JP5993003B2 - 多価カルボン酸組成物、多価カルボン酸組成物の製造方法、エポキシ樹脂用硬化剤組成物、エポキシ樹脂組成物および硬化物 - Google Patents
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Description
また多価カルボン酸はエポキシ樹脂の硬化剤としても使用できることが知られている。
さらに、近年オプトエレクトロニクス関連分野における利用が注目されている。特に近年の高度情報化に伴い、膨大な情報を円滑に伝送、処理するために、従来の電気配線による信号伝送に変わり、光信号を生かした技術が開発されていく中で、光導波路、青色LED、および光半導体等の光学部品の分野においては透明性に優れた硬化物を与える樹脂組成物の開発が望まれている。
しかしながら上記脂環式酸無水物を硬化剤とした場合、これらの硬化剤は蒸気圧が高く、硬化時に一部が蒸発するため、これらをエポキシ樹脂の硬化剤として用いて開放系で熱硬化させる際には、このもの自体が大気中に揮発し、大気への有害物質の放出による環境汚染、人体への悪影響のみならず、生産ラインの汚染、硬化物中に所定量のカルボン酸無水物(硬化剤)が存在しないことに起因するエポキシ樹脂組成物の硬化不良が起こるという問題があるばかりか、硬化条件によってその特性が大幅に変わってしまい、安定して目的とした性能を有する硬化物を得ることが困難である。
更に密着性、耐腐食ガス透過性改善のために多価カルボン酸とシリコーンカルボン酸を併用することで問題解決を試みたが、エポキシ樹脂組成物の粘度が上がってしまい、作業性の悪化や狭小パッケージへの注型が困難になる等の問題が起こってきた。
すなわち本発明は、下記(1)〜(14)に関する。
(1)
下記式(1)で表されるシリコーンオイル(a)と分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(b)とを付加反応させることにより得られるカルボン酸化合物(J)と、2官能以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールに炭素数4〜8のラクトン類を開環付加重合させた多価アルコール変性ラクトン重合体(c)と分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(d)とを付加反応させることにより得られる多価カルボン酸化合物(K)とを含有する多価カルボン酸組成物。
分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(b)および(d)が環状の飽和炭化水素を母骨格とする酸無水物である前項(1)に記載の多価カルボン酸組成物。
(3)
分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(b)および(d)がメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1種である前項(1)または(2)に記載の多価カルボン酸組成物。
(4)
ラクトン類を開環付加させる前の多価アルコールが官能基数2〜6の多価アルコールであって1分子中の総炭素数が5〜20である前項(1)〜(3)のいずれか一項に記載の多価カルボン酸組成物。
(5)
2官能以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールが、飽和脂肪族多価アルコールである前項(1)〜(4)のいずれか一項に記載の多価カルボン酸組成物。
(6)
多価カルボン酸化合物(J)と多価カルボン酸化合物(K)の比率(重量比)が(J)/(K)で記載した場合、20/80〜80/20である前項(1)〜(5)のいずれか一項に記載の多価カルボン酸組成物。
(7)
シリコーンオイル(a)と多価アルコール変性ラクトン重合体(c)の混合物に、分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(b)および(d)を加え、同時に反応させる前項(1)〜(6)のいずれか一項に記載の多価カルボン酸組成物の製造方法。
(8)
以下の工程(A)、工程(B)を逐次的に1ポットで反応させる前項(1)〜(6)のいずれか一項に記載の多価カルボン酸組成物。
工程(A):シリコーンオイル(a)と分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(b)を反応させる工程
工程(B):多価アルコール変性ラクトン重合体(c)と分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(d)を反応させる工程
(9)
無溶剤、もしくは使用する原料に対し、50重量%以下の有機溶剤中、40〜150℃で反応させる前項(7)または(8)に記載の多価カルボン酸の製造方法。
(10)
前項(1)〜(6)のいずれか一項に記載の多価カルボン酸組成物に対し、分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(e)を重量比で5〜50重量%含有することを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
(11)
前項(1)〜(6)のいずれか一項に記載の多価カルボン酸組成物、または前項(10)に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物とエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物。
