以下、本発明に係る遊技機の球振分装置の実施の形態を図面に基づき説明する。本発明は、パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機といった遊技機に適用されるが、この実施の形態では、パチンコ遊技機に適用される場合について説明する。図1は、第一実施の形態に係る遊技球振分装置A1を備えたパチンコ遊技機Pの正面図である。まず、パチンコ遊技機Pについて説明する。パチンコ遊技機Pは、縦長方形状の機枠1の前側に遊技盤2が配設される本体枠3(図示せず)が一側を軸着して開閉自在に装着され、また、この本体枠3の前面に遊技盤2の前面を覆う透明板保持枠4及びこの下方に位置して前板5が同じく開閉自在に軸着されている。透明板保持枠4は中央に窓開口6が開設されており、窓開口6にガラス板または合成樹脂板からなる透明板7が取着されている。そして、透明板7で塞がれる窓開口6を介して遊技盤2前面が視認できるようになっている。前板5の前面には、打球発射機構(図示せず)に供給する遊技球を貯留する球受皿8が設けられている。また、該球受皿8の一側には、打球発射機構に一個ずつ供給される遊技球を遊技盤2の遊技領域2aに打ち込む打球力調整ハンドル9が装着されている。
前記遊技盤2は、その前面に外側レール10aと内側レール10bとが渦巻き状に敷設され、外側レール10aと内側レール10bに囲われるようにして遊技領域2aが形成されている。遊技領域2aには可変表示装置11が配置され、その前面には表示部12が設けられ、後述する入賞球の検出により各図柄を一定時間ランダムに変化させるようになっている。また、表示部12の下方であって可変表示装置11の前側に、中央部を低くした棚状のステージ13が形成されており、可変表示装置11の内側へ入った遊技球はステージ13に導かれ、該ステージ13上面をその上面に沿って左右方向に転動することとなる。そして、ステージ13上面を左右方向に転動する遊技球の動きは次第に減衰して中央部から落下する。落下した遊技球は、その下方に位置する始動入賞口14に入賞する機会が多くなる。また、可変表示装置11の外周縁には、前記ステージ13と連なり遊技領域2aを流下する遊技球が入る導入口15が設けられ、該導入口15に入った遊技球はステージ13に導かれる。
遊技領域2a内であって可変表示装置11の下方には、始動入賞口14をその上部に備える遊技球振分装置A1が設けられている。遊技球振分装置A1の下方には大入賞口18が配設され、開閉扉18aが前側に回動することで一度に多くの遊技球が入賞し得る構成となっている。また、遊技領域2a内であって可変表示装置11の一側に遊技球が通過することにより該遊技球を検出する通過チャッカー19が配置され、さらに遊技領域2aの下側であって内側レール10bの内側には複数の一般入賞口20が設けられている。また、内側レール10bの最下部に、遊技領域2aを流下するもいずれにも入賞しなかったアウト球を遊技領域2aの外側へ排出させるためのアウト球口21が開設されている。さらに、遊技領域2aの所定の位置には、流下する遊技球の方向を変化させる障害釘22や風車23が配設されている。
ここで、例えば打球発射機構から遊技領域2aに打ち込まれた遊技球が始動入賞口14に入賞すると、可変表示装置11における表示部12の図柄が変動を繰り返し、所定時間が経過した後に停止する。このとき、例えば図柄が「777」に揃ったときは遊技者に有利な特別遊技状態となる。この状態では、大入賞口18の開閉扉18aが前側に回動して一定の時間または所定個数の遊技球が検出されるまでの間解放され、その後、開閉扉18aが閉まる。この動作を1ラウンドとし、一定条件を満たす限り最終的に例えば15ラウンドまで繰り返され、一度に多くの入賞球が得られるようになっている。
