JP2016119842A - ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料 - Google Patents

ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料 Download PDF

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Abstract

【課題】ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料において、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料、並びに、その製造方法を提供すること。【解決手段】ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料にオロト酸を含有又は添加させることを特徴とする。それにより、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料を得ることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料において、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料、並びに、その製造方法を提供することに関する。
ビール、発泡酒、ビール風味飲料等のビールテイスト飲料にホップ香やビールらしい味覚等を付与する場合、その製造工程において、麦汁にホップペレット等のホップを大量に添加する方法等が用いられている。しかし、ホップを大量に添加する方法は、同時に飲料の苦味も増強するため、飲料を飲みにくくするという側面があり、消費者を狭めてしまうという問題があった。
ビールらしい香味を付与しつつ、苦味を低減する方法として、ホップペレットから香気成分をエタノール抽出した「オイルリッチエキス」や、ホップのポリフェノールリッチペレットからポリフェノール画分のみを濃縮した「ポリフェノールリッチエキス」を用いる方法が知られている。しかし、これらのエキスは、エキス抽出方法が煩雑である点、市販のこれらのエキスはコストが割高である点、及び、日本においては製品表示上の制限が発生する点など、課題が多い。また、特開2012−244971号公報(特許文献1)には、高甘味度甘味料であるネオテームをビール等に添加することにより、ホップ由来の苦味成分であるイソα酸の苦渋味をマスクして低減させる方法が開示されている。しかし、ネオテームは砂糖の約1万倍もの甘味度を有しているため、ビール等の飲料の味覚に影響を与え易いという問題がある。さらに、特開2014−187969号公報(特許文献2)には、ホップの苦味、芳香の本体とされるルプリン部分(黄色の顆粒)をホップ(毬花)からおよそ除去した残りの部分であるホップの苞を、ホップに代えて使用することで、ビールテイスト飲料の苦味を抑制する方法が開示されている。しかし、ホップ苞中にはホップ香気成分は少なく、ホップ苞を相当大量に添加する必要があるため、ビールテイスト飲料の香味や味覚のバランスを調整するのが難しくなるという問題がある。
このように、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料において、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚を保持しつつ、ホップ由来の苦味を低減する技術は、いまだに完成されていない。
ところで、オロト酸はカルボン酸の一種であり、近年、その生理作用に関する研究が進めされている。例えば、特開2011−98896号公報(特許文献3)には、オロト酸が尿酸値低下作用を有することが、特開2011−136907号公報(特許文献4)には、オロト酸が持久力向上作用を有することが開示されている。また、特開2013−150586号公報(特許文献5)には、オロト酸を飲食品用のpH調整剤として使用できることが開示されている。しかし、オロト酸がビールテイスト飲料におけるホップ由来の苦味を効果的に低減できること等は知られていなかった。
特開2012−244971号公報 特開2014−187969号公報 特開2011−98896号公報 特開2011−136907号公報 特開2013−150586号公報
本発明の課題は、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料において、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料、並びに、その製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料において、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料について鋭意検討する中で、オロト酸を特定量含有させる(好ましくは添加する)という簡便な手段により、ビールテイスト飲料の苦味を効果的に低減することができること、すなわち、かかる手段により、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料であって、オロト酸を含有したことにより、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料や、