(12)
エポキシ樹脂が脂環式エポキシ樹脂および/またはエポキシ基含有シリコーン樹脂である前項(11)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(13)
エポキシ樹脂がエポキシ基含有シリコーン樹脂である前項(11)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(14)
前項(11)〜(13)のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
また、重量平均分子量として300〜10000が好ましく、500〜5000が特に好ましい。
多価アルコール変性ラクトン重合体(c)を得るために用いられる多価アルコールは、好ましくは官能基数2〜6の、より好ましくは官能基数2〜3の多価アルコールであって1分子中の総炭素数が5〜20であることが好ましい。さらに好ましくは飽和脂肪族多価アルコールであり、特にその分子構造が分岐構造を有する鎖状アルキレンジオール、環状構造を有するジオール、トリオール等である。
多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール等の炭素数1〜10のアルキレンジオール、EO変性ビスフェノールA、EO変性ビスフェノールF、EO変性ビスフェノールE、EO変性ナフタレンジオール、PO変性ビスフェノールA、スピログリコール、2−(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール等が挙げられる。
分岐構造を有する鎖状アルキレンジオールとしては、具体的にはネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチルプロピレン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルペンタン−1,5−ジオールなどが挙げられる。
環状構造を有するジオールとしてはシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロデカンジメタノール、ノルボルナンジオール、ジオキサングリコール、スピログリコール、EO変性水添ビスフェノールA、EO変性水添ビスフェノールF、EO変性水添ビスフェノールE、EO変性水添ナフタレンジオール等が挙げられる。
トリオールとしてはグリセリン、トリメチロールプロパン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が、テトラオールとしてはペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン等が、さらにヘキサオールとしてはジペンタエリスリトール等が挙げられる。
光学特性、耐熱着色性、耐光着色性に優れる点から、2,4-ジエチルペンタン-1,5-ジオール、トリシクロデカンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールの使用が好ましい。
多価アルコール変性ラクトン重合体(c)を得るために使用するラクトン類は炭素数が4〜8のラクトン類で、具体例としては、γ−ブチロラクトン、β―メチルプロピオラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、3−メチルカプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、トリメチルカプロラクトン、β−メチル−δ−カプロラクトン等が挙げられる。
ラクトン類の使用量は、多価アルコールの水酸基1モルに対し通常0.1〜10モル、好ましくは0.2〜5モル、より好ましくは0.3〜2モルの範囲である。さらに、耐腐食ガス透過性、耐熱着色性を向上させる観点から、0.3〜0.8モルの範囲であることが特に好ましい。
反応終了後、触媒を用いた場合は、必要によりそれぞれ中和、水洗、吸着などによって触媒の除去を行い、溶剤を留去することで目的とする多価アルコール変性ラクトン重合体が得られる。また無触媒での反応においては必要に応じて溶剤を留去、さらに無溶剤、無触媒の場合はそのまま取り出すことで多価アルコール変性ラクトン重合体を得ることができる。
本発明においては特にカルボン酸無水物基を1個有する物が特に好ましく、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物が好ましく、特に好ましくはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸無水物である。
触媒を用いる場合、使用しうる触媒としては、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等の酸性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール等の複素環式化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルセチルアンモニウムヒドロキシド、トリオクチルメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの触媒は1種又は2種以上を混合して用いても良い。これらの中で、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンが好ましい。
