JP5991007B2 - 熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5991007B2
JP5991007B2 JP2012102750A JP2012102750A JP5991007B2 JP 5991007 B2 JP5991007 B2 JP 5991007B2 JP 2012102750 A JP2012102750 A JP 2012102750A JP 2012102750 A JP2012102750 A JP 2012102750A JP 5991007 B2 JP5991007 B2 JP 5991007B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
thermosetting resin
phenol compound
component
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012102750A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013231102A (ja
Inventor
学 宮崎
学 宮崎
明子 中橋
明子 中橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Showa Denko Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd, Showa Denko Materials Co Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Priority to JP2012102750A priority Critical patent/JP5991007B2/ja
Publication of JP2013231102A publication Critical patent/JP2013231102A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5991007B2 publication Critical patent/JP5991007B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)

Description

本発明は、半導体素子等の封止に用いられる熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置に関するものである。
従来から、トランジスター、IC、LSI等の各種半導体素子は、外部環境からの保護および半導体素子のハンドリングを簡易にする観点から、プラスチックパッケージ等により封止され半導体装置化されている。上記プラスチックパッケージとしては、成形性、接着性、電気特性、機械特性、耐湿性に優れたエポキシ樹脂組成物により樹脂封止されたものが主流となっている。
しかし、半導体装置が高密度化、小型化されていくにつれ、半導体装置の駆動温度が高くなり、その封止樹脂(硬化物)に対する耐熱性に関してもより高いものが要求されている。例えば、耐熱性に優れた樹脂としては、マレイミド樹脂と、炭素−炭素二重結合を有するフェノール樹脂とを反応させ硬化させてなる樹脂系が広く知られている(特許文献1,2参照)。
特開平6−132426号公報 特公平7−5821号公報
しかしながら、上記樹脂系は、高湿環境下では、封止樹脂の吸湿に起因すると推測される絶縁不良が発生するという問題を有している。このため、上記問題を解決した樹脂系からなる封止材料の開発が強く望まれている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、優れた耐熱性とともに、低吸湿性をも備えた熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置の提供をその目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、下記の(A)および(B)成分を必須成分として含有する熱硬化性樹脂組成物を第1の要旨とする。
(A)1分子中に2個以上のマレイミド基を有するマレイミド化合物。
(B)下記の一般式(4)にて表される構造単位を1分子中に2個以上有する、数平均分子量250〜1500で、アリル化率が100%で、メチル基置換率が100%である、フェノール化合物。
Figure 0005991007
そして、本発明は、上記熱硬化性樹脂組成物を用いて、半導体素子を樹脂封止してなる半導体装置を第2の要旨とする。
本発明者らは、優れた耐熱性とともに、低吸湿性にも優れた封止材料を得るために鋭意検討を重ねた。その結果、上記マレイミド化合物〔(A)成分〕とともに、上記特定の構造単位を1分子中に2個以上有する特殊なフェノール化合物〔(B)成分〕を用いると、優れた耐熱性に加えて、低吸湿性にも優れた封止用樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、マレイミド系樹脂/アルケニル系フェノール化合物を用いた封止材料に関して、上記アルケニル系フェノール化合物は、その合成過程の反応においてフェノール性水酸基を必要とする。しかしながら、上記マレイミド系樹脂と反応させる際には不要であり、かつ熱硬化性樹脂組成物とした際には、上記フェノール性水酸基は親水性であることから形成される硬化物の吸湿性が高くなってしまい、例えば、高湿条件下では絶縁不良の要因の一つとなっていた。そこで、本発明者らは、上記フェノール性水酸基を何らかの手段を用いて処理することを想起し、さらに検討を重ねた。その結果、アルケニル系フェノール化合物を重合反応にて合成した後、このアルケニル系フェノール化合物中のフェノール性水酸基の水素原子を炭化水素基で置換することにより、低吸湿性の向上が図られることを突き止めた。そして、上記置換に使用する炭化水素基について検討した結果、この炭化水素基の炭素数が大きくなりすぎると、耐熱性に悪影響を及ぼすという知見を得た。この知見に基づき、上記炭化水素基を中心にさらに研究を重ねた結果、炭化水素基の中でも、メチル基を置換基とすれば耐熱性に対して悪影響を及ぼすことなく、優れた低吸湿性効果が発揮されることを見出したのである。
