JP5980202B2 - トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体 - Google Patents

トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体 Download PDF

Info

Publication number
JP5980202B2
JP5980202B2 JP2013514005A JP2013514005A JP5980202B2 JP 5980202 B2 JP5980202 B2 JP 5980202B2 JP 2013514005 A JP2013514005 A JP 2013514005A JP 2013514005 A JP2013514005 A JP 2013514005A JP 5980202 B2 JP5980202 B2 JP 5980202B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
seq
cancer
complementarity determining
determining region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013514005A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2012153707A1 (ja
Inventor
良和 黒澤
良和 黒澤
和広 森下
和広 森下
黎臨 張
黎臨 張
仁 黒澤
仁 黒澤
克之 見供
克之 見供
須藤 幸夫
幸夫 須藤
富美子 野村
富美子 野村
由範 鵜飼
由範 鵜飼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Miyazaki
Perseus Proteomics Inc
Original Assignee
University of Miyazaki
Perseus Proteomics Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by University of Miyazaki, Perseus Proteomics Inc filed Critical University of Miyazaki
Publication of JPWO2012153707A1 publication Critical patent/JPWO2012153707A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5980202B2 publication Critical patent/JP5980202B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/30Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants from tumour cells
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • A61P35/02Antineoplastic agents specific for leukemia
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/2881Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against CD71