次に、本発明に係る遊技球振分装置(以下、「振分装置」という。)について説明する。前述したとおり振分装置は発射機構によって打出された遊技球が転動し流下する遊技領域2aに設けられている。図2は、第一実施の形態に係る振分装置A1の分解斜視図である。本実施形態の振分装置A1は、通路部材30と、仕切板40と、回転体50と、回転規制部材70と、ケース体80から概略構成されており、具体的には、第1支軸60が挿通された回転体50及び第2支軸71が挿通された回転規制部材70を仕切板40に設けられる軸受(第1軸受42,42及び第2軸受43,43)に回転可能に取り付け、この仕切板40の前面側に通路部材30、背面側にケース体80を取り付けて組立てられる。組立てられた振分装置A1は、遊技盤2aに装着された際、遊技盤2aの前面側に通路部材30、背面側にケース体80が位置することとなる。以下、この振分装置A1の各部材について説明する。
前記通路部材30は、図3に示したように上端に遊技球が流入する流入開口31(前述した始動入賞口14に相当する)と、下端に遊技球が流出する3つの流出開口32,32,32が設けられ、流入開口31から流出開口32へと遊技球を流下させる遊技球通路34が上方から下方に亘って背面側を開放するようにして連通して形成されている。遊技球通路34は、流入開口31から流入した遊技球が通過する流入通路35と、その下方に流入通路35より幅が広く形成された分岐部36と、分岐部36の下方に2つの分岐壁37a,37aによって3条に形成された流出通路37,37,37とからなり、流入通路35及び3本の流出通路37のそれぞれの幅は遊技球が一つ流下できる程度の幅に設定されている。分岐壁37a,37aの上面はそれぞれ外側の流出通路37,37側へ向かってわずかに下方へ傾斜している。また、流入通路35の両脇と分岐壁37a,37aの背面側には螺子穴38,38,38,38が穿設されている。さらに、流下する遊技球を検知するセンサ(図示せず)などが各通路に取付けられることとなる。なお、通路部材30は遊技球通路34内を流下する遊技球が遊技者から目視可能なように透明樹脂などで構成されると良い。
前記仕切板40は、正面視において通路部材30と同じ形状をした板状部材であって、通路部材30の遊技球通路34として開放された側を塞ぐようにして取付けられる。そして、仕切板40には、通路部材30の流入通路35から分岐部36に対向する位置にわたって、流入通路35の幅と略同じ幅の略長方形の開口部41が形成されている(図4)。また、仕切板40の通路部材30と対向する前面側は平滑面に形成されている一方、背面側には開口部41の下側の左右側縁に第1軸受42,42及び上側の左右側縁に第2軸受43,43が突出するようにして形成されており、第1軸受42,42によって前記第1支軸60が水平に架設され、第2軸受43,43によって前記第2支軸71が水平に架設されることとなる。さらに、開口部41の左右側縁であって、縦に並ぶ第1軸受42、第2軸受43間には、壁部44,44が突出して形成されている。また、仕切板40の開口部41の上側及び下側にそれぞれ開口部41の幅より僅かに間隔を開けて左右一対の螺子孔45,45,45,45が穿設されており、この螺子孔45は、前述した通路部材30の螺子孔38の位置に対応して設けられている。
前記回転体50は、図2に示したように第1支軸60が挿通される軸孔54が穿設されている。また、回転体50は、その径方向に突出するようにして3つの突設部(第1突設部51,第2突設部52及び第3突設部53)が等間隔(120度間隔)に配設され、各突設部51,52,53間には3つの凹部(第1凹部61,第2凹部62及び第3凹部63)がそれぞれ遊技球を受入れ可能な大きさに形成されている。さらに、回転体50の軸方向の一端側、すなわち、図2における回転体の右側面50aには3叉形状の被係合部55が回転体50と一体に形成されている。被係合部55は、回転体50の径方向にその先端が突出するように等間隔(120度間隔)であって、各突設部51,52,53の側面位置と対応するようにして配設されている。
