JP4972816B2 - ポリマー電池用包装材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
ピンホールの発生によるバリアー性の低下が問題となる食品、トイレタリー製品、医薬品、化学品、電気製品等の包装材料であって、特に固体有機電解質(高分子ポリマー電解質)をもつ二次電池等に用いられる包装材料の、特にその材質構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、前記ポリマー電池はリチウム2次電池ともいわれ、高分子ポリマー電解質を持ち、リチウムイオンの移動で電流を発生する電池といわれ、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。
ポリマー電池の用途としては、パソコン、携帯端末装置(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等に用いられる。
そして、該ポリマー電池の構造は、アルミニウム、ニッケルなどからなる正極集電材、金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリルニトリル等の高分子正極材料からなる正極活性物質層、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、炭酸エチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質等からなる電解質層、リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリルニトリル等の高分子負極材料からなる負極活性物質層、そして銅、ニッケル、ステンレス等からなる負極集電材、及び、それを包装する外装体からなる。
前記ポリマー電池の外装体としては、金属をプレス加工し円筒状、直方体状に容器化した金属缶、あるいは、最外層/アルミ箔/シーラント層から構成される多層フィルムを袋状にしたものが用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、ポリマー電池の外装体として次のような問題があった。金属製缶においては、容器外壁がリジッドであるため、電池自体の形状が決められてしまう。そのため、ハード側を電池に合わせ設計するため、該電池を用いるハードの寸法が電池により決定されてしまい形状の自由度がなくなる。
また、多層フィルムからなる袋状の外装体は、前記金属缶のように、電池自体により、電池を用いるハードの形状の自由度の制限は無くなるが、ポリマー電池の外装体として要求される物性・機能を、十分に満足し得る包装材料はいまだ開発されていないのが現状である。前記要求される物性・機能とは次のようなものである。
ポリマー電池は、安定した充放電特性とフレキシビリティ、省スペースを兼ねそなえたものである。このようなポリマー電池の特性を示すために、外装体として用いられる包装材料は電池を省スペースで収納する機能が求められている。一般に、省スペース化するために、外装体としては製袋してパウチタイプとしたり、絞り加工を施して成形タイプとしたりするが、これらの外装体に電池構成物(ポリマー電池本体)を充填後、外部に電流を取り出す電極とともに開口部が密封溶着される。前記電池構成物は通常3mm 以上の厚さを有することから包装材料はパウチにする場合は、ヒートシール部分では構成層が屈曲され、また、成形加工の場合は、ヒートシール部分での屈曲のみでなく、包装材料に、プレス、圧空、真空、絞り等の加工を施し、深さ3mm 以上に容器化する必要がある。また一度シールされた部分を折り返し、省スペース化を施す場合も考えられる。
水蒸気バリア層は、電池を構成する上で、電池内への水分の透過を限りなくゼロにするために、金属箔、例えばアルミニウム箔等が用いられているが、該金属箔は、前記製袋または成形などの加工前はもとより、加工後もピンホールが発生してはならない。しかるに、一般的に、樹脂層は必要に応じ加熱することで屈曲性、容器化はできるものの、水蒸気バリア層として用いられているアルミニウム箔は金属の中で伸び易い傾向は持つものの15μm未満の厚さにおいてはピンホール無く加工されることが難しい。
例えば、ポリマー電池の外装体としては、前記ポリマー電池本体の基体部と電極の一部を外気と遮断した密封系に保持する必要があり、前記電極は金属により構成されているため、前記多層フィルムの最内層は、最内層同士のヒートシール性と前記電極との接着性、特にヒートシール性を有することが必要である。
また、ポリマー電池は、充電/放電による内容物である電池の温度上昇によるヒートシールの安定性と密封系の確保や、使用される環境温度が、例えば夏期における車のダッシュボードや、冬季における寒冷地での使用などに耐えるために用いられるハードとともに、耐熱性、耐寒性が求められ、前記の厳しい環境下においても、外装体としてヒートシールの安定性と密封系の確保が要求される。
また、ポリマー電池の場合、その電池内容物として、カーボネート系溶剤とリチウム塩からなる電解質が外装体に悪影響を及ぼし多層フィルム層間の接着強度を低下させることがあった。
さらに、水蒸気が密封系内に浸入すると、電解質が加水分解により酸と熱が発生し、金属から構成される層を腐食させ層間の接着強度を低下させ、また、発生する熱のために電池が発火することもある。また、温度上昇により電池の起電力の低下が起こり、接続されている機器が停止、故障することもある。
これらの問題の要因となる前記電解質の加水分解は、いずれも、電池の密封系内に外部からの水分が浸入することによる。従って、外装体としては、外部からの水蒸気を遮断する(バリア性)が求められる。そのために、水蒸気バリア性の良好なアルミニウム箔等の金属箔を用いることがあるが、使用するまでの間にうける振動によるピンホールの発生や、成形タイプの容器の場合の加工時でのクラックの発生等の問題があった。