(2)飲料全量に対するオロト酸の含有量が、0.005〜0.06重量%の範囲内であることを特徴とする上記(1)に記載のビールテイスト飲料や、
(3)飲料中のイソフムロン濃度が、10〜50ppmの範囲内であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のビールテイスト飲料に関する。
また、本発明は、
(4)ホップを使用したビールテイスト飲料の製造工程中のいずれかの段階で、オロト酸を含有させることを特徴とする、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚を保持しつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料の製造方法や、
(5)飲料全量に対するオロト酸の含有量が、0.005〜0.06重量%の範囲内となるようにオロト酸を含有させることを特徴とする上記(4)に記載のビールテイスト飲料の製造方法に関する。
本発明は、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料において、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料、並びに、その製造方法を提供する。本発明においては、オロト酸を含有させる(好ましくは添加する)という非常に簡便な手段で、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料を提供することができる。
実施例1の官能評価試験の結果を示す図である。
本発明は、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料であって、オロト酸を含有したことにより、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料、並びに、その製造方法からなる。また、本発明は、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料において、オロト酸を添加したことにより、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚を保持しつつ、ホップ由来の苦味を低減したビールテイスト飲料、並びに、その製造方法も含む。
<本発明のビールテイスト飲料>
本明細書では、「ビールテイスト飲料」は、「ビールテイスト発酵飲料」又は「ビールテイスト非発酵飲料」を意味する。上記「ビールテイスト発酵飲料」とは、炭素源、窒素源及びホップ類などを原料とし、通常のビールの製造方法に従いアルコール発酵により製造した場合に得られる、ビールに類似する香味特徴を有するすべての発酵飲料をいう。ビールテイスト発酵飲料としては、例えば、ビール、発泡酒、ビール風味発酵飲料(例えば、酒税法上、「その他の醸造酒(発泡性)(1)」に分類される飲料)が挙げられる。ビールテイスト発酵飲料には、原料液汁に麦汁を用いる麦芽発酵飲料と呼ばれるものが挙げられるが、必ずしも麦汁を用いる必要はない。上記「ビールテイスト非発酵飲料」とは、炭素源、窒素源及びホップ類などを原料とし、アルコール発酵を行わないで製造することができる非発酵飲料であって、ビールに類似する香味特徴を有するすべての非発酵飲料をいう。例えば、アルコール含量が0%である完全無アルコール麦芽飲料や、麦芽を用いない完全無アルコールビールテイスト飲料等もビールテイスト非発酵飲料に含まれる。
本発明のビールテイスト飲料は、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料であって、オロト酸を含有していること以外は、用いる原料、任意成分等を含め、製法及び製造条件に関して、ホップを使用して製造される通常のビールテイスト飲料の製法等と特に相違する点はない。ホップを使用して製造される通常のビールテイスト飲料の製法は、特許文献1などにも記載されている。
本発明のビールテイスト飲料は、ホップを使用したビールテイスト飲料の製造工程中のいずれかの段階で、オロト酸を含有させる(好ましくは添加する)ことにより製造することができる。その段階としては、例えば、液糖溶液を煮沸する前であっても、液糖溶液の煮沸中であっても、液糖溶液の煮沸後であってもよい。また、本発明のビールテイスト飲料が製品としてできあがった後にオロト酸を含有させ(好ましくは添加し)てもよい。オロト酸を含有させる(好ましくは添加する)方法としては特に制限されず、オロト酸をいずれか1種又は2種以上の原料に含有させ(好ましくは添加し)てもよいし、1種又は2種以上の原料の混合物(混合液)に含有させ(好ましくは添加し)てもよい。なお、上記原料には、固形原料及び液体原料が含まれ、液体原料には少なくとも水が含まれる。
<オロト酸>
