JP5986373B2 - 発酵アルコール飲料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発酵アルコール飲料の製造方法、特に、麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料、又は、麦或いはその他の穀類を使用した、麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の製造方法において、該発酵アルコール飲料の製造において使用した酵母を回収して連用する場合の発酵アルコール飲料の香味の劣化を抑制した発酵アルコール飲料の製造方法に関する。
ビールや発泡酒、及びその他の醸造酒のような発酵アルコール飲料の製造においては、酵母を用いて、アルコール発酵が行なわれるが、該発酵に用いられる酵母は、1回の製造のために必要な量の酵母を培養するためには多大の時間を要する。そこで、ビール等の発酵アルコール飲料の製造に際しては、製造時間を短縮するため、発酵飲料の製造の現場では、一度製造に使用した酵母を回収し、次の製造に再利用(連用)することが行なわれている。しかし、この場合、発酵アルコール飲料の種類によっては、連用後の酵母が連用前の酵母に比べて活性が低く、連用後の酵母を用いた製品は香味が劣化するという問題が生じる場合がある。
特に、発泡酒や、酒税法上の「その他の醸造酒(発泡性)」のような麦芽の使用比率が低い発酵アルコール飲料、又は、麦或いはその他の穀類を使用した、麦芽を使用しない発酵アルコール飲料の製造に用いた酵母を連用すると、連用後の製品は連用前より酸味が強くなり、香味の面から飲用に適さなくなる。よって、麦芽の使用比率25%未満のような麦芽の使用比率が低い発酵アルコール飲料や、麦芽を使用しない発酵アルコール飲料の製造においては、該飲料の製造に用いた酵母は連用できず、次回の製造では小スケールから拡大培養した酵母を使用せざるを得ないという状況にある。
一方で、発酵アルコール飲料の製造に際しては、酵母による発酵の促進や、望ましくない成分の生成を抑制するために、発酵に際して、酵母の処理や、添加物を添加して酵母による発酵を改善する方法が開示されている。例えば、特開2006−296407号公報には、未発芽コーンのような非麦穀物をデンプン画分、タンパク画分に分画して発酵原料に用いて醸造するビールテイスト飲料のような発酵飲料の製造方法において、酵母エキスを発酵助剤として用いて、ビタミンやミネラルの欠乏による発酵不良を解消して、飲料の香味の改善を図る方法が開示されている。また、特許第2537351号公報には、高濃度の亜鉛添加した処理液に酵母を浸漬して亜鉛を吸収させ、酵母の発酵性や耐久性を高める方法が開示されている。
また、特開2006−212024号公報には、発酵原液に少量のミネラルを添加し、酸素或いは空気の供給を制限することによって、実用可能な酒母を短期間に、効率よく得ることが、及び、WO2009/020008には、ビールや、ビールテイスト発酵飲料の製造に用いる酒母の培養に際して、メバロン酸やパントテン酸のようなエルゴステロール生合成系に関わる成分を培養液中で増量させた条件で培養することにより、異常酵母の発生を抑制し、香味特性の優れた発酵飲料を製造し得る酒母を得る方法が開示されている。
更に、特開2009−278921号公報には、ビール、発泡酒、又は、麦芽及び麦のいずれも原料に使用されていない発泡性アルコール飲料において、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、及び、ニコチン酸のようなビタミンB郡に属する物質の存在下で、アルコール飲料の原料の酵母による発酵を行なうことにより、酵母の発酵を促進して、オフフレーバーとなるインドールの生成を低下させ、香味に優れたアルコール飲料を製造する方法が開示されている。しかしながら、従来から、発酵に用いた酵母をアルコール飲料の製造に再利用する、酵母の連用に視点をおいた酵母の活性化や、発酵の改善についての開示は見当たらない。
特開2006−212024号公報。 特開2009−278921号公報。 特開2006−296407号公報。 WO2009/020008。 特許第2537351号公報。