さらに、回転体50について図5を用いて詳述する。図5(a)〜(c)は回転体50を120度ずつ回転させた場合のそれぞれの斜視図である。回転体50に形成された3つの突設部51,52,53の外周端面51a,52a,53aは外周に沿って円弧状に膨らんで湾曲して形成され、3つの凹部61,62,63には受け入れた遊技球を所定方向へ転動させるため円弧面状に窪んだ誘導面61a,62a,63aがそれぞれ形成されている。図5(a)に示した第1凹部61は、回転体50の軸方向の一端側(図5における右側面50a側)へ円弧面状に窪んで傾斜し、右側面50a側が大きく開放されている。第1誘導面61aは第1凹部61側方の係合部55と面一につながっており、第1凹部61に受け入れられた遊技球は第1誘導面61aにより右側に誘導され流下することとなる。また、図5(b)に示した第2凹部62には、回転体50の軸方向の他端側(図5における左側面側)へ円弧面状に窪んで傾斜し、左側面側が大きく開放されており、第2凹部62に受け入れられた遊技球は第2誘導面62aにより左側に誘導され流下することとなる。また、図5(c)に示したように第3凹部63の第3誘導面63aは、回転体50の軸方向の略中央が湾曲状に窪むようにして形成されている。さらに、第3凹部63の下側に隣接する第3突設部53は、第1突設部51及び第2突設部52に比べその外周方向の長さが短く形成され、第3凹部63は下方へ開放されている。すなわち、第3凹部63に受け入れられた遊技球は第3誘導面63aにより回転体50の回転に合わせて回転方向の下側へ流下することとなる。また、三叉形状をした各被係合部55の一側面55aはその基端でわずかに屈曲して係合面56,56,56がそれぞれ形成されている。ここで、回転体50の幅は前記通路部材30の流入通路35の幅より大きい寸法であり、また、回転体の各凹部61,62,63部分の幅は通路部材30の流入通路35と同じか若干小さい寸法である。
前記回転規制部材70は、第2支軸71が挿通される軸孔72が穿設されている。また、回転規制部材70は、軸方向両端からそれぞれ径方向に突出するように一対の球当接部73,73が流入通路35に収まる間隔で形成され、この球当接部73,73間の距離は、遊技球の直径より小さく、かつ、回転体50の各突設部51,52,53の幅より大きく設定されている。また、球当接部73と軸を介した反対側には、軸方向と平行に円柱状の錘75が埋設されている。錘75は、軸着した回転規制部材70を錘75側に傾けるだけの重さがあり、かつ、流下した遊技球が球当接部73,73に当たった場合に回動する程度の重さである。さらに、錘75の下方を基端部として下方へ垂下するように係合部76が形成されており、この係合部76の先端の前面側は、わずかに球当接部73の方向へ屈曲している。係合部76は、回転規制部材70の軸方向の一側面70a側から突設し、この一側面70aと平行に形成されている。また、回転規制部材70の軸方向の他側面70b側には突起部77が形成されている。
前記ケース体80は、図2に示したとおり、通路部材30及び仕切板40と略同じ縦寸法を有し、仕切板40の開口部41を覆う程度の大きさである。そして、前面板81側、すなわち、通路部材30及び仕切板40と対向する側を略長方形に開放するようにして縦長直方体形状の収容部82が形成されている。また、前面板81の上下左右端に4つの螺子孔83,83,83,83が、通路部材30及び仕切板40に形成された螺子孔位置に対応して設けられている。さらに、収容部82内の下方左右及び上端左右の計4箇所には、収容部82の奥行を浅く構成した第1軸止部84,84と第2軸止部85,85が形成されている。この第1及び第2軸止部4箇所の奥行は、仕切板40に突設された第1軸受42及び第2軸受43の高さと同じに設定されている。
このようにして構成された振分装置A1の組立て方を図2、図7及び図8を用いて説明する。図7は組立てた振分装置A1を背面側からみた斜視図、図8はその背面図である。なお、図7及び図8においては説明の便宜上ケース体80を除いて図示している。まず、振分装置A1を組立てるにあたり、回転体50の軸孔54に第1支軸60を挿通し、この第1支軸60を仕切板40の第1軸受42,42に配置する。また、回転規制部材70の軸孔72に第2支軸71を挿通し、この第2支軸71を仕切板40の第2軸受43,43に配置する。次いで、回転規制部材70及び回転体50が取付けられた仕切板40を通路部材30の遊技球通路として開放された側を塞ぐようにして装着する。そして、ケース体80を仕切板40の背面側から回転体50及び回転規制部材70がその収容部82内に収容されるように位置させ、ケース体80の背面側から螺子90によって固定し組立てる。このとき、第1軸受42,42に軸支された第1支軸60はケース体80の第1軸止部84,84によって固定され、同様に、第2軸受43,43に軸支された第2支軸71はケース体80の第2軸止部85,85によって固定され、回転体50及び回転規制部材70は回転可能に軸支されることとなる。