本発明に用いられるオロト酸(ウラシル−4−カルボン酸)としては、オロト酸のフリー体(遊離体)、オロト酸の水和物、オロト酸の誘導体、オロト酸の誘導体の水和物、それらの薬理学的に許容される塩が挙げられるが、飲料への風味の影響がより少ない点で、オロト酸のフリー体(遊離体)やその水和物が好ましく挙げられる。
オロト酸の誘導体としては、オロト酸の4位のカルボン酸にメチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6のアルキル基がエステル結合した4−エステル置換体;オロト酸の1 ,2 ,3 ,6位の水素の一つ以上がメチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6のアルキル基、又はメチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6のアルキル基を持つアルコキシ基に置換されたものが挙げられる。
オロト酸又はオロト酸の誘導体の塩としては、オロト酸又はオロト酸の誘導体のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;亜鉛塩等の重金属塩;アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等のアンモニウム塩;モルホリン、ピペリジン等の付加した有機アミン付加塩等の薬理学的に許容される塩等があげられる。
オロト酸又はオロト酸の誘導体の塩は、微生物由来のもの、化学合成により得られるもの、市販のもの、乳清等食品から抽出したもののいずれを用いてもよい。微生物由来のオロト酸としては、例えばUS5,013,656記載の製造方法により取得されるオロト酸等があげられる。
本発明におけるオロト酸の使用量(含有量又は添加量、好ましくは添加量)としては、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料を得るという本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、ホップ由来の苦味の低減効果を十分に得る観点から、飲料全量に対して0.005重量%以上とすることが好ましく、0.01重量%以上とすることがより好ましい。また、オロト酸は、飲料全量に対して0.06重量%より高い濃度で含有させて(添加して)もよいが、あまり濃度を高くすると、オロト酸による酸味がビールテイスト飲料の味覚(味わい)を損ねる場合もあるため、飲料全量に対して0.06重量%以下の濃度で含有させる(添加する)ことが好ましい。飲料中のオロト酸は、JOURNAL OF AOAC INTERNATIONAL, 87, 1, 116-122 (2004)等に記載の液体クロマトグラフィー等の常法により定量することができる。なお、オロト酸の誘導体を使用する場合における前述の使用量や濃度は、オロト酸換算した値を意味する。かかる換算は、例えば、使用するオロト酸の誘導体のモル数やモル濃度を算出し、そのモル数やモル濃度のオロト酸量や濃度を算出すること等によって行うことができる。また、オロト酸の水和物や、オロト酸の塩や、オロト酸の水和物の塩を使用する場合における前述の使用量や濃度は、オロト酸換算した値を意味し、すなわち、オロト酸が水和物や塩を含む形態である場合は、その使用量や濃度は、水和物や塩を除いた値を意味する。同様に、オロト酸の誘導体の水和物や、オロト酸の誘導体の塩や、オロト酸の誘導体の水和物の塩を使用する場合における前述の使用量や濃度は、オロト酸換算した値を意味する。
<ホップ>
本発明のビールテイスト飲料の製造に用いられるホップの品種や形態等としては特に制限されず、該形態としては、ホップ(すなわち、ホップの毬花)を単に乾燥した「乾燥毬花」、乾燥毬花を粉砕してペレット状とした「ホップペレット」、乾燥毬花を凍結して粉砕し、ルプリン画分を濃縮してペレット状とした「濃縮ホップペレット」、乾燥毬花、ホップペレット又は濃縮ホップペレットを水抽出又は熱水抽出して得られる「ホップ水抽出物」、濃縮ホップペレットから苦味成分を二酸化炭素抽出して得られる「ホップエキス」、ホップペレットから香気成分をエタノール抽出して得られる「オイルリッチエキス」、ホップエキス抽出時に副産物として生成される「ポリフェノールリッチペレット」、ポリフェノールリッチペレットからポリフェノール画分のみを濃縮して得られる「ポリフェノールリッチエキス」等が挙げられる。ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料を得るという本発明の効果のメリットをより多く享受する観点から、本発明のビールテイスト飲料に用いるホップの形態として、乾燥毬花、ホップペレット、濃縮ホップペレット、ホップ水抽出物等が好ましく挙げられる。前述した各種形態のホップとしては、市販されているものを用いることができる。
<イソフムロン>