このように、本発明は、上記マレイミド化合物〔(A)成分〕とともに、上記特定の構造単位を1分子中に2個以上有する特殊なフェノール化合物〔(B)成分〕を含有する熱硬化性樹脂組成物である。このため、優れた耐熱性はもちろん、低吸湿性に関しても優れた効果を発揮する封止材料となる。したがって、上記熱硬化性樹脂組成物を用いて得られる半導体装置では、高い耐熱信頼性や低吸湿性効果による高い電気的信頼性等の特性を備えたものを得ることができる。
そして、上記(B)成分が、述の一般式(4′)にて表される構造単位を1分子中に2個以上有するフェノール化合物であるため、特に低吸湿性と耐熱性とをバランス良く両立させることが可能となる。
上記(A)成分と(B)成分の配合割合が、上記(B)成分中に含まれるアルケニル基のモル量(b)と、上記(A)成分中に含まれるマレイミド基のモル量(a)の比(b:a)で、b:a=15:85〜75:25となるよう設定すると、反応性の向上に関してより一層効果的である。
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、マレイミド化合物(A成分)と、特定のフェノール化合物(B成分)とを用いて得られるものであって、通常、粉末状もしくはこれを打錠したタブレット状になっている。
〈A:マレイミド化合物〉
上記マレイミド化合物(A成分)は、1分子中に2個以上のマレイミド基を有する化合物であり、例えば、下記の一般式(1)で表されるマレイミド化合物、下記の一般式(2)で表されるマレイミド化合物、下記の構造式(3)で表されるマレイミド化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
Figure 0005991007
Figure 0005991007
Figure 0005991007
〈B:特定のフェノール化合物〉
上記マレイミド化合物(A成分)とともに用いられる特定のフェノール化合物(B成分)は、上記マレイミド化合物(A成分)を硬化させる作用を有する硬化剤であり、下記の一般式(4)にて表される構造単位を1分子中に2個以上有するフェノール化合物である。
Figure 0005991007
このように、本発明では、フェノール化合物中の水酸基(−OH)の水素原子が、メチル基によって置換されている〔式(4)中の−OCH 部分〕ことを最大の特徴とする。このように、低吸湿性と耐熱性とをバランス良く両立させることが可能となるという点から、フェノール化合物中の水酸基の水素原子が、メチル基によって置換されている、下記の一般式(4′)にて表される構造単位を1分子中に2個以上有するフェノール化合物が用いられる。
Figure 0005991007
すなわち、フェノール化合物中の水酸基の水素原子が、上記メチル基以の炭化水素基では、耐熱性が低下することとなり好ましくない。従って、本発明における特定のフェノール化合物(B成分)としては、上記式(4)で表される構造単位を1分子中に2個以上有するフェノール化合物が用いられるのである
上記特定のフェノール化合物(B成分)における、アリル基を有する構造単位〔上記式(4)で表される構造単位〕の占める割合は、熱硬化性樹脂組成物の耐熱性という観点から、100%である。これは、アリル基を有する構造単位とフェノール構造単位の合計量に対する、アリル基を有する構造単位のモル比率[アリル基を有する構造単位/〔アリル基を有する構造単位+フェノール構造単位〕×100]が100%であるということである。そして、上記割合はアリル化率ともいう。上記アリル基を有する構造単位のモル比率が上記範囲を下回り小さすぎると、得られる硬化物のガラス転移温度が低くなり耐熱性に劣る傾向がみられる。なお、上記フェノール構造単位とは、下記の式(4b)で表される構造単位をいう。従って、上記アリル基を有する構造単位とフェノール構造単位の合計量に対する、アリル基を有する構造単位のモル比率とは、[式(4)で表される構造単位/〔式(4)で表される構造単位+式(4b)で表される構造単位〕]×100にて算出される値(%)である。
Figure 0005991007
つぎに、上記特定のフェノール化合物(B成分)の合成方法について、順を追って説明する。まず、フェノール化合物を準備する。ついで、このフェノール化合物、ハロゲン化アリル、塩基性化合物および溶媒を混合して加熱撹拌することにより、アリルエーテル化したフェノール化合物を合成する。つぎに、得られたアリルエーテル化したフェノール化合物を180〜220℃にて加熱して、上記アリルエーテル化したフェノール化合物のアリル基がクライゼン転位することにより、下記の式(4c)で表される構造単位を含有するアリル基を有するフェノール化合物(アリル化フェノール化合物)を合成する。
Figure 0005991007
なお、上記アリル化フェノール化合物の合成では、オルソアリルフェノールとホルマリンとを混合し、これに酸触媒を添加して加熱撹拌することによっても同様に、アリル化フェノール化合物を合成することができる。
つぎに、上記アリル化フェノール化合物とともに、メチル基を有するハロゲン化物および溶媒を混合して加熱して反応させた後、濾過,濃縮を適宜繰り返すことにより、目的とする、フェノール性水酸基の水素原子を、メチル基によって置換されてなるアリル基を有するフェノール化合物を合成する。