次に、振分装置A1の動作について図9を用いて説明する。まず、通常時(遊技球が流下していない時)において、図9(a)に示すように回転規制部材70は、錘75によって係合部76側が下がっているため、球当接部73が流入通路35内に突出した状態となっている。この状態において、回転規制部材70の係合部76は、その先端面が回転体50の被係合部55の係合面56と当接しているため、回転体50は反時計回りへの回転が止められている(第1位置)。ここに、流入通路35より遊技球Bが流下してくると、遊技球Bは流入通路35内に突出している回転規制部材70の球当接部73に当たり、遊技球Bの重さによって、回転規制部材70をその球当接部73が下がる方向へと回動させる。すると、図9(b)に示すように回転規制部材70の係合部76と回転体50の被係合部55との係合が外れ、回転体50は反時計回りの回転が可能な状態となる(第2位置)。よって、流下する遊技球Bは、分岐部36内に突出した回転体50の第3突設部端面53aに当りながら流下し、その自重によって回転体50を反時計回りに回転させ、次に分岐部36へ回転してくる凹部、すなわち第3凹部63に受け入れられながら流下していく(図9(c))。このとき、既に遊技球Bは回転規制部材70の球当接部73から離れて流下しているため、回転規制部材70はその錘75が下がる方向へと回動し、図9(d)に示すように再びその係合部76が回転体の被係合部55と係合することで回転体50の回転を止めることとなる(第1位置)。そして、次の遊技球Bが流下してくると、この動きが繰り返され、遊技球Bは、第1凹部61、第2凹部62の順に受け入れられながら流下していく。このように、振分装置A1は、回転規制部材70を遊技球によって第1位置から第2位置へと回動させつつ、回転体50の各凹部61,62,63へと遊技球を1球ずつ順番に送り込むことができる。
図10は、回転体50の各凹部61,62,63に受け入れられた遊技球Bの流下方向を示すものである。図10(a)は、上記動作の中で、遊技球Bが回転体50の第3凹部63に受け入れられて流下していく様子を説明した図である。第3凹部63には前述したように回転体50の回転方向の下側へ遊技球Bを誘導する誘導面63aが形成されているため、回転体50の回転によって遊技球Bは中央の流下通路37へと流下していくこととなる。また、この次に流下してくる遊技球B2は、図10(b)に示すように回転体50の第1凹部61に受け入れられて流下することとなる。この第1凹部61には回転体50の回転方向の右側へ遊技球Bを誘導する誘導面61aが形成されているため、回転体50の回転によって遊技球B2は右側の流下通路37へと流下していく。さらに、次に流下してくる遊技球B3は、図10(c)に示すように回転体50の第2凹部62に受け入れられて流下する。この第2凹部62には回転体50の回転方向の左側へ遊技球Bを誘導する誘導面62aが形成されているため、回転体50の回転によって遊技球B3は左側の流下通路37へと流下していく。このように、通路部材30の分岐部36に対応する位置に順次回転してくる凹部61,62,63により、遊技球Bは一球ごと中央、右側、左側、それぞれの流下通路37へと誘導され流下していくこととなる。また、遊技球Bが一球流下する度に回動する回転規制部材70は、錘75により常に第1位置へ付勢されて戻るため、回転体50は120度(凹部1つ)回転するごとに回転が一時止められ、遊技球が3球流下することで一回転することとなる。つまり、この振分装置A1によって、ソレノイド等を使用せずに、遊技球が3本の流出通路37,37,37へ確実に等しい割合(左の流出通路37に1/3、中央の流出通路37に1/3、右の流出通路37に1/3の割合)で振り分けられることとなる。本実施形態では、この回転体50の凹部61,62,63には、右側、左側、下側の順に遊技球を流下させるように誘導面を形成したが、誘導する順番は左側、右側、下側等どのように変更しても良いことはもちろんである。
