムを用いることができる。
また、金属箔層172であるアルミニウムの表、裏面に化成処理を施し化成処理層を形成すことによって、接着剤との接着強度を向上させることができる。
具体的には、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物等の耐酸性皮膜を形成することによってエンボス成形時の金属箔層172と酸変性ポリオレフィン層174との間のデラミネーション防止と、リチウムイオン電池の電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素により、アルミニウム表面の溶解、腐食、特にアルミニウムの表面に存在する酸化アルミが溶解、腐食することを防止し、かつ、アルミニウム表面の接着性を向上させることができる。
次に外容器170に配される酸変性ポリオレフィン層174及び金属端子フィルム190に配される酸変性ポリオレフィン層194について説明する。外容器170に配される酸変性ポリオレフィン層174は金属箔層172と熱接着性樹脂層175とを接着するために設ける層であり、金属端子フィルム190に配される酸変性ポリオレフィン層194は金属端子154と耐熱性樹脂層193とを接着するために設ける層である。このため、酸変性ポリオレフィン層174、194は熱接着性樹脂層175又は耐熱性樹脂層193に用いる樹脂種により適宜選択して用いる必要がある。酸変性ポリオレフィン層174、194には、酸変性ポリオレフィン樹脂を用いることができ、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体、あるいは、金属架橋ポリオレフィン樹脂等であり、必要に応じてブテン成分、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、非晶質のエチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等を5%以上添加してもよいものである。
また、酸変性ポリオレフィン層174、194は酸変性ポリプロピレンを用いることで、耐電解質性、接着強度に優れた外容器170、金属端子フィルム190を提供することができる。
酸変性ポリプロピレンを用いる場合、
(1)ビガット軟化点115℃以上、融点150℃以上のホモタイプ、
(2)ビガット軟化点105℃以上、融点130℃以上のエチレンープロピレンとの共重合体(ランダム共重合タイプ)
(3)融点110℃以上である不飽和カルボン酸を用い酸変性重合した単体又はブレンド物等を用いることができる。
次に、内容器160に配された耐熱性樹脂層163及び金属端子フィルム190に配された耐熱性樹脂層193について説明する。耐熱性樹脂層163、193にはポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の耐熱性に優れた樹脂フィルムを用いることができ、ポリエチレンナフタレートフィルムは、ポリエチレンテレフタレートフィルムや外装体の熱接着性樹脂層を形成する一般ポリオレフィン系樹脂や酸変性ポリオレフィン樹脂と比べて融点・ガラス転移点が高く水蒸気バリア性に優れるため、好適に用いることができる。ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚さとしては、6μm以上であり、好ましくは12〜25μmである。6μm未満では十分な耐熱効果を奏しないおそれがあり、25μm超ではコスト対効果(耐熱効果)において顕著な向上効果が見られない。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面には必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の周知の易接着手段を講じることができる。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明のリチウムイオン電池の斜視図 本発明のリチウムイオン電池を分解した分解斜視図 本発明のリチウムイオン電池を分解した分解斜視図 本発明のリチウムイオン電池を構成する内容器の積層構成を概念的に示した断面図 本発明のリチウムイオン電池を構成する外容器の積層構成を概念的に示した断面図 本発明のリチウムイオン電池を構成する金属端子フィルムの積層構成を概念的に示した断面図 図1で示した本発明のリチウムイオン電池のA−A’における断面図 従来のリチウムイオン電池を構成する包装材料の積層構成を概念的に示す断面図 従来のリチウムイオン電池の斜視図 図9で示したリチウムイオン電池の分解斜視図 従来のリチウムイオン電池の斜視図 図11で示したリチウムイオン電池の分解斜視図 従来のリチウムイオン電池の斜視図 図13で示したリチウムイオン電池のB−B’における断面図 図13で示したリチウムイオン電池のB−B’における断面図の変形例
符号の説明
160 内容器
170 外容器
11、31,171 基材層
12、32、172 金属箔層
34、177 接着剤層
174、194 酸変性ポリオレフィン層
15、35、165、175 熱接着性樹脂層
16、163、193 耐熱性樹脂層
17、37、177 接着剤層
20、40、150 外装体
20a、40a ヒートシール部
21、41、151 リチウムイオン電池
22、42、152 リチウムイオン電池本体
24、44、154 金属端子(タブ)
190 金属端子フィルム

Claims (6)

  1. 正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、前記正極及び前記負極間に充填される電解質とを含む電気化学セル本体を外装体内部に密封収納して構成される電気化学セルであって、
    前記外装体は内容器と外容器の二重構造をとり、
    前記内容器と前記外容器が前記正極および前記負極の各々に連結される金属端子の先端を外部に突出するように挟持し、
    前記内容器は最内層に熱接着性樹脂層を有し、金属箔層を含まない積層体で構成され、
    前記外容器は最内層に熱接着性樹脂層を有し、金属箔層を含む積層体で構成され、
    前記内容器を構成する積層体に耐熱性樹脂層が含まれることを特徴とする電気化学セル。
  2. 前記金属端子は耐熱性樹脂層の両面にポリオレフィン樹脂層を有し、前記ポリオレフィン樹脂層の少なくとも一方が酸変性ポリオレフィン樹脂層である金属端子フィルムを介して前記内容器に挟持されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
  3. 前記内容器を構成する積層体に含まれる前記耐熱性樹脂層がポリエチレンナフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気化学セル。
  4. 前記金属端子フィルムに含まれる前記耐熱性樹脂層がポリエチレンナフタレートフィルムであることを特徴とする請求項2に記載の電気化学セル。
  5. 前記外容器を構成する積層体に含まれる前記金属箔層がアルミニウム箔で構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1に記載の電気化学セル。
  6. 前記内容器と前記外容器の間に形成される空間が真空状態であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1に記載の電気化学セル。
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