本発明の課題は、麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料、又は、麦或いはその他の穀類を使用した、麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の製造方法において、該発酵アルコール飲料の製造において使用した酵母を回収して、発酵アルコール飲料の製造に連用した場合のアルコール飲料の香味の劣化を抑制し、かかる発酵飲料において、酵母の連用を可能とするとともに、該連用酵母を用いて、香味に優れた発酵アルコール飲料を製造する方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料や、麦或いはその他の穀類を使用した、麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の製造方法において、該発酵飲料の製造において使用した酵母を回収して、該発酵アルコール飲料の製造に連用した場合のアルコール飲料の香味の劣化の原因について探求する中で、該アルコール飲料の香味の劣化の原因が、酸味の増加にあり、該連用時の酸味の増加の原因が、ピルビン酸及び酢酸の生成にあることを突き止め、そこで、ピルビン酸及び酢酸をターゲットとし、連用酵母を用いた発酵において、これらの成分を低減できる栄養成分を探索する中で、チアミン、カリウムのようなビタミン及びミネラルの微量元素の不足が酢酸・ピルビン酸の増加に影響していることを突き止め、そして、連用酵母を用いた発酵において、これらの成分を添加することで、酸味の増加に起因する香味の劣化を抑制し、連用酵母の使用が可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料又は麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の製造方法において、ビタミン及び/又はミネラルで処理した酵母を連用して発酵を行なうか、又は、仕込工程においてビタミン及び/又はミネラル、或いは、ビタミン及び/又はミネラルを高含有する原材料を添加した発酵前液に連用酵母を添加して発酵を行うことを特徴とする香味の劣化を抑制した連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法からなる。該ビタミン及びミネラルとしては、チアミンやカリウムを挙げることができる。該チアミンの添加は、チアミン塩酸塩或いはチアミン硝酸塩のようなチアミン塩の形で行うことができる。
本発明の連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法において、チアミン及び/又はカリウムの発酵前液への添加量は、カリウム50ppm以上、チアミン0.07ppm以上であることが好ましく、該添加量としては、カリウム50〜300ppm、チアミン0.1〜200ppmであることが好ましい。発酵に供する発酵前液中のチアミン及び/又はカリウムの量は、カリウム50〜300ppm、チアミン0.07〜200ppmであることが好ましい。
本発明の連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法において、チアミン及びカリウムの処理による香味劣化の抑制効果は、チアミン及びカリウムのようなビタミン及びミネラル処理を組み合わせることによって、相乗的な顕著な効果を得ることができる。本発明の連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法における、ビタミン及びミネラルの処理による香味劣化の抑制効果としては、酸味の低減効果が挙げられる。本発明の連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法において連用して用いられる酵母は、麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料又は麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の前製造において回収された酵母を挙げることができる。
すなわち、具体的には本発明は、(1)麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料又は麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の連用酵母を使用した製造方法において、[1]該連用酵母として、麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料又は麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の製造工程における発酵前液に、チアミンからなるビタミン及びカリウムからなるミネラルを、チアミン0.07ppm以上、及びカリウム50ppm以上の添加量で添加した発酵前液を用いて発酵した発酵アルコール飲料の製造工程から回収した酵母を用いて発酵を行うか、或いは、[2麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料又は麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の製造工程から回収した