なお、回転規制部材70の回動動作について補足すると、回転規制部材70は、その係合部76と突起部77が仕切板40の壁部44に当たることで、第1位置よりさらに通路側へ突出する方向への回動が防止されている。また、回転規制部材70は、係合部76がケース体80の収容部82の奥側面に当たることで、第2位置よりさらに背面側への回動が防止されている。
図11は第2実施の形態に係る振分装置A2を示すものである。本実施形態の振分装置A2は、通路部材100と、回転体110と、回転規制部材130と、ケース体140とから概略構成されており、具体的には、第1支軸151が挿通された回転体110および第2支軸152が挿通された回転体130をケース体140へ回転可能に取り付け、このケース体140の前面側に通路部材100を取り付けて組立てられる。組立てられた振分装置A2は、遊技盤2aに装着された際、遊技盤2aの前面側に通路部材100、背面側にケース体140が位置することとなる。以下、この振分装置A2の各部材について説明する。
前記通路部材100は、図12に示したように、上端に遊技球が流入する流入開口101と、下端に遊技球が流出する2つの流出開口102,102とが設けられ、流入開口101から流出開口102へと遊技球を流下させる遊技球通路104が上方から下方に亘って背面側を開放するようにして連通して形成されている。遊技球通路104は、流入開口101から流入した遊技球が通過する流入通路105と、その下方に流入通路105より幅が広く形成された分岐部106と、分岐部106の下方に1つの分岐壁107aによって2条に形成された流出通路107,107とからなり、流入通路105及び2本の流出通路107,107のそれぞれの幅は遊技球が一つ流下できる程度の幅に設定されている。また、流入通路105内には減速用凸部103が複数突設され、さらに、分岐部106の両脇と分岐壁107aの背面側には螺子穴108,108,108が穿設されている。また、分岐壁107aの上端は、中央から流出通路107,107側へ向って下方に傾斜すると共に、背面側へ向って下方へ傾斜するように形成されている。さらに、流下する遊技球を検知するセンサ(図示せず)などが各通路に取付けられることとなる。なお、通路部材100は遊技球通路104内を流下する遊技球が遊技者から目視可能なように透明樹脂などで構成されると良い。
前記回転体110は、第1支軸151が挿通される軸孔116が穿設されている。また、回転体110は、径方向に突出するようにして5つの突設部(第1突設部111,第2突設部112,第3突設部113,第4突設部114及び第5突設部115)が等間隔(72度間隔)に配設され、各突設部間には5つの凹部(第1凹部121,第2凹部122,第3凹部123,第4凹部124及び第5凹部125)がそれぞれ遊技球を受け入れ可能な大きさで形成されている。各突設部111乃至115の外周端面は外周に沿って円弧状に膨らんで湾曲して形成され、各凹部121乃至125は受け入れた遊技球を所定方向へ転動させるため円弧面状に窪んだ誘導面としてそれぞれ形成されている。第1凹部121は、回転体110の軸方向の一端側(図11における右側面110a側)へ円弧面状に窪んで傾斜し、右側面110a側が大きく開放されるようにして第1誘導面121aが形成されており、第1凹部121に受け入れられた遊技球は第1誘導面121aにより右側に誘導され流下することとなる。また、第2凹部122には、回転体110の軸方向の他端側(図11における左側面側)へ円弧面状に窪んで傾斜し、左側面側を大きく開放するようにして第2誘導面122aが形成されており、第2凹部122に受け入れられた遊技球は第2誘導面122aにより左側に誘導され流下することとなる。同様に、第3凹部123、第4凹部124及び第5凹部125にも第2凹部122と同様に左側に窪んで傾斜するようにしてそれぞれ第3誘導面123a、第4誘導面124a及び第5誘導面125aが形成されており、第3凹部123、第4凹部124及び第5凹部125に受け入れられた遊技球もそれぞれの誘導面により左側に誘導され流下することとなる。ここで、凹部121乃至125の幅は通路部材100の流入通路105と同じか若干小さい寸法である。また、凹部121乃至125は本発明の被係合部にも相当する。