また、ポリマー電池に限らず、電池の外装体としては、該外装体の回りにある機器(ハード)と通電しないこと、また、電極同士が接触通電しショートすることがない構造が求められる。
ポリマー電池の外装体として、前記金属缶、袋の他に、成形トレイと蓋材とにより密封する形状も考えられる。この場合にも、ヒートシール性を有する最内層樹脂の選択と、前記トレイを成形する際の、成形性のよい積層体が求められていた。しかし、現在、前記課題に対応可能な包装材料は、提供されていなかった。
本発明は、高度のバリア性を求められる食品や医薬品またはポリマー電池等の包装材料として、パウチタイプまたは成形タイプの外装体として用いることのできる積層体の構成であって、製袋や成形等の際の加工性はもとより、前記ポリマー電池ケースとしての密封性、耐内容物性、水蒸気バリア性、その他、耐熱性、耐寒性等に優れた積層体の構成を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリマー電池用包装材料は、少なくとも最外層/バリア層/最内層からなる積層体であって、前記バリア層が、鉄含有量が、0.3〜9.0%である軟質アルミニウム箔であり、前記バリア層の最内層側表面にエポキシ系、フェノール系、メラミン系、ポリイミド系、不飽和ポリエステル系、ポリウレタン系、アルキッド系、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート系共重合体やポリブチレンテレフタレート系共重合体、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンとアクリル酸およびメタクリル酸誘導体との共重合体の少なくとも一つを30%以上を含む樹脂層を少なくとも一層含む保護層が形成され、前記保護層と前記最内層との間に中間層があり、前記保護層と前記中間層との間に不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテンのいずれかの樹脂で形成された接着層が設けられていること、最外層が、厚さ6μm以上の延伸ポリエステルまたは延伸ナイロンを少なくとも1層含むこと、前記中間層が、厚さ10μm以上のポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂を少なくとも1層含むこと、最外層および/または中間層に用いるポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート共重合体またはポリブチレンテレフタレート共重合体であること、最内層が厚さ10μm以上の融点80℃以上、ビカット軟化点が70℃以上の不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテンのいずれかを含む不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン系樹脂からなること、最内層がポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマーの内のいずれかからなること、最内層がエチレンまたはプロピレンとアクリル酸またはメタクリル酸誘導体との共重合体であることを含むものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる包装材料について、さらに詳細に説明する。以下の説明においては、ポリマー電池の包装材料を例として記載するが、本発明の包装材料は、食品用あるいは医薬品用の包装材料としても利用可能である。
図1は、本発明の包装材料の実施例を示す、(a)基本的層構成、(b)別の実施例を示す層構成、(c)ポリマー電池の構造を説明する斜視図、(d)X1 −X1 部の断面図、(e)X2 −X2 部の断面拡大図である。図2は、本発明の包装材料の別の実施例を示す、(a)基本的層構成、(b)ポリマー電池の構造を説明する斜視図、(c)成形タイプの外装体のポリマー電池の斜視図、(d)X3 −X3 部断面図である。図3は、本発明の包装材料を利用するポリマー電池の外装体のその他の形式を示す平面図とその各断面図である。
【0006】
本発明の課題について、本発明者らは鋭意研究の結果、多層構造からなる包装材料であって、次に説明する各材質からなる積層体とすることによって本発明の課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに到った。本発明にかかるポリマー電池は、図1(c)および図1(d)に示すように、ポリマー電池本体2を、ピロータイプの形状の外装体4の中に封入し、電極の一部を外装体の外に露出させた構造である。そして、前記外装体を形成するポリマー電池用包装材料(または積層体)10は、基本的に、図1(a)に示すように、最外層11/水蒸気バリア層12/最内層15、の3層からなる積層体10とし、それぞれの層は次のような材質とする。
【0007】
本発明にかかる包装材料により形成される外装体のタイプは、図1(c)に示すようなパウチタイプ、また、図2(b)に示すような成形タイプがある。その他、図3(a)に示すような三方シールタイプ、図3(b)に示すような四方シールタイプの袋がある。
【0008】