酵母を連用酵母として用いて、仕込工程においてチアミンからなるビタミン及びカリウムからなるミネラル、或いは、チアミンからなるビタミン及びカリウムからなるミネラルを含有する原材料を、チアミン0.07ppm以上、及びカリウム50ppm以上の添加量で添加した発酵前液に、該連用酵母を添加して発酵を行うことを特徴とする香味の劣化を抑制した連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法や、(2)チアミンの添加が、チアミン塩によるものであることを特徴とする前記(1)に記載の連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法からなる。
また、本発明は、()チアミン及びカリウムの発酵前液への添加量が、カリウム50〜300ppm、チアミン0.1〜200ppmであることを特徴とする前記(1)に記載の連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法や、()発酵に供する発酵前液中のチアミン及びカリウムの量が、カリウム50〜300ppm、チアミン0.07〜200ppmであることを特徴とする前記()に記載の連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法や、()香味の劣化の抑制が、酸味の低減であることを特徴とする前記(1)に記載の連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法からなる。
本発明は、麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料、又は、麦或いはその他の穀類を使用した、麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の製造方法において、該発酵アルコール飲料の製造において使用した酵母を回収して、発酵アルコール飲料の製造に連用した場合でも、該アルコール飲料の香味の劣化を抑制し、香味に優れた発酵アルコール飲料を製造することを可能とするため、かかる発酵アルコール飲料の製造方法において、連用酵母の使用を可能とし、該酵母を用いて、香味に優れた発酵アルコール飲料を製造する方法を提供する。
本発明の実施例の各種成分を用いた連用酵母使用による発酵アルコール飲料製造における酸味抑制効果の試験において、各種成分を添加した場合の発酵液の有機酸濃度を示すグラフである。 本発明の実施例の添加成分を用いた連用酵母使用による発酵アルコール飲料製造における酸味抑制効果の試験において、各種濃度のチアミンを添加した場合の発酵液の有機酸濃度を示すグラフである。 本発明の実施例の添加成分を用いた連用酵母使用による発酵アルコール飲料製造における酸味抑制効果の試験において、各種濃度のカリウムを添加した場合の発酵液の有機酸濃度を示すグラフである。 本発明の実施例の添加成分を用いた連用酵母使用による発酵アルコール飲料製造における酸味抑制効果の試験において、チアミン及びカリウムを添加した場合の発酵液の各種有機酸濃度を示すグラフである。 本発明の実施例の添加成分を用いた連用酵母使用による発酵アルコール飲料製造における酸味抑制効果の試験において、各添加工程における、発酵前溶液中のチアミン及びカリウムの濃度、及び、有機酸濃度を示すグラフである。 本発明の実施例の添加成分を用いた連用酵母使用による発酵アルコール飲料製造における酸味抑制効果の試験において、チアミン及びカリウムの添加タイミングによる、発酵前溶液中の有機酸濃度を示すグラフである。
本発明は、麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料又は麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の製造方法において、チアミン及びカリウムのようなビタミン及び/又はミネラルで処理した酵母を連用して発酵を行なうか、又は、仕込工程においてビタミン及び又はミネラル、或いは、ビタミン及び/又はミネラルを高含有する原材料を添加した発酵前液に連用酵母を添加して発酵を行うことを特徴とする香味の劣化を抑制した連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法からなる。
本発明における発酵アルコール飲料としては、麦芽使用率が25%未満の発泡酒、麦類を使用し麦芽を使用しない発酵アルコール飲料、及び、大豆やエンドウ、コーン等の麦類以外の穀類を使用したビール風発酵アルコール飲料を挙げることができる。