上記メチル基を有するハロゲン化物としては、例えば、上記メチル基を有する臭化物や沃化物等があげられ、具体的には、ヨードメタン等があげられる。
上記アリル化フェノール化合物に特定のハロゲン化物を反応させる際の反応条件は、好ましくは、加熱還流するように加熱し、上記特定のハロゲン化物の使用量をアリル化フェノール化合物に含まれる水酸基のモル量に対して1〜2倍となるよう設定することである。
このようにして合成される特定のフェノール化合物(B成分)において、フェノール性水酸基の水素原子が上記特定の炭化水素基によって置換されてなる割合(置換率:[式(4)で表される構造単位/〔式(4)で表される構造単位+式(4c)で表される構造単位〕]×100)は、高ければ高いほど熱硬化性樹脂組成物の吸湿性を抑制することができると推測される。したがって、耐熱性に悪影響を及ぼさない特定の置換基(メチル基)を用いる本発明においては、吸湿性の抑制、および反応制御の容易さという観点から、置換率が100%である、特定のフェノール化合物(B成分)を用いる。上記置換率に関しては、例えば、JIS K1557−1:2007に準じて確認することができる。
このようにして合成される上記特定のフェノール化合物(B成分)としては、数平均分子量が250〜1500である。すなわち、数平均分子量が小さ過ぎると、樹脂封止の工程の際に成形・硬化温度にて蒸発しやすくなる傾向がみられる。また、数平均分子量が大き過ぎると、耐熱性が低下する傾向がみられる。
なお、上記特定のフェノール化合物(B成分)の数平均分子量は、例えば、つぎのようにして測定,算出される。すなわち、特定のフェノール化合物を0.1%テトラヒドロフラン(THF)溶液に調整し、25℃で1日放置する。その後、0.45μmメンブランフィルターにて濾過し、得られた濾液について分子量測定を行なう。この分子量測定には、例えば、GPC(東ソー社製、HLC−8120GPC、カラム:東ソー社製GMHXL、GMHXL、G3000HXL)が用いられる。また、この場合の測定条件は、カラム温度40℃、溶離液テトラヒドロフラン、流速0.8mL/分、注入量100μLである。そして、検出器は、示差屈折計を用い、ポリスチレン換算により数平均分子量を算出する。
上記マレイミド化合物(A成分)と特定のフェノール化合物(B成分)の配合割合は、上記B成分中に含まれるアルケニル基のモル量(b)と、上記A成分中に含まれるマレイミド基のモル量(a)の比(b:a)が、b:a=15:85〜75:25となるよう設定することが好ましく、特に好ましくはb:a=25:75〜55:45である。すなわち、上記両者の比が上記範囲を外れると、硬化性に劣り成形性が低下するからである。より詳しくは、上記範囲を外れマレイミド基のモル量(a)が小さすぎると、硬化性が低下し、またマレイミド基のモル量(a)が大きすぎても、硬化性が低下するからである。
本発明の熱硬化性樹脂組成物では、例えば、半導体素子等の封止材料の用途に用いる場合、上記マレイミド化合物(A成分)および特定のフェノール化合物(B成分)とともに、無機質充填剤を配合することができる。上記無機質充填剤を配合することにより、封止材料用途としてより好ましい長期耐熱性を得ることができる。
〈無機質充填剤〉
上記無機質充填剤としては、例えば、石英ガラス、タルク、シリカ粉末(溶融シリカ粉末や結晶性シリカ粉末等)、アルミナ粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化珪素粉末等の各種粉末があげられる。これら無機質充填剤は、破砕状、球状、あるいは摩砕処理したもの等いずれのものでも使用可能である。そして、これら無機質充填剤は単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、半導体封止材料として用いた場合、得られる熱硬化性樹脂組成物の硬化体の熱線膨張係数が低減することにより内部応力を低減させることができ、その結果、封止後の基板の反りを抑制することができるという点から、上記シリカ粉末を用いることが好ましく、上記シリカ粉末の中でも溶融シリカ粉末を用いることが、高充填性、高流動性という点から特に好ましい。上記溶融シリカ粉末としては、球状溶融シリカ粉末、破砕溶融シリカ粉末があげられるが、流動性という観点から、球状溶融シリカ粉末を用いることが好ましい。
また、上記無機質充填剤の平均粒子径は、1〜30μmの範囲であることが好ましく、特に好ましくは2〜20μmの範囲のものである。なお、上記無機質充填剤の平均粒子径は、例えば、母集団から任意の測定試料を取り出し、市販のレーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
そして、上記無機質充填剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全体の65〜90重量%に設定することが好ましく、より好ましくは70〜90重量%、特に好ましくは80〜90重量%である。すなわち、無機質充填剤の含有量が少なすぎると、熱硬化性樹脂組成物の硬化体の熱線膨張係数が大きくなるために、硬化体の反りが大きくなる傾向がみられる。一方、無機質充填剤の含有量が多すぎると、熱硬化性樹脂組成物の流動性が低下するために、半導体素子や基板との接着性が低下する傾向がみられるからである。
〈各種添加剤〉
さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、上記A成分およびB成分、さらに上記無機質充填剤以外に、必要に応じて、上記熱硬化性樹脂組成物の機能を損なわない範囲で各種添加剤を配合することができる。上記添加剤としては、例えば、接着性付与剤、静電気対策のための導電性付与剤、難燃剤、イオン捕捉剤、酸化防止剤、低応力化剤、離型剤、流動性付与剤、吸湿剤、着色剤、顔料等があげられる。