触媒の使用量には、特に制限はないが、原料の総重量100重量部に対して、通常0.001〜5重量部必要により使用するのが好ましい。
また室温での結晶性の高い化合物、例えばシクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸無水物等を用いる場合はその結晶を十分に溶解させるため100〜150℃での反応を行うことが好ましい。
揮発しやすい酸無水物と、結晶性の高い酸無水物を併用する場合は、段階的に温度を上昇させることで酸無水物の揮発を防ぐということも可能である。
具体的な反応比率としてはその官能基当量で比較し、(b)(もしくは(d))を1とした場合、そのモル比で(a)(もしくは(c))が0.001〜1.0であることが好ましくは、より好ましくは0.01〜1.0、さらに好ましくは0.1〜1.0である。前述のように硬化剤組成物を製造する場合、好ましくは0.01〜0.7、さらに好ましくは0.01〜0.4の範囲で使用することが好ましい。
ここで、特に(J)/(K)の比率(重量比)は99/1〜80/20が好ましく、99/1〜85/15がより好ましく、80/20〜20/80が特に好ましい。(K)を重量比で1以上混合させることで、耐腐食ガス透過性が特に改善され、さらに(J)を重量比で80以上混合させることで、耐光性に優れ、基材からの剥離やクラックが生じ難く、LEDの封止材として用いた場合における照度劣化も起こり難くなるためである。特に(J)を重量比で85以上混合させることで、上記特性をバランス良く両立させることができる。
(i)
シリコーンオイル(a)と多価アルコール変性ラクトン重合体(c)の混合物に、分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(b)および(d)を仕込み、同時に反応させる。
(ii)
以下の工程(A)、工程(B)を逐次的に1ポットで反応させる。
工程(A):シリコーンオイル(a)と分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(b)を反応させる工程
工程(B):多価アルコール変性ラクトン重合体(c)と分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(d)を反応させる工程
工程(A)(あるいは工程(B))を行った後に、逐次的に工程(B)(あるいは工程(A))に使用する化合物を投入し、系中で反応および混合を行うものである。
(iii)
分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(b)及び(d)が同一である場合、シリコーンオイル(a)(あるいは多価アルコール変性ラクトン重合体(c))と、分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(b)及び(d)を仕込み、反応を行った後、多価アルコール変性ラクトン重合体(c)(あるいはシリコーンオイル(a))を仕込み、反応を行う。
本発明の多価カルボン酸組成物は透明性に優れ、エポキシ樹脂の硬化剤、塗料、接着剤、成形品、半導体、光半導体の封止材用樹脂、光半導体のダイボンド材用樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などの原料や改質剤、可塑剤や潤滑油原料、医農薬中間体、塗料用樹脂の原料、トナー用樹脂として有用であるが、とりわけエポキシ樹脂の硬化剤として用いた場合、硬化能に優れ、その硬化物の透明度が優れるので、高輝度の白色LEDやその他の光半導体の封止に用いられるエポキシ樹脂用硬化剤として極めて有用である。
本発明の多価カルボン酸組成物をエポキシ樹脂の硬化剤として、特に液状組成物として使用する場合、本発明の多価カルボン酸組成物と他の酸無水物とを混合したエポキシ樹脂用硬化剤組成物の形態として使用することができる。
使用できる酸無水物としては、分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物が好ましく、特にその構造に芳香環を有しない酸無水物が好ましい。具体的にはヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物などが挙げられる。
エポキシ樹脂用硬化剤組成物として酸無水物との混合で使用する場合、本発明の多価カルボン酸組成物の占める割合は前記酸無水物と多価カルボン酸組成物の合計重量に対し、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%であり、特に好ましくは5〜30重量%である。かかる範囲で併用することで、組成物の流動性、硬化物の耐熱性、機械強度の面で効果を奏する。
本発明の多価カルボン酸組成物、好ましくは本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物はエポキシ樹脂をともに含有させることによって、エポキシ樹脂組成物(以下、硬化性樹脂組成物とも称する)とすることができる。
これら脂環式エポキシ樹脂としては、シクロヘキセンカルボン酸とアルコール類とのエステル化反応あるいはシクロヘキセンメタノールとカルボン酸類とのエステル化反応(Tetrahedron vol.36 p.2409 (1980)、Tetrahedron Letter p.4475 (1980)等に記載の手法)、あるいはシクロヘキセンアルデヒドのティシェンコ反応(日本国特開2003−170059号公報、日本国特開2004−262871号公報等に記載の手法)、さらにはシクロヘキセンカルボン酸エステルのエステル交換反応(日本国特開2006−052187号公報等に記載の手法)によって製造できる化合物を酸化した物などが挙げられる。