本発明における前記最外層は、延伸ポリエステル又は延伸ナイロンからなるが、この時、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート等が挙げられる。またナイロンとしてはポリアミド系樹脂、すなわち、ナイロン6、ナイロン66が挙げられる。この最外層は、厚さ6 μm以上、好ましくは12〜25μmの延伸ポリエステル、または延伸ナイロンを少なくとも 1層含む層とする。最外層は、ポリマー電池として用いられる場合、ハードと直接接触する部位であるため、基本的に絶縁性を有する樹脂層がよい。フィルム単体でのピンホールの存在、および加工時のピンホールの発生等を考慮すると、最外層は 6μm以上の厚さが必要であり、好ましい厚さとしては12〜25μmである。本発明においては、最外層は耐ピンホール性および電池の外装体とした時のハードとの絶縁性を向上させるために、積層化することも可能である。その場合、最外層が2層以上の樹脂層を少なくとも一つ含み、各層の厚みが 6μm以上、好ましくは12から25μmである。最外層を積層化する例としては、図示はしないが次の1)〜6)が挙げられる。1)延伸ポリエチレンテレフタレート/ 延伸ナイロン2)延伸ポリエチレンテレフタレート/ ポリエチレンまた、包装材料の機械適性(包装機械、加工機械の中での搬送の安定性)や、2次加工としてポリマー電池用の外装体を成形タイプとする際に、成形時の金型と最外層との摩擦抵抗を小さくする目的で、最外層を多層化、最外層表面にフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂層を設けることが好ましい。例えば、
3)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート(フッ素系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成)4)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレートとする。シリコーン系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成する。5)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン6)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
【0009】
上記最外層を積層化する接着層は、ポリエステル系、ポリエーテル系、ウレタン系、ポリエーテルウレタン系、ポリエステルウレタン系、イソシアネート系、ポリオレフィン系、ポリエチレンイミン系、シアノアクリレート系、有機チタン化合物系、エポキシ系、イミド系、シリコーン系樹脂およびこれらの変性物または混合物からなる。
【0010】
前記バリア層12は、包装袋の外部から内部に、水蒸気その他のガスが浸入することを防止するための層で、柔軟性のある金属、好ましくは軟質アルミニウムとする。
【0011】
一方、包装材料としてのアルミニウムは、バリア性を有する材料として、他の材料と積層されて用いられることが多いがアルミニウムは金属の中でも比較的有機溶剤、酸、アルカリなどに腐食されやすい。例えば、ポリマー電池の多くは、ポリマー電池本体に活物質やポリマー電解質の中に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、アセトンなどの有機溶剤を含む。また、ポリマー電解質のリチウム塩は水と反応し強酸であるフッ化水素(HF)を発生させる。このような、有機溶剤、酸等によりアルミニウム表面が腐食されると、最内層或いは中間層等との接着力が弱まり、デラミネーションを起こし包装材としての機能がなくなる。
そこで、本発明者は種々の実験等により、図1(b)に示すように、アルミニウム表面に耐溶剤性、耐酸性を持つ樹脂層を形成することにより、アルミニウム表面の腐食等を防止できることを見い出した。そして、前記樹脂層(以下、保護層13と記載する)は、意外にも、アルミニウム表面を保護するばかりでなく、中間層14との接着性を兼ね備えていることが確認された。本発明において、アルミニウム表面に設ける保護層13に用いる物質としては、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン(Poa )、ポリエチレンテレフタレート共重合体やポリブチレンテレフタレート共重合体などの共重合ポリエステル系(Co-PET)、アイオノマー(Io)、エチレン・酢酸ビニル共重合体系(EVA )、エチレンとアクリル酸およびメタクリル酸との共重合体系(EMA )、ポリエーテルウレタン系(PeU )等の樹脂、およびこれらの変性物の少なくとも一つを30%以上含む樹脂層を少なくとも一層含むものであればよい。
【0012】
本発明においては、バリア層と最内層との間に中間層を設ける事ができる。中間層を設けることによって、前記バリア層の保護と、製袋の際のヒートシールの熱接着性樹脂層14と圧力によってヒートシール層である最内層14が薄くなり、電極3とアルミニウム箔(バリア層)12とが接触(短絡発生)することを防止し、また、中間層13は電池の環境適性(耐熱性、耐寒性)を安定化する効果を示す。中間層は、厚さが10μm以上、融点は80℃以上であって、好ましくは12〜25μmのポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂の内の少なくとも1 層含むものである。
【0013】
前記中間層は、中間層としての機能を高めるために、単層のみでなく、多層化することもできる。中間層13を多層化する場合は、その形成を共押出し法によって積層してもよく、また各層をドライラミネーション法を用いて積層してもよい。例えば、中間層13を共押出し法により多層化する場合は、以下に示すような2 層以上の層構成からなり、各層の厚さが10〜100 μm、好ましくは15〜25μmである。共押出し法による多層の中間層としては、以下に示す1)〜9)のような層構成を挙げることができる。
1)不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン/HDPE
2)不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン/PP(融点120 ℃以上、好ましくは135 ℃以上)
3)不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン樹脂/ ポリメチルペンテン( 融点120 ℃以上、好ましくは135 ℃以上) 、HDPE、PP