上記離型剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸カルシウム等の化合物があげられ、例えば、カルナバワックスや酸化ポリエチレン系ワックス等が用いられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記難燃剤としては、有機リン系化合物、酸化アンチモン、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記顔料には、静電除去効果を有するカーボンブラック等を用いることができる。
さらに、上記各種添加剤以外に、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の各種カップリング剤を適宜用いることができる。
〈熱硬化性樹脂組成物〉
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、上記A成分およびB成分、ならびに無機質充填剤、さらに必要に応じて他の添加剤を常法に準じて適宜配合し、混練機にかけ加熱状態で溶融混練する。ついで、これを室温下にて冷却固化させた後、公知の手段によって粉砕し、必要に応じてタブレット等に打錠するという一連の工程を経由することにより目的とする熱硬化性樹脂組成物を製造することができる。
〈半導体装置〉
このようにして得られる熱硬化性樹脂組成物を封止用途として用いる場合の半導体素子の封止方法は、例えば、通常のトランスファー成形等の公知のモールド方法により行うことができ、半導体装置化することができる。また、上記打錠工程を経由せず、粉砕して顆粒状態のパウダーにしたものを、圧縮成形のモールド方法に適用することも可能である。このようにして得られる半導体装置としては、ICやLSI等の半導体装置等があげられる。そして、本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いての半導体素子の樹脂封止の際には、つぎのような成形条件に設定することが好ましい。まず、1段階目の反応工程として160〜200℃の加熱にて加熱硬化反応を生起させ、2段階目の反応工程として最終的に上記1段階目の加熱温度条件よりも高い設定となるよう170〜280℃の加熱にて加熱硬化させる。このようにして、本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて半導体素子を樹脂封止することにより半導体装置を製造することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を作製する場合、上記トランスファー成形の他に、シート成形、コンプレッション成形、スクリーン印刷、ディスペンション成形等の成形方法があげられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて硬化反応により得られる硬化物は、耐熱性および低吸湿性に特に優れることから、各種電子部品、例えば、半導体封止材料以外に、プリント配線板用積層板およびプリント配線板、半導体搭載モジュール等の電子材料等にも好適に用いられる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
まず、熱硬化性樹脂組成物の作製に先立って、特定のフェノール化合物を合成した(合成例B−1〜B−5)。
〔合成例B−1:特定のフェノール化合物の合成(B−1)〕
フェノール(和光純薬工業社製)130部、37%ホルマリン(東京化成工業社製)115部、蒸留水13部、シュウ酸二水和物(関東化学社製)2部を混合し、90分間還流加熱した。これに水300部を加えて撹拌し、冷却した後に水層を分離した。ついで、150℃で水を減圧留去し、放冷してフェノール化合物を合成した。得られたフェノール化合物の数平均分子量を、前述の方法に従いGPC(ゲルパーミエションクロマトグラフィ)により求めたところ、836g/molであった。
上記得られたフェノール化合物300部に、アリルブロミド(東京化成工業社製)540部、炭酸カリウム(和光純薬工業社製)460部、アセトン(和光純薬工業社製)500部を混合し、窒素ガス気流下、24時間加熱還流した。放冷後、濾過、濃縮して残渣に酢酸エチル(和光純薬工業社製)400部を加え、5%塩酸(和光純薬工業社製を蒸留水で希釈)200部で1回、各200部の蒸留水で2回洗浄した。その後、有機層を分離・抽出し、硫酸マグネシウム(和光純薬工業社製)で乾燥させた後、濾過、濃縮することにより、アリル化率が100%のアリルエーテル化フェノール化合物を得た。
つぎに、得られたアリルエーテル化フェノール化合物を窒素ガス雰囲気下、200℃で24時間加熱撹拌することにより、クライゼン転位率が100%のアリル基を有するフェノール化合物(APN−1)を得た。得られたアリル基を有するフェノール化合物の数平均分子量を上記と同様、GPCにより求めたところ、1100g/molであった。
<水酸基の水素原子をメチル基にて置換してなるアリル基を有するフェノール化合物>
上記アリル基を有するフェノール化合物150部に、ヨードメタン(東京化成工業社製)210部、炭酸カリウム(和光純薬工業社製)230部、アセトン250部を混合し、窒素ガス気流下、24時間加熱還流した。放冷後、濾過、濃縮して残渣に酢酸エチル(和光純薬工業社製)200部を加え、5%塩酸(和光純薬工業社製を蒸留水で希釈)200部で1回、各200部の蒸留水で2回洗浄した。その後、有機層を分離・抽出し、硫酸マグネシウム(和光純薬工業社製)で乾燥させた後、濾過、濃縮することにより、フェノール性水酸基の水素原子をメチル基にて置換してなるアリル基を有するフェノール化合物(B−1)を得た(置換率100%)。