アルコール類としては、アルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどのテトラオール類などが挙げられる。またカルボン酸類としてはシュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれに限らない。
これらエポキシ樹脂の具体例としては、ERL−4221、UVR−6105、ERL−4299(全て商品名、いずれもダウ・ケミカル製)、セロキサイド2021P、エポリードGT401、EHPE3150、EHPE3150CE(全て商品名、いずれもダイセル化学工業製)及びジシクロペンタジエンジエポキシドなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない(参考文献:総説エポキシ樹脂 基礎編I p76−85)。
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
併用できる他の硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物などが挙げられる。使用できる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体、テルペンとフェノール類の縮合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
亜鉛塩および/または亜鉛錯体としては、亜鉛イオンを中心元素とした塩および/または錯体であって、好ましくは、カウンターイオン及び/または配位子として炭素数1〜30のアルキル基を有するカルボン酸、燐酸エステル、燐酸から選ばれる少なくとも1種を有する。炭素数1〜30のアルキル基としてはメチル基、イソプロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソデシル基、イソステアリル基、デカニル基、セチル基などが挙げられる。
本発明においては特にカルボン酸亜鉛体、燐酸エステル亜鉛体が好ましい。カルボン酸亜鉛体、燐酸エステル亜鉛体を使用することによって、耐腐食性ガス透過性を向上させることができる。
本発明において特に好ましいカルボン酸亜鉛体としては、鎖状分岐構造を有するアルキル基あるいはオレフィン等の官能基を有するアルキル基を化合物中に有することが好ましく、中でも炭素数3〜30であるものが好ましく、特に5〜20のものが好ましい。これらは相溶性の面で好ましい。具体的には2−エチルヘキシル亜鉛、イソステアリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛などが挙げられる。
このような燐酸エステル亜鉛の亜鉛塩および/または亜鉛錯体は、燐酸エステルを例えば炭酸亜鉛、水酸化亜鉛などと反応させることで得られる(欧州特許699708号公報)。
このような燐酸エステルの亜鉛塩および/または亜鉛錯体の詳細としては燐原子と亜鉛原子との比率(P/Zn)が1.2〜2.3が好ましく、1.3〜2.0がより好ましい。
特に好ましくは1.4〜1.9である。すなわち、特に好ましい形態では、亜鉛イオン1モルに対し、燐酸エステル(もしくは燐酸エステル由来の燐酸)が2.0モル以下となり、単純なイオン構造ではなく、いくつかの分子がイオン結合(あるいは配位結合)により関わった構造を有しているものが好ましい。このような亜鉛塩および/または亜鉛錯体としては例えば日本国特表2003−51495号公報に記載の手法で得ることも出来る。
このような化合物として、市販品としてはカルボン酸亜鉛として、Zn−St、Zn−St 602、Zn−St NZ、ZS−3、ZS−6、ZS−8、ZS−7、ZS−10、ZS−5、ZS−14、ZS−16(日東化成工業製)、XK−614(キングインダストリー製)、18%オクトープZn(ホープ製薬)、燐酸エステルおよび/または燐酸亜鉛として、LBT−200B(SC有機化学製)、XC−9206(キングインダストリー製)が挙げられる。
これら硬化促進剤のどれを用いるかは、例えば透明性、硬化速度、作業条件といった得られる硬化性樹脂組成物に要求される特性によって適宜選択される。硬化促進剤は、エポキシ樹脂100重量部に対し通常0.001〜15重量部、より好ましくは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.01〜3重量部の範囲で使用される。本硬化性樹脂組成物は硬化促進剤を使用しなくても硬化は可能であるが、硬化時の着色の問題から、硬化促進剤の添加が好ましい。特に着色を防止するとともに耐腐食性ガス透過性を得る上では、亜鉛塩および/または亜鉛錯体の使用が好ましい。
上記リン化合物は、市販品を用いることも出来る。
例えば、アデカ製として、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8,アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010、アデカスタブTPPが挙げられる。
これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、2種以上を組み合わせて併用しても構わない。特に本発明においてはリン系の酸化防止剤が好ましい。