4)不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、又は不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン/ 不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン樹脂(2層)
5)不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、又は不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン/ 不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン樹脂/ 不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、または不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン(3層)
6)不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、又は不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン/ 不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン樹脂/ 不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン(3層)
7)不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、又は不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン/ 不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン樹脂/ ポリメチルペンテン/不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン樹脂(4層)
8)不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、又は不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン/ 不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン樹脂/ ポリメチルペンテン/不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン樹脂/ 不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、又は不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン(5層)
9)不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、又は不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン/ 不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン樹脂/ 不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、又は不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン(3層)
【0014】
中間層をドライラミネーションにより多層化する場合の具体的層構成の例としては、次の1)〜9)が挙げられる。
1)不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、又は不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、又は不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン樹脂/HDPE
2)同上/PP(融点120 ℃以上、好ましくは135 ℃以上)
3)同上/ ポリメチルペンテン
4)同上/ 融点135 ℃以上、ビカット軟化点が110 ℃以上の不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン
5)同上/ 延伸ポリエチレンテレフタレート
6)同上/ ポリブチレンテレフタレート
7)同上/ ポリエチレンナフタレート
8)同上/ フッ素系樹脂
9)不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、又は不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、又は不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン樹脂/HDPE、PP、ポリメチルペンテン、不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン樹脂、延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、フッ素系樹脂/ 不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、又は不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、又は不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン樹脂