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Description

本発明はヒトTfR抗原に特異的に反応する抗TfR抗体に関する。さらに本発明は、抗TfR抗体を含む医薬組成物、特に悪性腫瘍の治療に関わる医薬組成物に関する。
がんは、日本における死亡原因の第一位を占め、高齢化に伴って患者数は年々増加してきており、有効性及び安全性の高い薬剤や治療法の開発が強く望まれている。従来の化学療法や、放射線療法など、がん細胞を殺すと同時に、正常細胞にもダメージを与え、強い副作用を引き起こしている問題点がある。これを解決するために、がん細胞に特異的に発現する分子を標的として薬剤を設計し、治療を行う分子標的治療が盛んに研究されている。この分子標的がん治療薬の中、抗体薬は半減期が長く、副作用が少ないなどメリットがあるため大変注目を浴びる。開発の成功例として、CD20を標的としたキメラ抗体リツキサン(非特許文献1)や、Her2/neuを標的としたヒト化抗体ハーセプチン(非特許文献2)、血管内皮増殖因子(VEGF)を標的としたヒト化抗体アバスチンなど挙げられる。これらの抗体ががんを対象疾患として使用されており、その治療効果が認められている。
治療薬としての抗体の使用は、非標識と標識抗体に分けられる。非標識抗体の作用メカニズムは、(1)免疫系細胞や分子を関与する抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)(非特許文献3)また補体依存性細胞傷害活性(CDC)(非特許文献4)、(2)標的分子により細胞内生存や増殖と関わるシグナルの阻害、(3)アポトーシスの誘導、(4)サイトカインの分泌調節などと考えられる。それぞれのメカニズムの組み合わせにより腫瘍細胞を死亡させたり増殖を停止させたりして、治療効果を発揮する。標識抗体は、抗体に放射線物質や、毒素、酵素、また薬剤など細胞傷害物質とリンカーさせ、抗体の特異性を利用し、がん組織だけにこれらの物質を送達し、治療効果の向上と副作用の低減を図る。
トランスフェリンレセプター(TfR)は,トランスフェリン(Tf)と結合した鉄を細胞内に取り込むための細胞膜構造として、最初網状赤血球上にあると同定された(非特許文献5)。以後、胎盤の栄養膜細胞(非特許文献10から12)や、活性化されたリンパ球(非特許文献12)、更にさまざまな腫瘍細胞などに発現していることが分かった。たとえば、乳がん(非特許文献6)、前立腺がん(非特許文献7)、肺がん(非特許文献8),膵臓がん(非特許文献9)大腸がん(非特許文献30、31)胃がん(非特許文献31)、膀胱癌(非特許文献32,33)、肝癌(非特許文献34)、子宮頸がん(非特許文献35)、脳腫瘍(非特許文献36)、慢性リンパ性白血病(非特許文献37,38)、非ホジキンリンパ腫(非特許文献38,39)、成人T 細胞白血病(非特許文献40)においてトランスフェリンレセプターの高い発現を報告されていた。また、TfRは様々な癌細胞表面に高発現し、正常細胞における発現が低いため、古くからがん治療の分子標的と認識された(非特許文献13から16、特許文献1、2)。しかしながら、今まで開発された抗ヒトTfR抗体はすべて動物由来の抗体であった。一般にヒト以外の動物の抗体、例えば、マウス抗体をヒトに投与すると、異物として認識されることにより、ヒト体内にマウス抗体に対するヒト抗体(Human Anti Mouse Antibody:以下、HAMAと表記する)が誘導されることが知られている。HAMAは投与されたマウス抗体と反応し、副作用を引き起こしたり(非特許文献17から20)、投与されたマウス抗体の体内からの消失を速めたりをし(非特許文献18、21及び22)、マウス抗体の治療効果を減じてしまうことが知られている(非特許文献23及び24)。実際にあるマウス抗ヒトTfR抗体によりフェーズ1臨床試験を行われ、HAMAの産生が観察され、顕著な治療効果を見られなかった(非特許文献25)。
このような問題を回避するためにキメラ抗体が開発された(特許文献3及び4)。キメラ抗体は、2つまたはそれ以上の種由来の抗体の一部(マウス抗体の可変領域及びヒト抗体の定常領域など)を含む。このようなキメラ抗体の利点はマウス抗体の特徴は保持するが、ヒトFcを持つためヒト補体または細胞傷害活性を刺激することができる。しかし、このようなキメラ抗体も依然として「ヒト抗キメラ抗体」すなわちHACA(Human Anti− Chimera Antibody)応答を惹起する(非特許文献26)。さらに、置換された抗体の一部のみが相補性決定領域(すなわち「CDR」)である組換え抗体が開発された(特許文献5及び6)。CDR移植技術を使用してマウスCDR、ヒト可変部フレームワーク及び定常領域からなる抗体、すなわち「ヒト化抗体」が産生されている(非特許文献27)。しかしながら、このようなヒト化抗体でも人に対して免疫原性があり、HAHA(Human anti−Human Antibody)反応を引き起こす(非特許文献28、29)。従って、臨床応用において、より安全有効な免疫原性を持たない抗体治療薬を望まれている。
ところで、抗体創薬においては、細胞膜表面に存在する「インタクトな状態の」標的癌抗原を認識する抗体を取得することが不可欠といえるが、標的癌抗原が膜タンパク質であるという理由から、既知の癌抗原に対する抗体であってもその取得には困難が伴っていた。このような問題点を解消すべく、本発明者らはこれまでに1000億個もの独立したクローンからなる巨大なヒト抗体ライブラリーを作製し、それを利用した癌細胞及び組織の細胞膜表面に存在するタンパク質(細胞表面抗原)に対する抗体の網羅的取得法を確立した。(特許文献7〜9)。
米国特許第5,667,781号 米国特許第7,976,841号 欧州特許120694号 欧州特許125023号 英国特許GB2188638A 米国特許第5,585,089号 国際公開第01/062907号パンフレット 国際公開第2001/096401号パンフレット 特開2005−185281号公報
Mass R, et al., Proc Am Soci Clin Oncol 19, 75a, 2000 Berinstein NL, et al., Annals of Oncology 1998, 9:995-1001. Bruggemann M., et al., J. Exp. Med., 166, 1351-1361. Loos M. (1982). Prog. Allergy, 30, 135-192. Mol Immunol. 1982 May;19(5):651-7. J Clin Invest 1963; 42, 314-326 Int J Cancer 1981; 27:329- 334, J Urol 1990; 143: 381-385, Cancer Gene Ther 2000; 7:59-65; Eur J Cancer 2004; 40 (9):1418-1422 J Clin Invest 1980; 65: 1182-1191. Placenta 1986; 7: 391-403 J Clin Invest (1980) 66, 1135-1143.10 Proc.Natl Acad Sci USA 1982; 79:1175-1179, Cancer Res 1986; 46:1759-1763, Cancer Res 1990;50: 6295-6301, Blood 2004; 103: 1838-1845 J.Clin.Oncol.,2,881(1984) Blood,65,1349(1985) J.Natl.Cancer Inst.,80,932(1988) Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.,82,1242(1985) J.Nucl.Med.,26,1011(1985) J.Natl.Cancer Inst.,80,937(1988) J.Immunol.,135,1530(1985) Cancer Res.,46,6489(1986) Clini. Cancer.Res. 1995; 1: 1259-1265 J.Exp.Med.,170,2153−2157,1989 Nature,332,323−327, 1988 Cancer Res. 2001; 61:6851-6859, J Pharm Biomed Anal. 2006;41:1347-1353 Int J Oncol. 1998 13(4):871~5 Tohoku J.exp. Med. 1987;153:239-243 Urol.Res. 1987; 15:341-344 Br.J.Urol. 1990; 65: 339-344 Histopathology 1988; 12: 53-63 J. Clin. Pathol. 1984; 37: 131-135 A Pathol. Anat.Histopathol. 1990; 416: 491-496 Leukemia 1993; 7:2019-2025 Hematol. Pathol. 1990; 4: 37-41 Lancet 1983;1: 498-501 Blood 2004; 103: 1838-1845
本発明は、ヒトTfRを特異的に認識し、TfR高発現しているがん細胞の生存や増殖を阻害する、かつヒトに対し免疫原性ない完全なヒト抗ヒトTfR抗体を提供することを解決すべき課題とした。また、これらの抗体の製造方法および抗体を用いるがんなどの疾患の治療薬を提供することを目的とする。
上述のように、TfRを標的とした抗体は抗腫瘍剤として開発されたが、動物由来の抗体であるため、HAMAの産生や、薬効の不足などにより開発成功に至らなかった。そこで、本発明者らは、独自の抗体作成方法を鋭意に研究し、ヒト抗体ライブラリーファージ Displayにより癌細胞膜上にあるTfRと反応するファージ抗体(scFv抗体)を取得した。これらの抗体遺伝子配列の解析により、抗体のCDRが新規なアミノ酸配列を有することを見出した。 更にこれらのscFv抗体をIgG化し、完全なヒトIgG抗体を作製した。これらのIgG抗体を用いてin vitro, in vivoで抗腫瘍効果を検討した。その結果、抗体が強い抗腫瘍効果を持つことを分かった。以上のことより、これらの抗体を利用しいろいろなTfR高発現しているがん治療に有用性を示し、本発明を完成させた。
即ち、本発明によれば、重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)としてそれぞれ配列番号1〜3、7〜9、13〜15、19〜21、25〜27、31〜33、37〜39、43〜45、49〜51、55〜57、61〜63、67〜69、73〜75、79〜81、85〜87、91〜93、97〜99、103〜105、109〜111、115〜117の何れかのアミノ酸配列を含む、ヒトTfRと特異的に反応する抗体が提供される。
本発明によればさらに、重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)としてそれぞれ配列番号1〜3、7〜9、13〜15、19〜21、25〜27、31〜33、37〜39、43〜45、49〜51、55〜57、61〜63、67〜69、73〜75、79〜81、85〜87、91〜93、97〜99、103〜105、109〜111、115〜117の何れかのアミノ酸配列を含み、軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)としてそれぞれ配列番号4〜6、10〜12、16〜18、22〜24、28〜30、34〜36、40〜42、46〜48、52〜54、58〜60、64〜66、70〜72、76〜78、82〜84、88〜90、94〜96、100〜102、106〜108、112〜114、118〜120の何れかのアミノ酸配列を含む、ヒトTfRと特異的に反応する抗体が提供される。
本発明によればさらに、下記(1)から(20)から選択される、ヒトTfRと特異的に反応する抗体が提供される。
(1)配列番号1の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号2の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号3の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号4の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号5の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号6の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(2)配列番号7の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号8の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号9の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号10の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号11の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号12の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(3)配列番号13の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号14の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号15の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号16の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号17の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号18の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(4)配列番号19の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号20の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号21の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号22の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号23の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号24の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(5)配列番号25の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号26の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号27の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号28の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号29の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号30の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(6)配列番号31の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号32の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号33の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号34の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号35の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号36の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(7)配列番号37の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号38の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号39の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号40の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号41の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号42の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(8)配列番号43の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号44の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号45の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号46の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号47の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号48の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(9)配列番号49の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号50の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号51の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号52の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号53の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号54の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(10)配列番号55の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号56の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号57の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号58の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号59の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号60の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(11)配列番号61の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号62の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号63の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号64の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号65の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号66の