JP2005312750A - 遊技機および遊技盤用入賞装置ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】ある入賞装置への遊技球の入賞をトリガとして、別の入賞装置が、遊技球が入賞し難い状態から入賞し易い状態に連動的に切り換わる遊技機において、トリガとなる入賞装置への入賞後に、入賞し易い状態に連動的に切り換わった別の入賞装置に遊技球が実際に入賞する数を安定化させる。
【解決手段】遊技機の遊技盤20に、(a)第1の入賞装置86と、(b)第2の入賞装置84であって、第1の入賞装置への入賞をトリガとして、入賞を制限する制限状態から、制限しない非制限状態に連動的に切り換わり、かつ、第2の入賞装置への入賞数が設定数に達すると制限状態に復元するものと、(c)少なくとも上記非制限状態において遊技球が第1の入賞装置より第2の入賞装置に優先的に入賞するように、それら入賞装置に入賞するための遊技球の経路におけるその遊技球の流れを制御する手段N1~N9,332,350,352とを設ける。
【選択図】図6

Description

本発明は、ある入賞装置への遊技球の入賞をトリガとして、別の入賞装置が、遊技球が入賞し難い状態から入賞し易い状態に連動的に切り換わる連動式の遊技機および遊技盤用入賞装置ユニットに関するものであり、特に、トリガとなる入賞装置への遊技球の入賞後に、入賞し易い状態に連動的に切り換わった別の入賞装置に遊技球が実際に入賞する数を安定化させる技術に関するものである。
遊技者が遊技を行うための遊技機として、パチンコ機やアレンジボール遊技機などが既に知られている。この遊技機の一形式として、遊技盤が入賞装置を複数個備え、かつ、それら複数個の入賞装置を相互に連動させるいわゆる連動式の遊技機が既に存在する(例えば、特許文献1参照。)。
この種の遊技機は、一般に、遊技者が遊技を行うための遊技盤に、(a)遊技球が入賞すべき第1の入賞装置と、(b)遊技球が入賞すべき第2の入賞装置であって、遊技球が第1の入賞装置に入賞することをトリガとして、遊技球の入賞を制限する制限状態から、制限しない非制限状態に機械的にまたは電気的に連動的に切り換わるものとが設けられるように構成される。
ここに、「第2の入賞装置」は、例えば、互いに共同して遊技球の入口を構成するとともに開閉可能な一対の可動部(例えば、チューリップ状を成す一対の可動片や羽根)を含むように構成される場合がある。この場合には、上述の「制限状態」は、例えば、それら一対の可動部が最も閉じた状態、または最も開いた状態から少しでも閉じた状態を意味し、一方、上述の「非制限状態」は、例えば、それら一対の可動部が最も開いた状態、または最も閉じた状態から少しでも開いた状態を意味する。
この種の遊技機においては、さらに、上述の第2の入賞装置が、遊技球の入賞を制限しない非制限状態においてこの第2の入賞装置に入賞した遊技球の数である第2の入賞数が第2の設定数に到達することを条件に、遊技球の入賞を制限する制限状態に復元するように構成される。
この種の遊技機においては、さらに、第2の入賞装置が制限状態に復元した後、第1の入賞装置に遊技球が入賞すると、第2の入賞装置が再度、制限状態から非制限状態に移行する。この種の遊技機においては、そのような第1および第2の入賞装置間の連動により、遊技者が感じ得る興趣が増す。
特開2000−233051号公報
上述の連動式の遊技機においては、第1の入賞装置に遊技球Aが入賞したことによって第2の入賞装置が制限状態から非制限状態に切り換わると、第2の入賞装置に遊技球が入賞し易くなる。そして、その非制限状態において第2の入賞数が第2の設定数に到達した後に第1の入賞装置へ次の遊技球Bが入賞する場合には、第1の入賞装置へある遊技球Aが入賞してから次の遊技球Bが入賞するまでの期間(以下、「ラウンド」という。)中に第2の入賞装置に入賞し得る遊技球の数は、第2の設定数と同数となる。
しかし、第2の入賞数が第2の設定数に到達しないうちに第1の入賞装置に遊技球が入賞する場合には、ある回のラウンド中に第2の入賞装置に入賞し得る遊技球の数が、第2の入賞数が第2の設定数に到達した後に第1の入賞装置に遊技球が入賞する場合に第2の入賞装置に遊技球が入賞し得る数(以下、「最大入賞数」という。第2の設定数N0個と一致する。)より、減少してしまう。以下、このことを具体的に説明する。
第2の入賞装置は、例えば、第1の入賞装置に遊技球が入賞すると、前回のラウンド中に第2の入賞装置に入賞した第2の入賞数Nをクリアするように設計することが可能である。第2の入賞装置をこのように設計した場合には、第2の入賞数Nが第2の設定数N0より少ないNS個である時点、すなわち、第2の入賞装置が制限状態に復元するまでに(N0−NS)個の遊技球が追加的に第2の入賞装置に入賞し得る時点で、第1の入賞装置に遊技球が入賞すると、第2の入賞数NSは0にクリアされる。
そのため、今回の事例においては、ある回のラウンド中に第2の入賞装置に入賞し得る遊技球の数は、N0個より少ないNS個となる。その結果、このように設計された第2の入賞装置を採用する場合には、第2の入賞数Nが第2の設定数N0に到達しないうちに第1の入賞装置に遊技球が入賞してしまうと、今回のラウンド中に第2の入賞装置に入賞し得る遊技球の数は、前述の最大入賞数N0個より、(N0−NS)個少ない。
すなわち、今回の事例においては、第2の入賞数Nが第2の設定数N0に到達しないうちに第1の入賞装置に遊技球が入賞してしまうと、第1の入賞装置の1回分のラウンドによって第2の入賞装置に入賞させる遊技が途中で終了させられてしまうのである。
これに対し、第2の入賞装置は、例えば、第2の入賞数Nが第2の設定数N0に到達しない限り、第2の入賞数Nをクリアしないように設計することが可能である。第2の入賞装置をこのように設計した場合には、第2の入賞数Nが第2の設定数N0より少ないNS個である時点、すなわち、第2の入賞装置が制限状態に復元するまでに(N0−NS)個の遊技球が追加的に第2の入賞装置に入賞し得る時点で、第1の入賞装置に遊技球が入賞しても、第2の入賞数NSは0にクリアされない。
この点、第2の入賞装置が前述のように設計された場合とは異なるのであるが、今回のように設計された第2の入賞装置においては、第1の入賞装置に新たに遊技球が入賞したために次回のラウンドが開始されると、第2の入賞装置においては、第2の入賞数のカウントが0から開始されるのではなく、NS個から開始されてしまう。この点も、第2の入賞装置が前述のように設計された場合とは異なる。
したがって、今回の事例においては、前回のラウンド中に第2の入賞装置に入賞し得る遊技球の数は、NS個であり、最大入賞数N0個より(N0−NS)個少ないうえに、今回のラウンド中に第2の入賞装置に入賞し得る遊技球の数は、せいぜい(N0−NS)個であり、最大入賞数N0個よりNS個少ない。このように、今回の事例においては、前回のラウンドのみ注目しても、第2の入賞装置への遊技球の入賞数が最大入賞数N0個より少なく、しかも、その悪影響が次回のラウンドに波及してしまうために、次回のラウンドにおいても、第2の入賞装置への遊技球の入賞数が最大入賞数N0個より少ない。
すなわち、今回の事例においては、第2の入賞数Nが第2の設定数N0に到達しないうちに第1の入賞装置に遊技球が入賞してしまうと、第1の入賞装置の1回分のラウンドによって第2の入賞装置に入賞させる遊技が途中で終了させられてしまううえに、第2の入賞数がクリアされることなく次回のラウンドにスキップさせられてしまうのである。
いずれにしても、この連動式の遊技機においては、第2の入賞数が第2の設定数に到達しないうちに第1の入賞装置に遊技球が入賞してしまうか否かにより、第2の入賞装置に入賞し得る遊技球の数が変動する。その数は、第2の入賞装置への遊技球の入賞に応じて遊技者に払い出される遊技球である賞球の数に反映されるため、結局、この連動式の遊技機においては、第2の入賞装置への入賞に応じた賞球の数が安定し難いという性質がある。
以上説明した事情を背景にして、本発明は、ある入賞装置への遊技球の入賞をトリガとして、別の入賞装置が、遊技球が入賞し難い状態から入賞し易い状態に連動的に切り換わる連動式の遊技機および遊技盤用入賞装置ユニットにおいて、トリガとなる入賞装置への遊技球の入賞後に、入賞し易い状態に連動的に切り換わった別の入賞装置に遊技球が実際に入賞する数を安定化させることを課題としてなされたものである。
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
(1) 遊技者が遊技を行うための遊技機であって、
遊技者が遊技を行うための遊技盤に、
(a)遊技球が入賞すべき第1の入賞装置と、
(b)遊技球が入賞すべき第2の入賞装置であって、遊技球が前記第1の入賞装置に入賞することをトリガとして、遊技球の入賞を制限する制限状態から、制限しない非制限状態に連動的に切り換わり、かつ、その非制限状態において前記第2の入賞装置に入賞した遊技球の数である第2の入賞数が第2の設定数に到達することを条件に、前記制限状態に復元するものと、
(c)少なくとも前記非制限状態において遊技球が前記第1の入賞装置より前記第2の入賞装置に優先的に入賞するように、それら第1および第2の入賞装置にそれぞれ入賞するための遊技球の経路である第1および第2の入賞経路のうちの少なくとも一方におけるその遊技球の流れを制御する流れ制御手段と
が設けられた遊技機。
この遊技機においては、第1および第2の入賞装置がそれぞれトリガ入賞装置および連動入賞装置として設けられた遊技盤にさらに、その遊技盤上における遊技球の流れを制御する流れ制御手段が設けられる。この流れ制御手段は、少なくとも第2の入賞装置の非制限状態(入賞し易い状態)において、遊技球が第1の入賞装置より第2の入賞装置に優先的に入賞するように、それら第1および第2の入賞装置にそれぞれ入賞するための遊技球の経路である第1および第2の入賞経路のうちの少なくとも一方におけるその遊技球の流れを制御する。
したがって、この遊技機によれば、少なくとも第2の入賞装置の非制限状態(入賞し易い状態)において、遊技球が第1の入賞装置より第2の入賞装置に優先的に入賞するようになるため、第2の入賞数が第2の設定数に到達しないうちに第1の入賞装置に遊技球が入賞してしまう確率が、上述の流れ制御手段を有しない従来の遊技機より減少する。
よって、この遊技機によれば、トリガとなる入賞装置への遊技球の入賞後に、入賞し易い状態に連動的に切り換わった別の入賞装置に遊技球が実際に入賞する数が従来の遊技機より安定する。その結果、遊技者にとっては、トリガとなる入賞装置に遊技球が入賞したことに応じて遊技者が獲得できる利益、すなわち、遊技者に払い出される遊技球の数の保証に対する期待感および信頼感が増す。
(2) 前記第2の入賞装置は、前記第2の入賞数が前記第2の設定数に到達しない限り、前記第2の入賞数をクリアしない(1)項に記載の遊技機。
前記(1)項に係る遊技機は、第2の入賞装置が、第1の入賞装置に遊技球が入賞すると第2の入賞数をクリアする第1の態様で実施することが可能である。この第1の態様においては、前述のように、第2の入賞数が第2の設定数に到達しないうちに第1の入賞装置に遊技球が入賞してしまうと、第1の入賞装置の1回分のラウンドによって第2の入賞装置に入賞させる遊技が途中で終了させられてしまう。しかし、その終了時に第2の入賞数がクリアされるため、前回のラウンドの途中終了による悪影響が次回のラウンドに波及することは回避される。
これに対し、前記(1)項に係る遊技機を、第2の入賞装置が、第2の入賞数が第2の設定数に到達しない限り、第2の入賞数をクリアしない第2の態様で実施することが可能である。この第2の態様においては、前述のように、第2の入賞数が第2の設定数に到達しないうちに第1の入賞装置に遊技球が入賞してしまうと、第1の入賞装置の1回分のラウンドによって第2の入賞装置に入賞させる遊技が途中で終了させられてしまううえに、第2の入賞数がクリアされることなく次回のラウンドにスキップさせられてしまう。
