JP5879722B2 - 電気化学セル用包装材料 - Google Patents

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Description

本発明は電気化学セル用包装材料に関し、特に、高温条件下における層間剥離を防ぐ電気化学セル用包装材料に関するものである。
図5は従来のリチウムイオン電池の斜視図であり、図6は図5のリチウムイオン電池のB−B’線断面図である。リチウムイオン電池221は、正極集電材/正極活性物質層/電解液層/負極活性物質層/負極集電材から構成されるリチウムイオン電池本体222とこれらを収納する外装体220からなる。外装体220は多層フィルムからなる電気化学セル用包装材料により形成される。
電気化学セル用包装材料は基材層211、金属箔層213、熱接着性樹脂層215が順次積層して構成され、周縁部220sにおいて対向する熱接着性樹脂層215同士が熱接着している。
一般的にリチウムイオン電池221は様々な環境下で使用されることが想定されており、例えば、リチウムイオン電池221が150℃以上の高温環境下に置かれた場合やリチウムイオン電池221自身が発熱した場合、リチウムイオン電池221内部でガスが発生するとともに、熱接着性樹脂層215が溶融して、周縁部220sの一部が剥離し、外装体220の一部が分離開口することがあった。このとき、リチウムイオン電池221内の電解質を含む有機溶剤が発火する問題があった。
このため、リチウムイオン電池の安全性評価試験の中で規格化されたものとして、米国UL(Underwriters Laboratories)規格の「UL1642」又は「UL2054」がある。評価試験規格「UL1642」ではリチウムイオン電池が150℃加熱試験をクリアする必要がある。
特許文献1では、金属箔層213と熱接着性樹脂層215との間に第2の内側樹脂層を設けている。また、熱接着性樹脂層215は第2の内側樹脂層より高い融点を持ち、第2の内側樹脂層は熱接着性樹脂層215より低いガラス転移温度を持っている。これにより、電池内部の電解液と金属層213とが熱接着性樹脂層215により安定して絶縁される。
特開2006−49219号公報
しかしながら、特許文献1の電気化学セル用包装材料によると、第2の内側樹脂層にポリエチレンが用いられ、熱接着性樹脂層215に相当する第1の内側樹脂層にポリプロピレンが用いられている。一般にポリエチレンは金属箔に対する接着性が低いとともにポリプロピレンに対しても接着性が低い。このため、金属箔層213と第2内側樹脂層の間及び第2の内側樹脂層と第1の内側樹脂層との間で十分な接着強度が得られない。この場合、電気化学セル用包装材料が不用意に層間剥離する問題があった。また、特許文献1の電気化学セル用包装材料によると熱接着性樹脂層215と第2の内側樹脂層のそれぞれの融点が開示されていない。このため、熱接着性樹脂層215と第2の内側樹脂層が近似した融点である場合には、高温条件下において熱接着性樹脂層215及び第2の内側樹脂層がほぼ同時に溶融して外装体の一部が分離開口する問題があった。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、高温条件下において外装体内部を封止した状態で維持することができる電気化学セル用包装材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、少なくとも基材層と、金属箔層と、酸変性ポリオレフィン層と、ポリオレフィン層と、を順次積層して構成される電気化学セル用包装材料であって、前記ポリオレフィン層の樹脂組成物の融点が前記酸変性ポリオレフィン層の樹脂組成物の融点より20℃以上高いことを特徴としている。
また本発明は、上記構成の電気化学セル用包装材料において、前記ポリオレフィン層の樹脂組成物の融点が150℃以上であることを特徴としている。
また本発明は、上記構成の電気化学セル用包装材料において、前記酸変性ポリオレフィン層が酸変性ポリプロピレン樹脂で構成され、前記ポリオレフィン層がポリプロピレン樹脂で構成されることを特徴としている。
本発明の第1の構成によれば、酸変性ポリオレフィン樹脂は金属箔に対する接着性が安定している。このため、酸変性ポリオレフィン層を介して金属箔層とポリオレフィン層とを強固に接着することができる。これにより、高温環境下における金属箔層とポリオレフィン層間の剥離を防ぐことができる。また、ポリオレフィン層の樹脂組成物の融点が酸変性ポリオレフィン層の樹脂組成物の融点より20℃以上高い。このため、高温環境下において酸変性ポリオレフィン層がポリオレフィン層より先に溶融する。これにより、電気化学セル用包装材料のポリオレフィン層を対向させて外装体を作製した場合、酸変性ポリオレフィン層が溶融した後においてもポリオレフィン層同士が接着した状態で残る。したがって、高温環境下において外装体内部を封止した状態で維持することができる。