上記、中間層を多層化する接着層はポリエーテルウレタン系、ポリエステルウレタン系、イソシアネート系、ポリオレフィン系、ポリエチレンイミン系、シアノアクリレート系、有機チタン化合物系、エポキシ系、イミド系、シリコーン系樹脂等で形成される。
前記中間層に用いるポリエステル系樹脂が、ポリエチレンテレフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレート共重合体とすることができる。
【0015】
本発明におけるポリマー電池用包装材料の最内層14は、最内層14同士がヒートシール性を有するとともに、図1(e)に示すように、電極3である金属に対してもヒートシール性を示し、かつ、内容物により変質、劣化しない材質を検討した結果、厚さ10μm以上、好ましくは50〜100 μmであって、融点80℃以上、ビカット軟化点が70℃以上の不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテンなどの不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン系樹脂が良好な結果を示した。
【0016】
前記不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン系樹脂は、電極3との接着性、耐熱性、耐寒性、加工適性(パウチ化、成形性)のいずれにも適している。
最内層15の厚さが20μm未満では、電極3をヒートシールした時、その部分に 隙間ができ、水蒸気バリア性がなくなる。また、融点、ビカット軟化点が低い場合、耐熱性、耐寒性がなくなりフィルム同士および電極3との接着強度が低下し破袋する。また、最内層の厚さが 100μmを超えても、ヒートシール強度は変わらず、積層体としての厚さが増して、本発明の課題である省スペースに逆行する。また、前記各種の不飽和カルボン酸グラフトポリマーは、それぞれ単体で用いてもよいが、ブレンドをすることでもその性質は満足される。
【0017】
本発明の包装材料を用いてポリマー電池の外装体とする場合において、外装体4の形状を図2(b)に示すように、成形トレイ方式とする場合がある。この場合、底材6は、電池本体の収納部となる成形部8と、蓋材7と密封シールするフランジ部9とからなる。底材の包装材料6は図2(a)に示すように4層構成の積層体を基本とするが、その最外層11および/または中間層13に用いるポリエステル系樹脂をポリエチレンテレフタレート共重合体またはポリブチレンテレフタレート共重合体とし、フィルム化における延伸倍率を小さくすることが好ましい。前記共重合体とすることによって、成形トレイの成形形状がシャープとなり、電池本体の収納性がよくなる。ただし、蓋材7は成形しないために、共重合体にする必要はない。
【0018】
前記バリア層であるアルミ表面は、例えば、ポリマー電池の電解質が吸湿することで発生する酸により腐食し、中間層がアルミから剥離するおそれがある。その対策として、種々の研究の結果、図1(b)に示すように、耐熱性、耐寒性、2次加工性を有する物質を予めアルミ表面にコーティング、または加熱溶融して樹脂層として保護層13を形成することで、前記の問題、腐食をも防止できることを見いだした。これらは単独で用いるのも良いが、変性等により使用したり、または2種以上のブレンドで用いても良い。さらに、1層のみでは効果が小さい場合、多層化することもできる。
【0019】
保護層13としてバリア層と中間層、又は、バリア層と最内層との間に0.5 μmから50μm、好ましくは1 〜30μmの融点80℃以上、ビカット軟化点が70℃以上の不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、または不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテンを含む不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン樹脂層からなる保護層13を形成することができる。保護層13としての不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンからなる樹脂層は、バリア層の最内層面に押出しコートにより形成してもよいし、予め、前記樹脂からなるフィルムを製膜しておいて、ドライラミネーションまたは熱ラミネーションをしてもよい。
【0020】
保護層13の形成法としては、バリア層12の最内層側表面に0.5 μmから10μm、好ましくは1 から30μmのエポキシ樹脂、ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素樹脂、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系共重合体、ポリブチレンテレフタレート系重合体、ポリエステルとエチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエステルとポリスチレンの共重合体、アイオノマー、エチレンとアクリル酸およびメタクリル酸誘導体との共重合体の少なくとも一つを30%以上含む樹脂を液状コーティングした後、150 ℃、10秒以上の焼き付け処理を施すことにより保護層としてもよい。
【0021】
また、 0.5μmから50μm、好ましくは1 から30μmのエポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素樹脂、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系共重合体、ポリブチレンテレフタレート系重合体、ポリエステルとエチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエステルとポリスチレンの共重合体、アイオノマー、エチレンとアクリル酸およびメタクリル酸誘導体との共重合体の少なくとも一つを30%以上含む保護層となるフィルムを形成し、バリア層とドライラミネーションにより接着してもよい。この場合には、バリア層と保護層との間を1 μmから10μmのポリエーテルウレタン系、ポリエステルウレタン系、イソシアネート系、ポリオレフィン系、ポリエチレンイミン系、シアノアクリレート系、有機チタン化合物系、エポキシ系、イミド系、シリコーン系樹脂で形成した積層により積層してもよい。