したがって、第2の入賞数が第2の設定数に到達しないうちに第1の入賞装置に遊技球が入賞したことが原因で、1回のラウンド中に第2の入賞装置に入賞し得る遊技球の数が前述の最大入賞数から減少する量は、第2の態様を採用する場合の方が第1の態様を採用する場合より多い。よって、前記(1)項に係る遊技機のうちの技術的特徴、すなわち、流れ制御手段は、第2の態様と組み合わせて採用する場合の方が、第1の態様と組み合わせて採用する場合より効果的である可能性がある。
以上説明した知見に基づき、本項に係る遊技機においては、第2の入賞装置が、第2の入賞数が第2の設定数に到達しない限り、第2の入賞数をクリアしないものとされている。
(3) 前記流れ制御手段は、前記遊技球の流れを機械的に制御する(1)または(2)項に記載の遊技機。
この遊技機によれば、第2の入賞装置に入賞する遊技球の数を安定化させるために遊技球の流れが機械的に制御されるため、電気的に制御される場合とは異なり、遊技球の流れを制御するために電力が消費されずに済む。したがって、この遊技機によれば、他の部品によって電力が消費されるにしても、この遊技機全体として消費される電力の節減が容易となる。
(4) 前記流れ制御手段は、前記第2の入賞数が前記第2の設定数に到達しないうちに別の遊技球が前記第1の入賞装置に入賞しないように、前記第1の入賞経路における遊技球の流れを制限する制限手段を含む(1)ないし(3)項のいずれかに記載の遊技機。
この遊技機においては、遊技球が第1の入賞装置より第2の入賞装置に優先的に入賞する状態が、第1の入賞装置に入賞するための遊技球の経路である第1の入賞経路における遊技球の流れを制限する制限手段により、実現される。
(5) 前記流れ制御手段は、遊技球が前記第1の入賞装置に入賞した後に別の遊技球がその第1の入賞装置に入賞しないうちに前記第2の入賞数が前記第2の設定数に到達するように、遊技球を前記第2の入賞装置に誘導する誘導手段を含む(1)ないし(4)項のいずれかに記載の遊技機。
この遊技機においては、遊技球が第1の入賞装置より第2の入賞装置に優先的に入賞する状態が、遊技球を第2の入賞装置に誘導する誘導手段により、実現される。
(6) 前記制限手段は、
(a)前記遊技盤に設けられ、前記第2の入賞装置が前記制限状態にあるか前記非制限状態にあるかに応答して作動する作動部であって、前記制限状態においては、前記第1の入賞経路における遊技球の流れを邪魔しない位置にあるが、前記非制限状態においては、前記第1の入賞経路における遊技球の流れを邪魔する位置に変位するものと、
(b)その作動部と前記第2の入賞装置とを互いに連動させる連動装置と
を含む(4)項に記載の遊技機。
この遊技機においては、第2の入賞装置が制限状態にあるか非制限状態にあるかに応答して作動する作動部が第2の入賞装置に機械的にまたは電気的に連動するように設けられる。その作動部は、第2の入賞装置の制限状態においては、第1の入賞経路における遊技球の流れを邪魔しない位置にあるが、第2の入賞装置の非制限状態においては、第1の入賞経路における遊技球の流れを邪魔する位置に変位する。
したがって、この遊技機によれば、第2の入賞装置の非制限状態において作動部が第1の入賞経路における遊技球の流れを邪魔することにより、遊技球が第1の入賞装置より第2の入賞装置に優先的に入賞する状態が実現される。さらに、この遊技機によれば、遊技球の流れを邪魔するという単純でありながら確実に目的を達成し得る手法により、遊技球が第1の入賞装置より第2の入賞装置に優先的に入賞する状態が実現される。
本項における「作動部」は、遊技球の流れを邪魔するために専ら利用される専用部品として構成することが可能であるが、同じ遊技機における他の装置(例えば、第2の入賞装置)の全部または一部としても機能する共用部品として構成することも可能である。
上述の専用部品の一例は、第2の入賞装置の開閉状態に連動するように遊技盤に設けられた可動板である。この可動板は、第2の入賞装置の開状態においては、遊技盤の表面から突出または起立して第1の入賞装置への遊技球の入賞を阻止する一方、第2の入賞装置の閉状態においては、遊技盤の表面に埋没または伏臥して第1の入賞装置への遊技球の入賞を阻止しないように作動させられる。
これに対し、上述の共用部品の一例は、第2の入賞装置において開状態と閉状態とに変位する一対の可動部(例えば、チューリップ状を成す一対の可動片や羽根)である。それら一対の可動部は、閉状態においては、第2の入賞装置への遊技球の入賞を制限する一方、開状態においては、第2の入賞装置への遊技球の入賞は制限しないが、第1の入賞装置への遊技球の入賞は制限ないしは阻止するように作動させられる。
(7) 前記第2の入賞装置は、前記遊技盤に設けられた一対の可動部であって、前記制限状態を実現する閉位置と、前記非制限状態を実現する開位置とに変位可能であるものを含み、
当該遊技機は、さらに、前記遊技盤に設けられた構造物であって、前記一対の可動部との間に空間が形成され、その空間は、前記開位置においては狭いが、前記閉位置においては広くなるように変化させられるものを含み、
前記誘導手段は、前記第2の入賞装置と前記構造物とに関連付けられ、前記開位置にある前記一対の可動部のうち遊技球が衝突する面と、前記構造物のうち遊技球が衝突する面との共同により、遊技球を前記第2の入賞装置に誘導するものである(5)項に記載の遊技機。
この遊技機においては、遊技盤上において、構造物(例えば、固定壁、案内レール、釘、風車等)と、開閉する一対の可動部であって第2の入賞装置に属するものとの間に空間が形成される。この空間は、一対の可動部の開位置(第2の入賞装置の非制限状態に対応する。)においては狭いが、閉位置においては広くなるように変化させられる。
さらに、この遊技機においては、それら第2の入賞装置と構造物とに関連付けて誘導手段が設けられる。この誘導手段は、開位置(第2の入賞装置の非制限状態に対応する。)にある一対の可動部のうち遊技球が衝突する面と、構造物のうち遊技球が衝突する面との共同により、遊技球を第2の入賞装置に誘導する。
したがって、この遊技機によれば、第2の入賞装置の非制限状態において、一対の可動部のうち遊技球が衝突する面と、構造物のうち遊技球が衝突する面との共同により、遊技球が第1の入賞装置より第2の入賞装置に優先的に入賞する状態が実現される。
この遊技機においては、上述の誘導手段を実施するために、遊技盤に専用部品を追加することが不可欠であるわけではない。上述の一対の可動部がそもそも、第2の入賞装置に属する既存部品である場合や、上述の構造物が、上述の誘導手段としての機能を持たせることを目的として設けられているか否かにかかわらず遊技盤に設けられる既存部品である場合がある。それらの場合には、それら既存部品を利用することにより、上述の誘導手段を実施することが可能である。
このように既存部品を利用する場合には、上述の誘導手段を実施するために専用部品を遊技盤に追加せずに済むため、部品点数の増加を回避しつつ、遊技球が第1の入賞装置より第2の入賞装置に優先的に入賞する状態が実現される。
(8) 前記第2の入賞装置は、開閉する一対の可動部であって、前記制限状態を実現する閉位置と、前記非制限状態を実現する開位置とに変位可能であるものを含み、
前記流れ制御手段は、前記遊技盤に設けられた構造物であって、前記一対の可動部との間に空間が形成され、その空間は、前記閉位置においては、前記第1の入賞経路として機能し得るように広いが、前記開位置においては、前記第1の入賞経路としては機能し得ないように狭くなるように変化させられるものを含む(1)ないし(5)項のいずれかに記載の遊技機。
この遊技機においては、前記(7)項に係る遊技機と同様に、遊技盤上において、構造物と、開閉する一対の可動部であって第2の入賞装置に属するものとの間に空間が形成される。この空間は、一対の可動部の閉位置においては、前述の第1の入賞経路として機能し得るように広いが、開位置(第2の入賞装置の非制限状態に対応する。)においては、第1の入賞経路としては機能し得ないように狭くなるように変化させられる。
したがって、この遊技機においては、第2の入賞装置の非制限状態において、構造物と一対の可動部との間における空間が第1の入賞経路としては機能し得ないほどに、すなわち、その空間を通過した遊技球が第1の入賞装置に入賞してしまうことがないほどに、狭くされる。それにより、遊技球が第1の入賞装置より第2の入賞装置に優先的に入賞する状態が実現される。
この遊技機においては、構造物と一対の可動部との間における空間の広狭を制御するために構造物が利用され、かつ、その構造物は、一対の可動部との共同により、その空間の広狭が制御されるように適合させられる。したがって、そのような構造物が前述の流れ制御手段として機能することになるが、その構造物は、例えばそれの形状や位置のみに関して専用化されたものであれば足り、その存在自体も専用であることは不可欠ではない。すなわち、既存部品である従来の構造物を利用し、それの形状や位置を変更することにより、上述の流れ制御手段を実現することが可能なのである。
(9) 当該遊技機は、さらに、前記第1および第2の入賞装置間の連動を、落下する遊技球を利用して機械的に行う第1の連動機構を含む(1)ないし(8)項のいずれかに記載の遊技機。
この遊技機によれば、第1および第2の入賞装置間の連動を電気的に行うか、または機械的に行うにしても遊技球の落下を利用せずに行う場合に比較し、その連動のための機構を単純化したり軽量化することが容易である。
(10) 前記第1の入賞装置は、常には、遊技球の入賞を制限する制限状態にあるが、設定条件が成立すると、遊技球の入賞を制限しない非制限状態に切り換わる(1)ないし(9)項のいずれかに記載の遊技機。
この遊技機によれば、第1の入賞装置への遊技球の入賞し易さが可変であるため、固定である場合に比較し、遊技の展開に変化が与えられて、遊技者が感じ得る興趣が増す。
(11) さらに、前記遊技盤に進入した遊技球を、可動部との接触により、特別入賞口と非特別入賞口とに振り分ける振分け装置が前記遊技盤に設けられ、前記設定条件は、遊技球が前記特別入賞口に入賞した場合に成立する(10)項に記載の遊技機。
この遊技機によれば、第2の入賞装置が第1の入賞装置に連動させられることに加えて、その第1の入賞装置が別の入賞装置に連動させられる。これにより、同じ遊技盤上において相互に連動させられる入賞装置の数が増加し、その結果、遊技の展開のスケールおよびダイナミックさが増加し、遊技者が感じ得る興趣が増す。
さらに、この遊技機においては、第1の入賞装置のトリガとなる別の入賞装置が、遊技盤に進入した遊技球を、可動部との接触により、特別入賞口と非特別入賞口とに振り分ける振分け装置として構成される。したがって、この遊技機によれば、第1の入賞装置のトリガとなる別の入賞装置を、上述の振分け装置より単純な入賞装置として構成する場合より、遊技の展開に変化が与えられて、遊技者が感じ得る興趣が増す。
(12) 当該遊技機は、さらに、前記振分け装置と前記第1の入賞装置との間の連動を、落下する遊技球を利用して機械的に行う第2の連動機構を含む(11)項に記載の遊技機。
この遊技機によれば、振分け装置と第1の入賞装置との間の連動を電気的に行うか、または機械的に行うにしても遊技球の落下を利用せずに行う場合に比較し、その連動のための機構を単純化したり軽量化することが容易である。
(13) 前記第1の入賞装置は、前記非制限状態においてその第1の入賞装置に入賞した遊技球の数である第1の入賞数が、前記第2の設定数より少ない第1の設定数に到達することを条件に、前記制限状態に復元する(10)ないし(12)項のいずれかに記載の遊技機。
第1の入賞装置が非制限状態から制限状態に復元するまでにその第1の入賞装置に入賞しなければならない遊技球の数、すなわち、第1の設定数は、第2の設定数より多くなるように設定することが可能である。ここに、第1の入賞装置は、第1および第2の入賞装置のうち、第2の入賞装置の非制限状態において遊技球が優先的に入賞しない方である。
しかし、第1の設定数をそのように設定した場合には、第1および第2の入賞装置のうち、遊技球が入賞し難い方に、より多数の遊技球が入賞しない限り、それら入賞装置への遊技球の入賞に伴う遊技球の一連の払出しが完了しない。
このことは、その一連の払出しに費やさなければならない遊技球(遊技盤内に投入されたが第1および第2の入賞装置に入賞することなく遊技盤から排出されるいわゆる無駄球を含む。)の数および時間の長さが、第1の設定数を第2の設定数より少なくなるように設定する場合より、増加することを意味する。