本発明の連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法において、ビタミン及び又はミネラルで処理した酵母を連用して発酵を行なうか、又は、仕込工程においてビタミン及び又はミネラルを添加した発酵前液、或いは、仕込工程において用いられる原材料の一部又は全部をビタミン及び/又はミネラルを高含有する原材料を用いて発酵前液に添加し、該ビタミン及び/又はミネラルを添加した発酵前液に連用酵母を添加して発酵を行うことができる。ビタミン及び又はミネラルで処理した酵母を連用して発酵を行なう場合には、麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料又は麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の製造において、該発酵アルコール飲料の仕込み工程における発酵前液にビタミン及び又はミネラル、或いは、ビタミン及び/又はミネラルを高含有する原材料を添加することによって発酵を行い、該発酵アルコール飲料の製造に用いられた酵母を回収して、連用酵母として用いることにより、有利に実施することができる。また、仕込工程においてビタミン及び又はミネラル、或いは、ビタミン及び/又はミネラルを高含有する原材料を添加した発酵前液に連用酵母を添加して発酵を行う場合には、該発酵アルコール飲料の製造工程の仕込工程において、発酵前液にビタミン及び又はミネラル、或いは、ビタミン及び/又はミネラルを高含有する原材料を添加することにより、実施することができる。該仕込工程におけるビタミン及び又はミネラルの添加は、煮沸工程における該成分の減少を回避するために、煮沸後の発酵前液に添加することが好ましい。
本発明の連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法において、発酵前液へのビタミン及び/又はミネラルの添加において、特に、好ましいビタミン及びミネラルとして、チアミン及びカリウムを挙げることできるが、該チアミンの添加は、チアミン塩酸塩又はチアミン硝酸塩のようなチアミン塩の形で添加することができる。発酵前液へのチアミン及びカリウムの添加量は、例えば、発酵前液に対して、カリウム50ppm以上、チアミン0.07ppm以上であることが好ましく、該添加量としては、カリウム50〜300ppm、チアミン0.1〜200ppmの添加量を挙げることができる。かかるチアミン及び/又はカリウムの発酵前液への添加において、チアミン及びカリウムを組み合わせて添加することにより、相乗的に酸味の低減効果を得ることができる。発酵に供する発酵前液中のチアミン及び/又はカリウムの量は、カリウム50〜300ppm、チアミン0.07〜200ppmに調整されることが好ましい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[発酵アルコール飲料の製造]
タンパク分解処理をした大豆タンパクと酵母エキスと糖類を各試験例に記載のスケールで湯に溶かしこみ、ホップを加えて煮沸した。煮沸した液を冷却し、発酵前液とした。(仕込工程)発酵前液に下面発酵酵母(連用前の製造:麦芽25%未満の発酵アルコール飲料の発酵工程後に回収したものではないものを使用、連用後の製造:麦芽25%未満の発酵アルコール飲料の発酵工程後に回収したものを使用)を添加して5〜8日発酵し、発酵液を得た。(発酵工程)発酵液を、10〜15度で14〜21日貯蔵した。(貯蔵工程)貯蔵後ろ過し、発酵アルコール飲料を得た。なお、有機酸の測定は、発酵工程終了後の発酵液に対し、行った。
<有機酸の測定>
有機酸の量を以下の方法で測定した:有機酸の濃度はアジレント・キャピラリー電気泳動システムを用いた。具体的には、キャピラリーとして全長80.5cm、内径50μmのフューズドシリカ製のものを、泳動バッファーとして0.035mM臭化ヘキサジメトリン、15mM 2,6−ピリジンジカルボン酸、2mM AMP−Na(pH5.55)をそれぞれ用いた。検出波長を350nmとし、リファレンスを210nmとし、予め作成した検量線から濃度を算出した。
<チアミン、カリウム濃度の測定>
(1)チアミン濃度の測定:チアミンの濃度はアジレント・キャピラリー電気泳動飛行時間型質量分析計を用いて測定した。具体的には、キャピラリーとして全長80cm、内径50μmのフューズドシリカ製のものを、泳動バッファーとしてヒューマンメタボロームテクノロジーズ社より提供された、陽イオン測定キットを用いた。m/z=265.11移動時間6.6分のシグナルを測定し、予め作成した検量線から濃度を算出した。
(2)カリウム濃度の測定:カリウム濃度の測定はVARIAN・ICP Expert VISTA PROを用いて測定した。具体的には、0.1%塩化セシウム水溶液にサンプルを所定の濃度で溶解したものを測定に供した。検出波長を588.995nmとし、予め作成した検量線から濃度を算出した。
[1.酸味抑制成分の探索]