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(12)配列番号67の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号68の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号69の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号70の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号71の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号72の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(13)配列番号73の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号74の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号75の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号76の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号77の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号78の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(14)配列番号79の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号80の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号81の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号82の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号83の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号84の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(15)配列番号85の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号86の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号87の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号88の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号89の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号90の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(16)配列番号91の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号92の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号93の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号94の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号95の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号96の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(17)配列番号97の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号98の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号99の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号100の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号101の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号102の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(18)配列番号103の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号104の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号105の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号106の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号107の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号108の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(19)配列番号109の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号110の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号111の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号112の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号113の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号114の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
(20)配列番号115の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号116の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号117の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号118の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号119の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号120の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR、又はそれと実質的に同一のCDRを有する軽鎖可変領域とを有する抗体;
本発明によればさらに、配列番号1〜3、7〜9、13〜15、19〜21、25〜27、31〜33、37〜39、43〜45、49〜51、55〜57、61〜63、67〜69、73〜75、79〜81、85〜87、91〜93、97〜99、103〜105、109〜111、115〜117、4〜6、10〜12、16〜18、22〜24、28〜30、34〜36、40〜42、46〜48、52〜54、58〜60、64〜66、70〜72、76〜78、82〜84、88〜90、94〜96、100〜102、106〜108、112〜114、118〜120の何れかのアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、付加、置換及び/または挿入されていて、活性が請求項1から3の何れかに記載の抗体と同等である、ヒトTfRと特異的に反応する抗体が提供される。
好ましくは、本発明の抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体である。
好ましくは、本発明の抗体が、Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(Diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)およびCDRを含むペプチドからなる群から選ばれる抗体断片である。
本発明によれば、上記した本発明の抗体をコードするDNAが提供される。
本発明によれば、上記した本発明のDNAを含有する組換えベクターが提供される。
本発明によれば、上記した本発明の組換えベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換株が提供される。
本発明によれば、上記した本発明の形質転換株を培地に培養し、培養物中に本発明の抗体を生成蓄積させ、培養物から抗体を採取することを含む、本発明の抗体の製造方法が提供される。
本発明によれば、上記した本発明の抗体を有する医薬組成物が提供される。
本発明によれば、抗体に細胞傷害性物質が結合している上記医薬組成物が提供される。
好ましくは、細胞傷害性物質が薬剤、毒素、又は放射性物質である。
好ましくは、本発明の医薬組成物は抗がん剤として使用される。
好ましくは、がんが、固形がんまた血液がんである。
好ましくは、固形がんが肺がん、大腸がん、胃がん、膀胱がん、膵臓がん、前立腺がん、肝がん、子宮頸がん、子宮がん、卵巣がん、乳がん、頭頸部がん、皮膚がんである。
好ましくは、血液がんが白血病、リンパ腫、骨髄腫である。
更に好ましくは、血液がんが成人T細胞白血病(ATL)である。
本発明によればさらに、上記した本発明の抗体を対象者に投与することを含む、がんを抑制又は治療する方法が提供される。
本発明によればさらに、医薬組成物又は抗がん剤の製造のための、上記した本発明の抗体の使用が提供される。
本発明の抗体は、ヒトTfRと特異的に認識し、TfR発現しているがん細胞の生存や増殖を阻害する完全なヒト抗体である。ヒト抗体はヒトに投与する際、抗体の抗原性が回避され、HAHAが産生されないので、より副作用が少ない高い抗腫瘍作用を発揮できる。即ち、本発明の抗ヒトTfR抗体は、抗がん剤として有用である。
図1は、抗TfRファージ抗体のTfR結合性を、免疫沈降とウエスタンブロットで確認した結果を示す。 図2は、ヒト抗体遺伝子を示す。ヒト抗体遺伝子軽鎖λのJ鎖(junction)遺伝子とC鎖(constant)遺伝子は5つがJ、Cの順で並列に存在しており、J4-CL4とJ5-CL5は偽遺伝子で機能していない。 図3は、TfRIgG抗体とがん細胞株とのフローサイトメトリ結果を示す。 図4は、それぞれのがんモデルにおけるTfRIgG抗体の抗腫瘍効果を示す。 図5は、ATLモデルにおけるTfR006IgG抗体の抗腫瘍効果を示す。 図6は、臨床由来肺癌組織サンプルとTfR006ファージ抗体の反応性を示す。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
定義および一般的技術
本明細書において別段定義しない限り、本発明に関して使用した科学技術用語は、当業者に通常理解されている意味を含むものとする。一般に、本明細書に記載の細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、タンパク質および核酸化学ならびにハイブリダイゼーションに関して使用した命名法およびその技術は、当技術分野で周知のものであり、通常使用されている。
本発明の方法および技術は一般に、別段示さない限り、当技術分野で周知である従来の方法に従って、本明細書全体にわたって引用し論じた種々の一般的参照文献およびより具体的な参照文献に記載されているように実施する。
TfR
ヒトトランスフェリン受容体(TfR)は人三番染色体にコードされる760アミノ酸から構成される一回膜貫通型タンパクである(配列番号125)。このタンパクはCD71抗原としても知られ、細胞の鉄の取り込みに関与し、細胞の増殖に関与すると考えられている。本発明のTfRは、構造上特別に限定せず、単量体、多量体、細胞膜に発現しているintact form、細胞外領域に構成された可溶化form、truncted form、また、遺伝子の変異や、欠損などによりmutation form、リン酸化などにより翻訳後修飾を受けたformなども含め、すべてヒトTfRを意味する。
反応する及び反応性
本明細書において、「反応する」と「反応性」は特別に示さない限り、同じのことを意味する。すなわち、抗体が抗原を認識すること。この抗原は、細胞膜に発現するintact TfRでもよいし、truncted formや、可溶化formでも良い。また、立体構造を保ったTfRでもよいし、変性したTfRでもよい。反応性を検討する手段として、フローサイトメーター(FACS)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、western−blot、蛍光微量測定技術(FMAT)表面プラズモン共鳴(BIAcore)、免疫染色、免疫沈降などが挙げられる。
フローサイトメーターに用いる抗体としては、FITCなどの蛍光物質、ビオチンなどにより標識された抗体であっても、標識をされていない抗体であってもよい。用いた抗体の標識の有無、その種類により、蛍光標識アビジン、蛍光標識抗ヒト免疫グロブリン抗体などを使用する。反応性は、十分量の抗TfR抗体(通常最終濃度が0.01〜10μg/mL)を検体に加えて行い、陰性対照抗体、陽性対照抗体の反応性との比較を行うことにより評価することができる。
抗体
本明細書では必要に応じて、慣習に従い以下の略号(括弧内)を使用する。
重鎖(H鎖)、軽鎖(L鎖)、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、相補性決定領域(CDR)、第1相補性決定領域(CDR1)、第2相補性決定領域(CDR2)、第3相補性決定領域(CDR3)重鎖の第1相補性決定領域(VH CDR1)、重鎖の第2相補性決定領域(VH CDR2)、重鎖の第3相補性決定領域(VH CDR3)軽鎖の第1相補性決定領域(VL CDR1)、軽鎖の第2相補性決定領域(VL CDR2)、軽鎖の第3相補性決定領域(VL CDR3)。
本明細書において、「抗体」という用語は、イムノグロブリンと同義であり、当技術分野で通常知られている通りに理解されるべきである。具体的には、抗体という用語は、抗体を作製する任意の特定の方法により限定されるものではない。例えば、抗体という用語には、それだけに限らないが、組換え抗体、モノクローナル抗体、およびポリクローナル抗体がある。
本明細書において、「ヒト抗体」という用語は、可変領域および定常領域の配列がヒト配列である任意の抗体を意味する。その用語は、ヒト遺伝子に由来する配列を有するが、例えば、考えられる免疫原性の低下、親和性の増大、望ましくない折りたたみを引き起こす可能性があるシステインの除去などを行うように変化させている抗体を包含する。その用語はまた、ヒト細胞に特有でないグリコシル化を施すことができる、非ヒト細胞中で組換えにより作製されたそのような抗体をも包含する。これらの抗体は、様々な形で調製することができる。
本明細書において、「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト由来の抗体を指し、非ヒト種の抗体配列に特徴的なアミノ酸残基が、ヒト抗体の対応する位置で認められる残基と置換されている。この「ヒト化」の工程が、その結果得られる抗体のヒトでの免疫原性を低下させると考えられる。当技術分野で周知の技術を使用して、非ヒト由来の抗体をヒト化できることが理解されるであろう。例えば、Winterら、Immunol.Today14:43〜46(1993)を参照されたい。対象とする抗体は、CH1、CH2、CH3、ヒンジドメイン、および/またはフレームワークドメインを対応するヒト配列と置換する組換えDNA技術によって工学的に作製することができる。例えば、WO92/02190、ならびに米国特許第5,530,101号、第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,792号、第5,714,350号、および第5,777,085号を参照できる。本明細書において、「ヒト化抗体」という用語は、その意味の範囲内で、キメラヒト抗体およびCDR移植抗体を含む。
本発明の抗体の可変領域においてフレームワーク領域(FR)の配列は、対応する抗原に対する特異的結合性に実質的な影響のない限り、特に限定されない。ヒト抗体のFR領域を用いることが好ましいが、ヒト以外の動物種(例えばマウスやラット)のFR領域を用いることもできる。
本明細書において、「ファージ抗体」という用語は、ファージにより産生されたscFv抗体を意味する。つまり、VH及びVLアミノ酸配列を含む抗体断片である。この断片は、Linkerとしてのアミノ酸以外、タグとしてのアミノ酸配列を含むことでもよい。
本発明の抗体の一態様において、可変領域に加えて定常領域を含む(例えばIgG型抗体)。定常領域の配列は特に限定されない。例えば、公知のヒト抗体の定常領域を用いることができる。ヒト抗体の重鎖定常領域(CH)としては、ヒトイムノグロブリン(以下、hIgと表記する)に属すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好適であり、更にhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、軽鎖定常領域(CL)としては、hIgに属すればいかなるものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用いることができる。また、ヒト以外の動物種(例えばマウスやラット)の定常領域を用いることもできる。
本発明の抗体に用いられるFRまたは定常領域のアミノ酸配列は、由来となる元のFRまたは定常領域のアミノ酸配列をそのまま用いてもよいし、1または数個(例えば、1から8個、好ましくは1から5個、より好ましくは1から3個、特に好ましくは1または2個)のアミノ酸を欠失、付加、置換及び/または挿入して異なるアミノ酸配列にして用いてもよい。
本発明において、「活性が請求項に記載の抗体と同等である」とは、ヒトTfRへの結合活性および/または抗腫瘍活性が同等であることを意味する。結合活性としては、抗原を認識することを意味する。この抗原は、細胞膜に発現するintact TfRでもよいし、truncted formや、可溶化formでも良い。また、立体構造を保ったTfRでもよいし、変性したTfRでもよい。たとえば、結合活性を検討する手段として、フローサイトメーター(FACS)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、western−blot、蛍光微量測定技術(FMAT)表面プラズモン共鳴(BIAcore)などが挙げられる。抗腫瘍活性としては、腫瘍細胞の増殖また生存を阻害する活性を意味する。この腫瘍細胞の増殖また生存の阻害は、in vitroで、また、in vivoでもよい。例えば、in vitroで腫瘍細胞の数が減少させる活性、腫瘍細胞の数の増加を阻害する活性、腫瘍細胞の細胞死を引き起こす活性、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC:Antibodyーdependent cellular cytotoxicity)、補体依存性細胞傷害活性(CDC:Complement−dependent cytotoxicity)など。in vivoでは腫瘍重量または体積を減少させる活性、腫瘍重量または体積の増加を抑制させる活性、他薬剤による腫瘍重量または体積の減少を促進させる活性、腫瘍細胞による個体死亡を抑制する活性等が挙げられる。
In vivoの動物モデルとしては、ヌードマウス等の免疫不全マウスにヒト癌組織由来の培養細胞株を移植した異種移植モデル、培養マウス癌細胞株を正常な免疫系を有する野生型マウスへ移植した同系移植モデルなどがあげられる。
異種移植モデルはヌードマウス等の免疫不全マウスの皮下、皮内、腹腔内、静脈内等様々な部位にヒト癌細胞株を移植することにより作製することができる。