【0022】
また、別の積層方法として、バリア層12の最内層側表面に 0.5μmから10μm、好ましくは1 μmから30μmのエポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素樹脂、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系共重合体、ポリブチレンテレフタレート系共重合体、ポリエステルとエチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエステルとポリスチレンの共重合体、アイオノマー、エチレンとアクリル酸およびメタクリル酸誘導体との共重合体の少なくとも一つを30%以上含む保護層を形成し、前記保護層と中間層、又は、保護層と最内層との間に1 μmから50μmの融点80℃以上、ビカット軟化点が70℃以上の不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、または不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテンを含む樹脂層からなる上記構成の包装材料を介在させて熱ラミネーションする。この方法により、バリア層(正確には保護層)と中間層との接着力が向上し、さらに耐熱性、耐寒性、2 次加工でのデラミネーション防止となる。
また、バリア層と保護層との間に、シランカップリング層を形成し、バリア層と保護層との密着力を上げることもできる。
【0023】
本発明の包装材料の積層方法として、以上に述べた保護層13と中間層または最内層との間、中間層と最内層との間は、ドライラミネーション法により積層することができる。
【0024】
最内層15または中間層とバリア層12あるいは前記保護層13との間に、厚さ10〜50μm、好ましくは15から25μmである、不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテンなどの不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを押出してサンドイッチラミネーションしても良いし、前記樹脂を予め製膜しておいて、バリア層12と中間層、中間層と最内層15と順次ドライラミネーションすることにより積層してもよい。
【0025】
本発明のポリマー電池用包装材料においては、それを構成する積層体の各層に、適宜、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(成形、パウチ)適性を向上、安定化する目的のために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性・不活性処理を施し、また、乾燥材など吸湿・吸水付与物質、酸素・窒素などの気体遮断・吸着付与物質、難燃性付与物質、カーボン・界面活性剤・無機酸化物等の静電気防止・帯電防止付与物質、導電性、電磁波シールド材付与物質など、無機・有機・金属添加物の添加、または液状コーティングをしてもよい。
【0026】
本発明のポリマー電池用包装材料を積層する場合、積層体を形成する各層はTダイ法、インフレーション法、共押出し法等で製膜し、コーティング、蒸着、紫外線硬化、電子線硬化、ドライラミネーション、押出しラミ、共押出しラミネーション、サーマルラミネーション(熱ラミネーション)により積層化し得る。また、積層する方法としては、代表的に次の3方法を用いることができる。
(1) 第1基材として、最外層/バリア層の積層体と中間層/最内層からなる第2基材積層体をそれぞれ準備し熱ラミする方法。
(2) 第1基材として最外層/バリア層、第2基材として中間層の一部/最内層の積層体、又は最外層のみを準備し中間層により押出しラミネーション(共押出しを含む)する方法。この場合必要に応じ、再度熱ラミネーションをする方法。
(3) すべてをドライラミネーションで貼りあわせる方法である。
【0027】
本発明の包装材料は、前記ポリマー電池用の包装材料としてのほか、一般のパウチ、ラミチューブ等の包装材料としても使用できるものである。
【0028】
【実施例】
本発明を具体的に説明するため、パウチタイプと成形タイプの積層体を下記のように作成してそれぞれを評価した。
評価としては、実施例および比較例のa)電池の外観、ピンホールの発生の有無、電極部ヒートシール部の断面検査(電極とバリア層の接触確認)b)環境条件(1)40 ℃、90%RHおよび(2)60 ℃、85℃( ドライ) のそれぞれの条件に10日間保存後、・水蒸気バリア性:電池内水分量の増加が50%以下(カールフィッシャー法による定量)であるか否かを確認し、また、各層間のデラミネーションの有無の確認した。
1.パウチタイプの場合、30mm×60mmのパウチを作り、厚さ100 μmのニッケル製電極を有する電池本体部の厚さ4mm の電池を充填後、開口部を電極とともにヒートシール(3方シール)して密封した。ヒートシールは200 ℃、1sec. 、1Kgf/cm2、シール巾10mmとした。
積層体の構成は、PET(16) 〈D〉 AL(20) 〈TL〉不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン (20) 〈D〉PET(16) 〈D〉不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン(50)において、表1に示す各条件として積層した。
【0029】