光安定剤としては、特にヒンダートアミン化合物を含有することが好ましく、必要に応じてリン系化合物を含有することが好ましい。前記アミン化合物としては例えば、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)=1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6−トトラメチル−4−ピペリジル)=1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オウウデカンオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシー2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル−メタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル−1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応性生物、N,N’,N”,N”’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)エチル−7−オキサ−3,20−ジアザスピロ〔5・1・11・2〕ヘネイコサン−21−オン、β−アラニン,N,−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザスピロ〔5,1,11,2〕ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキサ−3,20−ジアザジシクロ〔5,1,11,2〕ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、プロパンジオイックアシッド、〔(4−メトキシフェニル)−メチレン〕ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3−ベンゼンジカルボキシアミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のヒンダートアミン化合物等が挙げられる。
前記光安定剤であるアミン化合物として、次に示す市販品を使用することができる。
例えば、チバスペシャリティケミカルズ製として、TINUVIN765、TINUVIN770DF、TINUVIN144、TINUVIN123、TINUVIN622LD、TINUVIN152、CHIMASSORB944、アデカ製として、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63P、LA−77Y、LA−81、LA−82、LA−87などが挙げられる。
本発明において、光安定剤の使用量は、エポキシ樹脂に対して重量比で好ましくは0.005〜5重量%、より好ましくは0.01〜4重量%、特に好ましくは0.1〜2重量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物を光学材料、特に光半導体封止剤に使用する場合、各種蛍光体の硬化時沈降を防止する目的で、シリカ微粉末(アエロジル、アエロゾルとも呼ばれる)をはじめとするチクソトロピック性付与剤を添加することができる。このようなシリカ微粉末としては、例えばAerosil 50、Aerosil 90、Aerosil 130、Aerosil 200、Aerosil 300、Aerosil 380、Aerosil OX50、Aerosil TT600、Aerosil R972、Aerosil R974、Aerosil R202、Aerosil R812、Aerosil R812S、Aerosil R805、RY200、RX200(日本アエロジル社製)等が挙げられる。
加熱条件は例えば80〜230℃で1分〜24時間程度が好ましい。加熱硬化の際に発生する内部応力を低減する目的で、例えば80〜120℃、30分〜5時間予備硬化させた後に、120〜180℃、30分〜10時間の条件で後硬化させることができる。
注入方法としては、ディスペンサー、トランスファー成形、射出成形等が挙げられる。
加熱は、熱風循環式、赤外線、高周波等の方法が使用できる。
加熱条件は例えば80〜230℃で1分〜24時間程度が好ましい。加熱硬化の際に発生する内部応力を低減する目的で、例えば80〜120℃、30分〜5時間予備硬化させた後に、120〜180℃、30分〜10時間の条件で後硬化させることができる。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、トリシクロデカンジメタノール58.9部、ε−カプロラクトン68.5部、テトラブチルチタネート0.02部を仕込み、窒素パージ後、190℃に昇温し、4時間後にGPCを測定したところε−カプロラクトンのピークが消失していたので反応を終了した。淡黄色透明液体として多価アルコール変性ラクトン重合体(L−1)127部を得た。得られた多価アルコール変性ラクトン重合体(L−1)の粘度は2590mPa・s、400nmでの透過率は90.5%であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、トリシクロデカンジメタノール78.5部、ε−カプロラクトン45.7部、テトラブチルチタネート0.02部を仕込み、窒素パージ後、190℃に昇温し、3時間後にGPCを測定したところε−カプロラクトンのピークが消失していたので反応を終了した。