連用酵母を使用した場合の連用時の酸味の原因となっていると推定される、ピルビン酸、酢酸をターゲットとし、連用酵母において、これらの成分を低減し得る栄養成分を探索する事とした。まず、微量元素の不足が酢酸の増加に影響していると推定した。そこで、酸性リン酸カリウムの添加を試みたが、一方で、カリウムを十分な酢酸低減効果が得られる量まで添加した場合、リン酸塩の残存や乳酸の上昇により別の酸味が指摘されるトレードオフがあった。他にも必要とされる栄養成分があると考えられたため、酸性リン酸カリウムと組み合わせる事で有機酸生成量のバランスを連用前の状態に戻す物質を探索することとした。
<(1)試験1>
上記「発酵アルコール飲料の製造方法」に基づき、2KLの規模で発酵前液を製造し、酸性リン酸カリウム220ppmを添加した。表1に記載の物質を200ppmずつ添加して、連用酵母(「発酵アルコール飲料の製造方法」に記載の発酵前液を発酵し、回収した酵母)で発酵し、発酵液の有機酸濃度を測定した。結果を図1に示す。リン酸カリウム単独のみ加えた系と比較してピルビン酸がさらに低減し、かつ乳酸増加のトレードオフがほぼないものを選択した結果、チアミンが有力な候補と考えられた。
<(2)試験2>
チアミンがより低濃度で効果があるかを確認するため、試験1と同様に製造した発酵前液に、表2に記載の試験区の通り物質を添加し、連用酵母を用いて発酵し発酵液の有機酸濃度を測定した。試験区1〜4の有機酸濃度は図2の通りである。チアミンは10ppmの低濃度であっても、効果を発揮した。
次に、リン酸イオンや乳酸の発生原因ともなっているか酸性リン酸カリウムの濃度を下げることが可能か、表2の試験区5,6で確認した。結果を図3に示す。酸性リン酸カリウム添加量を100ppmまで低減すると、乳酸の上昇やリン酸イオンの残存は見られなくなるが、チアミンとの組み合わせにより、ピルビン酸・酢酸低減効果は維持されており、トレードオフの解消が可能と考えられた。以上より、酸性リン酸カリウム・チアミン塩酸塩を組み合わせて使用する事で、連用酵母による有機酸バランスを正常に戻す事ができると考えられ、両物質を酸味抑制剤として選抜した。
[2.添加量検討試験]
連用酵母を使用して、酸性リン酸カリウム・チアミン塩酸塩の最適使用量を検討した。上記「発酵アルコール飲料」の1L規模で試験し、試験区を表3に示す。チアミン塩酸塩の濃度は0.1、0.5ppmの2パターンを検討した。また、酸性リン酸カリウム添加量は0−100ppmの間で条件を検討した。
発酵液の有機酸分析値を図4に示す。チアミンの添加によりピルビン酸が低下し、コハク酸が上昇する傾向があった。チアミン塩酸塩添加量が0.1ppmでは、ピルビン酸が約120ppm、コハク酸が約220ppmとなり、添加量0.5ppmではピルビン酸が約100ppm、コハク酸約が260ppmとなった。ピルビン酸の低減量とコハク酸の上昇量を総合的に考えチアミン塩酸塩の添加量は0.1ppmが妥当と考えられた。カリウムの添加量については、50ppm以上の添加により酢酸の低減効果が認められ、50ppm以上の濃度では酢酸低減効果は数ppmしか変化しなかったため、酸性リン酸カリウムの添加は50ppm程度が妥当と考えられた。
[3.添加工程試験]
チアミン・カリウムの添加工程を検討した。発酵前液のカリウム・チアミン濃度、当該発酵液を連用酵母で発酵させた場合の有機酸低減効果(1L規模)を評価した。酸性リン酸カリウム添加量は50ppm、チアミン塩酸塩添加量は0.1ppmとした。図5(添加タイミング検討試験結果)に発酵前液でのカリウム・チアミン分析値及び発酵試験の発酵液の有機酸濃度を示す。煮沸前に添加した場合、煮沸後と比較して、カリウムが5ppm程度減少した(カリウムとしての添加量は14ppm)。チアミンについては、有機酸低減効果は煮沸前後で大きく違いは見られなかった。以上より、カリウムの減少が少ない煮沸後の添加が望ましいと考えられた。
[4.添加タイミング(連用前後)試験]
酸味抑制剤の使用タイミングとして、連用前の発酵前液から添加する場合と連用後から添加する場合で酸味低減効果を比較し、最適なタイミングを検討した。また、同時にカリウムとチアミンを同時に加えた場合、カリウムのみ・チアミンのみを加えた場合において酸味低減効果を比較し、カリウムとチアミンの相乗効果を確認した。試験区を表4に示す。連用後のピルビン酸・酢酸濃度を比較すると、対照で合計350ppm程度まで増加しているのに対し、酸味抑制剤を加えた系では、合計110ppm程度まで抑制されている。連用後からチアミンとカリウム双方を加えた系(T+K)では150ppm程度であり、連用前から継続して添加した場合よりは劣るものの、対照の連用前と同程度であり十分に抑制されていると言える。以上より、連用前からでも連用後からでもいずれでも酸味の抑制が可能と考えられた。これまで、チアミンはピルビン酸抑制、カリウムは酢酸の抑制に効果があると考えていたが、単独で添加した場合と双方を添加した場合を比較すると、カリウム・チアミンのみでは抑制効果は減少し、これらの物質の相乗作用があると考えられた。