本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の電気化学セル用包装材料において、150℃以上の高温環境下でも外装体内部を封止した状態で維持することができる。
本発明の第3の構成によれば、上記第1の構成又は第2の構成の電気化学セル用包装材料において、酸変性ポリオレフィン層を酸変性ポリプロピレン樹脂で構成し、ポリオレフィン層をポリプロピレン樹脂で構成することにより、高温環境下においてより安定した層間接着を得ることができる。
本発明の実施形態に係るリチウムイオン電池の斜視図 図1中のA−A’線断面図 本発明の実施形態に係る電気化学セル用包装材料の層構造を示す概略断面図 本発明の実施形態に係るリチウムイオン電池が高温環境下において内部膨張した状態を示す部分断面図 従来のリチウムイオン電池の斜視図 図5中のリチウムイオン電池のB−B’線断面図
以下、図面を参照しながら本発明の電気化学セル用包装材料及び電気化学セルについて説明する。図1はリチウムイオン電池121の斜視図であり、図2は図1中のA−A’線断面図であり、図3は電気化学セル用包装材料110の層構造を示す概略断面図である。
電気化学セルであるリチウムイオン電池121は電気化学セル用包装材料110から作製される外装体120内部にリチウムイオン電池本体122を密封収納して構成される。外装体120は収納部を有する凹部120aと収納部を覆うシート部120bにより構成される。凹部120aは底面120cと底面120cの外周縁から上方に起立する側壁120dと側壁120dの上端縁から外方へ水平方向に延出するフランジ120eにより構成される。
凹部120aの底面120cと側壁120dで囲まれる収納空間にリチウムイオン電池本体122が収納される。リチウムイオン電池本体122に連結される正極タブ123a及び負極タブ123bはフランジ120eにおいてタブフィルム(不図示)を介在させて凹部120aとシート部120bにより挟持されながら外部に延出する。なお、外装体120はエンボスタイプに限定されず、パウチタイプでもよい。パウチタイプの外装体は矩形状に断裁した電気化学セル用包装材料110を折り返して三方をシールすることによりリチウムイオン電池本体122を内部に密封収納することができる。
リチウムイオン電池本体122は、正極活物質及び正極集電体(不図示)から成る正極と、負極活物質及び負極集電体(不図示)から成る負極と、正極及び負極間に充填される電解質(不図示)とを含むセル(不図示)により構成される。セルは正極集電体が延出する正極板と負極集電体が延出する負極板を複数積層して構成される。正極板と負極板はセパレータ(不図示)を介して交互に複数積層される。積層された複数の正極集電体、負極集電体は重畳してそれぞれ一枚の正極タブ123a、負極タブ123bに連結する。
電気化学セル用包装材料110は、基材層111、接着層112、金属箔層113、酸変性ポリオレフィン層114、ポリオレフィン層115が順次積層して構成されている。金属箔層113の両面には化成処理が施され、金属箔層113と酸変性ポリオレフィン層114及び金属箔層113と接着層112との層間接着強度が高められている。なお、図2では、接着層112は省略し示していない。
なお、本実施形態に係る電気化学セル用包装材料110は上記各層を含むとともに各層間に異なる層を介在させてもよい。また、電気化学セル用包装材料110を構成する各層の樹脂組成物については後で詳細に説明する。
金属箔層113、酸変性ポリオレフィン層114、ポリオレフィン層115の積層方法は複数ある。一つ目の方法はポリエステル系の周知のドライラミネーション用接着剤を用いて酸変性ポリオレフィンフィルム及びポリオレフィンフィルムを積層する方法である。二つ目の方法は溶融した酸変性ポリオレフィン樹脂を金属箔表面に押し出して、溶融した酸変性ポリオレフィン樹脂を金属箔とポリオレフィンフィルムとで挟持して積層する方法である。三つ目の方法は溶融した酸変性ポリオレフィン樹脂とポリオレフィン樹脂とを金属箔表面に共押し出しして積層する方法である。本実施形態に係る電気化学セル用包装材料110はいずれの方法においても積層することができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂は高温環境下においても金属箔に対する接着性が安定している。このため、酸変性ポリオレフィン層114を介して金属箔層113とポリオレフィン層115とが強固に接着している。これにより、高温環境下における金属箔層113とポリオレフィン層115間の剥離を防ぐことができる。