このような知見に基づき、本項に係る遊技機においては、第1の入賞装置が、非制限状態においてその第1の入賞装置に入賞した遊技球の数である第1の入賞数が、第2の設定数より少ない第1の設定数に到達することを条件に、制限状態に復元するものとされている。
したがって、この遊技機によれば、第1および第2の入賞装置への遊技球の入賞に伴う遊技球の一連の払出しに費やされる遊技球の数および時間の長さが、第1の設定数を第2の設定数より多くなるように設定する場合より、減少する。その結果、遊技者にとっては、遊技の展開のスピード感が増し、また、遊技機を設置するホールの経営者にとっては、遊技機の稼働率が増す。
(14) 前記第1および第2の入賞装置は、第1の入賞装置が第2の入賞装置の実質的に略真下に位置するように、前記遊技盤に配置されている(1)ないし(13)項のいずれかに記載の遊技機。
この遊技機においては、第1の入賞装置が第2の入賞装置の実質的に略真下に位置するように遊技盤に配置されている。一方、この種の遊技機においては、一般に、入賞装置の遊技盤上における位置が上方である場合には、下方である場合より、その入賞装置に遊技球が入賞し易い。
したがって、この遊技機においては、第1および第2の入賞装置のうち、第2の入賞装置の非制限状態において遊技球が優先的に入賞する方である第2の入賞装置が、第1の入賞装置より上方に位置するように遊技盤に配置されることになる。
よって、この遊技機によれば、第1および第2の入賞装置への遊技球の入賞に伴う遊技球の一連の払出しに費やされる遊技球の数および時間の長さが、第2の入賞装置が第1の入賞装置の実質的に略真下に位置するか、または横一列に並ぶように遊技盤に配置される場合より、減少する。その結果、遊技者にとっては、遊技の展開のスピード感が増し、また、遊技機を設置するホールの経営者にとっては、遊技機の稼働率が増す。
さらに、この遊技機によれば、遊技盤上における遊技球の落下方向に第2の入賞装置と第1の入賞装置とがそれらの順に並ぶため、遊技球が第1の入賞装置より第2の入賞装置に優先的に入賞する状態が実現されていることと相俟って、遊技者は、遊技球を遊技盤に投入する際に、遊技球の狙いを継続的に第2の入賞装置に設定すれば足り、タイミングに応じて遊技球の狙いを第2の入賞装置と第1の入賞装置とに切り換えずに済む。
その結果、遊技者は、トリガとなる入賞装置に遊技球が入賞したことに応じて遊技者が獲得できる利益を極大化するために面倒な操作や熟練を要する操作を行わずに済む。このことは、面倒な操作や熟練を要する操作を行うことなく、予定された利益を遊技者が確実に獲得できることに寄与することを意味する。
(15) 前記第1および第2の入賞装置は、いずれも、閉位置と開位置とに変位可能な一対の可動部を含み、かつ、前記閉位置においては、遊技球が前記入賞装置に入賞することを制限する制限状態が、前記一対の可動部が隙間を残して互いに対向する状態で実現され、一方、前記開位置においては、遊技球が前記入賞装置に入賞することを制限しない非制限状態が実現され、
当該遊技機は、さらに、それら第1および第2の入賞装置のうちの少なくとも一方である対象入賞装置に関連付けて設けられ、その対象入賞装置に対応する前記一対の可動部の閉位置においてそれら一対の可動部間の隙間を完全にまたは部分的に塞ぐ閉塞部を含む(1)ないし(14)項のいずれかに記載の遊技機。
この遊技機においては、第1および第2の入賞装置が、いずれも、閉位置と開位置とに変位可能な一対の可動部を含んでいる。各入賞装置は、閉位置においては、遊技球が入賞装置に入賞することを制限する制限状態が、一対の可動部が隙間を残して互いに対向する状態で実現され、一方、開位置においては、遊技球が入賞装置に入賞することを制限しない非制限状態が実現されるように構成されている。
すなわち、この遊技機においては、一対の可動部の閉位置が、一対の可動部が隙間を残して互いに対向する状態で入賞装置の入賞制限状態が実現されるように設定されるのである。
そのため、この遊技機においては、それら一対の可動部の閉位置が、それら一対の可動部が隙間を残すことなく互いに対向する状態で入賞装置の入賞制限状態が実現されるように設定される場合とは異なり、それら一対の可動部間の隙間が、第三者による不正行為を可能にする要因となり得る。具体的には、例えば、セル板と通称される不正な道具を、それら一対の可動部間の隙間を経て遊技機内に侵入させることにより、不正行為が行われ得る。
そこで、本項に係る遊技機においては、第1および第2の入賞装置のうちの少なくとも一方である対象入賞装置に関連付けて閉塞部が設けられる。この閉塞部は、その対象入賞装置に属する一対の可動部の閉位置において、それら一対の可動部間の隙間を完全にまたは部分的に塞ぐように構成される。
したがって、この遊技機によれば、それら一対の可動部間の隙間を利用した不正行為を防止することが可能となる。
本項における「閉塞部」を具体的に説明すれば、例えば、それら一対の可動部間の隙間を「筒状を成す空間」として近似的に表現する場合には、その閉塞部の一例は、その筒状の空間の外部から内部に物体が侵入することを邪魔する部材であり、別の例は、その筒状の空間内を物体が入賞装置の中心に向かって移動することを邪魔する部材である。
なお付言するに、本項に記載の技術的特徴は、前記(1)ないし(14)項のいずれかに記載の技術的特徴から独立して実施することが可能である。
(16) 遊技者が遊技球を用いて遊技を行うための遊技盤に装着されて使用される遊技盤用入賞装置ユニットであって、
(1)ないし(15)項のいずれかに記載の第1の入賞装置と、
(1)ないし(15)項のいずれかに記載の第2の入賞装置と、
(1)ないし(15)項のいずれかに記載の流れ制御手段と
を含む遊技盤用入賞装置ユニット。
この遊技盤用入賞装置ユニットを遊技機に組み込んで使用すれば、前記(1)ないし(15)項のいずれかに係る遊技機と同様な作用効果が得られる。
さらに、この遊技盤用入賞装置ユニットによれば、第1および第2の入賞装置と流れ制御手段との相対位置関係を、それらを別部品として遊技盤に組み込む場合より、精度よく管理することが容易である。したがって、この遊技盤用入賞装置ユニットによれば、流れ制御手段の性能が、第1および/または第2の入賞装置との間の相対位置関係に依存する場合であっても、安定的に発揮される。
(17) さらに、(9)項に記載の第1の連動機構を含む(16)項に記載の遊技盤用入賞装置ユニット。
この遊技盤用入賞装置ユニットを遊技機に組み込んで使用すれば、前記(9)項に係る遊技機および前記(16)項に係る遊技盤用入賞装置ユニットと同様な作用効果が得られる。
(18) さらに、(11)項に記載の振分け装置を含む(16)または(17)項に記載の遊技盤用入賞装置ユニット。
この遊技盤用入賞装置ユニットを遊技機に組み込んで使用すれば、前記(11)項に係る遊技機および前記(16)または(17)項に係る遊技盤用入賞装置ユニットと同様な作用効果が得られる。
(19) さらに、(12)項に記載の第2の連動機構を含む(16)ないし(18)項のいずれかに記載の遊技盤用入賞装置ユニット。
この遊技盤用入賞装置ユニットを遊技機に組み込んで使用すれば、前記(12)項に係る遊技機および前記(16)ないし(18)項のいずれかに係る遊技盤用入賞装置ユニットと同様な作用効果が得られる。
(20) 遊技者が遊技を行うための遊技機であって、
遊技者が遊技を行うための遊技盤に、(16)ないし(19)項のいずれかに記載の遊技盤用入賞装置ユニットが設けられた遊技機。
この遊技機によれば、前記(1)ないし(15)項のいずれかに係る遊技機および前記(16)ないし(19)項のいずれかに係る遊技盤用入賞装置ユニットと同様な作用効果が得られる。
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に従うパチンコ機が斜視図で示されている。このパチンコ機は、本体枠10と、ガラス扉12と、前皿部扉14と、図示しない発射装置とを備えている。すなわち、本実施形態においては、パチンコ機が前記(1)項における「遊技機」の一例を構成しているのである。このパチンコ機はパチンコホールに設置されて使用される。
本体枠10には、それの前側において遊技盤20が作業者により着脱可能に装着される。遊技盤20は、本体枠10のうち遊技盤20に対面する部分に対して平行な姿勢で本体枠10に装着される。
遊技盤20は、それの中央に遊技領域22が設定されている。この遊技領域22においては、図示しない複数本の釘が、遊技球(「パチンコ球」ともいう。)との衝突によってそれの進路に影響を及ぼすために立設されている。
遊技領域22の外周においては、概して円弧状を成すレール24が、発射装置により発射された遊技球を遊技領域22に誘導するために設けられている。発射装置は、遊技者による操作ハンドル26の操作に応じた強度(速度)で遊技球を遊技領域22に向かって発射する。
パチンコ機は、さらに、発射装置により発射された遊技球が遊技盤20の入賞口に入るのに応じて賞品として遊技球を払い出す図示しない払出し装置を備えている。
図1に示すように、ガラス扉12と前皿部扉14とは、本体枠10の高さ方向において互いに隣接した状態でその本体枠10の前面を覆うように設計されている。それらガラス扉12と前皿部扉14とは、共に、本体枠10の高さ方向に延びる回動軸線まわりの回動によりその本体枠10に対して開閉可能とされている。その回動軸線は、本実施形態においては、パチンコ機の一対の側辺のうち向かって左側に位置するものに一致するように設定されている。
ガラス扉12は、それの閉状態において、本体枠10に装着された遊技盤20の遊技領域22をそれの前側から透視可能に覆うように設計されている。
これに対し、前皿部扉14は、前述の払出し装置により払い出された遊技球を貯留する貯留機能を発揮する前皿部28を有するように設計されている。前皿部28は、前皿部扉14の前面から前方に張り出させられている。
本実施形態においては、ガラス扉12と前皿部扉14とのうちガラス扉12のみが、それの閉状態において、本体枠10に装着された遊技盤20の前面を覆うように設計されている。
以上、本実施形態に従うパチンコ機の全体の構造を説明したが、以下、遊技盤20をさらに詳しく説明する。
図2に示すように、遊技盤20には、後述の複数個の役物装置,複数本の釘N(図6参照),複数個の風車W(図6参照)および1個の入賞装置46が設置されている。複数個の役物装置は、センタ役物装置50と、左上非連動役物装置52および左下非連動役物装置54と、右上連動役物装置60および右下連動役物装置62と、下部連動役物装置64とを含んでいる。
遊技盤20の盤面構成を具体的に説明すれば、遊技盤20のうちの略中央部には、センタ役物装置50が設置されている。遊技盤20のうち、その遊技盤20に向かって左側の部分には、左上非連動役物装置52と左下非連動役物装置54とが上下に並んで配置され、一方、右側の部分には、右上連動役物装置60と右下連動役物装置62とが上下に並んで配置されている。
センタ役物装置50は特別な入賞装置(以下、「特別入賞装置」といい、他の入賞装置から区別する。)70を有し、一方、左上非連動役物装置52,左下非連動役物装置54,右上連動役物装置60および右下連動役物装置62はいずれも、一般的な入賞装置80,82,84,86を有している。いずれにしても、各入賞装置70,80,82,84,86は、遊技球の入賞に応じて開閉する一対の可動片90,90を備えたチューリップ式役物を主体として構成されている。
左上非連動役物装置52は、入賞装置80の他に、一対の可動片90,90の上方に位置する構造物(「覆い」ともいう。)を備えている。その構造物には、貫通穴56が形成されており、その貫通穴56を経て、遊技球が入賞装置80に入賞する。
各入賞装置70,80,82,84,86における一対の可動片90,90は、よく知られているように、遊技盤20の表面に直角な各回動軸線まわりに一定角度範囲内において回動し、その回動位置は起立位置と傾斜位置とに切り換わる。各可動片90,90は、下に凸となる半円状を成す場合や、直線的な羽根状または翼状を成す場合がある。いずれにしても、一対の可動片90,90が共に起立位置にある状態が、それら一対の可動片90,90の閉状態に該当し、これに対し、それら一対の可動片90,90が共に傾斜位置にある状態が、それら一対の可動片90,90の開状態に該当する。