前記回転規制部材130は、第2支軸152が挿通される軸孔132が穿設されている。また、回転規制部材130は、軸方向両端からそれぞれ径方向に突出するように一対の球当接部133,133が流入通路105に収まる間隔で形成され、この球当接部133,133間の距離は遊技球の直径より小さく、かつ、回転体50の各突設部111乃至115の幅より大きく設定されている。また、球当接部133と軸を介した反対側には、軸方向と平行に円柱状の錘135が埋設されている。錘135は軸着した回転規制部材130を錘135側に傾けるだけの重さがあり、かつ、流下した遊技球が球当接部133,133に当たった場合に回動する程度の重さである。さらに、錘75の下方を基端部として下方へ垂下するように係合部136が形成されている。
前記ケース体140は、前面側、すなわち、通路部材100と対向する側を略長方形に開放するようにして縦長直方体形状の収容部142が形成されている。収容部142の左右側面の略中間位置と上方位置には、第1軸受孔144,144と第2軸受孔145,145が穿設されている。また、前面板141の縦中間位置の左右と下方の計3箇所に螺子孔143,143,143が通路部材100の螺子穴108位置に対応して設けられている。さらに、前面板141には、組立てられた振分装置A2を遊技盤2aへ取り付けるための螺子孔146,146,146が穿設された取付片147,147,147が、その上方と下方左右の計3箇所に形成されている。
このようにして構成された振分装置A2は以下のように振分装置A2として組立てられる。まず、回転体110をケース体140の収容部142に配置し、回転体110の軸孔116及びケース体140の第1軸受孔144,144に第1支軸151を挿通してEリング153により固定する。また、回転規制部材130をケース体140の収容部142に配置し、回転規制部材130の軸孔132及びケース体140の第2軸受孔145,145に第2支軸152を挿通してEリング154により固定する。そして、回転規制部材130及び回転体110が取付けられたケース体140を、その前面側で通路部材100の遊技球通路104として開放された側を塞ぐようにして通路部材100に取付け、螺子によって背面側から固定する。このようにして振分装置A2は組立てられ、回転体110及び回転規制部材130はケース体140の収容部142内で回転可能に軸支されることとなる。
次に、振分装置A2の動作について説明する。まず、通常時(遊技球が流下していない時)において、図13(a)に示すように回転規制部材130は、錘135によって係合部136側が下がっているため、球当接部133が流入通路105内に突出した状態となっている。この状態において、回転規制部材130の係合部136は回転体110の第2凹部122と係合しているため、回転体110は反時計回りへの回転が止められている(第1位置)。ここに、遊技球Bが流入通路105の減速用凸部103に当たり流下速度を落としながら流下してくると、遊技球Bは流入通路105内に突出している回転規制部材130の球当接部133に当たり、遊技球Bの重さによって、回転規制部材130をその球当接部133が下がる方向へと回動させる。すると、図13(b)に示すように回転規制部材130の係合部136と第2凹部122との係合が外れ、回転体110は反時計回りの回転が可能な状態となる(第2位置)。よって、流下する遊技球Bは、分岐部106内に突出した回転体110の第1突設部端面111aに当りながら流下し、その自重によって回転体110を反時計回りに回転させ、次に分岐部106へ回転してくる凹部、すなわち第1凹部121に受け入れられながら流下していく(図13(c))。