図4はリチウムイオン電池121が高温環境下において内部膨張した状態を示す部分断面図である。外装体120内部でガスが発生すると、シート部120b及び凹部120aに内部から矢印方向にそれぞれ力が働く。これにより、シート部120b及び凹部120aの金属箔層113が上方及び下方にそれぞれ湾曲しようとする。ここで、ポリオレフィン層115の樹脂組成物の融点は酸変性ポリオレフィン層114の樹脂組成物の融点より20℃以上高い。このため、高温環境下において酸変性ポリオレフィン層114がポリオレフィン層115より先に溶融し始める。外装体120内部の気圧が高まると溶融した酸変性ポリオレフィン層114は変形する金属箔層113とポリオレフィン層115の間を接合し続けることができない。これにより、金属箔層113とポリオレフィン層115の層間が端面から部分的に剥離する。しかし、酸変性ポリオレフィン層114の溶融時においてもポリオレフィン層115同士は接着した状態で残る。このため、高温環境下において外装体120内部を封止した状態で維持することができる。したがって、リチウムイオン電池121内の電解質が外部に漏れ出すのを防ぎ、リチウムイオン電池121の安全性を高めることができる。
次に、電気化学セル用包装材料110を構成する各層について詳細に説明する。基材層111は、延伸ポリエステルまたは延伸ナイロンフィルムを用いることができ、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。またナイロンとしては、ポリアミド樹脂、すなわち、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
また、基材層111は耐ピンホール性および電池の外装体とした時の絶縁性を向上させるために、ポリエステルフィルム又はナイロンフィルムの他、異なる材質のフィルムを積層化することも可能である。
金属箔層113は、外部からリチウムイオン電池121の内部に水蒸気が浸入することを防止するための層で、金属箔層単体のピンホール、及び加工適性(パウチ化、エンボス成形性)を安定化し、かつ耐ピンホール性をもたせるために厚さ15μm以上のアルミニウムを用いる。
また、ピンホールの発生を改善し、リチウムイオン電池の外装体のタイプをエンボスタイプとする場合、エンボス成形におけるクラックなどの発生のないものとするために、金属箔層113として用いるアルミニウムの材質を、鉄含有量が0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%とすることが望ましい。
これによって、鉄を含有していないアルミニウムと比較して、アルミニウムの展延性がよく、外装体として折り曲げによるピンホールの発生が少なくなり、包装材料料をエンボス成形する時に側壁を容易に形成することができる。なお、鉄含有量が、0.3重量%未満の場合は、ピンホールの発生の防止、エンボス成形性の改善等の効果が認められず、アルミニウムの鉄含有量が9.0重量%を超える場合は、アルミニウムとしての柔軟性が阻害され、包装材料として製袋性が悪くなる。
また、冷間圧延で製造されるアルミニウムは焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化するが、本発明において用いるアルミニウムは焼きなましをしていない硬質処理品より、多少または完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウムがよい。
また、化成処理は、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、塗布型クロメート処理等のクロム系化成処理、あるいは、ジルコニウム、チタン、リン酸亜鉛等の非クロム系(塗布型)化成処理等により金属箔層113面に形成されるものであるが、連続処理が可能であると共に水洗工程が不要で処理コストを安価にすることができるという点などから塗布型化成処理、特にアミノ化フェノール重合体、3価クロム化合物、リン化合物、を含有する処理液で処理するのが最も好ましい。