イソフムロンは、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料において、ホップ由来の苦味(「後に引く苦味」を含む)の主成分として知られている。イソフムロンは、ホップ中に含まれているフムロンが、ビールテイスト飲料の製造工程の加熱工程で異性化されることによって生成する。本発明のビールテイスト飲料におけるイソフムロン濃度は必ずしも限定されないが、イソフムロン濃度が高すぎると苦味が強すぎてビールテイスト飲料の味覚バランスが崩れ、イソフムロン濃度が低すぎると苦味が不十分でやはりビールテイスト飲料の味覚バランスが崩れるため、10〜50ppmの範囲内とすることを好ましく挙げることができる。ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料の通常の製法にしたがえば、その飲料のイソフムロン濃度は、通常、10〜50ppmの範囲内に含まれる。
<ホップ由来の苦味の低減>
本発明において低減されるホップ由来の苦味としては、ビールテイスト飲料におけるホップ由来の苦味である限り特に制限されないが、後に引く苦味(後に残る苦味)が好ましく挙げられ、中でも、イソフムロンによる苦味が好ましく挙げられる。後に引く苦味が低減されると、そのビールテイスト飲料の後味のすっきりさが向上するため、本発明のビールテイスト飲料は、後味のすっきりさが向上したビールテイスト飲料と表現することもできる。
本発明において、「ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料」とは、オロト酸を含有しない(好ましくは添加されていない)ビールテイスト飲料と比較して、官能評価した際のホップ由来の苦味が弱いビールテイスト飲料を意味する。より具体的には、本発明における「ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料」には、オロト酸を含有しない(好ましくは添加されていない)こと以外は、同種、同量の原料を用いて同じ製法で製造したビールテイスト飲料(以下、「コントロールビールテイスト飲料」とも表示する)と比較して、官能評価した際のホップ由来の苦味が弱いビールテイスト飲料が含まれる。
本発明において、ホップ由来の苦味が低減される程度としては特に制限されないが、ビールテイスト飲料の苦味を、例えば後述の実施例2に記載された評価基準で官能評価した場合の平均スコアが−0.25以下となる程度を挙げることができ、その平均スコアが−0.5以下となる程度を好ましく挙げることができる。また、ホップ由来の苦味が低減される程度を、後味のすっきりさ(後に引く苦味の抑制)の程度で評価した場合は、例えば後述の実施例3に記載された評価基準で官能評価した場合の平均スコアが0.5以上となる程度を挙げることができ、その平均スコアが1.0以上となる程度を好ましく挙げることができ、その平均スコアが1.25以上となる程度をより好ましく挙げることができる。
<ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚の保持>
本発明において、ホップ由来の香味とは、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料に特徴的なホップ由来の香気及び味覚(味わい)を意味し、訓練されたパネラーであれば該香味を特定することができる。ホップ由来の香気(ホップ香)の成分としては、リナロールに代表されるテルペン類の成分を挙げることができ、ホップ由来の味覚の成分としては、ホップ由来のポリフェノール成分を挙げることができる。
本発明において、ビールテイスト飲料の味覚とは、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料の味覚のうち、ホップ由来の味覚を除いた味覚を意味し、訓練されたパネラーであれば、そのビールテイスト飲料の種類や、その製法に応じて、そのビールテイスト飲料の味覚を特定することができる。
本発明において、「ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されたビールテイスト飲料」とは、オロト酸を含有しない(好ましくは添加されていない)ビールテイスト飲料と比較して、官能評価した際のホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚がおおむね保持されたビールテイスト飲料を意味する。より具体的には、本発明における「ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されたビールテイスト飲料」には、オロト酸を含有しない(好ましくは添加されていない)こと以外は、同種、同量の原料を用いて同じ製法で製造したコントロールビールテイスト飲料と比較して、官能評価した際のホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚がおおむね保持されたビールテイスト飲料が含まれる。
ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚がおおむね保持されたビールテイスト飲料としては、例えば後述の実施例3に記載された評価基準で官能評価した場合のホップ香及び飲料の味わい(味覚)の平均スコアがそれぞれ−0.5以上、好ましくは−0.25以上となる飲料を挙げることができる。
本発明のビールテイスト飲料は、容器に充填することにより、容器詰ビールテイスト飲料としてもよい。容器の種類は特に制限されず、アルミ缶、スチール缶、ペットボトル等を挙げることができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は該実施例に限定されるものではない。