すなわち、それら一対の可動片90,90の閉状態が、それら一対の可動片90,90を経て遊技球が入賞装置70,80,82,84,86に入賞し難い状態(入賞が制限される制限状態)であり、一方、開状態は、それら一対の可動片90,90を経て遊技球が入賞装置70,80,82,84,86に入賞し易い状態(入賞が制限されない非制限状態)なのである。
センタ役物装置50は、自らがトリガとなって右下連動役物装置62を連動させ、その右下連動役物装置62は、自らがトリガとなって右上連動役物装置60を連動させる。すなわち、それらセンタ役物装置50と右下連動役物装置62と右上連動役物装置60とは、それらの順に連鎖的に作動するようになっているのである。
これに対し、左上非連動役物装置52と左下非連動役物装置54とはいずれも、自らがトリガとなることも、別の役物装置によって連動させられることもないように設計されている。それら左上非連動役物装置52と左下非連動役物装置54とはいずれも、一対の可動片90,90が常には閉じているが、遊技球が入賞装置80,82に1個入賞すると、図2に示すように、開き、その状態で別の遊技球が1個入賞すると、閉じるように設計されている。すなわち、それら左上非連動役物装置52と左下非連動役物装置54とはいずれも、いわゆる1回開きの構造を採用しているのである。
図2に示すように、遊技盤20のうちセンタ役物装置50より下側の部分には、チャッカとも称される入賞装置46と、アタッカとも称される下部連動役物装置64とが上下に並んで配置されている。入賞装置46は、上述の入賞装置70,80,82,84,86とは異なり、一対の可動片90,90の如き可動部を有しておらず、遊技球が1個ずつ入賞する入賞口102を単に有しているにすぎないが、入賞装置46は、自らがトリガとなって下部連動役物装置64を連動させる。その結果、入賞装置46に遊技球が入賞すると、下部連動役物装置64のうちの開閉扉104が、設定時間が満了するかまたは遊技球の入賞数が設定数に到達するまで開き、遊技球の入賞を許可する。
以上、遊技盤20の全体の構成を説明したが、次に、互いに連動するセンタ役物装置50,右下連動役物装置62および右上連動役物装置60を詳しく説明する。
図3には、センタ役物装置50が正面図で、図4には、側面断面図でそれぞれ示されている。図3および図4に示すように、センタ役物装置50においては、投入部110と案内部112と振分け部114と入賞部116とがそれらの順に、そのセンタ役物装置50のうちの上部から下部に向かって並んで配置されている。入賞部116は、チューリップ式役物を有する特別入賞装置70を備えている。
投入部110は、遊技球がセンタ役物装置50内に投入される2個の球入口120,120を有する部分である。本実施形態においては、それら球入口120,120がセンタ役物装置50の左右にそれぞれ設けられている。
案内部112は、その投入部110から投入された遊技球を振分け部114に案内する部分である。本実施形態においては、案内部112が、概して皿状を成す案内部材130を水平な姿勢で備えている。その案内部材130は、投入部110から投入された遊技球が落下して着地する上面132を有している。
この上面132は、図4に断面図で示すように、案内部材130と同軸にすり鉢状を成しており、そのため、その上面132に着地した遊技球は、その上面132の傾斜によってらせん運動させられる。その上面132は、それの中心に近づくにつれて高さが低くなるため、遊技球は、らせん運動させられつつ上面132の中心に接近する。その上面132の中心には貫通穴134が形成されている。したがって、遊技球は、最終的には、その貫通穴134を通過して、振分け部114に移行する。
図3に示すように、振分け部114は、その案内部112から落下した遊技球を入賞部116のうちの特別入賞口140と非特別入賞口142とにランダムに振り分ける部分である。
図3に示すように、振分け部114は、遊技球の行き先を特別入賞口140と非特別入賞口142とに振り分ける振分け装置150と、案内部112から落下した遊技球をその振分け装置150へ導く誘導路152とを備えている。
図4に示すように、誘導路152は、案内部材130の貫通穴134に正対する位置から遊技盤20の背面に向かって延びるとともに、その向きに進むにつれて下る斜面154を有するように延びている。誘導路152の下流端156には、その誘導路152から遊技球が落下して排出される球出口158が設けられている。したがって、遊技球は、案内部材130の貫通穴134から落下して誘導路152に着地した後、その誘導路152に沿って流下し、やがて球出口158から落下して振分け装置150に到達することになる。
図4に示すように、振分け装置150は、球出口158に正対する位置から遊技盤20の前面に向かって延びるとともに、その向きに進むにつれて下る斜面168を有する案内部材170を静止部材として備えている。この案内部材170には、薄肉円形状の凹部172がそれの上面において開口する姿勢で形成されている。この案内部材170には、さらに、図3に示すように、その凹部172の外側においてそれの外周に沿って円弧状に延びる外側通路174が形成されている。その外側通路174は、遊技球を、凹部172を経由することなく、入賞部116に案内するための通路である。
この振分け装置150は、さらに、振分け回転体176を可動部材として備えている。その振分け回転体176は、図4に示すように、凹部172に同軸的に回転可能にはめ込まれている。
図3に示すように、その振分け回転体176には、それの一直径方向を貫通する溝178がそれの上面において開口する姿勢で形成されている。図3に示すように、その溝178の底面は水平面に対して傾斜させられている。その溝178は、球出口158から落下して外側通路174に着地した遊技球を、その外側通路174をさらに経由することなく、入賞部116に案内するための内側通路180を形成している。
振分け回転体176は、図示しないモータにより、案内部材170に対して、定常的にもしくは間欠的にまたは規則的にまたはランダムに回転させられる。球出口158から落下して外側通路174の上流位置に着地した遊技球が、溝178内の内側通路180に進入するか、その内側通路180を経由することなく、外側通路174をさらに進行するかは、遊技球が着地したときにおける振分け回転体176の回転位置に依存してランダムに決まる。
一方、この振分け装置150は、外側通路174の上流位置182に着地した遊技球が内側通路180を経由して入賞部116に入賞した場合には、図3に示すように、チューリップ式役物を有する特別入賞装置70が閉状態にあるか開状態にあるかを問わず、入賞部116の特別入賞口140に入賞するように設計されている。さらに、この振分け装置150は、外側通路174の上流位置182に着地した遊技球が外側通路174を経て入賞部116に入賞した場合には、特別入賞装置70が閉状態にあれば、必ず入賞部116の非特別入賞口142に入賞し、一方、特別入賞装置70が開状態にあれば、必ず入賞部116の特別入賞口140に入賞するか、または閉状態にある場合より高い確率で特別入賞口140に入賞するように設計されている。
外側通路174の下流位置184であって振分け回転体176に近接する位置には一対の案内突起186,186が、外側通路174の表面から上方に突出する姿勢で形成されている。それら一対の案内突起186,186は、(a)外側通路174の上流位置182に着地した遊技球が内側通路180を経て入賞部116に入賞する際に、その遊技球が予定外に非特別入賞口142に入賞することを防止する機能と、(b)外側通路174の上流位置182に着地した遊技球が外側通路174を経て入賞部116に入賞する際に、その遊技球が予定外に特別入賞口140に入賞することを防止する機能とを果たす。
特別入賞装置70における一対の可動片90,90は、図3において二点鎖線で示すように、遊技球がちょうど通過し得る程度の隙間を隔てて互いに対向するために遊技球が入賞し難い閉状態と、同図において実線で示すように、閉状態より大きな隙間を隔てて互いに対向するために遊技球が入賞し易い開状態とに変位させられる。それら一対の可動片90,90は、常には、閉状態にあるが、それら一対の可動片90,90に遊技球が入賞すると、開状態に移行し、遊技球の入賞が促進される。それら一対の可動片90,90が作動する原理は後に詳述する。
前述のように、入賞部116は、入賞口として特別入賞口140と非特別入賞口142とを有しているが、特別入賞口140が、特別入賞装置70に設けられた入賞口であり、換言すれば、上述の一対の可動片90,90間の隙間である。これに対し、非特別入賞口142は、図3に示すように、特別入賞装置70の両側にそれぞれ配置された一対の入賞口である。
ここで、特別入賞装置70における一対の可動片90,90が作動する原理を図5を参照しつつ詳述する。
まず、概略的に説明すれば、特別入賞装置70は、前述のように、チューリップ式の役物装置であり、本実施形態においては、遊技球が1個入賞するごとに、一対の可動片90,90が開閉を繰り返す構造を採用している。すなわち、一対の可動片90,90は、遊技球が特別入賞装置70に入賞すれば開き、その開状態において別の遊技球が特別入賞装置70に入賞すれば、閉じるのである。それら一対の可動片90,90内に遊技球が進入すれば、それら一対の可動片90,90は、その進入した遊技球から受ける力により、開状態(傾斜状態)から閉状態(起立状態)に変位する。
図5の(a)および(b)にはそれぞれ、特別入賞装置70が側面断面図で示されている。同図において左側が遊技盤20の前面側に該当し、右側が遊技盤20の背面側に該当する。同図の(a)には、特別入賞装置70が一対の可動片90,90の閉状態(起立状態)において示され、同図の(b)には、一対の可動片90,90の開状態(傾斜状態)において示されている。同図には、それら一対の可動片90,90のうち、遊技盤20に向かって左側に位置するもののみが示されている。
前述のように、各可動片90,90は、遊技盤20の表面の直角な回動軸線まわりに、図5の(a)に示す起立位置と、同図の(b)に示す傾斜位置との範囲内において回動させられる。本実施形態においては、各可動片90,90の回動軸線は各可動片90,90の重心位置から偏心させられている。その偏心の向きは、各可動片90,90に重力のみ作用し、それ以外の外力は作用しない自然状態において各可動片90,90が傾斜位置に保持される向きに設定されている。図5の(b)には、一対の可動片90,90が自然状態すなわち傾斜状態において示されている。
各可動片90,90は、外力を選択的に受ける係合突起190を、各可動片90,90と一体的に回動する状態で備えている。その係合突起190に外力が作用しない状態が、上述の自然状態である。その係合突起190には外力が、各可動片90,90の起立状態において作用し得るようになっている。前述のように、それら一対の可動片90,90内に遊技球が進入すれば、それら一対の可動片90,90は傾斜状態から起立状態に変化するが、その遊技球がそれら一対の可動片90,90を通過してしまうと、それら一対の可動片90,90は、それらに作用する重力により、傾斜状態に復元しようとする。この復元を阻止するために上述の係合突起190が設けられている。
各可動片90,90の起立状態において係合突起190に選択的に係合することにより、各可動片90,90が傾斜状態に復元することが機械的に阻止される。この機能を実現するために、図5に示すように、特別入賞装置70は、遊技盤20の幅方向に平行な回転軸線まわりに間欠的に回転させられる間欠回転体192を備えている。その間欠回転体192は、それと同軸の球送り歯車194と、係合部材196とを互いに一体的に回転する状態で備えている。