淡黄色透明液体として多価アルコール変性ラクトン重合体(L−2)123部を得た。得られた多価アルコール変性ラクトン重合体(L−2)の粘度は6308mPa・s、400nmでの透過率は86.7%であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、トリシクロデカンジメタノール58.9部、ε−カプロラクトン68.5部、2−エチルヘキサン酸亜鉛0.06部を仕込み、窒素パージ後、140℃に昇温し、6時間後にGPCを測定したところε−カプロラクトンのピークが消失していたので反応を終了した。無色透明液体として多価アルコール変性ラクトン重合体(L−3)127部を得た。得られた多価アルコール変性ラクトン重合体(L−3)の粘度は2412mPa・s、400nmでの透過率は94.6%であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、トリシクロデカンジメタノール78.5部、ε−カプロラクトン45.7部、2−エチルヘキサン酸亜鉛0.06部を仕込み、窒素パージ後、140℃に昇温し、5時間後にGPCを測定したところε−カプロラクトンのピークが消失していたので反応を終了した。無色透明液体として多価アルコール変性ラクトン重合体(L−4)123部を得た。得られた多価アルコール変性ラクトン重合体(L−4)の粘度は6184mPa・s、400nmでの透過率は92.4%であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、多価アルコール変性ラクトン重合体(L−1)17.5部、両末端カルビノール変性シリコーンX22−160AS(信越化学工業(株)製)64.8部、MH―T(メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、新日本理化製)37.1部を加え、窒素パージを施しながら、50℃で2時間、80℃で3時間反応を行ったところ、無色透明液体として多価カルボン酸組成物(MA−1)118部を得た。得られた多価カルボン酸組成物(MA-1)の粘度は7552mPa・s、400nmでの透過率は94.2%であった。
実施例1において、多価アルコール変性ラクトン重合体(L−1)17.5部を26.3部に、両末端カルビノール変性シリコーンX22−160AS64.8部を56.7部に、MH―T37.1部を41.1部に変えた以外は同様の操作を行ったところ、無色透明液体として多価カルボン酸組成物(MA−2)123部を得た。得られた多価カルボン酸組成物(MA−2)の粘度は21248mPa・s、400nmでの透過率は87%であった。
実施例1において、多価アルコール変性ラクトン重合体(L−1)17.5部を(L-2)14.0部に、両末端カルビノール変性シリコーンX22−160AS64.8部を70.7部に、MH―T37.1部を40.4部に変えた以外は同様の操作を行ったところ、無色透明液体として多価カルボン酸組成物(MA−3)124部を得た。得られた多価カルボン酸組成物(MA−3)の粘度は7168mPa・s、400nmでの透過率は93.2%であった。
実施例1において、多価アルコール変性ラクトン重合体(L−1)17.5部を(L-2)21.0部に、両末端カルビノール変性シリコーンX22−160AS64.8部を61.9部に、MH―T37.1部を44.9部に変えた以外は同様の操作を行ったところ、無色透明液体として多価カルボン酸組成物(MA−4)125部を得た。得られた多価カルボン酸組成物(MA-4)の粘度は28160mPa・s、400nmでの透過率は94.4%であった。
実施例2において、多価アルコール変性ラクトン重合体(L−1)を(L-3)に変えた以外は同様の操作を行ったところ、無色透明液体として多価カルボン酸組成物(MA−5)123部を得た。得られた多価カルボン酸組成物(MA-5)の粘度は21376mPa・s、400nmでの透過率は94.3%であった。
実施例4において、多価アルコール変性ラクトン重合体(L−2)を(L-4)に変えた以外は同様の操作を行ったところ、無色透明液体として多価カルボン酸組成物(MA−6)125部を得た。得られた多価カルボン酸組成物(MA-6)の粘度は25446mPa・s、400nmでの透過率は97.1%であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、トリシクロデカンジメタノール7.4部、両末端カルビノール変性シリコーンX22−160AS(信越化学工業(株)製)58.9部、MH―T(メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物、新日本理化製)33.7部を加え、窒素パージを施しながら、50℃で2時間、80℃で3時間反応を行ったところ、無色透明液体として多価カルボン酸組成物(MC−1)98部を得た。得られた多価カルボン酸組成物(MC−1)の粘度は8448mPa・s、400nmでの透過率は96%であった。
比較例1においてトリシクロデカンジメタノール7.4部を11.1部に、両末端カルビノール変性シリコーンX22−160AS58.9部を51.6部に、MH―T33.7部を37.4部に変えたところ、無色透明液体として多価カルボン酸組成物(MC−2)99部を得た。得られた多価カルボン酸組成物(MC−2)の粘度は45670mPa・s、400nmでの透過率は95.8%であった。
また、同様に(MA−1)、(MA−3)、(MA−5)、(MC−1)はトリシクロデカンジメタノール部分がほぼ同じ比率であるが、比較例の(MC−1)の粘度と比較すると(MA−1)、(MA−3)、(MA−5)は小幅ではあるが低下している。