〔合成例B−2:特定のフェノール化合物の合成(B−2)〕
上記フェノール性水酸基をメチル基にて置換してなるアリル基を有するフェノール化合物(B−1)の合成方法において、ヨードメタンに代えてヨードエタン(東京化成工業社製)230部を用い混合に供した。それ以外は上記合成例B−1の方法と同様にして、フェノール性水酸基の水素原子をエチル基にて置換してなるアリル基を有するフェノール化合物(B−2)を得た(置換率100%)。
〔合成例B−3:特定のフェノール化合物の合成(B−3)〕
上記フェノール性水酸基をメチル基にて置換してなるアリル基を有するフェノール化合物(B−1)の合成方法において、ヨードメタンに代えて2−ヨードプロパン(東京化成工業社製)250部を用い混合に供した。それ以外は上記合成例B−1の方法と同様にして、フェノール性水酸基の水素原子をイソプロピル基にて置換してなるアリル基を有するフェノール化合物(B−3)を得た(置換率100%)。
〔合成例B−4:特定のフェノール化合物の合成(B−4)(比較例)〕
上記フェノール性水酸基をメチル基にて置換してなるアリル基を有するフェノール化合物(B−1)の合成方法において、ヨードメタンに代えて1−ブロモプロパン(東京化成工業社製)180部を用い混合に供した。それ以外は上記合成例B−1の方法と同様にして、フェノール性水酸基の水素原子をノルマルプロピル基にて置換してなるアリル基を有するフェノール化合物(B−4)を得た(置換率100%)。
〔合成例B−5:特定のフェノール化合物の合成(B−5)(比較例)〕
上記フェノール性水酸基をメチル基にて置換してなるアリル基を有するフェノール化合物(B−1)の合成方法において、ヨードメタンに代えてアリルブロミド(東京化成工業社製)180部を用い混合に供した。それ以外は上記合成例B−1の方法と同様にして、フェノール性水酸基の水素原子をアリル基にて置換してなるアリル基を有するフェノール化合物(B−5)を得た(置換率100%)。
さらに、上記特定のフェノール化合物B−1〜B−5とともに下記に示す成分を準備した。
〔マレイミド化合物(A)〕
2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン(大和化成工業社製、BMI−4000)
〔実施例1、参考例1、比較例1〜3〕
後記の表1に示す各成分を同表に示す割合にて、粉砕機(東洋精機社製、ラボプラストミル4C150−01)を用い、条件:110℃×回転数50rpmにて10分間混練を行うことにより混練物(熱硬化性樹脂組成物)を作製した。
このようにして得られた実施例品および比較例品を用い、下記に示す方法に従って、特性を測定・評価した。これらの結果を後記の表1に併せて示す。
〔吸湿率(吸湿性)〕
上記のようにして得られた熱硬化性樹脂組成物を用い、175℃の真空プレス成形にて、直径50mm×厚み1mmの円板(硬化物)を作製した。この円板をさらに175℃で5時間、200℃で5時間、250℃で10時間硬化させ、評価用サンプルとした。ついで、上記評価用サンプルを用いて、85℃×85%RHの環境下に144時間放置した前後の重量変化率を算出し、この重量変化率を吸湿率とし吸湿性を評価した。
〔長期耐熱性(重量変化率)〕
上記評価用サンプルを用いて、250℃の環境下に1000時間放置した前後の重量変化率を算出し、この重量変化率にて長期耐熱性を評価した。
Figure 0005991007
上記結果から、実施例品および参考例品は、吸湿性評価における重量変化率も低いことから低吸湿性に優れていることがわかる。さらに、長期耐熱性評価における重量変化率も小さく長期耐熱性にも優れたものであった。特に、フェノール性水酸基の水素原子をメチル基にて置換してなるアリル基を有するフェノール化合物(B−1)を用いた実施例1品は、高い耐熱性評価が得られており、しかも吸湿率が特に低い結果となった。さらに、上記マレイミド化合物および特定のフェノール化合物とともに無機質充填剤(球状溶融シリカ粉末)を好適範囲内にて配合してなる熱硬化性樹脂組成物を作製し上記と同じ測定評価を行なったが、上記実施例と同等程度以上(特に長期耐熱性)の優れた特性評価が得られた。
これに対して、フェノール性水酸基の水素原子が置換されていないアリル基を有するフェノール化合物を用いた比較例1品は、耐熱性に関しては実施例品と同等程度のものが得られたが、低吸湿性に劣るものであった。
また、フェノール性水酸基の水素原子がノルマルプロピル基にて置換されたアリル基を有するフェノール化合物を用いた比較例2品は、吸湿性に関しては実施例品と同等程度のものが得られたが、長期耐熱性に劣るものであった。また、フェノール性水酸基の水素原子がアリル基にて置換されたアリル基を有するフェノール化合物を用いた比較例3品は、低吸湿性に劣るとともに、長期耐熱性に関しても劣る結果となった。
さらに、上記のようにして得られた実施例品である熱硬化性樹脂組成物を用いて、トランスファー成形にて半導体素子を樹脂封止することにより半導体装置を作製したが、何ら問題なく半導体装置を製造することができた。なお、トランスファー成形条件は、175℃で8.83MPaの圧力にて成形,硬化させた。また、半導体素子の大きさは、9mm×9mmであり、半導体装置の大きさは、20mm×14mm×厚み2mmの80ピンフラットパッケージである。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、高耐熱性および低吸湿性を備えたものであり、例えば、半導体素子用の封止材料として有用である。