本発明において、「同等」とは、必ずしも同程度の活性である必要はなく、活性が増強されていてもよいし、又、活性を有する限り活性が減少していてもよい。活性が減少している抗体としては、例えば、元の抗体と比較して30%以上の活性、好ましくは50%以上の活性、より好ましくは80%以上の活性、さらに好ましくは90%以上の活性、特に好ましくは95%以上の活性を有する抗体を挙げることができる。
上述の抗体は、TfRに対する同等な結合活性を有する、あるいは、同等な抗腫瘍活性を有する限り、可変領域(CDR配列および/またはFR配列)のアミノ酸配列に1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されていてもよい。アミノ酸配列において、1または数個(例えば、1から8個、好ましくは1から5個、より好ましくは1から3個、特に好ましくは1または2個)のアミノ酸が欠失、付加、置換及び/または挿入されており、TfRに対する結合活性、および/または抗腫瘍活性を有する抗体のアミノ酸配列を調製するための、当業者によく知られた方法としては、タンパク質に変異を導入する方法が知られている。例えば、当業者であれば、部位特異的変異誘発法(Hashimoto-Gotoh, T, Mizuno, T, Ogasahara, Y, anDNAkagawa, M. (1995) An oligodeoxyribonucleotide-directed dual amber method for site-directed mutagenesis. Gene 152, 271-275、Zoller, MJ, and Smith, M.(1983) Oligonucleotide-directed mutagenesis of DNA fragments cloned into M13 vectors.Methods Enzymol. 100, 468-500、Kramer,W, Drutsa,V,Jansen,HW, Kramer,B, Pflugfelder,M, and Fritz,HJ(1984) The gapped duplex DNA approach to oligonucleotide-directed mutation construction. Nucleic Acids Res. 12,9441-9456、Kramer W, and Fritz HJ(1987) Oligonucleotide-directed construction of mutations via gapped duplex DNA Methods. Enzymol. 154, 350-367、Kunkel,TA(1985) Rapid and efficient site-specific mutagenesis without phenotypic selection.Proc Natl Acad Sci U S A. 82, 488-492)などを用いて、TfRに対する結合活性および/または抗腫瘍活性を有する抗体のアミノ酸配列に適宜変異を導入することにより、TfRに対する結合活性および/または抗腫瘍活性を有する抗体と機能的に同等な変異体を調製することができる。
このように、可変領域において、1または数個のアミノ酸が変異しており、TfRに対する結合活性および/また抗腫瘍活性を有する抗体もまた本発明の抗体に含まれる。
本明細書において「それと実質的に同一のCDR」という用語は、上記のように1または数個のアミノ酸が欠失、付加、置換及び/または挿入されており、TfRに対する結合活性、および/または抗腫瘍活性を有する抗体を構成するCDRを意味する。
本発明の抗体は、その由来で限定されず、ヒト抗体、マウス抗体、ラット抗体など、如何なる動物由来の抗体でもよい。又、キメラ化抗体、ヒト化抗体などでもよい。本発明における抗体の好ましい様態の一つとして、ヒト抗体である。
本発明の抗体は、後述する抗体を産生する細胞や宿主あるいは精製方法により、アミノ酸配列、分子量、等電点又は糖鎖の有無や形態などが異なり得る。得られた抗体が、本発明の抗体と同等の活性を有している限り、本発明に含まれる。例えば、本発明で記載されているアミノ酸配列に翻訳後に修飾を受ける場合も本発明に含まれる。更に、既知の翻訳後修飾以外の部位に対する翻訳後修飾も、本発明の抗体と同等の活性を有している限り、本発明に含まれる。また、本発明の抗体を原核細胞、例えば大腸菌で発現させた場合、本来の抗体のアミノ酸配列のN末端にメチオニン残基が付加される。本発明の抗体はこのような抗体も包含する。既知の翻訳後修飾以外の部位に対する翻訳後修飾も、本発明の抗体と同等の活性を有している限り、本発明に含まれる。
抗体の作製
(1)ファージディスプレイライブラリーにより抗原と反応するscFv
本発明の抗体の取得は、当技術分野で知られているいくつかの方法に従って調製することができる。例えば、ファージディスプレイ技術を使用して、TfRに対する親和性が様々である抗体のレパートリーを含むライブラリーを提供することができる。次いで、これらのライブラリーをスクリーニングして、TfRに対する抗体を同定し単離することができる。好ましくは、ファージライブラリーは、ヒトB細胞から単離されたmRNAから調製されたヒトVLおよびVHcDNAを使用して生成されるscFvファージディスプレイライブラリーである。そのようなライブラリーを調製しスクリーニングする方法は当技術分野で知られている。ヒトTfRを抗原としてスクリーニングした反応性を示すファージクローンから遺伝物質を回収する。選択されたファージの遺伝子を解析すれば、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするVH及びVLのDNA配列を決定することができる。このscFvの配列を用いて、scFvをIgG化すれば、ヒト抗体を取得することができる。
(2)scFvのIgG化(ヒト抗体の作製)
H鎖またL鎖の発現ベクターを作製し、宿主細胞に発現させ、分泌した上清の回収・精製によりヒト抗体を取得する。また、VH及びVLを同一ベクターに発現すること(タンデム型)によりヒト抗体の取得もできる。これらの方法は周知であり、WO92/01047、WO92/20791、WO93/06213、WO93/11236、W093/19172、WO95/01438、WO95/15388、WO97/10354などを参考にすることができる。
具体的には、VHをコードするDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2およびCH3)をコードする他のDNA分子と連結することによって、完全長重鎖遺伝子を取得することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野で知られており(例えば、Kabat,E.A.ら、(1991)Sequencesof Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91−3242)、これらの領域を包含するDNA断片は標準的なPCR増幅によって得ることができる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgDの定常領域でよいが、最も好ましくはIgG1またはIgG2の定常領域である。IgG1定常領域配列は、Gm(1)、Gm(2)、Gm(3)やGm(17)など、異なる個人間で生じることが知られている任意の様々な対立遺伝子またはアロタイプでよい。これらのアロタイプは、IgG1定常領域中の天然に存在するアミノ酸置換に相当する。
VLをコードするDNAを、軽鎖定常領域CLをコードする他のDNA分子と連結することによって、完全長L鎖遺伝子(ならびにFab軽鎖遺伝子)を取得することができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野で知られており(例えば、Kabat,E.A.ら、(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91−3242)、これらの領域を包含するDNA断片は標準的なPCR増幅によって得ることができる。軽鎖定常領域は、κまたはλの定常領域でよい。κ定常領域は、Inv(1)、Inv(2)やInv(3)など、異なる個人間で生じることが知られている任意の様々な対立遺伝子でよい。λ定常領域は、3つのλ遺伝子のいずれかに由来するものでよい。
上記のように得られたH鎖またL鎖コードするDNAを発現ベクター中に挿入することにより、発現ベクターを作製し、宿主細胞に発現させ、分泌した上清の回収・精製によりヒト抗体を取得する。発現ベクターには、プラスミド、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、カリフラワーモザイクウイルスやタバコモザイクウイルスなどの植物ウイルス、コスミド、YAC、EBV由来エピソームなどが挙げられる。発現ベクターおよび発現調節配列は、使用する発現用宿主細胞と適合するように選択する。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子は、別々のベクター中に挿入することができるし、また両方の遺伝子を同じ発現ベクター中に挿入することもできる。抗体遺伝子を、標準的な方法(例えば、抗体遺伝子断片上の相補的な制限部位とベクターの連結、または制限部位が存在しない場合には平滑末端連結)によって発現ベクター中に挿入する。
好都合なベクターは、上記に記載のように任意のVHまたはVL配列を容易に挿入し発現させることができるように工学的に作製された適当な制限部位を有する機能的に完全なヒトCHまたはCLイムノグロブリン配列をコードするものである。そのようなベクターでは、通常、挿入されたJ領域中のスプライス供与部位とヒトCドメインに先行するスプライス受容部位の間で、またヒトCHエキソン内に存在するスプライス領域でもスプライシングが起こる。ポリアデニル化および転写終結は、コード領域の下流にある天然の染色体部位で起こる。組換え発現ベクターはまた、宿主細胞由来の抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることもできる。抗体鎖遺伝子は、シグナルペプチドがインフレームでイムノグロブリン鎖のアミノ末端と連結するようにベクター中にクローン化することができる。シグナルペプチドは、イムノグロブリンシグナルペプチドでもよく、あるいは異種性シグナルペプチド(すなわち非イムノグロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)でもよい。
本発明の抗体の発現ベクターは、抗体遺伝子および制御配列に加えて、宿主細胞中でのベクターの複製を制御する配列(例えば複製起点)や選択マーカー遺伝子などのさらなる配列を有してよい。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を促進する。例えば、通常、選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞上に、G418、ハイグロマイシンやメトトレキセートなどの薬物に対する耐性を付与する。好ましい選択マーカー遺伝子には、デヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(dhfr−宿主細胞でメトトレキセート選択/増幅とともに使用する)、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(G418選択用)、およびグルタミン酸合成酵素遺伝子がある。
以上の方法で作製された抗体遺伝子発現ベクターにより宿主細胞を形質転換する。宿主細胞としては細菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞など、本発明の抗体を産生させる可能であればいかなる細胞でもよいが、動物細胞が好ましい。動物細胞として、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHO/dhfr (−)細胞CHO/DG44細胞、サル由来細胞COS細胞(A.Wright& S.L.Morrison, J.Immunol.160, 3393-3402 (1998))、SP2/O細胞(マウスミエローマ)(K.Motmans et al., Eur.J.Cancer Prev.5,512-5199(1996),R.P.Junghans et al.,Cancer Res.50,1495-1502 (1990)) など挙げられる。また、形質転換にはリポフェクチン法(R.W.Malone et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,6007 (1989), P.L.Felgner et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84,7413 (1987)、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法(F.L.Graham & A.J.van der Eb,Virology 52,456-467(1973))、DEAE-Dextran法等が好適に用いられる。
形質転換体を培養した後、形質転換体の細胞内又は培養液よりヒト抗体を分離する。抗体の分離・精製には、遠心分離、硫安分画、塩析、限外濾過、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーなどの方法を適宜組み合わせて利用することができる。
抗体断片
本発明の抗体を基にして又は本発明の抗体をコードする遺伝子の配列情報を基にして抗体断片を作製することができる。抗体断片としてはFab、Fab'、F(ab')2、scFv、dsFv抗体が挙げられる。
Fabは、IgGをシステイン存在下パパイン消化することにより得られる、L鎖とH鎖可変領域、並びにCH1ドメイン及びヒンジ部の一部からなるH鎖フラグメントとから構成される分子量約5万の断片である。本発明では、上記抗体をパパイン消化することにより得ることができる。また、上記抗体のH鎖の一部及びL鎖をコードするDNAを適当なベクターに組み込み、当該ベクターを用いて形質転換した形質転換体よりFabを調製することもできる。
Fab'は、後述のF(ab')2のH鎖間のジスルフィド結合を切断することにより得られる分子量が約5万の断片である。本発明では、上記抗体をペプシン消化し、還元剤を用いてジスルフィド結合を切断することにより得られる。また、Fab同様に、Fab'をコードするDNAを用いて遺伝子工学的に調製することもできる。
F(ab')2は、IgGをペプシン消化することにより得られる、L鎖とH鎖可変領域、並びにCH1ドメイン及びヒンジ部の一部からなるH鎖フラグメントとから構成される断片(Fab')がジスルフィド結合で結合した分子量約10万の断片である。本発明では、上記抗体をペプシン消化することにより得られる。また、Fab同様に、F(ab')2をコードするDNAを用いて遺伝子工学的に調製することもできる。
scFvは、H鎖可変領域とL鎖可変領域とからなるFvを、片方の鎖のC末端と他方のN末端とを適当なペプチドリンカーで連結し一本鎖化した抗体断片である。ペプチドリンカーとしては例えば柔軟性の高い(GGGGS)3などを用いることができる。例えば、上記抗体のH鎖可変領域及びL鎖可変領域をコードするDNAとペプチドリンカーをコードするDNAを用いてscFv抗体をコードするDNAを構築し、これを適当なベクターに組み込み、当該ベクターを用いて形質転換した形質転換体よりscFvを調製することができる。
dsFvは、H鎖可変領域及びL鎖可変領域の適切な位置にCys残基を導入し、H鎖可変領域とL鎖可変領域とをジスルフィド結合により安定化させたFv断片である。各鎖におけるCys残基の導入位置は分子モデリングにより予測される立体構造に基づき決定することができる。本発明では例えば上記抗体のH鎖可変領域及びL鎖可変領域のアミノ酸配列から立体構造を予測し、かかる予測に基づき変異を導入したH鎖可変領域及びL鎖可変領域をそれぞれコードするDNAを構築し、これを適当なベクターに組み込み、そして当該ベクターを用いて形質転換した形質転換体よりdsFvを調製することができる。
尚、適当なリンカーを用いてscFv抗体、dcFv抗体などを連結させたり、ストレプトアビジンを融合させたりして抗体断片を多量体化することもできる。
医薬組成物
本発明によれば、本発明の抗体を含有する医薬組成物が提供される。本発明一つの実施形態としてはがんの治療であるが、これに限らない。TfRの高発現によるがん以外の疾患でも本発明の範囲以内である。更に好ましい実施形態としてがんは、固形癌(例えば、肺がん、大腸がん、胃がん、膀胱がん、膵臓がん、前立腺がん、肝がん、子宮頸がん、子宮がん、卵巣がん、乳がん、頭頸部がん、皮膚がんなど)、または血液がん(例えば、白血病、リンパ腫、骨髄腫など)である。本発明の他の好ましい実施形態では、がんは成人T細胞白血病(ATL)である。
本発明の医薬組成物の一態様として、本発明の抗体が有効成分として利用される。これは、抗体の細胞増殖抑制活性、細胞死誘導活性、ADCC活性、CDC活性などを利用し、抗腫瘍効果を発揮する。抗体が、以上の活性を一つだけを持つことでもよいし、また複数の活性を同時に持つことでもよい。つまり、naked抗体が医薬組成物の有効成分である。
もう一つの態様では、本発明の抗体はがん治療薬としてがん組織に特異的にターゲティングさせるミサイル療法に用いることができる。すなわち、がん細胞に傷害をもたらす物質を結合させた抗体を投与することにより、がん部特異的に移行させ、治療効果および副作用の軽減を意図した治療方法である。
がん細胞に傷害する物質は、薬剤、毒素又は放射線物質などの細胞障害性物質を挙げられる。細胞障害性物質と抗体の結合は、当業者に公知の方法で行うことができる(Clin Cancer Res. 2004 Jul 1;10(13):4538-49。
抗体に結合させる薬剤は、がん細胞に傷害をもたらす公知の物質を用いることができる。例としては例えばデュオカルマイシン、デュオカルマイシンのアナログ及び誘導剤、CC−1065、CBIを主成分とするデュオカルマイシンアナログ、MCBIを主成分とするデュオカルマイシンアナログ、CCBIを主成分とするデュオカルマイシンアナログ、ドキソルビシン、ドキソルビシンコンジュゲート、モルフォリノ−ドキソルビシン、シアノモルフォリノ−ドキソルビシン、ドラスタチン、ドレスタチン−10、コンブレタスタチン、カリケアマイシン(calicheamicin)、メイタンシン、メイタンシンアナログ、DM1,DM2,DM3,DM4、DMI、アウリスタチンE、アウリスタチンEB(AEB)、アウリスタチンEFP(AEFP)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、5−ベンゾイルバレリン酸AEエステル(AEVB)、チューブリシン、ジソラゾール、エポシロン、パクリタキセル、ドセタキセル、SN−38、トポテカン、リゾキシン、エキノマイシン、コルヒチン、ビンブラスチン、ビンデシン、エストラムスチン、セマドチン、エリューテロビン、メトトレキサート、メトプテリン、ジクロロメトトレキサート、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、シトシンアラビノシド、メルファラン、リューロシン、リューロシダイン、アクチノマイシン、ダウノルビシン、ダウノルビシンコンジュゲート、マイトマイシンC、マイトマイシンA、カルミノマイシン、アミノプテリン、タリソマイシン、ポドフィロトキシン、ポドフィロトキシン誘導体、エトポシド、エトポシドリン酸塩、ビンクリスチン、タキソール、タキソテールレチノイン酸、酪酸、N8−アセチルスペルミジン並びにカンプトセシン等をあげることができるが、これだけに限定されるわけではない。
抗体と薬剤の結合には、それら自身が有する連結基などを介して直接結合されてもよいし、また、リンカーや他の物質を介して間接的に結合されてもよい。
薬剤が直接結合される場合の連結基は、例えばSH基を用いたジスルフィド結合やマレイミドを介する結合が挙げられる。例えば、抗体のFc領域の分子内ジスルフィド結合と、薬剤のジスルフィド結合を還元して、両者をジスルフィド結合にて結合する。また、マレイミドを介する方法もある。また別の方法として、抗体内にシステインを遺伝子工学的に導入する方法もある。
