JP2018014908A - 発酵麦芽飲料およびその製造方法、ならびにホップ由来の苦味を有する発酵麦芽飲料に温和な苦味質を付与する方法 - Google Patents

発酵麦芽飲料およびその製造方法、ならびにホップ由来の苦味を有する発酵麦芽飲料に温和な苦味質を付与する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】温和な苦味質を有する発酵麦芽飲料の提供。【解決手段】苦味価が15〜40であり、リンゴ酸の含有量が120〜300mg/Lであり、かつ、苦味価/リンゴ酸含有量の比が0.08〜0.17である、発酵麦芽飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、発酵麦芽飲料およびその製造方法、ならびにホップ由来の苦味を有する発酵麦芽飲料に温和な苦味質を付与する方法に関する。
発酵麦芽飲料であるビールには、様々な有機酸が含まれていることが知られている(非特許文献1)。これらの有機酸としては、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、ピルビン酸、コハク酸、酢酸が知られており、その中で、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸は麦芽に由来し、ピルビン酸、コハク酸、酢酸は、発酵中の酵母の代謝によって生成される。これらの有機酸は、一般に、ビール中の酸味の強度、質に影響を与えうることは知られていたが、ホップに由来する苦味質へも影響することは全く知られていなかった。
一方で、ビール中のホップの苦味質成分は、イソα酸、さらに具体的にはイソフムロン、イソコフムロン、イソアドフムロンが知られている(非特許文献2)。これらの苦味成分の酸乖離定数が異なることから、pHと乖離、非乖離分子の比率が、苦味の質にも影響を与える可能性もあるが、明確な結論は得られていない(非特許文献2)。また、ホップのα酸やβ酸の酸化劣化物が苦味の質に影響するとの報告があるものの(非特許文献2)、その他に具体的な制御方法は知られていない。
「醸造物の成分」(財)日本醸造協会編 平成11年12月10日発行 第236〜241頁 「醸造物の成分」(財)日本醸造協会編 平成11年12月10日発行 第250〜272頁
本発明の目的は、温和な苦味質を有する発酵麦芽飲料およびその製造方法、ならびにホップ由来の苦味を有する発酵麦芽飲料に温和な苦味質を付与する方法を提供することにある。
本発明者らは、ホップに由来する苦味を有する発酵麦芽飲料において、苦味価を特定の範囲に調整し、リンゴ酸の含有量を特定の範囲に調整し、さらに、苦味価/リンゴ酸含有量の比を特定の範囲に調整することにより、ホップ由来の鋭い苦味の質を温和に変え、より好ましい香味を有する発酵麦芽飲料を提供できることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)苦味価が15〜40であり、リンゴ酸の含有量が120〜300mg/Lであり、かつ、苦味価/リンゴ酸含有量の比が0.08〜0.17である、発酵麦芽飲料。
(2)苦味価が15〜35である、(1)に記載の発酵麦芽飲料。
(3)リンゴ酸の含有量が120〜250mg/Lである、(1)に記載の発酵麦芽飲料。
(4)苦味価/リンゴ酸含有量の比が0.10〜0.17である、(1)に記載の発酵麦芽飲料。
(5)麦芽使用比率が50%以上である、(1)〜(4)のいずれかに記載の発酵麦芽飲料。
(6)発酵麦芽飲料を製造する方法であって、該発酵麦芽飲料の苦味価を15〜40に調整し、リンゴ酸の含有量を120〜300mg/Lに調整し、かつ、苦味価/リンゴ酸含有量の比を0.08〜0.17に調整する工程を含んでなる、方法。
(7)ホップ由来の苦味を有する発酵麦芽飲料に温和な苦味質を付与する方法であって、該発酵麦芽飲料の苦味価を15〜40に調整し、リンゴ酸の含有量を120〜300mg/Lに調整し、かつ、苦味価/リンゴ酸含有量の比を0.08〜0.17に調整する工程を含んでなる、方法。