球送り歯車194は、それの外周面において4個の円弧状の切欠部200を有している。特別入賞装置70は、さらに、一対の可動片90,90内に進入した遊技球を後続の機構部に誘導する誘導通路202を備えている。その誘導通路202を遊技球が通過する際に、その遊技球は間欠回転体192の4個の切欠部200のうちのいずれかと係合し、その結果、その間欠回転体192が90度回転させられる。この90度回転は、一対の可動片90,90内に遊技球が進入するごとに行われる。
これに対し、係合部材196は、球送り歯車194と一体的に間欠回転させられる。係合部材196は、概して円板状を成しているが、位相が180度異なる2個の切欠部210,210と、位相が180度異なる2個の係合部212,212とを有している。
この係合部材196は、前述の係合突起190に近接する位置に配置されている。この係合部材196は、球送り歯車194と一体的に間欠回転させられ、その結果、係合部212において係合突起190に係合可能な位置と、切欠部210において係合突起190が通過することを可能にする位置とに回転させられる。
具体的には、図5の(a)に示す起立状態においては、係合部材196が、それの係合部212において係合突起190に係合し、それにより、一対の可動片90,90が重力に抗して起立状態に保持される。
この状態において遊技球が一対の可動片90,90内に進入して誘導通路202を流下すれば、その途中において遊技球が球送り歯車194を介して係合部材196を90度反時計方向に回転させる。その結果、係合部212と係合突起190との係合が解除されて、係合部材196は、それの切欠部212において係合突起190に対向する。それにより、一対の可動片90,90が重力によって、図5の(b)に示す傾斜状態に回動することが許容される。
この状態において別の遊技球が一対の可動片90,90内に進入してそこから退出しようとすると、その遊技球によって一対の可動片90,90が起立させられる。その後、その遊技球が一対の可動片90,90から退出して誘導通路202内に進入して流下すれば、その途中において遊技球が球送り歯車194を介して係合部材196を90度反時計方向に回転させる。その結果、一対の可動片90,90の起立状態において、係合突起190に係合部212が係合させられ、それにより、一対の可動片90,90が重力によって傾斜することが阻止される。
間欠回転体192は、図示しないばねによって半径方向内向きに付勢されており、それにより、球送り歯車194を遊技球が1個通過する際に、間欠回転体192が90度を超えて回転することが防止されている。
以上要するに、この特別入賞装置70においては、遊技球が1個入賞するごとに間欠回転体192が90度回転し、それにより、一対の可動片90,90が開状態と閉状態とに交互に切り換わるようになっており、この特別入賞装置70は、いわゆる1回開きの構造を採用しているのである。
図3および図4に示すように、特別入賞装置70は、さらに、一対の可動片90,90を遊技盤20の前面側から覆う前面カバー220を備えている。ところで、一対の可動片90,90は、図3において二点鎖線で示す閉状態において、垂直方向に延びる隙間を隔てて互いに対向している。その隙間は、振分け部114から落下した遊技球が特別入賞装置70内に進入するのに必要な幅寸法を有している。そのため、一対の可動片90,90が閉状態にあっても、それら一対の可動片90,90間の隙間を経て不正な道具を遊技盤20内に侵入させる不正行為が行われてしまう可能性がある。
そこで、本実施形態においては、前面カバー220の形状が、閉状態にある一対の可動片90,90間に存在する隙間を遊技盤20の前面側から閉塞するように設計されている。具体的には、前面カバー220が、それの中央部から上方に突出する突出部222を、一対の可動片90,90間の隙間を閉塞する部分として備えている。この突出部222により、上述の不正行為が防止される。
なお付言するに、振分け装置150の前面側全体に、透明部材によるカバーを設けてもよい。また、特別入賞装置70は、チューリップ式の役物装置としてではなく、チャッカ式の入賞装置として構成してもよい。
以上、センタ役物装置50を説明したが、次に、右下連動役物装置62および右上連動役物装置60を説明する。
図6に示すように、右下連動役物装置62と右上連動役物装置60とは、前述のように、遊技盤20の右側において上下に並んで配置されている。それら右下連動役物装置62と右上連動役物装置60とはいずれも、同図に実線で示す開状態(傾斜状態)と、二点鎖線で示す閉状態(起立状態)とに変位させられる一対の可動片90,90を備えている。
図6において下側に示されている右下連動役物装置62は、本実施形態においては、一対の可動片90,90が閉状態から開状態に切り換わると、その後に遊技球が3個続けて入賞するまで開き続けるいわゆる3回開きの構造を採用している。これに対し、遊技盤20において上側に配置されている右上連動役物装置60は、いわゆる5回開きの構造を採用している。
すなわち、本実施形態においては、右下連動役物装置62内の入賞装置86が前記(1)項における「第1の入賞装置」の一例を構成し、右上連動役物装置60内の入賞装置84が同項における「第2の入賞装置」の一例を構成し、「第2の入賞装置」の閉状態において「第1の入賞装置」に遊技球が1個入賞してから「第2の入賞装置」に連続的に遊技球が入賞し得る個数に関し、右下連動役物装置62内の入賞装置86より、右上連動役物装置60内の入賞装置84の方が多くなるように設定されているのである。
ここで、それら右下連動役物装置62および右上連動役物装置60を説明するが、それら右下連動役物装置62および右上連動役物装置60のいずれについても、一対の可動片90,90が開閉するための機構は、前述のセンタ役物装置50における特別入賞装置70と基本的に共通する。したがって、特別入賞装置70と共通する要素については簡単に説明し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。ただし、それら右下連動役物装置62と右上連動役物装置60とは、遊技球が連続的に入賞し得る個数が互いに異なるのみで、他の要素については共通するため、右下連動役物装置62のみを代表的に説明する。
図7に示すように、右下連動役物装置62は、特別入賞装置70と同様に、遊技盤20の表面に直角な各回動軸線まわりに起立位置と傾斜位置との範囲内において回動する一対の可動片90,90を備えている。各可動片90,90には、それと一体的に回動する係合突起230が形成されている。右下連動役物装置62は、さらに、特別入賞装置70と同様に、水平な回転軸線まわりに間欠回転させられる間欠回転体232を備えている。この間欠回転体232は、それと同軸の球送り歯車234と、係合部材236とを互いに一体的に回転する状態で有している。
球送り歯車234には、特別入賞装置70と同様に、その球送り歯車234の外周面において複数個の切欠部240が並んでいる。遊技球は、球送り歯車234を通過するごとに、それら複数個の切欠部240のうちのいずれかと係合し、球送り歯車234を所定角度回転させる。したがって、球送り歯車234の、基準位置からの回転角度は、一対の可動片90,90内に入賞した遊技球の数を反映する。すなわち、球送り歯車234は、一対の可動片90,90内に入賞した遊技球の数を機械的にカウントするセンサなのである。
本実施形態においては、一対の可動片90,90が3回開きの形式であることから、切欠部240の数が4個とされている。一対の可動片90,90が閉状態から開状態に移行するためには、まず、それら一対の可動片90,90を起立位置から傾斜位置に変位させるための間欠回転体232の所定角度での回転(一対の可動片90,90内に遊技球が1個入賞するかまたはそれと等価な動きを原因とする回転)が必要である。この回転によって一対の可動片90,90が最初に開いてから3個の遊技球が入賞するまで、一対の可動片90,90が開状態に維持される。それら3個の遊技球がすべて入賞すると、その時点で球送り歯車234がちょうど1回転する。その結果、一対の可動片90,90が起立位置(閉位置)に復元されて保持される。
右下連動役物装置62は、さらに、特別入賞装置70と同様に、一対の可動片90,90内に進入した遊技球を、球送り歯車234に係合してそれを間欠回転させた後に、後続の機構部に誘導する誘導通路242と、間欠回転体232の回転を安定化させるためのばねとしての板ばね244とを備えている。
以上、右下連動役物装置62のうち特別入賞装置70と共通する部分を説明したが、この右下連動役物装置62は、その特別入賞装置70とは異なり、その特別入賞装置70に入賞した遊技球の落下を利用してその特別入賞装置70との機械的連動を実現するための機構を追加的に備えている。
具体的に説明すれば、右下連動役物装置62は、図7に示すように、間欠回転体232に係合可能な位置に開閉レバー250を備えている。この開閉レバー250は、間欠回転体232の回転軸線に平行な揺動軸線まわりに揺動させられる。この開閉レバー250は、図7において実線で示す退避位置と、同図において二点鎖線で示す係合位置とに変位させられる。この開閉レバー250は、送り爪252を備えており、退避位置においては、その送り爪252が、間欠回転体232と一体的に回転させられる係合部254から退避させられる。これに対し、係合位置においては、同図において二点鎖線で示すように、送り爪252が係合部254に係合し、それにより、係合部材236を一定角度、反時計方向に回転させる。その結果、係合部材236が、一対の可動片90,90が重力によって起立位置から傾斜位置に復元することを阻止するために係合突起230に係合している状態から、その係合突起230から離脱する状態に移行させられる。それにより、一対の可動片90,90が重力により、起立位置すなわち閉位置から傾斜位置すなわち開位置に変位させられる。
開閉レバー250は、それに重力しか作用しない自然状態においては、図7において実線で示す退避位置に位置するように、その重量バランスが設計されている。このように設計された開閉レバー250を確実に退避位置において保持するために、この右下連動役物装置62はロック部材260を備えている。
このロック部材260は、開閉レバー250の回動軸線と平行な軸線まわりに揺動させられる。このロック部材260は、それに重力しか作用しない自然状態においては、図7において実線で示すロック位置にある。このロック位置においては、ロック部材260の係合面Aが開閉レバー250の係合面Bと係合することにより、開閉レバー250が予定外に、図7において実線で示す退避位置から二点鎖線で示す係合位置に回動することが阻止される。
図7に示すように、ロック部材260は、球受け面266を有している。特別入賞装置70に入賞した遊技球が、その球受け面266に衝突し、それにより、ロック部材260が、図7において実線で示すロック位置から時計方向に揺動し、ロック部材260の係合面Aが開閉レバー250の係合面Bから離脱する。ロック部材260の球受け面266と衝突した遊技球は、その後、開閉レバー250の球受け面270と衝突し、開閉レバー250を退避位置から係合位置に回動させる。
この右下連動役物装置62における入賞装置86は、さらに、遊技盤20の背面側において背面側通路284を、前述の誘導通路242とは別の遊技球通路として備えている。この背面側通路284は、ロック部材260の上方から落下してロック部材260の球受け面266に衝突した遊技球を、開閉レバー250の球受け面270に誘導し、その後、この入賞装置86から排出させるために設けられている。
図6に示すように、右下連動役物装置62における入賞装置86は、センタ役物装置50における特別入賞装置70と同様に、前面カバー290を備えている。この前面カバー290も、その特別入賞装置70における前面カバー220と同様に、閉状態にある一対の可動片90,90間の隙間を遊技盤20の前面側からできる限り閉塞するように設計されている。右下連動役物装置62における入賞装置86も、不正行為防止対策が講じられているのである。同図に示すように、右上連動役物装置60における入賞装置84も、同様に、不正行為防止対策が講じられた前面カバー292を備えている。
図6に示すように、右下連動役物装置62は、入賞装置86の他に、その入賞装置86より上側に位置する構造物300を備えている。その構造物300は、遊技盤20に静止部材として取り付けられている。この構造物300の外周側面は、この構造物300のうちの上部において凸状に湾曲した上側面302と、右部において凹状に湾曲した右側面304と、左部において凹状に湾曲した左側面306と、下部に位置する下側面308とを含むように構成されている。