抗体と薬剤を、他の物質(リンカー)を介して間接的に結合することも可能である。リンカーには、抗体または薬剤または両方と反応する官能基を1または2種類以上有することが望ましい。官能基の例としてはアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、マレイミド基、ピリジニル基等をあげることができる。
リンカーの例としては、N−スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−アミドカプロエート) (LC−SMCC)、κ−マレイミドウンデカン酸N−スクシンイミジルエステル(KMUA)、γ−マレイミド酪酸N−スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N−(α−マレイミドアセトキシ)−スクシンイミドエステル(AMAS)、スクシンイミジル−6−(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)、N−スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)−ブチレート(SMPB)、およびN−(p−マレイミドフェニル)イソシアネート(PMPI)、6-マレイミドカプロイル(MC)、マレイミドプロパノイル(MP)、p-アミノベンジルオキシカルボンイル(PAB)、N-スクシンイミジル4(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP) 及びN-スクシンイミジル(4-イオド-アセチル)アミノ安息香酸エステル(SIAB)等があげられるが、これらに限定されるものではない。また、このリンカーは例えば、バリン-シトルリン(Val-Cit)、アラニン−フェニルアラニン(ala−phe)のようなペプチドリンカーであってもよいし、上記にあげたリンカーをそれぞれ適時組み合わせて使用しても良い。
薬剤と抗体との結合方法に関しては、例えば、Cancer Research ;68 (22) 9280(2008)、Nature Biotechnology;26(8) 925(2008)、Bio Conjugate Chemistry;19、1673 (2008)、Cancer Research ;68 (15) 6300(2008)、又は特表2008-516896号公報などに記載の方法に準じて行うことができる。
毒素としては、抗体に毒素を化学的または遺伝子工学的に結合した、いわゆるイムノトキシンをあげることができる。毒素として、たとえば、ジフテリアトキシンA鎖、シュードモナスエンドトキシン、リシン鎖;無糖鎖リシンA鎖ゲロニン(Gelonin)サポリン(Saporin)等をあげることができる。
利用する放射性物質は、当業者に公知の物質を用いることができるが。例えばイットリウム90(90Y)、レニウム186(186Re)、レニウム188(188Re)、銅67(67Cu)、鉄59(59Fe)、ストロンチウム89(89Sr)、金198(198Au)、水銀203(203Hg)、鉛212(212Pb)、ジスプロシウム165(165Dy)、ルテニウム103(103Ru)、ビスマス212(212Bi)、ビスマス213(213Bi)、ホルミウム166(166Ho)、サマリウム153(153Sm)、ルテチウム177(177Lu)などを挙げることができる。好ましくは、90153Sm、177Luである。
抗体と放射性物質の結合は、当業者公知の方法により行うことができる(Bioconjug Chem. 1994 Mar-Apr;5(2):101-4.)。
放射性同位元素を含む化合物を結合させた抗体を用いたがん治療は、当業者公知の方法により行うことができる(Bioconjug Chem. 1998 Nov-Dec;9(6):773-82.)。具体的には、最初に少量の放射性同位元素を含む化合物を結合させた抗体を患者に投与し、全身のシンチグラムを行う。正常組織の細胞と抗体の結合が少なく、癌細胞と抗体の結合が多いことを確認した上で、放射性同位元素を含む化合物を結合させた抗体を大量に投与する。
本発明の抗ヒトTfR抗体を含有する医薬組成物による製剤も本発明の範囲内に含まれる。このような製剤は、好ましくは、抗体を含有する医薬組成物に加え、生理学的に許容され得る希釈剤又はキャリアを含んでおり、他の抗体又は抗がん剤のような他の薬剤との混合物であってもよい。適切なキャリアには、生理的食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水グルコース液、及び緩衝生理食塩水が含まれるが、これらに限定されるものではない。或いは、抗体は凍結乾燥(フリーズドライ)し、必要とされるときに上記のような緩衝水溶液を添加することにより再構成して使用してもよい。投与形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与、又は、注射剤(皮下注、静注、筋注、腹腔内注など)、経皮、経粘膜、経鼻、経肺、坐薬等による非経口投与を挙げることができる。本発明の医薬組成物による製剤単独の投与でもよいし、他の薬剤と併用でもよい。
本発明の医薬組成物の投与量は、症状、年齢、体重などによって異なるが、通常、経口投与では、抗体の量として、成人に対して、1日約0.01mg〜1000mgであり、これらを1回、又は数回に分けて投与することができる。また、非経口投与では、1回約0.01mg〜1000mgを皮下注射、筋肉注射又は静脈注射によって投与することができる。
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
実施例1:癌細胞株を使用したファージ抗体スクリーニング
(1)癌細胞に結合するファージ抗体のスクリーニング(肝癌細胞株HepG2)
HepG2細胞を15cm デイッシュで培養し、2mg/mLcollagenaseI/ cell sissociation Buffer(Gibco BRL)によりデイッシュから剥離した。細胞を回収し、冷却したPBSで洗浄した後、1×1013cfuのヒト抗体ファージライブラリー(特開2005−185281号公報、WO2008/007648号公報、WO2006/090750号公報を参照)を混ぜ、最終容積1.6mLになるように反応液(1%BSA、0.1%NaN3、MEM)を添加し、4℃にて4時間ゆっくり回転させて反応させた。反応終了後、反応液を二つに分け、それぞれに0.6mLの有機溶液(dibutyl phtalate cycloheximide9:1)を添加し、マイクロ遠心機により2分間遠心(3000rpm)した。上清を捨て、チューブの底に沈降した細胞を0.7mLの1%BSA/MEMで懸濁し、更に0.7mLの有機溶媒を添加した。同じように遠心により上清を捨て、細胞を0.3mLのPBSで懸濁し、液体窒素で凍結した。
凍結した細胞を37℃で解凍し、20mLの大腸菌DH12S(OD0.5)に1時間で感染させた。ファージに感染した大腸菌を600mLの2×YTGA培地(2×YT、200μg/mL ampicisulfate、1% Glucose)に入れ、30℃で一晩培養した。その後10mLを取り、200mL 2×YTA培地(2×YT、200μg/mL ampicisulfate)に入れ、37℃で1.5時間培養した。1×1011ヘルパーファージKO7を入れ、更に37℃で1時間培養した。800mLの2×YTGAK培地(2×YT、200μg/mL ampicisulfate、0.05% Glucose、50μg/mLkanamycin)を添加し、30℃で一晩培養した。10分間の遠心(8000rpm)により上清を回収した。回収した上清に200mLのPEG液(20% polyetyleneglycol6000、2.5M NaCl)を入れよく攪拌した後、10分間の遠心(8000rpm)によりファージを沈殿させた。これを10mLのPBSに懸濁し、これが1stスクリーニングのファージとした。
次は、2ndスクリーニングを行った。2×107培養細胞と1×10101stスクリーニングのファージを混合し、最終容積0.8mLになるように反応液を(1%BSA、0.1%NaN3、MEM)入れた。その後は上記1stスクリーニングと同様の手法を行い、2ndスクリーニングのファージを取得した。
3rdスクリーニングは1×109の2ndスクリーニングのファージを使用し、上記と同じように行った。
(2)ファージ抗体の解析
3rdスクリーニングしたファージを回収し、既存法によりDNA配列を解析し、欠損領域を保持する不完全な抗体や配列が重複する抗体を排除し、独立した抗体配列を持つファージ抗体を取得した(特許第4870348を参照)。
同様の手法により、下記の表1に示す21種類のがん細胞を用いて、がん抗原に反応するファージ抗体のスクリーニングを行った。その結果、表1に示したように、独立配列を有するファージ抗体1863個を取得した。
実施例2:可溶性ヒトTfRと反応するファージのスクリーニング
(1)可溶性TfR抗原産生細胞の作製
癌細胞株MIAPaCa2, SKOV−3を用いて、TfRのcDNAをPCR法により作製した。常法によりTfR 細胞外ドメインのcDNAを調整し、pCMV-Script(クロンテク社製)に挿入することにより、可溶性TfR抗原発現ベクターを作製した。この発現ベクターを細胞株293Tへ導入し、可溶性TfR抗原を産生する発現細胞を作製した。
(2)ELISAによる陽性ファージのスクリーニング
上記可溶性TfR産生細胞の上清を回収し、精製により可溶性TfR抗原を取得した。この可溶性TfR抗原を用いてELISAによる抗原抗体の反応性を検討した。すなわち、可溶性TfR抗原をPBSで10μg/mLになるように調整し、Immuno Module/Strip Plates(NUNK)に50μL/wellに添加し、37℃で2時間静置した。その後、可溶性TfR抗原を捨て、Blocking液(5% スキムミルク / 0.05% NaN3/ PBS)200μL/wellで添加し、37℃で2時間ブロッキングを行った。ブロッキング溶液を除き、PBSにより洗浄し、上記(表1)ファージの培養上清を100μL/well添加し、37℃で1時間反応させた。PBSで5回洗浄後、PBS/0.05%Tween20で希釈した1μg/mLRabbit anti−cp3を100μL/well添加し、37℃で1時間反応させた。PBSで5回洗浄後、更にPBS/0.05%Tween20で2000倍希釈したanti−Rabbit IgG(H+L)−HRPを100μL/well添加し、37℃で1時間反応させた。PBSで5回洗浄後、OPD in 0.1Mクエン酸リン酸バーファー(pH5.1)+0.01%H22 を100μL/well添加し室温で5分間反応させた。 2NH2SO2を100μL/well加え、発色反応を停止した。その後、SPECTRAmax340PC(Molecular Devices)にて492nmの吸光度を測定した。その結果、1863株のファージの中、可溶性TfR抗原と顕著な陽性反応を示すものは20株であった。この20株ファージのDNA配列を解析し、それぞれのCDR配列が新規であることが確認された。CDR配列は下記の通りである。
(1)TfR001抗体
VH CDR1:配列番号1、VH CDR2:配列番号2、VH CDR3:配列番号3
VL CDR1:配列番号4、VL CDR2:配列番号5、VL CDR3:配列番号6
(2)TfR002抗体
VH CDR1:配列番号7、VH CDR2:配列番号8、VH CDR3:配列番号9
VL CDR1:配列番号10、VL CDR2:配列番号11、VL CDR3:配列番号12
(3)TfR003抗体
VH CDR1:配列番号13、VH CDR2:配列番号14、VH CDR3:配列番号15
VL CDR1:配列番号16、VL CDR2:配列番号17、VL CDR3:配列番号18
(4)TfR004
VH CDR1:配列番号19、VH CDR2:配列番号20、VH CDR3:配列番号21
VL CDR1:配列番号22、VL CDR2:配列番号23、VL CDR3:配列番号24
(5)TfR005
VH CDR1:配列番号25、VH CDR2:配列番号26、VH CDR3:配列番号27
VL CDR1:配列番号28、VL CDR2:配列番号29、VL CDR3:配列番号30
(6)TfR006
VH CDR1:配列番号31、VH CDR2:配列番号32、VH CDR3:配列番号33
VL CDR1:配列番号34、VL CDR2:配列番号35、VL CDR3:配列番号36
(7)TfR007
VH CDR1:配列番号37、VH CDR2:配列番号38、VH CDR3:配列番号39
VL CDR1:配列番号40、VL CDR2:配列番号41、VL CDR3:配列番号42
(8)TfR008
VH CDR1:配列番号43、VH CDR2:配列番号44、VH CDR3:配列番号45
VL CDR1:配列番号46、VL CDR2:配列番号47、VL CDR3:配列番号48
(9)TfR009
VH CDR1:配列番号49、VH CDR2:配列番号50、VH CDR3:配列番号51
VL CDR1:配列番号52、VL CDR2:配列番号53、VL CDR3:配列番号54
(10)TfR010
VH CDR1:配列番号55、VH CDR2:配列番号56、VH CDR3:配列番号57
VL CDR1:配列番号58、VL CDR2:配列番号59、VL CDR3:配列番号60
(11)TfR011
VH CDR1:配列番号61、VH CDR2:配列番号62、VH CDR3:配列番号63
VL CDR1:配列番号64、VL CDR2:配列番号65、VL CDR3:配列番号66
(12)TfR012
VH CDR1:配列番号67、VH CDR2:配列番号68、VH CDR3:配列番号69
VL CDR1:配列番号70、VL CDR2:配列番号71、VL CDR3:配列番号72
(13)TfR013
VH CDR1:配列番号73、VH CDR2:配列番号74、VH CDR3:配列番号75
VL CDR1:配列番号76、VL CDR2:配列番号77、VL CDR3:配列番号78
(14)TfR014
VH CDR1:配列番号79、VH CDR2:配列番号80、VH CDR3:配列番号81
VL CDR1:配列番号82、VL CDR2:配列番号83、VL CDR3:配列番号84
(15)TfR015
VH CDR1:配列番号85、VH CDR2:配列番号86、VH CDR3:配列番号87
VL CDR1:配列番号88、VL CDR2:配列番号89、VL CDR3:配列番号90
(16)TfR016
VH CDR1:配列番号91、VH CDR2:配列番号92、VH CDR3:配列番号93
VL CDR1:配列番号94、VL CDR2:配列番号95、VL CDR3:配列番号96
(17)TfR017
VH CDR1:配列番号97、VH CDR2:配列番号98、VH CDR3:配列番号99
VL CDR1:配列番号100、VL CDR2:配列番号101、VL CDR3:配列番号102
(18)TfR018
VH CDR1:配列番号103、VH CDR2:配列番号104、VH CDR3:配列番号105
VL CDR1:配列番号106、VL CDR2:配列番号107、VL CDR3:配列番号108
(19)TfR019
VH CDR1:配列番号109、VH CDR2:配列番号110、VH CDR3:配列番号111
VL CDR1:配列番号112、VL CDR2:配列番号113、VL CDR3:配列番号114
(20)TfR020
VH CDR1:配列番号115、VH CDR2:配列番号116、VH CDR3:配列番号117
VL CDR1:配列番号118、VL CDR2:配列番号119、VL CDR3:配列番号120
配列番号1:TSGVGVG
配列番号2:LIYWDDDKHYSPSLKS
配列番号3:NGDYGIEFDY
配列番号4:GGNNIGSKSVH
配列番号5:YDSDRPS
配列番号6:QVWDSSSDHVV
配列番号7:SYSMN
配列番号8:SISSSSSYIYYADSVKG
配列番号9:ARESVDAFDI
配列番号10:QGDSLRSYDAS
配列番号11:GLSDRPS
配列番号12:ISRDSGGNPH
配列番号13:SYAMS
配列番号14:AISGSGGSTYYADSVKG
配列番号15:GYYGSNYYYGMDV
配列番号16:SGSSSNIGSNYVY
配列番号17:RNNQRPS
配列番号18:AAWDDSLSGPV
配列番号19:DFVFS
配列番号20:WISAHDGNTNYAQKLQD
配列番号21:DTFTNLLGDYSYDAMDV
配列番号22:GSSTGAVTSGHYPY
配列番号23:DTTEKHS
配列番号24:LLSSGDGRAV
配列番号25:NYGMS
配列番号26:WISAYNGNTNYGEKLQG
配列番号27:DDYYGSGVDAFDI
配列番号28:GGNKIGSKSVH
配列番号29:YDRDRPS
配列番号30:QVWDSSSDVV
配列番号31:SYGMH
配列番号32:VISFDGSSKYYADSVKG
配列番号33:DSNFWSGYYSPVDV
配列番号34:TRSSGSIASNSVQ
配列番号35:YEDTQRPS
配列番号36:QSYDSAYHWV
配列番号37:SYWLS
配列番号38:KIDPSDSYTQYSPSFEG
配列番号39:HGYDAFHV
配列番号40:SGSSSNIGNNAVN
配列番号41:YDDLLPS
配列番号42:AAWDDSLNGWV
配列番号43:DYAMH
配列番号44:GISWNSGSIGYADSVKG
配列番号45:DQHREFYYYGMDV
配列番号46:SGSSSNIGSNYVY
配列番号47:RNNQRPS
配列番号48:AAWDDSLSGPV
配列番号49:SYWIG
配列番号50:IIYPGDSDTRYSPSFQG
配列番号51:QGTNWGVGDAFDI
配列番号52:GGNNIGSKSVH
配列番号53:DDSDRPS
配列番号54:QVWDISSDHVV
配列番号55:SYAMS
配列番号56:AISGSGGSTYYADSVKG
配列番号57:DRYYYGSGSYYDAFDI
配列番号58:QGDSLRSYYAS
配列番号59:GKNNRPS
配列番号60:NSRDSSGNHVV
配列番号61:SYSMN
配列番号62:VISYDGSNKYYADSVKG
配列番号63:VDPGDRGWYFDL
配列番号64:SGSSSNIGSNTVN
配列番号65:SNNQRPS
配列番号66:AAWDDSLNGWV
配列番号67:SSPYYWG
配列番号68:SVYYSGNTYYNPSLTR
配列番号69:HSWGINDAFDV
配列番号70:SGSSSNIGNNYVS
配列番号71:DNNKRPS
配列番号72:GTWDSSLSVWV
配列番号73:DYAMH
配列番号74:GISWNSGSIDYADSVKG
配列番号75:ENLAVAGLDY
配列番号76:QGDSLRGYYAS
配列番号77:DKNTRPS
配列番号78:QSRDNSGEMVV
配列番号79:ELSMH
配列番号80:GFDPEDGETIYAQKFQG
配列番号81:DAYYGSGSPRDAFDI
配列番号82:GGDNVGGKSLH
配列番号83:DDRDRPS
配列番号84:QVWDDISRLVI
配列番号85:SYYIH
配列番号86:IINPRGGGTDFAQKFQG
配列番号87:GDCTNGVCYSGGLDV
配列番号88:SGSSSNIGNNYVS
配列番号89:DNDKRPS
配列番号90:GTWDNSLSGV
配列番号91:DYAMH
配列番号92:GISWNSGSIGYADSVKG
配列番号93:DVDLWFGEYYFDY
配列番号94:SGSSSNIGNNYVS
配列番号95:DNNKRPS
配列番号96:GTWDSSLSAPYV
配列番号97:DYAMY
配列番号98:GINWNSAIIGYADSVKG
配列番号99:EALYYSAFFDS
配列番号100:SGSSSNIGNNYVS
配列番号101:DNNKRPS
配列番号102:GTWDSSLSAWV
配列番号103:DYAMH
配列番号104:GINWNGGSTDYADSVEG
配列番号105:DYADLGSGSDY
配列番号106:SGSRSNIGSNYVH
配列番号107:RNDQRPS
配列番号108:ASWDDKMSGRL
配列番号109:SYEMN
配列番号110:YISSSGSTIYYADSVKG
配列番号111:HSNYDILTGYSTDAFDI
配列番号112:TGTSSDIGFYDSVS
配列番号113:DVSNRPS
配列番号114:TSNTKTNTLYV
配列番号115:RGNYWWT
配列番号116:SVHYSGSTNYNPSLKS