[5.官能評価]
<(1)試験方法>
チアミン、カリウムの効果が官能評価のうえでも認められるか確認するため、20L規模で発酵アルコール飲料を製造し、ビールの官能評価に卓越したパネル8人で評価を行った。試験区は(1)連用前酵母で発酵、(2)連用酵母で発酵、(3)発酵前液に酸性リン酸カリウム100ppmとチアミン塩酸塩0.1ppm添加して連用酵母で発酵した。
<(2)結果>
[評価項目]:
「総合評価」:1(悪)〜5(良)の5段階評価で、発酵アルコール飲料の香味として良好かの観点で、採点を行なった平均値で示す。
「酸味」:標準的な発酵アルコール飲料の酸味を0として、−2〜+2まで酸味の強さを点数化したものの平均値で示す。
「酸味の不調和」:標準的な発酵アルコール飲料の酸味と比較して異質な酸味がある場合に、強度に応じて+1〜3で点数化したものの、平均値(異質な酸味がなく、0と点数をつけた人を含む)で示す。
(評価結果):表5に示す通り、連用後では酸味(0.25)、酸味の不調和(0.38)が指摘された。酸味抑制剤のチアミン、カリウムを加えたものでは、これらの指摘が見られなくなった。以上より、酸味抑制成分の効果は香味品質も向上する事が確認された。
本発明は、麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料、又は、麦或いはその他の穀類を使用した、麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の製造方法において、該発酵アルコール飲料の製造において使用した酵母を回収して、発酵アルコール飲料の製造に連用した場合でも、該アルコール飲料の香味の劣化を抑制し、香味に優れた発酵アルコール飲料を製造することを可能とするため、かかる発酵アルコール飲料の製造方法において、連用酵母の使用を可能とし、該酵母を用いて、香味に優れた発酵アルコール飲料を製造する方法を提供する。

Claims (5)

  1. 麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料又は麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の連用酵母を使用した製造方法において、(1)該連用酵母として、麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料又は麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の製造工程における発酵前液に、チアミンからなるビタミン及びカリウムからなるミネラルを、チアミン0.07ppm以上、及びカリウム50ppm以上の添加量で添加した発酵前液を用いて発酵した発酵アルコール飲料の製造工程から回収した酵母を用いて発酵を行うか、或いは、(2)麦芽使用率が25%未満の発酵アルコール飲料又は麦芽を使用しないビール風発酵アルコール飲料の製造工程から回収した酵母を連用酵母として用いて、仕込工程においてチアミンからなるビタミン及びカリウムからなるミネラル、或いは、チアミンからなるビタミン及びカリウムからなるミネラルを含有する原材料を、チアミン0.07ppm以上、及びカリウム50ppm以上の添加量で添加した発酵前液に、該連用酵母を添加して発酵を行うことを特徴とする香味の劣化を抑制した連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法。
  2. チアミンの添加が、チアミン塩によるものであることを特徴とする請求項1に記載の連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法。
  3. チアミン及びカリウムの発酵前液への添加量が、カリウム50〜300ppm、チアミン0.1〜200ppmであることを特徴とする請求項1に記載の連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法。
  4. 発酵に供する発酵前液中のチアミン及びカリウムの量が、カリウム50〜300ppm、チアミン0.07〜200ppmであることを特徴とする請求項1に記載の連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法。
  5. 香味の劣化の抑制が、酸味の低減であることを特徴とする請求項1に記載の連用酵母使用発酵アルコール飲料の製造方法。
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