右側面304および左側面306は、右下連動役物装置62の外部から入賞装置86内に遊技球が進入する際にその遊技球が衝突する可能性がある面であり、それら右側面304および左側面306の角度如何により、入賞装置86への遊技球の入賞し易さが左右される。
下側面308は、閉状態にある一対の可動片90,90間の隙間の入口(上端)から下方に突出する突出部310を備えている。この右下連動役物装置62においては、その突出部310が、前述の前面カバー290と共同して前述の不正行為を防止するために設けられている。
この突出部310が存在するため、一対の可動片90,90の閉状態(図6において二点鎖線で示す。)においては、遊技球が入賞装置86に入賞せず、開状態(図6において実線で示す。)のみにおいて、遊技球が入賞装置86に入賞する。したがって、この右下連動役物装置62において一対の可動片90,90を開かせるためには、センタ役物装置50において遊技球が特別入賞口140に入賞し、その入賞した遊技球がこの右下連動役物装置62のロック部材260および開閉レバー250に作用を及ぼして間欠回転体192を回転させることが必要である。
図6に示すように、右上連動役物装置60は、入賞装置84の他に、その入賞装置84より上側に位置する上側構造物320と、右側に位置する右側構造物322と、左側に位置する左側構造物324とを備えている。それら上側構造物320,右側構造物322および左側構造物324はいずれも、遊技盤20に静止部材として取り付けられている。
上側構造物320の外周側面は、右下連動役物装置62における構造物300と同様に、凸状に湾曲した上側面330と、凹状に湾曲した右側面332と、凹状に湾曲した左側面334と、下側面336とを含むように構成されている。
右側面332および左側面334は、右上連動役物装置60の外部から入賞装置84内に遊技球が進入する際にその遊技球が衝突する可能性がある面であり、それら右側面332および左側面334の角度如何により、入賞装置84への遊技球の入賞し易さが左右される。
下側面336は、右下連動役物装置62と同様に、閉状態にある一対の可動片90,90間の隙間の入口(上端)から下方に突出する突出部338を備えている。この右上連動役物装置60においても、その突出部338が、前述の前面カバー292と共同して前述の不正行為を防止するために設けられている。したがって、この右上連動役物装置60において一対の可動片90,90を開かせるためには、後述のリンク機構と、この右上連動役物装置60のロック部材260および開閉レバー250とを利用して間欠回転体232を回転させることが必要である。
右側構造物322の外周側面は、この右側構造物322のうちの上部に位置する上側面350と、入賞装置84の右側面に対向する対向側面352とを含むように構成されている。同様に、左側構造物324の外周側面は、この左側構造物324のうちの上部に位置する上側面360と、入賞装置84の左側面に対向する対向側面362とを含むように構成されている。
右側構造物322および左側構造物324のいずれについても、上側面350,360は、右上連動役物装置60の外部から入賞装置84内に遊技球が進入する際にその遊技球が衝突する可能性がある面であり、各上側面350,360の角度如何により、その入賞装置84への遊技球の入賞し易さが左右される。
さらに、右側構造物322の上側面350は、上側構造物320の右側面332と共同することにより、右上連動役物装置60の外部から内部に遊技球が投入される右側投入通路370を形成する。その右側投入通路370の幅寸法如何により、入賞装置84への遊技球の入賞し易さが左右される。さらに、左側構造物324の上側面360は、上側構造物320の左側面334と共同することにより、右上連動役物装置60の外部から内部に遊技球が投入される左側投入通路372を形成する。その左側投入通路372の幅寸法如何により、入賞装置84への遊技球の入賞し易さが左右される。
右側構造物322および左側構造物324のいずれについても、対向側面352,362は、それと対向する入賞装置84の側面と共同することにより、各投入通路370,372内に進入した遊技球が、この右上連動役物装置60を通過するように落下して右下連動役物装置62に向かうための排出通路390,392を形成する。右側構造物322の対向側面352と入賞装置84の側面との間に形成される排出通路が右側排出通路390であり、左側構造物324の対向側面362と入賞装置84の側面との間に形成される排出通路が左側排出通路392である。
それら右側および左側排出通路390,392の各幅寸法は、右上連動役物装置60における入賞装置84の開状態において最小となり、閉状態において最大となる。その最小寸法の如何により、右上連動役物装置60における入賞装置84への遊技球の入賞し易さ(投入通路370,372から排出通路390,392への遊技球の移行し難さ)と、排出通路390,392を通過して右下連動役物装置62の入賞装置84に遊技球が入賞する容易さとが左右される。
図2に示すように、以上説明したセンタ役物装置50,右下連動役物装置62および右上連動役物装置60は、遊技盤用入賞装置ユニット400として、予め一体的に構成されている。この遊技盤用入賞装置ユニット400が遊技盤20に予め形成された取付穴に嵌め込まれて取り付けられることにより、遊技盤20が完成する。同図において「PL」は、遊技盤20が、遊技盤用入賞装置ユニット400とそれ以外の部分とに分割される分割線を示している。この分割線PLは、遊技盤用入賞装置ユニット400の外形線でもあり、遊技盤20に予め形成された取付穴の輪郭線でもある。なお、この分割線PLの表示は、図6においては省略されている。
本実施形態においては、その遊技盤用入賞装置ユニット400は、センタ役物装置50,右下連動役物装置62および右上連動役物装置60のそれぞれの周辺に配置される複数本の釘Nも有している。その結果、それらセンタ役物装置50,右下連動役物装置62および右上連動役物装置60間の相対位置関係のみならず、各役物装置50,62,60と釘Nとの相対位置関係も、それらが互いに独立して遊技盤20に装着される場合より、正確に管理することが容易となっている。
以上、センタ役物装置50,右下連動役物装置62および右上連動役物装置60を説明したが、次に、センタ役物装置50と右下連動役物装置62と右上連動役物装置60とを互いに連動させるための機構を説明する。
図8には、遊技盤20の背面における構成がそれらセンタ役物装置50と右下連動役物装置62と右上連動役物装置60とに関して示されている。
図8に示すように、センタ役物装置50については、特別入賞口140に入賞した遊技球を右下連動役物装置62における球受け面266,270に斜面を利用して誘導する連動通路410が設けられている。この連動通路410を経て球受け面266,270まで誘導されてそれら球受け面266,270に遊技球が衝突すると、右下連動役物装置62における一対の可動片90,90が起立位置から傾斜位置に変位させられる。
センタ役物装置50については、さらに、そのセンタ役物装置50における一対の非特別入賞口142に入賞した遊技球を流下させるための第1流下通路412が設けられている。
これに対し、右下連動役物装置62については、ロック部材260および開閉レバー250に衝突して背面側通路284から排出された遊技球を流下させるための第2回流下路414が設けられている。この右下連動役物装置62については、さらに、一対の可動片90,90から進入して誘導通路242から排出された遊技球を流下させるための第3流下通路416が設けられている。
また、右上連動役物装置60については、それの誘導通路242から排出された遊技球を流下させるための第4流下通路418が設けられている。
以上の説明から明らかなように、センタ役物装置50への遊技球の入賞をトリガとして、右下連動役物装置62における一対の可動片90,90の起立位置から傾斜位置への変位が機械的に連動させられる。すなわち、それらセンタ役物装置50と右下連動役物装置62とは、同じ遊技球の落下を利用して互いに連動させられているのである。ここに、「遊技球の落下」という用語は、重力を利用した遊技球の運動を包括的に含み、よって、下り斜面に沿って転動しつつ下降する流下という運動も含む。
これに対し、右下連動役物装置62と右上連動役物装置60とは、図8に示すように、リンク機能430によって互いに連動させられるようになっている。そのリンク機構430は、平行運動機構に分類され、具体的には、(a)遊技盤20の表面に直角な第1揺動軸線まわりに揺動させられる入力レバー432と、(b)その入力レバー432の揺動平面と平行な平面内において、第1揺動軸線に平行な第2揺動軸線まわりに揺動させられる出力レバー434とを備えている。
図8には、入力レバー432が、それの先端部440が上端位置にある待機状態で示されており、これに対し、図9には、入力レバー432の先端部440が下端位置にある作用状態で示されている。この入力レバー432は、概して水平方向に延びている。この入力レバー432は、右下連動役物装置62における誘導通路242内を流下する遊技球がその入力レバー432の先端部440に衝突すると、その遊技球がその入力レバー432を押し下げる(反時計方向に回動させる)ように配置されている。
図8には、出力レバー434が、それの先端部442が上端位置にある待機状態で示されており、これに対し、図9には、出力レバー434の先端部442が下端位置にある作用状態で示されている。この出力レバー434も、入力レバー432と同様に、概して水平方向に延びている。その結果、それら入力レバー432と出力レバー434とは、概して互いに平行に延びることになる。
この出力レバー434は、その出力レバー434が押し下げられる(反時計方向に回動させられる)と、その出力レバー434の先端部442が右上連動役物装置60における開閉レバー250と一体的に揺動する係合部450に当接するように配置されている。この出力レバー434がさらに押し下げられると、この出力レバー434が開閉レバー250を押し下げる。この右上連動役物装置60において開閉レバー250を押し下げることは、右下連動役物装置62において球受け面266,270に遊技球を衝突させることと等価である。
図8に示すように、リンク機構430においては、入力レバー432と出力レバー434とがリンクロッド460によって互いに連結されている。リンクロッド460は、それら入力レバー432および出力レバー434に概して直角に延びており、結局、概して垂直方向に延びている。このリンクロッド460は入力レバー432の押下げ運動を出力レバー434の押下げ運動に変換する。具体的には、遊技球が右下連動役物装置62に入賞して誘導通路242から排出されると、その遊技球は、入力レバー432の先端部440に衝突する。この衝突により、その入力レバー432が押し下げられれば、リンクロッド460が上昇し、それにより、出力レバー434が押し下げられる。
入力レバー432および出力レバー434を常には、図8に示す待機状態にあるようにするため、リンク機構430がウエイト466を有するものとされる。そのウエイト466は、例えば、それの自重をリンク機構430に、リンクロッド460を下降させる向きに作用させるものとされる。
このパチンコ機においては、いずれの入賞装置64,70,80,82,84,86も、一連の遊技の開始当初にあっては、一対の可動片90,90が閉状態にある。一連の遊技中、右下連動役物装置62の入賞装置86における一対の可動片90,90を閉状態から開状態に切り換えるためには、右下連動役物装置62における背面側通路284内に遊技球を投入して開閉レバー250を退避位置から係合位置に回動させなければならない。その回動のためには、センタ役物装置50に投入された遊技球が特別入賞口140に入賞し、その遊技球が連動通路410を経て右下連動役物装置62における背面側通路284内に進入しなければならない。