配列番号117:DSDYGDYYFDY
配列番号118:QGDSLRSYYAS
配列番号119:GKNNRPS
配列番号120:NSRDSSGNHVV
実施例3:抗TfRファージ抗体のTfR反応性確認
(1)免疫沈降
更に上記20種類のファージ抗体がヒトTfRを認識することを確認するために、免疫沈降及びウエスタンブロットを行った。20種類のファージを大腸菌に感染させ、培養上清の回収・精製により精製scFv抗体を取得した。Glass FilterにCNBr−activated sepharose 4B 1mLに対し抗体5mgを固相し、抗体ビーズを作製した。次に、10cm3dishで培養したSKOV−3細胞を回収し、細胞lysate 600μLを調製した。60μLのbiotinを細胞lysate 600μLに入れ、抗原をビオチン化した。作製した抗体ビーズ溶液150μLとビオチン化した細胞lysateを2mLチューブに入れ、4℃6時間撹拌した。チューブを遠心(5500g,1分, 4℃)し、上清を除き、洗浄用バーファー(0.5mM Biotin 、0.1% Tween20/PBS)800μLを入れ、遠心によりビーズを洗浄した。ビーズの洗浄を3回繰り返した後、溶出用クエン酸液(50mM クエン酸pH2.5)を30μL加え、撹拌したのち、遠心(5500g,1分, 4℃)し、上清を回収することにより免疫複合体を溶出した。溶出作業を3回繰り返し、上清を回収した。3M Trisの添加により中和し、SDS-PAGEで電気泳動を行った。SDS-PAGEにて泳動し、銀染色にてバンドの確認を行った。このサンプルについて同時にストレプトアビジン−HRP(Anti-Streptavidin, IgG Fraction, Conjugated to Peroxidase CORTEX biochem 社)を使用したウエスタンブロットも行った。その結果、図1に示したように、それぞれの抗体(TfR001、TfR003,TfR005)が分子量約90KDの蛋白質と結合していることが確認された(TfRの分子量は約90KD)。
(2)質量分析
続いて、免疫沈降法により得られた抗原タンパクの質量分析を行った。
検出された膜蛋白に対応する部分をゲル内でトリプシン消化し、ペプチドを回収した。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を常法に従い行い、クマシーブリリアントブルーで染色することで得られたバンドを切り出した。これを200mM重炭酸アンモニウム-50%アセトニトリル溶液に浸し、37℃で45分間振盪後、溶液を廃棄して、同じ操作を2回繰り返すことでクマシーブリリアントブルーを除いた。このゲルを減圧乾燥し、それに40mM重炭酸アンモニウム(pH8.1)-10%アセトニトリルに溶かしたトリプシン(20μg/mL)をゲルスライスの単位面積(mm2)あたり4μL加えて、室温で1時間置いて充分に浸潤させた。これに先に加えた量の2.5倍量のトリプシン溶液を加えて、37℃で18時間静置した。これをポアサイズが0.22μmのフィルター付きチューブで濾過して、トリプシンにより抗原が切断されて生じたペプチドを回収した。
ゲル内トリプシン消化により得られた試料を、エレクトロスプレーイオン化方式イオントラップ四重極型質量分析装置につないだHPLCにかけた。HPLCの逆相クロマトグラフィーカラムから、0.1%TFAを含む0%から80%のアセトニトリルの直線濃度勾配変化により、疎水性の違いで順次溶出される各ペプチドをエレクトロスプレー法でイオン化し、各ペプチドの質量及び内部アミノ酸配列を決定した。得られたアミノ酸内部配列のセットを、公開されているTfRアミノ酸配列データベースを用いて検索した。その結果ファージ抗体がTfRに結合することが確認された。
実施例4:ファージ抗体(scFv)のIgG化
(1)TfR006IgG抗体を発現するplasmidの作製
ファージ抗体のIgG化はTfR006のIgG化を例として下記のように説明する。他の抗体について同様な手法でIgG化した。
TfR006のファージ抗体(scFv)の遺伝子はVH-VLの順で並んでおり、VHとVLはリンカー(配列番号121)で接続したscFvの構造をしている。
VHはV、D、Jの3遺伝子から、VLはVJの2遺伝子から構成されている。ヒトの軽鎖λの場合、Jλ(λ Junction)遺伝子とCλ(λ constant)遺伝子は並列に5セットが並んでおり、J4-CL4とJ5-CL5は偽遺伝子である(図2)。
TfR006のVH,VLで使用していると推定されるヒト生殖系列の遺伝子をIMGT (*)で検索した結果を表2で示す。
(*) IMGT : http://www.imgt.org
IMGTの検索結果を参考にして、ファージ抗体のIgG化をおこなった。TfR006のVHをヒトG1の定常領域(配列番号122)と、TfR006のVLはIGLJ3遺伝子と並列に並んでいるIGLC3(配列番号123)と接続した遺伝子をGenScript社で全合成した。全長人工合成に際してコドン使用頻度の最適化(Kimら、Codon optimization for high-level expression of human erythropoietin in mammalian cells、Gene、Vol 199、1997、p293-301の方法に従った)をおこない、効率的な翻訳のためのDNA配列(Kozak、At least six nucleotides preceding the AUG initiator codon enhance translation in mammalian cells、J Mol BiolVol 196、p947-950、1987)、およびヒト抗体重鎖サブグループ3のシグナルペプチドのコンセンサス配列(配列番号124)を分泌用のシグナルとして重鎖、および軽鎖遺伝子の5'側に付加した。また、合成する重鎖、軽鎖遺伝子の両端には5'側にNheIを、3'側にEcoRIを発現ベクターに組み込むために付加した。
抗体遺伝子の発現ベクターはpCAGGS(Niwaら、Efficient selection for high-expression transfectants with a novel eukaryotic vector、Gene、Vol 108、p193-200)を使用し、このベクターのHindIII部位に遺伝子増幅用にマウスDHFR遺伝子発現領域を挿入した。
(2)TfR006IgG抗体の一過性発現
TfR006IgG抗体の一過性発現にはFreeStyle (ライフテクノロジーズ)を用いた。遺伝子導入用浮遊細胞である293-F (ライフテクノロジーズ) は前日に継代した。トランスフェクション当日1x106細胞/mLの細胞濃度に調整した400mLの細胞懸濁液を準備した。これにTfR006重鎖発現ベクターを100 μg、TfR006軽鎖発現ベクターを100μg合計200μgのプラスミドをOptiPro SFMに懸濁した溶液(I)を調整した。次に200μLのMAX reagentを8mLのOptiPRO SFMに加えた(溶液II)。 溶液(I)と(II)を混合して室温で10分から20分静置した。この合計16mLの反応液を293-F細胞を懸濁した400mLの293発現培地に加え、6日から7日間37°C、8%CO2で細胞培養震盪機のTAITEC BioShaker BR-43FLで培養した。6日から7日間後、TFR006組換え抗体を含む培養上清を回収し、これを材料に精製をおこなった。
(3)TfR006IgG抗体の安定性生産株の樹立
CHOdhfr(-)細胞(G. Urlaubら、Isolation of Chinese hamster cell mutants deficient in dihydrofolate reductase activity, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77, p4216-4220, 1980)を用いて、2種類のプラスミド(アンピシリン耐性遺伝子内のPvuIでプラスミドを切断して環状プラスミドから線状プラスミドにした)すなわち、TFR006L鎖を発現するためのpCAGGS-IGL-CMV-dhfr-Aベクター、および、TFR006H鎖を発現するためのpCAGGS-IGH-CMV-dhfr-Aベクターにより同時形質転換した。エレクトロポレーションはロンザ社製のAmaxaでおこなった。DNA(L鎖、H鎖各プラスミドにつき0.002mg/試料)を3x103細胞の0.1mLのAmaxaエレクトロポレーションCHO用緩衝液に加えて電気パルスを与えた。
エレクトロポレーション処理された細胞を、10%の透析済みFBSを含有し、HT(H:ヒポキサンチン;T:チミジン)を含まないIscove’s Modified Dulbecco培地(IMDM)に加えた。遺伝子導入から3日後、10%透析FBS、2 mML-グルタミン、HTを含まないIMDMに培地を交換して1mg/mLのG418でneo+形質転換細胞の選択をおこない、TfR006IgG抗体産生陽性細胞株クローンを得た。次に、G418で選択されたクローンを用いて遺伝子増幅をおこなった。0.25mM、1mMの2ラウンドのメソトレキセート(MTX)中での増幅の後、1リットルあたり約50mgのTfR006IgG抗体を産生する細胞株を樹立した。
(4)TfR006IgG抗体の精製
一過性で発現した培養上清、あるいは安定発現株の培養上清に含まれるTfR006IgG抗体タンパク質は、AKTAprimeを用いたAb-Capcher ExTra(プロテノバ)アフィニティーカラムで精製した。得られたピークフラクションは、溶媒としてダルベッコのPBSで平衡化したセファクリルS-300カラムによるゲルろ過をして、さらに精製した。精製したTfR006IgG抗体タンパク質の定量は、吸光係数を用いて算出した。TfR006IgG抗体の吸光係数はEXPASYのProtParam(http://web.expasy.org/protparam/)にTfR006の全アミノ酸配列を用いて計算してε=1.607を求めた。
(5)酵素免疫測定法(ELISA)によるTfR006IgG抗体の定量
TfR006IgG抗体生産細胞の培地上清に含まれる抗体や、精製した抗体の濃度は、吸光度による定量とともに、酵素免疫測定法(ELISA)による定量もおこなった。固相抗体としてプレートにヤギ抗ヒトIgG(H+L)(マウス、ウサギ、ウシ、マウスIgGに対して吸収済み)(コスモバイオ:American Qualex International,Inc.;AQI,Cat.No.A-110UD)を100μl/well(5μg/mLの濃度)で加えて4℃で一昼夜静置した。次にブロックエースを200μL/wellで加えて室温で1時間ブロックした後、試料の抗体を段階希釈し、各wellに加えて1時間インキュベーションして反応させた。PBST(0.05%Tween20、PBS)で5回洗浄後、ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(マウス、ウサギ、ウシ、マウスIgGに対して吸収済み)-HRP(コスモバイオ:AQI,Cat.A-110PD)をPBSTで10000倍希釈した検出抗体溶液を100μL/wellの割合で加えた。1時間インキュベーション後、PBSTで5回洗浄してから基質緩衝液TMBを100μL/wellの割合で加えた。室温暗所で15分間インキュベーションした後、反応停止液を100μL/wellの割合で加えて反応を停止してから、450nmにおける吸光度を測定した。標準品として精製ヒトIgGを用いて検量線を作成し、これを用いてヒト抗体の濃度を算出した。
実施例5:IgG化したTfR抗体の反応性
TfR発現細胞2株、K562(ATCC CCL−243:CML)、MIAPaCa−2(ATCC CRL−1420:膵癌)を用いて、IgG化した抗TfR抗体の反応性を検討した。K562細胞を遠心により回収した。 MIAPaCa−2は2mM EDTA/PBSで剥離し、遠心により回収した。回収した細胞をそれぞれPBSで1回洗浄し、その後、FACS Buffer(1%BSA,2mM EDTA,0.1%NaN3 入りPBS)で細胞を1×106/mLなるように懸濁しに。 この細胞懸濁液100μLを96- well V底プレート(Costar 3897)に分注し、さらにTfR001IgG抗体、TfR005IgG抗体、TfR006IgG抗体をFACS Bufferで1〜0.01μg/mLに調製し、それぞれの抗体溶液100μLを細胞に添加した、4℃で1時間インキュベートした。細胞をFACS Bufferにより2回洗浄した後、FACS Buffer で750倍に希釈したAlexa−anti−human IgG (invitrogen )溶液100μLを添加し、攪拌した後更に4℃で1時間インキュベートした。FACS Buffer で遠心により2回洗浄し、FACS Calibur(BD)のHTSにセットして各wellのFL1蛍光強度を測定した。図3に示すように、各抗体(a:500ng/mL;b:50ng/mL;c:5ng/mL)がK562及びMIAPaCa−2と強い反応性を示した。Anti−human IgG (1μg/mL) 及びanti−human TfR(1μg/mL MBL D259−3)はそれぞれnegative control 、positive controlとして使用した。
実施例6:IgG化したTfR抗体のin vitro増殖抑制効果
TfR発現細胞13株、Ramos(ATCC CRL−1596)、K―562(ATCC CCL−243)、NCI−H358(ATCC CRL−5807)、A549(ATCC CCL−185)、MIAPaCa−2(ATCC CRL−1420)、PK−45P(東北大学加齢医学研究所 TKG 0493)、KLM−1(RCB)、A431(ATCC CRL−1555)、DU145(ATCC HTB−81)、HT−29(ATCC HTB−38)、BFTC905(DSMZ ACC361)、MKN45(JCRB JCRB0254)MT−2を2500〜10000/mL密度になるよう培養液で調製し、96well平底プレート(NUNC 167008)に100μL/wellずつ分注した。37℃、5%CO2、95%空気で24時間培養した後、20μg/mL〜1.52ng/mLのTfR006抗体希釈系列を作製し、その100μLを、培養中のプレートに添加し、さらに37℃、5%CO2、95%空気で96時間培養した。培養終了後、プレートを1200rpm 3分間遠心し、静かに上清を抜き取った後、PBS100μLを添加した。再び遠心し、PBSを96wellV底プレート(Costar 3897)に分取した後、0.25% Trypsin EDTA 50μLを添加し、細胞を剥離した。ピペッティングで攪拌してから細胞全量をPBS入りのV底プレートに移し、さらに培養液50μLでwellを洗い、その全量をV底プレートに移した。このV底プレートをFACS Calibur(BD)のHTSにセットし、攪拌後、各wellあたり40μLを吸引させて、その全量について細胞数の測定を行った。得られた細胞数×5を、1wellあたりの細胞数とした。各濃度の抗体添加による増殖率を下記の計算式で算出した。Master Plex 2010ソフトウエア(日立ソリューションズ)を使用して、増殖率50%を示す抗体濃度(IC50)を求めた。その結果、各抗体が強い細胞増殖抑制効果を示した。それぞれのIC50を表3に示す。
増殖率=細胞数(抗体添加)/細胞数(抗体なし)X100%
実施例7:ゼノグラフトモデルにおける抗腫瘍効果
ヒト抗TfR抗体の抗腫瘍効果を、下記それぞれのTfR陽性発現癌細胞株を移植したゼノグラフトで確認した。
以上の細胞は上記表4に示したそれぞれの培養液で培養した。移植時それぞれの細胞をRPMI1640に懸濁し、SCIDマウス(メス、7週齢、日本クレア)の右腹側部皮下に5×106個/マウスとなるように上記それぞれの癌細胞懸濁液100μL/匹で移植した。移植後、ノギスによる腫瘍径を測定し、下記の式により体積を求めた。腫瘍平均体積が150mm3以上に至る時点で、群分けソフト(EXSASversion7.6 シーエーシ)により一種類の癌細胞担癌につきマウスを二群(n=5)になるように群分けを行った。抗体投与群にPBSで希釈したTfR006抗体をマウス一匹あたり15mg/kgになるように尾静脈より投与した。陰性コントロール群に0.2mL/20gマウスでPBSを尾静脈より投与した。投与は、週2回(3日または4日毎)、合計6回行った。投与後週2回ノギスによる腫瘍径の測定を行い、各群の腫瘍体積を求めた。抗腫瘍効果の判定は腫瘍体積により判定した。
腫瘍体積は下式にて算出した。
腫瘍体積=(短径)2 × 長径 × 0.5
各群の腫瘍体積の平均値の経時的変化を図4に示す。いずれの癌細胞株ゼノグラフトモデルにおいて、抗体の投与群は腫瘍増殖の抑制が認められた。この結果から、TfR006抗体はさまざまな癌細胞に対し強い増殖抑制効果を有することが示唆された。
実施例8:ATLモデルにおける抗TfR抗体の抗腫瘍効果
ATL細胞株MT−2細胞を10%FBS添加したRPMI1640培養液で培養した。移植時遠心により細胞を回収し、細胞を1×108/mLになるようにRPMI1640に懸濁した。この細胞懸濁液と同量のMatrigel(ベクトンディッキンソン)を混ぜ、NOG/Jicマウス(メス、7週齢、動物実験中央研究所)の右腹側部皮下に移植した。移植後、週二回ノギスにより腫瘍径を測定し、腫瘍平均体積が150mm3前後に到達した時点で、腫瘍体積に対する無作為化割付により、マウスを1群あたり5匹、4群になるよう割付けを行った。3群にはTfR006抗体を15mg/kg群、5mg/kg群、1.5mg/kg群でそれぞれ尾静脈投与し、残りの1群には陰性コントロールとして、0.2mL/20gマウスでPBSを尾静脈より投与した。投与は、週2回(3日または4日毎)、合計6回行った。投与後も割付け前と同様に、週2回ノギスによる腫瘍径の測定を行い、各群の腫瘍体積を求めた。抗腫瘍効果の判定は最終測定日の腫瘍体積について、PBS群をコントロールとしたパラメトリックDunnet多重比較検定により判定した。
腫瘍体積は下式にて算出した。
腫瘍体積=(短径)2 × 長径 × 0.5
また、無作為化割付および、多重比較検定は生物実験データ統計解析ソフトEXSUS(株式会社シーエーシー)を用いて行った。
各群の腫瘍体積の平均値の経時的変化を図5に示す。図5に示したように、腫瘍の増殖は、TfR006抗体により用量依存的に抑制された。
実施例9:臨床検体を用いた免疫染色
(1)切片作製
摘出された肺癌組織は5mm×5mm×10mmほどの大きさにし、4℃の4%PFA/0.01%グルタールアルデヒド/0.1M カコジル酸バッファーに入れ(PFAは和光純薬、グルタールアルデヒドは関東化学、カコジル酸ナトリウムはSIGMA)、電子レンジ(SHARP)を用いてマイクロウェーブ固定した後に、同固定液にて4℃で1時間再固定した。それから10%sucrose/PBSに移し4℃にて4時間浸漬後、15%sucrose/PBSに置換して4℃にて4時間浸漬したのち、20%sucrose/PBSに置換して4℃にて一晩浸漬させ、OTC compoundにて包埋、ドライアイス・ヘキサン中で急速に凍結した。これを、クリオスタット(Reichert−Jung 2800FRIGCUT E)にて4μmの厚さに薄切し,シランコートスライドガラス(MATSUNAMI)に貼り付け、冷風ドライヤーにて30分風乾した。
(2)染色
切片を貼付したスライドガラスは、PBSの中で5分間ずつ3回浸漬し親水化を行った。次に50μL の0.3%H22/0.1%NaN3を滴下し、室温にて10分間反応させ内因性ペルオキシダーゼのブロッキングをおこなった。その後、PBSで5分間ずつ3回洗浄し、2%BSA2/PBSに入れ、室温で10分間非特異反応のブロッキングをした。余分な液を落としファージ抗体TfR006(50μL)を滴下し,室温にて1時間反応させた。PBSで3回洗浄後、5μg/mLの抗cp3ウサギ抗体50μLを滴下し、室温にて45分間二次抗体反応をさせた。PBSで3回洗浄後、パーオキシダーゼ標識デキストラン結合抗ウサギイムノグロブリン・ヤギポリクローナル抗体(DAKO)50μLを滴下して、室温にて30分間三次抗体反応を行った。PBSで3回洗浄後、50μL のDAB・H22発色液を滴下し、褐色に発色後、蒸留水を満たしたバットに移して反応を停止させた。その後10分間水洗したのち、ヘマトキシリンによる核染後,脱水・透徹し、マリノールにて封入し、顕微鏡の下で観察した。図6に示したように、本抗体が肺癌の癌細胞に反応するが、非癌細胞に反応しない。