また、化成処理の形成方法は、処理液をバーコー卜法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等の周知の塗布法を選択して成形すればよい。また、化成処理を施す前に金属箔層113表面に、予め、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、酸活性化法等の周知の脱脂処理法で処理を施しておく方が、化成処理の機能を最大限に発現させるとともに、長期間維持することができる点から好ましい。
ポリオレフィン層115は、タブフィルムを介在させる場合には、プロピレン系樹脂の単体ないし混合物などからなるフィルムを用いる。また、ポリオレフィン層115としてはポリプロピレンが好適に用いられるが、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンの単層または多層、または、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンのブレンド樹脂からなる単層または多層からなるフィルムとしても使用できる。
前記各タイプのポリプロピレン、すなわち、ランダムプロピレン、ホモプロピレン、ブロックプロピレンおよび、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンには、低結晶性のエチレンーブテン共重合体、低結晶性のプロピレンーブテン共重合体、エチレンとブテンとプロピレンの3成分共重合体からなるターポリマー、シリカ、ゼオライト、アクリル樹脂ビーズ等のアンチブロッキング剤(AB剤)、脂肪酸アマイド系のスリップ剤等を添加してもよい。
酸変性ポリオレフィン層114は金属箔層113とポリオレフィン層115とを安定して接着するために酸変性ポリプロピレンが好適に用いられる。酸変性ポリオレフィン層114はポリオレフィン層115に用いる樹脂種により適宜選択して用いる必要があり、酸変性ポリプロピレン以外の酸変性ポリオレフィン樹脂を用いる場合、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体、あるいは、金属架橋ポリオレフィン樹脂等があり、必要に応じてブテン成分、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、非晶質のエチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等を5%以上添加してもよい。
また、酸変性ポリプロピレンを用いる場合、
(1)ビカット軟化点115℃以上、融点150℃以上のホモタイプ
(2)ビカット軟化点105℃以上、融点130℃以上のエチレンープロピレンとの共重合体(ランダム共重合タイプ)
(3)融点110℃以上である不飽和カルボン酸を用い酸変性重合した単体又はブレンド物等を用いることができる。
接着層112は、基材層111と金属箔層113を強固に接着するものである。これらの層間接着はドライラミネート法、押出ラミネート法、共押出ラミネート法、熱ラミネート法等の方法を用いることができる。
ドライラミネート法により貼り合わせを行う際には、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリエーテル系、シアノアクリレート系、ウレタン系、有機チタン系、ポリエーテルウレタン系、エポキシ系、ポリエステルウレタン系、イミド系、イソシアネート系、ポリオレフィン系、シリコーン系の各種接着剤を用いることができる。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、電気化学セルとはリチウムイオン電池以外にニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムメタル一次電池あるいは二次電池、リチウムポリマー電池等の化学電池及び電気二重層キャパシタ、キャパシタ、電解コンデンサを含み、電気化学セル本体とは包装材料封入前の正極活物質及び正極集電体から成る正極と、負極活物質及び負極集電体から成る負極と、正極及び負極間に充填される電解質とを含むセル(蓄電部)と、セル内の正極及び負極に連結される電極端子等、電気エネルギーを発生させる電気デバイス要素全てを含むものである。
[実施例]
以下、本発明の作用及び効果について、実施例を用いて具体的に説明する。実施例は、高温条件下における層間剥離について評価したものである。
アルミニウム(厚さ40μm)の両面に化成処理を施し、一方の化成処理面に、延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)を2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により貼り合わせた。次に、他の化成処理面に酸変性ポリプロピレン(厚さ22.5μm、以下酸変性PPと略す)とポリプロピレン(厚さ22.5μm、以下PPと略す)を2層共押出しして積層した。これにより、延伸ナイロンフィルム/アルミニウム/酸変性PP/PPで構成される積層フィルムを得た。