このとき、既に遊技球Bは回転規制部材130の球当接部133からは離れて流下しているため、回転規制部材130はその錘135が下がる方向へと回動し、図13(d)に示すように再び係合部136が回転体110の第3凹部123と係合して回転体110の回転を止めることとなる(第1位置)。そして、次の遊技球Bが流下してくると、この動きが繰り返され、遊技球Bは、次いで第2凹部122、第3凹部123、第4凹部124、第5凹部125の順に受け入れられながら流下していく。このように、振分装置A2は、回転規制部材130を遊技球によって第1位置から第2位置へと回動させつつ、回転体50の各凹部121乃至125へと遊技球を1球ずつ順番に送り込むことができる。
以上の動作の中で、遊技球Bは回転体110の凹部121乃至125のいずれかに受け入れられて流下していくが、各凹部121乃至125には前述したようにそれぞれ回転体110の回転方向の右側、左側の2方向のいずれかに遊技球を誘導する誘導面121a乃至125aが形成されている。そのため、回転体110の回転により、通路部材100の分岐部106に順次回転してくる凹部121乃至125のいずれかにより、遊技球Bは一球ごと右側あるいは左側へと誘導され、右側、左側それぞれの流下通路107,107へと流下していくこととなる。また、遊技球Bが一球流下する度に回動する回転規制部材130は、錘135により常に第1位置へ付勢されて戻るため、回転体110は72度(凹部1つ)回転するごとに回動が一時止められ、遊技球Bが5球流下することで一回転することとなる。つまり、この振分装置A2によって、ソレノイド等を使用せずに、回転体の凹部に形成した誘導面の左右傾斜の割合(右の流出通路に1/5、左の流出通路へ4/5の割合)で遊技球が振り分けられることとなる。ここで、この回転体の凹部は、右側、左側、左側、左側、左側の順に遊技球を流下させるようにして誘導面を形成したが、誘導する順番や向きはどのように変更しても良いことはもちろんである。例えば、回転体の5つの凹部に、左側、右側、左側、右側、右側、というように誘導面をそれぞれ形成すれば、左右の流出通路へ振り分ける割合は、左の流出通路に2/5、右の流出通路へ3/5の割合となる。
図14は図13(d)の正面図であって、分岐部106に位置した第1凹部121の誘導面121aにより遊技球B1が右側へ流下した後、次いで遊技球B2が流入通路105へ流下してきたことを表した図である。図14は説明の便宜上、回転規制部材130を除いて図示してある。回転体110の第1凹部121は通路部材100の分岐部106に位置し、回転体110の第2突設部112は通路部材100の流入通路105の下方に位置し、この第2突設部の端面112aは、左側に傾斜して形成されている。このように第2突設部の端面112aを傾斜させることによって、流下してきた遊技球B2は、この端面112aに当って回転体110を回転させながら左側に寄せられた後、スムーズに次に分岐部106に回転してくる第2凹部122により左側へ誘導される。つまり、順次遊技球Bが流下して回転体110の回転が早まった場合でも、遊技球Bが第2凹部122に受け入れられる前(遊技球Bが第2突設部112上に流下した時)から第2凹部の誘導面122aの傾斜方向と同じ側(左側)へ遊技球を寄せることができる。同様に第3突設部113、第4突設部114及び第5突設部115端面は左側に傾斜して形成され、第1突設部111端面は右側に傾斜して形成されることで、遊技球は誘導面の傾斜通りの方向へより確実に振り分けられることとなる。なお、この突設部端面に傾斜を設けることは、第一実施例の回転体50の突設部51,52,53にも同様に適用することができる。また、本実施例では確実に所定の流出通路107へ遊技球を誘導するため、流入通路105へ流入した遊技球の速度を減速させる減速用凸部103を設けたが、この減速用凸部も第一実施例の流入通路35へ適用すれば、第1実施例においてもより確実な振分ができることとなる。