Claims (5)

  1. 下記の(A)および(B)成分を必須成分として含有する熱硬化性樹脂組成物。
    (A)1分子中に2個以上のマレイミド基を有するマレイミド化合物。
    (B)下記の一般式(4)にて表される構造単位を1分子中に2個以上有する、数平均分子量250〜1500で、アリル化率が100%で、メチル基置換率が100%である、フェノール化合物。
    Figure 0005991007
  2. (A)成分と(B)成分の配合割合が、上記(B)成分中に含まれるアルケニル基のモル量(b)と、上記(A)成分中に含まれるマレイミド基のモル量(a)の比(b:a)で、b:a=15:85〜75:25となるよう設定されている請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 無機質充填剤を含有してなる請求項1または2記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 無機質充填剤の含有量が熱硬化性樹脂組成物全体の65〜90重量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物を用いて、半導体素子を樹脂封止してなる半導体装置。
JP2012102750A 2012-04-27 2012-04-27 熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置 Active JP5991007B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012102750A JP5991007B2 (ja) 2012-04-27 2012-04-27 熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012102750A JP5991007B2 (ja) 2012-04-27 2012-04-27 熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016029459A Division JP2016164257A (ja) 2016-02-19 2016-02-19 熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013231102A JP2013231102A (ja) 2013-11-14
JP5991007B2 true JP5991007B2 (ja) 2016-09-14