(8)リンゴ酸の含有量が、リンゴ酸の一部を仕込工程で添加することにより調整される、(6)または(7)に記載の方法。
(9)麦芽使用比率が50%以上である、(6)〜(8)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、ホップ由来の苦味を有する発酵麦芽飲料に温和な苦味質を付与することが可能となる。また、本発明によれば、発酵麦芽飲料において、ホップ由来の苦味質に影響を与える成分を直接制御することなく、安価かつ手軽に、温和な苦味質を安全な態様で付与することが可能となる。
発明の具体的説明
本発明における「発酵麦芽飲料」とは、原料として少なくとも麦芽およびホップを使用し、炭素源、窒素源および水などを原料として酵母により発酵させた飲料を意味する。このような発酵麦芽飲料としては、ビール、発泡酒、リキュール(例えば、酒税法上、「リキュール(発泡性)(1)」に分類される飲料)などが挙げられる。本発明による発酵麦芽飲料の麦芽使用比率は、例えば、50%以上とすることができ、好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは67%以上である。ここで、「麦芽使用比率」とは、醸造用水を除く全原料の質量に対する麦芽の質量の割合をいう。本発明の発酵麦芽飲料は、好ましくはホップ由来の苦味を有する発酵麦芽飲料とされる。
本発明の発酵麦芽飲料の苦味価は15〜40であり、リンゴ酸の含有量は120〜300mg/Lであり、かつ、苦味価/リンゴ酸含有量の比は0.08〜0.17である。この苦味価の数値、リンゴ酸濃度およびこれらの比により、発酵麦芽飲料に温和な苦味質を付与することが可能となる。
本発明の発酵麦芽飲料に含まれるリンゴ酸は、発酵原料(例えば、麦芽)から持ち込まれるもの、発酵過程において該飲料中に生成されるもの、該飲料中の濃度調整のために添加されるものの全てが含まれる。従って、本発明において、発酵麦芽飲料中のリンゴ酸の含有量は、発酵原料(例えば、麦芽)から持ち込まれ発酵過程を経て残存しているリンゴ酸の含有量、発酵過程において該飲料中に生成されるリンゴ酸含有量、および該飲料中の濃度調整のために添加されるリンゴ酸含有量の総和である。
本発明におけるリンゴ酸含有量の合計の調整は、リンゴ酸を添加することにより行ってもよいし、あるいは、リンゴ酸を含有する原料を配合すること、またはその配合量を増減させることによって行ってもよい。本発明の好ましい実施態様では、リンゴ酸含有量の合計の調整は、発酵麦芽飲料の製造工程中にリンゴ酸を添加することにより行われる。本発明のさらに好ましい実施態様では、リンゴ酸含有量の合計の調整は、発酵麦芽飲料の仕込工程中にリンゴ酸を添加することにより行われる。
本発明においてリンゴ酸の含有量の合計を調整するために添加されるリンゴ酸としては、食品製造に適しているものであればいずれも使用することができる。例えば、食品添加物用に市販されている酸味料を使用することができる。
本発明の発酵麦芽飲料の苦味価は、苦味価に寄与する原料(例えば、ホップ)の使用量の増減等によって調整してもよいし、苦味価に寄与する物質の添加等によって調整してもよいが、好ましくは使用されるホップの種類の選択またはホップの使用量の増減によって調整することができる。
本発明の発酵麦芽飲料中の苦味価は15〜40であり、好ましくは15〜35、より好ましくは15〜30とされる。また、本発明の発酵麦芽飲料中のリンゴ酸の含有量は120〜300mg/Lであり、好ましくは、120〜250mg/L、より好ましくは120〜200mg/Lとされる。
さらに、本発明の発酵麦芽飲料中の苦味価/リンゴ酸含有量の比は0.08〜0.17であり、好ましくは0.10〜0.17とされる。ここで、本発明の発酵麦芽飲料中の「苦味価/リンゴ酸含有量の比」は、本発明の発酵麦芽飲料中の苦味価(実施例2(2)に記載された苦味価の定量方法により算出した値)を本発明の発酵麦芽飲料中のリンゴ酸の含有量(mg/L)で割った値である。