以上のことから、多価アルコールをラクトン変性することにより、得られる多価カルボン酸組成物の粘度を低下させることができる。
また、(MA−2)と(MA−5)、(MA−4)と(MA−6)の比較からは、ラクトン変性時の触媒が亜鉛触媒の方が透過率の高い多価カルボン酸組成物を得ることができることがわかる。
2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン111部、分子量1700(GPC測定値)のシラノール基をもつポリジメチルジフェニルシロキサン100部、0.5%KOHメタノール溶液10部を反応容器に仕込み、75℃に昇温した。昇温後、還流下75℃にて8時間反応させた。反応後、メタノールを120部追加後、50%蒸留水メタノール溶液28.6部を60分かけて滴下し、還流下75℃にてさらに8時間反応させた。反応終了後、5%第1水素ナトリウムリン酸水溶液で中和後、80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、MIBK170部を添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することによりエポキシ樹脂(EP−1)170部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は412g/eq、粘度は14208mPa・s、外観は無色透明であった。
実施例1〜4で得られた本発明の多価カルボン酸組成物(MA−1〜MA−4)、比較例として、比較例1で製造した多価カルボン酸組成物(MC−1)を硬化剤として用い、エポキシ樹脂として合成例5で得られたエポキシ樹脂(EP−1)、硬化促進剤としてオクチル酸亜鉛(ホープ製薬製 18%オクトープZn 以下C−1と称す)、光安定剤(ADEKA製LA−81 以下添加剤AD−1と称す)、酸化防止剤(ADEKA製 アデカ260 以下添加剤AD−2と称す)を使用し、下記表1に示す配合比(重量部)で配合し、20分間脱泡を行い、本発明の硬化性樹脂組成物を得た。
・耐ガス透過性試験(腐食ガス透過性試験)
得られた硬化性樹脂組成物を真空脱泡20分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を用いて、中心発光波465nmのチップを搭載した外径5mm角表面実装型LEDパッケージ(内径4.4mm、外壁高さ1.25mm)に注型した。その注型物を加熱炉に投入して、120℃、1時間さらに150℃、3時間の硬化処理をしてLEDパッケージを作成した。下記条件でLEDパッケージを腐食性ガス中に放置し、封止内部の銀メッキされたリードフレーム部の色の変化を観察した。
<測定条件>
腐食ガス:硫化水素20ppm
暴露条件:25℃、湿度75%、4日間
暴露後処理:85℃×6時間加熱
腐食の判定:LEDパッケージ内部のリードフレームが黒く変色(黒化という)した程度を以下の通り、A、B、C、Dの4段階で評価した。結果は表1に示した。
A:変色無し
B:薄茶
C:褐色
D:黒化
・熱耐久性透過率試験
得られた硬化性樹脂組成物を、ガラス基板上に耐熱テープで30mm×20mm×高さ1mmになるように作成した型枠に、静かに注型した。その注型物を120℃×3時間の予備硬化の後、150℃×1時間で硬化させ、厚さ1mmの透過率用試験片を得た。
これらの試験片を用い、180℃オーブン中72時間放置前後における透過率(測定波長400nm)を分光光度計により測定し、その変化率を算出し、耐熱保持率とした。結果は表1に示した。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、ジオキサングリコール65.6部、ε−カプロラクトン34.2部、2−エチルヘキサン酸亜鉛0.05部を仕込み、窒素パージ後、140℃に昇温し、6時間後にGPCを測定したところε−カプロラクトンのピークが消失していたので反応を終了した。白色半固形として多価アルコール変性ラクトン重合体(L−6)99.5部を得た。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、シクロヘキサンジメタノール57.7部、ε−カプロラクトン45.7部、2−エチルヘキサン酸亜鉛0.05部を仕込み、窒素パージ後、140℃に昇温し、6時間後にGPCを測定したところε−カプロラクトンのピークが消失していたので反応を終了し、多価アルコール変性ラクトン重合体(L−7)103部を得た。得られた多価アルコール変性ラクトン重合体(L−7)の粘度は1178mPa・s、400nmでの透過率は90.7%であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、多価アルコール変性ラクトン重合体(L−6)9.9部、両末端カルビノール変性シリコーンX22−160AS58.9部、MH−T31.1部を加え、窒素パージを施しながら、80℃で5時間反応を行ったところ、無色透明液体として多価カルボン酸組成物(MA−7)99部を得た。得られた多価カルボン酸組成物(MA-7)の粘度は6851mPa・s、400nmでの透過率は97.5%であった。