【表1】
【0030】
2.成形タイプの場合は、成形部のサイズが30mm×60mm、深さ4mm 、フランジ部の巾7mm として、プレス法により成形し、厚さ 100μmのニッケル製電極を有する電池本体部の厚さ4mm の電池を充填後、フランジ部において蓋材をヒートシールして密封した。
積層体の構成は、ポリエステル共重合体(16)〈EC〉PE(20)〈EC〉 AL 〈TL〉不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン(20)〈D〉ポリエステル共重合体(16)〈D〉不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン(50)において、表2に示す各条件として積層した。
【0031】
【表2】
実施例は、いずれもピンホールは存在しなかった。接着部の剥離強度は100 g/m2以上であった。比較例は、ピンホールの存在また、ピンホールの発生が確認された。
【0032】
【発明の効果】
バリア層として、鉄分の含有量0.3〜9.0%のアルミ箔を用いることにより、袋状に成形する際の側壁部でのピンホールの発生防止が可能となり、また、絞り成形をする場合の周縁の展延性がよくなり、より、シャープな成形が可能となった。また、バリア層の最内層側に、バリア層であるアルミニウム箔の腐蝕防止のための保護層を形成することによって、酸やカーボネート系溶剤による前記アルミニウム箔表面の腐蝕が防止でき、包装材料として、前記理由によるデラミネーションを防止する積層体とすることができた。また、最外層あるいは中間層に用いるポリエステル樹脂をポリエチレンテレフタレート共重合体またはポリブチレンテレフタレート共重合体とすることによって、プレス成形等の加工適性が良くなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の包装材料の実施例を示す、(a)基本的層構成、(b)別の実施例を示す層構成、(c)ポリマー電池の構造を説明する斜視図、(d)X1 −X1 部の断面図、(e)X2 −X2 部の断面拡大図である。
【図2】本発明の包装材料の別の実施例を示す、(a)基本的層構成、(b)ポリマー電池の構造を説明する斜視図、(c)成形タイプの外装体のポリマー電池の斜視図、(d)X3 −X3 部断面図である。
【図3】本発明の包装材料を利用するポリマー電池の外装体のその他の形式を示す平面図とその各断面図である。
【符号の説明】
1 ポリマー電池
2 ポリマー電池本体
3 電極
4 外装体
5 ヒートシール部
5f 背シール部
6 底材
7 蓋材
8 成形部
9 フランジ部
10 積層体(包装材料)
11 最外層
12 水蒸気バリア層
13 保護層
14 中間層
15 最内層
16 接着層
Claims (7)
- 少なくとも最外層/バリア層/最内層からなる積層体であって、前記バリア層が、鉄含有量が、0.3〜9.0%である軟質アルミニウム箔であり、前記バリア層の最内層側表面にエポキシ系、フェノール系、メラミン系、ポリイミド系、不飽和ポリエステル系、ポリウレタン系、アルキッド系、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート系共重合体やポリブチレンテレフタレート系共重合体、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンとアクリル酸およびメタクリル酸誘導体との共重合体の少なくとも一つを30%以上を含む樹脂層を少なくとも一層含む保護層が形成され、前記保護層と前記最内層との間に中間層があり、前記保護層と前記中間層との間に不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテンのいずれかの樹脂で形成された接着層が設けられていることを特徴とするポリマー電池用包装材料。
- 最外層が、厚さ6μm以上の延伸ポリエステルまたは延伸ナイロンを少なくとも1層含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマー電池用包装材料。
- 前記中間層が、厚さ10μm以上のポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂を少なくとも1層含むことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のポリマー電池用包装材料。
- 最外層および/または中間層に用いるポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート共重合体またはポリブチレンテレフタレート共重合体であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のポリマー電池用包装材料。
- 最内層が厚さ10μm以上の融点80℃以上、ビカット軟化点が70℃以上の不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテンのいずれかを含む不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のポリマー電池用包装材料。
- 最内層がポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマーの内のいずれかからなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のポリマー電池用包装材料。
- 最内層がエチレンまたはプロピレンとアクリル酸またはメタクリル酸誘導体との共重合体であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のポリマー電池用包装材料。
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