1.酸味料の種類による苦味低減効果の比較
各種酸味料の中に、ホップ由来の苦味を低減できるものがあるかどうかを調べるために、以下の試験を行った。
<試験方法>
前述したように、イソフムロンは、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料において、ホップ由来の苦味の主成分として知られている。そこで、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料の代わりに、イソフムロン水溶液を用いることとした。
まず、15ppmのイソフムロンを含む水溶液を調製した。このイソフムロン水溶液に各酸味料(オロト酸、クエン酸、リン酸、グルコン酸)をそれぞれ0.02重量%ずつ添加し、サンプル溶液を調製した。なお、各酸の前述の添加濃度は、それぞれの酸に換算した値である。例えば酸の形態が水和物の場合は、水和物を除いてその酸に換算した値(無水物換算した値)であり、酸の形態が酸の塩の場合は、塩を除いてその酸に換算した値である。本願の各実施例で用いているオロト酸は、オロト酸の水和物であるので、無水物換算した値を添加濃度として用いている。
また、前述のイソフムロン水溶液に酸味料を添加しなかったものを、コントロール溶液とした。訓練されたパネラー4名で、これらサンプル溶液及びコントロール溶液について官能評価を実施した。
(官能評価 評価基準)
評価基準は、苦味をどの程度感じるか、感じられないか、について、次の基準及びスコアで評価した。
4点: 非常に強く感じる
3点: 強く感じる
2点: 感じる
1点: わずかに感じる
0点: 感じない
<結果>
結果を、図1に示す。結果は、パネラー4名の各スコアの平均値を計算し、それらの平均値を総合評価とした。図1から分かるように、いずれの酸味料でも、コントロール溶液(酸味料の添加無し)と比較して苦味は低減したが、中でも、オロト酸は苦味を顕著に低減できることが示された。
なお、オロト酸の顕著な苦味低減効果が、溶液のpHを特に低下させることによるものでないことを確認するために、各サンプル溶液及びコントロール溶液のpHを測定した。その結果を以下の表1に示す。
表1の結果から、酸味料の中でオロト酸が特にpHを低下させているというわけではなかった。図1及び表1の結果から、オロト酸の顕著な苦味低減効果は、pH低下によるものではないことが示された。
2.オロト酸添加濃度の検討
オロト酸の添加濃度をどの程度とすると、苦味低減効果が得られるかを調べるために、以下の試験を行った。
<試験方法>
10ppm、30ppm、50ppmのイソフムロンを含む水溶液をそれぞれ調製した。それぞれの濃度のイソフムロン水溶液について、オロト酸の最終濃度が0.005重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.06重量%となるようにオロト酸を添加し、各サンプル溶液を調製した。また、各濃度のイソフムロン水溶液において、酸味料を添加しなかったものを、コントロール溶液とした。訓練されたパネラー4名で、これらサンプル溶液及びコントロール溶液について官能評価を実施した。なお、イソフムロンの濃度を10〜50ppmの範囲内とした理由は、10ppmより低い濃度ではそもそも苦味があまり感じられず、50pmを超える濃度とすると苦味が必要以上に強くなってきて苦味の程度の比較が難しくなるからである。また、オロト酸濃度を0.06重量%以下の範囲とした理由は、オロト酸濃度が0.06重量%を超えると酸味が強くなってくることや、オロト酸単独での溶解が難しくなってくるからである。
(官能評価 評価基準)
評価は、そのサンプル溶液と同濃度のイソフムロンを含有し、かつ、オロト酸を添加しなかったコントロール溶液と比較して、苦味をどのように感じるか、について次の基準及びスコアでまず行った。
2点: コントロール溶液と比較して非常に強い
1点: コントロール溶液と比較して強い
0点: コントロール溶液と変わらない
−1点: コントロール溶液と比較して弱い
−2点: コントロール溶液と比較して非常に弱い
次に、パネラー4名の、各サンプル溶液についてのスコアの平均値を計算し、その平均スコアが0以上である溶液(すなわち、コントロール溶液と苦味の程度が変わらないか、又は苦味が強くなった溶液)を「×」と総合評価し、前述の平均スコアが0未満で−0.5より大きい溶液(すなわち、コントロール溶液より苦味がやや低減された溶液)を「△」と総合評価し、前述の平均スコアが−0.5以下である溶液(すなわち、コントロール溶液より苦味が低減された溶液)を「○」と総合評価した。
<結果>
結果を、以下の表2に示す。表2の結果から分かるように、いずれのイソフムロン濃度であっても、少なくとも0.005重量%以上オロト酸を添加すると、苦味低減効果が得られることが示された。また、オロト酸の苦味低減効果は、0.01重量%〜0.06重量%の範囲内でより好適に得られることも示された。
3.ビールテイスト飲料での苦味低減効果等の確認
実際のビールテイスト飲料にオロト酸を添加した場合に、苦味低減効果が実際に得られるかどうか、及び、ビールテイスト飲料の味覚を大きく損ねることがないかを確認するために、以下の試験を行った。