右下連動役物装置62の入賞装置86が開状態に切り換えられれば、その入賞装置86に遊技球が入賞することが可能となる。その入賞装置86に遊技球が実際に入賞すれば、その入賞した遊技球は、誘導通路242内に進入して間欠回転体232を所定角度回転させ、やがてその誘導通路242から排出される。その排出された遊技球は、入力レバー432を押し下げ、さらに、それに連動して出力レバー434が右上連動役物装置60の係合部450を介して開閉レバー250を押し下げる。その結果、右上連動役物装置60の入賞装置84が閉状態から開状態に切り換わる。
右上連動役物装置60の入賞装置84が開状態に切り換わった直後においては、右下連動役物装置62の入賞装置86も開状態にある。そのため、理論的には、発射装置から発射されて遊技盤20内に投入された遊技球は、右上連動役物装置60に入賞する可能性も右下連動役物装置62に入賞する可能性もある。
本実施形態においては、右下連動役物装置62の入賞装置86が3回開きの形式とされ、また、右上連動役物装置60の入賞装置84が5回開きの形式とされている。さらに、右下連動役物装置62は、それの入賞装置86に遊技球が1個入賞するごとに、自らがトリガとなって、右上連動役物装置60を、5個の遊技球が入賞するまで、開かせる。すなわち、右下連動役物装置62に遊技球が1個入賞するごとに1回のラウンドが開始され、各回のラウンドにおいては、右上連動役物装置60に最大5個の遊技球が連続的に入賞することが可能とされるのである。
しかしながら、1回のラウンドが終了しないうちに、すなわち、右上連動役物装置60に連続的に入賞した遊技球の数である入賞数が5個に到達しないうちに、右下連動役物装置62に遊技球が入賞してしまう可能性がある。1回のラウンドが終了しないうちに右下連動役物装置62に遊技球が入賞すると、今回のラウンドが途中で終了させられてしまううえに、右上連動役物装置60の入賞装置84の開閉レバー250が、その入賞装置84が開状態にあるにもかかわらず、リンク機構430によって回動させられてしまう。
このような開閉レバー250の回動は、開状態にある入賞装置84にとってはまったく無意味な動作であり、そのため、右上連動役物装置60は、前回のラウンド中にその右上連動役物装置60に入賞した遊技球の数をそのまま有効にして、すなわち、クリアすることなく、次回のラウンドに移行する。すなわち、前回のラウンドの終了前に右下連動役物装置62に遊技球が入賞してしまうと、このパチンコ機は、次回のラウンドに移行し、かつ、その次回のラウンドは、前回のラウンド中に右上連動役物装置60に入賞した遊技球の数と同数、既に次回のラウンドにおいて右上連動役物装置60に入賞したものとみなされたうえで開始される。
そのため、前回のラウンドが途中で終了させられると、遊技者は、右下連動役物装置62に遊技球が5個連続して入賞するという利益を享受できないことになる。
1回のラウンドの終了前に右下連動役物装置62に遊技球が入賞してしまう可能性の存在にもかかわらず、1回のラウンドが終了しないうちには右下連動役物装置62に遊技球が入賞しないようにするため、遊技者は、図6において矢印Xで示すように、遊技球が遊技盤20内に投入された後に最初に特定の狙い位置470に衝突するように、発射装置を操作する。本実施形態においては、その狙い位置470が、右上連動役物装置60より上方にある縦壁部472に設定されている。
図6に示すように、その狙い位置470の略真下に右上連動役物装置60が配置され、かつ、その右上連動役物装置60が右下連動役物装置62の略真上に配置されているため、上述のようにして遊技者が遊技球の狙いを設定すれば、1回のラウンドの終了前に右下連動役物装置62に遊技球が入賞してしまう可能性が低減する。
本実施形態においては、その可能性をさらに低減させるために、遊技盤20の前面の構成(以下、単に「盤面構成」という。)、具体的には、右上連動役物装置60の構成と、遊技盤20上の複数本の釘Nのうち、右上連動役物装置60および右下連動役物装置62の近傍に位置するものの配置(釘間間隔を含む。)とが、それら右上連動役物装置60と右下連動役物装置62との双方において入賞装置84,86が開いている状態において、遊技球が右下連動役物装置62より右上連動役物装置60に優先的に入賞するように、最適化されている。以下、このように最適化された盤面構成を詳しく説明する。
遊技盤20上において遊技球は、上述の狙い位置470に衝突した後、複数本の経路のうちのいずれかに沿って、いずれかの入賞装置84,86に入賞するか、ないしは、いずれの入賞装置84,86にも入賞せずに、遊技盤20のうちの下部に設置されたアウト口480(図2参照)を経てその遊技盤20から排出される。
遊技球は、上述の狙い位置470に衝突した後、右上連動役物装置60の右側を通過する可能性と、左側を通過する可能性とがある。右上連動役物装置60の右側を通過しようとする場合には、遊技球は、3本の釘N1,N2,N3のうちの少なくとも一つと衝突する可能性がある。
右上連動役物装置60に最も近い釘N1と、3本の釘N1ないしN3のうちの中間に位置する釘N2と間の間隔N1−N2は、右上連動役物装置60の右側投入通路370内への進入を許容する間隔に設定されている。しかし、釘N2と、右上連動役物装置60から最も離れた釘N3との間隔N2−N3は、遊技球が右上連動役物装置60内に進入することなくそれを通過することを許容する間隔に設定されている。したがって、3本の釘N1,N2,N3に衝突した遊技球が右上連動役物装置60に入賞する確率は、間隔N1−N2と間隔N2−N3との大小関係に依存し、その関係は適宜調整される。
図6に示すように、2本の釘N1,N2間の隙間を経て右上連動役物装置60の右側投入通路370内に進入した遊技球は、上側構造物320の右側面332に衝突したり、右側構造物322の上側面350に衝突する可能性がある。それら右側面332および上側面350の角度(例えば、各側面332,350の法線方向と基準方向との成す角度)は、右側投入通路370内に進入した遊技球が実質的に略100%の確率で入賞装置84に入賞するように設定されている。一対の可動片90,90の開状態において右側排出通路390の幅寸法は遊技球の直径よりわずかに大きいため、その右側排出通路390内に遊技球が進入する可能性がある。しかし、上述の、右側面332および上側面350の角度設定および右側排出通路390の幅寸法設定により、右側投入通路370内に進入した遊技球は実質的に略100%の確率で入賞装置84に入賞する。
したがって、本実施形態においては、右側面332および上側面350の角度設定および右側排出通路390の幅寸法設定が最適化されるため、第2の入賞装置としての入賞装置84を有する右上連動役物装置60が、第1の入賞装置としての入賞装置86を有する右下連動役物装置62の真上に位置し、かつ、右下連動役物装置62より狙い位置470に接近していることと相俟って、その狙い位置470に衝突した遊技球が右下連動役物装置62より右上連動役物装置60に優先的に入賞する。
このようにして右上連動役物装置60の入賞装置84に遊技球が入賞すると、その遊技球がその入賞装置84において一対の可動片90,90を通過して球送り歯車234を一定角度回転させる。今回注目している遊技球(以下、単に「今回の遊技球」という。)はその後、誘導通路242を経て入賞装置84から排出される。
この入賞装置84が閉状態から開状態に直前に切り換わった時期から今回の遊技球がこの入賞装置84に入賞した時期までの期間内にこの入賞装置84に連続的に入賞した遊技球の数(第2の入賞数)が設定数(今回の例においては、5個)より少ない場合には、一対の可動片90,90は、今回の遊技球の自重によって開状態(傾斜状態)から閉状態(起立状態)に一時的に移行するが、係合部材236が係合突起230に係合しない。そのため、今回の遊技球が一対の可動片90,90を通過すると、それら一対の可動片90,90はそれらの自重により、直ちに開状態に移行する。これに対し、第2の入賞数が設定数に到達すると、球送り歯車234の回転によって係合部材236が係合突起230に係合し、これにより、一対の可動片90,90が閉状態に継続的に復元される。
以上、遊技球が2本の釘N1,N2間の隙間を経て右上連動役物装置60内に進入した場合を説明したが、右上連動役物装置60内に進入することなく2本の釘N2,N3間の隙間を通過した遊技球は、案内レールの飾り部材482に沿って落下する。右上連動役物装置60の右側を通過する直前または直後に、遊技球は、概して縦方向に一列に並んだ釘列NLと衝突する。その釘列NLは、遊技球が右下連動役物装置62に接近する方向に進行することを防止するために設けられている。したがって、右上連動役物装置60の右側を通過した遊技球は、実質的に略100%の確率で、右下連動役物装置62に入賞することなく、そこを通過し、やがてアウト口480から排出される。
以上、狙い位置470に衝突した遊技球が右上連動役物装置60の右側に向かう場合を説明したが、左側に向かう場合もある。
遊技球が、上側構造物320の左側面334と左側構造物324の上側面360との間に位置する左側投入通路372内に進入するためには、2本の釘N4,N5間の隙間を通過しなければならない。それら釘N4,N5間の間隔N4−N5は、それら釘N4,N5間の隙間を遊技球が通過することを許容する間隔に設定されている。左側投入通路372内に進入した遊技球は、2本の釘N1,N2間の隙間を経て右側投入通路370内に進入した場合と同様に、実質的に略100%の確率で、開状態にある入賞装置84に入賞する。
以上、右上連動役物装置60の入賞装置84が開状態にある場合を説明したが、閉状態にある場合には、右上連動役物装置60において右側排出通路390の幅寸法も左側排出通路392の幅寸法も、入賞装置84が開状態にある場合より、増加する。したがって、閉状態においては、各投入通路370,372内に進入した遊技球はスムーズに各排出通路390,392を通過して右上連動役物装置60から退出する。
右側排出通路390から排出された遊技球は、その右側排出通路390の出口近傍に位置する釘N11との衝突後、右下連動役物装置62に接近する向きに進行する場合と、遠ざかる向きに進行する場合とがある。
前者の場合には、遊技球は、右下連動役物装置62の右側入口484の近傍に位置する3本の釘N7,N8,N9と衝突する可能性がある。釘N7とN8との間の間隔N7−N8は、遊技球の通過を許容する間隔に設定されている。しかし、釘N8とN9との間の間隔N8−N9も、遊技球の通過を許容する間隔に設定されている。したがって、釘N7,N8,N9に衝突した遊技球が右下連動役物装置62に入賞する確率は、間隔N7−N8と間隔N8−N9との大小関係に依存し、その関係は適宜調整される。
右上連動役物装置60の入賞装置84の閉状態において、遊技球が右下連動役物装置62の入賞装置86に入賞すれば、その遊技球は、誘導通路242を経てその入賞装置86から排出され、その後、入力レバー432を押し下げる。その結果、それに連動して出力レバー434が係合部450を介して右上連動役物装置60の開閉レバー250を押し下げる。これにより、右上連動役物装置60の入賞装置84が閉状態から開状態に切り換わる。
以上、閉状態にある右上連動役物装置60の右側排出通路390から排出された遊技球が、釘N11との衝突後、右下連動役物装置62に接近する向きに進行する場合を説明したが、右下連動役物装置62から遠ざかる向きに進行する場合には、その遊技球と釘N9との衝突後、飾り部材482に向かって進行し、その後、飾り部材482に沿って落下し、やがてアウト口480から排出される。釘N9は、右下連動役物装置62の右側入口484の近傍に位置する3本の釘N7ないしN9のうち、その右側入口484から最も遠い位置に配置されたものである。