本発明の発酵麦芽飲料中の苦味価は、有機溶媒抽出した苦味成分の分光吸光度を測定することにより算出することができる。具体的には、苦味価測定の対象となる液体サンプル10gに、1mlの3N塩酸を加えた後、20mlのイソオクタンを加え、振とうし、静置し、得られた溶液を、試料を含有する水層とイソクタンから成る有機溶媒層の2層に分離し、イソオクタン有機溶媒層から10mlを採取し、得られたイソオクタン有機溶媒について波長275nmの吸光度を測定し、その値に50を乗じて、これを苦味価とすることができる。
本発明の発酵麦芽飲料中のリンゴ酸の含有量(mg/L)は、高速液体クロマトグラフィー法により測定することができる。
本発明の発酵麦芽飲料には、好ましくはアルコールが1〜10(v/v)%の濃度で含まれる。本発明の発酵麦芽飲料のアルコール濃度は、より好ましくは2〜8(v/v)%、より好ましくは3〜7(v/v)%、さらにより好ましくは4〜6(v/v)%とされる。
本発明の発酵麦芽飲料のアルコールは、該発酵麦芽飲料の発酵工程で生成されるもの、あるいは、該発酵麦芽飲料の製造工程のいずれかの段階で添加されるものであってよい。添加されるアルコールとしては、食品製造に適しているものであればいずれも使用することができ、例えば、食品添加物用に市販されている醸造アルコールを使用することができる。
本発明の発酵麦芽飲料は、通常の発酵麦芽飲料の製造方法において、苦味価、リンゴ酸含有量、苦味価/リンゴ酸含有量の比が上述の範囲内になるように、苦味価およびリンゴ酸の含有量を調整することにより製造することができる。
本発明の一つの実施態様によれば、本発明による方法は、少なくとも水、麦芽、ホップおよびリンゴ酸を含んでなる発酵前液を発酵させ、あるいは、少なくとも水、麦芽、およびホップを含んでなる発酵前液を発酵させ、その前後にリンゴ酸を添加することにより実施することができる。すなわち、麦芽等の醸造原料から調製された麦汁(発酵前液)に発酵用ビール酵母を添加して発酵を行い、所望により発酵液を低温にて貯蔵した後、ろ過工程により酵母を除去することによる、発酵麦芽飲料の製造工程において、苦味価、リンゴ酸含有量、苦味価/リンゴ酸含有量の比が上述の範囲内になるように、苦味価およびリンゴ酸の含有量を調整する工程を含めることができる。苦味価およびリンゴ酸含有量の調整工程は、発酵工程の前後のいずれであってもよいが、好ましくは発酵工程より前の仕込工程中に行うことが望ましい。
本発明による発酵麦芽飲料の製造方法では、ホップ、麦芽以外に、米、とうもろこし、こうりゃん、馬鈴薯、でんぷん、糖類(例えば液糖)、等の酒税法の定める副原料や、タンパク質分解物、酵母エキス等の窒素源、香料、色素、起泡・泡持ち向上剤、水質調整剤、発酵助成剤等のその他の添加物を醸造原料として使用することができる。また、未発芽の麦類(例えば、未発芽大麦(エキス化したものを含む)、未発芽小麦(エキス化したものを含む))を醸造原料として使用してもよい。本発明による発酵麦芽飲料の製造方法の好ましい態様としては、麦芽使用比率を50%以上にすることが望ましい。
以下の例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1:苦味質の改善に影響を及ぼす有機酸の選定
苦味価の異なる複数の市販品(全て酒税法上の「ビール」の範疇に入るもの、すなわち、麦芽比率が67%以上である発酵麦芽飲料)に、リンゴ酸(扶桑化学工業社製)、クエン酸(和光純薬工業社製)、または乳酸(和光純薬工業社製)を最終含有量換算で約100mg/L増加するように添加し混合した後、訓練されたパネル2名により官能評価を行った。その結果、リンゴ酸には苦味質を有意に温和に変える効果があることが確認できた。一方で、クエン酸および乳酸には、そのような効果は確認できず、むしろ渋味を感じある等苦味質を悪化させることが判明した。
実施例2:苦味価が10前後のビール市販品にリンゴ酸を添加した際の苦味質に与える影響
(1)サンプルの調製
苦味価が10前後のビール市販品Aにリンゴ酸を添加し混合した。
(2)苦味価の測定およびリンゴ酸含有量の定量
各サンプル中の苦味価は、以下の方法に従って測定した。