実施例11において、多価アルコール変性ラクトン重合体(L−6)9.9部を14.9部に、両末端カルビノール変性シリコーンX22−160AS58.9部を51.6部に、MH−T31.1部を33.5部に変えた以外は同様の操作を行ったところ、無色透明液体として多価カルボン酸組成物(MA−8)99部を得た。得られた多価カルボン酸組成物(MA−8)の粘度は25190mPa・s、400nmでの透過率は96.2%であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、多価アルコール変性ラクトン重合体(L−7)8.7部、両末端カルビノール変性シリコーンX22−160AS58.9部、MH−T32.4部を加え、窒素パージを施しながら、80℃で4時間反応を行ったところ、無色透明液体として多価カルボン酸組成物(MA−9)99部を得た。得られた多価カルボン酸組成物(MA-9)の粘度は5120mPa・s、400nmでの透過率は97.4%であった。
実施例13において、多価アルコール変性ラクトン重合体(L−7)8.7部を13.0部に、両末端カルビノール変性シリコーンX22−160AS58.9部を51.6部に、MH−T32.4部を35.4部に変えた以外は同様の操作を行ったところ、無色透明液体として多価カルボン酸組成物(MA−10)99部を得た。得られた多価カルボン酸組成物(MA−10)の粘度は14515mPa・s、400nmでの透過率は96.5%であった。
なお、本出願は、2012年5月31日付で出願された日本特許出願(特願2012−124227)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
Claims (11)
- 下記式(1)で表されるシリコーンオイル(a)と分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(b)とを付加反応させることにより得られるカルボン酸化合物(J)と、2官能以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールに炭素数4〜8のラクトン類を開環付加重合させた多価アルコール変性ラクトン重合体(c)と分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(d)とを付加反応させることにより得られる多価カルボン酸化合物(K)とを含有し、
分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(b)および(d)がメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物から選ばれる少なくとも1種であり、
多価カルボン酸化合物(J)と多価カルボン酸化合物(K)の比率(重量比)が(J)/(K)で記載した場合、20/80〜80/20である、多価カルボン酸組成物。
- ラクトン類を開環付加させる前の多価アルコールが官能基数2〜6の多価アルコールであって1分子中の総炭素数が5〜20である請求項1に記載の多価カルボン酸組成物。
- 2官能以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールが、飽和脂肪族多価アルコールである請求項1または2に記載の多価カルボン酸組成物。
- シリコーンオイル(a)と多価アルコール変性ラクトン重合体(c)の混合物に、分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(b)および(d)を加え、同時に反応させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の多価カルボン酸組成物の製造方法。
- 以下の工程(A)、工程(B)を逐次的に1ポットで反応させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の多価カルボン酸組成物の製造方法。
工程(A):シリコーンオイル(a)と分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(b)を反応させる工程
工程(B):多価アルコール変性ラクトン重合体(c)と分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(d)を反応させる工程 - 無溶剤、もしくは使用する原料に対し、50重量%以下の有機溶剤中、40〜150℃で反応させる請求項4または5に記載の多価カルボン酸の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の多価カルボン酸組成物に対し、分子内に1個以上のカルボン酸無水物基をもつ化合物(e)を重量比で5〜50重量%含有するエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の多価カルボン酸組成物、または請求項7に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物とエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂が脂環式エポキシ樹脂および/またはエポキシ基含有シリコーン樹脂である請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂がエポキシ基含有シリコーン樹脂である請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項8〜10のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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