Claims (16)

  1. 配列番号31の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号32の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号33の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号34の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号35の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号36の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDR有する軽鎖可変領域とを有する抗体である、ヒトTfRと特異的に反応する抗体。
  2. 重鎖の定常領域が、配列番号122のアミノ酸配列であり、軽鎖の定常領域が、配列番号123のアミノ酸配列である、請求項1に記載の抗体。
  3. 抗体がヒト抗体又はヒト化抗体である、請求項1又は2に記載の抗体。
  4. 抗体が、Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(Diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)およびCDRを含むペプチドからなる群から選ばれる抗体断片である、請求項1から3の何れか1項に記載の抗体。
  5. 請求項1から4の何れか1項に記載の抗体をコードするDNA。
  6. 請求項5に記載のDNAを含有する組換えベクター。
  7. 請求項6に記載の組換えベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換株。
  8. 請求項7に記載の形質転換株を培地に培養し、培養物中に請求項1から4の何れか1項に記載の抗体を生成蓄積させ、培養物から抗体を採取することを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の抗体の製造方法。
  9. 請求項1から4の何れか1項に記載の抗体を有する医薬組成物。
  10. 抗体に細胞傷害性物質が結合している、請求項9に記載の医薬組成物。
  11. 細胞傷害性物質が薬剤、毒素、又は放射性物質である、請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 抗がん剤として使用される、請求項9から11の何れか1項に記載の医薬組成物。
  13. がんが、固形がんまたは血液がんである、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 固形がんが肺がん、大腸がん、胃がん、膀胱がん、膵臓がん、前立腺がん、肝がん、子宮頸がん、子宮がん、卵巣がん、乳がん、頭頸部がん、皮膚がんである、請求項13に記載の医薬組成物。
  15. 血液がんが白血病、リンパ腫、骨髄腫である、請求項13に記載の医薬組成物。
  16. 血液がんが成人T細胞白血病(ATL)である請求項13に記載の医薬組成物。
JP2013514005A 2011-05-09 2012-05-07 トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体 Active JP5980202B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011104007 2011-05-09
JP2011104007 2011-05-09
PCT/JP2012/061676 WO2012153707A1 (ja) 2011-05-09 2012-05-07 トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2012153707A1 JPWO2012153707A1 (ja) 2014-07-31
JP5980202B2 true JP5980202B2 (ja) 2016-08-31