Family

ID=49677840

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012102750A Active JP5991007B2 (ja) 2012-04-27 2012-04-27 熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5991007B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107001547A (zh) * 2014-12-25 2017-08-01 昭和电工株式会社 热固性树脂组合物
WO2016104195A1 (ja) * 2014-12-25 2016-06-30 昭和電工株式会社 熱硬化性樹脂組成物
WO2018047417A1 (ja) * 2016-09-09 2018-03-15 昭和電工株式会社 硬化性樹脂混合物及び硬化性樹脂組成物の製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4812511A (en) * 1986-07-15 1989-03-14 Amoco Corporation Ethylenically-unsaturated ethers of alkenyl phenols as reactive diluents for bismaleimides
DE3843641A1 (de) * 1988-12-23 1990-07-05 Technochemie Gmbh Mit neuen alkenylphenoxyimiden modifizierte polyimide, deren verwendung sowie die neuen alkenylphenoxyimide
JPH03106916A (ja) * 1989-09-19 1991-05-07 Nitto Denko Corp 熱硬化性樹脂組成物
JPH06132426A (ja) * 1992-10-22 1994-05-13 Nitto Denko Corp 半導体装置
JP2005075866A (ja) * 2003-08-29 2005-03-24 Tomoegawa Paper Co Ltd 半導体装置用接着シート
JP2006291125A (ja) * 2005-04-14 2006-10-26 Hitachi Ltd 新規共重合体、樹脂組成物、その硬化物及び電子部品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013231102A (ja) 2013-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6098531B2 (ja) 樹脂組成物、樹脂フィルム及び半導体装置とその製造方法
JP6361566B2 (ja) 樹脂組成物、樹脂フィルム及び半導体装置とその製造方法
JP6060541B2 (ja) 半導体封止用熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置
JP5673496B2 (ja) 樹脂組成物、樹脂フィルム及び半導体装置とその製造方法
JP5991007B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置
TWI820067B (zh) 球柵陣列封裝體密封用的環氧樹脂組成物、環氧樹脂硬化物和電子零件裝置
TW201305235A (zh) 電子零件封裝用環氧樹脂組合物及使用其之電子零件裝置
JP4404302B2 (ja) エポキシ樹脂の硬化剤、組成物及びその用途
KR101955754B1 (ko) 반도체 소자 밀봉용 에폭시 수지 조성물 및 이를 이용하여 밀봉된 반도체 소자
JP2009161605A (ja) フェノール性水酸基を有する新規ビスマレイミド類及びこれを必須成分とする熱硬化性樹脂組成物、及びその硬化物
JP2017071786A (ja) 熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置
JP2016164257A (ja) 熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置
JP4567641B2 (ja) 半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体素子
JP4696372B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2007262238A (ja) エポキシ樹脂用硬化剤組成物及びそれを用いたエポキシ樹脂組成物並びに半導体装置
JP2009096889A (ja) 成形用樹脂組成物、成形品および半導体パッケージ
JP5920040B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置
JP4306328B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
CN108384195B (zh) 一种对镍高粘结性环氧树脂组成物及其应用
JP2010018738A (ja) 難燃性成形用樹脂組成物および成形品
KR101927631B1 (ko) 에폭시 수지 조성물 및 이를 포함하는 반도체 장치
JPH01188518A (ja) エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた樹脂封止型半導体装置
JP2005082731A (ja) エポキシ樹脂組成物および半導体封止装置
JP2017088656A (ja) 難燃性樹脂組成物、難燃性樹脂フィルム及び半導体装置とその製造方法
JPH10303343A (ja) エポキシ樹脂組成物および半導体装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20120427

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20120427

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20130619

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150204

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20150204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160219

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160719

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160801

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5991007

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350