遊技球が右上連動役物装置60において左側投入通路372および左側排出通路392をそれらの順に通過した場合には、その遊技球は、右下連動役物装置62の左側入口486の近傍に位置する釘N10と衝突する。この釘N10は、その左側入口486から遊技球が右下連動役物装置62に入賞し難い位置に配置されているため、この釘N10と衝突した遊技球は、右下連動役物装置62に入賞することなく、アウト口480から排出される。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、釘N1ないしN9と、釘列NLと、右上連動役物装置60における上側構造物320,右側構造物322,左側構造物324および入賞装置84の一対の可動片90,90とがそれぞれ、前記(1)項における「流れ制御手段」の一例を構成しているのである。さらに、釘N1およびN2と、釘N4およびN5と、右上連動役物装置60の上側構造物320の右側面332および左側面334と、右側構造物322の上側面350および対向側面352と、左側構造物324の上側面360および対向側面362と、入賞装置84の一対の可動片90,90とがそれぞれ、前記(5)項における「誘導手段」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、右上連動役物装置60における一対の可動片90,90が前記(7)項における「一対の可動部」の一例を構成し、右上連動役物装置60の上側構造物320,右側構造物322および左側構造物324がそれぞれ、同項における「構造物」の一例を構成し、右上連動役物装置60の上側構造物320における右側面332および左側面334,右側構造物322における上側面350および左側構造物324における上側面360が互いに共同して同項における「誘導手段」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、右上連動役物装置60における一対の可動片90,90が前記(8)項における「一対の可動部」の一例を構成し、右上連動役物装置60の右側構造物322および左側構造物324がそれぞれ、同項における「構造物」の一例を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、リンク機構430が前記(9)項における「第1の連動機構」の一例を構成し、振分け回転体176が前記(11)項における「可動部」の一例を構成し、連動通路410および開閉レバー250が互いに共同して前記(12)項における「第2の連動機構」の一例を構成し、前面カバー290,292および突出部310,338がそれぞれ前記(15)項における「閉塞部」の一例を構成しているのである。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態に対して主に右上連動役物装置60における一対の可動片90,90が異なるのみで、他の要素については共通するため、共通する要素については、同一の符号または名称を付して引用することにより、詳細な説明を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
第1実施形態においては、右上連動役物装置60の入賞装置84における一対の可動片90,90が開状態にある場合に、一対の可動片90,90のうち右側のものの側面と、右側構造物322のうちの対向側面352との間における右側排出通路390の幅寸法が、遊技球の通過を許容する大きさに設定されている。そのため、右上連動役物装置60の入賞装置84の開状態において、遊技球が、遊技者の意に反して、右下連動役物装置62の入賞装置86に入賞してしまう可能性がある。
これに対し、本実施形態においては、図10に示すように、入賞装置84が、第1実施形態における一対の可動片90,90より長い一対の可動片500,500を有している。入賞装置84は、第1実施形態と共通する右側構造物322および左側構造物324を有するため、一対の可動片500,500のうち右側のものの側面と、右側構造物322の対向側面352との間に形成される右側排出通路504も、一対の可動片500,500のうち左側のものの側面と、左側構造物324の対向側面362との間に形成される左側排出通路506も、第1実施形態より狭くなっている。具体的には、いずれの排出通路504,506も、遊技球が通過し得ない幅寸法を有するものとされている。
したがって、本実施形態においては、右上連動役物装置60の入賞装置84の開状態においては、各投入通路370,372内に進入した遊技球は、必ず、入賞装置84に入賞する。すなわち、開状態において、遊技球が投入通路370,372および排出通路504,506をそれらの順に通過して右上連動役物装置60から退出し、その後に右下連動役物装置62の入賞装置86に入賞する確率は略0なのである。
よって、本実施形態においては、右上連動役物装置60の入賞装置84の開状態において、遊技球が右下連動役物装置62より右上連動役物装置60に優先的に入賞する状態が第1実施形態より理想的に達成される。
図11には、右上連動役物装置60の入賞装置84の閉状態において、その右上連動役物装置60の右側投入通路370内に進入した遊技球が右側排出通路504を経て右上連動役物装置60から退出する様子が示されている。この場合、その遊技球は、第1実施形態と同様にして、右下連動役物装置62の入賞装置86に入賞する場合と、入賞しない場合とが存在する。遊技球が右下連動役物装置62の入賞装置86に入賞すれば、右上連動役物装置60の入賞装置84が閉状態から開状態に切り換わる。
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の開示]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
例えば、以上説明したいくつかの実施形態はいずれも、本発明をパチンコ機に適用した場合の実施形態であるが、本発明はアレンジボール遊技機等、他の種類の遊技機に適用することが可能である。
また、それら実施形態においては、遊技盤20上において右下に位置する入賞装置86が3回開き方式、右上に位置する入賞装置84が5回開き方式をそれぞれ採用しているが、各入賞装置86,84の連続入賞数は適宜変更することが可能である。例えば、各入賞装置86,84の連続入賞数が、入賞装置86の方が入賞装置84より多くなるように設定することも可能である。
また、それら実施形態においては、入賞装置86を閉状態から開状態に移行させるトリガとなる動作として、振分け装置150の特別入賞口140への遊技球の入賞が選択されているが、それに限定されず、例えば、遊技領域22内に適宜設けられたチャッカ式の入賞装置への遊技球の入賞を選択することが可能である。
また、それら実施形態においては、入賞装置86,84と振分け装置150とが一緒にユニット化されているが、入賞装置86,84のみをユニット化することが可能である。この場合、それら入賞装置86,84間の機械的連動を実現するために遊技盤20の裏に設置される連動機構(リンク機構430)をも入賞装置86,84と一緒にユニット化することが可能である。
また、それら実施形態においては、入賞装置86が入賞装置84のちょうど真下に配置されているが、上下関係は維持しつつも多少左右にずれるように配置したり、横に並ぶように配置することが可能である。
また、それら実施形態においては、各連動役物装置60,62が、入賞装置と構造物とを一体的に有するように構成されているが、それら入賞装置と構造物とを互いに分離して遊技領域22内に配置することが可能である。
以上例示的に列挙した形態以外の形態でも本発明を実施することが可能であることは勿論である。
本発明の第1実施形態に従うパチンコ機を示す分解斜視図である。 図1における遊技盤20を示す正面図である。 図2におけるセンタ役物装置50を示す正面断面図である。 図3に示すセンタ役物装置50を示す側面断面図である。 図3における特別入賞装置70の作動を説明するための側面断面図である。 図2に示す遊技盤20のうち右上連動役物装置60および右下連動役物装置62とそれら役物装置60,62の周辺部とを拡大して示す正面図である。 図6における右下連動役物装置62を示す側面断面図である。 図2に示す遊技盤20をセンタ役物装置50,右上連動役物装置60および右下連動役物装置62に関連する部分に関して示す背面図である。 図2に示す遊技盤20をセンタ役物装置50,右上連動役物装置60および右下連動役物装置62に関連する部分に関して示す別の背面図である。 本発明の第2実施形態に従うパチンコ機における遊技盤20のうち右上連動役物装置60および右下連動役物装置62とそれら役物装置60,62の周辺部とを示す正面図である。 図10に示す遊技盤20のうち右上連動役物装置60および右下連動役物装置62とそれら役物装置60,62の周辺部とを示す別の正面図である。

Claims (6)

  1. 遊技者が遊技を行うための遊技機であって、
    遊技者が遊技を行うための遊技盤に、
    (a)遊技球が入賞すべき第1の入賞装置と、
    (b)遊技球が入賞すべき第2の入賞装置であって、遊技球が前記第1の入賞装置に入賞することをトリガとして、遊技球の入賞を制限する制限状態から、制限しない非制限状態に連動的に切り換わり、かつ、その非制限状態において前記第2の入賞装置に入賞した遊技球の数である第2の入賞数が第2の設定数に到達することを条件に、前記制限状態に復元するものと、
    (c)少なくとも前記非制限状態において遊技球が前記第1の入賞装置より前記第2の入賞装置に優先的に入賞するように、それら第1および第2の入賞装置にそれぞれ入賞するための遊技球の経路である第1および第2の入賞経路のうちの少なくとも一方におけるその遊技球の流れを制御する流れ制御手段と
    が設けられた遊技機。
  2. 前記流れ制御手段は、遊技球が前記第1の入賞装置に入賞した後に別の遊技球がその第1の入賞装置に入賞しないうちに前記第2の入賞数が前記第2の設定数に到達するように、遊技球を前記第2の入賞装置に誘導する誘導手段を含む請求項1に記載の遊技機。
  3. 前記第2の入賞装置は、前記遊技盤に設けられた一対の可動部であって、前記制限状態を実現する閉位置と、前記非制限状態を実現する開位置とに変位可能であるものを含み、
    当該遊技機は、さらに、前記遊技盤に設けられた構造物であって、前記一対の可動部との間に空間が形成され、その空間は、前記開位置においては狭いが、前記閉位置においては広くなるように変化させられるものを含み、
    前記誘導手段は、前記第2の入賞装置と前記構造物とに関連付けられ、前記開位置にある前記一対の可動部のうち遊技球が衝突する面と、前記構造物のうち遊技球が衝突する面との共同により、遊技球を前記第2の入賞装置に誘導するものである請求項2に記載の遊技機。
  4. 前記第2の入賞装置は、開閉する一対の可動部であって、前記制限状態を実現する閉位置と、前記非制限状態を実現する開位置とに変位可能であるものを含み、
    前記流れ制御手段は、前記遊技盤に設けられた構造物であって、前記一対の可動部との間に空間が形成され、その空間は、前記閉位置においては、前記第1の入賞経路として機能し得るように広いが、前記開位置においては、前記第1の入賞経路としては機能し得ないように狭くなるように変化させられるものを含む請求項1または2に記載の遊技機。
  5. 前記第1および第2の入賞装置は、いずれも、閉位置と開位置とに変位可能な一対の可動部を含み、かつ、前記閉位置においては、遊技球が前記入賞装置に入賞することを制限する制限状態が、前記一対の可動部が隙間を残して互いに対向する状態で実現され、一方、前記開位置においては、遊技球が前記入賞装置に入賞することを制限しない非制限状態が実現され、
    当該遊技機は、さらに、それら第1および第2の入賞装置のうちの少なくとも一方である対象入賞装置に関連付けて設けられ、その対象入賞装置に対応する前記一対の可動部の閉位置においてそれら一対の可動部間の隙間を完全にまたは部分的に塞ぐ閉塞部を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の遊技機。
  6. 遊技者が遊技球を用いて遊技を行うための遊技盤に装着されて使用される遊技盤用入賞装置ユニットであって、
    請求項1ないし5のいずれかに記載の第1の入賞装置と、
    請求項1ないし5のいずれかに記載の第2の入賞装置と、
    請求項1ないし5のいずれかに記載の流れ制御手段と
    を含む遊技盤用入賞装置ユニット。
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