以上説明した第1及び第2実施の形態では、回転体の外周に凹部を3つ設けて3方向に振り分ける振分装置A1と、回転体の外周に凹部を5つ設けて2方向に振り分ける装置A2とを例として示したが、回転体の凹部の数はこれに限定されるものではなく、流出通路の通路数より多く設けられていれば良い。例えば、流出通路を2条備える通路部材と、凹部が3つの回転体を組合わせた場合、回転体のそれぞれの凹部に右、右、左に傾斜した誘導面を形成すると、遊技球が一球流下する度に、右の流出通路、右の流出通路、左の流出通路というように順次遊技球が振り分けられることとなる。このようにして、左右の流出通路へ遊技球が振り分けられる割合は、左対右=1対2(左の流出通路に1/3、右の流出通路へ2/3)というように、回転体の凹部に形成した誘導面の左右傾斜の割合の通り確実に遊技球を振り分けることができる。また、流出通路を2条備える通路部材と、凹部が4つの回転体を組合わせた場合は、左右の流出通路へ遊技球を振り分ける割合を1対3あるいは3対1と設定することができる。さらに、流出通路を3条備える通路部材と凹部を4つ備える回転体とを組合わせた場合には、各流出通路へ遊技球を振り分ける割合を左対中対右=1対2対1(左の流出通路に1/4、中央の流出通路へ1/2、右の流出通路へ1/4)などとすることができる。このように、回転体の凹部の数や通路部材の流出通路数の組合せは自由に設定できる。
さらに、振分装置を連続して直列的に設けた場合には、各々の流下通路に流下する割合を掛け合わせることができる。第2実施例の振分装置(左の流出通路に1/5の割合で振り分け、右の流出通路へ4/5の割合で振り分ける振分装置の場合)を2つ直列に設けた場合、例えば、左の流出通路の下方にもう1つ同様の振分装置の流入開口を位置させて設けると、下方の振分装置の左側の流出通路へ遊技球が流下する確率は1/25となる。このように、様々な割合に設定された振分装置を組合わせることにより、更に複雑な確率のパターンを設定することが可能となり遊技性に幅を持たせることができる。
また、本願発明の振分装置において、回転体の突設部の幅を回転規制部材の球当接部間の幅よりも小さく構成しているため、回転体の上方近傍位置に回転規制部材を配置しても、回転規制部材がその球当接部が下がる方向へ回動する際に回転体の回転を干渉することがない。このように、本願発明の振分装置は、省スペース化を実現できる。
なお、本実施の形態では、回転規制部材を常に第1位置へと付勢させる手段として錘を使用したが、これに限られず、バネなどの弾性部材や磁石の反発などを利用したものでも良い。また、通路部材の流出通路下端に流出開口を設けず、振り分けられた遊技球が遊技盤裏へ流入するように遊技盤に形成された開口へ通ずる開口部を振分装置の背面側に設ける構成としてもよい。さらに、回転規制部材の形状は、遊技球の流下により回転規制部材を回動させる球当接部と、第1位置の状態において回転体の被係合部と係合して回転体の回転を係止できる係合部とを備えれば、本実施例の形状に限らない。また、第2実施形態にて、螺子孔146が設けられた取付片147を介して螺子により振分装置を遊技盤に組付けたが、これに限らず、第1実施形態及び第2実施形態において、振分装置の背面側に弾性を有した係合片を設け、その弾性を利用した係合爪片により振分装置を遊技盤等に直接組付けるようにしてもよい。また、本願発明の振分装置は、実施例のように遊技領域に直接設ける他、他の入賞装置の内部に通路分岐として設けたり、遊技盤裏の機構として球払出装置の上流に設けられる供給通路に設けたり、1条から2条の振り分け等に活用することができる。
また、本発明の振分装置は、振り分けられる確率の高い流出通路の賞球数を少なくし、振り分けられる確率の低い流出通路の賞球数を多くするなどして遊技性に幅を持たせるために用いることを例として挙げたが、大当り確率を安定させるために本発明の振分装置を用いることもできる。例えば、遊技球を当たり口かはずれ口の何れかに振り分ける機構として本発明の振分装置を使用し、当たり口に遊技球が入ると大当たり遊技状態に移行して遊技者は多くの賞球を獲得できる一方、はずれ口に遊技球が入った場合は大当たり遊技状態には移行せず数個の賞球が払い出されるのみといったものとする。このように本発明の振分装置を利用した場合、従来利用されていた入賞用調整釘などに比べ、個体差もなく、大当りの確率を調整し安定させることができる。