なお、化成処理層にはフェノール樹脂、フッ化クロム化合物、リン酸からなる処理液をロールコート法により塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件において焼付けた。ここで、クロムの塗布量は10mg/m2(乾燥重量)とした。
このとき、酸変性PPの融点が120℃であって、PPの融点が140℃の積層フィルムを本発明1に係る電気化学セル用包装材料とした。
また、酸変性PPフィルムの融点が140℃であって、PPフィルムの融点が160℃の積層フィルムを本発明2に係る電気化学セル用包装材料とした。
また、酸変性PPフィルムの融点が140℃であって、PPフィルムの融点が120℃の積層フィルムを比較例1に係る電気化学セル用包装材料とした。
また、酸変性PPフィルムの融点が120℃であって、PPフィルムの融点が120℃の積層フィルムを比較例2に係る電気化学セル用包装材料とした。
[高温条件下における層間剥離の評価]
本発明1、2及び比較例1、2に係る積層フィルムを120mm×120mmに断裁して中央を折り返し線として二つ折りにした。次に、対向する短辺を周縁から5mm幅でヒートシールして長辺側に開口部を形成した。次に、開口部から5mlの水を注入した後、開口部である長辺を周縁から5mm幅でヒートシールした。これにより、本発明1、2及び比較例1、2に係る積層フィルムからなる袋体内部に水がそれぞれ封入された。
次に、本発明1及び比較例1、2に係る各袋体を120度の恒温槽に15分浸漬した後、恒温槽から取り出した。そして、目視によりヒートシール部における剥離および水漏れの有無を観察した。なお、水漏れの有無はヒートシール部の剥離が観察された部位を下方に向けて袋体を上下方向及び左右方向に振った後に観察した。
同様にして本発明2に係る袋体を150度の恒温槽に15分浸漬した後、恒温槽から取り出した。そして、目視によりヒートシール部における剥離および水漏れの有無を観察した。なお、水漏れの有無はヒートシール部の剥離が観察された部位を下方に向けて袋体を上下方向及び左右方向に振った後に観察した。
その結果、本発明1の袋体ではヒートシール部に直径3mmの剥離が観察されたが、水漏れは観察されなかった(○)。また、本発明2の袋体ではヒートシール部に直径3mmの剥離が観察されたが、水漏れは観察されなかった(○)。また、比較例1の袋体ではヒートシール部に直径3mmの剥離が観察され、水漏れが観察された(×)。また、比較例2の袋体ではヒートシール部に直径3mmの剥離が観察され、水漏れが観察された(×)。
このことから、ポリオレフィン層の樹脂組成物の融点を酸変性ポリオレフィン層の樹脂組成物の融点より20℃以上高く設定することにより、一定の高温条件下においても層間剥離を防ぎ、電気化学セルが一定の安全性能を示すことがわかった。また、ポリオレフィン層の樹脂組成物の融点を150℃以上に設定することにより、150℃以上の高温条件下においても層間剥離を防ぎ、電気化学セルが一定の安全性能を示すことがわかった。
本発明は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムメタル一次電池あるいは二次電池、リチウムポリマー電池等の化学電池及び電気二重層キャパシタ、キャパシタ、電解コンデンサを包装する外装体として用いることができる。
110 電気化学セル用包装材料
111 基材層
112 接着層
113 金属箔層
114 酸変性ポリオレフィン層
115 ポリオレフィン層
120 外装体
120a 凹部
120b シート部
120c 底面
120d 側壁
120e フランジ
121 リチウムイオン電池
122 リチウムイオン電池本体
123a 正極タブ
123b 負極タブ

Claims (1)

  1. 少なくとも基材層と、金属箔層と、酸変性ポリオレフィン層と、ポリオレフィン層と、を順次積層して構成される電気化学セル用包装材料の製造方法であって、
    前記ポリオレフィン層の樹脂組成物の融点が前記酸変性ポリオレフィン層の樹脂組成物の融点より20℃以上高く、
    前記ポリオレフィン層と前記酸変性ポリオレフィン層の樹脂組成物を2層共押出しして積層したことを特徴とする電気化学セル用包装材料の製造方法。
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