各サンプル10mlに、1mlの3N塩酸を加えた後、20mlのイソオクタンを加え、振とうし、静置した。この溶液を、試料からなる水溶層とイソクタンから成る有機溶媒層の2層に分離し、イソオクタン有機溶媒層から10mlを採取した。採取したイソオクタン有機溶媒について、波長275nmの吸光度を測定し、その値に50を乗じて、苦味価を求めた。
各サンプル中のリンゴ酸含有量は、「やさしい有機酸分析(1)」ASEV Jpn. Rep.. Vol. 4, No.2(1993)または国際公開公報WO2012/077212号に記載された高速液体クロマトグラフィー法に従って定量した。
(3)官能評価
官能評価の評価項目として、苦味の質、酸味の強度の2つの項目を設定した。以下に、それぞれの評価項目の具体的な評価基準を示す。
a.苦味の質:苦味質の温和の程度。0:通常の苦味質。1:苦味質が温和である。2:苦味質が顕著に温和である。0〜2の3段階評価(1.0刻み)を行う。
b.酸味の強度:酸味の強度の程度。0:酸味の強度が強い。1:酸味の強度がやや強く感じる。2:酸味を適度に感じる。0〜2の5段階評価(1.0刻み)を行う。
c.総合評価(嗜好性):苦味質の温和の程度と酸味の強度のバランスがとれた、苦味質の好ましさ。0:酸の強度は0〜2のいずれかであるが、苦味質が0で、好ましくない。1:苦味質および酸の強度はともに1で、やや好ましい。2:苦味質および酸の強度はいずれかが2で他方が1であり、好ましい。3:苦味質および酸の強度はいずれも2で、より好ましい。0〜3の4段階評価(1.0刻み)を行う。
官能評価は、訓練された2名のパネルによって実施した。
(4)各サンプルの定量および官能評価結果
苦味価が10前後のビール市販品Aにリンゴ酸を添加し混合した際の結果を表1に示す。表1中の「対照」の試験区にはリンゴ酸の添加はない(本明細書において同じ)。表1中の「試験」の試験区におけるリンゴ酸含有量は、リンゴ酸添加後の最終濃度である(本明細書において同じ)。また、苦味価/リンゴ酸比は、苦味価((2)で述べた苦味価の定量方法により算出した値)をリンゴ酸含有量(mg/L)で割った値を示す。
Figure 2018014908
リンゴ酸含有量が150mg/Lになった試験1から250mg/Lとなった試験3まで苦味の質の変化はなく、総合評価は全て0となった。苦味価10程度の低い濃度では、苦味質の強度が弱すぎリンゴ酸の効果が確認できなかった。
実施例3:苦味価が20前後のビール市販品にリンゴ酸を添加した際の苦味質に与える影響
(1)サンプルの調製
苦味価が20前後のビール市販品Bにリンゴ酸を添加し混合した。
(2)試験方法
各サンプル中の苦味価の測定およびリンゴ酸含有量の定量、ならびに官能評価は、実施例2の(2)ならびに(3)に記載されている方法に従って実施した。
(3)各サンプルの定量および官能評価結果
苦味価が20前後のビール市販品Bにリンゴ酸を添加し混合した際の結果を表2に示す。
Figure 2018014908
リンゴ酸含有量が120mg/Lになった試験4で、苦味の質が顕著に温和になり、より好ましい結果となった。この時、苦味価/リンゴ酸比は、0.16であった。リンゴ酸含有量が150mg/Lになった試験5で、苦味の質が温和になり、好ましい結果となった。この時、苦味価/リンゴ酸比は、0.13であった。リンゴ酸含有量が250mg/Lになった試験6で、苦味の質が温和になったものの、酸味をやや強く感じ、やや好ましい結果となった。この時、苦味価/リンゴ酸比は、0.08であった。
以上からリンゴ酸の含有量を上げると苦味の質が温和になる効果があることが確認できた。しかし、過剰に添加すると酸味が目立ち、総合的な好ましさが低下することを確認した。
実施例4:苦味価が25前後のビール市販品にリンゴ酸を添加した際の苦味質に与える影響
(1)サンプルの調製
苦味価が25前後のビール市販品Cにリンゴ酸を添加し混合した。
(2)試験方法
各サンプル中の苦味価の測定およびリンゴ酸含有量の定量、ならびに官能評価は、実施例2の(2)ならびに(3)に記載されている方法に従って実施した。
(3)各サンプルの定量および官能評価結果