Family

ID=47139186

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013514005A Active JP5980202B2 (ja) 2011-05-09 2012-05-07 トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体

Country Status (7)

Country Link
US (1) US9598496B2 (ja)
EP (1) EP2708560A4 (ja)
JP (1) JP5980202B2 (ja)
CN (1) CN103534272B (ja)
CA (1) CA2835603A1 (ja)
HK (1) HK1193833A1 (ja)
WO (1) WO2012153707A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020105621A1 (ja) 2018-11-20 2020-05-28 株式会社ペルセウスプロテオミクス 細胞内への鉄の取り込み阻害剤

Families Citing this family (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PT2918603T (pt) * 2012-11-08 2018-10-30 Univ Miyazaki Anticorpo capaz de reconhecer especificamente o receptor da transferrina
JP6026305B2 (ja) * 2013-02-04 2016-11-16 古河電気工業株式会社 標識抗体の製造方法
CA2932547C (en) 2014-01-06 2023-05-23 F. Hoffmann-La Roche Ag Monovalent blood brain barrier shuttle modules
SG10201913762QA (en) 2015-05-04 2020-03-30 Cytomx Therapeutics Inc Anti-cd71 antibodies, activatable anti-cd71 antibodies, and methods of use thereof
CN106317185B (zh) * 2015-06-23 2019-09-17 首都医科大学 His-Gly-Tyr-Asp,其合成,活性和应用
MX2018000305A (es) 2015-06-24 2018-03-14 Japan Chem Res Anticuerpo anti-receptor de transferrina humana que penetra la barrera hematoencefalica.
NZ737205A (en) * 2015-06-24 2024-07-26 F Hoffmann La Roche Ag Anti-transferrin receptor antibodies with tailored affinity
JP6914193B2 (ja) 2015-06-24 2021-08-04 Jcrファーマ株式会社 Bdnfを含む融合蛋白質
WO2017048629A1 (en) * 2015-09-15 2017-03-23 The Scripps Research Institute Antibodies for generating anti-inflammatory macrophage and related uses
MY192668A (en) 2015-10-02 2022-08-30 Hoffmann La Roche Bispecific anti-human cd20/human transferrin receptor antibodies and methods of use
AR106189A1 (es) 2015-10-02 2017-12-20 Hoffmann La Roche ANTICUERPOS BIESPECÍFICOS CONTRA EL A-b HUMANO Y EL RECEPTOR DE TRANSFERRINA HUMANO Y MÉTODOS DE USO
MA45328A (fr) * 2016-04-01 2019-02-06 Avidity Biosciences Llc Compositions acide nucléique-polypeptide et utilisations de celles-ci
EP3560958A4 (en) 2016-12-26 2020-08-12 JCR Pharmaceuticals Co., Ltd. NEW ANTIBODY ANTI-RECEPTOR OF HUMAN TRANSFERRIN CAPABLE OF PENETRATING THE HEMATOENCEPHALIC BARRIER
CN110381980A (zh) 2017-01-06 2019-10-25 艾维迪提生物科学有限责任公司 核酸-多肽组合物以及诱导外显子跳读的方法
WO2018165619A1 (en) 2017-03-09 2018-09-13 Cytomx Therapeutics, Inc. Cd147 antibodies, activatable cd147 antibodies, and methods of making and use thereof
GB201711809D0 (en) 2017-07-21 2017-09-06 Governors Of The Univ Of Alberta Antisense oligonucleotide
EP3762420A1 (en) 2018-03-09 2021-01-13 CytomX Therapeutics, Inc. Activatable cd147 antibodies and methods of making and use thereof
AU2019235900A1 (en) * 2018-03-14 2020-08-13 Dana-Farber Cancer Institute, Inc. Engineered cells, T cell immune modulating antibodies and methods for using the same
AU2019413278A1 (en) 2018-12-28 2021-07-15 Kyowa Kirin Co., Ltd. Bispecific antibody binding to TfR
JP2022527541A (ja) 2019-04-04 2022-06-02 ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド 抗hla-c抗体及びその使用
JP2022548310A (ja) 2019-09-23 2022-11-17 シートムエックス セラピューティクス,インコーポレイテッド 抗cd47抗体、活性化可能抗cd47抗体、およびその使用方法
EP4393509A1 (en) 2021-08-26 2024-07-03 Perseus Proteomics Inc. Reactive oxygen species (ros) production promoter
IL311175A (en) 2021-09-01 2024-04-01 Biogen Ma Inc Anti-transferrin receptor antibodies and their uses

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005185281A (ja) * 2003-12-04 2005-07-14 Mbl Venture Capital Co Ltd 細胞表面抗原に対する抗体取得とその抗原同定
WO2006090750A1 (ja) * 2005-02-28 2006-08-31 Institute For Antibodies Co., Ltd. 抗IgSF4抗体及びその利用
WO2008007648A1 (fr) * 2006-07-10 2008-01-17 Institute For Antibodies Co., Ltd. Procédé de classification d'antigène, procédé d'identification d'antigène, procédé d'obtention d' un ensemble d'antigènes ou d'anticorps, procédés de construction d'un panel d'anticorps, anticorps et ens
JP2008508904A (ja) * 2004-06-07 2008-03-27 レイヴェン バイオテクノロジーズ, インコーポレイテッド トランスフェリンレセプター抗体

Family Cites Families (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB8308235D0 (en) 1983-03-25 1983-05-05 Celltech Ltd Polypeptides
US4816567A (en) 1983-04-08 1989-03-28 Genentech, Inc. Recombinant immunoglobin preparations
GB8607679D0 (en) 1986-03-27 1986-04-30 Winter G P Recombinant dna product
US5530101A (en) 1988-12-28 1996-06-25 Protein Design Labs, Inc. Humanized immunoglobulins
CA2081368A1 (en) 1990-03-27 1991-09-28 Ian S. Trowbridge Method for inhibiting cell growth and compositions useful therefor
GB9015198D0 (en) 1990-07-10 1990-08-29 Brien Caroline J O Binding substance
JPH06508511A (ja) 1990-07-10 1994-09-29 ケンブリッジ アンティボディー テクノロジー リミティド 特異的な結合ペアーの構成員の製造方法
US5165424A (en) 1990-08-09 1992-11-24 Silverman Harvey N Method and system for whitening teeth
DE69229477T2 (de) 1991-09-23 1999-12-09 Cambridge Antibody Technology Ltd., Melbourn Methoden zur Herstellung humanisierter Antikörper
ES2313867T3 (es) 1991-12-02 2009-03-16 Medical Research Council Produccion de anticuerpos anti-auto de repertorios de segmentos de anticuerpo expresados en la superficie de fagos.
US5777085A (en) 1991-12-20 1998-07-07 Protein Design Labs, Inc. Humanized antibodies reactive with GPIIB/IIIA
ATE208374T1 (de) 1992-02-18 2001-11-15 Otsuka Kagaku Kk Beta-laktam und cepham verbindungen und ihre herstellung
US5714350A (en) 1992-03-09 1998-02-03 Protein Design Labs, Inc. Increasing antibody affinity by altering glycosylation in the immunoglobulin variable region
WO1993019172A1 (en) 1992-03-24 1993-09-30 Cambridge Antibody Technology Limited Methods for producing members of specific binding pairs
GB9313509D0 (en) 1993-06-30 1993-08-11 Medical Res Council Chemisynthetic libraries
EP0731842A1 (en) 1993-12-03 1996-09-18 Medical Research Council Recombinant binding proteins and peptides
KR100259828B1 (ko) 1995-09-11 2000-06-15 히라타 다다시 인체 인터루킨 5 수용체 알파-사슬에 대한 항체
EP1264885A4 (en) 2000-02-22 2007-02-21 Med & Biological Lab Co Ltd ANTIBODY LIBRARY
AU2001262750A1 (en) 2000-06-14 2001-12-24 Medical And Biological Laboratories Co., Ltd. Method of constructing scfv antibody fused with fluorescent protein
PL1740616T3 (pl) 2004-04-30 2012-06-29 Inst Nat Sante Rech Med Przeciwciało przeciwko tfr
NZ553500A (en) 2004-09-23 2009-11-27 Genentech Inc Genentech Inc Cysteine engineered antibodies and conjugates withCysteine engineered antibodies and conjugates with a free cysteine amino acid in the heavy chain a free cysteine amino acid in the heavy chain
CN101245107B (zh) * 2007-02-14 2010-10-13 中国人民解放军军事医学科学院生物工程研究所 抗人转铁蛋白受体人源抗体及其应用

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005185281A (ja) * 2003-12-04 2005-07-14 Mbl Venture Capital Co Ltd 細胞表面抗原に対する抗体取得とその抗原同定
JP2008508904A (ja) * 2004-06-07 2008-03-27 レイヴェン バイオテクノロジーズ, インコーポレイテッド トランスフェリンレセプター抗体
WO2006090750A1 (ja) * 2005-02-28 2006-08-31 Institute For Antibodies Co., Ltd. 抗IgSF4抗体及びその利用
WO2008007648A1 (fr) * 2006-07-10 2008-01-17 Institute For Antibodies Co., Ltd. Procédé de classification d'antigène, procédé d'identification d'antigène, procédé d'obtention d' un ensemble d'antigènes ou d'anticorps, procédés de construction d'un panel d'anticorps, anticorps et ens

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6016004990; Clinical cancer research Vol.1, 1995, p.1259-1265 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020105621A1 (ja) 2018-11-20 2020-05-28 株式会社ペルセウスプロテオミクス 細胞内への鉄の取り込み阻害剤

Also Published As

Publication number Publication date
CA2835603A1 (en) 2012-11-15
US9598496B2 (en) 2017-03-21
CN103534272A (zh) 2014-01-22
EP2708560A4 (en) 2015-01-14
CN103534272B (zh) 2016-05-11
WO2012153707A1 (ja) 2012-11-15
JPWO2012153707A1 (ja) 2014-07-31
EP2708560A1 (en) 2014-03-19
US20140114054A1 (en) 2014-04-24
HK1193833A1 (zh) 2014-10-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5980202B2 (ja) トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体
US10640571B2 (en) Human monoclonal antibodies specific for glypican-3 and use thereof
JP6212497B2 (ja) トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体
US8759494B2 (en) Anti-CD33 antibodies and use thereof for immunotargeting in treating CD33-associated illnesses
JP6077745B2 (ja) 抗ポドプラニン抗体、及び抗ポドプラニン抗体を含む医薬組成物
CA3095595A1 (en) Constructs targeting cd22 and uses thereof
EP3282014B1 (en) Cancer cell-specific anti-podocalyxin antibody and method for producing same
CA3199830A1 (en) Tumor-specific claudin 18.2 antibody-drug conjugates
JP6552412B2 (ja) ヒトインテグリンa6b4と特異的に反応する抗体
JP2014093958A (ja) トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体
JP6847434B2 (ja) 抗ポドプラニン抗体
JP6887613B2 (ja) がん微小環境を標的とした抗ポドカリキシン抗体
JP2017192379A (ja) 細胞におけるdna損傷の検出方法及びdna鎖切断応答性細胞表面抗原に対する抗体
WO2022196697A1 (ja) 抗her2抗体及びこれを含有する医薬組成物
WO2021107082A1 (ja) 癌性腹膜炎の治療薬

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150427

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160209

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160405

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160719

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160726

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5980202

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250