<試験方法>
ホップ及び麦芽を用い、アルコール発酵を行わない完全無アルコール麦芽飲料である「キリンフリー」(麒麟麦酒株式会社製)に、0.01重量%(最終濃度)のオロト酸又はグルコン酸を添加し、サンプル飲料を調製した。また、「キリンフリー」にオロト酸もグルコン酸も添加しなかったものを、コントロール飲料とした。訓練されたパネラー4名で、これら両飲料について官能評価を実施した。
(官能評価 評価基準)
評価項目は、「ホップ香」、「後味のすっきりさ(後に引く苦味の抑制)」、「飲料の味わい(味覚)」の3項目とした。なお、イソフムロンは、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料において、苦味(「後に引く苦味」を含む)の主成分として知られている。
「ホップ香」や「後味のすっきりさ(後に引く苦味の抑制)」の評価基準及びスコアとしては、以下のものを用いた。
2点: コントロール飲料と比較して非常に強い
1点: コントロール飲料と比較して強い
0点: コントロール飲料と変わらない
−1点: コントロール飲料と比較して弱い
−2点: コントロール飲料と比較して非常に弱い
「飲料の味わい(味覚)」の評価基準及びスコアとしては、以下のものを用いた。
2点: コントロール飲料と比較して良い
1点: コントロール飲料と比較してわずかに良い
0点: コントロール飲料と変わらない
−1点: コントロール飲料と比較してわずかに悪い
−2点: コントロール飲料と比較して悪い
<結果>
結果を、表3に示す。結果は、各サンプル飲料についてのパネラー4名の各スコアの平均値を計算し、それらの平均値を総合評価とした。表3の結果から分かるように、オロト酸を添加したサンプル飲料、グルコン酸を添加したサンプル飲料のいずれも、ホップ香についてはコントロール飲料と変わらず、飲料の味わいについてもコントロール飲料とほとんど変わらなかった。他方、後味のすっきりさ(後に引く苦味の抑制)については、グルコン酸を添加したサンプル飲料ではコントロール飲料と変わらなかったのに対し、オロト酸を添加したサンプル飲料ではコントロール飲料よりも強くなっていることが示された。表3のこれらの結果から、オロト酸は、ホップを使用したビールテイスト飲料におけるホップ香や、他の味わいへの影響を最小限に、後味のすっきりさを向上させる効果(すなわち、後に引く苦味を抑制する効果)があることが分かった。
なお、上記実施例1〜3の試験のサンプル溶液やサンプル飲料にはアルコールは含まれていないが、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料のうち、アルコールを含むビールテイスト飲料においても、オロト酸の苦味低減効果が得られる蓋然性はきわめて高い。ホップを使用して製造され、アルコールを含むビールテイスト飲料においても、そのホップ由来の苦味の主成分はイソフムロンであるからである。
また、上記実施例1〜3では、オロト酸の使用量を「添加濃度」で記載しているが、上記のサンプル溶液やサンプル飲料には、他にオロト酸を含む原料は含まれていないため、オロト酸の「添加濃度」は「含有濃度」と同義となる。
本発明は、ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料において、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料、並びに、その製造方法を提供する。本発明においては、オロト酸を含有させる(好ましくは添加する)という非常に簡便な手段で、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料を提供することができる。

Claims (5)

  1. ホップを使用して製造されるビールテイスト飲料であって、オロト酸を含有したことにより、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚が保持されつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料。
  2. 飲料全量に対するオロト酸の含有量が、0.005〜0.06重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  3. 飲料中のイソフムロン濃度が、10〜50ppmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載のビールテイスト飲料。
  4. ホップを使用したビールテイスト飲料の製造工程中のいずれかの段階で、オロト酸を含有させることを特徴とする、ホップ由来の香味及びビールテイスト飲料の味覚を保持しつつ、ホップ由来の苦味が低減されたビールテイスト飲料の製造方法。
  5. 飲料全量に対するオロト酸の含有量が、0.005〜0.06重量%の範囲内となるようにオロト酸を含有させることを特徴とする請求項4に記載のビールテイスト飲料の製造方法。
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