苦味価が25前後のビール市販品Cにリンゴ酸を添加し混合した際の結果を表3に示す。
Figure 2018014908
リンゴ酸含有量が150mg/Lになった試験7で、苦味の質が顕著に温和になり、より好ましい結果となった。この時、苦味価/リンゴ酸比は、0.17であった。リンゴ酸含有量が200mg/Lになった試験8で、苦味の質が顕著に温和になり、より好ましい結果となった。この時、苦味価/リンゴ酸比は、0.13であった。リンゴ酸含有量が250mg/Lになった試験9で、苦味の質が温和になり、やや好ましい結果となった。この時、苦味価/リンゴ酸は、0.10であった。
以上からリンゴ酸含有量を上げると苦味の質が温和になる効果があることが確認できた。しかし、過剰に添加すると酸味が目立ち、総合的な好ましさが低下することを確認した。
実施例5:仕込工程中にリンゴ酸を添加したビール試験品の苦味質に与える影響
(1)サンプルの調製
淡色麦芽(淡色麦芽:フランス、スフレ社)と水の混合物を、インフュージョン糖化法によって糖化し、糖度を15度に調整した仕込麦汁を調製し、ホップ(ドイツ産ヘルスブルッカー種ホップ:スタイナー社)とともに煮沸した。煮沸後の麦汁を、90℃で60分間静置させた。静置時にリンゴ酸を添加し(対照は添加なし)、麦汁を濾紙で濾過し、濾過後の麦汁を氷水で約12℃まで冷却した後、ビール酵母を添加し、1週間の主発酵及び14日間の後発酵を行った。その後、糖度が12度になるように炭酸水で希釈して、試験品を製造した。
(2)試験方法
各サンプル(試験品および対照品)中の苦味価の測定およびリンゴ酸含有量の定量、ならびに官能評価は、実施例2の(2)ならびに(3)に記載されている方法に従って実施した。
(3)各サンプルの定量および官能評価結果
仕込工程中にリンゴ酸を添加したビール試験品の結果を表4に示す。
Figure 2018014908
リンゴ酸含有量は、対照品で93mg/L、試験品で198mg/Lとなった。試験品は、苦味の質が温和になり、好ましい結果となった。この時、苦味価/リンゴ酸比は、0.10であった。以上からリンゴ酸含有量を上げると苦味の質が温和になる効果があることが確認できた。
実施例2〜5の結果より、苦味価が15〜40、リンゴ酸含有量が120〜300mg/L、かつ苦味価/リンゴ酸比が0.08〜0.17で、ホップに由来する苦味の質が温和になることが明らかとなった。

Claims (9)

  1. 苦味価が15〜40であり、リンゴ酸の含有量が120〜300mg/Lであり、かつ、苦味価/リンゴ酸含有量の比が0.08〜0.17である、発酵麦芽飲料。
  2. 苦味価が15〜35である、請求項1に記載の発酵麦芽飲料。
  3. リンゴ酸の含有量が120〜250mg/Lである、請求項1に記載の発酵麦芽飲料。
  4. 苦味価/リンゴ酸含有量の比が0.10〜0.17である、請求項1に記載の発酵麦芽飲料。
  5. 麦芽使用比率が50%以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発酵麦芽飲料。
  6. 発酵麦芽飲料を製造する方法であって、該発酵麦芽飲料の苦味価を15〜40に調整し、リンゴ酸の含有量を120〜300mg/Lに調整し、かつ、苦味価/リンゴ酸含有量の比を0.08〜0.17に調整する工程を含んでなる、方法。
  7. ホップ由来の苦味を有する発酵麦芽飲料に温和な苦味質を付与する方法であって、該発酵麦芽飲料の苦味価を15〜40に調整し、リンゴ酸の含有量を120〜300mg/Lに調整し、かつ、苦味価/リンゴ酸含有量の比を0.08〜0.17に調整する工程を含んでなる、方法。
  8. リンゴ酸の含有量が、リンゴ酸の一部を仕込工程で添加することにより調整される、請求項6または7に記載の方法。
  9. 麦芽使用比率が50%以上である、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
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